(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084924
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】充放電装置、及び充放電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240619BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240619BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240619BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240619BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240619BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240619BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02J7/00 P
H02J7/00 H
H02J7/02 F
H02J7/00 302C
H02J7/00 B
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199126
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 瑛叶
(72)【発明者】
【氏名】河合 智成
(72)【発明者】
【氏名】生駒 愛理
(72)【発明者】
【氏名】青野 昌隆
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC12
5H125BC21
5H125BC24
5H125DD02
5H125EE13
5H125EE27
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】車両の充電量に応じて円滑に充放電を行うことができる充放電装置、及び充放電システムを提供する。
【解決手段】充放電装置1Aは、DC/DC変換部2Aに対して充放電の対象となる車両V1が接続される。また、DC/DC変換部2Aは、DCバスラインL1を介して他の車両V2と接続可能となる。制御部3Aは、DCバスラインL1から車両V1への電力の充電、または車両V1からDCバスラインへの電力の放電が行われるように、DC/DC変換部2Aを制御する。これにより、DC/DC変換部2Aに接続された車両V1と、DCバスラインL1を介した他の車両V2との充電量の状況に応じて、車両V1への充填か放電か、何れか適切な方の動作が行われる。すなわち、車両にとっては、どの充放電装置1A,1Bの接続口に接続するかを考慮することなく、適切な充放電を行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DCバスラインに接続され、対象物に対して充電又は放電を行うDC/DC変換部と、
前記DCバスラインに接続され、前記DC/DC変換部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記DCバスラインから前記対象物への電力の充電、または前記対象物から前記DCバスラインへの電力の放電が行われるように、前記DC/DC変換部を制御する、充放電装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記対象物から取得した充電量が所定の閾値より大きい場合、前記対象物から前記DCバスラインへ電力を放電するように、前記DC/DC変換部を制御し、
前記対象物から取得した充電量が前記所定の閾値より低い場合、前記DCバスラインから前記対象物へ電力を充電するように、前記DC/DC変換部を制御する、請求項1に記載の充放電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記DCバスラインのバス電圧を測定し、
前記バス電圧が所定の範囲内である場合は、前記DC/DC変換部を制御して充放電を行い、 前記所定の範囲外である場合は、前記DC/DC変換部を制御して充放電を停止する、請求項2に記載の充放電装置。
【請求項4】
前記制御部は、入力された前記対象物の走行予定距離に基づいて、前記対象物が必要とする充電量を演算して、前記所定の閾値を決定する、請求項2に記載の充放電装置。
【請求項5】
請求項1に記載の充放電装置を前記DCバスラインを介して複数台繋げることで構成される、充放電システム。
【請求項6】
DCバスラインと、
前記DCバスラインに接続され、第1の対象物に対して充電又は放電を行う第1のDC/DC変換部、及び前記DCバスラインに接続され、前記第1のDC/DC変換部を制御する第1の制御部を備える第1の充放電装置と、
前記DCバスラインに接続され、第2の対象物に対して充電又は放電を行う第2のDC/DC変換部、及び前記DCバスラインに接続され、前記第2のDC/DC変換部を制御する第2の制御部を備える第2の充放電装置と、を備え、
前記第1の対象物と前記第2の対象物との間でいずれの方向へも充放電を行う、充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電装置、及び充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物に対して充放電を行う充放電装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この充放電装置は、一方の車両から他方の車両へ電力の充電を行う装置である。この充放電装置は、CHAdeMO規格に準拠して車両の電池状態を監視し、電流・電圧を制御して、充電を行う装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の充放電装置では、放電する一方の車両から充電する他方の車両へ向けて一方向への充放電を行っている。すなわち、上述の充放電装置は、予め放電する車両と充電する車両を決めた上で、電力のやり取りを行う必要があった。そのため、車両同士の充電量のバランスを考慮して、接続口を選択する必要があり、充放電を円滑に行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、車両の充電量に応じて円滑に充放電を行うことができる充放電装置、及び充放電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る充放電装置は、DCバスラインに接続され、対象物に対して充電又は放電を行うDC/DC変換部と、DCバスラインに接続され、DC/DC変換部を制御する制御部と、を備え、制御部は、DCバスラインから対象物への電力の充電、または対象物からDCバスラインへの電力の放電が行われるように、DC/DC変換部を制御する。
【0007】
本発明に係る充放電装置は、DCバスラインに接続され、対象物に対して充電又は放電を行うDC/DC変換部と、DCバスラインに接続され、DC/DC変換部を制御する制御部と、を備える。この充放電装置は、DC/DC変換部に対して充放電の対象となる対象物が接続される。また、DC/DC変換部は、DCバスラインを介して他の対象物と接続可能となる。制御部は、DCバスラインから対象物への電力の充電、または対象物からDCバスラインへの電力の放電が行われるように、DC/DC変換部を制御する。これにより、DC/DC変換部に接続された対象物と、DCバスラインを介した他の対象物との充電量の状況に応じて、対象物への充填か放電か、何れか適切な方の動作が行われる。すなわち、車両にとっては、どの充放電装置の接続口に接続するかを考慮することなく、適切な充放電を行うことができる。以上より、車両の充電量に応じて円滑に充放電を行うことができる。
【0008】
制御部は、対象物から取得した充電量が所定の閾値以上である場合、対象物からDCバスラインへ電力を放電するように、DC/DC変換部を制御し、対象物から取得した充電量が所定の閾値より低い場合、DCバスラインから対象物へ電力を充電するように、DC/DC変換部を制御する。この場合、制御部が、対象物の充電量と閾値とを比較するシンプルな処理にて、対象物に対して充電を行うか放電を行うかを決定することができる。
【0009】
制御部は、DCバスラインのバス電圧を測定し、バス電圧が所定の範囲内である場合は、DC/DC変換部を制御して充放電を行い、所定の範囲外である場合は、DC/DC変換部を制御して充放電を停止してよい。この場合、制御部が、DCバスラインのバス電圧を測定及び判定するシンプルな処理にて、対象物に対する充放電の実行と停止を切り換えることができる。
【0010】
制御部は、入力された対象物の走行予定距離に基づいて、対象物が必要とする充電量を演算して、所定の閾値を決定してよい。この場合、制御部は、走行予定距離に基づく充電量の必要量に応じて、適切な閾値を決定することができる。
【0011】
本発明に係る充放電システムは、前述の充放電装置をDCバスラインを介して複数台繋げることで構成される。この場合、複数台の充放電装置に対してそれぞれ接続された対象物同士の間で、充放電を行うことができる。
【0012】
本発明に係る充放電システムは、DCバスラインと、DCバスラインに接続され、第1の対象物に対して充電又は放電を行う第1のDC/DC変換部、及びDCバスラインに接続され、第1のDC/DC変換部を制御する第1の制御部を備える第1の充放電装置と、DCバスラインに接続され、第2の対象物に対して充電又は放電を行う第2のDC/DC変換部、及びDCバスラインに接続され、第2のDC/DC変換部を制御する第2の制御部を備える第2の充放電装置と、を備え、第1の対象物と第2の対象物との間でいずれの方向へも充放電を行う。
【0013】
この充放電システムによれば、上述の充放電装置と同様な作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両の充電量に応じて円滑に充放電を行うことができる充放電装置、及び充放電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る充放電システムを示すブロック構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る充放電システムを示すブロック構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る充放電装置の処理を示すフローチャートである。
【
図4】変形例に係る充放電システムを示すブロック構成図である。
【
図5】変形例に係る充放電システムを示すブロック構成図である。
【
図6】変形例に係る充放電システムを示すブロック構成図である。
【
図7】変形例に係る充放電システムを示すブロック構成図である。
【
図8】変形例に係る充放電システムを示すブロック構成図である。
【
図9】変形例に係る充放電システムを示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る充放電システム100を示すブロック構成図である。充放電システム100は、車両V1(第1の対象物)及び車両V2(第2の対象物)に対して充放電を行う。本実施形態では、充放電の対象物として、バッテリーを有する電気自動車(EV)を採用する。充放電システム100は、充放電装置1A(第1の充放電装置)と、充放電装置1B(第2の充放電装置)と、DCバスラインL1と、充放電ラインL2A,L2Bと、を備える。
【0018】
充放電装置1Aは、車両V1に対して充放電を行う装置である。充放電装置1Aは、DC/DC変換部2A(第1のDC/DC変換部)と、制御部3A(第1の制御部)と、通信部4Aと、操作部6Aと、を備える。
【0019】
DC/DC変換部2Aは、所定の直流電力を他の電圧の直流電力に変換する機能を有する。DC/DC変換部2Aは、充放電ラインL2Aと接続される。DC/DC変換部2Aは、充放電ラインL2Aを介して、車両V1に対して充電又は放電を行う。また、DC/DC変換部2Aは、DCバスラインL1と接続される。
【0020】
制御部3Aは、DCバスラインL1に接続され、DC/DC変換部2Aを制御する。制御部3Aは、ラインL3Aを介してDC/DC変換部2Aに接続される。制御部3Aは、ラインL4Aを介してDCバスラインL1に接続される。制御部3Aは、DCバスラインL1のバス電圧を測定することができる。なお、制御部3Aの制御内容の詳細については後述する。
【0021】
通信部4Aは、車両V1との間で通信すると共に、車両V1からの情報を制御部3Aに送信する。通信部4Aは、ラインL5Aを介して制御部3Aに接続される。通信部4Aは、ラインL6Aを介して車両V1に接続される。操作部6Aは、ユーザーの入力操作によって各種情報を取得すると共に、入力された情報を制御部3Aに送信する。操作部6Aは、ラインL7Aを介して制御部3Aに接続される。
【0022】
充放電装置1Bは、車両V2に対して充放電を行う装置である。充放電装置1Bは、DC/DC変換部2B(第2のDC/DC変換部)と、制御部3B(第2の制御部)と、通信部4Bと、操作部6Bと、を備える。DC/DC変換部2B、制御部3B、通信部4B、及び操作部6Bは、DC/DC変換部2A、制御部3A、通信部4A、及び操作部6Aと同趣旨の構成を有する。また、ラインL2B,L3B,L4B,L5B,L6B,L7Bは、ラインL2A,L3A,L4A,L5A,L6A,L7Aと同趣旨の構成を有する。
【0023】
DCバスラインL1は、充放電装置1A,1B同士を接続し、両者の間で電力を送電する配線である。DCバスラインL1は、充放電装置1AのDC/DC変換部2Aと、充放電装置1BのDC/DC変換部2Bと、を接続する。充放電システム100は、充放電装置1A,1BをDCバスラインL1を介して複数台繋げることで構成される。
【0024】
次に、制御部3Aによる制御内容について説明する。なお、制御部3Bの制御内容は、制御部3Aと同趣旨であるため説明を省略する。制御部3Aは、DCバスラインL1から車両V1への電力の充電、または車両V1からDCバスラインL1への電力の放電が行われるように、DC/DC変換部2Aを制御する。DCバスラインL1から車両V1への電力の充電が行われる場合、車両V2では放電が行われる。車両V1からDCバスラインL1への電力の放電が行われる場合、車両V2では充電が行われる。このように、充放電装置1Aは、DCバスラインL1、すなわちDCバスラインL1に接続された他の車両V2と双方向の電力のやりとりを行うことができる。
【0025】
制御部3Aは、車両V1から取得した充電量を示すSOC(State Of Charge)情報が所定の閾値より大きい場合、車両V1からDCバスラインL1へ電力を放電するように、DC/DC変換部2Aを制御する。これにより、制御部3Aは、車両V1に必要量よりも十分な量の充電量がある場合、充電量が不足している車両V2が充電できるように、DCバスラインL1へ放電できる。また、制御部3Aは、車両V1から取得した充電量が所定の閾値より低い場合、DCバスラインL1から車両V1へ電力を充電するように、DC/DC変換部2Aを制御する。これにより、制御部3Aは、車両V1に必要量よりも充電量が少ない場合、充電量が十分にある車両V2からDCバスラインL1に放電された電力によって充電を行うことができる。
【0026】
制御部3Aは、入力された車両V1の走行予定距離に基づいて、車両V1が必要とする充電量を演算して、所定の閾値を決定する。ユーザーは、操作部6Aを操作することによって、車両V1の走行予定距離を入力する。車両V1が必要とする充電量は、当該走行予定距離に基づいて以下の式(1)によって算出される。なお、式(1)において「+10%」は、充電量に余裕分を持たせるための値である。例えば、車両V1の電費を6(km/kWh)、車両のバッテリーサイズが66(kWh)で、次回走行予定距離が100kmだとすると、必要SOCは35%と算出することができる。
【数1】
【0027】
図2の例を参照して、閾値について説明する。車両V1,V2の充電量(SOC)の閾値が60%で、充電量が80%の車両V1と、充電量が40%の車両V2一台が充放電装置1A,1Bに接続されているものとする。このとき、充放電装置1Aの通信部4Aは、車両V1から充電量情報SOC1を受信し、当該充電量情報SOC1を制御部3Aへ送信する。充放電装置1Bの通信部4Bは、車両V2から充電量情報SOC2を受信し、当該充電量情報SOC2を制御部3Bへ送信する。このとき、制御部3A,3Bは、閾値より高い充電量80%の車両V1は電力を放電し、閾値より低い40%の車両V2は電力を充電するように、DC/DC変換部2A,2Bを制御する。これにより、車両V1から電力CD1がラインL2Aを介してDC/DC変換部2Aへ放電する。DC/DC変換部2AからDCバスラインL1へ電力CD2を出力する。また、DCバスラインL1からDC/DC変換部2Bへ電力CD3を出力する。そして、DC/DC変換部2Bから車両V2へ電力CD4を充電する。時間が経過し、いずれかの車両の充電量が閾値の60%にまでなった時、制御部3A,3Bは、上記充放電動作を停止するようにDC/DC変換部2A,2Bへ指示を行う。
【0028】
制御部3A,3Bは、バス電圧が所定の範囲内である場合は、DC/DC変換部2A,2Bを制御して充放電を行い、所定の範囲外である場合は、DC/DC変換部2Aを制御して充放電を停止する。例えば、バス電圧範囲を360V~400Vとする。制御部3A,3BがDCバスラインL1のバス電圧を測定する。測定したバス電圧が360~400Vの範囲内である場合には、制御部3A,3Bは、充電動作を停止するようにDC/DC変換部2A,2Bへ指示を行う。測定したバス電圧が360Vを下回った場合には、制御部3A,3Bは、充電動作を停止するようにDC/DC変換部2A,2Bへ指示を行う。
【0029】
バス電圧が変動する要因は、充放電装置1Aが充電動作を行ってDCバスラインL1から車両V1へ電力を送ると、バス電圧は下降し、逆に放電動作を行って車両V1からDCバスラインL1へ電力を送ると、バス電圧は上昇する。また、複数台の車両V1,V2が充放電装置1A,1Bに繋がった場合で、充電車両が放電車両より多い、もしくは全体充電電力量が全体放電電力量を上回っていればバス電圧は下降する。反対に放電車両が充電車両より多い、もしくは全体放電電力量が全体充電電力量を上回っていればバス電圧は上昇する。
【0030】
次に、
図3を参照して、充放電装置1Aの制御処理の内容について説明する。
図3に示す処理は、充放電装置1Aが車両V1との接続を確認したところから処理が開始される(ステップS10)。次に、制御部3Aは、車両V1の次回走行予定距離が設定されているか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20においてYESと判定されたら、次のステップへ移行する。ステップS20においてNOと判定された場合、操作部6Aは、ユーザーから走行予定距離を受け付ける(ステップS30)。ステップS30において、走行予定距離の入力がなされたら、制御部3Aは、当該走行予定距離を取得して、次のステップへ移行する。
【0031】
制御部3Aは、走行予定距離から必要SOC(S1)を算出する(ステップS40)。次に、通信部は、車両V1から現在のSOC(S2)を取得し、制御部3Aへ送信する(ステップS50)。制御部3Aは、現在のSOC(S2)が必要SOC(S1)を下回っているか否かを判定する(ステップS60)。ステップS60においてYESと判定された場合、制御部3Aは、バス電圧が規定範囲内であるか否かを判定する(ステップS70)。ステップS70においてNOと判定された場合、ステップS70の処理を再び繰り返し、バス電圧が規定範囲内になるまで当該処理が繰り返される。ステップS70において、YESと判定された場合、制御部3Aは、DCバスラインL1から車両V1へ電力を充電するように、DC/DC変換部2Aを制御する(ステップS80)。ステップS80が実行されると、ステップS60から再び処理が繰り返される。
【0032】
ステップS60においてNOと判定された場合、制御部3Aは、現在のSOC(S2)が必要SOC(S1)より大きいか否かを判定する(ステップS90)。ステップS90においてYESと判定された場合、制御部3Aは、バス電圧が規定範囲内であるか否かを判定する(ステップS100)。ステップS100においてNOと判定された場合、ステップS100の処理を再び繰り返し、バス電圧が規定範囲内になるまで当該処理が繰り返される。ステップS100においてYESと判定された場合、制御部3Aは、車両V1からDCバスラインL1へ電力を放電するように、DC/DC変換部2Aを制御する(ステップS110)。ステップS110が実行されると、ステップS60から再び処理が繰り返される。ステップS90において、NOと判定された場合、すなわち現在のSOC(S2)が必要SOC(S1)と等しくなった場合、充放電が完了したとして
図3に示す処理が終了する。
【0033】
次に、本実施形態に係る充放電装置1A,1B、及び充放電システム100の作用・効果について説明する。なお、特に言及が無い場合、充放電装置1Bは、充放電装置1Aと同様な作用・効果を得ることができる。
【0034】
本実施形態に係る充放電装置1Aは、DCバスラインL1に接続され、車両V1に対して充電又は放電を行うDC/DC変換部2Aと、DCバスラインL1に接続され、DC/DC変換部2Aを制御する制御部3Aと、を備え、制御部3Aは、DCバスラインL1から車両V1への電力の充電、または車両V1からDCバスラインL1への電力の放電が行われるように、DC/DC変換部2Aを制御する。
【0035】
本実施形態に係る充放電装置1Aは、DCバスラインL1に接続され、車両V1に対して充電又は放電を行うDC/DC変換部2Aと、DCバスラインL1に接続され、DC/DC変換部2Aを制御する制御部3Aと、を備える。この充放電装置1Aは、DC/DC変換部2Aに対して充放電の対象となる車両V1が接続される。また、DC/DC変換部2Aは、DCバスラインL1を介して他の車両V2と接続可能となる。制御部3Aは、DCバスラインL1から車両V1への電力の充電、または車両V1からDCバスラインへの電力の放電が行われるように、DC/DC変換部2Aを制御する。これにより、DC/DC変換部2Aに接続された車両V1と、DCバスラインL1を介した他の車両V2との充電量の状況に応じて、車両V1への充填か放電か、何れか適切な方の動作が行われる。すなわち、車両にとっては、どの充放電装置1A,1Bの接続口に接続するかを考慮することなく、適切な充放電を行うことができる。以上より、車両の充電量に応じて円滑に充放電を行うことができる。
【0036】
制御部3Aは、車両V1から取得した充電量が所定の閾値以上である場合、車両V1からDCバスラインL1へ電力を放電するように、DC/DC変換部2Aを制御し、車両V1から取得した充電量が所定の閾値より低い場合、DCバスラインL1から車両V1へ電力を充電するように、DC/DC変換部2Aを制御する。この場合、制御部3Aが、車両V1の充電量と閾値とを比較するシンプルな処理にて、車両V1に対して充電を行うか放電を行うかを決定することができる。
【0037】
制御部3Aは、DCバスラインL1のバス電圧を測定し、バス電圧が所定の範囲内である場合は、DC/DC変換部2Aを制御して充放電を行い、所定の範囲外である場合は、DC/DC変換部2Aを制御して充放電を停止してよい。この場合、制御部3Aが、DCバスラインL1のバス電圧を測定及び判定するシンプルな処理にて、車両V1に対する充放電の実行と停止を切り換えることができる。
【0038】
制御部3Aは、入力された車両V1の走行予定距離に基づいて、車両V1が必要とする充電量を演算して、所定の閾値を決定してよい。この場合、制御部3Aは、走行予定距離に基づく充電量の必要量に応じて、適切な閾値を決定することができる。
【0039】
本実施形態に係る充放電システム100は、前述の充放電装置1A,1BをDCバスラインL1を介して複数台繋げることで構成される。この場合、複数台の充放電装置1A,1Bに対してそれぞれ接続された車両V1,V2同士の間で、充放電を行うことができる。
【0040】
本実施形態に係る充放電システム100は、DCバスラインL1と、DCバスラインL1に接続され、第1の車両V1に対して充電又は放電を行うDC/DC変換部2A、及びDCバスラインL1に接続され、DC/DC変換部2Aを制御する制御部3Aを備える充放電装置1Aと、DCバスラインL1に接続され、車両V2に対して充電又は放電を行うDC/DC変換部2B、及びDCバスラインL1に接続され、DC/DC変換部2Bを制御する制御部3Bを備える充放電装置1Bと、を備え、車両V1と車両V2との間でいずれの方向へも充放電を行う。
【0041】
この充放電システム100によれば、上述の充放電装置1A,1Bと同様な作用・効果を得ることができる。
【0042】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
【0043】
図4に示すように、充放電システム100は、三台以上の充放電装置1を備えていてもよい。ここでは、三台の充放電装置1A,1B,1CがDCバスラインL1に接続されている。なお、DCバスラインL1は、主幹ラインL1Xと、充放電装置1A,1B,1Cにそれぞれ接続される分岐ラインL1A,L1B,L1Cと、を有する。なお、充放電装置1Cは、車両V3の充放電を行うための装置であり、他の充放電装置1A,1Bと同趣旨の構造を有する。
【0044】
図5に示すように、車両V1の充電量が10%で最も低く、車両V2の充電量が40%で、車両V3の充電量が80%であるものとする。この場合、充放電装置1Bが車両V2の電力CD5BをDCバスラインL1に放電し、充放電装置1Cが車両V3の電力CD5CをDCバスラインL1に放電する。これらを合わせた電力CD5Aは、DCバスラインL1から充放電装置1Aを介して車両V1に充電される。
【0045】
図6を参照して、SOC閾値より充電量が低い車両が一台、高い車両が二台同時に接続された場合について説明する。なお、すべての車両V1,V2,V3のSOCの閾値を30%とし、バッテリーサイズを同等とし、バス電圧範囲を100V~400Vとする。まず、車両V1,V2,V3が同時に充放電装置1A,1B,1Cに繋がる。充放電装置1B,1Cが、バス電圧を0Vと判断してから、閾値より高い車両V2,V3の電力CD6B,CD6Cを放電して、バス電圧を上昇(0Vから350V)させる。車両V1は、バス電圧が350Vになってから、電力CD6Aの充電をはじめる。車両V2の充電量が30%になった時、車両V2の放電動作を終了する。車両V1,V3は引き続き充電/放電を行う。このときの車両V1の充電量は15%となり、車両V3の充電量は75%となる。車両V1の充電量が30%になった時、充電動作を終了する。この時、車両V3の充電量は60%のため放電動作を行っているが、充電車両 が存在しないため、車両V3の充電量は変わらない。
【0046】
次に、SOC閾値より充電量が低い車両が一台、高い車両が二台別々に接続された場合について説明する。なお、すべての車両V1,V2,V3のSOCの閾値を30%とし、バッテリーサイズを同等とし、バス電圧範囲を100V~400Vとする。まず、車両V1,V2が充放電装置1A,1Bに繋がり、閾値より高い車両V2が電力CD6Bを放電してバス電圧を上昇(0Vから350V)させる。車両V1はバス電圧が350Vになってから、電力CD6Aの充電を始める。その後、車両V3は充放電装置1A,1B,1Cに繋がってもバス電圧が350V(規程のバス電圧範囲内)であるため、放電動作を行わない。車両V2の充電量が30%になった時、放電動作を終了してバス電圧は下降(350Vから0V)する。充放電装置1Cはバス電圧が0Vになったことから、閾値より高い車両V3に電力CD6Cを放電動作をさせ、バス電圧を上昇させる(0Vから350V)。車両V1は引き続き充電を行う。このときの車両V1の充電量は10%となり、車両V3の充電量は80%となる。車両V1の充電量が30%になった時、充電動作を終了する。この時、車両V3の充電量は60%のため放電動作を行っているが、充電車両が存在しないため、車両V3の充電量は変わらない。
【0047】
図7を参照して、SOC閾値より充電量が低い車両が二台、高い車両が一台に接続された場合について説明する。なお、すべての車両V1,V2,V3のSOCの閾値を40%とし、バッテリーサイズを同等とし、バス電圧範囲を100V~400Vとする。まず、車両V1,V2,V3が充放電装置1A,1B,1Cに繋がる。閾値より高い車両V3が、 電力CD7Cを放電してバス電圧を上昇(0Vから350V)させる。車両V1,V2はバス電圧が350Vになってから、電力CD7A,CD7Bで充電を始める。車両V2の充電量が40%になった時、充電動作を終了する。車両V1,V3は引き続き充電/放電を行う。例えばこのときの車両V1の充電量は10%であり、車両V3の充電量は70%である。車両V1の充電量が40%になった時、充電動作を終了する。この時、車両V3の充電量も40%になるため、放電動作を終了し、バス電圧は下降する(350Vから0V)。
【0048】
図8を参照して、SOC閾値より低い車両が三台接続された場合について説明する。なお、すべての車両V1,V2,V3のSOCの閾値を40%とし、バッテリーサイズを同等とし、バス電圧範囲を100V~400Vとする。車両V1,V2,V3が充放電装置に繋がり、それぞれバス電圧を計測するが、放電車両がないため、0Vとなっている。そのため、充電動作は行われず、車両V1,V2,V3の充電量は変化しない。
【0049】
図9を参照して、SOC閾値より高い車両が三台接続された場合について説明する。なお、すべての車両V1,V2,V3のSOCの閾値を30%とし、バッテリーサイズを同等とし、バス電圧範囲を100V~400Vとする。車両V1,V2,V3が充放電装置に繋がり、閾値より高い車両V1,V2,V3が放電(電力CD8A,CD8B,CD8C)してバス電圧を上昇(0Vから350V)させる。しかし充電車両が存在しないため、車両V1,V2,V3の充電量は変わらない。なお、過放電となってバス電圧が400Vよりも高くなってしまった場合は充放電装置が出力を落として、400Vを超えないように制御する。
【0050】
[形態1]
DCバスラインに接続され、対象物に対して充電又は放電を行うDC/DC変換部と、
前記DCバスラインに接続され、前記DC/DC変換部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記DCバスラインから前記対象物への電力の充電、または前記対象物から前記DCバスラインへの電力の放電が行われるように、前記DC/DC変換部を制御する、充放電装置。
[形態2]
前記制御部は、
前記対象物から取得した充電量が所定の閾値より大きい場合、前記対象物から前記DCバスラインへ電力を放電するように、前記DC/DC変換部を制御し、
前記対象物から取得した充電量が前記所定の閾値より低い場合、前記DCバスラインから前記対象物へ電力を充電するように、前記DC/DC変換部を制御する、請求項1に記載の充放電装置。
[形態3]
前記制御部は、前記DCバスラインのバス電圧を測定し、
前記バス電圧が所定の範囲内である場合は、前記DC/DC変換部を制御して充放電を行い、 前記所定の範囲外である場合は、前記DC/DC変換部を制御して充放電を停止する、請求項2に記載の充放電装置。
[形態4]
前記制御部は、入力された前記対象物の走行予定距離に基づいて、前記対象物が必要とする充電量を演算して、前記所定の閾値を決定する、請求項2に記載の充放電装置。
[形態5]
請求項1に記載の充放電装置を前記DCバスラインを介して複数台繋げることで構成される、充放電システム。
[形態6]
DCバスラインと、
前記DCバスラインに接続され、第1の対象物に対して充電又は放電を行う第1のDC/DC変換部、及び前記DCバスラインに接続され、前記第1のDC/DC変換部を制御する第1の制御部を備える第1の充放電装置と、
前記DCバスラインに接続され、第2の対象物に対して充電又は放電を行う第2のDC/DC変換部、及び前記DCバスラインに接続され、前記第2のDC/DC変換部を制御する第2の制御部を備える第2の充放電装置と、を備え、
前記第1の対象物と前記第2の対象物との間でいずれの方向へも充放電を行う、充放電システム。
【符号の説明】
【0051】
1A…充放電装置(第1の充放電装置)、1B…充放電装置、2A…DC/DC変換部(第1のDC/DC変換部)、2B…DC/DC変換部(第2のDC/DC変換部)、3A…制御部(第1の制御部)、3B…制御部(第2の制御部)、100…充放電システム、L1…DCバスライン。