(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084967
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】傾斜検出装置及び傾斜検出方法
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20240619BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20240619BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
G01S7/481 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199198
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213702
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 芳則
(72)【発明者】
【氏名】黒木 英治
(72)【発明者】
【氏名】小柳 一
(72)【発明者】
【氏名】加園 修
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
5J084
【Fターム(参考)】
2H045AB00
2H045BA12
2H141MA12
2H141MB23
2H141MC05
2H141MD13
2H141MD20
2H141ME01
2H141ME09
2H141ME23
2H141ME24
2H141ME25
2H141MF28
2H141MZ12
5J084BA03
5J084BB02
5J084BB21
5J084BB28
(57)【要約】
【課題】部材の傾斜状態を簡易且つ高い精度で検出する傾斜検出装置及び傾斜検出方法を提供すること。
【解決手段】第一の光を反射する反射面、並びに、反射面側及び反射面とは反対側の面の一方から他方へ第二の光を導光する導光部を有し、角度制御される偏向部材と、導光部により導光された第二の光を検出する検出部と、制御部と、を備える。また、導光部は、偏向部材の傾斜に対応して第二の光の光軸位置を変位させる。制御部は、検出部により検出された第二の光の光軸位置から、偏向部材の傾斜を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の光を反射する反射面、並びに、前記反射面側及び前記反射面とは反対側の面の一方から他方へ第二の光を導光する導光部を有し、角度制御される偏向部材と、
前記導光部により導光された前記第二の光を検出する検出部と、
制御部と、
を備え、
前記導光部は、前記偏向部材の傾斜に対応して前記第二の光の光軸位置を変位させ、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記第二の光の光軸位置から、前記偏向部材の傾斜を検出する、
傾斜検出装置。
【請求項2】
前記導光部は、前記反射面の回動中心点上に配置される光学部材であり、
前記導光部における前記第二の光の入射面と出射面は、平行面である、
請求項1に記載の傾斜検出装置。
【請求項3】
前記反射面は、前記第一の光を反射し、前記第二の光を透過する光選択部を有する請求項2に記載の傾斜検出装置。
【請求項4】
前記光選択部は、前記偏向部材へ入射する前記第二の光の光束断面径よりも小径に形成される請求項3に記載の傾斜検出装置。
【請求項5】
前記第二の光は、前記反射面側から入射する傾斜検出光であり、
前記第一の光は、前記導光部に入射する前記第二の光とは異なる角度で入射及び反射するように導光される測距光であり、
前記検出部は、前記偏向部材に対し前記反射面とは反対側に配置される、
請求項1に記載の傾斜検出装置。
【請求項6】
前記第二の光を出射する光源と、前記光源から出射された前記第二の光を前記偏向部材へ反射する第二偏向部材とをさらに備える、請求項5に記載の傾斜検出装置。
【請求項7】
前記偏向部材は、前記反射面側に回動中心点を有し、
前記反射面は、前記第一の光を反射し、前記第二の光を透過させる第一光選択部を有し、
前記導光部は、前記回動中心点から遠い側の面に、前記第二の光を小径に絞る第二光選択部を有する、
請求項1に記載の傾斜検出装置。
【請求項8】
前記検出部は、四分割光検出素子であり、
前記制御部は、前記四分割光検出素子の各受光部が検出した前記第二の光の受光強度により、前記偏向部材の傾斜を検出する、
請求項1に記載の傾斜検出装置。
【請求項9】
第一の光を反射する反射面、並びに、前記反射面側及び前記反射面とは反対側の一方から他方へ第二の光を導光する導光部を有し、角度制御される偏向部材と、
前記導光部により導光された前記第二の光を検出する検出部と、
制御部と、
を備える傾斜検出装置の傾斜検出方法であって、
前記導光部が、前記偏向部材の傾斜に対応して前記第二の光の光軸位置を変位させ、
前記制御部が、前記検出部により検出された前記第二の光の光軸位置から、前記偏向部材の傾斜を検出する、
傾斜検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、傾斜検出装置及び傾斜検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光を反射するミラーを備えたスキャナ装置に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、レーザ光源から出射されたレーザ光の出射方向を変更するミラーと、ミラーに設けられた第1反射面及び第2反射面のうちの第2反射面を反射した反射光を受光する受光センサを有するミラー回転角度検出手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のスキャナ装置では、ミラーの傾斜に伴う反射角度で反射された光を検出するため、反射光を受光するために必要な受光センサの検出範囲が広い。そのため、受光センサが大きくなり、スキャナ装置の小型化が容易ではない。
【0005】
本開示は、被制御部材の傾斜状態を簡易且つ高い精度で検出する傾斜検出装置及び傾斜検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る傾斜検出装置は、第一の光を反射する反射面、並びに、前記反射面側及び前記反射面とは反対側の面の一方から他方へ第二の光 を導光する導光部を有し、角度制御される偏向部材と、前記導光部により導光された前記第二の光を検出する検出部と、制御部と、を備え、前記導光部は、前記偏向部材の傾斜に対応して前記第二の光の光軸位置を変位させ、前記制御部は、前記検出部により検出された前記第二の光の光軸位置から、前記偏向部材の傾斜を検出する。
【0007】
本開示に係る傾斜検出方法は、第一の光を反射する反射面、並びに、前記反射面側及び前記反射面とは反対側の一方から他方へ第二の光を導光する導光部を有し、角度制御される偏向部材と、前記導光部により導光された前記第二の光を検出する検出部と、制御部と、を備える傾斜検出装置の傾斜検出方法であって、前記導光部が、前記偏向部材の傾斜に対応して前記第二の光の光軸位置を変位させ、前記制御部が、前記検出部により検出された前記第二の光の光軸位置から、前記偏向部材の傾斜を検出する。
【発明の効果】
【0008】
上記手段を用いる本開示に係る傾斜検出装置及び傾斜検出方法は、被制御部材の傾斜状態を簡易且つ高い精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る光源装置の構成図である。
【
図3】スキャナ装置の一部の構成の分解斜視図である。
【
図4】スキャナ装置の一部の構成のIV-IV断面図である。
【
図6】
図4のIV-IV断面における拡大図である。
【
図8】実施形態2及び実施形態3の光選択部を介して受光部に照射されたレーザ光の照射領域を示す図である。
【
図9】光源から検出部までの光路におけるレーザ光の強度分布の変化を、直交する2方向から見た模式図である。
【
図10】実施形態4及び実施形態5の光選択部を介して受光部に照射されたレーザ光の照射領域を示す図である。
【
図11】実施形態6の偏向部材を含むスキャナ装置のIV-IV断面に相当する位置における拡大図である。
【
図13】
図12のヨーク部材のXIII-XIII断面図である。
【
図14】実施形態8のヨーク部材の断面図であり、XIII-XIII断面に相当する位置について示している。
【
図17】実施形態10のヨーク部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、光源装置1の構成図である。光源装置1は、レーザ光を空間に出射する機能を有する。光源装置1は、例えば、レーザ測距装置又はLiDAR(Light Detection And Ranging)センサ等の光源として利用される。光源装置1は、制御部11、測距光光学系12、光学系駆動回路13、及びスキャナ装置2を備える。
【0011】
制御部11は、光学系駆動回路13、スキャナ装置駆動回路14及び角度センサ回路15等の動作を制御する。制御部11は、記憶部(不図示)に記憶されるプログラムに含まれるコード又は命令によって実現する機能、及び/又は方法を実行する。制御部11は、例として、中央処理装置(CPU,Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU、MCU(Microcontroller Unit)、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を適用することができ、集積回路等に形成された論理回路や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。
【0012】
光源装置1の図示しない記憶部は、必要とする各種プログラムや各種データを記憶する機能を有する。また、測定した信号等の取得した情報を記憶可能である。記憶部は、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。
【0013】
測距光光学系12は、レーザ光を出射する発光素子、レーザ発光素子から出射されたレーザ光を導光するレンズ又はミラー等を含む光学素子、及び、レーザ光を検出する受光素子を含む。この光学素子には、光線幅の調整又は輝度分布の調整を行う拡散板、ライトトンネル、マイクロレンズアレイ、集光レンズ、又はフィルタ等を含んでもよい。受光素子は、レーザ発光素子が出射し、光源装置1の外部の物体が反射した戻り光を受光することができる。測距光光学系12は、スキャナ装置2の偏向部材7に対して測距光(第一の光)であるレーザ光L1を出射する。
【0014】
光学系駆動回路13は、測距光光学系12の発光素子の発光を制御する。また、光学系駆動回路13は、測距光光学系12の受光素子が受光した光を検出して電気信号に変換した情報を、制御部11に伝達する。
【0015】
スキャナ装置2は、測距光光学系12が出射したレーザ光L1を、予め定めた立体角の範囲のうち選択された方向及び角度で反射して光源装置1の外部に出射光として出射する。スキャナ装置2は、偏向部材7の角度を制御することにより、レーザ光L1を、レーザ光L11又はレーザ光L12に例示する異なる方向へ光を反射することができる。また、スキャナ装置2は、光源装置1の外部から入射した光を測距光光学系12に導光する。光源装置1の外部から入射する光は、光源装置1の外部の物体を反射した反射光L3である。なお、光源装置1の構成によっては、光源装置1から出射されるレーザ光L1は、光源装置1の装置内の他の光学系に導光してもよい。
【0016】
スキャナ装置2は、ミラー制御装置3、傾斜検出装置4、及び支持部材6を備える。本実施形態のミラー制御装置3は、ヨーク部材5、偏向部材7及びスキャナ装置駆動回路14を有する。また、本実施形態の傾斜検出装置4は、傾斜検出光(第二の光)として利用するレーザ光L2を出射する光源41、レンズ42、偏向部材43(第二偏向部材)、検出回路基板44及び角度センサ回路15を有する。なお、偏向部材7は、傾斜検出装置4の一部としても機能する。
【0017】
図2は、スキャナ装置2のミラー制御装置3及び傾斜検出装置4の一部の構成の斜視図である。なお、スキャナ装置2の説明において、偏向部材7側をスキャナ装置2の上、基部材55側を下とする。また、
図3は、スキャナ装置2のミラー制御装置3及び傾斜検出装置4の一部の構成の分解斜視図である。
【0018】
ヨーク部材5は、第一ヨーク51と、第一ヨーク51とは異なり、かつスキャナ装置2の軸線P周りの回転対称位置に配置される第二ヨーク52と、を備える。第一ヨーク51は、それぞれ第一端部532a,532aを有する一対の第一腕部材53,53と、第一腕部材53,53の第一端部532a,532aとは反対側の部位と接続される基部材55とを有する。また、第二ヨーク52は、それぞれ第二端部542a,542aを有する一対の第二腕部材54,54と、第二腕部材54,54の第二端部542a,542aとは反対側の部位と接続される基部材55とを有する(
図2及び
図4参照)。
【0019】
第一ヨーク51及び第二ヨーク52は、磁性特性を有する。第一腕部材53及び第二腕部材54は、矩形状の断面形状を有する略四角柱状の胴部531,541と、胴部531,541の一方側において略L字状に屈曲するように延設した突出部532,542とを有する。突出部532,542は、先端に、それぞれ平面状の第一端部532a及び第二端部542aを有する。
【0020】
第一腕部材53の胴部531は、外周に巻回されたヨークコイル533を有する。一対の第一腕部材53のヨークコイル533同士は、互いに直列に接続される。また、第二腕部材54の胴部541は、外周に巻回されたヨークコイル543を有する。一対の第二腕部材54のヨークコイル543同士も、互いに直列に接続される。従って、ヨーク部材5と、ヨークコイル533,543は、電磁石を構成する。スキャナ装置駆動回路14は、制御部11の指示により、電磁石を駆動することにより偏向部材7の角度を制御する。
【0021】
基部材55は、磁性特性を有する部材である。基部材55は、二組の対向する側縁55aに切欠部551を有する円板状の第一基部材55-1と、円板状の第二基部材55-2とを有する。第一基部材55-1の外周径と、第二基部材55-2の外周径とは、略同じ直径である(
図2及び
図4も参照)。第一基部材55-1は、平面視略矩形状の切欠部551を有する。また、切欠部551は、第一基部材55-1の中心側の内面551aと、該内面551aに隣接する一方の内面551bとの境界部に、溝状の逃げ部552を有する。第一基部材55-1は、厚み方向に貫通する円形の開口部553を有する。
図2及び
図4の組み状態のヨーク部材5に示されるように、開口部553は、一対の第一端部532aの間、且つ、一対の第二端部542aの間に設けられるギャップG(磁気ギャップ)を通る軸線P上に配置される。
【0022】
第二基部材55-2は、第一基部材55-1と略同厚みである。第二基部材55-2は、厚み方向に貫通する円形の開口部554を有する。開口部554は、
図2及び
図4の組み状態のヨーク部材5に示されるように、ギャップGを通る軸線P上に配置される。従って、開口部554は、開口部553と同軸上に配置される。また、開口部554の内径は、開口部553の内径と略同径である。
【0023】
図5は、
図2に示したヨーク部材5の第一基部材55-1及び第二基部材55-2について示したV-V断面図である。
図5に示すように、第一腕部材53及び第二腕部材54は、それぞれ、切欠部551内に収容されて、第一基部材55-1に対して接続される。第一腕部材53は、切欠部551において、第一基部材55-1の中心方向の内面551aと面当接し、且つ、第二基部材55-2の上面に端部531aを略面当接させて収容される(
図4も参照)。同様に、第二腕部材54は、切欠部551において、第一基部材55-1の中心方向の内面551aと面当接し、且つ、第二基部材55-2の上面に端部541aを略面当接させて収容される(
図4も参照)。従って、第二基部材55-2は、切欠部551に収容された第一腕部材53及び第二腕部材54の各端部531a,541aを覆うように、第一基部材55-1と重ねて配置される。
【0024】
なお、切欠部551の幅(軸線P周りの周方向の内幅)は、第一腕部材53及び第二腕部材54よりも広く、挟圧されない程度の遊びを有する(
図5参照)。第一腕部材53及び第二腕部材54は、切欠部551内において、逃げ部552側の内面551bに当接した状態で第一基部材55-1に対して固定される。
【0025】
図2(
図4も参照)に示す組み状態において、一対の第一ヨーク51の第一端部532a,532aは、対向して配置される。また、一対の第二ヨーク52の第二端部542a,542aは、第一端部532a,532aの対向方向とは異なる方向(本実施形態では第一端部532a,532aの対向方向に対して平面視直交する方向)に対向している。
【0026】
支持部材6は、第一腕部材53の第一端部532aの間に配置され、第一端部532aの間に設けられるギャップGのギャップ長を安定した状態で支持する。支持部材6は、軸線Pと同軸に厚み方向(上下方向)に貫通する円形の開口部61を有する。開口部61の内径は、
図4に示すように、ヨーク部材5の内部側(下側)に向かうに従って拡幅する。
【0027】
支持部材6は、
図3の分解斜視図に示すように、軸線P周り(開口部61周り)に略回転対称に形成される。支持部材6は、外周部に、略矩形状に窪んだ凹部62を有する。凹部62は、軸線P周りに90度回転させた位置の4か所に設けられる。凹部62の開口部61側の底面621は、平面状に設けられる。凹部62には、第一腕部材53の突出部532及び第二腕部材54の突出部542が収容される。凹部62内において、第一腕部材53の第一端部532a及び第二腕部材54の第二腕部材54の第二端部542aと、底面621とが面接触する。また、支持部材6は、外周面63の上部に、開口部61の軸線Pに対する径方向の外側に突出した鍔部631を有する。
【0028】
偏向部材7は、一対の第一端部532aの間、且つ、一対の第二端部542aの間に配置される。偏向部材7は、永久磁石71及び反射板72を備える。永久磁石71は、略円環状(ドーナツ状)の形状を有する。永久磁石71は、中心部に、厚み方向に貫通する円形の開口部711を有する。また、永久磁石71は、厚み方向(開口部711の軸線方向)の一端側にS極及びN極の一方の磁極を有し、他の一端側にS極及びN極の他方の磁極を有する。
【0029】
反射板72は、
図6に示すように、円形平板状の本体部721と、本体部721の裏面側に突出した被支持部722とを有する。本体部721及び被支持部722は、透光性を有するガラス又はプラスチック等の部材である。本体部721は、レーザ光L1及びレーザ光L2を選択的に反射する反射面721aを有する。反射面721aは、レーザ光L1及びレーザ光L2を反射する光選択部721a1(第二光選択部)と、レーザ光L1を反射し且つレーザ光L2を透過する光選択部721a2(第一光選択部)とを有する。光選択部721a2は、レーザ光L2を所定の開口形状により通過させる開口部(アパーチャ)として機能する。光選択部721a1は、例えば、蒸着等により形成された金属反射膜、又は、ダイクロイックフィルタである。また、光選択部721a2は、例えば、ダイクロイックフィルタである。本実施形態では、レーザ光L2は、反射面721a側から入射する傾斜検出光である。
図1に示すように、レーザ光L2は、光源41から出射され、レンズ42により集光された後、偏向部材43(第二偏向部材)に入射する。偏向部材43は、光源41から出射されたレーザ光L2を偏向部材7へ反射し、光選択部721a2を含む反射面721aに照射する。
【0030】
レーザ光L1は、後述する導光部723に入射するレーザ光L2とは異なる角度で入射及び反射するように導光される測距光である。例えば、傾斜検出光として使用されるレーザ光L2をレーザ光L1とは異なる波長とし、光選択部721a2をダイクロイックフィルタとすることで、反射面721aは、レーザ光L1を反射させ且つレーザ光L2を透過させる領域を設けることができる。
【0031】
反射面721aのうちの光選択部721a2が設けられた領域は、偏向部材7へ入射するレーザ光L2の光束断面径よりも小径に形成された円形の領域である。従って、光選択部721a2は、レーザ光L2を小径に絞って透過させる。光選択部721a2から入射したレーザ光L2は、本体部721及び被支持部722の内部を透過して、反射面721aとは反対側の面から出射される。従って、偏向部材7は、反射面721a側及び反射面721aとは反対側の面の一方から他方へレーザ光L2を導光する導光部723を有する。本実施形態では、反射面721aとは反対側の面が、レーザ光L2の出射面722aとして機能する。
【0032】
被支持部722は、短円柱状の形状を有する。被支持部722は、永久磁石71に設けられた開口部711に係合又は嵌合して永久磁石71と一体的な偏向部材7の一部を構成する。偏向部材7は、反射面721a側に回動中心点Qを有する。回動中心点Qは、仮想的な点である。偏向部材7は、この回動中心点Q周りに回動可能となるように図示しない支持部によって2軸回動可能に支持される。例えば、偏向部材7は、回動中心点Qに対して第一方向D1周り又は第二方向D2周りに回動することができる。なお、偏向部材7は、回動中心点Q周りに回動可能となるように3軸以上の多軸回動可能な支持部によって支持されていてもよい。
【0033】
また、本実施形態の導光部723は、反射面721aの回動中心点Q上に配置される光学部材である。導光部723におけるレーザ光L2の入射面(反射面721aのうち光選択部721a2が設けられた領域)と出射面722aは、平行面である。また、導光部723は、回動中心点Qから遠い側の面に大部分が設けられる。導光部723は、
図6に示すように偏向部材7の傾斜に対応してレーザ光L2の光軸位置を光軸Aから光軸Bに変位量d分だけ変位させる機能を有する。
【0034】
図1に示すスキャナ装置駆動回路14は、負荷回路としてのヨークコイル533,543及び図示しないドライバ回路(又は、スイッチング回路)等を有する。制御部11は、スキャナ装置駆動回路14によりヨークコイル533及びヨークコイル543に励磁電流を供給するよう制御する。これにより、第一ヨーク51の第一磁路C1及び第二ヨーク52の第二磁路C2には、磁界が発生し(
図4及び
図5参照)、第一ヨーク51の第一端部532a間の第一方向D1の磁界H1を及び第二ヨーク52の第二端部542a間の第二方向D2の磁界H2を制御部11によって指示された強度で発生させる(
図6参照)。永久磁石71は、第一方向D1及び第二方向D2に発生した磁界H1及び磁界H2より、引力又は斥力を受ける。磁界H1及びH2の強度に応じて、偏向部材7は、所定の傾斜角度となるように回動中心点Qを中心に角度制御される。第一磁路C1のうち一対の第一腕部材53,53とギャップGを含む磁路の磁路長と、第二磁路C2のうち一対の第二腕部材54,54とギャップGを含む磁路の磁路長は、等しく設定される。
【0035】
また、
図5に示される第一磁路C1及び第二磁路C2は、開口部553(554)を避けて回り込んで、開口部553(554)周辺で交差する。そのため、第一磁路C1及び第二磁路C2は、基部材55内において略同じ長さの磁路長を有する。このように、第一ヨーク51及び第二ヨーク52は、それぞれ基部材55を共通の構成として含み、磁気回路の一部を交差させて閉路の磁路長が等しくなるように互いに接続される。
【0036】
検出回路基板44は、受光素子である検出部441を有する。検出部441は、偏向部材7に対し反射面721aとは反対側に配置される(
図4等参照)。検出部441は、導光部723により導光された傾斜検出光(第二の光)であるレーザ光L2を検出する。
【0037】
図7は、本実施形態の検出部441の平面模式図である。検出部441は、四分割光検出素子(QPD,quadrant photodetector 又は quadrant photodiode)であり、4つの受光部442a~442dを有する。受光部442a~442dの中心点Oは、スキャナ装置2の軸線P上に位置するように配置される。制御部11は、検出部441により検出されたレーザ光L2の光軸B(又は重心)の位置から又はレーザ光L2の分布位置から、偏向部材7の傾斜(傾斜方向及び傾斜角度)を検出することができる。具体的に、制御部11は、四分割光検出素子の各受光部442a~442dが検出したレーザ光L2の受光強度により、偏向部材7の傾斜を検出する機能を有する。
【0038】
例えば、レーザ光L2の光軸Aと軸線Pとが一致し、かつ偏向部材7が、光軸Aに対して傾斜していない状態である場合、検出部441には、中心点Oと光軸Bとが略一致するレーザ光L22が照射される。また、偏向部材7が、第一方向D1のうちの
図6の左方に傾斜すると、レーザ光L2は、導光部723において屈折し、入射時の光軸Aに対して
図6の右方に移動した光軸Bを有するレーザ光L23として導光部723から出射される。光軸Aと光軸Bは平行であるため、
図7に示す検出部441には、光軸Bが中心点Oよりも右方に位置するレーザ光L23として照射される。反対に、偏向部材7が、第一方向D1のうちの
図6の右方に傾斜すると、レーザ光L2は、導光部723において屈折し、入射時の光軸Aに対して
図6の左方に移動した光軸Bを有するレーザ光L21として導光部723から出射される。この場合、
図7に示す検出部441には、光軸Bが中心点Oよりも左方に位置するレーザ光L21として照射される。
【0039】
制御部11は、各受光部442a~442dが受信したレーザ光L2の受光強度の比によって偏向部材7の傾斜(傾斜方向及び傾斜角度)を決定する。制御部11は、受光部442に照射されたレーザ光L2の中心点Oに対する光軸B(又は受光強度の重心)の位置(第一方向D1及び第二方向D2の位置)を演算し、偏向部材7の傾斜を求めることができる。中心点Oに対する光軸Bの距離は、偏向部材7の傾斜角度に対応する。また、中心点Oに対する光軸Bの第一方向D1及び第二方向D2の変位成分は、偏向部材7の傾斜方向に対応する。制御部11は、中心点Oに対する光軸Bの位置と、偏向部材7の傾斜との対応関係を、計算により決定してもよいし、予め対応テーブルを参照して決定してもよい。
【0040】
レーザ光L2の移動範囲は、レーザ光L2の照射径(半径)に対して最大で50%以下とすることが望ましい。すなわち、偏向部材7が最大傾斜角で傾斜する場合でも、レーザ光L2の光軸Bの移動幅は、レーザ光L2の照射径(半径)に対して最大で50%以下となるよう設定される。これにより、偏向部材7,7Aの角度変化に伴う検出信号の直線性を確保することができる。また、経時変化や振動等の外乱の影響をうけた場合であってもレーザ光L2の照射領域が受光部442a~442dの境界線を越える等して検出可能範囲外となることを防止することができる。
【0041】
図7の説明では、導光部723を通過したレーザ光L2が第一方向D1に移動した様子を示している。同様にレーザ光L2が第二方向D2に移動した場合、第二方向D2に対する偏向部材7の傾斜を検出することができる。
【0042】
本実施形態の傾斜検出装置4は、光軸A及び光軸Bが平行であることから、レーザ光L2の位置の移動量が導光部723の出射面722aから検出部441までの距離に依存しない為、検出部441は、受光部442a~442dの中心点Oが軸線P上に配置されていればよい。そのため、スキャナ装置2は、検出部441の配置について高い自由度を有する。
【0043】
なお、光軸Aと中心点Oは必ずしも一致していなくてもよい。偏向部材7が傾斜していない状態で検出部441が検出したレーザ光L2の光軸Bの位置(重心位置)を基準位置として求めておくことで、検出部441が検出するレーザ光L2の光軸Bの位置と、偏向部材7の傾斜の関係を予め補正することができる。
【0044】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2では、光選択部721a2を円形の領域とする代わりに、矩形の領域とする。従って、光選択部721a2を透過したレーザ光L2は、矩形形状の光束断面形状を有する。
図8は、略正方形に設けられた光選択部721a2を介して受光部442に照射されたレーザ光L24の照射領域を示している。
【0045】
このように、矩形形状のレーザ光L24を用いる場合、レーザ光L24の光軸B(又は重心)が第一方向D1又は第二方向D2に移動した際に、光軸Bの移動方向とは反対側の受光部442a~442dの受光強度が極端に低下することが低減される。そのため、光軸Bの変位量と、受光部442a~442dにより検出される受光強度の変化との関係の直線性を高めることができる。従って、偏向部材7の傾斜量をより正確に求めることができる。
【0046】
(実施形態3)
次に、光選択部721a2の実施形態3について説明する。偏向部材7の光選択部721a2は、反射面721aの平面視において、長矩形に形成される。
図9は、光源41から検出部441までの光路におけるレーザ光L25の強度分布の変化を、直交する2方向から見た模式図である。光源41から出射されたレーザ光L25は、直交する2方向において異なる広がり角を有する。すなわち、レーザ光L25は、略楕円の光束断面形状を有する。
図9の例では、レーザ光L25の長軸方向を側方から第一方向D1に沿って見た場合の強度分布P1a,P1b、及び、レーザ光L25の短軸方向を側方から第二方向D2に沿って見た場合の強度分布P2a,P2bの変化を示している。
【0047】
レーザ光L25の短軸方向の成分L25bは、長軸方向の成分L25aよりも光軸A側に集中した分布を有する。実施形態3の光選択部721a2は、短軸方向の成分L25bが短軸方向の成分L25aよりも広い開口幅となる長矩形状の領域を有する。
図8には、実施形態3の光選択部721a2を介して受光部442に照射されたレーザ光L25の照射領域を示している。また、レーザ光L25の照射領域内の濃淡は、受光強度の強弱を表している。このように、レーザ光L25の強度が比較的均一な方向の開口幅を狭くして、レーザ光L25の強度が光軸A,B側に偏った方向の開口幅を広くすることで、第一方向D1及び第二方向D2の各受光強度の総量が等しいか近くなるように調整することが出来る。これにより、検出部441が検出するレーザ光L25の光軸Bが移動した場合に、第一方向D1及び第二方向D2の感度差を低減することができる。
【0048】
なお、光選択部721a2の開口形状を長矩形状とする場合、開口形状の長軸方向をレーザ光L25の光強度の弱い方向に合わせるように光選択部721a2の向きを設定するとよい。
【0049】
(実施形態4)
次に、実施形態4について説明する。実施形態4の偏向部材7の光選択部721a2は、反射面721aの平面視において、各辺が軸線P側に凹湾曲状に凹んだ略矩形に形成される。
図10は、各辺が凹湾曲状に凹んだ略矩形形状に設けられた光選択部721a2を介して受光部442に照射されたレーザ光L26の照射領域を示している。このように、光選択部721a2を透過したレーザ光L2は、各辺が光軸A,B側に凹湾曲状に凹んだ略矩形形状の光束断面形状を有する。
【0050】
(実施形態5)
次に、実施形態5について説明する。実施形態5の偏向部材7の光選択部721a2は、反射面721aの平面視において、各辺が軸線Pに対し径方向外側に凸湾曲状に突出した略矩形に形成される。
図10は、光選択部721a2は各辺が凸湾曲状に突出した略矩形形状に設けられ、この光選択部721a2を介して受光部442に照射されたレーザ光L27の照射領域を示している。このように、光選択部721a2を透過したレーザ光L2は、各辺が光軸A,B側に凸湾曲状に突出した略矩形形状の光束断面形状を有する。
【0051】
以上、本実施形態では、レーザ光L1(第一の光)を反射する反射面721a、並びに、反射面721a側及び反射面721aとは反対側の一方から他方へレーザ光L2(第二の光)を導光する導光部723を有し、角度制御される偏向部材7と、導光部723により導光されたレーザ光L2(第二の光)を検出する検出部441と、を備える傾斜検出装置4の傾斜検出方法について説明した。この傾斜検出方法では、導光部723が、偏向部材7の傾斜に対応してレーザ光L2(第二の光)の光軸A位置を変位させ、制御部11が、検出部441により検出されたレーザ光L2(第二の光)の光軸B位置から、偏向部材7の傾斜を検出する。
【0052】
このような構成とすることで、傾斜検出装置4及び傾斜検出方法は、被制御部材(偏向部材7又は後述の偏向部材7A)の傾斜状態を簡易且つ高い精度で検出することができる。
【0053】
(実施形態6)
次に、実施形態6のスキャナ装置2について説明する。
図11は、実施形態1のIV-IV断面図に相当する、実施形態6のスキャナ装置2の一部の構成における断面拡大図である。実施形態6の光源装置1は、偏向部材7の代わりに偏向部材7Aを備える。なお、偏向部材7Aの構成において、偏向部材7と同様の構成については、その説明を省略又は簡略化する。
【0054】
偏向部材7Aは、反射面721aにおいて、実施形態1の光選択部712a2よりも開口径(又は開口幅)の大きな光選択部712a2を有する。偏向部材7Aの反射面721aに設けられた光選択部712a2は、検出光として導光されるレーザ光L2を透過して出射面722a側の本体部721内及び被支持部722内へ導光する。
【0055】
また、偏向部材7Aは、出射面722aにおいて、光選択部722a1(第二光選択部)及び光選択部722a2(第一光選択部)を有する。光選択部722a1は、レーザ光L2を反射又は吸収する。また、光選択部722a2は、レーザ光L2を透過する。光選択部722a1は、例えば、金属反射膜、又は、ダイクロイックフィルタである。また、光選択部722a2は、例えば、ダイクロイックフィルタ、又は、被支持部722が露出した領域(つまり、何も設けられていない領域)である。
【0056】
出射面722aのうちの光選択部722a2が設けられた領域は、偏向部材7Aの反射面721aを透過したレーザ光L2の光束断面径よりも小径に形成された円形の領域である。従って、光選択部722a2は、レーザ光L2を小径に絞って透過させる。光選択部722a2の領域に被支持部722側から入射したレーザ光L2は、出射面722aから検出部441側へ出射される。
【0057】
傾斜検出装置4は、偏向部材7Aを用いた場合、レーザ光L2を絞る光選択部722a2が検出部441側のより近い位置に設けられるため、光軸Bと軸線Pのずれ幅が大きい、又は、導光部723を透過したレーザ光L2に拡散成分が含まれる場合であっても、光軸Bの位置の検出誤差を低減し偏向部材7Aの傾斜をより正確に求めることができる。
【0058】
(実施形態7)
次に実施形態7の光源装置1について説明する。
図12は、実施形態7のヨーク部材5Gの斜視図である。光源装置1は、スキャナ装置2の構成において、実施形態1で説明したヨーク部材5の代わりにヨーク部材5Gを備える。なお、実施形態7の説明において、実施形態1の光源装置1と同様の構成については、同一の符号を付す等して、その説明を省略又は簡略化する。
【0059】
ヨーク部材5Gは、ヨーク部材5の構成から第二基部材55-2を省略した構成を有する。具体的には、ヨーク部材5Gは、第一ヨーク51Gと、第一ヨーク51Gとは異なる軸線P周りの回転対称位置に配置される第二ヨーク52Gと、を備える。第一ヨーク51Gは、それぞれ、一対の第一腕部材53,53と、基部材55Gとを有する。また、第二ヨーク52Gは、一対の第二腕部材54,54と、基部材55Gとを有する。基部材55Gは、前述した第一基部材55-1を有する。第一基部材55-1に対する第一腕部材53及び第二腕部材54の接続方法は、実施形態1のヨーク部材5と同様である。
【0060】
ヨーク部材5Gにおける第一磁路C1は、一対の第一腕部材53、基部材55G(第一基部材55-1)及び第一腕部材53の第一端部532a間に設けられるギャップGにより閉路を構成する。また、第二磁路C2は、一対の第二腕部材54、基部材55G(第一基部材55-1)、及び第二腕部材54の第二端部542a間に設けられるギャップGにより閉路を構成する。
【0061】
図13は、
図12のヨーク部材5GのXIII-XIII断面図である。実施形態1の基部材55のV-V断面(
図5参照)と同様、第一磁路C1及び第二磁路C2は、開口部553を避けて回り込んで、開口部553周辺で交差する。そのため、第一磁路C1及び第二磁路C2は、基部材55内において略同じ長さの磁路長を有する。また、第一磁路C1のうち一対の第一腕部材53,53とギャップGを含む磁路の磁路長と、第二磁路C2のうち一対の第二腕部材54,54とギャップGを含む磁路の磁路長は、互いに等しい。従って、第一ヨーク51G及び第二ヨーク52Gは、磁気回路の一部を交差させて閉路の磁路長が等しくなるように接続される。
【0062】
このように、ヨーク部材5Gの構成とすることにより、ヨーク部材5Gの全体を小型に構成することができる。
【0063】
(実施形態8)
次に実施形態8の光源装置1について説明する。
図14は、実施形態8のヨーク部材5Hにおける基部材55H、第一腕部材53及び第二腕部材54について、
図12のヨーク部材5GのXIII-XIII断面位置に相当する位置で切断した断面図である。なお、実施形態8の説明において、実施形態7の光源装置1と同様の構成については、同一の符号を付す等して、その説明を省略又は簡略化する。
【0064】
実施形態8の光源装置1は、スキャナ装置2の構成において、実施形態7のヨーク部材5Gの代わりにヨーク部材5Hを備える。すなわち、ヨーク部材5Hは、基部材55Gの代わりに基部材55Hを有する。この基部材55Hは、第一基部材55-1と同様の構成を備えるが、円形の開口部553の代わりに基部材55Hの厚み方向に貫通する正方形等の矩形状の開口部553Hを備える。
【0065】
ヨーク部材5Hは、矩形状の開口部553Hを有するため、矩形状の受光部442に照射されるレーザ光L2の照射領域を広く確保することができる。また、
図8及び
図10に示した、矩形形状に近いレーザ光L24~L27を照射する場合も、受光部442による検出範囲を広く利用することができる。従って、偏向部材7の傾斜角度に対し、レーザ光L2の光軸Bの移動範囲を大きくして、受光部442による検出感度を高めることができる。
【0066】
(実施形態9)
次に実施形態9の光源装置1について説明する。
図15は、実施形態9のヨーク部材5Iの斜視図である。光源装置1は、スキャナ装置2の構成において、実施形態1で説明したヨーク部材5の代わりにヨーク部材5Iを備える。なお、実施形態9の説明において、実施形態1の光源装置1と同様の構成については、同一の符号を付す等して、その説明を省略又は簡略化する。
【0067】
ヨーク部材5Iは、ヨーク部材5の構成に対して、基部材55の代わりに四角形板状に形成された基部材55Iを有する。基部材55Iは、基部材55の第一基部材55-1に相当する基部材として構成される。具体的には、ヨーク部材5Iは、第一ヨーク51Iと、第一ヨーク51Iとは異なる軸線P周りの回転対称位置に配置される第二ヨーク52Iと、を備える。第一ヨーク51Iは、それぞれ、一対の第一腕部材53,53と、基部材55Iとを有する。また、第二ヨーク52Iは、一対の第二腕部材54,54と、基部材55Iとを有する。基部材55Iの切欠部551に対する第一腕部材53及び第二腕部材54の接続方法は、実施形態1のヨーク部材5と同様である。
【0068】
ヨーク部材5Iにおける第一磁路C1は、一対の第一腕部材53、基部材55I及び第一腕部材53の第一端部532a間に設けられるギャップGにより閉路を構成する。また、第二磁路C2は、一対の第二腕部材54、基部材55I、及び第二腕部材54の第二端部542a間に設けられるギャップGにより閉路を構成する。
【0069】
また、
図16は、
図15のヨーク部材5IのXVI-XVI断面図である。実施形態1の基部材55のV-V断面(
図5参照)と同様、第一磁路C1及び第二磁路C2は、開口部553を避けて回り込んで、開口部553周辺で交差する。そのため、第一磁路C1及び第二磁路C2は、基部材55内において略同じ長さの磁路長を有する。また、第一磁路C1のうち一対の第一腕部材53,53とギャップGを含む磁路の磁路長と、第二磁路C2のうち一対の第二腕部材54,54とギャップGを含む磁路の磁路長は、互いに等しい。従って、第一ヨーク51I及び第二ヨーク52Iは、磁気回路の一部を交差させて閉路の磁路長が等しくなるように接続される。
【0070】
(実施形態10)
次に実施形態10の光源装置1について説明する。
図17は、実施形態10のヨーク部材5Jの斜視図である。光源装置1は、スキャナ装置2の構成において、実施形態1で説明したヨーク部材5の代わりにヨーク部材5Jを備える。なお、実施形態10の説明において、実施形態1の光源装置1と同様の構成については、同一の符号を付す等して、その説明を省略又は簡略化する。
【0071】
ヨーク部材5Jは、第一ヨーク51Jと、第一ヨーク51Jとは異なる軸線P周りの回転対称位置に配置される第二ヨーク52Jと、を備える。第一ヨーク51Jは、それぞれ、一対の第一腕部材53,53と、基部材55Jとを有する。また、第二ヨーク52Jは、一対の第二腕部材54,54と、基部材55Jとを有する。基部材55Jは、前述した第二基部材55-2と同様に円板状の形状を有する。第一腕部材53及び第二腕部材54は、基部材55Jの一方の面55J1上に、各端部(第一腕部材53の第一基端部531a、第二腕部材54の第二基端部541a)を当接した状態で固定される。なお、第一腕部材53及び第二腕部材54は、基部材55Jに対して図示しない固定部材により固定される。
【0072】
ヨーク部材5Jにおける第一磁路C1は、一対の第一腕部材53、基部材55J及び第一腕部材53の第一端部532a間に設けられるギャップGにより閉路を構成する。また、第二磁路C2は、一対の第二腕部材54、基部材55J、及び第二腕部材54の第二端部542a間に設けられるギャップGにより閉路を構成する。
【0073】
基部材55Jにおける第一磁路C1及び第二磁路C2は、実施形態1の基部材55のV-V断面(
図5参照)と同様、開口部553を避けて回り込んで、開口部553周辺で交差する(不図示)。そのため、第一磁路C1及び第二磁路C2は、基部材55内において略同じ長さの磁路長を有する。また、第一磁路C1のうち一対の第一腕部材53,53とギャップGを含む磁路の磁路長と、第二磁路C2のうち一対の第二腕部材54,54とギャップGを含む磁路の磁路長は、互いに等しい。従って、第一ヨーク51J及び第二ヨーク52Jは、磁気回路の一部を交差させて閉路の磁路長が等しくなるように接続される。
【0074】
このように、ヨーク部材5Jの構成とすることにより、ヨーク部材5Jの全体を小型に構成することができる。
【0075】
以上、導光部723が偏向部材7,7Aの傾斜に対応して第二の光(レーザ光L2)の光軸Bの位置を変位させ、制御部11が検出部441により検出された第二の光の光軸位置から偏向部材7,7Aの傾斜を検出する構成について説明した。検出部441に入射するレーザ光L2の移動幅は、偏向部材7,7Aを反射させた場合よりも小さいため、検出部441を小型に構成することができる。従って、傾斜検出装置4は、被制御部材の傾斜状態を簡易且つ高い精度で検出することができる。
【0076】
また、対向する一対の第一端部532aを有する第一ヨーク51,51G,51I,51Jと、第一端部532aの対向方向とは異なる方向に対向する一対の第二端部542aを有する第二ヨーク52,52G,52I,52Jと、を備えるヨーク部材5,5G~5Jについて説明した。各ヨーク部材5,5G~5Jにおいて、第一ヨーク51,51G,51I,51J及び第二ヨーク52,52G,52I,52Jは、磁気回路の一部を交差させて磁路長が等しくなるように接続される。従って、第一磁路C1及び第二磁路C2を構成する部材を共通としたため、ヨーク部材5,5G~5J及びスキャナ装置2を小型にすることができる。
【0077】
以上で本開示の実施形態の説明を終えるが、本開示の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0078】
例えば、検出部441は、偏向部材7,7Aの回動方向が一方向である場合は、二分割光検出素子であってもよい。また、検出部441は、イメージセンサであってもよい。
【0079】
また、光選択部721a2は、レーザ光L1及びレーザ光L2の何れも透過する構成としてもよい。
【0080】
また、レーザ光L2は、レーザ光L1と共に測距光として偏向部材7,7Aの反射面721aに照射されてもよい。この場合、レーザ光L2の光軸Aとスキャナ装置2の軸線Pは一致していなくてもよい。導光部723は、反射面721aから入射したレーザ光L2を偏向部材7,7Aの傾きに応じて屈折角が変化する態様であれば、導光部723から出射した後のレーザ光L2の光軸Bが偏向部材7,7Aの傾きに対応して変化することとなる。従って、レーザ光L2は、レーザ光L1と共に測距光に含めて導光された場合であっても、偏向部材7,7A(被制御部材)の傾斜状態を簡易且つ高い精度で検出することができる。
【0081】
また、
図1に示した光源41と検出部441の位置関係は逆であってもよい。すなわち、レーザ光L2は、偏向部材7,7Aの出射面722aとして示した面(
図6等参照)から入射して、反射面721a側から出射する光路を導光されてもよい。
【0082】
また、検出部441は、偏向部材7と基部材55との間に設けてもよい。これにより、スキャナ装置2の全体を小型に構成することができる。
【0083】
また、本開示の測距光光学系12は、測距用の光以外の用途に用いられる光を導光するために用いてもよい。
【0084】
以上、本開示の構成を例示すると以下のとおりである。
[1]
第一の光を反射する反射面、並びに、前記反射面側及び前記反射面とは反対側の面の一方から他方へ第二の光 を導光する導光部を有し、角度制御される偏向部材と、
前記導光部により導光された前記第二の光を検出する検出部と、
制御部と、
を備え、
前記導光部は、前記偏向部材の傾斜に対応して前記第二の光の光軸位置を変位させ、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記第二の光の光軸位置から、前記偏向部材の傾斜を検出する、
傾斜検出装置。
[2]
前記導光部は、前記反射面の回動中心点上に配置される光学部材であり、
前記導光部における前記第二の光の入射面と出射面は、平行面である、
[1]に記載の傾斜検出装置。
[3]
前記反射面は、前記第一の光を反射し、前記第二の光を透過する光選択部を有する[2]に記載の傾斜検出装置。
[4]
前記光選択部は、前記偏向部材へ入射する前記第二の光の光束断面径よりも小径に形成される[3]に記載の傾斜検出装置。
[5]
前記第二の光は、前記反射面側から入射する傾斜検出光であり、
前記第一の光は、前記導光部に入射する前記第二の光とは異なる角度で入射及び反射するように導光される測距光であり、
前記検出部は、前記偏向部材に対し前記反射面とは反対側に配置される、
[1]に記載の傾斜検出装置。
[6]
前記第二の光を出射する光源と、前記光源から出射された前記第二の光を前記偏向部材へ反射する第二偏向部材とをさらに備える、[5]に記載の傾斜検出装置。
[7]
前記偏向部材は、前記反射面側に回動中心点を有し、
前記反射面は、前記第一の光を反射し、前記第二の光を透過させる第一光選択部を有し、
前記導光部は、前記回動中心点から遠い側の面に、前記第二の光を小径に絞る第二光選択部を有する、
[1]に記載の傾斜検出装置。
[8]
前記検出部は、四分割光検出素子であり、
前記制御部は、前記四分割光検出素子の各受光部が検出した前記第二の光の受光強度により、前記偏向部材の傾斜を検出する、
[1]に記載の傾斜検出装置。
[9]
第一の光を反射する反射面、並びに、前記反射面側及び前記反射面とは反対側の一方から他方へ第二の光を導光する導光部を有し、角度制御される偏向部材と、
前記導光部により導光された前記第二の光を検出する検出部と、
制御部と、
を備える傾斜検出装置の傾斜検出方法であって、
前記導光部が、前記偏向部材の傾斜に対応して前記第二の光の光軸位置を変位させ、
前記制御部が、前記検出部により検出された前記第二の光の光軸位置から、前記偏向部材の傾斜を検出する、
傾斜検出方法。
【符号の説明】
【0085】
1 光源装置
2 スキャナ装置
3 ミラー制御装置
4 傾斜検出装置
5,5G~5J ヨーク部材
6 支持部材
7,7A 偏向部材
11 制御部
12 測距光光学系
13 光学系駆動回路
14 スキャナ装置駆動回路
15 角度センサ回路
41 光源
42 レンズ
43 偏向部材
44 検出回路基板
51,51G,51I,51J 第一ヨーク
52,52G,52I,52J 第二ヨーク
53 第一腕部材
54 第二腕部材
55,55G~55J 基部材
55-1 第一基部材
55-2 第二基部材
55J1 面
55a 側縁
61 開口部
62 凹部
63 外周面
71 永久磁石
72 反射板
441 検出部
442,442a~442d 受光部
531 胴部
531a 第一基端部
532 突出部
532a 第一端部
533 ヨークコイル
553H 開口部
541 胴部
541a 第二基端部
542 突出部
542a 第二端部
543 ヨークコイル
551 切欠部
551a 内面
551b 内面
552 逃げ部
553 開口部
554 開口部
621 底面
631 鍔部
711 開口部
712a2 光選択部
721 本体部
721a 反射面
721a1 光選択部
721a2 光選択部
722 被支持部
722a 出射面
722a1 光選択部
722a2 光選択部
723 導光部
A,B 光軸
C1 第一磁路
C2 第二磁路
D1 第一方向
D2 第二方向
G ギャップ
L1(L11,L12) レーザ光
L2(L21~L27,L25a,L25b) レーザ光
L3 反射光
O 中心点
P 軸線
Q 回動中心点