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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084909
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】コンデンサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/10 20060101AFI20240619BHJP
   H01G 9/048 20060101ALI20240619BHJP
   H01G 9/012 20060101ALI20240619BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20240619BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20240619BHJP
   H01G 9/08 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H01G9/10 D
H01G9/048 H
H01G9/012 305
H01G2/06 500
H01G9/10 G
H01G9/00 290Z
H01G9/08 C
H01G9/00 290J
H01G9/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199105
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】仲田 光一
(57)【要約】
【課題】台座やケースの形成精度に影響されずに配置したコンデンサ本体と台座との間で、望まない部分への樹脂材料の流入を防止する。
【解決手段】コンデンサ(2)は、コンデンサ素子(16)を収納するケース(12)、封口部材(18)、封口部材を通してケースから突出したリード端子を含むコンデンサ本体(4)、コンデンサ本体が載置される座板(34)、座板の外周に沿って形成された立壁(36)、および座板から突出しておりリード端子を通過させる挿通孔(40)を有する突出部(38)を含み、座板と立壁によりコンデンサ本体を収納する収納領域(8)を有する台座(6)と、収納領域内で、コンデンサ本体と載置面の間に配置される樹脂層(10)とを備え、コンデンサ本体が封口部材の配置部分よりも開口側の一部または全部に、座板の載置面に押圧されて変形する変形部(30)を有し、封口部材が突出部と接触または接近する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子を収納するケースと、該ケースを封止する封口部材と、該封口部材を通して前記ケースの開口部から突出したリード端子を含むコンデンサ本体と、
前記コンデンサ本体の一面が載置される座板、該座板の外周に沿って形成された立壁、および前記座板から突出しており前記リード端子を通過させる挿通孔を有する突出部を含み、前記座板と前記立壁により形成される前記コンデンサ本体を収納する収納領域を有する台座と、
前記収納領域内で、前記コンデンサ本体と前記載置面の間に配置される樹脂層と、
を備えており、
前記コンデンサ本体は、前記ケースの前記封口部材が配置された部分よりも開口側の一部または全部に、前記座板の前記コンデンサ本体の載置面に対して押圧されることで変形する変形部を有し、
前記封口部材が前記突出部と接触または接近していることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記変形部が前記載置面との接触によって拡開状態に変形して前記立壁部に接触または接近していることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記コンデンサ本体が前記載置面に載置される前の前記変形部の長さは、前記突出部の高さと同一またはそれよりも長く形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記コンデンサ本体は、前記載置面に載置前の開口側の外径が前記収納領域の内径よりも小さく、前記変形部の変形後の前記コンデンサ本体の前記変形部の外径が前記収納領域の内径と同一またはそれに近い大きさであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項5】
ケース内にコンデンサ素子を収納し、該ケースの開口部を封口部材で封止してコンデンサ本体を製造する工程と、
前記コンデンサ本体のリード端子を座板の一部に形成した突出部の挿通孔に貫通させ、前記コンデンサ本体を前記座板と立壁で形成される台座の収納領域内に配置する工程と、
前記コンデンサ本体を前記座板の前記コンデンサ本体の載置面に対して押圧して前記ケースの開口側の一部を前記立壁に接触または接近させることによって、前記封口部材と前記突出部を接触または接近させる工程と、
前記収納領域内で、前記コンデンサ本体と前記座板の載置面との間に樹脂材料を注入して樹脂層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項6】
前記ケースの開口側の一部を前記立壁に接触または接近させることによって、前記封口部材と前記突出部を接触または接近させた後に前記リード端子を前記台座の縁部に沿って折曲げる工程を含み、前記リード端子を折曲げた後に前記コンデンサ本体と前記座板の載置面の間に樹脂材料を注入することを特徴とする請求項5に記載のコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、台座を利用して基板などに実装されるコンデンサおよびその製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板などに対するコンデンサの実装には、たとえばコンデンサ本体に台座を設置し、その台座の底面に合わせて折曲げたリード端子を長さ方向の面を利用して半田付けする面実装が用いられている。斯かる面実装のコンデンサは、たとえば連続的に大きな振動を生じる車載用途において耐振動性や接続性を確保することができる。また、車載用など、屋外で使用されるコンデンサには、設置周囲の環境温度への耐性を高める手段として、封口部材と台座の間に樹脂層を形成して密閉性を高める手法を用いるものがある。
【0003】
このようなコンデンサに関し、金属ケースの開放端側において封口部材よりも外側に樹脂層を施すとともに、封口部材を貫通して外部に引き出されたリード線を絶縁板に貫通させ、かつこの絶縁板の外表面に対して折曲げたものがある(例えば、特許文献1)。また、封口ゴムで開口端側を封止したケースに対して座体が設置されており、この座体に形成された貫通孔からリード線を引き出し、端面に沿って折曲げられること、座体と封口ゴムとの隙間に樹脂を流し込み硬化させることで、電解液の蒸散や高い外気温への耐性を備えたものがある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-245121号公報
【特許文献2】特開平6-338439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、台座とコンデンサ本体との間に樹脂層を配置するコンデンサは、注入した樹脂材料が台座とコンデンサ本体との間の空間内が満たされていくと、一部が台座に形成されたリード端子を通す挿通孔内に流入する可能性がある。挿通孔は、コンデンサを実装させる基板などに近い位置に開口している。そのためコンデンサは、たとえば挿通孔を通じて流れた樹脂材料がリード端子の折曲げ部分にまで達して樹脂層が形成されると、この樹脂層の一部がリード端子と基板との間に塗布された半田に接触してしまい、良好な半田フィレットが形成し難くなるおそれがある。そのため台座には、挿通孔が形成される部分を座板の載置面よりも高く突出させることで、挿通孔に樹脂材料が流入し難くしている。
また、コンデンサでは、ケースと台座との間に十分な樹脂層を形成することで耐熱性を確保することが望ましいが、ケースと台座との間に隙間が生じているとケースの外周側に樹脂が流れてしまい、最悪の場合、台座から樹脂材料が溢れるおそれがある。このように樹脂材料の漏出を防止するには、台座にコンデンサ本体が適切に載置される必要がある。すなわちコンデンサは、コンデンサ本体のケースの先端部分と台座の座面が接触状態にすることが必要である。
しかしながら、コンデンサは、台座の突出部とケースの先端側とが直接接触しないが、対向方向の関係であることから、それぞれ適切な寸法でないとコンデンサ本体を台座に設置したときに、突出部と封口部材、またはケースと座板との間のいずれかに隙間が生じてしまい、樹脂材料が漏洩するという課題がある。
【0006】
本開示の技術の発明者は、台座の載置面にコンデンサ本体が載置された状態において、コンデンサ本体の一部を変形させることで、台座とコンデンサ本体との隙間を減少または無くし、台座内に適切な状態で樹脂層を形成できるとの知見を得た。
【0007】
斯かる課題について開示や示唆がない特許文献1、2では、この課題を解決することができない。
【0008】
そこで、本開示の技術の目的は、台座やケースの形成精度に影響されずに配置したコンデンサ本体と台座との間で、望まない部分への樹脂材料の流入を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示のコンデンサの一側面は、コンデンサ素子を収納するケースと、該ケースを封止する封口部材と、該封口部材を通して前記ケースの開口部から突出したリード端子を含むコンデンサ本体と、前記コンデンサ本体の一面が載置される座板、該座板の外周に沿って形成された立壁、および前記座板から突出しており前記リード端子を通過させる挿通孔を有する突出部を含み、前記座板と前記立壁により形成される前記コンデンサ本体を収納する収納領域を有する台座と、前記収納領域内で、前記コンデンサ本体と前記載置面の間に配置される樹脂層とを備えており、前記コンデンサ本体は、前記ケースの前記封口部材が配置された部分よりも開口側の一部または全部に、前記座板の前記コンデンサ本体の載置面に対して押圧されることで変形する変形部を有し、前記封口部材が前記突出部と接触または接近していることを特徴とするコンデンサ。
【0010】
上記コンデンサにおいて、前記変形部が前記載置面との接触によって拡開状態に変形して前記立壁部に接触または接近している。
上記コンデンサにおいて、前記コンデンサ本体が圧入前記載置面に載置される前の前記変形部の長さは、前記突出部の高さと同一またはそれよりも長く形成されている。
上記コンデンサにおいて、前記コンデンサ本体は、前記載置面に載置前の開口側の外径が前記収納領域の内径よりも小さく、前記変形部の変形後の前記コンデンサ本体の前記変形部の外径が前記収納領域の内径と同一またはそれに近い大きさである。
【0011】
上記目的を達成するため、本開示のコンデンサの製造方法の一側面は、ケース内にコンデンサ素子を収納し、該ケースの開口部を封口部材で封止してコンデンサ本体を製造する工程と、前記コンデンサ本体のリード端子を座板の一部に形成した突出部の挿通孔に貫通させ、前記コンデンサ本体を前記座板と立壁で形成される台座の収納領域内に配置する工程と、前記コンデンサ本体を前記座板の前記コンデンサ本体の載置面に対して押圧して前記ケースの開口側の一部を前記立壁に接触または接近させることによって、前記封口部材と前記突出部を接触または接近させる工程と、前記収納領域内で、前記コンデンサ本体と前記座板の載置面との間に樹脂材料を注入して樹脂層を形成する工程とを含む。
【0012】
上記コンデンサの製造方法において、前記ケースの開口側の一部を前記立壁に接触または接近させることによって、前記封口部材と前記突出部を接触または接近させた後に前記リード端子を前記台座の縁部に沿って折曲げる工程を含み、前記リード端子を折曲げた後に前記コンデンサ本体と前記座板の載置面の間に樹脂材料を注入する。
【発明の効果】
【0013】
本開示の構成によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0014】
(1) 台座の収納領域内にコンデンサ本体を載置し、ケースの一部を変形させることで、台座とコンデンサ本体との間の隙間を無くし、または減少させることで、コンデンサ外部やリード端子周辺への樹脂材料の流出を防止できる。
(2) 台座の収納領域からの樹脂材料の流出を防止し、または減少することで、コンデンサの信頼性の向上が図れる。
【0015】
(3) 台座に対するコンデンサ本体の載置により、挿通孔やケースと台座との隙間を減少させることで、コンデンサ本体や台座の成形負荷の軽減が図れる。
(4) 挿通孔への樹脂材料の流入を阻止、または減少させることで、リード端子に対して適切な半田フィレットの形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係るコンデンサの内部構成を示す図である。
図2】台座に設置したコンデンサ本体へのプレス加工処理の状態例を示す図である。
図3】コンデンサ本体および台座の構成例を示す斜視図である。
図4】第2の実施形態に係るコンデンサの製造処理のうち、コンデンサ本体の形成処理例を示す図である。
図5】コンデンサ製造処理の一例を示す図である。
図6】第3の実施形態に係るコンデンサの製造処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係るコンデンサの内部構成を示している。図1に示す構成は一例であり、本開示の技術が斯かる構成に限定されない。
【0018】
このコンデンサ2は、たとえば電気二重層コンデンサや電解コンデンサ、その他の蓄電デバイスの一例であり、図1に示すように、コンデンサ本体4の一部が台座6の収納部8内に設置されている。この収納部8は、本開示の台座6の収納領域の一例であり、コンデンサ本体4との間に樹脂層10が形成される。コンデンサ2は、コンデンサ本体4のリード端子が突出した側を台座6側に向けて配置されている。コンデンサ本体4は、単体でコンデンサとして利用可能なデバイスであり、外装ケース12内部の収納部14にコンデンサ素子16と封口部材18を備えている。
【0019】
外装ケース12は、アルミニウム(Al)などの金属材料が用いられ、有底筒状に形成されている。外装ケース12内部の収納部14には、中央から図中の上方に向けられた底部側に電解液を含浸させたコンデンサ素子16などが収納され、また図中下方に向けられた開口部側に設置されている封口部材18によって封止されている。
【0020】
コンデンサ素子16は、たとえば電極箔として陽極箔および陰極箔が、セパレータを介して積層されており、この積層体を巻回して構成されている。そしてコンデンサ素子16の巻回部分の内部には、陽極箔に接続させるタブ20a、陰極箔に接続させるタブ20bが接続されている。これらのタブ20a、20bは、少なくとも1つずつ備えており、陽極側、陰極側のそれぞれのリード端子を構成する。陽極箔、陰極箔とそれぞれのタブ20a、20bとは、たとえばステッチ接続法などにより接続される。
【0021】
封口部材18は、たとえば、外装ケース12の内径と同等またはそれに近い大きさであって、開口部の形状に同一または類似した形状に形成されたゴムや硬質プラスチック、その他の樹脂材料など弾性変形可能な材料で構成されている。そして封口部材18は、収納部14の内に嵌合されると、外装ケース12の外周側からの押圧による加締め処理により外装ケース12の内壁と密着状態となる。また、封口部材18の一部には、保持孔22を備えており、その内部にタブ20a、20bと一連に形成されまたは接続されており、開口側に突出させたリード端子の丸棒部24a、24bを挿通させるとともに保持している。つまり保持孔22は、丸棒部24a、24bの外径と同等またはこれらよりも僅かに小径に形成されている。さらに、封口部材18は、外装ケース12への加締め処理によって内側に圧縮状態となることで、丸棒部24a、24bと密着し、収納部14内の密閉性を維持している。
【0022】
リード端子の先端部は、丸棒部24a、24bと一連に形成され、または接続された端子線26a、26bが台座6の収納部8側から基板の実装面側に向けて挿通され、かつ台座6の基板の実装面に沿って所定方向に折曲げられる。この端子線26a、26bは、たとえば折曲げられた先端側が台座6の背面または基板などの実装面に対して平行、またはそれに近い状態となっており、その一部または全部が基板の間に半田付けされる接続部28となる。
【0023】
コンデンサ本体4には、外装ケース12の一部であって、封口部材18の配置部分よりも開口側が、外部からの押圧によって変形する変形部30を有している。この変形部30は、コンデンサ本体4が台座6の収納部8内に載置された後、外装ケース12の底部側から開口側の方向、すなわちコンデンサ本体4が載置された台座6の載置面に向けて押圧されることで、一部または全部が拡開状態となる機能部の一例である。そしてコンデンサ2では、変形部30の変形によって外装ケース12の一部が台座6の立壁36に接触、または接近状態となる。またはコンデンサの製造処理では、たとえば台座6に配置されたコンデンサ本体4に対し、変形部30が立壁36、その他の台座6の一部分に接触もしくは接近状態になるまでコンデンサ本体4を載置面の方向に押圧すればよい。
そのほか、コンデンサ本体4は、たとえば外装ケース12の開口端部から一定の範囲を収納部14の内側に巻き込むように処理をすることで、台座6の載置面に接触する先端部31を曲面状に形成している。また外装ケース12の先端部分には、封口部材18、変形部30により形成された空間部であり、封口部材18に接触させないように変形させることにより、台座6の収納部8が連通した樹脂充填部32を備える。
また、コンデンサ本体4は、開口部側に近い位置に、外装ケース12の周方向に沿って一部または全部に既述の加締め処理によって形成される加締め溝33を備えている。
【0024】
台座6は、コンデンサ本体4の一部を保持し、かつ実装部品との間に介在することで、基板などに対するコンデンサ2の実装状態の安定化や、外部から負荷される振動などへの耐性を高めることができる。台座6は、たとえば絶縁合成樹脂などの絶縁材料で構成されている。この絶縁合成樹脂は、配線板に実装する際の加熱に耐える程度の耐熱性を有していればよく、たとえばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、およびポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ユリア樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フェノール樹脂、またはエポキシ樹脂が用いられる。
【0025】
台座6は、たとえばコンデンサ本体4の開口側が載置される座板34や、座板34の外周部分の一部または全部に立設した立壁36、座板34の一部を突出させた突出部38を備えており、この座板34、立壁36および突出部38でコンデンサ本体4の開口側を収納する収納部8を構成する。
突出部38は、座板34の載置面の一部を高くすることでコンデンサ本体4の一部を他の部分よりも高い位置で載置するものであり、この載置面の高低差の部分と外装ケース12の樹脂充填部32との間に樹脂層10が形成される。突出部38は、たとえば載置面上に単一または複数箇所に形成されており、収納部8内にコンデンサ本体4が載置されたときに、少なくとも封口部材18の保持孔22と対向する部分を含んで構成され、その対向位置にリード端子の端子線26a、26bを通す挿通孔40が形成されている。すなわち、突出部38は、外装ケース12内の封口部材18と接触または接近し、封口部材18から延伸しているリード端子を通す挿通孔40と樹脂層10とを隔離または接触量を減らしている。
そのほか、台座6の座板34には、たとえばコンデンサ本体4の載置面の反対面の一部に、折曲げた端子線26a、26bを収納する収納溝を備えている。
【0026】
収納部8の容積は、立壁36の長さ、および突出部38の高さによって決まるが、少なくとも収納されるコンデンサ本体4の変形部30が覆われるように立壁36の長さが設定されればよい。立壁36は、好ましくは、収納されるコンデンサ本体4の加締め溝33を覆うような長さに設定されればよく、より好ましくは、外装ケース12の開口側から中央部分を覆う長さに設定されてもよい。コンデンサ2は、収納部8によりコンデンサ本体4が覆われる部分が多い程、横方向に対する耐振動性が向上する。
【0027】
<プレス加工前のコンデンサ本体4の状態について>
図2Aは、台座6に対するコンデンサ本体4を配置した状態を示している。コンデンサ2の製造処理では、たとえば図2Aに示すように、コンデンサ本体4のうちリード端子が突出した端面側を台座6に配置させ、先端部31が座板34の一部に接触した状態にする。このときコンデンサ本体4は、突出部38の挿通孔40内にリード端子の端子線26a、26bがそれぞれ挿通孔40内に挿入されるように、配置位置が設定される。また、座板34に対するコンデンサ本体4の配置距離は、たとえば図示しないコンデンサ2の製造装置として、台座6を保持する手段とコンデンサ本体4を保持する手段との距離に基づき、台座6とコンデンサ本体4のいずれか一方または両方を移動させて、その距離が設定値になるように制御すればよい。そのほか、コンデンサ本体4の先端部31が収納部8内において、座板34に接触しているか否かを、作業者の目視や図示しないセンサの検出値やカメラで撮影した画像に基づいて確認してもよい。
【0028】
コンデンサ本体4は、たとえば台座6に載置される前やプレス加工が行われる前において、開口側の外径W1が収納部8の内径W2よりも小さく形成されており、W2>W1の関係になっている。すなわちプレス加工前のコンデンサ本体4は、変形部30を含み外装ケース12が立壁36に接触させずに収納部8内に収納されている。
プレス加工前のコンデンサ本体4の開口側の長さL1は、たとえば封口部材18の開口側端面から縦加締めされた外装ケース12の先端部31までの距離であり、台座6の突出部38の高さL2よりも長く設定されており、L1>L2の関係となっている。つまり対向する封口部材18と突出部38の平面との間には、長さL1と高さL2との差分による隙間d1(=L1-L2)が生じる。
【0029】
なお、このコンデンサ2は、コンデンサ本体4の開口側の長さL1が突出部38の高さL2と同等にしてもよいが、長さL1を高さL2よりも短くし、L1<L2の関係にすることはできない。すなわちコンデンサ2は、プレス加工前にコンデンサ本体4の先端部31が座板34の載置面に接触することが必要である。
【0030】
<プレス加工によるコンデンサ本体4の変形状態について>
図2Bは、台座6に配置したコンデンサ本体4に対するプレス加工処理を示している。ここに示す構成や変形状態は一例であり、本開示の技術が斯かる内容に限定されない。
収納部8内に配置されたコンデンサ本体4は、たとえば図2Bに示すように、図中上方にある外装ケース12の底部側から図示しないプレス手段によって押圧力FAが加えられると、少なくとも外装ケース12の胴体部分を通じて収納部8内に配置された開口側の一部に押圧力FAが作用する。そしてコンデンサ本体4の開口側では、台座6に接触する先端部31を通じて座板34から押圧力FAに対する反力を受け、この反力がコンデンサ本体4の開口側に作用する。つまり、外装ケース12の先端部31は、たとえば封口部材18などに接触していない自由端であり、先端部31周辺部分の外装ケース12の内部は、樹脂層10を形成するための樹脂充填部32である空間となっている。また、外装ケース12は、既述のように筒状部材であり、開口側の端面が円形、または多角形となっている。
そのため、外装ケース12は、たとえば封口部材18よりも開口側の変形部30が、先端部31で受けた反力に基づく力FBが作用することで、拡開状態に変形する。より具体的には、変形部30は、たとえば端面が円形であることから外装ケース12が内側に圧縮変形し難くいため、内部に封口部材18が配置された部分よりも開口側と、座板34からの反力を受けた先端部31との間で外周方向に座屈状態となる。そしてコンデンサ2は、変形部30が拡開状態になることで、一部が台座6の立壁36の一部に接触し、またはプレス前よりも接近して立壁36とコンデンサ本体4との間の隙間が小さくなる。
【0031】
プレス加工を受けたコンデンサ本体4は、変形部30が押圧力FAの作用方向に所定変形量d2分だけ圧縮されて長さL3となる。つまり長さL3=L1+d2の関係となる。このときコンデンサ本体4は、変形量d2分の圧縮変形により封口部材18が突出部38の平面部に接触、または接近した状態となる。この変形量d2は、プレス加工前のコンデンサ本体4の開口側の長さL1と台座6の突出部38の高さL2の差分の長さd1と同等、またはそれに近い値にしてもよい。
【0032】
コンデンサ本体4に対するプレス加工では、たとえば一定の押圧力FAが設定されており、コンデンサ本体4の底部から押圧してその高さの変移量が既述の変形量d2に達したか否かを管理してもよい。また押圧力FAは、たとえばコンデンサ本体4の外装ケース12の材質、厚さ情報、変形部30の長さや外装ケース12の剛性などの材質情報、変形後に形成される樹脂充填部32の設定容積情報を利用して、変形部30を変形させるのに必要な力を算出し、プレス加工の制御情報として利用すればよい。
【0033】
<コンデンサ本体4および台座6の外観構成について>
図3は、コンデンサ本体および台座の構成例を示している。図3に示すコンデンサ本体4や台座6の形状や構造は一例である。
コンデンサ本体4は、たとえば外装ケース12が円柱状、またはそれに近い形状で構成されており、内部に収納されたコンデンサ素子16に接続されたリード端子の端子線26a、26bが、開口部から突出している。コンデンサ本体4の胴体部であって開口側に近い部分には、外周に沿って所定深さの加締め溝33が形成され、外装ケース12と封口部材18とを一体化させている。さらに、コンデンサ本体4には、たとえば加締め溝33よりも開口側の外装ケース12の内部に樹脂充填部32となる空間が形成されるとともに、その外装ケース12部分がプレス加工処理により変形する変形部30として機能する。
【0034】
台座6は、たとえば座板34と立壁36とが一体成形されており、立壁36に囲まれた収納部8内に、コンデンサ本体4を載置させる載置面42を備える。この載置面42には、たとえば低部側にコンデンサ本体4の先端部31が接触する平面部と、収納部8の中央側に所定の高さに突出させた突出部38のほか、樹脂材料を収納部8内に流入させる樹脂注入孔44や樹脂の流れを調整する突出部46、この突出部46で周囲を覆われた開口48を備える。
【0035】
突出部38上には、端子線26a、26bを挿通させる挿通孔40が形成されており、収納部8に対するコンデンサ本体4の配置向きや配置位置を決める手段として機能する。
立壁36は、たとえば収納されるコンデンサ本体4の外周に沿って高く形成した立壁36Aと、低く形成した立壁36Bを組み合せて形成されており、コンデンサ本体4の周面に対して覆う範囲を異ならせている。斯かる異なる高さの立壁36A、36Bは、たとえば台座6にコンデンサ本体4を設置する場合に、図示しないコンデンサ本体4を保持する手段との干渉を避けることや、載置面42に対してコンデンサ本体4の先端部31の接触状態を確認するための視認性の向上を図るなどの目的に応じて設定すればよく、立壁36A、36Bの載置面42側の側面に段部が形成されないように、面一にしてもよい。
【0036】
台座6には、たとえば樹脂注入孔44に対して載置面42の中心側を塞ぐ位置に配置されるとともに、図示しない載置面42に対して交差方向の中心軸を基準に、反対側への流入量を抑制するように突出部38の長さが設定されている。また、突出部46は、開口48を覆っているが、樹脂注入孔44と反対側に向けた一部を切り欠いて形成されている。
このように構成することで、収納部8内に注入された樹脂材料が図示しないコンデンサ本体4の樹脂充填部32内部に流入するとともに、載置面42上に流れる。そして開口48は、樹脂注入孔44から流入した樹脂材料がそのまま開口から流入するのを阻止される。これにより台座6には、突出部38、46を通じて載置面42上に樹脂層10が形成される。
【0037】
なお、突出部38は、単一で構成されており、天井部分に2つの挿通孔40を備えているが、この形状に限定されない。突出部38は、たとえば挿通孔40同士の間で分断されており、その間に低部の載置面42が介在してもよい。
【0038】
〔第1の実施形態の効果〕
斯かる構成によれば、以下のような効果が期待できる。
(1) 台座6に配置前のコンデンサ本体4の開口側およびその周辺部の外径W1を台座6の収納部8の内径W2よりも小さく形成することで、コンデンサ本体4の先端などを台座6の載置面42に接触し易くなり、かつ接触状態の監視が可能となり、コンデンサ本体4を適正な状態で台座6に配置することができる。
【0039】
(2) 外装ケース12の底部側、すなわち台座6の収納部8に配置されていないコンデンサ本体4の端部側から載置面42方向に向けて押圧し、外装ケース12の開口側の変形部30を変形させ、変形した一部分または全部を台座6の立壁36A、36Bなどに接触させることで、台座6と一体化する。これにより、コンデンサ2は、実装時の安定性の向上が図れるほか、耐振動性の向上に加えて、収納部8内に注入された樹脂材料と、外装ケース12の内部に形成される樹脂充填部32と立壁36、封口部材18と突出部38の間に貯留することができ、コンデンサ2の密閉性、断熱性を高く保持できる。
【0040】
(3) 外装ケース12の変形部30の変形により、外装ケース12と立壁36、および封口部材18と突出部38とが接触またはこれらの隙間を減少させることで、注入された樹脂材料が収納部8からの漏出や、端子線26a、26bが挿入された挿通孔40内に流入するのを防止できる。これにより、コンデンサ2の外装部分の美感低下の防止や、端子線26a、26bに対する半田フィレットの形成阻害を防止できる。
【0041】
(4) 台座6に配置したコンデンサ本体4を押圧することで、台座6とコンデンサ本体4との間にある隙間を無くし、または減少させて樹脂材料の漏出などを防止でき、コンデンサ2の成形精度の向上、製造負荷の軽減が図れる。
【0042】
〔第2の実施形態〕
図4図5は、第2の実施形態に係るコンデンサの製造処理を示している。図4図5に示す処理内容、処理手順は一例であり、本開示の技術が斯かる内容に限定されない。
【0043】
コンデンサ本体4の製造処理では、たとえばタブ20a、20bをステッチ接続法や冷間圧接法、レーザ溶接によって接続させた帯状の陽極箔と陰極箔に対して同形状のセパレータを介して積層させ、この積層体を一定方向に巻回することで円柱状にコンデンサ素子16を形成する(図4A)。このコンデンサ素子16は、電解液を含浸させた後、封口部材18の保持孔22にリード端子を通して配置させる。(図4B)。封口部材18は、たとえばリード端子の丸棒部24a、24bが封口部材18に覆われるように配置される。
リード端子を封口部材18に挿通させたコンデンサ素子16は、外装ケース12の収納部14内に収納される。外装ケース12には、コンデンサ素子16が収納されると、外周面の一部であって、封口部材18の配置位置に対応する位置に対して図示しない加締め治具により外部から押圧し、加締め溝33を形成する(図4C)。またコンデンサ本体4は、外装ケース12の開口端側であって、封口部材18の配置位置よりも開口側の一部を収納部14の内側にカールさせる変形処理を行う。これにより、コンデンサ本体4には、たとえば開口側の端面に曲面状の先端部31が形成される。
【0044】
コンデンサ本体4と台座6の接続処理では、たとえば図5に示すように、台座6の収納部8内にコンデンサ本体4の開口側を向けて配置させる(図5A)。コンデンサ本体4は、リード端子の端子線26a、26bが台座6の突出部38に形成された挿通孔40内にそれぞれ挿入可能な位置に合わせて配置される。台座6にコンデンサ本体4が配置されることで、コンデンサ本体4の先端部31と封口部材18と台座6で構成される空間が形成される。この空間が樹脂充填部32となる。
台座6に配置されたコンデンサ本体4には、たとえばコンデンサ本体4に対するプレス加工処理として、台座6の底部側にプレス台52、外装ケース12の底部側にプレス装置54が配置される(図5B)。プレス台52およびプレス装置54は、たとえばコンデンサ本体4に対して所定方向に押圧力FAを負荷する手段の一例であり、その形状や構成は限定されず、図示しない負荷発生手段や制御手段、その他の構成を備えた加工装置、治具などであればよい。プレス加工されたコンデンサ2では、台座6の収納部8内でコンデンサ本体4の変形部30の一部または全部が変形するとともに、この変形によってコンデンサ本体4内の封口部材18やコンデンサ素子16が台座6側に変移する。これにより、収納部8内では、外装ケース12の一部と立壁36、および封口部材18と突出部38が接触または接近状態となることで、収納部8と外装ケース12内の樹脂充填部32が密閉、またはそれに近い状態となる。
【0045】
プレス加工されたコンデンサ2は、たとえば端子線26a、26bのうちそれぞれ挿通孔40を通過した部分を座板34の底面に沿って所定方向に折曲げるとともに、座板34の樹脂注入孔44を通じて収納部8および樹脂充填部32内に樹脂層10を形成する(図5C)。
【0046】
<第2の実施形態の効果>
斯かる構成によれば、以下のような効果が期待できる。
(1) 第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(2) 端子線26a、26bの折曲げよりも前にコンデンサ本体4にプレス加工を施すことで、変形部30の変形によって台座6に対するコンデンサ本体4の配置位置および樹脂材料が充填される容積などが確定した状態で端子線26a、26bが折曲げられ、台座と端子線26a、26bとの間に隙間やずれが発生する可能性を抑えることができる。
(3) プレス加工によってコンデンサ本体4の配置状態が決まることで、折曲げた端子線26a、26bと台座6の一体性が向上する。
【0047】
〔第3の実施形態〕
図6は、第3の実施形態に係るコンデンサの製造工程例を示している。図6に示す手順や処理内容は一例であり、本開示の技術が斯かる内容に限定されない。
この実施形態に示す製造工程は、本開示のコンデンサの製造方法の一例であり、コンデンサ素子16の巻回や封口部材18の設置、外装ケース12への挿入工程については、既述の図4に示す内容と同様であるため、詳細な説明を割愛する。
【0048】
コンデンサ2の製造処理では、たとえばコンデンサ本体4の端子線26a、26bを突出部38の挿通孔40に合わせて台座6に対して配置すると、端子線26a、26bのうち挿通孔40を通過した部分を座板34の底面に沿って所定方向に折曲げる(図6A)。
次に、コンデンサ本体4には、たとえばコンデンサ本体4に対するプレス加工処理として、台座6の底部側にプレス台52、外装ケース12の底部側にプレス装置54を配置し、設定された押圧力FAで押圧する(図6B)。プレス加工されたコンデンサ2は、台座6の収納部8内でコンデンサ本体4の変形部30の一部または全部が変形するとともに、この変形によってコンデンサ本体4内の封口部材18やコンデンサ素子16が台座6側に変移する。これにより、収納部8内では、外装ケース12の一部と立壁36、および封口部材18と突出部38が接触または接近状態となることで、収納部8と外装ケース12内の樹脂充填部32が密閉、またはそれに近い状態となる。また、このプレス加工では、たとえば先に折曲げた端子線26a、26bと座板34との密着状態を維持させるため、プレス加工において変形部30の変形に応じて、端子線26a、26bの折曲げ位置を調整可能にしてもよく、または押圧力FAおよび変形部30の変形量を調整してもよい。
【0049】
そしてプレス加工されたコンデンサ2は、座板34の樹脂注入孔44を通じて収納部8および樹脂充填部32内に樹脂層10を形成する(図6C)。
【0050】
<第3の実施形態の効果>
斯かる構成によれば、第1の実施形態と同様の効果が期待できるとともに、プレス加工前に端子線26a、26bを折曲げることで、台座6とコンデンサ本体4が一体化し、プレス加工時に台座6とコンデンサ本体4の配置位置のズレや傾きなどの発生を抑制できる。
【0051】
〔変形例〕
以上説明した実施形態について、その特徴事項や変形例を以下に列挙する。
【0052】
(1) コンデンサ本体4および台座6について、上記実施形態で示した材料に限定されない。これらの材料は、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサまたは類似のコンデンサで採用されている他の材料を用いてもよい。上記実施形態のコンデンサ2は、コンデンサ素子16に電解液を含浸するものを用いたが、本開示のコンデンサ本体4は、電解コンデンサに限定されない。コンデンサ2は、コンデンサ素子16に導電性高分子を含浸する固体電解層を有する固体電解コンデンサであってもよく、導電性高分子を含浸したコンデンサ素子16に電解液を含浸させるハイブリッド型コンデンサを用いてもよい。
【0053】
(2) 上記実施形態では、コンデンサ本体4を構成する外装ケース12について、部分ごとの肉厚、剛性または材質を限定しない場合を示したがこれに限らない。外装ケース12は、底部から開口部に向けて均一な厚さ、同等の剛性および材質で構成される場合に限られず、たとえば変形部を構成する開口部、および開口部から底部方向に向けて所定の長さの範囲について、他の部分と厚さや剛性を異ならせてもよい。すなわち、外装ケース12は、変形部30として機能させる部分を他の部分よりも肉薄に形成し、または剛性が低い材料で構成してもよい。これにより、外装ケース12は、コンデンサ本体4に対する押圧力FAを付加したときに、肉薄の部分や剛性の低い部分で変形し易くなる。また逆に、外装ケース12の一部を変形し易い構成とすることで、コンデンサ本体4に付加する押圧力を低くすることができるほか、所望の位置を変形させることができるので、組立て労力の低下や加工精度の向上が図れる。
【0054】
なお、肉薄の部分を形成する場合や剛性が低い材料で構成する場合において、コンデンサ2に対して本来要求される外装ケース12の剛性および横加締めによる封口部材18との密着性が維持可能な条件を満たした外装ケース12であることは言うまでもない。
また、外装ケース12は、変形部30として機能させる部分を肉薄や剛性が低い材料で構成する場合に限られず、その他の部分を変形部30よりも肉厚、または剛性の高い材料で構成してもよい。
【0055】
(3) 上記実施形態では、リード端子の端子線26a、26bを、台座6に挿通孔40の縁部に沿って、折り曲げることでコンデンサ2を面実装型のコンデンサを作製したが、コンデンサ2を台座6の挿通孔40から導出したリード端子の端子線26a、26bを折り曲げずに、電子基板に設けられたスルーホールに貫通し半田リフロー処理によって半田付けする方法に対応するコンデンサ2としてもよい。
【0056】
(4) 上記実施形態において、外装ケース12として予め樹脂をコーティングしたケースを用いてもよい。外装ケース12の表面に形成したコーティング樹脂により、接触または近接状態となった変形部30の外周部分と台座6の立壁36A、36Bとが密着し易くなり、台座6の収納部8に対する密閉性を向上させることができる。このようにすることで、注入された樹脂材料の収納部8からの漏出や、端子線26が挿入された挿通孔40内への流入をより防止できる。
【0057】
(5) 上記実施形態において、外装ケース12の底部側からプレス手段によって押圧力を加えて、外装ケース12の胴体部分を通じて収納部8内に配置された開口側の一部に押圧力を作用させることで、変形部30を拡開状態に変形させたが、台座6の底部側からプレス手段によって押圧力を加えて、外装ケース12の胴体部分を通じて収納部8内に配置された開口側の一部に押圧力を作用させることで、変形部30を拡開状態に変形させてもよい。
【0058】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施形態等について説明した。本開示の技術は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示のコンデンサおよびその製造方法によれば、台座の内径よりも開口側を小さく形成するとともに、台座の一部に形成した突出部に端子線の挿通孔を設けたコンデンサ本体を台座に配置し、コンデンサ本体に対する押圧により、ケースの一部を変形させるとともに封口部材を突出部と接触または接近させることで、コンデンサ本体と台座との間に充填する樹脂材料が所定部分以外に漏出するのを防止でき、半田によるコンデンサの実装状態を適正化できるとともに、樹脂層によりコンデンサに対する熱などの遮断性を向上することができ、有用である。
【符号の説明】
【0060】
2 コンデンサ
4 コンデンサ本体
6 台座
8 収納部
10 樹脂層
12 外装ケース
14 収納部
16 コンデンサ素子
18 封口部材
20a、20b タブ
22 保持孔
24a、24b 丸棒部
26a、26b 端子線
28 接続部分
30 変形部
31 先端部
32 樹脂充填部
33 加締め溝
34 座板
36、36A、36B 立壁
38 突出部
40 挿通孔
42 載置面
44 樹脂注入孔
46 突出部
48 開口
52 プレス台
54 プレス装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6