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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084959
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】平海苔束の保護紙付結束装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20240619BHJP
【FI】
A23L17/60 103Z
A23L17/60 103B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199185
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】392024699
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100086092
【弁理士】
【氏名又は名称】合志 元延
(72)【発明者】
【氏名】川島 一美
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LP17
4B019LP19
4B019LT78
(57)【要約】
【課題】第1に、平海苔束の結束が、確実かつ安定的に支障なく実現され、第2に、その際、平海苔束へのダメージ,損傷も回避され、第3に、保護紙の供給,巻き付けも自動化され、第4に、保護紙差し込み等もスムーズ化される、平海苔束の保護紙付結束装置を提案する。
【解決手段】結束装置1の紙供給機構20は、平海苔束Aに保護紙Pを被せる。プレス板3は、保護紙Pが被せられた平海苔束Aを、積載,上昇して、プレス圧縮する。紙差込部は、ローラーが、差し込みに際し回転不能でプレス板3に向け付勢され、保護紙Pの両下端部を、プレス板3下に差し込んで巻き付ける。結束機4は、平海苔束Aを、プレス板3と共に結束帯Dで結束する。押し出し部材5は、プレス圧縮,結束,降下され保護紙Pが巻き付けられた平海苔束Aを、プレス板3から押し出し,抜き出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔の生産工程で使用される平海苔束の保護紙付結束装置であって、コンベア,紙供給機構,プレス板,紙差込部,結束機,押し出し部材を、有しており、
該コンベアは、平海苔束を一束ずつ載せて前方に搬送し、
該紙供給機構は、搬送停止された平海苔束に保護紙を上側から被せ、
該プレス板は、下位のベース位置と上位のトップ位置との間で昇降動可能であり、搬送停止され保護紙が被せられた平海苔束を、ベース位置より上で乗り移らせ,積載,上昇して、トップ位置でプレス受けとの間で下側からプレス圧縮し、
該紙差込部は、プレス圧縮された平海苔束に被せられた保護紙について、その両下端部を、ローラーを用いて、該プレス板下面下に差し込んで巻き付け、
該紙差込部のローラーは、差し込みに際し回転不能で、差し込み後の直線戻しに際し回転可能に設定されると共に、該プレス板下面に向け付勢されており、
該結束機は、プレス圧縮され保護紙が巻き付けられた平海苔束を、該プレス板と共に結束帯で結束し、
該押し出し部材は、プレス圧縮,結束,降下され保護紙が巻き付けられた平海苔束を、結束帯と共に、該プレス板から押し出し,抜き出し、もって、結束帯で結束された保護紙付の平海苔束が得られること、を特徴とする平海苔束の保護紙付結束装置。
【請求項2】
請求項1において、該紙差込部のローラーは、一方向にのみ回転可能とするワンウェイクラッチが組み込まれると共に、該プレス板下面に向け付勢するスプリングが付設されていること、を特徴とする平海苔束の保護紙付結束装置。
【請求項3】
請求項2において、該紙差込部のローラーは、高摩擦材よりなると共に、付設されたシリンダーにて差し込み方向と戻し方向とに往復動可能であり、
かつ、該紙差込部のローラーは、保護紙の両下端部を該プレス板下に差し込んで巻き付けることにより、保護紙全体に引張力を及ぼし、もって、巻き付けられた保護紙を、平海苔束に全体的に隙間なく密着させること、を特徴とする平海苔束の保護紙付結束装置。
【請求項4】
請求項1において、該コンベアは、ひもコンベアよりなり、該結束機は、プレス圧縮された平海苔束を、巻き付けられた保護紙の外側から上下左右にわたり、結束帯で巻回して結束し、その際、該プレス板も共に結束すること、を特徴とする平海苔束の保護紙付結束装置。
【請求項5】
請求項1において、該プレス板は、左右に分割されており、該押し出し部材は、分割された該プレス板間の間隔を前後に往復動可能となっていること、を特徴とする平海苔束の保護紙付結束装置。
【請求項6】
請求項1において、該プレス板は、前端部下に補助プレス板を備えており、該補助プレス板は、該プレス板に対し、密接位置と離反位置とに上下変位可能であり、
密接位置では、該プレス板と連動して平海苔束をプレス圧縮可能であり、離反位置では、該プレス板との間に形成される隙間を利用して、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し,抜き出しが可能となっていること、を特徴とする平海苔束の保護紙付結束装置。
【請求項7】
請求項1において、該プレス板は、ミリ単位の肉厚が薄い薄板よりなると共に、平海苔束の横幅に比し、同程度以下から若干狭い程度の横幅よりなり、もって、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し,抜き出しに際し、該プレス板による負荷が緩和されること、を特徴とする平海苔束の保護紙付結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔の生産工程で使用される、平海苔束の保護紙付結束装置に関する。すなわち、折曲されない平らに広げられたままの平海苔束を、保護紙付で結束する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
海苔(乾海苔)の生産工程では、生海苔摘採,水洗,抄き,脱水,乾燥等の前工程の後、検査,カウント集積,(折曲),結束等の後工程を辿って、海苔が生産,出荷されている。
すなわち後工程において、検査された平海苔は、10枚等の平海苔束としてカウント集積された後、二つ折りに折曲してから、結束して出荷されている。
さて、このような従来例1(代表例,一般例)に対し、平海苔束を折曲,結束することなく、平らに広げた平海苔束のまま結束,出荷する従来例2も、マーケットニーズにより増加しつつある。つまり、50枚や100枚の平海苔束として、結束,出荷する従来例2も最近増加してきている。
すなわち、生産,出荷された海苔は、事後、焼き海苔,味付け海苔等の二次加工に供されることも多い。その際、前述した折曲,結束していた従来例1においては、結束を解き折曲を再度伸ばして、元の平海苔として加工に供されていた。
これに対し、このような伸ばす手間を省くべく、平海苔(板海苔とも称される)のまま結束,出荷する従来例2も多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
このような従来例2用の結束装置としては、例えば、次の特許文献1,2中に示されたものが挙げられる。
【特許文献1】特開2006-101809号公報
【特許文献2】特開2006-101810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《従来技術》
従来例2に関し、特許文献1,2に示された平海苔束の結束装置は、エレベータ,支持板,圧縮板,束ね紙送り装置(チャッカー),複数のシリンダ等を組み合わせた、複雑な構造よりなる。
そして、平海苔束の結束部分がプレス圧縮されない部分プレスよりなるので、膨れた状態で結束されてしまい、海苔へのダメージ,損傷が懸念される。プレス安定性にも懸念がある。
そこで、従来例2用の平海苔束の結束装置については、更に新たな構造のものの出現が切望されており、新たな開発が課題となっていた。
他方、従来例2については、平海苔束の保護紙が用いられていた。保護紙が、平海苔束に被せられ全体的に巻き付けられていた。すなわち結束時,事後の取り扱い時,流通時等において、平らに広げられたままの平海苔束が損傷しないように、保護紙が用いられていた。
そして保護紙は、結束に際し、手作業で平海苔束に被せられ巻き付けられていたので、作業効率が悪いという問題があった。
【0005】
《本発明について》
本発明の平海苔束の結束装置は、このような実情に鑑み、従来例2の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、平海苔束の結束が、確実かつ安定的に実現され、第2に、その際、平海苔束へのダメージ,損傷も回避され、第3に、保護紙の供給,巻き付けが自動化され、第4に、保護紙の差し込み等もスムーズ化される、平海苔束の保護紙付結束装置を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1の平海苔束の保護紙付結束装置は、海苔の生産工程で使用され、コンベア,紙
供給機構,プレス板,紙差込部,結束機,押し出し部材を、有している。
該コンベアは、平海苔束を一束ずつ載せて、前方に搬送する。
該紙供給機構は、搬送停止された平海苔束に、保護紙を上側から被せる。
該プレス板は、下位のベース位置と上位のトップ位置との間で、昇降動可能である。そしてプレス板は、搬送停止され保護紙が被せられた平海苔束を、ベース位置より上で乗り移らせ,積載,上昇して、トップ位置でプレス受けとの間で下側から、プレス圧縮する。
該紙差込部は、プレス圧縮された平海苔束に被せられた保護紙について、その両下端部を、ローラーを用いて、該プレス板下面下に差し込んで巻き付ける。
該紙差込部のローラーは、差し込みに際し回転不能で、差し込み後の直線戻しに際し回転可能に設定されると共に、該プレス板下面に向け付勢されている。
該結束機は、プレス圧縮され保護紙が巻き付けられた平海苔束を、該プレス板と共に結束帯で結束する。
該押し出し部材は、プレス圧縮,結束,降下され保護紙が巻き付けられた平海苔束を、結束帯と共に、該プレス板から押し出し,抜き出しする。もって、結束帯で結束された保護紙付の平海苔束が得られること、を特徴とする。
【0007】
請求項2については、次のとおり。
請求項2の平海苔束の保護紙付結束装置では、請求項1において、該紙差込部のローラーは、一方向にのみ回転可能とするワンウェイクラッチが、組み込まれると共に、該プレス板下面に向け付勢するスプリングが、付設されていること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。
請求項3の平海苔束の保護紙付結束装置では、請求項2において、該紙差込部のローラーは、高摩擦材よりなると共に、付設されたシリンダーにて差し込み方向と戻し方向とに往復動可能となっている。
かつ、該紙差込部のローラーは、保護紙の両下端部を、該プレス板下に差し込んで巻き付けることにより、保護紙全体に引張力を及ぼす。もって、巻き付けられた保護紙を、平海苔束に全体的に隙間なく密着させること、を特徴とする。
請求項4については、次のとおり。
請求項4の平海苔束の保護紙付結束装置は、請求項1において、該コンベアは、ひもコンベアよりなる。該結束機は、プレス圧縮された平海苔束を、巻き付けられた保護紙の外側から上下左右にわたり、結束帯で巻回して結束し、その際、該プレス板も共に結束すること、を特徴とする。
請求項5については、次のとおり。
請求項5の平海苔束の保護紙付結束装置は、請求項1において、該プレス板は、左右に分割されており、該押し出し部材は、分割された該プレス板間の間隔を前後に往復動可能となっていること、を特徴とする。
【0008】
請求項6については、次のとおり。
請求項6の平海苔束の保護紙付結束装置は、請求項1において、該プレス板は、前端部下に補助プレス板を備えており、該補助プレス板は、該プレス板に対し、密接位置と離反位置とに上下変位可能である。
そして該補助プレス板は、密接位置では、該プレス板と共に連動して平海苔束をプレス圧縮可能である。離反位置では、該プレス板との間に形成される間隔を利用して、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し、抜き出しが可能となっていること、を特徴とする。
請求項7については、次のとおり。
請求項7の平海苔束の保護紙付結束装置は、請求項1において、該プレス板は、ミリ単位の肉厚が薄い薄板よりなる。これと共に該プレス板は、平海苔束の横幅に比し、同程度以下から若干狭い程度の横幅よりなる。
もって、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し,抜き出しに際し、該プレス板による負荷が緩和されること、を特徴とする。
【0009】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この平海苔束の保護紙付結束装置は、海苔の生産工程で使用される。
(2)そしてまず、平海苔束は、紙供給機構にて保護紙が被せられる。
(3)保護紙が被せられた平海苔束は、結束機下に搬入される。
(4)それから平海苔束は、結束機に向け上昇される。すなわち、プレス板と補助プレス板が下位のベース位置から上昇し、保護紙が被せられた平海苔束を、積載して更に上昇する。
(5)そして平海苔束は、プレス圧縮される。すなわち、プレス板と補助プレス板がトップ位置で、保護紙が被せられている平海苔束を、プレス受けとの間でプレス圧縮する。
(6)プレス圧縮された平海苔束は、ローラーを用いた紙差込部により、保護紙の垂れ下がった両下端部が、プレス板下に差し込まれて、巻き付けられる。
このローラーは、プレス板に向け付勢された高摩擦材よりなると共に、差し込みに際し、回転不能であり、もって保護紙の下端部に、大きな摩擦力,摩擦抵抗を与えつつ前進し、強力な引張力にて差し込む。
又、差し込み後の直線戻しに際し、自然回転可能となっている。
(7)それから結束機が、プレス圧縮された平海苔束を、巻き付けられた保護紙の外側から、プレス板と共に結束帯で結束する。
(8)そしてプレス圧縮,結束された平海苔束は、プレス板と補助プレス板の降下に伴い降下する。
(9)しかる後、平海苔束はプレス板から押し出し,抜き出しされる。すなわち、押し出し部材が、後退位置から前進位置に移動することにより、結束帯で結束された保護紙付平海苔束が、押し出し,抜き出しされる。
(10)その際、結束帯下部は、プレス板と離反位置の補助プレス板との間に形成された隙間を利用して、プレス板下から押し出し,抜き出しされる。
(11)なお、このように補助プレス板を配したこと、又、プレス板を薄い肉厚としたこと、更に、プレス板を平海苔束以下の横幅としたこと、等によって、結束された保護紙付平海苔束のプレス板下からの押し出し,抜き出しに際し、プレス板による負荷が緩和される。保護紙付平海苔束の下部や特に結束帯下部に対する負荷が、緩和される。
(12)さて、以上のように本発明の保護紙付結束装置は、平海苔束について、(a)下からのプレス圧縮、(b)プレス板と共に結束、(c)プレス板からの押し出し,抜き出し、等の採用により、平海苔束や結束帯への摩擦,負荷が緩和される。
又、保護紙は、紙供給機構や紙差込部を結束装置に組み込むことにより、自動化されて、平海苔束に巻き付けられ結束される。
(13)更に、所定のローラーを用いた紙差込部の採用により、保護紙を、その下端部の差し込みにて平海苔束全体に隙間なく密着させることができる。そして、構成が複雑化することなくこれが実現される。又、差し込み後の戻しに際し、保護紙を引き戻す虞もない。
【発明の効果】
【0010】
《第1の効果》
第1に、平海苔束の結束が、確実かつ安定的に実現される。
本発明の平海苔束の保護紙付結束装置では、平海苔束を、(a)下側からプレス圧縮し、(b)プレス板と共に結束してから、(c)プレス板から押し出し,抜き出す等、独特の方式を採用したこと、を特徴とする。
そして、このような特徴に、更に、補助プレス板,プレス板の板厚,幅の設定等も加わる。もって、平海苔束や結束帯への負荷が、緩和されつつ、平海苔束の結束が、確実かつ安定的に実現される。
【0011】
《第2の効果》
第2に、従って平海苔束へのダメージ,損傷が回避される。
本発明の平海苔束の保護紙付結束装置では、上述したように、平海苔束や結束帯への負荷が緩和されつつ、結束が実現される。もって結束に際し、平海苔束について、破れ,乱れ,散乱,折曲,湾曲,変形,破損等々が発生することは、回避される。
すなわち平海苔束について、品質上,取り扱い上,見栄え上、問題が生じることがなくなる。平海苔束は、平らに広げられたままでありダメージを受けやすいが、その損傷は回避される。
《第3の効果》
第3に、保護紙の供給,巻き付けが、自動化される。
本発明の平海苔束の保護紙付結束装置は、紙供給機構や紙差込部を組み込むことにより、保護紙の平海苔束への供給,巻き付けが、自動化される。平海苔束の保護紙について、従来手作業で行われていた巻き付けが自動化され、効率が向上する。
【0012】
《第4の効果》
第4に、保護紙差し込み等もスムーズ化される。
本発明の平海苔束の保護紙付結束装置では、保護紙の紙差込部について、差し込みに際し回転不能となると共に付勢された高摩擦材のローラーを、採用してなる。
もって保護紙を、平海苔束全体に隙間なく密着させることができる。しかもこれは、構成が複雑化することもなく実現でき、コスト面,効率面,時間面等にも優れている。
又、差し込み後の戻しに際し、差し込まれていた保護紙を引張り,引き戻す虞もない。
このように、本発明の発揮する効果は顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る平海苔束の保護紙付結束装置について、発明を実施するための形態の説明に供する。そして(1)図は正面説明図、(2)図は側面説明図である。
図2】同発明を実施するための形態の説明に供し、紙供給機構による紙供給工程の正面説明図である、そして(1)図,(2)図は、その工程1,2を示す。
図3】同発明を実施するための形態の説明に供し、紙供給機構による紙供給工程の正面説明図である。そして(1)図,(2)図は、同工程3,4を示す。
図4】同発明を実施するための形態の説明に供し、紙供給機構による紙供給工程の正面説明図である。そして(1)図,(2)図は、同工程5,6を示す。
図5】同発明を実施するための形態の説明に供し、工程全体の正面説明図である。そして(1)図は第1工程、(2)図は第2工程、(3)図は第3工程を示す。
図6】同発明を実施するための形態の説明に供し、同工程全体の正面説明図である。そして(1)図は第4工程、(2)図は第5工程を示す。
図7】同発明を実施するための形態の説明に供し、紙差込部等を示し、(1)図,(2)図,(3)図,(5)図は側面図、(4)図は正面図である。 そして(1)図は、紙差込部の待機時、(2)図は、紙差込部の差し込み時、(3)図,(4)図は、結束機による結束時、(5)図は、動作終了時を示す。 (1’)図,(2’)図,(5’)図は、それぞれ(1)図,(2)図,(5)図中について、斜線付の丸印で示した部分の拡大図である。
図8】同発明を実施するための形態の説明に供し、紙差込部を示す。そして(1)図は、正面図、(2)図は、正断面図(図14のX-X線矢視図)、(3)図は、正断面図(図14のY-Y線矢視図)である。 そして(1)図は、待機時、(2)図は、差し込み開始時、(3)図は、差し込み時を示す。
図9】同発明を実施するための形態の説明に供し、結束機による結束工程の側面説明図である。そして(1)図,(2)図,(3)図は、その工程1,2,3を示す。
図10】同発明を実施するための形態の説明に供し、結束機による結束工程の側面説明図である。そして、(1)図,(2)図,(3)図は、同工程4,5,6を示す。
図11】同発明を実施するための形態の説明に供し、結束機による結束工程の側面説明図である。そして(1)図,(2)図は、同工程7,8を示す。
図12】同発明を実施するための形態の説明に供する。そして(1)図,(2)図は、正面説明図であり、結束された保護紙付平海苔束について、(1)図は、プレス板からの押し出し前,抜き出し前を示し、(2)図は、プレス板からの押し出し後,抜き出し後を示す。 (3)図,(4)図は、側面説明図であり、結束された保護紙付平海苔束について、(3)図は、プレス板から押し出し前,抜き出し前を、(4)図は、プレス板からの押し出し後,抜き出し後を示す。
図13】同発明を実施するための形態の説明に供する。そして(1)図は、紙供給機構の吸引部等の底面図である。(2)図,(3)図,(4)図等は、斜視説明図である。そして(2)図は、平海苔束を、(3)図は、保護紙が巻き付けられた状態を、(4)図は、結束された状態を示す。
図14】同発明を実施するための形態の説明に供する。そして(1)図は、紙差込部の写真、(2)図は、ローラー差し込み時の写真、(3)図は、ローラー戻し時の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
《本発明の概要》
本発明の概要については、次のとおり。
本発明の平海苔束Aの保護紙P付結束装置1は、海苔の生産工程で使用される。そしてコンベア2,紙供給機構20,プレス板3,紙差込部30,結束機4,押し出し部材5等を、有している。
コンベア2は、平海苔束Aを一束ずつ載せて、前方に搬送する。
紙供給機構20は、搬送停止された平海苔束Aに、保護紙Pを上側から被せる。
プレス板3は、下位のベース位置Bと上位のトップ位置Cとの間で、昇降動可能である。そしてプレス板3は、搬送停止され保護紙Pが被せられた平海苔束Aを、ベース位置Bより上で乗り移らせ,積載,上昇して、トップ位置Cで、プレス受けとの間で下側からプレス圧縮する。
紙差込部30は、平海苔束Aに被せられた保護紙Pについて、その両下端部Qを、ローラー31を用いて、プレス板3下に差し込んで巻き付ける。
ローラー31は、差し込みに際し回転不能に設定され、差し込み後の直線戻しに際し回転可能に設定されると共に、プレス板3下面に向け付勢されている。
結束機4は、圧縮され保護紙Pが巻き付けられた平海苔束Aを、プレス板3と共に結束帯Dで結束する。
押し出し部材5は、プレス圧縮,結束,降下され保護紙Pが巻き付けられた平海苔束Aを、結束帯Dと共に、プレス板3から押し出し,抜き出す。もって、結束帯Dで結束された保護紙P付の平海苔束Aが得られること、を特微とする。
本発明の概要については、以上のとおり。以下、このような本発明について詳述する。
【0015】
《コンベア2等》
まず、図1図6を参照して、結束装置1のコンベア2等について、説明する。
コンベア2は、平海苔束Aを一束ずつ載せて、前方に搬送する。平海苔束Aは、前工程から折り曲げない平海苔のまま、50枚や100枚等の束に集積されて、供給される(図13の(2)図も参照)。
1枚の平海苔は、長さ210mm(~230mm、更には275mm)× 幅190mm(~200mm)程度の寸法で、略長方形の薄いシート状をなす。
コンベア2は、図示例ではひもコンベアよりなる。そしてコンベア2は、少なくとも結束機4下に至るまで、配設されている。2本のひも間の左右幅間隔は、平海苔束Aの左右幅より狭く設定されている。図1の(1)図中、6は、コンベア2の駆動機構のモータである。
図1の(1)図の正面図,(2)図の側面図に示したように、コンベア2について、結束機4下の手前に整列部7が配設されている。
整列部7は、コンベア2の左右外側にそれぞれ配された、一対のセンター合わせ板よりなり、平海苔束Aについて、その左右幅中心がプレス板3の左右中心を通るように、センター合わせする。センサ8(図5図6を参照)が、搬送されてきた平海苔束Aの到達を検出すると、コンベア2が一時停止して、整列部7がセンター合わせする。図1の(1)図中、9は、整列部7の駆動機構のモータである。
コンベア2等については、以上のとおり。
【0016】
《紙供給機構20》
次に、図1の(1)図,図2図4等を参照して、結束装置1の紙供給機構20について、説明する。
紙供給機構20は、搬送停止された平海苔束Aに、保護紙Pを上側から被せる。保護紙Pは、結束帯Dによる結束,締め付け時や、事後の取り扱い時,流通時の接触等に対し、平海苔束Aを保護すべく、平海苔束Aに被せて巻き付けられる。
そして保護紙Pは、紙厚0.003mm~0.08mm程度で、寸法170mm~280mm × 400mm~650mm程度、例えば、寸法205mm×470mm程度(平海苔束Aに完全に巻回されなくても可)の薄い紙,例えば文庫紙が使用される。
【0017】
このような紙供給機構20について、更に詳述する。紙供給機構20は、縦コンベア21,縦シャフト22,駆動スライド23,フリースライド24,連結部材25,吸引部26,紙ボックス27,コンベア28,板部S等を備えている。
すなわち紙供給機構20は、縦コンベア21と、平行配設された縦シャフト22にて案内されると共に縦コンベア21にて昇降動される駆動スライド23と、縦シャフト22にて案内されると共に駆動スライド23の昇降動に伴いほぼ従動して昇降動可能なフリースライド24と、を備えている。
駆動スライド23とフリースライド24とは、共に上下スライド可能に縦シャフト22に取り付けられている。フリースライド24は、駆動スライド23上に載せられている。
そして更に、紙供給機構20は、フリースライド24に連結部材25を介して連結された吸引部26と、保護紙Pが収納され横に往復動可能な紙ボックス27と、を備えている。図中28は、紙ボックス27のコンベアである。
吸引部26には、市販,公知の吸引パッド,真空パッド,ベルヌーイ式グリッパ,吸盤,その他の吸引,吸着構造が使用される。そして、図13の(1)図に示したように、例えば横H形の鉄板製の板部Sの四隅下に、4個の吸引部26が取り付けられている。
【0018】
このような紙供給機構20による紙供給工程について、図2図4の例を説明する。
・まず、図2の(1)図の工程1で、紙ボックス27が吸引部26下へ移動する。
・そして、図2の(2)図の工程2で、吸引部26が、駆動スライド23,フリースライド24にて降下されて、紙ボックス27内の最上位1枚の保護紙P上に、接触する。すると、フリースライド24が降下停止して、駆動スライド23との間に間隔が生じ、センサ29の検出に基づき、駆動スライド23も降下停止される。
・そして吸引部26が吸引オンし、保護紙Pを吸引する。センサ29は、駆動スライド23,フリースライド24のいずれかに、取り付けられている。
・しかる後、図3の(1)図の工程3で、吸引部26が、最上位1枚の保護紙Pを吸引,分離して、上昇する。もって保護紙Pは、中央部が水平状態で、左右両端部が吊り下げ,垂れ下げられた状態となる。紙ボックス27は、吸引部26下から後退,退避する。
・それから、図3の(2)の工程4で、吸引部26は、保護紙Pを吸引したまま、下位で搬送停止されたコンベア2上の平海苔束A上に向け、降下する。
・そして、吸引部26が平海苔束A上に到達すると、フリースライド24が降下停止して、駆動スライド23との間に間隔が生じ、センサ29の検出に基づき、駆動スライド23も降下停止される。そして吸引部26が吸引オフし、保護紙Pが平海苔束A上に被せられる。
・それから、図4の(1)図の工程5で、吸引部26が上昇し、図4の(2)図の工程6で、保護紙Pが被せられた平海苔束Aが、コンベア2にて結束機4下方の結束位置へと搬送される。
紙供給機構20については、以上のとおり。
【0019】
《プレス板3:説明その1》
次に、図1図5図6等を参照して、結束装置1のプレス板3について、その概要を説明する。
プレス板3は、下位のベース位置Bと上位のトップ位置Cとの間で、昇降動可能である。もってプレス板3は、搬送停止され保護紙Pが被せられた平海苔束Aを、ベース位置Bより若干上で乗り移らせ、積載,上昇して、トップ位置Cでプレス圧縮する。
【0020】
このようなプレス板3について、更に詳述する。保護紙Pが被せられて搬送されてきた平海苔束Aの結束位置到達を、センサ10が検出すると、コンベア2が停止して、平海苔束Aも結束機4下の結束位置で停止する。
それからプレス板3が、それ迄の下位のベース位置Bから上昇することにより、保護紙Pが被せられた平海苔束Aを、停止したコンベア2上から乗り移らせる。
そしてプレス板3は、保護紙Pが被せられた平海苔束Aを積載して上昇し、トップ位置Cで停止して、平海苔束Aをプレス圧縮する。プレス受けとして、図示例では結束機4の下面板11が使用されている。
図1の(1)図中、12は、プレス板3の駆動機構13のモータであり、駆動機構13にはカム14が用いられている。
なお、プレス板3によるプレス圧縮に関しては、例えば、エンコーダを使用した検出制御に基づき、モータ12の回転をインバータ制御することにより、トップ位置Cそしてプレス圧が、適切に選択,設定,一定化され、管理,維持される。サーボモータやパルスモータの利用も考えられる。
プレス板3の概要については、以上のとおり。
【0021】
《紙差込部30》
次に、図7図8図14等を参照して、結束装置1の紙差込部30について、説明する。
紙差込部30は、平海苔束Aに被せられた保護紙Pについて、その両下端部Qを、ローラー31を用いてプレス板3下面下に差し込むことにより、平海苔束Aに全体的に巻き付ける。
ローラー31は、差し込みに際し回転不能で、差し込み後の直線戻しに際し回転可能に、設定されると共に、プレス板3下面に向け付勢されている。
【0022】
このような紙差込部30について、更に詳述する。まず紙差込部30は、図示例では前後左右に計4個配設されている。すなわち、図7に示したように前側左右に配されると共に、図示しない後側左右にも配されている。
そして紙差込部30は、付設されたシリンダー32にて、前進動,後退動可能となっている。差し込み方向と戻し方向とに、往復動可能となっている。又、プレス板3と同期連動して、昇降動可能となっている。
図示の紙差込部30について図8図14により、更に詳細に説明する。左右2本1対のシリンダー32のピストンロッド先端に、紙差込部30の縦ベースフレーム33が固定されている。縦ベースフレーム33には、左右2枚1対の前後フレーム34が立設され、前後フレーム34間に、ベース軸35が取付けられている。
支点となるベース軸35には、左右2枚1対の搖動アーム36が取付けられている。搖動アーム36の下端部間には、一方軸37が掛け渡されている。そして、一方軸37と縦ベースフレーム33との間に、取付具(図示せず)を介しスプリング38が取付けられている。
搖動アーム36の上端部間には、他方軸39が掛け渡されている。そして他方軸39に、ローラー31が取付けられている。
もって搖動アーム36は、図8の(2)図中に示したように、スプリング38の付勢力にて矢示方向に搖動付勢可能であり、もってローラー31に上方への付勢力を伝達可能である。図中40は、保護紙Pの下端部Qの案内ガイド板であり、ローラー31突出用の開口が形成されている。
【0023】
差し込み用のローラー31は、摩擦抵抗大の高摩擦弾性材よりなる。図示例では、外周面に波状小凹凸が形成されたウレタンゴム製よりなる。
ローラー31には、図14の(2)図,(3)図に示したように、一方向のみに回転可能とするワンウェイクラッチ41が組み込まれている。ワンウェイクラッチ41は、周知のごとく回転方向を規制して、一方向にのみ回転可能とする。ワンウェイクラッチ41としては、例えば、株式会社ミスミ(東京都文京区後楽2-5-1飯田橋ファーストビル)製のBHFL6型が使用される。
そこでローラー31は、ワンウェイクラッチ41により、保護紙Pの両下端部Qの差し込みに際しては、図14の(2)図に示したように、回転不能に設定され、差し込み後の待機位置への直線戻しに際しては、図14の(3)図に示したように、自然回転方向に回転可能となっている。
又、ローラー31は、差し込みや戻しに際して、スプリング38にてプレス板3下面に向け付勢される。すなわちローラー31は、一方軸37,搖動アーム36,他方軸39等を介し、ベース軸35を中心に搖動可能であり、スプリング38にて上方のプレス板3に向け付勢可能である。
【0024】
このような紙差込部30による差し込み工程や戻し工程について、図示例により説明する。
・まず、図7の(1)図,(1’)図,図8の(1)図等に示した待機時において、待機位置の紙差込部30は、そのローラー31上面が、プレス板3下面より例えば2mm程度僅かに上位置にある。
なお、図7の(1’)図,(2’)図,(5’)図中、42はアームストッパーである。アームストッパー42は、待機時は搖動アーム36が当接してストップ機能を発揮し、差し込み時は離反してストップ解除する。
・それから紙差込部30は、シリンダー32にて、プレス板3下へと押動され,前進する。
ローラー31は、スプリング38の付勢力に基づき、保護紙Pの垂れ下がっていた左右の両下端部Qを、巻き込みつつ、左右外側から内側のプレス板3下面へと、滑り込む。プレス板3の外コーナー部分には、ローラー31の滑り込みをガイドする傾斜面43が、形成されている。
・そして、図7の(2)図,(2’)図,図8の(2)図,(3)図等に示したように、ローラー31により、保護紙Pの両下端部Qが、プレス板3下に差し込まれる。
・すなわち、シリンダー32により押動,前進されるローラー31は、高摩擦材よりなる。そしてまず、圧縮ばねとして機能するスプリング38にて、上方のプレス板3に向け付勢され、プレス板3に押し付けられる。
そして、このローラー31は、ワンウェイクラッチ41の機能により回転不能にロックされており、保護紙Pの下端部Qを、プレス板3下面に、強力に押し当て押え付けつつ、前進する。
・このようにローラー31は、保護紙Pの下端部Qに、大きな摩擦力,摩擦抵抗を与えつつ前進し、強力な引張力により下端部Qをプレス板3下面に、差し込む。
・このような差し込みにより、保護紙P全体にも引張力が及び、巻き付けられた保護紙Pが、平海苔束A全体に密着される。
・差し込みが完了すると、図7の(3)図,(4)図に示したように、平海苔束Aは、結束機4により保護紙Pの外側から結束帯Dにて結束された後、プレス板3と共に降下される。
・しかる後、紙差込部30は、図7の(5)図,(5’)図に示したように、左右外側の元の待機位置へと、シリンダー32により後退し、直線戻しされて退避する。そしてその際、ローラー31は、ワンウェイクラッチ41の機能により、自然回転しながら後退する。もって、ころがり摩擦が生じるに過ぎず、既に差し込まれた保護紙Pの下端部Qに引張力を及ぼす虞はなく、引き戻す危険もない。
【0025】
ところで上述したように、この紙差込部30によると、巻き付けられた保護紙Pが、平海苔束A全体に隙間なく密着されるようになる。このように紙差込部30は、保護紙Pの密着機能を発揮する。
すなわち紙差込部30は、上述したように、保護紙Pの両下端部Qのプレス板3下への差し込みに際し、保護紙Pを左右両側から内側のプレス板3下面へ向けて、それぞれ強力に押し当てガイドする。
そこで、保護紙Pについて全体的に引張力が作用し、保護紙Pが、張力を持ちつつ巻き込まれて、平海苔束A全体に対しピッタリと隙間なく密着する。従って、保護紙Pによる平海苔束Aの保護が、滞りなく行われるようになる。
紙差込部30については、以上のとおり。
【0026】
《結束機4について》
次に、図1図9図11等を参照して、結束装置1の結束機4について、説明する。
結束機4は、結束位置のコンベア2上方に、立設されている。そして、プレス板3にて圧縮されると共に保護紙Pが巻き付けられた平海苔束Aを、プレス板3と共に結束帯Dで結束する。
すなわち結束機4は、圧縮された平海苔束Aを、巻き付けられた保護紙Pの外側から、その前後方向の中央位置で、上下左右にわたり結束帯Dで巻回して結束し、その際、プレス板3も共に結束する。結束帯Dとしては、幅広帯状の紙テープが使用される。
【0027】
結束機4について更に詳述する。結束機4としては、紙幣束,シート束,その他の束結束用の市販,公知の帯掛機が使用される。結束機4としては、例えば、ストラパック株式会社(東京都中央区銀座8-16-6 銀座ストラパックビル)製のOB-360N型帯掛機が使用される。
結束機4による結束工程について、図9図11の例を説明する。図中Eは、結束帯D用のロール紙(テープ紙)、15は、送り出し用兼巻き戻し用のローラー、16は、溶着切断部である。
図9の(1)図の工程1の初期状態から、(2)図の工程2で、ロール紙Eが送り出されて、周囲へとガイドされる。それから(3)図の工程3では、平海苔束Aがプレス板3に積載される。
・次に、図10の(1)図の工程4では、保護紙Pが被せられて積載,上昇された平海苔束Aが、プレス板3と結束機4の下面板11間で、プレス圧縮される。
・そして(2)図の工程5で、ロール紙Eが巻き戻されることにより、(3)図の工程6で、ロール紙Eが結束帯Dとなって、保護紙Pが巻き付けられた平海苔束Aやプレス板3を、巻き回し,締め付け,結束する。もって結束帯Dは、溶着切断部16にて、一端部と他端部間が熱溶着シールされると共に、端が切断される。
・そして図11(1)図の工程7で、結束された保護紙P付の平海苔束Aとプレス板3とが、降下されると共に、次のロール紙Eが送り出される。もって(2)図の工程8で、結束された保護紙P付の平海苔束Aが、プレス板3から押し出し、抜き出しされると共に(図12の(1)図~(4)図も参照)、次の平海苔束A待ちの状態となる。
(なお工程4については、図7の(1)図も参照。工程6については、図7の(2)図,(3)図,(4)図も参照。工程7については、図7の(5)図も参照。)
結束機4については、以上のとおり。
【0028】
《押し出し部材5について》
次に、図1図5図6等を参照して、結束装置1の押し出し部材5について、説明する。
押し出し部材5は、プレス圧縮,結束,降下され保護紙Pが巻き付けられた平海苔束Aを、結束帯Dと共に、プレス板3から押し出し,抜き出しする。プレス板3は、左右方向に分割されており、押し出し部材5は、分割されたプレス板3間の間隔を、前後方向に往復動可能となっている。
【0029】
このような押し出し部材5について、更に詳述する。まず、図示のプレス板3は、それぞれ前後方向に沿った中央板3,サイド板3,サイド板3に、3分割されており、それぞれ間に左右間隔が形成されている(図1の(2)図の側面図)。
そして、2本の押し出し部材5が、このように形成された2本の間隔内を、それぞれ前進位置Fと後退位置Gとに、モータ等を備えた駆動機構により往復動可能となっている。
そこで押し出し部材5は、平海苔束Aがまだプレス圧縮されていない工程では、前進位置Fにある(図5の(1)図,(2)図)。→それから押し出し部材5は、平海苔束Aが上昇,プレス圧縮,結束されると、前進位置Fから後退位置Gに後退移動する(図5の(3)図)。
→そして、平海苔束Aが降下してくると(図6の(1)図)、→後退位置Gから前進位置Fへと前進することにより、プレス板3から、平海苔束Aを結束帯Dと共に、押し出し,抜き出しする(図6)(図12の(1)図→(2)図の正面図、および、(3)図→(4)図の側面図も参照)。→もって、結束帯Dで結束された保護紙P付の平海苔束Aが得られる。
押し出し部材5については、以上のとおり。
【0030】
《補助プレス板17について》
次に、図1図5図6図12等を参照して、結束装置1の補助プレス板17について、説明する。
前述したメインのプレス板3は、前端部下にサブの補助プレス板17を備えている。そして補助プレス板17は、プレス板3に対し密接位置Hと離反位置Jとに、上下変位可能である。
補助プレス板17は、密接位置Hでは、プレス板3と連動する。離反位置Jでは、補助プレス板17とプレス板3との間に形成される上下隙間を利用して、結束帯下部D’の押し出し,抜き出しが行われる。
【0031】
このような補助プレス板17について、更に詳述する。まず、図示のプレス板3は、前述したように中央板3,サイド板3,サイド板3に、3分割されている。もって3個の補助プレス板17も、それぞれについて、その前端部下に付設されている。
そして、3個の補助プレス板17は、それぞれ、プレス板3下に密着した密接位置H(図5の(2)図,(3)図)と、プレス板3下から離反して上下隙間が形成される離反位置J(図5の(1)図,図6)とに、上下変位可能となっている。
もって補助プレス板17は、密接位置Hでは、プレス板3と共に連動して、平海苔束Aをプレス圧縮可能である。
これに対し離反位置Jでは、プレス板3との間に形成される上下隙間が利用される。すなわち、それまでプレス板3も結束していた結束帯下部D’について、押し出し部材5によりプレス板3下からの押し出し,抜き出しが行われる(図6)(図12の(1)図→(2)図、および、(3)図→(4)図も参照)。
図1の(1)図中、18は、補助プレス板17の駆動機構19のカムである。この駆動機構19は、前述したプレス板3の駆動機構13のモータ12を共用している。もって、1台のモータ12で、それぞれのカム14,18を介することにより、プレス板3と補助プレス板17が、共働駆動される。
従って、それぞれのトップ位置Cそしてプレス圧の設定,管理,維持については、プレス板3について前述した所に準じるが、共働駆動により、これらがより適切に行われる。
補助プレス板17については、以上のとおり。
【0032】
《プレス板3:説明その2》
次に、図1図12を参照して、プレス板3の肉厚や横幅について、説明する。
まずプレス板3は、肉厚がミリ単位、例えば2mm以上~5mm以下の薄板よりなる。もってプレス板3は、結束帯下部D’のプレス板3下からの押し出し,抜き出しに際し、負荷の緩和機能を発揮する。
すなわち、結束された平海苔束Aおよび結束帯Dを、プレス板3下から押し出し,抜き出しする際、平海苔束A下部特に結束帯下部D’が、プレス板3にて負荷荷重を受けることが、緩和,減少される。プレス板3の肉厚が薄いので、肉厚が厚い場合に比べ負荷荷重が緩和,減少される。もって、押し出し,抜き出しが、容易化する(図12の(1)図→(2)図、および、(3)図→(4)図も参照)。
又、プレス板3は、平海苔束Aの横幅に比し、同程度以下から~若干狭い程度の横幅よりなる。もって、このプレス板3は、結束帯下部D’のプレス板3下からの押し出し,抜き出しに際し、負荷の緩和機能を発揮する。
すなわち、結束された平海苔束Aおよび結束帯Dを、プレス板3下から押し出し,抜き出しする際に、平海苔束A下部特に結束帯下部D’が、負荷荷重を受けることが緩和、減少される。プレス板3の横幅が狭いので、横幅が広い場合に比べ負荷荷重が緩和,減少され、もって、押し出し,抜き出しが容易化する(図12の(3)図→(4)図)。
プレス板3の肉厚や横幅については、以上のとおり。
【0033】
《作用等》
本発明は、以上説明したように構成されている。そこで以下のように、図5図6に示した第1~第5工程を辿る。
(1)本発明の結束装置1は、海苔を平らに広げられた平海苔のまま曲げないで出荷する、海苔の生産工程で使用される。
【0034】
(2)まず、図5の(1)図の第1工程において、平海苔束Aには保護紙Pが被せられる。
すなわち、前工程でカウント集積された例えば100枚束の平海苔束Aが、1束ずつコンベア2にて搬送され、整列部7にてセンター合わせされる(図1も参照)。それから平海苔束Aに、紙供給機構20にて保護紙Pが上から被せられる(図1図4も参照)。
【0035】
(3)そして、保護紙Pが被せられた1束の平海苔束Aが、結束機4下に搬入される。
なお、プレス板3と補助プレス板17は、結束機4下でコンベア2下の下位のベース位置Bに位置する。補助プレス板17は、プレス板3に対し離反位置Jにある。押し出し部材5は、前進位置Fにある。
【0036】
(4)それから、図5の(2)図の第2工程において、平海苔束Aは、結束機4に向け上昇される。
すなわち、プレス板3と密接位置Hに変位した補助プレス板17とが、下位のベース位置Bから上昇する。そして、保護紙Pが被せられた平海苔束Aを積載して,上位の結束機4に向け更に上昇する。押し出し部材5は、前進位置Fにある。
【0037】
(5)そして、図5の(3)図の第3工程において、保護紙P付が被せられた平海苔束Aは、プレス圧縮される。
すなわち、プレス板3と密接位置Hの補助プレス板17とが、トップ位置Cで停止して、プレス受けである結束機4の下面板11との間で、積載する保護紙P付の平海苔束Aを、プレス圧縮する。
【0038】
(6)そして、図7の(1)図,(1’)図~(2)図,(2’)図の各ステップに示したように、プレス圧縮された保護紙P付の平海苔束Aは、垂れ下がっていた保護紙Pの両下端部Qが、所定ローラー31を用いた紙差込部30にて、プレス板3下に差し込まれる。もって保護紙Pが、平海苔束A全体に巻き付けられる(図13の(3)図も参照)。
図14に示したように、このローラー31は、ワンウェイクラッチ41が組み込まれているので、差し込みに際し回転不能であると共に、差し込み後の直線戻しに際し自然回転可能となっている。又、このローラー31は、高摩擦材よりなると共に、プレス板3下面に向けスプリング38にて付勢されている。
【0039】
(7)それから、図7の(3)図,(4)図に示したように、結束機4が作動する。もって、プレス圧縮された平海苔束Aが、巻き付けられている保護紙Pの外側から、プレス板3と共に結束帯Dで結束される(図9の(1)図,(2)図,(3)図~図10の(1)図,(2)図,(3)図の各ステップも参照)。
その間、プレス板3下に形成された下位空間を、押し出し部材5が、それ迄の前進位置Fから後退位置Gへと移動する。
【0040】
(8)しかる後、図6の(1)図の第4工程において、プレス圧縮,結束された保護紙P付の平海苔束Aが、降下される(図7の(5)図,図11の(1)図も参照)。
すなわち、プレス板3と密接位置Hの補助プレス板17とが、それ迄のトップ位置Cから降下して、コンベア2の上で停止する。もって、積載,結束された保護紙P付の平海苔束Aも、降下,停止される。
事後、補助プレス板17は、それまでの密接位置Hから離反位置Jへと変位し、プレス板3との間に隙間が形成される。
【0041】
(9)もって、図6の(2)図の第5工程において、保護紙P付の平海苔束Aが結束帯Dと共に、プレス板3から押し出し,抜き出しされる。
すなわち押し出し部材5が、後退位置Gから前進位置Fへと移動することによって、結束帯Dで結束された平海苔束Aが、プレス板3から前方へと押し出し,抜き出しされる。
もって、結束帯Dで結束された保護紙P付の平海苔束Aが得られると、プレス板3と補助プレス板17は、コンベア2下のベース位置Bへ復帰する。
【0042】
(10)なお、このような保護紙P付の平海苔束Aや結束帯Dの、プレス板3からの押し出し,抜き出しに際し、結束帯下部D’については次のとおり。
結束帯下部D’は、プレス板3と離反位置Jの補助プレス板17との間に形成された上下隙間を利用して、プレス板3下からスムーズに押し出し,抜き出しされる(図12の(1)図→(2)図、および、(3)図→(4)図も参照)。
【0043】
(11)なお、プレス板3に関し、まず前端部下に補助プレス板17を配したこと、又、薄い板厚製としたこと、更に、平海苔束Aの横幅以下としたこと、等によって、次の利点が生じる。
すなわち、プレス板3からの押し出し,抜き出しに際し、プレス板3による負荷が、一段と緩和される。保護紙P付の平海苔束A下部、特に結束帯下部D’が、プレス板3にて摩擦,負荷荷重を受けることが、緩和,減少される。
【0044】
(12)さて、本発明の結束装置1は、以上述べたように、(a)平海苔束Aを下側からプレス圧縮し、(b)プレス板3と共に結束してから、(c)プレス板3からの押し出し,抜き出し等、特徴的な独特の方式を採用してなる。
もって、これら(a),(b),(c)により、平海苔束Aが、保護紙P付で確実かつ安定的に結束可能となる。すなわち、平海苔束Aや結束帯Dへの負荷が緩和され、損傷発生が防止される。
又、保護紙Pは、紙供給機構20や紙差込部30を結束装置1に組み込んだことにより、自動化されて、平海苔束Aに巻き付けられ、平海苔束Aと共に結束される。
【0045】
(13)更に、本発明の結束装置1は、前述したように、所定のローラー31を用いた紙差込部30を採用している。
そこで、回転不能なローラー31が、保護紙Pの下端部Qに大きな摩擦力,摩擦抵抗を与えつつ前進し、強力な引張力にて差し込む。
もって保護紙Pを平海苔束A全体に、隙間なく密着させることができる。そしてこれは、所定のローラー31を採用したことにより、構成が複雑化することなく実現される。
又、差し込み後の戻しに際し、ローラー31が回転するので、差し込まれた保護紙Pを引き戻す虞もない。
【0046】
《その他》
なお第1に、保護紙Pの下端部Qのプレス板3下への紙差込部30,差し込み方式については、本発明のローラー31を用いる方式の外、例えば、吸引方式,接触押動方式,把握方式も考えられる。
しかし吸引方式は、吸引パッド用の隙間確保の必要性、吸引力不足、確認センサの必要性、確認時間の必要性、等々の問題が指摘される。
接触押動方式は、差し込み後の戻しに際し、差し込み済分への接触防止用の隙間形成が複雑化する。把握方式も、構成が複雑化する、という問題が指摘される。
結局、これらの方式は、構成や作動が複雑であり、コスト面,効率面,時間面等について問題が指摘される。これに対し本発明は、構成が簡単容易であり、コスト面,効率面,時間面等に優れている。
【0047】
なお第2に、本発明の下部プレス方式は、次のとおり。
一般的なプレス機は、上部プレス方式よりなり、プレス板3が対象物を上側からプレスする。これに対し、本発明の結束装置1のプレス板3は、対象物の平海苔束Aを下側からプレスする、下部プレス方式を採用したことを、特微とする。
前述したようにプレス後は、結束帯Dでプレス板3と共に結束された平海苔束Aを、プレス板3から引き出し、抜き出しすることになる。その際、一般的な上部プレス方式では、結束帯Dで平海苔束Aを持ち上げ,吊り上げることが必要となるので、平海苔束Aの負荷が大で、ダメージ、損傷発生の虞がある。
これに対し本発明は、下部プレス方式を採用したので、引き出し,抜き出しに際し、平海苔束Aを持ち上げ,吊り下げる必要がなく、平海苔束Aへの負荷が緩和され、ダメージ,損傷が回避される。
【0048】
なお第3に、結束帯Dの複数使用に関しては、次の通り。
前述した例では、結束帯Dが1本使用されているが、本発明の結束装置1はこれによらず、複数本の結束帯Dを使用することも可能である。
特に、略長方形の平海苔の長さ寸法が例えば275mmと長い場合、これを束ねた平海苔束Aの散け,散乱防止の観点から、例えば2本使用する事が考えられる。すなわち2本の結束帯Dを用い、平海苔束Aに平行に巻き付け,結束する事が考えられる。
そして、このような2回目(2本目)の結束装置1の工程は、前述した1回目(1本目)の工程に準じる。なお、1回目の結束終了後、平海苔束Aを押し出し部材5で、2回目の結束対応位置まで押動移動させておいてから、再度、プレス板3にて平海苔束Aを上昇させる。そして2回目の結束を行い、プレス板3そして平海苔束Aを降下させ、もって、2回結束された平海苔束Aを、押し出し部材5により押し出し,抜き出しすることになる。
【符号の説明】
【0049】
A 平海苔束
B ベース位置
C トップ位置
D 結束帯
D’(結束帯)下部
E ロール紙
F 前進位置
G 後退位置
H 密接位置
J 離反位置
P 保護紙
Q 下端部
S 板部
1 結束装置
2 コンベア
3 プレス板
中央板
サイド板
サイド板
4 結束機
5 押し出し部材
6 モータ
7 整列部
8 センサ
9 モータ
10 センサ
11 下面板
12 モータ
13 駆動機構
14 カム
15 ローラー
16 溶着切断部
17 補助プレス板
18 カム
19 駆動機構
20 紙供給機構
21 縦コンベア
22 縦シャフト
23 駆動スライド
24 フリースライド
25 連結部材
26 吸引部
27 紙ボックス
28 コンベア
29 センサ
30 紙差込部
31 ローラー
32 シリンダー
33 縦ベースフレーム
34 前後フレーム
35 ベース軸
36 搖動アーム
37 一方軸
38 スプリング
39 他方軸
40 案内ガイド板
41 ワンウェイクラッチ
42 アームストッパー
43 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14