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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084963
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】光検知用タグおよび光検知システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20240619BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20240619BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G06K19/07 170
G06K19/07 230
G06K7/10 244
G08C17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199192
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 明
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA11
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FH07
2F073FH20
2F073GG01
2F073GG05
2F073GG07
2F073GG09
(57)【要約】
【課題】材料費を低減可能で、容易に光を検知することができる光検知用タグおよび光検知システムを提供する。
【解決手段】光検知用タグ11は、ICチップ34を有し、信号を送信可能に設けられたRFIDタグ21と、RFIDタグ21に設けられた減光フィルタ22とを有し、外部からの照射光が、減光フィルタ22を通してICチップ34の素子に照射するよう設けられている。光検知システム10は、1または複数の光検知用タグ11と、無線通信により、RFIDタグ21からの信号を受信可能に設けられたリーダライタ12とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップを有し、信号を送信可能に設けられたRFIDタグと、
前記RFIDタグに設けられた減光フィルタとを有し、
外部からの照射光が、前記減光フィルタを通して前記ICチップの素子に照射するよう設けられていることを
特徴とする光検知用タグ。
【請求項2】
前記ICチップは、基板と、前記基板の一方の表面に形成された、前記素子の集積体から成る集積回路とを有し、
前記減光フィルタは、前記基板の前記集積回路側に配置されていることを
特徴とする請求項1記載の光検知用タグ。
【請求項3】
前記基板の前記集積回路とは反対側の表面を覆うよう設けられた反射防止層を有することを特徴とする請求項2記載の光検知用タグ。
【請求項4】
前記照射光が所定の閾値を超える放射照度で前記減光フィルタに照射されたとき、前記RFIDタグからの前記信号の送信が停止するよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の光検知用タグ。
【請求項5】
前記減光フィルタは、あらかじめ求めておいた前記減光フィルタの透過率と前記閾値との関係に基づいて、放射照度の所望の閾値に対応して選択された透過率を有していることを特徴とする請求項4記載の光検知用タグ。
【請求項6】
前記減光フィルタを覆い、前記照射光を、前記減光フィルタを通して前記素子に集光するよう設けられた集光レンズを有することを特徴とする請求項1記載の光検知用タグ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の1または複数の光検知用タグと、
無線通信により、前記RFIDタグからの前記信号を受信可能に設けられたリーダライタとを、
有することを特徴とする光検知システム。
【請求項8】
前記照射光としてレーザー光を、前記減光フィルタを通して前記素子に照射可能に設けられたレーザー光源を有していることを特徴とする請求項7記載の光検知システム。
【請求項9】
請求項4または5記載の複数の光検知用タグと、
無線通信により、前記RFIDタグからの前記信号を受信可能に設けられたリーダライタとを有し、
各光検知用タグの前記減光フィルタは、同じ透過率を有していることを
特徴とする光検知システム。
【請求項10】
前記リーダライタに接続された解析手段を有し、
各光検知用タグは、互いに異なる場所に設置され、
前記解析手段は、前記リーダライタによる各光検知用タグからの前記信号の受信の有無に基づいて、前記閾値を超える放射照度を有する前記照射光の分布を求めるよう構成されていることを
特徴とする請求項9記載の光検知システム。
【請求項11】
一体的に設けられた請求項4または5記載の複数の光検知用タグと、
無線通信により、前記RFIDタグからの前記信号を受信可能に設けられたリーダライタとを有し、
各光検知用タグの前記減光フィルタは、互いに異なる透過率を有していることを
特徴とする光検知システム。
【請求項12】
前記リーダライタに接続された解析手段を有し、
前記解析手段は、前記リーダライタによる各光検知用タグからの前記信号の受信の有無に基づいて、前記照射光の放射照度を求めるよう構成されていることを
特徴とする請求項11記載の光検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検知用タグおよび光検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency Identification)技術は、対象物に取り付けられたRFIDタグとリーダライタとの間で、電磁界や電波を用いて非接触で識別情報等のデータの送受信を行い、それらのデータによって認証を行う技術であり、非接触型ICカードや無線ICタグなどに広く利用されている。RFID技術では、リーダライタにより、複数のRFIDタグの識別情報等を一括で受信することができ、受信したデータがどのRFIDタグからのものであるかを判別することができる。また、リーダライタからの電波をエネルギー源とすることにより、電池や外部電源を使用せずに識別情報等をリーダライタに送信することができるパッシブ型のRFIDタグも開発されている。
【0003】
従来、RFID技術を利用したシステムとして、各種のセンサーをRFIDタグに取り付けることにより、各種計測を行うものがあり、光センサーをRFIDタグに取り付けた光検知システムも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、光検知システムではないが、光の検知を行うものとして、RFIDタグのICチップに外部からの光が照射されるよう窓を設け、その窓を通して閾値を超える強度の光がICチップに照射されると、RFIDタグからの応答がリーダライタに送信されず、その窓を通して閾値を下回る強度の光がICチップに照射されると、RFIDタグが正常に動作して、RFIDタグからの応答がリーダライタに送信されるよう構成された光感知式のシステムがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、RFIDタグを光センサーとして使用するものとして、RFIDタグのICチップの表面を覆うよう設けられた感知材料を有し、その感知材料が、RFIDタグを取り囲む環境の特性や条件に応じて光をフィルタリングする可変光フィルタを成しているものもある(例えば、特許文献3参照)。このセンサーによれば、感知材料を通してICチップに光を照射することにより、ICチップの動作に影響を与えることができるため、RFIDタグからの信号を解析することにより、RFIDタグを取り囲む環境の特性や条件を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2020/144966号
【特許文献2】欧州特許出願公開第2333701号明細書
【特許文献3】国際公開WO2013/165610号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の光検知システムでは、RFIDタグ側に、光センサーや、光センサーからのデータを取得するための回路が必要になるため、材料費が嵩むと共に、構成も複雑になるという課題があった。特許文献2に記載の光感知式のシステムでは、窓を通してRFIDタグのICチップに光を照射するため、その照射される光の強度や放射照度を制御するのが困難であるという課題があった。特許文献3に記載のRFIDタグを利用した光センサーでは、感知材料が、RFIDタグを取り囲む環境の特性や条件を反映するものである必要があり、高い感度が要求されるため、材料費が嵩むという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、材料費を低減可能で、容易に光を検知することができる光検知用タグおよび光検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光検知用タグは、ICチップを有し、信号を送信可能に設けられたRFIDタグと、前記RFIDタグに設けられた減光フィルタとを有し、外部からの照射光が、前記減光フィルタを通して前記ICチップの素子に照射するよう設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る光検知システムは、本発明に係る1または複数の光検知用タグと、無線通信により、前記RFIDタグからの前記信号を受信可能に設けられたリーダライタとを、有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る光検知用タグは、本発明に係る光検知システムの光検知用タグとして好適に使用される。本発明に係る光検知用タグおよび光検知システムは、RFIDタグに外部から光が照射されると、その照射光の放射照度が減光フィルタにより低減されて、ICチップの素子に照射される。ここで、ICチップの素子は光の影響を受けやすいため、素子に照射された光の放射照度に応じて、RFIDタグからの信号の送信が停止する。このため、RFIDタグから信号が送信されている場合には、ICチップの素子に照射された光の放射照度の上限がわかり、減光フィルタの透過率から照射光の放射照度の上限がわかる。また、RFIDタグから信号が送信されていない場合には、ICチップの素子に照射された光の放射照度の下限がわかり、減光フィルタの透過率から照射光の放射照度の下限がわかる。
【0012】
このように、本発明に係る光検知用タグおよび光検知システムは、RFIDタグからの信号の送信の有無のみにより、RFIDタグに照射される照射光の放射照度の範囲を検出することができる。本発明に係る光検知用タグおよび光検知システムは、減光フィルタを使用することにより、光センサーや、その光センサーからのデータを取得するための回路が不要であり、また、高感度の材料やセンサーも不要である。このように、本発明に係る光検知用タグおよび光検知システムは、材料費を低減可能で、容易に光を検知することができる。本発明に係る光検知用タグおよび光検知システムは、透過率の異なる減光フィルタを使用することにより、ICチップの素子に照射される照射光の放射照度を容易に制御することができ、所望の範囲の放射照度の光を検知することができる。
【0013】
本発明に係る光検知用タグおよび光検知システムで、前記ICチップは、基板と、前記基板の一方の表面に形成された、前記素子の集積体から成る集積回路とを有し、前記減光フィルタは、前記基板の前記集積回路側に配置されていることが好ましい。この場合、ICチップが集積回路を有しているため、より光の影響を受けやすい。ICチップは、集積回路を有する市販のものであってもよい。また、RFIDタグおよびリーダライタは、RFID技術を利用するものであればいかなるものであってもよく、市販のものであってもよい。RFIDタグが市販のものから成る場合には、外部からの光の影響を受けやすいものであることが好ましく、例えば、SMARTRAC社製のRFIDタグ「Dogbone(ICチップ:Axzon社製「Magnus-S3」)」や、オン・セミコンダクター社製のRFIDタグ「SPS1T001PET(ICチップ:Axzon社製「Magnus-S3」)」が好ましい。
【0014】
本発明に係る光検知用タグおよび光検知システムで、照射光は、太陽光であってもよく、照明の光などであってもよい。また、本発明に係る光検知用タグおよび光検知システムは、前記基板の前記集積回路とは反対側の表面を覆うよう設けられた反射防止層を有することが好ましい。この場合、反射防止層により、照射光が照射される面(ICチップの集積回路側の表面)の裏面側からの光や反射光の影響を抑えることができる。
【0015】
本発明に係る光検知用タグは、前記照射光が所定の閾値を超える放射照度で前記減光フィルタに照射されたとき、前記RFIDタグからの前記信号の送信が停止するよう構成されていることが好ましい。この場合、RFIDタグから信号が送信されているときには、照射光の放射照度がその閾値以下であることがわかる。また、RFIDタグから信号が送信されていないときには、照射光の放射照度がその閾値より大きいことがわかる。
【0016】
また、この場合、前記減光フィルタは、あらかじめ求めておいた前記減光フィルタの透過率と前記閾値との関係に基づいて、放射照度の所望の閾値に対応して選択された透過率を有していることが好ましい。減光フィルタの透過率と閾値との関係をあらかじめ求めておくことにより、所望の範囲の放射照度の光を検知できる減光フィルタを選択することができる。また、RFIDタグのICチップの製造ロットの違い等により、照射光に対するICチップの感受性が異なった場合であっても、減光フィルタの透過率を変えることにより、所望の閾値にすることができる。
【0017】
本発明に係る光検知用タグは、前記減光フィルタを覆い、前記照射光を、前記減光フィルタを通して前記素子に集光するよう設けられた集光レンズを有していてもよい。この場合、集光レンズにより、素子に集められる光の放射照度を高めることができる。このため、集光レンズがないときに比べて低い放射照度で、RFIDタグからの信号の送信を停止させることができる。
【0018】
本発明に係る光検知システムは、前記照射光としてレーザー光を、前記減光フィルタを通して前記素子に照射可能に設けられたレーザー光源を有していてもよい。この場合、レーザー光は指向性が高いため、レーザー光源を、レーザー光が減光フィルタを通して素子に照射するよう設定しておくことにより、レーザー光の光路を遮る動きをする対象物の動作を検知することができる。
【0019】
本発明に係る光検知システムは、複数の本発明に係る光検知用タグと、無線通信により、前記RFIDタグからの前記信号を受信可能に設けられたリーダライタとを有し、各光検知用タグの前記減光フィルタは、同じ透過率を有していてもよい。この場合、前記リーダライタに接続された解析手段を有し、各光検知用タグは、互いに異なる場所に設置され、前記解析手段は、前記リーダライタによる各光検知用タグからの前記信号の受信の有無に基づいて、前記閾値を超える放射照度を有する前記照射光の分布を求めるよう構成されていてもよい。これらの場合、例えば、受信可能な光検知用タグのRFIDタグの識別番号も利用することにより、閾値を超える放射照度を有する照射光の分布や、閾値より小さい放射照度を有する照射光の分布を求めることができる。これにより、例えば、太陽光や照明の光などの当たる場所を制御するために使用することができ、農業分野等に応用することができる。
【0020】
本発明に係る光検知システムは、一体的に設けられた複数の本発明に係る光検知用タグと、無線通信により、前記RFIDタグからの前記信号を受信可能に設けられたリーダライタとを有し、各光検知用タグの前記減光フィルタは、互いに異なる透過率を有していてもよい。この場合、前記リーダライタに接続された解析手段を有し、前記解析手段は、前記リーダライタによる各光検知用タグからの前記信号の受信の有無に基づいて、前記照射光の放射照度を求めるよう構成されていてもよい。これらの場合、例えば、受信可能な光検知用タグのRFIDタグの識別番号も利用することにより、照射光の放射照度を求めることができる。これにより、照射光の放射照度をより狭い範囲で求めることができ、光量計として使用することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、材料費を低減可能で、容易に光を検知することができる光検知用タグおよび光検知システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態の光検知システムを示す側面図である。
図2】本発明の実施の形態の光検知用タグを示す(a)正面図、(b)背面図、(c)ICチップおよびその近傍を拡大した正面図、(d)減光フィルタを取り外した状態の、ICチップおよびその近傍を拡大した背面図、(e)ICチップおよびその近傍を拡大した断面図である。
図3】本発明の実施の形態の光検知システムの、疑似太陽光源を用いた測定系を示す側面図である。
図4図3に示す測定系で、減光フィルタ無し、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを直線偏波型とし、ICチップの集積回路側に疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときの(a)リーダーRSSI、(b)センサーコードSの値の変化を示すグラフである。
図5図3に示す測定系で、減光フィルタ無し、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを直線偏波型とし、ICチップのSi基板側(集積回路とは反対側)に疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときの(a)リーダーRSSI、(b)センサーコードSの値の変化を示すグラフである。
図6図3に示す測定系で、減光フィルタ無し、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを円偏波型とし、ICチップの集積回路側に疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときの(a)リーダーRSSI、(b)センサーコードSの値の変化を示すグラフである。
図7図3に示す測定系で、減光フィルタ無し、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを直線偏波型とし、RFIDタグをオン・セミコンダクター社製の「SPS1T001PET(ICチップ:Axzon社製「Magnus-S3」)」に変えて、ICチップの集積回路側に疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときの(a)リーダーRSSI、(b)センサーコードSの値の変化を示すグラフである。
図8図3に示す測定系で、減光フィルタ無し、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを直線偏波型とし、RFIDタグを(a)エイリアンテクノロジー(Alien Technology)社製の「ALN-9745(Slimline、ICチップ:「Higgs4」)」、(b)エイリアンテクノロジー(Alien Technology)社製の「ALN-9954(ICチップ:「Higgs9」)」、(c)エイリアンテクノロジー(Alien Technology)社製の「ALN-9874(ICチップ:「HiggsEC」)」に変えて、ICチップの集積回路側に疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときのリーダーRSSIの値の変化を示すグラフである。
図9】本発明の実施の形態の光検知用タグの、ICチップの集積回路のみに光が当たるよう、穴を開けた黒色ビニールテープを貼り付けた変形例を示す、減光フィルタを取り外した状態の、ICチップおよびその近傍を拡大した背面図である。
図10】本発明の実施の形態の光検知用タグの、対象物に取り付けたときの対象物からの反射光を防ぐための黒色両面接着テープを貼り付けた変形例を示す、(a)正面図、(b)背面図、(c)断面図、(d)ICチップおよびその近傍を拡大した背面図、(e)ICチップおよびその近傍を拡大した断面図である。
図11図10に示す変形例の光検知用タグ(図中の「黒バック」)および黒色両面接着テープを外した光検知用タグ(図中の「白バック」)の、図3に示す測定系で、減光フィルタをND-2.0、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを直線偏波型とし、ICチップの集積回路側に疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときの(a)リーダーRSSI、(b)センサーコードSの値の変化を示すグラフである。
図12図10に示す変形例の光検知用タグの、図3に示す測定系で、(a)減光フィルタ無し、(b)減光フィルタをND-0.3、(c)ND-0.6、(d)ND-1.2、(e)ND-1.5、(f)ND-2.0とし、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを直線偏波型とし、ICチップの集積回路側に疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときのセンサーコードSの値の変化を示すグラフである。
図13図12の結果を利用して求めた、放射照度の閾値と減光フィルタの透過率との関係を示すグラフである。
図14】本発明の実施の形態の光検知システムの、レーザー光源を用いた測定系を示す側面図である。
図15図14に示す測定系で、減光フィルタ無し、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを円偏波型とし、ICチップの集積回路側にレーザー光をオン・オフしながら照射したときの(a)リーダーRSSI、(b)センサーコードSの値の変化を示すグラフである。
図16図14に示す測定系で、減光フィルタ無し、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを円偏波型とし、ICチップの集積回路側にレーザー光を照射して、手の動きでレーザー光を遮断したときの(a)リーダーRSSI、(b)センサーコードSの値の変化を示すグラフである。
図17図10に示す光検知用タグに、ICチップの集積回路に光を集めるための集光レンズを取り付けた変形例を示す、(a)背面図、(b)集光レンズおよびその近傍を拡大した背面図、(c)集光レンズおよびその近傍を拡大した、一部を切り欠いた平面図である。
図18図17に示す変形例の光検知用タグの、図3に示す測定系で、減光フィルタ無し、リーダライタのUHF帯外付けアンテナを直線偏波型とし、ICチップの集積回路側に疑似太陽光を照射して、測定開始から2分後に集光レンズを取り外したときの(a)リーダーRSSI、(b)センサーコードSの値の変化を示すグラフである。
図19】複数の本発明の実施の形態の光検知用タグを一体的に設けた変形例を示す(a)背面図、(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面および実施例等に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図19は、本発明の実施の形態の光検知用タグおよび光検知システムを示している。
図1に示すように、光検知システム10は、光検知用タグ11とリーダライタ12とを有している。
【0024】
図2に示すように、光検知用タグ11は、RFIDタグ21と減光フィルタ(NDフィルタ)22とを有している。RFIDタグ21は、絶縁基材31とインピーダンス整合部32と1対のアンテナ部33とICチップ34とを有している。
【0025】
絶縁基材31は、透明であり、薄い矩形板状を成している。
インピーダンス整合部32は、薄い導体の薄膜から成り、平面形状がほぼ矩形枠状を成し、内側に矩形状の開口部32aを有している。インピーダンス整合部32は、絶縁基材31の一方の表面の中央部に、長さ方向および幅方向が絶縁基材31の長さ方向および幅方向に沿うよう設けられている。また、インピーダンス整合部32は、一方の長辺の中央部に、その中央部を切断するよう設けられた所定の幅の切欠き32bを有している。インピーダンス整合部32は、切欠き32bを挟んだ1対の端部の、開口部32aとは反対側に、その1対の端部との間に間隔を開けて、その1対の端部に対応してそれぞれ配置された1対の固定部32cを有している。
【0026】
1対のアンテナ部33は、薄い導体の薄膜から成り、絶縁基材31の一方の表面に設けられている。各アンテナ部33は、それぞれ一端が、インピーダンス整合部32の他方の長辺の中央部に、電気的に接続されている。一方のアンテナ部33は、他端が絶縁基材31の長さ方向に沿って、絶縁基材31の一方の端部に向かって伸びるよう設けられ、他方のアンテナ部33は、他端が絶縁基材31の長さ方向に沿って、絶縁基材31の他方の端部に向かって伸びるよう設けられている。
【0027】
ICチップ34は、正方形のSi基板34aと、Si基板34aの一方の表面に形成された、微小なトランジスタやダイオード等の素子の集積体からなる集積回路34bとを有している。ICチップ34は、集積回路34bが露出したベアチップから成っている。ICチップ34は、絶縁基材31の一方の表面の、インピーダンス整合部32の切欠き32bを挟んだ1対の端部および1対の固定部32cの上に取り付けられている。ICチップ34は、Si基板34aの一方の表面、すなわち集積回路34bの素子が取り付けられた面を、インピーダンス整合部32の側に向けて取り付けられている。ICチップ34は、集積回路34bが、インピーダンス整合部32および各アンテナ部33に電気的に接続されている。
【0028】
RFIDタグ21は、ICチップ34からの識別情報等の信号を、電波を用いた無線通信により、非接触でアンテナ部33から送信可能に設けられている。また、RFIDタグ21は、各アンテナ部33から各種のデータを受信可能になっている。なお、図2に示す具体的な一例では、RFIDタグ21は、市販のSMARTRAC社製「Dogbone」から成り、ICチップ34は、市販のAxzon社製「Magnus-S3」から成っている。また、絶縁基材31は、PETフィルムから成っている。また、インピーダンス整合部32および各アンテナ部33は、Alの薄膜から成っている。インピーダンス整合部32およびアンテナ部33は、絶縁基材31の一方の表面に、スパッタリングでAlを製膜後、フォトリソグラフィー等でパターニングして形成されている。
【0029】
減光フィルタ22は、ICチップ34よりやや大きい正方形を成し、所定の透過率を有している。減光フィルタ22は、絶縁基材31の他方の表面の、ICチップ34に対応する位置に取り付けられている。すなわち、減光フィルタ22は、絶縁基材31およびインピーダンス整合部32を挟んで、ICチップ34の集積回路34bの側を覆うよう取り付けられている。
【0030】
光検知用タグ11は、絶縁基材31の他方の表面側に、外部から光が照射されたとき、その照射光が、減光フィルタ22を通して、インピーダンス整合部32の切欠き32bを挟んだ1対の端部および1対の固定部32cの隙間から、ICチップ34の集積回路34bの素子に照射するようになっている。これにより、素子の動作の基本となっているp-n接合面に光が照射されるため、素子の動作に影響が生じてしまう。特に、光検知用タグ11は、照射光が所定の閾値を超える放射照度で減光フィルタ22に照射されたとき、RFIDタグ21からの信号の送信が停止するよう構成されている。
【0031】
これに対し、光検知用タグ11は、絶縁基材31の一方の表面側に、外部から光が照射されたときには、その照射光がICチップ34のSi基板34aの他方の表面側に当たり、集積回路34bの素子には当たらないため、素子の動作にはほとんど影響がない。このため、図1に示すように、光検知用タグ11は、減光フィルタ22の側から光が当たるよう、絶縁基材31の一方の表面側をベースプレート50や壁などに貼り付けて使用される。なお、市販のRFIDタグ21は、通常、絶縁基材31の他方の表面に粘着剤層を設け、その粘着剤層によって、対象物へ貼付するようになっている。このため、通常の方法で使用する限りにおいては、ICチップ34の集積回路34bには光が照射されることはない。
【0032】
図1に示すように、リーダライタ12は、市販のリーダライタ12から成り、UHF帯外付けアンテナ23を有している。リーダライタ12は、光検知用タグ11のRFIDタグ21から、通信距離CLの間隔をあけて配置されており、光検知用タグ11のRFIDタグ21との間で、無線通信により、各種のデータを送受信可能に設けられている。特に、リーダライタ12は、RFIDタグ21からの識別情報等の信号を受信可能になっている。
【0033】
次に、作用について説明する。
光検知用タグ11および光検知システム10は、RFIDタグ21に外部から光が照射されると、その照射光の放射照度が減光フィルタ22により低減されて、ICチップ34の素子に照射される。このとき、照射光が所定の閾値を超える放射照度で減光フィルタ22に照射されると、RFIDタグ21からの信号の送信が停止する。このため、リーダライタ12に対して、RFIDタグ21から信号が送信されている場合には、照射光の放射照度がその閾値以下であることがわかる。また、RFIDタグ21から信号が送信されていないときには、照射光の放射照度がその閾値より大きいことがわかる。
【0034】
このように、光検知用タグ11および光検知システム10は、RFIDタグ21からの信号の送信の有無のみにより、RFIDタグ21に照射される照射光の放射照度の範囲を検出することができる。光検知用タグ11および光検知システム10は、減光フィルタ22を使用することにより、光センサーや、その光センサーからのデータを取得するための回路が不要であり、高感度の材料やセンサーも不要である。このように、光検知用タグ11および光検知システム10は、材料費を低減可能で、容易に光を検知することができる。光検知用タグ11および光検知システム10は、透過率の異なる減光フィルタ22を使用することにより、ICチップ34の素子に照射される照射光の放射照度を容易に制御することができ、所望の範囲の放射照度の光を検知することができる。
【0035】
なお、光検知用タグ11および光検知システム10で、照射光は、太陽光であってもよく、照明の光などであってもよい。RFIDタグ21およびリーダライタ12は、図2に示すものに限らず、RFID技術を利用するものであればいかなるものであってもよい。
【0036】
以下に、図1に示す光検知システム10や、図2に示す光検知用タグ11などを用いて、各種の実験を行った。実験で使用した主な材料、装置、ソフトウェアは、以下の通りである。
【0037】
[材料]
(1)ICチップ:Axzon社;Magnus-S3
(2)UHF帯RFIDタグ:Avery Dennison Smartrac社;Temperature Sensor Dogbone、周波数帯:UHF 860~960 MHz
(3)黒色ビニールテープ: 3M製; 117 BLA 50X20、厚さ;0.2mm
(4)黒色両面接着テープ:Nitto製; No. 5605BN、厚さ;0.05mm
(5)減光フィルタ(NDフィルタ):FUJIFILM製;富士フィルム光学フィルタ、ND-0.3(透過率;56.58%)、ND-0.6(透過率;24.55%)、ND-0.9(透過率;16.63%)、ND-1.2(透過率;8.02%)、ND-1.5(透過率;3.85%)、ND-2.0(透過率;1.47%)、ND-3.0(透過率;0.05%)、厚さ;いずれも略90μm
(6)プラスチック集光レンズ:LEDジェネリック;3WハイパワーLED用集光レンズ、集光角度;30度、サイズ;外形13mm、内径8mm、高さ9.5mm
(7)放射導体形成用銅テープB:3M製;導電性片面銅箔テープ Cu-35C、軟質圧延銅箔、厚さ略0.035mm、テープ幅略5mm、導電性粒子分散アクリル系粘着剤
(8)伸縮性Agペースト:ナミックス株式会社製;XE181G
(9)発泡スチロールレンガ:ダイソー製;白色、245×120×62mm
【0038】
[装置]
(10)UHF帯RFIDリーダライタ:タカヤ株式会社製;UTR-S201、特定小電力無線局タイプ、送信周波数;916.8MHz~923.2MHz(18チャンネル)、送信出力;10dBm(10mW)~24dBm(250mW)、インターフェース;USBインターフェース基板TR3-IF-U1C
(11)UHF帯外付けアンテナ(直線偏波型):タカヤ株式会社製;UTR-UA1709-1
(12)UHF帯外付けアンテナ(円偏波型):Times-7社製;A5020
(13)疑似太陽光源:ABET社;10500
(14)電磁シャッターコントローラー:駿河精機製; SHUTTER CONTROLLER F77-6、RS232Cインターフェース
(15)電磁シャッター:駿河精機製;F77-4
(16)レンズ:シグマ光機製;合成石英球面両凸レンズ SLSQ-50B-150P、外形;50mmφ、焦点距離;151.3mm
(17)ミラー:シグマ光機製;アルミ平面ミラー TFAN-80C12-4、外形;80mmφ
(18)パワーメータ:Ophir社;パワーメータディスプレイ Nova
(19)パワーメータヘッド:Ophir社;高感度 サーマルセンサー 12A-P―SH
(20)He-Neレーザー:UniPhase製;Model 1137P、波長;632.8nm、出力;7mW、ビーム拡がり角;1.00mrad
【0039】
[ソフトウェア]
(21)UHF帯RFIDリーダライタ用自作ソフトウェア
(22)グラフ処理ソフト:WaveMetrics社;Igor Pro
【0040】
(21)については、常にデータ表示を行い、光検知用タグ11から送信される情報の経時変化を連続的にモニターできるよう、RFIDリーダライタ用のソフトウェアを自作した。すなわち、タカヤ株式会社UTR通信プロトコルver1.15とシリアルポート制御モジュールEasyCommとを用いて、Microsoft Excelから、RFIDリーダライタの制御およびデータ取得を行うソフトウェアをExcel Visual Basic(Excel VBA)で開発した。ICチップ34(Magnus-S3)からのリーダーRSSIの取得は、タカヤ株式会社UTR通信プロトコルに従って行った。ICチップ34(Magnus-S3)からのセンサーコードSの取得は、RFmicron社の資料(AN002F40:Reading Magnus-S Sensors)で公開されているメモリーバンク(RESERVED)、ワードアドレス(C)、およびビット数(9)の情報に従って行った。
【0041】
自作したソフトウェアでは、センサーコードSの値については、1よりも小さい場合と、500よりも大きい場合とを異常値として判断し、それらの場合の値が0と表示されるようにしている。また、リーダーRSSIの値については、-100よりも小さい場合と、-1よりも大きい場合とを異常値として判断し、それらの場合の値が0と表示されるようにしている。なお、これらの異常値の範囲は、上記の場合に限定されず、測定環境にあわせて調整することができる。
【0042】
なお、以下の実験では、光検知用タグ11のRFIDタグ21からリーダライタ12が受信する情報は、リーダーRSSI(Received Signal Strength Indicator)およびセンサーコードSとした。リーダーRSSIは、リーダライタ12がRFIDタグ21から受信している電力に関わる値である。リーダーRSSIの値は、インピーダンス整合部32とICチップ34の内部インピーダンスとの値が同等であるようなインピーダンス整合が取れている条件下ほど大きくなる。
【0043】
リーダーRSSIの単位は、dBm(デシベルミリワット)であり、リーダーRSSI強度の目安として、-30dBm~-40dBmで無線接続は安定し、-60dBm以下では、無線接続が不安定になる場合がある。なお、リーダーRSSIが強すぎる場合には、その電力を受けたICチップ34が加熱されるため、通信が不安定化したり、センサーコードSの値に影響が出たりする場合がある。
【0044】
センサーコードSは、UHF入力で観測したRFIDタグ21のインピーダンスに関わる値である。RFIDタグ21のインピーダンス整合部32は、ICチップ34とループ回路を形成しており、開口部32aの形状や大きさ等を調整して、複素インピーダンスの虚部(リアクタンス)を制御することにより、各アンテナ部33とICチップ34との間での信号の入出力におけるインピーダンス整合を担っている。インピーダンス整合部32のインピーダンス値は、周囲環境の影響を受けて変動するが、或る種のICチップ34は、ICが信号を受信するのに最適なインピーダンス値にオートチューニングする機能を有しているため、インピーダンスのオートチューニングに係る値をセンサーコードSとして、リーダライタ12に送信している。
【0045】
センサーコードSの値は、RFIDタグ21のインピーダンス整合部32がフリースペース(空気中)にある場合には、250前後であり、インピーダンス整合部32が、誘電率の大きな水分を多量に含む物質に接触した場合には減少し、水滴等に接触した場合には0に近い値となる。
【実施例0046】
[疑似太陽光源を用いた光照射下での測定]
図3に、RFIDタグ21へ光照射を行いながら、リーダライタ12でRFIDタグ21のICチップ34からの信号を受信するための測定系を示す。光源として疑似太陽光源(ソーラーシミュレーター)51を用い、電磁シャッター52を介して、アパーチャー(虹彩絞り)53、ミラー54およびレンズ55によって、放射照度を100mW/cmに調整すると共に光路調整を行い、ベースプレート50上に設置したRFIDタグ21に光照射を行った。光路調整では、照射光が、ICチップ34を中心として、100mW/cmの放射照度で円形になるようにした。なお、100mW/cmの放射照度は、太陽電池の評価においては1SUNとも定義される基準となる照度で、地上での標準的な太陽光(AM1.5)に相当する。
【0047】
ベースプレート50は、白色の発泡スチロールレンガ(245×120×62mm)から成っている。空気を多量に含んだ発泡スチロールは、低誘電性の素材であり、RFIDタグ21を貼付した場合にも、フリースペースの空気中と同様な特性となるため、RFIDタグ21への影響を無視することができる。光照射では、ミラー54で20度前後の角度で上向きの光路にすることにより、リーダライタ12のUHF帯外付けアンテナ23からのUHF波と、ベースプレート50上に設置したRFIDタグ21との空間に、できるだけアパーチャー53やレンズ55が入らないようにした。なお、UHF波は、電波の回り込み特性を有しているため、送受信空間中にある障害物の影響を受けづらくなっている。
【0048】
電磁シャッター52は、RS232CインターフェースによってPCに接続されており、PC上のプログラムによって、一定間隔で開閉を行えるようになっている。これにより、ベースプレート50上に設置したRFIDタグ21に対し、一定間隔のオン・オフで光照射を行った。以下の実験では、30秒間隔でオン・オフしながら光照射を行っている。
【0049】
実験では、ベースプレート50上に設置したRFIDタグ21とリーダライタ12のUHF帯外付けアンテナ23の表面との距離(通信距離)CLを、150cmとした。UHF帯外付けアンテナ23は、直線偏波型および円偏波型のものを選択的に用いた。直線偏波型のものを用いたときには、直線偏波方向が床面に対して平行になるように設置した。また、RFIDタグ21を、長手方向が床面に平行になるようにベースプレート50に取り付けた。
【0050】
また、連続的に放射照度を変化させるときには、アパーチャー(虹彩絞り)53の開閉つまみの位置を、PC制御自動ステージで連続的に移動させて行った。なお、あらかじめ、アパーチャー53の開閉つまみの位置の移動に伴う放射照度の変化を、RFIDタグ21を設置する位置に置いたパワーメータで測定し、開閉つまみの位置と放射照度との関係を検量線として求めておいた。
【0051】
[ICチップの集積回路側に光照射した場合;減光フィルタ無し;直線偏波型アンテナ]
図3に示す測定系で、RFIDタグ21のICチップ34の集積回路34bの側に、100mW/cmの疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときの、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値の変化を測定した。その結果を、図4に示す。なお、実験では、リーダライタ12のUHF帯外付けアンテナ23を直線偏波型とし、減光フィルタ22を取り外している。
【0052】
図4に示すように、光を照射したとき(光照射がオンのとき)、RFIDタグ21のICチップ34の素子に光が照射され、ICチップ34とリーダライタ12との間の信号の送受信が停止するため、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値は、0となることが確認された。また、光の照射がないとき(光照射がオフのとき)、正常な送受信状態となるため、リーダーRSSIおよびセンサーコードSは正常値になることが確認された。このように、図4では、光照射のオン・オフによるリーダーRSSIおよびセンサーコードSの値の変化が、再現性よく観測されている。
【0053】
[ICチップのSi基板側に光照射した場合;減光フィルタ無し;直線偏波型アンテナ]
図3に示す測定系で、RFIDタグ21のICチップ34のSi基板34aの側(集積回路34bとは反対側)に、100mW/cmの疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときの、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値の変化を測定した。その結果を、図5に示す。なお、実験では、リーダライタ12のUHF帯外付けアンテナ23を直線偏波型とし、減光フィルタ22を取り外している。図5に示すように、光照射をオン・オフしても、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの信号はほとんど変化しないことが確認された。
【0054】
[ICチップの集積回路側に光照射した場合;減光フィルタ無し;円偏波型アンテナ]
図3に示す測定系で、リーダライタ12のUHF帯外付けアンテナ23を直線偏波型から円偏波型に変えて、RFIDタグ21のICチップ34の集積回路34bの側に、100mW/cmの疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときの、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値の変化を測定した。その結果を、図6に示す。なお、実験では、減光フィルタ22を取り外している。図6に示すように、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値は、UHF帯外付けアンテナ23の偏波特性にはよらず、図4と同様の変化をすることが確認された。
【0055】
[各種のRFIDタグのICチップの集積回路側に光照射した場合;減光フィルタ無し;直線偏波型アンテナ]
図3に示す測定系で、RFIDタグ21を、(A)オン・セミコンダクター社製の「SPS1T001PET(ICチップ:Axzon社製「Magnus-S3」)」、(B)エイリアンテクノロジー(Alien Technology)社製の「ALN-9745(Slimline、ICチップ:「Higgs4」)」、(C)エイリアンテクノロジー(Alien Technology)社製の「ALN-9954(ICチップ:「Higgs9」)」、(D)エイリアンテクノロジー(Alien Technology)社製の「ALN-9874(ICチップ:「HiggsEC」)」にそれぞれ変えて実験を行った。実験では、(A)~(D)の各RFIDタグ21のICチップ34の集積回路34bの側に、100mW/cmの疑似太陽光をオン・オフしながら照射したときの、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値の変化を測定した。各RFIDタグ21での実験結果を、図7図8(a)~(c)に示す。なお、実験は、RFIDタグ21の種類以外は、図4の場合と同様の条件で行った。また、(B)~(D)のRFIDタグ21には、オートチューニング機能がなく、センサーコードSの計測はできないため、図8(a)~(c)では、リーダーRSSIの値の変化のみを示している。
【0056】
図7に示すように、(A)のRFIDタグ21を用いた場合には、光照射がないときのセンサーコードSの値が異なっているが、それ以外は図4と同様の変化を示すことが確認された。このことから、(A)のRFIDタグ21も、光照射がオンのときには、ICチップ34の集積回路34bの素子に光が照射されており、その影響が生じていることがわかる。なお、光照射がないときのセンサーコードSの値が、図4の値と異なっているのは、インピーダンス整合部32の形状が異なっているためであると考えられる。
【0057】
図8(a)~(c)に示すように、(B)~(D)のRFIDタグ21を用いた場合には、光を照射しても(光照射をオンにしても)、リーダーRSSIの値は、光の照射がないとき(光照射がオフのとき)の値からほとんど変化せず、ほぼ一定であることが確認された。このことから、(B)~(D)のRFIDタグ21では、ICチップ34の集積回路34bの素子に光が照射されても、その影響をほとんど受けないことがわかる。以上の結果から、市販のRFIDタグ21でも、種類によって、光照射のオン・オフによりリーダーRSSIやセンサーコードSの値が変化するものと、変化しないものとがあり、光検知用タグ11として使用できるものと使用できないものとがあることがわかる。
【実施例0058】
[ICチップの集積回路のみに光照射した場合;減光フィルタ無し;直線偏波型アンテナ]
光照射では、ICチップ34だけではなく、インピーダンス整合部32にも光が照射されている。そこで、図9に示すように、インピーダンス整合部32への光照射の影響を除くために、RFIDタグ21の絶縁基材31の他方の表面に、ICチップ34に対応する位置に2.3mmφの穴を開けた黒色ビニールテープ56を貼り付けた。こうして、図3に示す測定系で、ICチップ34のみに光が当たるようにした状態で、その他は図4の場合と同様の条件で実験を行った。その結果、光照射のオン・オフに伴い、図4と全く同じリーダーRSSIおよびセンサーコードSの変化が確認された。このことから、光照射によるリーダーRSSIおよびセンサーコードSの変化は、ICチップ34の集積回路34bの素子に光が照射されることにより起こっているといえる。
【実施例0059】
[光検知用タグに光照射した場合;減光フィルタ有り;直線偏波型アンテナ]
図10に示すように、RFIDタグ21に減光フィルタ22を取り付けた光検知用タグ11を用いて、図3に示す測定系で実験を行った。実験では、減光フィルタ22として、5×5mmのサイズにカットした、フレキシブルで軽量な、市販の樹脂フィルム製のものを用いた。また、絶縁基材31の一方の表面側に、絶縁基材31、インピーダンス整合部32、ICチップ34のSi基板34aの他方の表面(集積回路34bとは反対側の表面)を覆うよう、黒色両面接着テープ57を貼り付けている。この黒色両面接着テープ57は、反射防止層を成し、光検知用タグ11を対象物に貼付する際に、光が照射される面(ICチップ34の集積回路34bの側の表面)の裏面に位置する対象物からの反射光が、その対象物により変化することによる誤差を防ぐことができる。
【0060】
実験は、減光フィルタ22を使用すること以外は、図4の場合と同様の条件で行った。実験では、7種類の減光フィルタ22を用いた。使用した減光フィルタ22のナンバーおよび透過率を、表1に示す。また、表1には、1SUN(100mW/cm)の光源を用いた場合に、RFIDタグ21に入射する放射照度も示している。
【0061】
【表1】
【0062】
なお、表1に示す樹脂フィルム製の減光フィルタ22は、写真の露出制御用に用いられるものであり、それらの透過率の値は、可視光の範囲で規定されており、700 nmより長波長側では透過率が異なっている。また、その透過率は、減光フィルタ22ごとに微妙に異なっている。ICチップ34は、シリコン系の半導体素子であるため、1100 nmの波長まで光吸収があり、700 nm以上の近赤外線の透過光にも感度を有している。このため、以下の実験では考慮していないが、実際に樹脂フィルム製の減光フィルタ22を用いる場合には、透過率の表示値だけではなく、実際に放射照度を変えた場合の実測データも考慮する必要がある。
【0063】
まず、減光フィルタ22として、表1に示すND-2.0(透過率;1.47%)を用い、光検知用タグ11を白色のベースプレート50(白色発泡スチロール)に設置し、照射する光の放射照度を変化させて、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値の変化を測定した。その結果を、図11に示す。図11には、裏面からの反射光防止のための黒色両面接着テープ57を貼り付けている場合(図中の「黒バック」)だけでなく、黒色両面接着テープ57を貼り付けていない場合(図中の「白バック」)の結果も示している。
【0064】
図11に示すように、放射照度を大きくしていったとき、白バックの場合には、放射照度が40mW/cm付近で、リーダーRSSIおよびセンサーコードSが0になっているのに対し、黒バックの場合には、放射照度が95mW/cm付近で、リーダーRSSIおよびセンサーコードSが0になっていることが確認された。白バックの方が小さい放射照度で反応しているのは、ベースプレート50からの反射光の影響であると考えられる。
【0065】
次に、表1に示す7種類の減光フィルタ22を用いて、図11と同様の実験を行った。なお、黒色両面接着テープ57は貼り付けられている。減光フィルタ22を用いない場合(透過率;100%)、および、5種類の減光フィルタ22を用いた場合の、センサーコードSの値の変化を、図12(a)~(f)に示す。図12(a)~(f)に示すように、放射照度を大きくしていったとき、透過率が小さくなるのに従って、センサーコードSが0になるときの放射照度(以下、「放射照度の閾値」ともいう)が大きくなることが確認された。なお、図12(a)に示すように、減光フィルタ22が無い場合の放射照度の閾値は、4.04mW/cmであった。
【0066】
放射照度の閾値と減光フィルタ22の透過率との関係を、図13に示す。図13には、図12(a)~(f)の結果だけでなく、使用した7種類の全ての減光フィルタ22を用いた場合の結果を使用している。図13に示すように、センサーコードSを0にするためには、減光フィルタ22の透過率が小さいほど、疑似太陽光源51の放射照度を大きくする必要があることが確認された。なお、減光フィルタ22の透過率/100に放射照度の閾値をかけた値が、光検知用タグ11の感度となる。この感度は、約2~4mW/cmであったが、上記で述べた近赤外光での透過特性の違いの影響も含んでいると考えられる。
【0067】
この結果から、図13に示す放射照度の閾値と減光フィルタ22の透過率との関係に基づいて、放射照度の所望の閾値に対応する透過率を有する減光フィルタ22を選択することにより、その閾値より大きい放射照度を有する光や、その閾値より小さい放射照度を有する光を検知することができる光検知用タグ11を構成することができる。また、これにより、光検知用タグ11に照射される光の放射照度の定量的な観測を行うことができる。
【実施例0068】
[レーザー光源を用いた光照射下での測定;減光フィルタ無し;円偏波型アンテナ]
図14に、光源として疑似太陽光源51の代わりに、He-Neレーザー光源58(波長 632.8 nm、出力 7 mW、ビーム拡がり角 1.00 mrad)を用いた測定系を示す。図14に示す測定系では、He-Neレーザー光源58からのレーザー光が、電磁シャッター59を介して、RFIDタグ21のICチップ34に照射されるようになっている。レーザー光は指向性が高いため、図14に示す配置により、レーザー光の光路を遮る動きをする対象物の動作を検知することができる。また、実験では、通信距離CLを150cm、He-Neレーザー光源58と光検知用タグ11との距離を200cmとしたが、レーザー光は指向性が高いため、レーザー光源と光検知用タグ11との間に数m以上の距離があっても光検知は可能である。
【0069】
まず、He-Neレーザー光源58からの7mWの放射照度のレーザー光を、電磁シャッター59により30秒間隔でオン・オフしたときの、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの変化を測定した。その結果を、図15に示す。なお、実験では、リーダライタ12のUHF帯外付けアンテナ23を円偏波型とし、減光フィルタ22を取り外している。図15に示すように、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値は、疑似太陽光源51を用いた図4および図6と同様の変化をすることが確認された。なお、光照射がオフのときのリーダーRSSIの値が、疑似太陽光源51の場合に比べて低くなっているのは、レーザー光の放射照度(7mW)が疑似太陽光源51の放射照度(100mW/cm)に比べて小さいためである。
【0070】
次に、電磁シャッター59を開放状態(光照射がオンの状態)にして、手の動きでレーザー光を遮断したときの、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの変化を測定した。その結果を、図16に示す。図16に示すように、手の動作に応じて、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値が変化する様子が確認された。
【実施例0071】
[ICチップの集積回路側に光照射した場合;集光レンズ有り;減光フィルタ無し;直線偏波型アンテナ]
図10に示す光検知用タグ11は、図13に示すように、光検知可能な最小放射照度(センサー感度)が約4mW/cmであった。ここでは、図17に示すように、より感度を高めるために、絶縁基材31の他方の表面の、ICチップ34に対応する位置(ICチップ34の集積回路34bの側)に、プラスチック製の小型の集光レンズ24(集光角度30度)を取り付けた光検知用タグ11を作製して、以下の実験を行った。
【0072】
図17に示す光検知用タグ11を使用して、図3に示す測定系で、ICチップ34の集積回路34bの側に、疑似太陽光を0.745mW/cmの放射照度で照射したときの、リーダーRSSIおよびセンサーコードSの値の変化を測定した。その結果を、図18に示す。なお、実験では、リーダライタ12のUHF帯外付けアンテナ23を直線偏波型とし、減光フィルタ22を取り外している。また、実験では、測定開始から2分後に集光レンズ24を取り外し、その状態でも測定を継続した。
【0073】
図18に示すように、集光レンズ24があるときには、0.745mW/cmの低放射照度下であっても、リーダーRSSIおよびセンサーコードSは0となることが確認された。これに対し、集光レンズ24を取り外したときには、元の感度(約4mW/cm)に戻るため、0.745mW/cmの放射照度では光を検知せず、リーダーRSSIおよびセンサーコードSは正常値になることが確認された。
【実施例0074】
[複数の光検知用タグを利用する場合]
複数の光検知用タグ11を一体的に設けたものを作製して、実験を行った。図19に示すように、3つの光検知用タグ11を幅方向に沿って並べ、黒色ビニールテープ56で一体的にしたものを作製した。各光検知用タグ11は、絶縁基材31をインピーダンス整合部32と同じ大きさのものとし、各アンテナ部33を絶縁基材31ではなく黒色ビニールテープ56に固定している。各光検知用タグ11は、各アンテナ部33により黒色ビニールテープ56に固定されている。各光検知用タグ11は、黒色ビニールテープにより、ICチップ34の集積回路34bの側の面とは反対側の面からの反射を抑えるようになっている。
【0075】
また、各光検知用タグ11は、互いに異なる透過率の減光フィルタ22を有している。図19に示す具体的な一例では、各光検知用タグ11は、それぞれ表1に示すND-2.0、ND-1.5、ND-0.6の減光フィルタ22を有している。
【0076】
図19に示す一体型の光検知用タグ11を用いた場合、透過率の異なる減光フィルタ22を有する各光検知用タグ11からの信号変化の有無を比較することにより、放射照度を定量的に求めることができる。すなわち、各光検知用タグ11のRFIDタグ21は、固有の識別番号を有しているため、測定の際には、どの透過率の減光フィルタ22を有するRFIDタグ21からの信号が変化したのかを判別することができる。このため、各光検知用タグ11からの信号変化の有無と、各光検知用タグ11の識別番号とから、閾値にある光検知用タグ11の減光フィルタ22の透過率を知ることができ、図13に示す放射照度の閾値と減光フィルタ22の透過率との関係に基づいて、放射照度を定量的に求めることができる。
【0077】
なお、光検知用タグ11は3つに限らず、いくつであってもよい。異なる透過率の減光フィルタ22を有する光検知用タグ11の個数が多いほど、検知する放射照度の分解能は高くなる。また、複数の光検知用タグ11の減光フィルタ22の組み合わせを変えて設置することにより、より多様な透過率の減光フィルタ特性を得ることができる。
【0078】
図19に示す一体型の光検知用タグ11を用いて、図3に示す測定系で、疑似太陽光源51の放射照度を、106mW/cm、92mW/cm、42.8mW/cm、10.8mW/cmとして照射したときの、センサーコードSの値の変化を測定した。その結果を、表2に示す。表2中の×印は、光照射によってセンサーコードSが0になった場合を、丸印は光照射によってもセンサーコードSの値の変化が起こらなかった場合を示している。なお、実験では、通信距離CLを70cmとし、リーダライタ12のUHF帯外付けアンテナ23を直線偏波型とした。また、疑似太陽光源51の放射照度は、各光検知用タグ11を設置したベースプレート50の位置で、パワーメータ―で計測した実測値である。
【0079】
【表2】
【0080】
表2に示すように、照射光の放射照度を106mW/cmとしたとき、光照射によって、3つの光検知用タグ11のセンサーコードSが全て0になった。これは、図13から、ND-2.0の放射照度の閾値は94.2mW/cmであり、この閾値を越えた放射照度(106mW/cm)の光が照射されたためであると考えられる。
【0081】
表2に示すように、照射光の放射照度を92mW/cmとしたとき、ND-1.5およびND-0.6の減光フィルタ22を使用した光検知用タグ11のセンサーコードSが0となり、ND-2.0の減光フィルタ22を使用した光検知用タグ11では、センサーコードSの値の変化が起こらなかった。これは、図13から、ND-2.0の放射照度の閾値が94.2mW/cmであり、照射光の放射照度が92mW/cmであったためであると考えられる。
【0082】
表2に示すように、照射光の放射照度を42.8mW/cmとしたとき、ND-0.6の減光フィルタ22を使用した光検知用タグ11のセンサーコードSが0となり、ND-1.5およびND-2.0の減光フィルタ22を使用した光検知用タグ11では、センサーコードSの値の変化が起こらなかった。これは、図13から、ND-1.5の放射照度の閾値が43.16mW/cmであり、照射光の放射照度が42.8mW/cmであったためであると考えられる。
【0083】
表2に示すように、照射光の放射照度を10.8mW/cmとしたとき、3つの光検知用タグ11では、共にセンサーコードSの値の変化が起こらなかった。これは、図13から、ND-0.6の放射照度の閾値が11.79mW/cmであり、この閾値より小さい放射照度(10.8mW/cm)の光が照射されたためであると考えられる。
【0084】
これらの結果から、異なる透過率の減光フィルタ22を有する複数の光検知用タグ11を一体的に設けることにより、照射光の放射照度をより狭い範囲で求めることができる。これにより、放射照度に関する定量的な情報を得ることができ、光量計として使用することもできる。なお、この場合、リーダライタ12に接続された解析手段を有し、解析手段が、リーダライタ12による各光検知用タグ11からの信号の受信の有無により、照射光の放射照度を求めるよう構成されていてもよい。
【0085】
図19に対し、同一の透過率の減光フィルタ22を有する複数の光検知用タグ11を、異なる場所に設置し、設置した場所と光検知用タグ11の識別番号とをあらかじめ判別できるようにしておくことにより、設定した閾値を超える放射照度の場所や、その閾値より小さい放射照度の場所を検出することができる。この場合、例えば、太陽光や照明の光などの当たる場所を制御するために使用することができ、農業分野等に応用することができる。なお、この場合、リーダーRSSIの値には、RFIDタグ21とリーダライタ12との間の距離が顕著に影響するため、センサーコードSを用いてセンシングを行うことが好ましい。また、リーダライタ12に接続された解析手段を有し、解析手段が、リーダライタ12による各光検知用タグ11からの信号の受信の有無により、閾値を超える放射照度を有する照射光の分布を求めるよう構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 光検知システム
11 光検知用タグ
21 RFIDタグ
31 絶縁基材
32 インピーダンス整合部
32a 開口部
32b 切欠き
32c 固定部
33 アンテナ部
34 ICチップ
34a Si基板
34b 集積回路
22 減光フィルタ
12 リーダライタ
23 UHF帯外付けアンテナ

24 集光レンズ

50 ベースプレート
51 疑似太陽光源
52 電磁シャッター
53 アパーチャー
54 ミラー
55 レンズ
56 黒色ビニールテープ
57 黒色両面接着テープ
58 He-Neレーザー光源
59 電磁シャッター
図1
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