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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084917
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/02 20060101AFI20240619BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20240619BHJP
   F27B 9/40 20060101ALI20240619BHJP
   F27B 9/38 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
F27B9/02
F27D7/06 B
F27B9/40
F27B9/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199118
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトサーモシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】中谷 淳司
【テーマコード(参考)】
4K050
4K063
【Fターム(参考)】
4K050AA02
4K050BA16
4K050CA10
4K050CA12
4K050CF02
4K050CF12
4K050CG29
4K050EA03
4K050EA05
4K063AA05
4K063BA12
4K063CA01
4K063DA23
4K063DA32
(57)【要約】
【課題】熱処理装置において、加熱室からの熱の移動を抑制する。
【解決手段】熱処理装置1は、第1加熱室10と、第1加熱室10の外部と内部との間で被処理物10を搬送する第1搬送手段30と、第1加熱室10に設けられ第1搬送手段30が通過する第1開口15と、第2加熱室20と、第1加熱室10と第2加熱室20との間で被処理物100を搬送する第2搬送手段50と、加熱室10,20の外部から第2搬送手段50が挿入される第2開口16と、加熱室10,20間で被処理物100を搬送される第3開口17と、を有する。第2開口16は被処理物100より小さく、第1開口15及び第3開口17は被処理物100より大きい。
【選択図】 図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を加熱処理する第1加熱室と、
前記第1加熱室の外部と内部との間で前記被処理物を搬送する第1搬送手段と、
前記第1加熱室に設けられ前記第1搬送手段が通過する第1開口と、
前記被処理物を加熱処理する第2加熱室と、
前記第1加熱室の外部から挿入され、前記第1加熱室と前記第2加熱室との間で前記被処理物を搬送する第2搬送手段と、
前記第1加熱室に設けられ前記第1加熱室の外部から前記第2搬送手段が挿入される第2開口と、
第1加熱室と第2加熱室との間で前記被処理物を搬送される第3開口と、を備え、
前記第2開口は前記被処理物より小さく、前記第1開口及び第3開口は前記被処理物より大きいことを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱処理装置であって、
前記第1開口、前記第2開口、および前記第3開口を開閉させる手段が備えられ、
前記第1搬送手段によって、前記被処理物を搬送する時は、前記第2開口及び前記第3開口が閉じられ、
前記第2搬送手段によって、前記被処理物を搬送する時は、前記第1開口が閉じられることを特徴とする熱処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱処理装置であって、
前記第2搬送手段によって、前記第1加熱室と前記第2加熱室の間で前記被処理物の搬送を終えて、前記第2搬送手段が前記第1加熱室の外部に移動する際に、前記第2開口より前記第3開口を先に閉じられることを特徴とする熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に形成した金属と半導体材料との合金化を行う熱処理装置(10)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-033082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱処理装置の搬送アームを、2つの室間の搬送用と、室の内外での搬送用と、の2つ設け、これらの搬送アームを室の外側に設置する場合、室には、搬送アームを通過させる開口が形成される。2つの室間の搬送用の搬送アームを通過させる開口が大きいと、室の内部の熱が外部へ移動し易いが、このような熱の移動を抑制したい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる熱処理装置は、
被処理物を加熱処理する第1加熱室と、
前記第1加熱室の外部と内部との間で前記被処理物を搬送する第1搬送手段と、
前記第1加熱室に設けられ前記第1搬送手段が通過する第1開口と、
前記被処理物を加熱処理する第2加熱室と、
前記第1加熱室の外部から挿入され、前記第1加熱室と前記第2加熱室との間で前記被処理物を搬送する第2搬送手段と、
前記第1加熱室に設けられ前記第1加熱室の外部から前記第2搬送手段が挿入される第2開口と、
第1加熱室と第2加熱室との間で前記被処理物を搬送される第3開口と、を備え、
前記第2開口は前記被処理物より小さく、前記第1開口及び第3開口は前記被処理物より大きいことを特徴とする。
【0006】
(2)前記熱処理装置は、前記第1開口、前記第2開口、および前記第3開口を開閉させる手段を備え、
前記第1搬送手段によって、前記被処理物を搬送する時は、前記第2開口及び前記第3開口が閉じられ、
前記第2搬送手段によって、前記被処理物を搬送する時は、前記第1開口が閉じられてもよい。
【0007】
(3)前記第2搬送手段によって、前記第1加熱室と前記第2加熱室の間で前記被処理物の搬送を終えて、前記第2搬送手段が前記第1加熱室の外部に移動する際に、前記第2開口より前記第3開口を先に閉じられてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、熱処理装置において、加熱室からの熱の移動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の熱処理装置の構成を説明するための模式的な断面図である。
図2図2は、熱処理装置の第1加熱室、および第1搬送手段などの模式的な断面図である。
図3図3は、熱処理装置の第1加熱室、第2加熱室、および第2搬送手段などの模式的な断面図である。
図4図4は、熱処理装置の第2加熱室、および第3搬送機構などの模式的な断面図である。
図5図5は、搬送ロッドの動作を説明するための模式図である。
図6図6(A)は、第1加熱室の第1開口について説明するための図であり、図6(B)は、第1加熱室の第2開口について説明するための図であり、図6(C)は、第1加熱室の第2開口と、第1加熱室および第2加熱室の第3開口について説明するための図であり、図6(D)は、第2加熱室の第4開口について説明するための図である。
図7図7は、第2実施形態の熱処理装置の構成を説明するための模式的な断面図である。
図8図8(A)は、実施形態の変形例の模式図であり、図8(B)は、実施形態の別の変形例の模式図であり、図8(C)は、実施形態のさらに別の変形例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<熱処理装置の全体構成>
図1は、熱処理装置1の構成を説明するための模式的な断面図であり、熱処理装置1の全体構成を示している。
【0012】
熱処理装置1は、第1加熱室10と、第2加熱室20と、第1搬送手段30と、第2搬送手段50と、第3搬送手段70と、図示しない制御部と、を有している。
【0013】
第1加熱室10内には、第1ヒータ13と、被処理部品102(図2参照)が載せられる第1ワーク台14とが設置されている。第1ヒータ13により、第1加熱室10の雰囲気が所定温度に加熱される。第2加熱室20内には、第2ヒータ23と、被処理部品102が載せられる第2ワーク台24とが設置されている。第2ヒータ23により、第2加熱室20の雰囲気が所定温度に加熱される。また、第1加熱室10に第1開口15,第2開口16が設けられ、第2加熱室20に第4開口18が設けられる。さらに、第1加熱室10と第2加熱室20の間を被処理部品102が通過する第3開口17が設けられ、その第3開口17に扉2が設けられる。この扉2はアクチュエータにより開閉する。
【0014】
第1搬送手段30は第1加熱室10の内部と外部との間で被処理部品102を搬送する搬送装置であり、第2搬送手段50は第1加熱室10と第2加熱室20との間で被処理部品102を搬送する搬送装置であり、第3搬送手段70は第2加熱室20の内部と外部との間で被処理物102を搬送する搬送装置である。これらの各搬送手段30,50,70は、アクチュエータにより動作する。
【0015】
また、第1搬送手段30と、第1加熱室10の第1開口15と、の間に扉42,43が設けられ、第1搬送手段30は第1開口15を通過して被処理部品102を搬送する。また、第2搬送手段50と、第1加熱室10の第2開口16と、の間に扉42が設けられ、第2搬送手段50は第2開口16を通過して被処理部品102を搬送する。また、第3搬送手段70と、第2加熱室20の第4開口18と、の間に扉42,43が設けられ、第3搬送手段70は第4開口18を通過して被処理部品102を搬送する。これら扉42,43はアクチュエータにより開閉する。
【0016】
制御部は、各ヒータ13,23と、各扉2,42,43のアクチュエータと、各搬送手段30,50,70のアクチュエータとに電気的に接続されており、それらを制御する。
【0017】
被処理部品(ワーク)102として、電子部品を例示できる。電子部品として、セラミック電子部品(例えば、MLCC(Multi Layered Ceramic Capacitor))と、フェライトコア、EMIフィルタ(Electromagnetic Interference Filter)、磁性シート、インダクタといった高周波部品およびデバイスと、GPSなどのGNSS(Global Navigation Satellite System)用アンテナおよびモジュールと、パワーインダクタと、全固体電池、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)といった二次電池部品と、を例示できる。
【0018】
<熱処理方法の概要>
熱処理装置1は、被処理部品102を熱処理する装置であり、本実施形態では、被処理部品102を2種類の温度で熱処理する。熱処理装置1は、被処理部品102を第1加熱室10において第1温度(例えば、600℃)の雰囲気下で熱処理し、さらに、被処理部品102を第2加熱室20において第2温度(例えば、1300℃)の雰囲気下で熱処理する。なお、第1温度および第2温度は、上述した一定値に限定されず、時間ともに変化する値であってもよく、互いに異なる値であってもよい。本実施形態では、熱処理装置1は、複数の(2つの)加熱室10,20を有しており、被処理部品102を第1加熱室10から第2加熱室20に搬送することで、被処理物102を上記2種類の温度で連続して熱処理する。本実施形態では、熱処理装置1は、加熱室10,20内に所定の熱処理ガスを供給しながら被処理部品102に熱処理を行う。なお、熱処理装置1は、第1加熱室10と第2加熱室20を個別に運用することで2つの熱処理装置として運用されることも可能である。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
【0020】
なお、以下では、各図に示すように、左右、前後、および、上下を規定する。
【0021】
被処理部品102として、例えば上述した電子部品であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)を用いる。なお、本実施形態では、被処理部品102は、セッター101に載せられた状態で、搬送および熱処理が行われる。セッター101は、例えば、セラミック系材料で形成された矩形状の平板部材である。被処理物100とは、セッター101に被処理部品102が載せられたものをいう。
【0022】
主に図1~4を参照しつつ、熱処理装置1における、第1加熱室10と、第2加熱室20と、第1搬送手段30と、第2搬送手段50と、第3搬送手段70と、の詳細について説明する。
【0023】
各加熱室10,20は中空の立方体である。第1加熱室10と第2加熱室20は、第2搬送方向D2に並んでいる。第2搬送方向D2は、本実施形態では、水平方向であり、左右方向である。第1加熱室10と第2加熱室20は、隣接している。
【0024】
第1加熱室10の壁11は、壁11aと、壁11bと、壁11cと、壁11dと、壁11eと、を有している。第2加熱室20の壁21は、壁21aと、壁21bと、壁21cと、壁21dと、壁21eと、を有している。
【0025】
第1加熱室10の壁12は、壁11の壁11a,壁11d,壁11c、および壁11eに囲まれている。また、第2加熱室20の壁22は、壁21の壁21a,壁21d,壁21c、および壁21eに囲まれている。また、これらの壁12,22が互いに突き合わされている。これらの壁12,22には、被処理物100が通過するための第3開口17が形成されている。また、第3開口17を開閉する扉2が設置されている。この扉2は、油圧シリンダなどのアクチュエータ3によって開閉される。
【0026】
第1加熱室10の壁11には、第1開口15が形成されている。第1開口15は、第1搬送手段30により、第1加熱室10の内部と外部との間で搬送される被処理物100が通過する開口である。第1開口15は、壁11aに配置されている。
【0027】
第1搬送手段30は、上記のように第1加熱室10の内部と外部との間で被処理物100を搬送し、当該第1搬送手段30の一部(例えば、後述する第1搬送ロッド31)が第1搬送方向D1における第1加熱室10の壁11(壁11a)を通過する構成である。すなわち、第1搬送手段30が第1開口15を通ることで、被処理物100が搬送される。
【0028】
また、第1加熱室10の壁11には、第2開口16が形成されている。第2開口16は、第2搬送手段50の一部が通過する開口であり、第2開口16は、壁11bに配置されている。
【0029】
第2搬送手段50は、第1加熱室10または第2加熱室20(本実施形態では、第1加熱室10)の外部から挿入され、第1加熱室10と第2加熱室20との間で被処理物100を搬送し、当該第2搬送手段50の一部(例えば、後述する第2搬送ロッド51)が第2搬送方向D2における第1加熱室10または第2加熱室20のいずれかの壁11,21(本実施形態では、第1加熱室10の壁11)を通過する構成である。すなわち、第2搬送手段50が第2開口16を通ることで、被処理物100が搬送される。
【0030】
また、第2加熱室20の壁21には、第4開口18が形成されている。第4開口18は、第3搬送手段70により、第2加熱室20の内部と外部との間で搬送される被処理物100が通過する開口である。第4開口18は、壁21aに配置されている。
【0031】
第3搬送手段70は、第2加熱室20の内部と外部との間で被処理物100を搬送し、当該第3搬送手段70の一部(例えば、後述する第3搬送ロッド71)が第3搬送方向D3における第2加熱室20の壁21(壁21a)を通過する構成である。すなわち、第3搬送手段70が第4開口18を通ることで、被処理物100が搬送される。
【0032】
図1の矢印A1に示す通り、第1搬送手段30は、第1加熱室10の外部から内部へ被処理物100を搬送する。矢印A2に示す通り、第2搬送手段50は、第1加熱室10から第2加熱室20へ被処理物100を搬送する。矢印A3に示す通り、第3搬送手段70は、第2加熱室20の内部から外部へ被処理物100を搬送する。
【0033】
<搬送手段の構造と、被処理物100の搬送方法>
第1搬送手段30は、被処理物100のセッター101が搭載される第1搬送ロッド31と、第1搬送ロッド31を第1搬送方向D1に移動させるとともに回転させるアクチュエータ32と、を有している。なお、第1搬送方向D1は、本実施形態では、水平方向であり、前後方向である。
【0034】
第1搬送ロッド31は、例えば、第1搬送方向D1を長手方向とする棒状に形成されている。第1搬送ロッド31は、棒状の本体35と、本体35の先端に突起状の凸部36と、を有している。本実施形態では、1つの本体35に、複数(2つ)の凸部36が第1搬送方向D1に並んで設けられている。
【0035】
また、第1搬送ロッド31は、セッター101を搭載した状態で、第1搬送ロッド31の本体35の先端にある凸部36がセッター101の裏面に当接している。これにより、セッター101は第1搬送ロッド31に支持される。
【0036】
図5は、搬送ロッド31(51,71)の動作を説明するための模式図である。図5に示すように、第1搬送ロッド31(第2搬送ロッド51,第3搬送ロッド71)が回転すると、凸部36は、上向きまたは下向きになる。本実施形態では、各搬送ロッド31(51,71)は、左右一対設置されている。左右一対の搬送ロッド31(51,71)が回転し、凸部36が下向きから上向きになることで、セッター101を持ち上げる。また、左右一対の搬送ロッド31(51,71)が回転し、凸部36が上向きから下向きになることで、セッター101を下ろしてセッター101をワーク台14(24)に載せる。
【0037】
第1搬送手段30に関連して、熱処理装置1には、第1チャンバユニット40が設けられている。この第1チャンバユニット40は、本実施形態では、第1加熱室10の壁11aに設置されている。
【0038】
第1チャンバユニット40は、チャンバ41と、断熱扉42と、シール扉43と、これらの扉を開閉する電動モータ、エアシリンダなどのアクチュエータ44と、を有している。
【0039】
チャンバ41は、第1開口15を覆うようにして壁11の壁11aに設置される箱である。チャンバ41内の空間が、第1開口15につながっている。このチャンバ41には、第1搬送ロッド31が通されている。
【0040】
チャンバ41には、扉45が設けられており、扉45を開いた状態で被処理物100をチャンバ41内の空間に対して出し入れする。扉45は、例えば作業員の手作業などによって、開閉される。なお、扉45をアクチュエータで開閉させてもよい。
【0041】
断熱扉42は第1開口15に隣接して配置され、この断熱扉42と扉45との間に、シール扉43が配置されている。
【0042】
第2搬送手段50は、第1加熱室10のうち第2搬送方向D2の一端側の壁である壁11bに設置されている点以外は、第1搬送手段30と同様の構成を有している。より具体的には、第2搬送手段50は、セッター101が搭載される第2搬送ロッド51と、第2搬送ロッド51を第2搬送方向D2に移動させるとともに回転させるアクチュエータ32と、を有している。なお、第2搬送方向D2は、水平方向であり、左右方向である。
【0043】
第2搬送ロッド51は、本実施形態では、第1搬送ロッド31と同じ形状に形成されている。
【0044】
第2搬送手段50に関連して、熱処理装置1には、第2チャンバユニット60が設けられている。この第2チャンバユニット60は、第1加熱室10の壁11bに設置されている点と、シール扉43および扉45が設けられていない点以外は、第1チャンバユニット40と同様の構成を有している。
【0045】
第2チャンバユニット60は、チャンバ41と、断熱扉42と、この扉を開閉する電動モータ、エアシリンダなどのアクチュエータ44とを有している。
【0046】
第2チャンバユニット60のチャンバ41は、第2開口16を覆うようにして壁11の壁11bに設置された箱部材であり、当該チャンバ41内の空間が、第2開口16につながっている。このチャンバ41には、第2搬送ロッド51が通されている。
【0047】
第2チャンバユニット60の断熱扉42は、第2開口16に隣接して配置されている。
【0048】
第3搬送手段70は、第2加熱室20の壁である壁21aに設置されている点以外は、第1搬送手段30と同様の構成を有している。より具体的には、第3搬送手段70は、セッター101が搭載される第3搬送ロッド71と、第3搬送ロッド71を第3搬送方向D3に移動させるとともに回転させるアクチュエータ32と、を有している。なお、第3搬送方向D3は、本実施形態では、水平方向であり、前後方向である。第1搬送方向D1と第3搬送方向D3とは、平行である。
【0049】
第3搬送ロッド71は、本実施形態では、第1搬送ロッド31と同じ形状に形成されている。
【0050】
第3搬送手段70に関連して、熱処理装置1には、第3チャンバユニット80が設けられている。この第3チャンバユニット80は、第2加熱室20の壁21aに設置されており、第1チャンバユニット40と同じ構成を有している。
【0051】
第3チャンバユニット80は、チャンバ41と、断熱扉42と、シール扉43と、これらの扉を開閉する電動モータ、エアシリンダなどのアクチュエータ44と、扉45と、を有している。
【0052】
第3チャンバユニット80のチャンバ41は、第4開口18を覆うようにして壁21の壁21aに設置されている。第3チャンバユニット80のチャンバ41には、第3搬送ロッド71が通されている。
【0053】
断熱扉42は第4開口18に隣接して配置され、この断熱扉42と扉45との間に、シール扉43が配置されている。
【0054】
次に、第1~第3搬送手段30,50,70が通過する第1開口15,第2開口16,第3開口17,および第4開口18について、より詳細に説明する。なお、以下では、第1~第4開口15~18について説明するときは、第1~第3開口15~18をそれぞれの開口の正面(第1搬送方向D1,第2搬送方向D2,および第3搬送方向D3)から見た状態を基準に説明する。
【0055】
<第1開口の詳細>
図6(A)は、第1加熱室10の第1開口15について説明するための図である。主に図1図2および図6(A)を参照して、第1開口15は、被処理物100を搬送している第1ロッド31が第1搬送方向D1に沿って第1加熱室10の外壁11の内側と外側との間を移動するときの開口である。このため、第1開口15は、被処理物100よりも大きい。第1搬送方向D1から見て、第1開口15の面積は、被処理物100の面積よりも大きい。第1開口15は、縁部15aによって区画されている。第1搬送方向D1から見て、第1開口15の縁部15aは、本実施形態では、矩形に形成されている。
【0056】
第1ロッド31は、左右および上下には移動しないので、第1開口15は、左右および上下に小さな寸法とされている。また、第1ロッド31の凸部36は、本体35の直径程度の長さで短く、被処理物100を支持しているときの被処理物100と本体35との距離が、本体35の直径以下程度で近い。このため、第1開口15は、上下に狭い。
【0057】
第1開口15は、第2搬送方向D2に細長く、平板状のセッター101に比較的小さな被処理部品102が載せられた構成の被処理物100を通過させるのに適している。本実施形態では、第1開口15の上側半分の領域が、被処理物100を通過させる被処理物通過領域15bとされており、第1開口15の下側半分の領域が、第1ロッド31を通過させる搬送手段通過領域15cとされている。第1開口15において、第1搬送ロッド31は第1搬送方向D1と直交する方向には移動しないので、搬送手段通過領域15cを、このような移動を考慮した大きな開口としなくてよい。
【0058】
本実施形態では、搬送手段通過領域15cの幅W15cは、被処理物通過領域15bの幅W15bと同じである。搬送手段通過領域15cの幅W15cは、被処理物通過領域15bの幅W15b未満であることが、第1開口15をより小さくするのに好ましい。被処理物100および第1ロッド31が第1開口15を通過しているときにおいて、被処理物100および第1ロッド31と、第1開口15の縁部15aとの隙間は、被処理物100および第1ロッド31と縁部15aが接触しない程度に小さいことが好ましい。
【0059】
<第2開口の詳細>
図6(B)は、第1加熱室10の第2開口16について説明するための図である。図1図4および図6(B)を参照して、第2開口16は、被処理物100を搬送している第2ロッド51が第2搬送方向D2に沿って第1加熱室10の外壁11の内側と外側との間を移動するときの開口である。一方で、第2開口16は、被処理物100は通過しない開口である。よって、各第2開口16は、被処理物100よりも小さい。第2搬送方向D2から見て、各第2開口16の面積は、被処理物100の面積よりも小さい。各第2開口16は、縁部16aによって区画されている。
【0060】
第2搬送方向D2から見て、各第2開口16の縁部16aは、本実施形態では、本体35および凸部36が存在する箇所における第2ロッド51の軸断面形状に相似する形状に形成されており、第1ロッド31の本体35の外周面と相似の円弧状部分と、凸部36の外周面と相似の溝状部分と、を有している。第2開口16は、前後対称に一対設置されており、外壁11において2つの第2開口16,16はつながっていない。
【0061】
第2ロッド51の本体35の軸断面形状が円形であることにより、第2開口16の縁部16aの内周面の一部を円弧形状にできる。第2ロッド51の本体35の軸断面形状が多角形、かつ第2開口16の縁部の内周面が多角形である場合と比べて、縁部16aの円周長さを小さくできる結果、第2開口16の縁部と第2ロッド51との隙間をより狭くでき、第2開口16からの熱の逃げをより少なくできる。第2ロッド51は、前後および上下には移動しないので、第2開口16は、前後および上下に小さな寸法とされている。
【0062】
第2開口16には、第2ロッド51が被処理物100を搬送していないときの凸部36が通過する。このため、本実施形態では、第2ロッド51が被処理物100をワーク台14,24に下ろしたときにおける凸部36の向きに合わせた形状に、第2開口16の縁部16aが形成されている。各第2開口16の幅W16は、被処理物100の幅W100未満である。
【0063】
各第2開口16の高さは、被処理物100の厚み以上であってもよいし、同じであってもよいし、厚み以下であってもよい。第2ロッド51が第2開口15を通過しているときにおいて、第2ロッド51と第2開口16の縁部16aとの隙間の値は、第2ロッド51と縁部16aが接触しない程度に小さいことが好ましい。
【0064】
<第3開口の詳細>
図6(C)は、第1加熱室10の第2開口16と、第1加熱室10および第2加熱室20の第3開口17について説明するための図である。主に図1図4、および図6(C)を参照して、第3開口17は、被処理物100および第2ロッド51が第2搬送方向D2に沿って加熱室10,20間を移動するときの開口である。このため、第3開口17は、被処理物100よりも大きい。
【0065】
本実施形態では、第3開口17は、第1開口15と同じ形状に形成されているので、第1開口15と重複する説明を一部省略する。第2搬送方向D2から見て、第3開口17の面積は、被処理物100の面積よりも大きい。第3開口17は、縁部17aによって区画されている。第2搬送方向D2から見て、第3開口17の縁部17aは、本実施形態では、矩形に形成されている。
【0066】
第3開口17は、第1搬送方向D1に細長い。本実施形態では、第3開口17の上側半分の領域が、被処理物100を通過させる被処理物通過領域17bとされており、第1開口15の下側半分の領域が、第2ロッド51を通過させる搬送手段通過領域17cとされている。第3開口17において、第2搬送ロッド51は上下および前後には移動しないので、搬送手段通過領域17cを、このような上下および前後の移動を考慮した大きな開口としなくてよい。被処理物通過領域17bの幅W17bと搬送手段通過領域17cの幅W17cは、それぞれ、被処理物通過領域15bの幅W15bと搬送手段通過領域15cの幅W15cと同様に設定されている。
【0067】
<第4開口の詳細>
図6(D)は、第1加熱室10の第4開口18について説明するための図である。図1図5および図6(D)を参照して、第4開口15は、被処理物100を搬送している第3搬送手段70が第3搬送方向D1に沿って第2加熱室20の外壁21の内側と外側との間を移動するときの開口である。このため、第4開口18は、被処理物100よりも大きい。第3搬送方向D3から見て、第4開口18の面積は、被処理物100の面積よりも大きい。第4開口18は、縁部18aによって区画されている。第4開口18の形状は、第1開口15の形状と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0068】
<第2開口と、第1開口、第3開口および第4開口と、の関係>
本実施形態では、第1開口15と第3開口17と第4開口18の被処理物通過領域15b,17b,18bの高さ位置が揃えられている。また、第1開口15と第3開口17と第4開口18のそれぞれの搬送手段通過領域15c,17c,18cの高さ位置が揃えられている。第2開口16の高さ位置は、第1開口15と第3開口17と第4開口18の搬送手段通過領域15c,17c,18cの高さ位置と揃えられている。このように、第1~第4開口15~18の高さ位置が揃えられている。この構成であれば、第1~第4開口15~18の大きさを大きくすることでこれら第1~第4開口15~18の高さ位置を揃えなくてすみ、第1~第4開口15~18をより小さくできる。
【0069】
第2開口16は被処理物100より小さく、第1開口15、第3開口17、および第4開口18は何れも被処理物100より大きい。本実施形態では、第2搬送方向D2から見て各第2開口16,16の面積は、ワーク台14,24に載せられているときの被処理物100の面積よりも小さい。一方、第1搬送方向D1から見て、第1開口15の面積は、ワーク台14,24に載せられているときの被処理物100の面積よりも大きい。また、第2搬送方向D2から見て、第3開口17の面積は、ワーク台14,24に載せられているときの被処理物100の面積よりも大きい。また、第3搬送方向D1から見て、第4開口18の面積は、ワーク台14,24に載せられているときの被処理物100の面積よりも大きい。
【0070】
以上の構成により、第2開口16は、第2ロッド51が通過できる最低限の大きさの開口であるので、第1加熱室10から外部への熱の移動量を抑制できる。
【0071】
<熱処理装置1におけるセッター101の搬送動作>
次に、熱処理装置1におけるセッター101の搬送動作を説明する。
【0072】
以下では、(1)セッター101を第1加熱室10に搬入する動作、(2)セッター101を加熱室10,20間で搬送する動作、(3)セッター101を第2加熱室20から搬出する動作を、順に説明する。これら(1)~(3)の動作では、セッター101は、図1の矢印A1~A3の順に搬送される。熱処理装置1でのセッター101の搬送動作開始時、第1~第4開口15~18は、何れも、扉2,42,43によって閉じられている。
【0073】
<(1)セッター101を第1加熱室10に搬入する動作>
セッター101を第1加熱室10に搬入する際には、まず、第1チャンバユニット40の扉45を開け、セッター101が第1チャンバユニット40内に入れられる。このとき、セッター101は、扉45の直下に配置された第1搬送ロッド31の凸部36に載せられる。
【0074】
次に、第1チャンバユニット40の扉45が閉じられた後、断熱扉42およびシール扉43が開かれることで第1開口15が開かれ、セッター101が第1開口15と直接向かい合う。
【0075】
次に、第1搬送ロッド31が第1搬送方向D1に移動することで、第1開口15を通ってセッター101が第1加熱室10に搬入され、第1ワーク台14の上方に位置される。
【0076】
次に、第1搬送ロッド31が回転することで凸部36が下向きになり、セッター101が第1ワーク台14に載せられる。
【0077】
次に、第1搬送ロッド31の凸部36は、第1チャンバユニット40の開閉扉45の下方にまで後退し、断熱扉42およびシール扉43が閉じられる。この状態で、第1加熱室10にて被処理部品102が熱処理された後、セッター101は、第1加熱室10から第2加熱室20へ搬送される。
【0078】
<(2)セッター101を加熱室10,20間で搬送する動作>
第1搬送ロッド31が第1加熱室10から待避した状態において、第2チャンバユニット60では、断熱扉42が開かれることで第2開口16が開かれ、第2搬送ロッド51と第2開口16とが直接向かい合う。
【0079】
次に、第2搬送ロッド51は、第2開口16を通って第1加熱室10に移動することで、第2搬送手段50の凸部36がセッター101の下方に位置される。次に、第2搬送ロッド51が回転することで凸部36が上向きになることで、セッター101が持ち上げられる。
【0080】
次に、扉2が開かれることで第3開口17が開かれ、次いで、第2搬送ロッド51と共にセッター101が、第2搬送方向D2に沿って第2加熱室20の第2ワーク台24まで搬送される。
【0081】
次に、第2搬送ロッド51の凸部36が下向きになり、セッター101が第2ワーク台24に載せられる。
【0082】
次に、第1加熱室10と第2加熱室20の間でセッター101の搬送を終えた第2搬送ロッド51は、第2チャンバユニット60のチャンバ41まで後退する。これにより、第2ロッド51は、第1加熱室10の外部に移動する。第2搬送ロッド31の後退に伴い扉2が閉じられることで第3開口17が閉じられ、次いで、断熱扉42が閉じられることで第2開口16が閉じられる。この状態で、第2加熱室20にて被処理部品102が熱処理された後、セッター101は、第2加熱室20から第2加熱室20の外部へ搬送される。
【0083】
<(3)セッター101を第2加熱室20から搬出する動作>
第1搬送手段30に代えて第3搬送手段70が行う点以外は、説明した、第1加熱室10へのセッター101の搬入動作の手順と逆の手順によって、セッター101が搬送され、第4開口18を通して被処理物100が第2加熱室20から第2チャンバユニット80内における扉45の下方に到達する。その後、扉45が開かれ、セッター101が扉45を通して第2チャンバユニット80から取り出されることで、熱処理装置1における被処理物102の熱処理が完了する。
【0084】
上述したように、第1搬送手段30によって被処理物100を搬送する時は、第2開口16及び第3開口17が閉じられる。一方、第2搬送手段50によって被処理物100を搬送する時は、第1開口15が閉じられる。この構成によると、被処理物100の搬送中は、被処理物100が通過していない開口は閉じられるので、加熱室10から外部への熱の移動量を抑制できる。
【0085】
また、第3搬送手段70によって被処理物100を搬送する時は、第2開口16及び第3開口17が閉じられる。一方、第2搬送手段50によって被処理物100を搬送する時は、第4開口18が閉じられる。この構成によると、被処理物100の搬送中は、被処理物100が通過していない開口は閉じられるので、加熱室20から外部への熱の移動量を抑制できる。
【0086】
また、第1加熱室10と第2加熱室20の間で被処理物100の搬送を終えて、第2搬送手段50が第1加熱室10の外部に移動する際に、第2開口16より第3開口17を先に閉じられる。このように、第2搬送手段50の動きに応じて、第3開口17と第2開口16の閉じる順序を制御することで、加熱室10,20において、より熱の移動を抑制できる。
【0087】
以上が第1実施形態の説明である。
【0088】
以下では、第1実施形態と異なる構成を主に説明し、第1実施形態と同様の構成には図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0089】
<第2実施形態>
【0090】
図7は、第2実施形態の熱処理装置1の構成を説明するための模式的な断面図である。
【0091】
第2実施形態の熱処理装置1は、第1実施形態の熱処理装置1においる第3搬送手段70を除いた構成であり、第4開口18が存在していない。
【0092】
第1実施形態では、搬送手段として、第1搬送手段30と第2搬送手段50と第3搬送手段70が設けられていた。この第1実施形態の場合、セッター101は、矢印A1~A3の順に搬送された。より具体的には、被処理物102の熱処理後に、セッター101を第2加熱室20から取出す時に、第3搬送手段70によってセッター101を直接取り出した。一方で、第2実施形態は、一旦、第2搬送手段50によってセッター101を第2加熱室20から第1加熱室10へ戻し、その後第1搬送手段30でセッター101を取り出す構成になっている。
【0093】
<第2実施形態におけるセッター101の搬送動作>
次に、第2実施形態におけるセッター101の搬送動作を説明する。
【0094】
第2実施形態の熱処理装置1では、(1)セッター101を第1加熱室10に搬入する動作、(2)セッター101を第1加熱室10から第2加熱室20へ搬送する動作、(3)セッター101を第2加熱室20から第1加熱室10へ搬送する動作、(4)セッター101を第1加熱室10から搬出する動作、が行われる。これら(1)~(4)の動作では、セッター101は、図7の矢印B1~B4の順に搬送される。
【0095】
なお、第2実施形態では、第2搬送手段70にてセッター101を第2加熱室20から第1加熱室10に搬送してから、第1搬送手段30にて第1加熱室10からセッター101を取り出すようにしているが、例えば、第2加熱室20からセッター101を作業者が直接取り出すようにしてもよい。
【0096】
<変形例>
以下では、変形例を説明する。
【0097】
(1)実施形態では、第1開口15,第3開口17,および第4開口18を搬送方向から見て矩形状に形成し、第2開口16を搬送方向から見て第2搬送ロッド51の形状に相似する形状を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよく、搬送方向から見て、第2開口16が被処理物100より小さく、第1開口15,第3開口17および第4開口18が被処理物100より大きければ、各開口15~18の具体的な形状は問わない。
【0098】
(2)各実施形態において、2つの加熱室10,20によって被処理物100を加熱するための空間が2箇所に区画されている形態を例に説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、1つの加熱室(例えば第1加熱室10または第2加熱室20)において、第3開口が形成された仕切板を設けて2つまたは3つ以上の室を設けてもよい。
【0099】
(3)各実施形態において、第1および第2加熱室10,20が隙間なく隣接しており被処理物100がこれらの加熱室10,20間で直接搬送される形態を例に説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、第1加熱室10と第2加熱室20とを離隔して配置しつつ、これらの加熱室10,20の内壁12,22に形成された第3開口17を第2搬送方向D2に向かい合わせてもよい。この場合、被処理物100は、第1加熱室10と第2加熱室20との間で搬送されるときに、一旦、第1加熱室10と第2加熱室20以外の箇所を通過する。
【0100】
(4)各実施形態では、第1,第2,第3搬送手段30,50,70は、それぞれ、第1加熱室10の壁11a側、壁11b側、第2加熱室20の壁21a側に設置される形態を例に説明したが、この通りでなくてもよい。第2搬送手段50は、第1加熱室10における壁11b以外の壁11側に設置されてもよい。第1搬送手段30および第3搬送手段70は、加熱室10,20の壁11のうち、壁11a,21a以外の壁側に設置されてもよい。例えば、第1搬送手段30および第3搬送手段70の少なくとも一方が、加熱室10,20の壁11d,21d側、または壁11e,21e側に設置される場合、対応する第1搬送手段30および第3搬送手段70は、対応するワーク台14,24を上下に移動させることで、被処理物100を加熱室の内部と外部に移動する。
【0101】
(5)各実施形態では、第1加熱室10側に第2搬送手段50が設置される構成を例に説明したが、第2搬送手段50は、第2加熱室20の例えば壁21b側に設置されて、壁21bに形成される第2開口16を通して加熱室10,20内に挿入されてもよい。この場合、第2搬送手段50は、第1加熱室10側にも設置されていてもよいし、第1加熱室10側には設置されていなくてもよい。
【0102】
(6)各実施形態では、加熱室として第1加熱室10と第2加熱室20が合計で2つ備えられる形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、熱処理装置1において、第2搬送方向D2に並ぶ3つ以上の加熱室が備えられていてもよい。この場合、例えば、第1加熱室10および第2加熱室20の少なくとも一方が2つ以上設置される。3つの加熱室が備えられる場合、加熱室の並び順は、例えば、第1加熱室10、第2加熱室20、第2加熱室20の順であってもよいし、第2加熱室20、第1加熱室10、第2加熱室20の順であってもよい。第2搬送方向D2に隣接する加熱室同士は、セッター101が通過する第3開口17を形成された壁でつながっており、第2搬送手段50によってセッター101が複数の加熱室間を搬送される。被処理物102の熱処理時における第1加熱室10内の雰囲気温度と、複数の第2加熱室20内の雰囲気温度は、同一でもよいし、互いに異なっていてもよい。3つ並べられる加熱室の雰囲気温度が、加熱室の並び順に低温、中温、高温と3段階に設定されていてもよい。また、この変形例では、熱処理装置1として第1搬送手段30が少なくとも1つ備えられていればよく、搬送手段30,70の何れも設置されていない加熱室が存在していてもよい。
【0103】
(7)各実施形態では、第1搬送方向D1、第2搬送方向D2、および第3搬送方向D3は、それぞれ、当該方向に進むと突き当たる壁11,21の外面に対して直交する方向であった。しかしながら、この通りでなくてもよい。第1搬送方向D1、第2搬送方向D2、および第3搬送方向D3は、そのうちの少なくとも1つが、当該方向に進むと突き当たる壁11,21の外面に対して斜めに交差する方向であってもよい。この場合、第1搬送手段30および第3搬送手段70のいずれかの長手方向が、前後方向、または上下方向に対して傾斜した方向となる、或いは、第2搬送手段50の長手方向が、左右方向に対して傾斜した方向となる。
【0104】
(7)各実施形態では、各搬送ロッド31,51,71が一対設けられてセッター101を両持ち支持する形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。各搬送ロッド31,51,71の少なくとも1つにおいて、一本のロッドでセッター101を片持ち支持する構成であってもよい。第2搬送手段50の第2搬送ロッド51が一本設けられる場合、第2開口16を2つから1つにできるので、第2開口16を通じた加熱室からの熱の逃げをより確実に抑制できる。また、第1開口15、第3開口17,および第4開口18も、省略された搬送手段が存在していた箇所を開口から壁に変更できるので、これらの開口15,17,18からの熱の逃げをより確実に抑制できる。
【0105】
(9)各実施形態では、第1,第2,第3搬送手段31,51,71の本体35の軸断面形状が円形である形態を例に説明したが、この通りでなくてもよく、例えば、軸断面形状は、楕円でも多角形でも他の形状でもよい。
【0106】
(10)各実施形態では、第1開口15、第3開口17、および第4開口18のそれぞれにおいて、2つの搬送手段31,31;51,51;71,71が向かい合う箇所には加熱室の壁が存在せず開口となっている形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、変形例について説明するための図8(A)に示すように、第1開口15、第3開口17、および第4開口18の少なくとも1つにおいて、2つの搬送手段31,31;51,51;71,71の間に加熱室の壁部分92が存在してもよい。この場合、壁部分92は、開口の内側に突出した形状となる。壁部分92が存在することで、搬送手段31,51,71による被処理物100の搬送の邪魔になることなく、開口をより小さくできる。よって、加熱室からの熱の逃げをより一層抑制できる。
【0107】
(11)各実施形態では、第1,第2,第3搬送手段31,51,71は、本体35に凸部36が固定されている形態を例に説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、別の変形例について説明するための図8(B)に示すように、本体35と凸部36を別部材で形成し、本体35の外周面からの凸部36の突出量を変更可能な構成が採用されてもよい。この突出量を変更する構成として、例えば、本体35内に形成された流体経路を通じて圧縮ガスを供給する機械的手段や、ソレノイドを用いた電気的手段などを挙げることができる。この場合、凸部36は、被処理物100を支持するときには本体35から突出して被処理物100と接触し、被処理物100を支持していないときには本体35に収容される。このような構成であれば、第1~第4開口15~18において、凸部36が通過する専用の空間を確保する必要がなく、これらの開口をより小さくして熱の逃げを抑制できる。
【0108】
(12)各実施形態では、第1,第2,第3搬送手段30,50,70は、被処理物100と上下に並ぶ配置とされていたが、この通りでなくてもよい。例えば、さらに別の変形例である図8(C)に示すように、搬送手段と被処理物100とが搬送方向に並ぶ配置とされてもよい。この場合、第1,第2,第3搬送手段30,50,70の何れかは、例えば、セッター101を例えば吸着する構成、またはセッター101に形成された凹部または凸部に嵌合する凸部または凹部を有する構成などによって、セッター101を支持する。図8(C)では、一例として、第2搬送手段50を示している。被処理物100を搬送する搬送方向から見て、第2搬送手段50におけるセッター101と接触する部分が被処理物100よりも小さくされていることで、第2開口16を被処理物100より小さくできる。この場合も、第1開口15、第3開口17および第4開口18は、被処理物100を搬送する方向から見て被処理物100より大きくされる。
【0109】
(13)各実施形態では、各搬送手段30,50,70としてアクチュエータを介してロッドを直線移動させる搬送装置を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。第1搬送手段30は、第1加熱室10の内部と外部との間でセッター101を搬送できればよく、第2搬送手段50は、複数の加熱室間でセッター101を搬送できればよく、第3搬送手段70は、第2加熱室の内部と外部との間でセッター101を搬送できればよい。よって、各搬送手段30,50,70として、セッター101を載置する支持部と、搬送方向に伸縮するアームとそれらを動作させるアクチュエータを備えた搬送装置や、多関節アームの先端にセッター101を載せて移送する搬送装置などが用いられてもよい。これらの搬送装置にて、セッター101が対応する搬送方向D1,D2,D3にそれぞれ搬送される。また、各実施形態では、セッター101が直線移動される形態を例に説明したけれども、少なくとも1つの搬送手段においてセッター101は、直線ではない曲線などの搬送方向に沿って搬送されてもよい。この場合でも、第1,第3,第4開口15,17,18は、被処理物100を支持した状態の搬送手段を通過させる大きさとされ、第2開口16は、被処理物100よりも小さく形成される。
【0110】
(14)また、第2搬送手段51によって被処理物100を搬送する時に、第1開口15、および第4開口18の少なくとも一方は、開かれていてもよい。また、第2搬送手段51によって、第1加熱室10と第2加熱室20の間で被処理物100の搬送を終えて、第2搬送手段51が第1加熱室10の外部に移動する際に、第2開口16より後に第3開口17を閉じてもよい。
【0111】
(15)各実施形態では、被処理部品102が小さい又は機械的強度が低く脆い素材で形成されているなど、被処理部品102をセッター101に載せられた状態で、搬送および熱処理が行われる例について説明したが、搬送手段にて直接に掴んだり載せたりできる被処理部品102は、セッター101に載せて搬送しなくてもよく、直接搬送されてもよい。この場合、被処理部品102が被処理物100でもある。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、熱処理装置として、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 熱処理装置
2 扉(開口を開閉させる手段)
10 第1加熱室
15 第1開口
16 第2開口
17 第3開口
20 第2加熱室
31 第1搬送手段
42 遮熱扉(開口を開閉させる手段)
51 第2搬送手段
100 被処理物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8