特開 2024-84977 液体収容容器および液体収容容器を再生する方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024084977

(43)【公開日】2024-06-26

(54)【発明の名称】液体収容容器および液体収容容器を再生する方法

(51)【国際特許分類】

   B41J 2/175 20060101AFI20240619BHJP

【ＦＩ】

B41J2/175 141

B41J2/175 143

B41J2/175 173

【審査請求】未請求

【請求項の数】12

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022199215

(22)【出願日】2022-12-14

(71)【出願人】

【識別番号】000002369

【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100179475

【弁理士】

【氏名又は名称】仲井 智至

(74)【代理人】

【識別番号】100216253

【弁理士】

【氏名又は名称】松岡 宏紀

(74)【代理人】

【識別番号】100225901

【弁理士】

【氏名又は名称】今村 真之

(72)【発明者】

【氏名】石澤 卓

(72)【発明者】

【氏名】宮澤 成吾

(72)【発明者】

【氏名】小林 淳

【テーマコード（参考）】

2C056

【Ｆターム（参考）】

2C056EA19

2C056KC13

2C056KC14

2C056KC16

2C056KD08

(57)【要約】

【課題】液体収容容器において、複数回のフィルムの溶着を可能にする。
【解決手段】液体収容容器は、異なる部位に複数の凹部を備える筐体と、複数の凹部を塞ぐように筐体に溶着されている複数のフィルムと、を備える。複数の凹部は、液体を収容する液体収容室と、液体または空気が流通する流路と、を構成している。筐体は、複数の凹部のうちの第１凹部を画定する第１隔壁であって、複数のフィルムのうちの第１フィルムが溶着されている第１隔壁と、複数の凹部のうちの第２凹部を画定する第２隔壁であって、複数のフィルムのうちの第２フィルムが溶着されている第２隔壁と、を備える。第１隔壁のうち、第１隔壁と接続されている構成から第１フィルムに向かう向きに突出している部分の寸法である第１寸法は、第２隔壁のうち、第２隔壁と接続されている構成から第２フィルムに向かう向きに突出している部分の寸法である第２寸法より大きい。
【選択図】図２０

【特許請求の範囲】

【請求項1】

液体収容容器であって、
異なる部位に複数の凹部を備える筐体と、
前記複数の凹部を塞ぐように前記筐体に溶着されている複数のフィルムと、を備え、
前記複数の凹部は、
液体を収容する液体収容室と、
前記液体収容室に接続されており前記液体と空気との少なくとも一方が流通する流路と、を構成しており、
前記筐体は、
前記複数の凹部のうちの第１凹部を画定する第１隔壁であって、前記複数のフィルムのうちの第１フィルムが溶着されている第１隔壁と、
前記複数の凹部のうちの第２凹部を画定する第２隔壁であって、前記複数のフィルムのうちの第２フィルムが溶着されている第２隔壁と、を備え、
前記第１隔壁のうち、前記第１隔壁と接続されている構成から前記第１フィルムに向かう向きに突出している部分の寸法である第１寸法は、前記第２隔壁のうち、前記第２隔壁と接続されている構成から前記第２フィルムに向かう向きに突出している部分の寸法である第２寸法よりも大きい、液体収容容器。

【請求項2】

請求項１記載の液体収容容器であって、
前記第１凹部は、前記液体収容室に大気を導入するための大気開放口である、液体収容容器。

【請求項3】

請求項１記載の液体収容容器であって、
前記筐体は、前記液体収容室に大気を導入するための大気開放口を備え、
前記流路は、前記大気開放口と前記液体収容室とを接続する大気導入路を含み、
前記大気導入路は、
１以上の柱状の空間を含み、前記大気開放口から導入された空気を前記柱状の空間に流通させる第１領域と、前記第１領域とは異なる方向に伸びており、前記筐体の一部を構成する壁部に設けられる開口を介して、前記第１領域に接続されている第２領域と、を含む、捕捉部を含み、
前記第１凹部は、前記第２領域を構成し、
前記第１隔壁は、前記開口が設けられている前記壁部から突出しており、前記開口を囲んで設けられている、液体収容容器。

【請求項4】

請求項１記載の液体収容容器であって、
前記第１凹部は、前記液体収容室内の液体を前記液体収容容器の外部に供給する液体供給口である、液体収容容器。

【請求項5】

請求項１記載の液体収容容器であって、
前記筐体は、前記液体収容室に大気を導入するための大気開放口を備え、
前記流路は、前記大気開放口と前記液体収容室とを接続する大気導入路を含み、
前記大気導入路は、互いに接続されており逆の向きに空気を流通させる一対の第１流路部分であって、前記一対の第１流路部分に直接または間接に接続されている前記大気導入路の第２流路部分よりも断面積が小さい、一対の第１流路部分を含み、
前記第２凹部は、前記一対の第１流路部分を構成する、液体収容容器。

【請求項6】

請求項１記載の液体収容容器であって、
前記第２凹部は、前記液体収容室を構成する、液体収容容器。

【請求項7】

請求項１記載の液体収容容器であって、
前記第１フィルムは、
前記第１隔壁に溶着されている第１層と、
前記液体収容容器の外部に露出している第２層と、を備え、
前記第１層は、前記第１隔壁を構成する樹脂と同じ成分と、前記第１隔壁を構成する前記樹脂とは異なる成分と、を含む素材で構成されており、
前記第２層は、前記第１層よりも高い融点を有する素材で構成されている、液体収容容器。

【請求項8】

請求項１記載の液体収容容器であって、
前記第２フィルムは、
前記第２隔壁に溶着されている第１層と、
前記液体収容容器の外部に露出している第２層と、を備え、
前記第１層は、前記第２隔壁を構成する樹脂と同じ樹脂で構成されており、
前記第２層は、前記第１層よりも高い融点を有する素材で構成されている、液体収容容器。

【請求項9】

請求項１記載の液体収容容器であって、
前記第１寸法は、前記第２寸法の２倍より大きい、液体収容容器。

【請求項10】

請求項１記載の液体収容容器であって、さらに、
前記第１フィルムに対して前記第１隔壁とは逆の側に配され、前記第１隔壁に溶着されている第３フィルムを備え、
前記第１フィルムは、貫通孔を備え、
前記第３フィルムは、前記第１フィルムの前記貫通孔を覆っている、液体収容容器。

【請求項11】

請求項１記載の液体収容容器であって、
前記筐体は、前記液体収容室に大気を導入するための大気開放口を備え、
前記流路は、前記大気開放口と前記液体収容室とを接続する大気導入路を含み、
前記第２凹部は、前記大気導入路の一部を構成し、
前記第１凹部は、前記大気導入路において、前記大気導入路の前記一部と前記液体収容室との間に位置する、前記大気導入路の他の一部を構成する、液体収容容器。

【請求項12】

液体収容容器を再生する方法であって、
請求項１記載の液体収容容器を準備する工程と、
前記第１隔壁に新たな第１フィルムを溶着する工程と、を備える、方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、液体収容容器および液体収容容器を再生する方法に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、使用済みのインクカートリッジにインクを充填して再生する技術が存在する。特許文献１の技術においては、インク流路の外縁の一部を画定するカバーフィルムを備えたインクカートリッジに、インクが再充填される。まず、使用済みのインクカートリッジのカバーフィルムに穴が形成される。カバーフィルムに形成された穴を介してインク注入用ノズルがインク注入孔内に挿入され、インク収容室にインクが再充填される。その後、カバーフィルムに開けられた穴が封止され、再使用可能なインクカートリッジとして再生される。

【0003】

カバーフィルムの穴が封止される際には、具体的には、以下の処理が行われる。まず、カバーフィルムに形成された穴を被覆するように、２層構造の積層フィルムがカバーフィルムの上に載置される。ヒーターの加熱により積層フィルムの第１フィルムが溶融され、カバーフィルムの上に接合される。その結果、積層フィルムが、カバーフィルム上に穴を塞ぐように溶着される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００８－２７３１１４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかし、特許文献１に記載された技術においては、積層フィルムがカバーフィルムに溶着される際に、カバーフィルムが溶着されている容器本体の壁の上端面が、ヒーターの熱によって溶融する。その結果、ヒーターが積層フィルムを押圧する方向に、壁の上部がつぶれる。このため、特許文献１の技術が適用できるインクカートリッジは、カバーフィルムが溶着されている壁およびその周囲に配された構造において、壁の上部が、積層フィルムが押圧される方向につぶれることを許容する構成を備えるインクカートリッジに限られる。しかし、特許文献１の技術においては、この点は考慮されていない。また、積層フィルムの溶着の際に、カバーフィルムが溶着されている壁の上部が潰れるため、特許文献１の技術が適用されたインクカートリッジに対しては、インクの再充填および積層フィルムの溶着を再度、行うことができない。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の一形態によれば、液体収容容器が提供される。この液体収容容器は、異なる部位に複数の凹部を備える筐体と、前記複数の凹部を塞ぐように前記筐体に溶着されている複数のフィルムと、を備える。前記複数の凹部は、液体を収容する液体収容室と、前記液体収容室に接続されており前記液体と空気との少なくとも一方が流通する流路と、を構成している。前記筐体は、前記複数の凹部のうちの第１凹部を画定する第１隔壁であって、前記複数のフィルムのうちの第１フィルムが溶着されている第１隔壁と、前記複数の凹部のうちの第２凹部を画定する第２隔壁であって、前記複数のフィルムのうちの第２フィルムが溶着されている第２隔壁と、を備える。前記第１隔壁のうち、前記第１隔壁と接続されている構成から前記第１フィルムに向かう向きに突出している部分の寸法である第１寸法は、前記第２隔壁のうち、前記第２隔壁と接続されている構成から前記第２フィルムに向かう向きに突出している部分の寸法である第２寸法よりも大きい。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本実施形態の液体収容容器ＩＣを示す斜視図である。

【図2】本実施形態の液体収容容器ＩＣの分解斜視図である。

【図3】図１および図２と略同じ方向から見た液体収容容器ＩＣの側面図である。

【図4】図３のＩＶ－ＩＶ断面図である。

【図5】図４に示される液体供給口２００近傍の部分を拡大して示す拡大図である。

【図6】図３とは逆の方向から見た液体収容容器ＩＣの側面図である。

【図7】封止フィルムＦＬｅと、隔壁フィルムＦＬｐと、通気フィルムＦＬｖと、供給口フィルムＦＬｓｐと、が貼付されていない状態の液体収容容器ＩＣを示す斜視図である。

【図8】図７に示される大気開放口４０１近傍の部分を拡大して示す拡大図である。

【図9】図３のＩＸ－ＩＸ断面図である。

【図10】図９に示される大気開放口４０１近傍の部分を拡大して示す拡大図である。

【図11】図３および図７に示される捕捉部４Ｃ近傍の部分を拡大して示す拡大図である。

【図12】液体収容容器にインクを再充填する処理を示すフローチャートである。

【図13】捕捉部４Ｃの円柱状の空間４１２，４１３近傍の構造を示す部分断面図である。

【図14】図１２のステップＳ２００後における空間４１２，４１３近傍の構造を示す部分断面図である。

【図15】ステップＳ５００後における空間４１２，４１３近傍の構造を示す部分断面図である。

【図16】ステップＳ６００後における空間４１２，４１３近傍の構造を示す部分断面図である。

【図17】図１２のステップＳ６００の処理後における隔壁フィルムＦＬｐの貫通孔ＦＬｐＯの近傍の状態を示す説明図である。

【図18】図１２のステップＳ６００における処理を示すフローチャートである。

【図19】屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３への第１隔壁フィルムＦＬｐ１の溶着の処理を示す図である。

【図20】大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１への封止フィルムＦＬｅの溶着および再溶着の処理を示す図である。

【図21】図１２のステップＳ６００の処理後における隔壁フィルムＦＬｐの貫通孔ＦＬｐＯの近傍の状態を示す説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

Ａ．第１実施形態：
Ａ１．液体収容容器の構成：
図１は、本実施形態の液体収容容器ＩＣを示す斜視図である。液体収容容器ＩＣは、内部にインクを収容している。液体収容容器ＩＣは、プリンターに装着されて、液体供給口２００からプリンターにインクを供給する。液体収容容器ＩＣは、直方体状の外形形状を有する筐体９００を備える。筐体９００は、ポリプロピレンにより構成されている。液体収容容器ＩＣは、プリンターに装着されて使用される際の姿勢において、側面である面の一つにメモリーチップＭＣを備える。メモリーチップＭＣは端子を備えており、端子を介してプリンターの回路と電気的に接続される。以下、プリンターに装着されて使用される際の姿勢を基準に、筐体９００の「底面」、筐体９００の「上面」、筐体９００の「側面」の呼称を用いる。

【0009】

図２は、本実施形態の液体収容容器ＩＣの分解斜視図である。筐体９００は、異なる部位に複数の凹部を備える（図２の中央部参照）。複数の凹部は、インクを収容する液体収容室１１７，１２１、流路３００，４００、などを構成する。流路３００，４００は、液体収容室１１７，１２１に接続されている。流路３００，４００には、インクと空気との少なくとも一方が流通する。液体収容容器ＩＣは、それら複数の凹部を塞ぐように筐体９００に溶着されている複数のフィルムＦＬｐ，ＦＬｐｉ，ＦＬｅ，ＦＬｓｐを備える。なお、図２において、液体収容室１１７，１２１は、筐体９００の裏面側に位置する。

【0010】

液体収容容器ＩＣは、内部に、ゴム膜ＧＭと、コイルバネＳＰ３と、バルブ蓋ＶＣとを備える（図２の中央部参照）。ゴム膜ＧＭと、コイルバネＳＰ３と、バルブ蓋ＶＣとは、液体収容容器ＩＣ内において、その順に重ねられて、差圧弁３２５を構成する。差圧弁３２５については、後に説明する。

【0011】

液体収容容器ＩＣは、筐体９００の底面近傍であって、メモリーチップＭＣが取り付けられている側面の近傍の部位に、コイルバネＳＰ２、バルブＶ２、シールゴムＳＲ、供給口フィルムＦＬｓｐを備える（図２の中央部参照）。コイルバネＳＰ２、バルブＶ２、シールゴムＳＲは、液体供給口２００の近傍の液体供給路３００内において、その順に配される。供給口フィルムＦＬｓｐは、液体供給口２００を封止する。供給口フィルムＦＬｓｐは、液体収容容器ＩＣが使用される際には、筐体９００から剥がされる。

【0012】

液体収容容器ＩＣは、筐体９００の底面であって、メモリーチップＭＣが取り付けられている側面と向かい合う側面の近傍の部位に、プリズムＰＲを備える（図２の中央部参照）。プリズムＰＲの一部は、液体収容容器ＩＣ内の液体収容室１２１内に露出している。プリズムＰＲは、プリンターから照射された光を反射することにより、液体収容室１２１内のインクの量に関する情報を、プリンターに提供する。

【0013】

液体収容容器ＩＣは、筐体９００の一つの側面であって、メモリーチップＭＣが取り付けられている側面と接続されている側面において、メモリーチップＭＣが取り付けられている側面と向かい合う側面の近傍の部位に、大気開放口４０１を備える（図２の上段左部参照）。大気開放口４０１は、液体収容室１１７，１２１に大気を導入するための構成である。大気開放口４０１は、剥離可能な封止フィルムＦＬｅによって、封止されている（図１の上段左部参照）。封止フィルムＦＬｅは、液体収容容器ＩＣ内の液体収容室１１７，１２１に収容されるインクを流通させない。

【0014】

このような構成とすることにより、液体収容容器ＩＣの使用が開始される前の状態において、大気導入路４００内において、捕捉部４Ｃからさらに大気開放口４０１側の部位に流出するインクについても、大気開放口４０１を通じて外部に流出しないようにすることができる。捕捉部４Ｃについては、後に説明する。

【0015】

封止フィルムＦＬｅは、液体収容容器ＩＣが使用される際には、筐体９００から剥がされる。すなわち、大気開放口４０１が開口される。すると、大気開放口４０１は、大気導入路４００を介して、液体収容容器ＩＣの外部と液体収容室１１７，１２１との間に、空気を流通させることができるようになる。その結果、液体収容室１１７，１２１に空気が導入され、液体収容室１１７，１２１から液体供給口２００に適切にインクが送出される。

【0016】

封止フィルムＦＬｅが貼付される筐体９００の一つの側面の他の部位は、隔壁フィルムＦＬｐによって、封止されている（図１、および図２の下段左部参照）。なお、使用前の液体収容容器ＩＣにおいては、隔壁フィルムＦＬｐは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１によって構成される。液体収容容器ＩＣが使用された後に液体収容容器ＩＣにインクが再充填された状態においては、隔壁フィルムＦＬｐは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１と第２隔壁フィルムＦＬｐ２とによって構成される（図２の下段左部、および図１の下段中央部参照）。

【0017】

封止フィルムＦＬｅが貼付される筐体９００の一つの側面と向かい合う一つの側面は、内フィルムＦＬｉによって、封止されている（図２の上段右部参照）。内フィルムＦＬｉによって封止されている一つの側面は、さらに、蓋９１０によって、覆われている。

【0018】

筐体９００の上面には、ラベルＬｂが貼付されている（図２の上段中央部参照）。ラベルＬｂには、液体収容容器ＩＣが収容しているインクの色を示す情報が印刷されている。

【0019】

図３は、図１および図２と略同じ方向から見た液体収容容器ＩＣの側面図である。図４は、図３のＩＶ－ＩＶ断面図である。図５は、図４に示される液体供給口２００近傍の部分を拡大して示す拡大図である。図６は、図３とは逆の方向から見た液体収容容器ＩＣの側面図である。図７は、封止フィルムＦＬｅと、隔壁フィルムＦＬｐと、通気フィルムＦＬｖと、供給口フィルムＦＬｓｐと、が貼付されていない状態の液体収容容器ＩＣを示す斜視図である。

【0020】

液体収容容器ＩＣは、液体収容室１１７，１２１と、液体供給口２００と、液体供給路３００と、大気開放口４０１と、大気導入路４００と、を備える。液体収容室１１７，１２１は、筐体９００内に設けられ、インクを収容する（図６の上段右部および下段右部参照）。図６において、液体収容室１１７，１２１を構成する凹部を、それぞれ凹部Ｒ１１７、凹部Ｒ１２１として示す。液体収容室１１７，１２１は、液体収容容器ＩＣ内に設けられている連通路１２０によって接続されている。具体的には、連通路１２０は、液体収容室１１７から受け取ったインクを、流通孔１１８，１１９を通して流通させ、液体収容室１２１に供給する（図３の中段左部および図６の中段右部参照）。

【0021】

液体供給口２００は、筐体９００の底面に設けられている（図３の下段右部、図６の下段左部、および図７の下段右部参照）。図５～図７において、液体供給口２００を構成する凹部を、凹部Ｒ２００として示す。凹部Ｒ２００は、円筒状の隔壁ＰＴ２００によって画定されている（図５の下段、および図７の下段右部参照）。隔壁ＰＴ２００には、供給口フィルムＦＬｓｐが溶着されている（図２の下段右部参照）。液体供給口２００は、液体収容室１１７，１２１内のインクを液体収容容器ＩＣの外部に供給する。

【0022】

液体供給口２００を画定する隔壁ＰＴ２００のうち、隔壁ＰＴ２００の内面において隔壁ＰＴ２００と接続されている構成ＣＳ２００から、供給口フィルムＦＬｓｐに向かう向きＤ２００に、突出している部分の寸法を、図５において、寸法Ｈ２００として示す（図５の下段左部参照）。本明細書において、「構成Ａと接続されている構成Ｂ」とは、構成Ａとは異なる機能を奏するために設けられている構成Ｂであって、構成Ａとは異なる機能を奏するために設けられているさらに他の構成Ｃが構成Ａとの間に存在しない構成Ｂ、を意味する。

【0023】

液体供給口２００の寸法Ｈ２００は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３の寸法Ｈ４０３よりも大きい。隔壁ＰＴ４０３の寸法Ｈ４０３については、後に説明する。

【0024】

このような構成とすることにより、供給口フィルムＦＬｓｐで液体供給口２００を塞いだ状態で、液体収容容器ＩＣを流通させることができ、供給口フィルムＦＬｓｐを隔壁ＰＴ２００から剥がすことにより、液体供給口２００を介して液体収容室１１７，１２１から外部にインクを供給できる状態で、液体収容容器ＩＣを使用することができる。その後、隔壁ＰＴ２００に対して新たな供給口フィルムＦＬｓｐを溶着させることで、液体供給口２００を再度、封止して、液体収容容器ＩＣを流通に適した状態とすることができる。そして、隔壁ＰＴ２００の寸法Ｈ２００を十分な大きさに設定することにより、同一の液体収容容器ＩＣに対して、新たな供給口フィルムＦＬｓｐを溶着させることで液体供給口２００を封止する処理を、複数回、行うことができる。

【0025】

液体供給路３００は、筐体９００内に設けられている。液体供給路３００は、液体供給口２００と液体収容室１１７，１２１とを接続する。具体的には、液体供給路３００は、液体収容室１２１から受け取ったインクを、流通孔３２２，３２３，３２４，３２６，３２７、ならびに流路部分３２８を通して流通させ、液体供給口２００に供給する（図６の下段中央部および中段左部、ならびに図４参照）。図３および図６において、液体供給路３００を構成する凹部を、凹部Ｒ３００として示す。

【0026】

液体供給路３００は、差圧弁３２５を備える（図４の上段参照）。差圧弁３２５は、筐体９００を構成する壁部と、ゴム膜ＧＭと、コイルバネＳＰ３と、バルブ蓋ＶＣと、により構成される。差圧弁３２５は、液体供給路３００のうち差圧弁３２５と液体供給口２００との間の流路部分の圧力である下流圧力が、液体供給路３００のうち差圧弁３２５と液体収容室１１７，１２１との間の流路部分の圧力である上流圧力よりも、小さく、かつ下流圧力と上流圧力の差があらかじめ定められた値より大きいときに、液体供給路３００を導通させる。差圧弁３２５は、下流圧力と上流圧力の差が上記のあらかじめ定められた値よりも小さいか、下流圧力が上流圧力よりも大きいときに、液体供給路３００を遮断する。

【0027】

このような構成とすることにより、液体収容室１１７，１２１から液体供給口２００に向けて、インクを適切に供給でき、かつ、逆向きのインクの流通を防止できる。

【0028】

大気開放口４０１は、前述のように、筐体９００の一つの側面であって、メモリーチップＭＣが取り付けられている側面と向かい合う側面の近傍の部位に、設けられる（図３の上段左部および図７の上段左部参照）。大気開放口４０１は、大気を液体収容室１１７，１２１内に導入する。図３および図７において、大気開放口４０１を構成する凹部を、凹部Ｒ４０１として示す。凹部Ｒ４０１は、隔壁ＰＴ４０１によって画定されている。隔壁ＰＴ４０１には、封止フィルムＦＬｅが溶着されている（図２の上段左部参照）。

【0029】

図８は、図７に示される大気開放口４０１近傍の部分を拡大して示す拡大図である。図９は、図３のＩＸ－ＩＸ断面図である。図１０は、図９に示される大気開放口４０１近傍の部分を拡大して示す拡大図である。

【0030】

大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１のうち、隔壁ＰＴ４０１と接続されている構成ＣＳ４０１から封止フィルムＦＬｅに向かう向きＤ４０１に突出している部分の寸法を、図１０において、寸法Ｈ４０１として示す。なお、技術の理解を容易にするため、図８～図１０において、封止フィルムＦＬｅは示されていない（図２参照）。

【0031】

屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３のうち、隔壁ＰＴ４０３と接続されている構成ＣＳ４０３から第１隔壁フィルムＦＬｐ１に向かう向きＤ４０３に突出している部分の寸法を、図１０において、寸法Ｈ４０３として示す。

【0032】

大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１の寸法Ｈ４０１は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３の寸法Ｈ４０３よりも、大きい（図１０参照）。

【0033】

このような構成とすることにより、隔壁ＰＴ４０１の寸法Ｈ４０１と隔壁ＰＴ４０３の寸法Ｈ４０３が等しい態様に比べて、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１に対して新たなフィルムを溶着させることが容易である。このため、封止フィルムＦＬｅを隔壁ＰＴ４０１から剥がした後、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１に対して新たなフィルムを溶着させることで、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１が画定する大気導入路４００を再度、新たなフィルムで封止することができる。そして、隔壁ＰＴ４０１の寸法Ｈ４０１を十分な大きさに設定することにより、そのような処理を、複数回、行うことができる。

【0034】

大気導入路４００は、筐体９００内に設けられる（図３の上段参照）。大気導入路４００は、大気開放口４０１と液体収容室１１７，１２１とを接続する。具体的には、大気導入路４００は、大気開放口４０１を介して空気を導入し、流通孔４０２，４０５，４０６，４０７，４１５，４１６を通して流通させ、液体収容室１１７に供給する（図３、および図６参照）。図３および図６において、大気導入路４００を構成する凹部を、凹部Ｒ４００として示す。

【0035】

大気導入路４００は、大気開放口４０１から液体収容室１１７に向かう向きに、順に、屈曲流路部４０３と、障壁流路部４Ｈと、空気室４０８，４０９と、捕捉部４Ｃと、空気室４１４と、を備える（図３、および図６参照）。

【0036】

捕捉部４Ｃは、大気導入路４００の一部を構成する（図３の下段右部、図６の下段左部、および図７の下段右部参照）。捕捉部４Ｃは、大気導入路４００に侵入したインクを捕捉する機能を奏する。捕捉部４Ｃの構成については、後に詳細に説明する。

【0037】

大気導入路４００は、捕捉部４Ｃよりも大気開放口４０１側の部位において、通気フィルムＦＬｖによって、塞がれている（図３の上段中央部参照）。通気フィルムＦＬｖは、流通孔４０５を囲み、周りの壁部よりも高さが低い壁の上端に溶着されて、高さが低い壁に囲まれた空間と、高さが低い壁を囲む空間と、を仕切っている。通気フィルムＦＬｖは、空気を流通させることができかつ液体収容室１１７，１２１に収容されるインクを流通させない素材で構成されている。具体的には、通気フィルムＦＬｖは、気体の酸素や窒素の分子を流通させ、液体の分子を流通させない大きさの微細孔を有するフィルムで構成されている。

【0038】

このような態様とすることにより、大気導入路４００内において、捕捉部４Ｃからさらに大気開放口４０１側の部位に流出するインクについても、大気開放口４０１を通じて外部に流出しないようにすることができる。

【0039】

障壁流路部４Ｈは、大気導入路４００において、捕捉部４Ｃと通気フィルムＦＬｖとの間の部位に、位置する。障壁流路部４Ｈは、液体収容容器ＩＣの液体供給口２００から外部にインクを供給するときの液体収容容器ＩＣの姿勢において、捕捉部４Ｃよりも鉛直上方に位置する。具体的には、障壁流路部４Ｈは、流通孔４０５と流通孔４０６の間の流路部分４Ｈ１、および流通孔４０６と流通孔４０７の間の流路部分４Ｈ２である（図６の上段左部、図３の上段右部、および図７の上段右部参照）。

【0040】

このような態様とすることにより、捕捉部４Ｃを通過したインクが存在した場合にも、そのインクは、重力に逆らって上昇して、鉛直上方に位置する障壁流路部４Ｈを乗り越えない限り、通気フィルムＦＬｖには到達しない。このため、捕捉部４Ｃを通過したインクが通気フィルムＦＬｖに接触する可能性を低減することができる。その結果、通気フィルムＦＬｖ全体がインクで濡れることにより、大気導入路４００において空気が流通できなくなる可能性を低減することができる。

【0041】

屈曲流路部４０３は、大気導入路４００において、捕捉部４Ｃと通気フィルムＦＬｖとの間に位置する（図３の上段左部および図７の上段左部参照）。屈曲流路部４０３は、互いに接続されており逆の向きに空気を流通させる一対の流路部分４０３ａ，４０３ｂを含む（図３の下段左部、および図７の下段左部参照）。流路部分４０３ａ，４０３ｂの断面積は、流路部分４０３ａ，４０３ｂに接続されている大気導入路４００の流通孔４０２の断面積よりも小さい。本実施形態においては、屈曲流路部４０３は、そのような対の流路部分を３組、含む。図３および図７において、屈曲流路部４０３を構成する凹部を、凹部Ｒ４０３として示す。凹部Ｒ４０３は、大気導入路４００の一部を構成する。凹部Ｒ４０３は、隔壁ＰＴ４０３によって画定されている（図７の上段参照）。なお、大気導入路４００は、捕捉部４Ｃと液体収容室１１７，１２１との間には、そのような屈曲流路部４０３を備えない。

【0042】

このような構成とすることにより、大気導入路４００を介して液体収容室１１７，１２１内のインクの揮発成分が蒸発する量を、低減することができる。

【0043】

空気室４０８，４０９，４１４は、大気導入路４００の途中において、空気を滞留させるための部屋である（図６の上段左部および下段左部参照）。

【0044】

図１１は、図３および図７に示される捕捉部４Ｃ近傍の部分を拡大して示す拡大図である。捕捉部４Ｃは、大気導入路４００の一部を構成する。捕捉部４Ｃは、第１領域４Ｃ１と、第２領域４Ｃ２と、第３領域４Ｃ３と、を含む。

【0045】

第１領域４Ｃ１は、具体的には、４個の円柱状の空間４１０，４１１，４１２，４１３である。円柱状の空間４１０，４１１，４１２，４１３は、互いに平行な方向に伸びている。円柱状の空間４１０，４１１，４１２，４１３は、液体収容容器ＩＣがプリンターに装着されて使用される際の姿勢において、水平方向と一致する方向に伸びている。円柱状の空間４１０，４１１，４１２，４１３を「第１領域」とも呼ぶ。大気開放口４０１から導入された空気は、捕捉部４Ｃにおいて、第１領域４１０，４１１，４１２，４１３を順に流通される。

【0046】

第２領域４Ｃ２は、筐体９００において、第１隔壁フィルムＦＬｐ１と向かい合う側に設けられている（図２、および図３の下段右部参照）。第２領域４Ｃ２は、第１領域４Ｃ１とは異なる方向に伸びている流路部分４Ｃ２１，４Ｃ２２である。より具体的には、流路部分４Ｃ２１，４Ｃ２２は、第１領域４１０，４１１，４１２，４１３が伸びる方向と垂直な方向に伸びている。流路部分４Ｃ２１，４Ｃ２２は、液体収容容器ＩＣがプリンターに装着されて使用される際の姿勢において、鉛直方向と一致する方向に伸びている。流路部分４Ｃ２１，４Ｃ２２を、「第２領域」とも呼ぶ。

【0047】

第２領域４Ｃ２１は、液体収容容器ＩＣの一部を構成する壁部１４０２に設けられ円形の外形を有する円開口４１０ｏを介して、第１領域４１０に接続されている（図１１の上段右部参照）。第２領域４Ｃ２１は、壁部１４０２に設けられ円形の外形を有する円開口４１１ｏを介して、第１領域４１１に接続されている。

【0048】

第２領域４Ｃ２１は、壁部１４０２と、周囲壁１４０３と、隔壁フィルムＦＬｐと、により画定されている（図１１の上段右部参照）。壁部１４０２は、筐体９００の構成要素のうち、円開口４１０ｏが設けられている壁部である。周囲壁１４０３は、壁部１４０２から突出している壁部である。周囲壁１４０３は、円開口４１０ｏを囲んでいる。隔壁フィルムＦＬｐは、周囲壁１４０３の上端に接合されている。隔壁フィルムＦＬｐは、周囲壁１４０３に囲まれた空間と液体収容容器ＩＣの外部との間を隔てている（図２の下段左部参照）。なお、技術の理解を容易にするため、図１１において、隔壁フィルムＦＬｐは、示されていない。

【0049】

第２領域４Ｃ２２は、壁部１４０２に設けられ円形の外形を有する円開口４１２ｏを介して、第１領域４１２に接続されている（図１１の中段左部参照）。第２領域４Ｃ２２は、液体収容容器ＩＣの一部を構成する壁部１４０２に設けられ円形の外形を有する円開口４１３ｏを介して、第１領域４１３に接続されている。このような構成を有するため、円開口４１３ｏは、液体収容容器ＩＣの向きによらず、第２領域４Ｃ２との間でインクのやりとりを行うことができる。

【0050】

第２領域４Ｃ２２は、壁部１４０２と、周囲壁１４０４と、隔壁フィルムＦＬｐと、により画定されている（図１１の中段左部参照）。壁部１４０２は、筐体９００の構成要素のうち、円開口４１２ｏが設けられている壁部である。

【0051】

周囲壁１４０４は、壁部１４０２から突出している壁部である。周囲壁１４０４は、円開口４１２ｏを囲んでいる。周囲壁１４０４によって、捕捉部４Ｃの第２領域４Ｃ２を構成する凹部Ｒ４Ｃ２の一部が画定される。周囲壁１４０４には、第１隔壁フィルムＦＬｐ１が溶着されている（図２の中央部参照）。周囲壁１４０４のうち、周囲壁１４０４の外周と接続されている壁部１４０２から第１隔壁フィルムＦＬｐ１に向かう向きＤ４Ｃ２に突出している部分の寸法を、図１１において、寸法Ｈ４Ｃ２として示す。周囲壁１４０４の寸法Ｈ４Ｃ２は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３の寸法Ｈ４０３よりも大きい（図１０の上段中央部および図１１の中央部参照）。

【0052】

このような構成とすることにより、周囲壁１４０４の寸法Ｈ４Ｃ２と隔壁ＰＴ４０３の寸法Ｈ４０３が等しい態様に比べて、周囲壁１４０４に対して新たなフィルムを溶着させることが容易である。このため、第１隔壁フィルムＦＬｐ１に穴を設けた後、周囲壁１４０４に対して新たなフィルムＦＬｐ２を溶着させることで、周囲壁１４０４が画定する流路部分４Ｃ２２を再度、新たなフィルムＦＬｐ２で構成することができる。そして、周囲壁１４０４の寸法Ｈ４Ｃ２を十分な大きさに設定することにより、そのような処理を、複数回、行うことができる。

【0053】

周囲壁１４０４は、第１部分壁１４０４ａと、第２部分壁１４０４ｂと、を含む。第１部分壁１４０４ａは、円開口４１２ｏを囲む部分壁である。円開口４１２ｏを介して、円柱状の空間４１２が、第２領域４Ｃ２２と接続されている。円柱状の空間４１２は、大気導入路４００において第２領域４Ｃ２２よりも大気開放口４０１の側に位置する。第２部分壁１４０４ｂは、円開口４１３ｏを囲む部分壁である。円開口４１３ｏを介して、円柱状の空間４１３が、第２領域４Ｃ２２と接続されている。円柱状の空間４１３は、大気導入路４００において第２領域４Ｃ２２よりも液体収容室１１７，１２１の側に位置する。

【0054】

第２領域４Ｃ２２のうち、第２部分壁１４０４ｂによって囲まれる空間は、第１部分壁１４０４ａによって囲まれる空間よりも大きい。なお、「第１部分壁１４０４ａによって囲まれる空間の大きさ」は、円開口４１２ｏの開口面に垂直な方向から見たときに、第１部分壁１４０４ａによって囲まれる領域内に収容され得る最大の仮想円の直径で規定される。「第２部分壁１４０４ｂによって囲まれる空間の大きさ」は、円開口４１３ｏの開口面に垂直な方向から見たときに、第２部分壁１４０４ｂによって囲まれる領域内に収容され得る最大の仮想円の直径で規定される。第２部分壁１４０４ｂによって囲まれる空間、および第１部分壁１４０４ａによって囲まれる空間に関する寸法については、後にさらに説明する。

【0055】

このような態様とすることにより、第２領域４Ｃ２２のうち、第１部分壁１４０４ａに囲まれる空間よりも液体収容室１１７，１２１に近い位置にある第２部分壁１４０４ｂに囲まれる空間に、インクを収集しやすい。言い換えれば、第２部分壁１４０４ｂに囲まれる空間に、より多くのインクを捕捉することができる。このため、第２部分壁１４０４ｂによって囲まれる空間が、第１部分壁１４０４ａによって囲まれる空間よりも小さい態様に比べて、第２領域４Ｃ２にインクを誘導しやすい。言い換えれば、大気開放口４０１にインクがより到達しにくい。

【0056】

隔壁フィルムＦＬｐは、周囲壁１４０４の上端に接合されている。隔壁フィルムＦＬｐは、周囲壁１４０４に囲まれた空間と液体収容容器ＩＣの外部との間を隔てている（図２の下段左部参照）。なお、技術の理解を容易にするため、図１１において、隔壁フィルムＦＬｐは、示されていない。

【0057】

第３領域４Ｃ３は、筐体９００において、内フィルムＦＬｉと向かい合う側に設けられている（図６の下段左部参照）。第３領域４Ｃ３は、第１領域４Ｃ１および第２領域４Ｃ２とは異なる方向に伸びている流路部分である。より具体的には、第３領域４Ｃ３は、第１領域４１０，４１１，４１２，４１３が伸びる方向と垂直な方向であって、第２領域４Ｃ２１，４Ｃ２２が伸びる方向とねじれの位置にある方向に伸びている。

【0058】

第３領域４Ｃ３は、円形の外形を有する円開口を介して、第１領域４１１に接続されている（図６の下段左部参照）。第３領域４Ｃ３は、円形の外形を有する円開口を介して、第１領域４１２に接続されている。

【0059】

その結果、大気開放口４０１から導入された空気は、捕捉部４Ｃにおいて、第１領域４１０、第２領域４Ｃ２１、第１領域４１１、第３領域４Ｃ３、第１領域４１２、第２領域４Ｃ２２、第１領域４１３を、順に流通される。

【0060】

このような構成とすることにより、液体収容容器ＩＣが様々な向きに配された場合にも、大気導入路４００の一部を構成する捕捉部４Ｃに含まれ互いに異なる方向に伸びている第１領域４Ｃ１と第２領域４Ｃ２と、第３領域４Ｃ３とにより、インクを捕捉することができる。その結果、液体収容室１１７，１２１内のインクが大気開放口４０１を通じて外部に流出する可能性を低減することができる。

【0061】

筐体９００は、壁部１４０２から周囲壁１４０４と同じ方向に突出しており周囲壁１４０４に隣接する他の壁部１４０６を備える。なお、二つの壁部が「隣接する」とは、二つの壁部の間に、それら二つの壁部と同じ方向に突出する他の壁部がないことを意味する。周囲壁１４０４の高さＨ４Ｃ２は、壁部１４０６の高さよりも高い。

【0062】

本実施形態の液体収容容器ＩＣは、上記の構成を有するため、後述するように、使用済みの液体収容容器ＩＣに容易にインクを収容させることができる。すなわち、隔壁フィルムＦＬｐに貫通孔ＦＬｐＯを設け、錐台状の部分８３０ｔを有する注入ノズル８３０を、貫通孔ＦＬｐＯを介して捕捉部４Ｃに入れ、円開口４１３ｏに円錐台状の部分８３０ｔを挿入することができる。そして、円開口４１３ｏを注入ノズル８３０で封止できる。液体供給口２００を介して液体収容室ＩＣ内のインクを吸引できる。その結果、充填装置８００の注入ノズル８３０からインクを送出し、円開口４１３ｏを介して液体収容室１１７，１２１内にインクを流入させることができる。すなわち、液体収容室１１７，１２１内の圧力を低下させて、円開口４１３ｏを介して液体収容室１１７，１２１内にインクを流入させることができる。以下で、そのための構成および処理について詳細に説明する。

【0063】

Ａ２．液体収容容器へのインクの再充填：
図１２は、液体収容容器にインクを再充填する処理を示すフローチャートである。図１２の処理の結果、使用済みの液体収容容器にインクが収容され、新たな液体収容容器が製造される。

【0064】

図１２のステップＳ９０において、作業者は、液体収容容器ＩＣを準備する。ステップＳ９０で準備される液体収容容器ＩＣは、使用済みの液体収容容器ＩＣである。ステップＳ９０で準備される液体収容容器ＩＣの液体収容室１１７，１２１内のインクの少なくとも一部は、消費されている。

【0065】

図１３は、捕捉部４Ｃの円柱状の空間４１２，４１３近傍の構造を示す部分断面図である。図１３において、捕捉部４Ｃの第２領域４Ｃ２を構成する凹部を、凹部Ｒ４Ｃ２として示す。凹部Ｒ４Ｃ２は、大気導入路４００の一部を構成する。

【0066】

図１２のステップＳ１００において、作業者は、隔壁フィルムＦＬｐに貫通孔ＦＬｐＯを設ける。具体的には、隔壁フィルムＦＬｐとしての第１隔壁フィルムＦＬｐ１に貫通孔ＦＬｐＯが開けられる（図１３参照）。

【0067】

図１４は、図１２のステップＳ２００後における空間４１２，４１３近傍の構造を示す部分断面図である。ステップＳ２００において、作業者は、円錐台状の部分８３０ｔを有する注入ノズル８３０を貫通孔ＦＬｐＯを介して捕捉部４Ｃに入れる（図７の下段右部参照）。そして、作業者は、円開口４１３ｏに円錐台状の部分８３０ｔを挿入することにより、円開口４１３ｏの外周を注入ノズル８３０の円錐台状の部分８３０ｔのテーパを構成する外面で封止する。

【0068】

液体収容容器ＩＣの壁部１４０２において、円開口４１３ｏの外周と周囲壁１４０４の基部との間の距離は、円開口４１２ｏの外周と周囲壁１４０４の基部との間の距離よりも大きい（図１１参照）。より具体的には、円開口４１３ｏの外周と周囲壁１４０４の基部との間の距離ｄは、０．６ｍｍである。このため、注入ノズル８３０を周囲壁１４０４内に進入させて、円錐台状の部分８３０ｔを容易に円開口４１３ｏに挿入することができる。

【0069】

図１２のステップＳ３００において、作業者は、液体収容容器ＩＣの液体供給口２００に、吸引装置７００を接続する（図７の下段右部参照）。その後、作業者は、液体供給口２００に接続されている吸引装置７００を駆動させて、液体供給口２００を介して液体収容室１１７，１２１内のインクを吸引する。

【0070】

図１２のステップＳ４００において、注入ノズル８３０からインクが送出され、液体収容容器ＩＣの円開口４１３ｏおよび大気導入路４００を介して液体収容室１１７，１２１内にインクが流入する（図７および図６参照）。

【0071】

液体収容容器ＩＣの大気導入路４００は、捕捉部４Ｃと液体収容室１１７，１２１との間には、屈曲流路部４０３のような構成を備えない（図３、図６および図７参照）。このため、捕捉部４Ｃから液体収容室１１７，１２１へのインクの注入を効率的に行うことができる。

【0072】

図１５は、ステップＳ５００後における空間４１２，４１３近傍の構造を示す部分断面図である。図１２のステップＳ５００において、作業者は、注入ノズル８３０を捕捉部４Ｃの外部に退出させる。

【0073】

本実施形態において、捕捉部４Ｃの第２領域４Ｃ２を構成する凹部Ｒ４Ｃ２は、大気導入路４００において、屈曲流路部４０３を構成する凹部Ｒ４０３と、液体収容室１１７，１２１との間に位置する。

【0074】

このような構成とすることにより、大気導入路４００において捕捉部４Ｃの凹部Ｒ４Ｃ２が屈曲流路部４０３の凹部Ｒ４０３に対して液体収容室１１７，１２１とは逆の側にある態様に比べて、第１隔壁フィルムＦＬｐ１に穴を設けることにより、捕捉部４Ｃの凹部Ｒ４Ｃ２を通じて、容易に、液体収容室１１７，１２１にインクを充填することができる。

【0075】

図１６は、ステップＳ６００後における空間４１２，４１３近傍の構造を示す部分断面図である。図１２のステップＳ６００において、作業者は、隔壁フィルムＦＬｐとしての第１隔壁フィルムＦＬｐ１に設けられた貫通孔ＦＬｐＯを封止する。より具体的には、貫通孔ＦＬｐＯは、第２隔壁フィルムＦＬｐ２によって、封止される。この状態においては、隔壁フィルムＦＬｐは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１と第２隔壁フィルムＦＬｐ２とによって構成される（図２の下段左部、および図１の下段右部参照）。

【0076】

以上の処理を行うことにより、差圧弁３２５を備える液体収容容器ＩＣにおいても、液体収容室１１７，１２１内の圧力を低下させて、円開口４１３ｏを介して液体収容室１１７，１２１内にインクを流入させることができる。すなわち、使用済みの液体収容容器ＩＣに容易にインクを収容させることができる。

【0077】

本実施形態においては、円開口４１３ｏは、空間である第２領域４Ｃ２２を挟んで、樹脂製の隔壁フィルムＦＬｐと向かい合う位置にある。このため、隔壁フィルムＦＬｐに貫通孔ＦＬｐＯを空けることにより、容易に円開口４１３ｏに注入ノズル８３０を接続して、インクを注入することができる。

【0078】

本実施形態においては、周囲壁１４０４の寸法Ｈ４Ｃ２は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３の寸法Ｈ４０３よりも大きい（図１０の上段中央部参照）。このため、円開口４１３ｏを囲む周囲壁１４０４に溶着された第１隔壁フィルムＦＬｐ１に貫通孔ＦＬｐＯを設けて、円開口４１３ｏを介してインクを充填した後、周囲壁１４０４に対して新たなフィルムＦＬｐ２を溶着させることで、第２領域４Ｃ２を再度、新たな第２隔壁フィルムＦＬｐ２で構成することができる。そして、周囲壁１４０４の寸法Ｈ４Ｃ２を十分な大きさに設定することにより、同一の液体収容容器ＩＣに対して、新たなフィルムを溶着させることで第２領域４Ｃ２を再度、構成する処理を、複数回、行うことができる。

【0079】

図１２のステップＳ７００において、作業者は、液体収容容器ＩＣの大気開放口４０１を、液体収容室１１７，１２１に収容されるインクを流通させない封止フィルムＦＬｅによって、封止する（図１の上段左部参照）。封止フィルムＦＬｅは、液体収容容器ＩＣの筐体９００に対して剥離可能なフィルムである。

【0080】

この処理を行うことにより、インクの充填後、再充填後の液体収容容器ＩＣの使用が開始される前の状態において、大気導入路４００内において、捕捉部４Ｃからさらに大気開放口４０１側の部位に流出するインクについても、大気開放口４０１を通じて外部に流出しないようにすることができる。

【0081】

図１７は、図１２のステップＳ６００の処理後における隔壁フィルムＦＬｐの貫通孔ＦＬｐＯの近傍の状態を示す説明図である。貫通孔ＦＬｐＯを空けられる前の状態において隔壁フィルムＦＬｐとして機能する第１隔壁フィルムＦＬｐ１は、第１層Ｌ１と、第２層Ｌ２と、を備える。第１層Ｌ１は、筐体９００の隔壁に溶着されている層である。第１層Ｌ１は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３を構成する樹脂と同じ樹脂で構成されている。より具体的には、第１層Ｌ１は、ポリプロピレンで構成されている。第２層Ｌ２は、液体収容容器ＩＣの外部に露出している層である。第２層Ｌ２は、第１層Ｌ１の素材よりも融点が高い素材で構成されている。第２層Ｌ２は、より具体的には、ポリエチレンテレフタレートで構成されている。

【0082】

第１層Ｌ１は、捕捉部４Ｃの第２領域４Ｃ２２を囲む周囲壁１４０４の上端に接合されている（図１１の中段左部参照）。より具体的には、第１層Ｌ１は、周囲壁１４０４の上端に溶着されている。なお、周囲壁１４０４の「上端」とは、周囲壁１４０４が壁部１４０２から突出している方向Ｄ４Ｃ２についての、先端を意味する。第１層Ｌ１と周囲壁１４０４との溶着部分を、図１７において、溶着部ＷＰ１としてハッチングを付して示す。

【0083】

第２隔壁フィルムＦＬｐ２は、第１隔壁フィルムＦＬｐ１の貫通孔ＦＬｐＯを塞ぐために第１隔壁フィルムＦＬｐ１に接合される。第２隔壁フィルムＦＬｐ２は、第３層Ｌ３と、第４層Ｌ４と、を備える。第３層Ｌ３は、第２層Ｌ２の素材よりも融点が低い素材で構成されている。第４層Ｌ４は、第３層Ｌ３の素材よりも融点が高い素材で構成されている。より具体的には、第３層Ｌ３は、ポリオレフィン系の合成樹脂で構成されている。第４層Ｌ４は、ポリエチレンテレフタレート系の合成樹脂で構成されている。

【0084】

図１８は、図１２のステップＳ６００における処理を示すフローチャートである。図１２のステップＳ６００においては、隔壁フィルムＦＬｐが有する貫通孔ＦＬｐＯが、第２隔壁フィルムＦＬｐ２により封止される。

【0085】

ステップＳ６１０において、作業者は、第１隔壁フィルムＦＬｐ１の第２層Ｌ２の一部を第１層Ｌ１が露出するまで除去する。より具体的には、第１隔壁フィルムＦＬｐ１の一部であって、貫通孔ＦＬｐＯを囲む環状の領域に位置する部分が、除去される。

【0086】

ステップＳ６２０において、作業者は、第２隔壁フィルムＦＬｐ２の第３層Ｌ３が第１隔壁フィルムＦＬｐ１と向かい合うように、第２隔壁フィルムＦＬｐ２を配する。そして、作業者は、第２隔壁フィルムＦＬｐ２の第３層Ｌ３を、第１隔壁フィルムＦＬｐ１の第１層Ｌ１と溶着させる。より具体的には、第１隔壁フィルムＦＬｐ１のうち第１層Ｌ１が露出している部分において、第２隔壁フィルムＦＬｐ２の第３層Ｌ３が、隔壁フィルムＦＬｐの第１層Ｌ１と溶着される。第２隔壁フィルムＦＬｐ２の第３層Ｌ３と、隔壁フィルムＦＬｐの第１層Ｌ１と、の溶着部分を、図１７において、溶着部ＷＰ２としてハッチングを付して示す。

【0087】

このような処理を行うことにより、インクを再充填した後の液体収容容器ＩＣにおいて、融点が高い第１隔壁フィルムＦＬｐ１の第２層Ｌ２と、融点が高い第２隔壁フィルムＦＬｐ２の第４層Ｌ４とにより、隔壁フィルムＦＬｐの強度を担保することができる。一方で、貫通孔ＦＬｐＯを囲む領域において、第２隔壁フィルムＦＬｐ２の第３層Ｌ３と第１隔壁フィルムＦＬｐ１の第１層Ｌ１とが溶着されるため、第２隔壁フィルムＦＬｐ２と第１隔壁フィルムＦＬｐ１との接合を強固にすることができる。また、第２領域４Ｃ２２から貫通孔ＦＬｐＯを介してインクが外部に漏出することを防止できる。

【0088】

第２隔壁フィルムＦＬｐ２の第３層Ｌ３が隔壁フィルムＦＬｐの第１層Ｌ１と溶着される際に、周囲壁１４０４の一部は熱により溶融され、下方に流動する。しかし、周囲壁１４０４の高さは、壁部１４０２から突出しており周囲壁１４０４に隣接する他の壁部１４０６の高さよりも高い。このため、流動した素材が円開口４１３ｏを塞ぐ可能性が低い。また、円開口４１３ｏの外周と周囲壁１４０４の基部との間の距離は、円開口４１２ｏの外周と周囲壁１４０４の基部との間の距離よりも大きい（図１１参照）。よって、この点からも、流動した素材が円開口４１３ｏを塞ぐ可能性が低い。

【0089】

図１２および図１８の処理の後、液体収容容器ＩＣは、図１に示す状態となる。図１に示す液体収容容器ＩＣにおいて、隔壁フィルムＦＬｐは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１と、第２隔壁フィルムＦＬｐ２と、を備える。第１隔壁フィルムＦＬｐ１は、周囲壁１４０４の上端に接合され周囲壁１４０４に囲まれた空間と液体収容容器ＩＣの外部との間を隔てており、貫通孔ＦＬｐＯを有する。第２隔壁フィルムＦＬｐ２は、第１隔壁フィルムＦＬｐ１に対して周囲壁１４０４とは逆の側に配され、周囲壁１４０４に溶着されている（図１７参照）。

【0090】

このような処理により、すでに溶着されていた第１隔壁フィルムＦＬｐ１に穴を設けた後、周囲壁１４０４に対して新たな第２隔壁フィルムＦＬｐ２を溶着させ、周囲壁１４０４が画定する第２領域４Ｃ２を再度、新たな第２隔壁フィルムＦＬｐ２で構成することができる。その結果、液体収容容器ＩＣを再生することができる。

【0091】

以上で説明した処理を行うことにより、液体収容容器ＩＣが再生される。

【0092】

Ａ３．インクの再充填による隔壁の変形：
以下では、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３への第１隔壁フィルムＦＬｐ１の溶着と、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１への封止フィルムＦＬｅの溶着と、を対比して説明する（図２の中段左部および下段左部参照）。

【0093】

図１９は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３への第１隔壁フィルムＦＬｐ１の溶着の処理を示す図である。前述のように、第１隔壁フィルムＦＬｐ１は、第１層Ｌ１と、第２層Ｌ２と、を備える。第１層Ｌ１は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３を構成する樹脂と同じ樹脂で構成されている。このため、第１隔壁フィルムＦＬｐ１の第１層Ｌ１が、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３を構成する樹脂とは異なる素材で構成されている態様に比べて、第１隔壁フィルムＦＬｐ１が隔壁ＰＴ４０３に強固に溶着される。

【0094】

図１９に示す処理においては、液体収容容器ＩＣが製造される際に、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３の上端に、第１隔壁フィルムＦＬｐ１が溶着される（図１９の左部、および図２の下段左部参照）。図１９において、第１隔壁フィルムＦＬｐ１が溶着される前の隔壁ＰＴ４０３を、隔壁ＰＴ４０３ｏとして示す。隔壁ＰＴ４０３ｏの突出方向Ｄ４０３の高さをＨ４０３ｏとして示す（図１０も参照）。第１隔壁フィルムＦＬｐ１が押圧され溶着される方向を、矢印Ａｈｐで示す。大気導入路４００は、屈曲流路部４０３を含む。このため、図１９においては、屈曲流路部４０３と大気導入路４００とを、同じ部位を指す符号で示す。

【0095】

隔壁ＰＴ４０３ｏに第１隔壁フィルムＦＬｐ１が押圧され溶着されると、溶着の際の熱により、隔壁ＰＴ４０３ｏの上端部の一部が溶融する。溶融した隔壁ＰＴ４０３ｏの一部は、同じく溶融した第１隔壁フィルムＦＬｐ１の第１層Ｌ１の一部と混合されて、隔壁ＰＴ４０３ｏの上端から隔壁ＰＴ４０３ｏの側壁上に移動する。その後、その混合物は、固化する。そのようにして生成され隔壁ＰＴ４０３の側壁に付着した混合物を、図１９において、ＰＴｍとして示す（図１９の右部参照）。

【0096】

隔壁ＰＴ４０３ｏの一部が溶融して側壁上に移動した結果、隔壁ＰＴ４０３の突出方向Ｄ４０３の高さＨ４０３は、低くなる。図１９において、第１隔壁フィルムＦＬｐ１が溶着された後の隔壁ＰＴ４０３を、隔壁ＰＴ４０３ａとして示す。隔壁ＰＴ４０３ａの突出方向Ｄ４０３の高さをＨ４０３ａとして示す。

【0097】

第１隔壁フィルムＦＬｐ１が隔壁ＰＴ４０３に溶着されることによって、隔壁ＰＴ４０３の突出方向の高さＨ４０３は、低くなる。しかし、隔壁ＰＴ４０３ｏの突出方向の高さＨ４０３ｏを十分な大きさに設定することにより、隔壁ＰＴ４０３と接続されている構成ＣＳ４０３に阻害されることなく、隔壁ＰＴ４０３に第１隔壁フィルムＦＬｐ１を溶着させることができる。

【0098】

図２０は、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１への封止フィルムＦＬｅの溶着および再溶着の処理を示す図である。図２０において、液体収容容器ＩＣが新規に製造される際に隔壁ＰＴ４０１に溶着される封止フィルムＦＬｅを、封止フィルムＦＬｅ１として示す（図２０の上段参照）。封止フィルムＦＬｅ１は、第１層ＦＬｅ１１と、第２層ＦＬｅ１２と、を備える。

【0099】

第１層ＦＬｅ１１は、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１に溶着される層である。第１層ＦＬｅ１１は、隔壁ＰＴ４０１を構成する樹脂と同じ成分と、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１を構成する樹脂とは異なる成分と、を含む素材で構成されている。より具体的には、第１層ＦＬｅ１１は、ポリプロピレンと、ポリプロピレン以外の成分と、を含む素材で構成されている。このような構成とすることにより、隔壁ＰＴ４０１に溶着された封止フィルムＦＬｅを、後に、隔壁ＰＴ４０１から容易に剥がすことができる。すなわち、イージーピールオープン性が実現される。

【0100】

第２層ＦＬｅ１２は、液体収容容器ＩＣの外部に露出している層である。第２層ＦＬｅ１２は、第１層ＦＬｅ１１よりも高い融点を有する素材で構成されている。より具体的には、第２層Ｌ２は、ポリエチレンテレフタレート系の合成樹脂で構成されている。

【0101】

図２０に示す処理においては、まず、液体収容容器ＩＣが製造される際に、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１の上端に、封止フィルムＦＬｅ１が溶着される（図２０の上段左部、および図２の中段左部参照）。図２０において、封止フィルムＦＬｅ１が溶着される前の隔壁ＰＴ４０１を、隔壁ＰＴ４０１ｏとして示す。隔壁ＰＴ４０１ｏの突出方向Ｄ４０１の高さをＨ４０１ｏとして示す（図１０も参照）。封止フィルムＦＬｅ１が押圧され溶着される方向を、矢印Ａｈｐ１で示す。大気導入路４００は、大気開放口４０１と液体収容室１１７，１２１とを接続する。このため、図２０においては、大気開放口４０１と大気導入路４００とを、同じ部位を指す符号で示す。

【0102】

隔壁ＰＴ４０１ｏに封止フィルムＦＬｅ１が押圧され溶着される際には、溶融した隔壁ＰＴ４０１ｏの上端部の一部は、同じく溶融した封止フィルムＦＬｅ１の第１層ＦＬｅ１１の一部と混合されて、隔壁ＰＴ４０１ｏの側壁上に移動する。そのようにして隔壁ＰＴ４０１の側壁に付着した混合物を、図２０において、ＰＴｍａとして示す（図２０の上段右部参照）。

【0103】

隔壁ＰＴ４０１ｏの一部が溶融して側壁上に移動した結果、隔壁ＰＴ４０１の突出方向Ｄ４０１の高さＨ４０１は、低くなる。図２０において、封止フィルムＦＬｅ１が溶着された後の隔壁ＰＴ４０１を、隔壁ＰＴ４０１ａとして示す。隔壁ＰＴ４０１ａの突出方向Ｄ４０１の高さをＨ４０１ａとして示す。

【0104】

隔壁ＰＴ４０１ａの突出方向の高さＨ４０１ａは、隔壁ＰＴ４０３ａの突出方向の高さＨ４０３ｏの約２．５倍である（図１９の右部、および図２０の上段右部参照）。すなわち、封止フィルムＦＬｅ１が溶着された後の隔壁ＰＴ４０１の高さをＨ４０１ａが、そのような寸法となるように、封止フィルムＦＬｅが溶着される前の隔壁ＰＴ４０１ｏの高さＨ４０１ｏが設定されている（図２０の上段左部参照）。

【0105】

その後、液体収容容器ＩＣが使用される際には、封止フィルムＦＬｅ１は、剥離される（図２０の下段左部参照）。

【0106】

使用済みの液体収容容器ＩＣが回収され、インクが充填されると、再び、隔壁ＰＴ４０１の上端に封止フィルムＦＬｅ２が溶着される（図２０の下段右部参照）。インクが再充填された液体収容容器ＩＣの隔壁ＰＴ４０１に溶着される封止フィルムＦＬｅを、図２０において、封止フィルムＦＬｅ２として示す。封止フィルムＦＬｅ２は、封止フィルムＦＬｅ１と同じ構造を有する。封止フィルムＦＬｅ２は、第１層ＦＬｅ２１と、第２層ＦＬｅ２２と、を備える。

【0107】

隔壁ＰＴ４０１ａに封止フィルムＦＬｅ２が押圧され溶着される際には、溶融した隔壁ＰＴ４０１ａの上端部の一部が、同じく溶融した封止フィルムＦＬｅ２の第１層ＦＬｅ２１の一部と混合されて、隔壁ＰＴ４０１ａの側壁上に移動する。そのようにして隔壁ＰＴ４０１の側壁に付着した混合物を、図２０において、ＰＴｍｂとして示す（図２０の下段右部参照）。

【0108】

隔壁ＰＴ４０１ａの一部が溶融して側壁上に移動した結果、隔壁ＰＴ４０１の突出方向Ｄ４０１の高さＨ４０１は、さらに低くなる。図２０において、封止フィルムＦＬｅ２が溶着された後の隔壁ＰＴ４０１を、隔壁ＰＴ４０１ｂとして示す。隔壁ＰＴ４０１ｂの突出方向Ｄ４０１の高さをＨ４０１ｂとして示す。このように、封止フィルムＦＬｅが隔壁ＰＴ４０１に溶着されるたびに、隔壁ＰＴ４０１の突出方向Ｄ４０１についての高さＨ４０１は、低くなる。

【0109】

図２０の処理を行うことにより、封止フィルムＦＬｅ１で大気開放口４０１を塞いだ状態で、液体収容容器ＩＣを流通させることができる（図２０の上段右部参照）。そして、封止フィルムＦＬｅ１を大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１から剥がすことにより、大気開放口４０１を介して液体収容室１１７，１２１に大気を導入できる状態で、液体収容容器ＩＣを使用することができる（図２０の下段左部参照）。その後、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１に対して新たな封止フィルムＦＬｅ２を溶着させることで、大気開放口４０１を再度、封止して、液体収容容器ＩＣを流通に適した状態とすることができる（図２０の下段右部参照）。そして、隔壁ＰＴ４０１ａの突出方向の高さＨ４０１ａ、ひいては隔壁ＰＴ４０１ｏの突出方向の高さＨ４０１ｏを、十分な大きさに設定することにより、同一の液体収容容器ＩＣに対して、新たな封止フィルムＦＬｅを溶着させることで大気開放口４０１を封止する処理を、複数回、行うことができる。

【0110】

本実施形態においては、封止フィルムＦＬｅ１が溶着された後の隔壁ＰＴ４０１ａの突出方向の高さＨ４０１ａは、具体的には、隔壁ＰＴ４０３ａの突出方向の高さＨ４０３ｏの約２．５倍である（図１９の右部、および図２０の上段右部参照）。このような構成とすることにより、同一の液体収容容器ＩＣに対して、新たな封止フィルムＦＬｅ２を溶着させることで隔壁ＰＴ４０１が画定する大気開放口４０１を再度、封止する処理を、２回以上、行うことができる。

【0111】

本実施異形態におけるインクを、「液体」とも呼ぶ。液体供給口２００を構成する凹部Ｒ２００、大気開放口４０１を構成する凹部Ｒ４０１、および捕捉部４Ｃの第２領域４Ｃ２を構成する凹部Ｒ４Ｃ２を、「第１凹部」とも呼ぶ。液体供給口２００を画定する隔壁ＰＴ２００、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１、および捕捉部４Ｃの第２領域４Ｃ２を画定する周囲壁１４０４を、「第１隔壁」とも呼ぶ。屈曲流路部４０３を構成する凹部Ｒ４０３を、「第２凹部」とも呼ぶ。屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３を、「第２隔壁」とも呼ぶ。隔壁ＰＴ２００の寸法Ｈ２００、隔壁ＰＴ４０１の寸法Ｈ４０１、および周囲壁１４０４の寸法Ｈ４Ｃ２を、「第１寸法」とも呼ぶ。隔壁ＰＴ４０３の寸法Ｈ４０３を、「第２寸法」とも呼ぶ。

【0112】

本実施異形態における円開口４１３ｏを、「開口」とも呼ぶ。一対の流路部分４０３ａ，４０３ｂを、「一対の第１流路部分」とも呼ぶ。流通孔４０２を、「第２流路部分」とも呼ぶ。封止フィルムＦＬｅ１を、「第１フィルム」とも呼ぶ。第１隔壁フィルムＦＬｐ１を、「第２フィルム」とも呼ぶ。第２隔壁フィルムＦＬｐ２を、「第３フィルム」とも呼ぶ。

【0113】

Ｂ．第２実施形態：
第２実施形態においては、第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂおよび第２隔壁フィルムＦＬｐ２ｂの構成が、第１実施形態の第１隔壁フィルムＦＬｐ１および第２隔壁フィルムＦＬｐ２の構成とは異なる。そして、図１２におけるステップＳ１００，Ｓ６００における処理が、第１実施形態とは異なる。第２実施形態の他の点は、第１実施形態と同じである。

【0114】

図２１は、図１２のステップＳ６００の処理後における隔壁フィルムＦＬｐの貫通孔ＦＬｐＯの近傍の状態を示す説明図である。

【0115】

第２実施形態の第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂは、分離部ＦＬｐ１ｐを備える。分離部ＦＬｐ１ｐは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂの他の部位から切り離される部分である。分離部ＦＬｐ１ｐは、捕捉部４Ｃにおいて周囲壁１４０４によって囲まれている長円形の第２領域４Ｃ２２と相似形の形状を有している（図１１参照）。

【0116】

分離部ＦＬｐ１ｐは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂにおいて、他の部位よりも薄く構成された溝状の部分ＲＳに囲まれている。分離部ＦＬｐ１ｐの外形を画定する溝部ＲＳは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂが筐体９００に溶着された状態において、周囲壁１４０４の上端上にある。分離部ＦＬｐ１ｐは、溝部ＲＳにおいて、第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂの他の部位から切り離される。図２１において、溝部ＲＳを破線で示す。図１および図２において、分離部ＦＬｐ１ｐを破線で示す。

【0117】

第２実施形態の第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂも、第１層Ｌ１と、第２層Ｌ２と、を備える。さらに、第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂは、第２層Ｌ２に対して第１層Ｌ１とは逆の側に、剥離層ＬＰを備える。

【0118】

剥離層ＬＰは、周囲壁１４０４に溶着されている層である。剥離層ＬＰは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂのうち、分離部ＦＬｐ１ｐを含む一部の領域にのみ設けられている（図２１の上段左部参照）。たとえば、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３と向かい合う部分には、剥離層ＬＰは、設けられていない。図２において、剥離層ＬＰが設けられている部位を、破線で示す。

【0119】

剥離層ＬＰは、周囲壁１４０４を構成する樹脂と同じ成分と、周囲壁１４０４を構成する樹脂とは異なる成分と、を含む素材で構成されている。より具体的には、第１層Ｌ１は、ポリプロピレンと、ポリプロピレン以外の成分と、を含む素材で構成されている。

【0120】

第１層Ｌ１は、剥離層ＬＰが設けられていない部分において、筐体９００に溶着されている層である。たとえば、第１層Ｌ１は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３に溶着されている。第１層Ｌ１は、周囲壁１４０４を構成する樹脂と同じ樹脂で構成されている。

【0121】

上記の構成とすることにより、分離部ＦＬｐ１ｐが設けられている領域において、第１層Ｌ１が周囲壁１４０４に溶着されている態様に比べて、第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂが周囲壁１４０４に強固に溶着されない。その結果、第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂの分離部ＦＬｐ１ｐを、他の部位から切り離して、周囲壁１４０４から容易に剥がすことができる。

【0122】

第２層Ｌ２は、液体収容容器ＩＣの外部に露出している層である。第２層Ｌ２の構成は、第１実施形態と同じである。すなわち、第２層Ｌ２は、第１層Ｌ１および剥離層ＬＰの素材よりも融点が高い、ポリエチレンテレフタレートで構成されている。ただし、分離部ＦＬｐ１ｐの外形を画定する溝部ＲＳは、第２層Ｌ２において開口しており、剥離層ＬＰに達している（図２１の中段参照）。すなわち、分離部ＦＬｐ１ｐの外形を画定する溝部ＲＳは、剥離層ＬＰ内に底部を有する。

【0123】

第２実施形態においては、第２隔壁フィルムＦＬｐ２ｂの第３層Ｌ３は、周囲壁１４０４を構成する樹脂と同じ成分と、周囲壁１４０４を構成する樹脂とは異なる成分と、を含む素材で構成されている。より具体的には、第１層Ｌ１は、ポリプロピレンと、ポリプロピレン以外の成分と、を含む素材で構成されている。第２隔壁フィルムＦＬｐ２の他の点は、第１実施形態における第２隔壁フィルムＦＬｐ２と同じである。

【0124】

図１２のステップＳ１００において、作業者は、隔壁フィルムＦＬｐに貫通孔ＦＬｐＯ２を設ける。具体的には、作業者は、分離部ＦＬｐ１ｐを第２領域４Ｃ２２に押し込んで、隔壁フィルムＦＬｐから溝部ＲＳに沿って分離部ＦＬｐ１ｐを切り離す。その後、周囲壁１４０４の上端から、分離部ＦＬｐ１ｐを剥離する。その結果、捕捉部４Ｃの第２領域４Ｃ２の開口を包含する貫通孔ＦＬｐＯ２が、隔壁フィルムＦＬｐに設けられる（図２１の中央部参照）。また、周囲壁１４０４の上端面のうち、捕捉部４Ｃの第２領域４Ｃ２を画定する周囲壁１４０４の内周面と接し、第２領域４Ｃ２の開口を囲む領域ＡＰが、露出する（図２１の中段参照）。周囲壁１４０４の上端面のうち、周囲壁１４０４の外周面と接し、第２領域４Ｃ２の開口を囲む領域には、溶着された第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂが残存する。図２１において、周囲壁１４０４の上端面のうち隔壁フィルムＦＬｐが残存する部分は、溶着部ＷＰ１として示されている。

【0125】

このようにして設けられた貫通孔ＦＬｐＯ２を介して、液体収容室１１７，１２１内にインクが再充填される（図１２のＳ２００～Ｓ４００参照）。

【0126】

図１２のステップＳ６００において、作業者は、隔壁フィルムＦＬｐとしての第１隔壁フィルムＦＬｐ１ｂに設けられた貫通孔ＦＬｐＯ２を、第２隔壁フィルムＦＬｐ２ｂで封止する。具体的には、作業者は、第２隔壁フィルムＦＬｐ２ｂの第３層Ｌ３が周囲壁１４０４の上端面のうち露出している面と向かい合うように、第２隔壁フィルムＦＬｐ２を配する。そして、作業者は、第２隔壁フィルムＦＬｐ２ｂを周囲壁１４０４に向かって押圧しつつ加熱して、第２隔壁フィルムＦＬｐ２ｂの第３層Ｌ３を、周囲壁１４０４の上端面のうち露出している部分と溶着させる。第２隔壁フィルムＦＬｐ２の第３層Ｌ３と、周囲壁１４０４の上端面と、の溶着部分を、図２１において、溶着部ＷＰ２ｂとしてハッチングを付して示す。

【0127】

この状態においては、隔壁フィルムＦＬｐは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１と第２隔壁フィルムＦＬｐ２とによって構成される（図２の下段左部、および図１の下段右部参照）。

【0128】

本実施形態においては、周囲壁１４０４の寸法Ｈ４Ｃ２は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３の寸法Ｈ４０３よりも大きい（図１０の上段中央部および図１１の中央部参照）。このため、円開口４１３ｏを囲む周囲壁１４０４に溶着された第１隔壁フィルムＦＬｐ１の一部ＦＬｐ１ｐを剥がして、円開口４１３ｏを介してインクを充填した後、周囲壁１４０４に対して新たなフィルムＦＬｐ２を溶着させることで、第２領域４Ｃ２を再度、新たな第２隔壁フィルムＦＬｐ２で構成することができる。そして、周囲壁１４０４の寸法Ｈ４Ｃ２を十分な大きさに設定することにより、同一の液体収容容器ＩＣに対して、新たなフィルムを溶着させることで第２領域４Ｃ２を再度、構成する処理を、複数回、行うことができる。

【0129】

本実施形態においては、第２隔壁フィルムＦＬｐ２ｂの第３層Ｌ３は、周囲壁１４０４を構成する樹脂と同じ成分と、周囲壁１４０４を構成する樹脂とは異なる成分と、を含む素材で構成されている。このため、第２隔壁フィルムＦＬｐ２ｂは、後に周囲壁１４０４から容易に剥がすことができる。その結果、同一の液体収容容器ＩＣに対して、新たな第２隔壁フィルムＦＬｐ２ｂを溶着させることで第２領域４Ｃ２を再度、構成する処理を、複数回、行うことができる。

【0130】

本実施異形態において、隔壁フィルムＦＬｐのうち剥離層ＬＰを備える部分を、「第２フィルム」とも呼ぶ（図２および図２１参照）。

【0131】

Ｃ．他の実施形態：
Ｃ１．他の実施形態１：
（１）上記実施形態においては、封止フィルムＦＬｅは、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１に溶着されている（図２０参照）。しかし、封止フィルムＦＬｅは、表面に剥離可能なウレタン粘着剤の層を有し、ウレタン粘着剤によって、筐体９００に剥離可能に貼付されていてもよい。

【0132】

（２）上記第２実施形態においては、隔壁フィルムＦＬｐのうち剥離層ＬＰを備える部分が、第２隔壁に溶着される「第２フィルム」に相当し、隔壁フィルムＦＬｐのうち剥離層ＬＰを備えない部分が、第２隔壁より寸法が大きい第１隔壁に溶着される「第１フィルム」に相当する（図２および図２１参照）。「第１フィルム」と「第２フィルム」は、第１実施形態における封止フィルムＦＬｅと第１隔壁フィルムＦＬｐ１のように異なるフィルムであってもよいし、第２実施形態のように同一フィルムのうち互いに異なる構成を備える異なる部分であってもよい。

【0133】

（３）上記実施形態においては、屈曲流路部４０３を構成する凹部Ｒ４０３が、第１隔壁より寸法が小さい第２隔壁によって画定される「第２凹部」に相当する（図１９参照）。しかし、液体収容容器は、凹部Ｒ４０３に代えて、または凹部Ｒ４０３に加えて、液体収容室１１７，１２１を構成する凹部Ｒ１１７、凹部Ｒ１２１が、「第２凹部」に相当する態様とすることもできる。そのような態様においては、凹部Ｒ１１７、凹部Ｒ１２１をそれぞれ画定する隔壁ＰＴ１１７、隔壁ＰＴ１２１が、第１隔壁より寸法が小さい第２隔壁に相当する。

【0134】

（４）上記実施形態においては、流路部分４０３ａ，４０３ｂの断面積は、流路部分４０３ａ，４０３ｂに接続されている大気導入路４００の流通孔４０２の断面積よりも小さい（図３の上段左部および図７の上段左部参照）。流路部分４０３ａ，４０３ｂの断面積は、また、流通孔４０５を囲む壁に囲まれ通気フィルムＦＬｖによって封止された空間の、流路の方向に垂直な断面における断面積よりも、小さい（図３の上段中央部参照）。流通孔４０５を囲む壁に囲まれ通気フィルムＦＬｖによって封止された空間は、屈曲流路部４０３の他の部分を介して、流路部分４０３ａ，４０３ｂと接続されている。すなわち、互いに接続されており逆の向きに空気を流通させる一対の第１流路部分は、その一対の第１流路部分に直接または間接に接続されている大気導入路の他の流路部分よりも、断面積が小さいものであればよい。

【0135】

（５）上記実施形態においては、液体収容容器ＩＣの一部を構成する壁部１４０２に設けられた円開口４１３ｏは、円形の外形を有する（図１１参照）。第２領域４Ｃ２２と第１領域４１３とを接続する開口は、三角形、四角形など、他の形状であってもよい。

【0136】

Ｃ２．他の実施形態２：
上記実施形態においては、封止フィルムＦＬｅの第１層ＦＬｅ１１は、ポリプロピレンと、ポリプロピレン以外の成分と、を含む素材で構成されている。しかし、封止フィルムＦＬｅの第１層ＦＬｅ１１は、他の素材で構成されていてもよい。たとえば、第１層ＦＬｅ１１は、隔壁ＰＴ４０１を構成する樹脂と同じ成分で構成されていてもよい。ただし、第１層ＦＬｅ１１は、隔壁ＰＴ４０１を構成する樹脂と同じ成分と、大気開放口４０１を画定する隔壁ＰＴ４０１を構成する樹脂とは異なる成分と、を含む素材で構成されていることが好ましい。

【0137】

Ｃ３．他の実施形態３：
上記実施形態においては、第１隔壁フィルムＦＬｐ１の第１層Ｌ１は、ポリプロピレンで構成されている（図１７）。すなわち、第１層Ｌ１は、屈曲流路部４０３を画定する隔壁ＰＴ４０３を構成する樹脂と同じ樹脂で構成されている。しかし、第１隔壁フィルムＦＬｐ１の第１層Ｌ１は、隔壁ＰＴ４０３を構成する樹脂とは異なる成分を含んでいてもよい。

【0138】

Ｃ４．他の実施形態４：
上記実施形態においては、隔壁ＰＴ４０１ａの突出方向の高さＨ４０１ａは、隔壁ＰＴ４０３ａの突出方向の高さＨ４０３ｏの約２．５倍である（図１９の右部、および図２０の上段右部参照）。すなわち、隔壁ＰＴ４０１ａの突出方向の高さＨ４０１ａは、隔壁ＰＴ４０３ａの突出方向の高さＨ４０３ｏの２倍より大きい。しかし、第１隔壁の寸法は、第２隔壁の寸法の３倍や４倍など、他の大きさであってもよい。また、第１隔壁の寸法は、第２隔壁の寸法と同じであってもよいし、より小さくてもよい。

【0139】

Ｃ５．他の実施形態５：
上記実施形態においては、図１２および図１８の処理の後、液体収容容器ＩＣは、第１隔壁フィルムＦＬｐ１に対して周囲壁１４０４とは逆の側に配され、周囲壁１４０４に溶着されている第２隔壁フィルムＦＬｐ２を備えた態様となる（図１および図１７参照）。一方で、液体収容容器ＩＣは、新規に生産された状態においては、第２隔壁フィルムＦＬｐ２を備えない。また、液体収容容器ＩＣの筐体９００に穴を設けて液体を再充填する態様においては、液体が再充填された後も、液体収容容器ＩＣは、第２隔壁フィルムＦＬｐ２を備えなくてもよい。そのような態様においても、封止フィルムＦＬｅは、隔壁ＰＴ４０１に再溶着されてもよい。供給口フィルムＦＬｓｐは、隔壁ＰＴ２００に再溶着されてもよい。

【0140】

Ｃ６．他の実施形態６：
上記実施形態においては、屈曲流路部４０３は、大気導入路４００において、捕捉部４Ｃと通気フィルムＦＬｖとの間に位置する（図３の上段左部および図７の上段左部参照）。しかし、大気導入路４００において捕捉部４Ｃが屈曲流路部４０３に対して液体収容室１１７，１２１とは逆の側にあってもよい。また、液体収容容器ＩＣは、屈曲流路部４０３を備えない態様とすることもできる。

【0141】

Ｄ．他の形態：
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。

【0142】

（１）本開示の一形態によれば、液体収容容器が提供される。この液体収容容器は、異なる部位に複数の凹部を備える筐体と、前記複数の凹部を塞ぐように前記筐体に溶着されている複数のフィルムと、を備える。前記複数の凹部は、液体を収容する液体収容室と、前記液体収容室に接続されており前記液体と空気との少なくとも一方が流通する流路と、を構成している。前記筐体は、前記複数の凹部のうちの第１凹部を画定する第１隔壁であって、前記複数のフィルムのうちの第１フィルムが溶着されている第１隔壁と、前記複数の凹部のうちの第２凹部を画定する第２隔壁であって、前記複数のフィルムのうちの第２フィルムが溶着されている第２隔壁と、を備える。前記第１隔壁のうち、前記第１隔壁と接続されている構成から前記第１フィルムに向かう向きに突出している部分の寸法である第１寸法は、前記第２隔壁のうち、前記第２隔壁と接続されている構成から前記第２フィルムに向かう向きに突出している部分の寸法である第２寸法よりも大きい。
このような態様とすれば、第１寸法と第２寸法が等しい態様に比べて、第１隔壁に対して新たなフィルムを溶着させることが容易である。このため、第１フィルムに穴を設けたり、第１フィルムを第１隔壁から剥がしたりした後、第１隔壁に対して新たなフィルムを溶着させることで、第１隔壁が画定する流路または液体収容室を再度、新たなフィルムで構成したり、封止したりすることができる。そして、第１寸法を十分な大きさに設定することにより、同一の液体収容容器に対して、新たなフィルムを溶着させることで第１隔壁が画定する流路または液体収容室を再度、構成または封止する処理を、複数回、行うことができる。

【0143】

（２）上記形態の液体収容容器において、前記第１凹部は、前記液体収容室に大気を導入するための大気開放口である、態様とすることもできる。
このような態様においては、第１フィルムで大気開放口を塞いだ状態で、液体収容容器を流通させることができる。そして、第１フィルムを第１隔壁から剥がすことにより、大気開放口を介して液体収容室に大気を導入できる状態で、液体収容容器を使用することができる。その後、第１隔壁に対して新たなフィルムを溶着させることで、大気開放口を再度、封止して、液体収容容器を流通に適した状態とすることができる。そして、第１寸法を十分な大きさに設定することにより、同一の液体収容容器に対して、新たなフィルムを溶着させることで大気開放口を封止する処理を、複数回、行うことができる。

【0144】

（３）上記形態の液体収容容器において、前記筐体は、前記液体収容室に大気を導入するための大気開放口を備え、前記流路は、前記大気開放口と前記液体収容室とを接続する大気導入路を含み、前記大気導入路は、１以上の柱状の空間を含み、前記大気開放口から導入された空気を前記柱状の空間に流通させる第１領域と、前記第１領域とは異なる方向に伸びており、前記筐体の一部を構成する壁部に設けられる開口を介して、前記第１領域に接続されている第２領域と、を含む、捕捉部を含み、前記第１凹部は、前記第２領域を構成し、前記第１隔壁は、前記開口が設けられている前記壁部から突出しており、前記開口を囲んで設けられている、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、たとえば、開口を囲む第１隔壁に溶着された第１フィルムを剥がして、開口を介して液体を充填した後、第１隔壁に対して新たなフィルムを溶着させることで、第２領域を再度、新たなフィルムで構成することができる。そして、第１寸法を十分な大きさに設定することにより、同一の液体収容容器に対して、新たなフィルムを溶着させることで第２領域を再度、構成または封止する処理を、複数回、行うことができる。

【0145】

（４）上記形態の液体収容容器において、前記第１凹部は、前記液体収容室内の液体を前記液体収容容器の外部に供給する液体供給口である、態様とすることもできる。
このような態様においては、第１フィルムで液体供給口を塞いだ状態で、液体収容容器を流通させることができ、第１フィルムを第１隔壁から剥がすことにより、液体供給口を介して液体収容室から外部に液体を供給できる状態で、液体収容容器を使用することができる。その後、第１隔壁に対して新たなフィルムを溶着させることで、液体供給口を再度、封止して、液体収容容器を流通に適した状態とすることができる。そして、第１寸法を十分な大きさに設定することにより、同一の液体収容容器に対して、新たなフィルムを溶着させることで液体供給口を封止する処理を、複数回、行うことができる。

【0146】

（５）上記形態の液体収容容器において、前記筐体は、前記液体収容室に大気を導入するための大気開放口を備え、前記流路は、前記大気開放口と前記液体収容室とを接続する大気導入路を含み、前記大気導入路は、互いに接続されており逆の向きに空気を流通させる一対の第１流路部分であって、前記一対の第１流路部分に直接または間接に接続されている前記大気導入路の第２流路部分よりも断面積が小さい、一対の第１流路部分を含み、前記第２凹部は、前記一対の第１流路部分を構成する、態様とすることもできる。

【0147】

（６）上記形態の液体収容容器において、前記第２凹部は、前記液体収容室を構成する、態様とすることもできる。

【0148】

（７）上記形態の液体収容容器において、前記第１フィルムは、前記第１隔壁に溶着されている第１層と、前記液体収容容器の外部に露出している第２層と、を備え、前記第１層は、前記第１隔壁を構成する樹脂と同じ成分と、前記第１隔壁を構成する前記樹脂とは異なる成分と、を含む素材で構成されており、前記第２層は、前記第１層よりも高い融点を有する素材で構成されている、態様とすることもできる。
このような態様とすることにより、第１フィルムを第１隔壁から容易に剥がすことができる。

【0149】

（８）上記形態の液体収容容器において、前記第２フィルムは、前記第２隔壁に溶着されている第１層と、前記液体収容容器の外部に露出している第２層と、を備え、前記第１層は、前記第２隔壁を構成する樹脂と同じ樹脂で構成されており、前記第２層は、前記第１層よりも高い融点を有する素材で構成されている、態様とすることもできる。
このような態様とすることにより、第２フィルムの第１層が、第２隔壁を構成する樹脂とは異なる素材で構成されている態様に比べて、第２フィルムが第２隔壁に強固に溶着される。

【0150】

（９）上記形態の液体収容容器において、前記第１寸法は、前記第２寸法の２倍より大きい、態様とすることもできる。
このような態様とすることにより、同一の液体収容容器に対して、新たなフィルムを溶着させることで第１隔壁が画定する流路または液体収容室を再度、構成または封止する処理を、複数回、行うことができる。

【0151】

（１０）上記形態の液体収容容器において、さらに、前記第１フィルムに対して前記第１隔壁とは逆の側に配され、前記第１隔壁に溶着されている第３フィルムを備え、
前記第１フィルムは、貫通孔を備え、前記第３フィルムは、前記第１フィルムの前記貫通孔を覆っている、態様とすることもできる。

【0152】

（１１）上記形態の液体収容容器において、前記筐体は、前記液体収容室に大気を導入するための大気開放口を備え、前記流路は、前記大気開放口と前記液体収容室とを接続する大気導入路を含み、前記第２凹部は、前記大気導入路の一部を構成し、前記第１凹部は、前記大気導入路において、前記大気導入路の前記一部と前記液体収容室との間に位置する、前記大気導入路の他の一部を構成する、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、大気導入路において第１凹部が第２凹部に対して液体収容室とは逆の側にある態様に比べて、第１フィルムに穴を設けたり、第１フィルムを第１隔壁から剥がしたりすることにより、第１凹部を通じて、容易に、液体収容室に液体を充填することができる。

【0153】

（１２）本開示の他の形態によれば、液体収容容器を再生する方法が提供される。この方法は、上記の液体収容容器を準備する工程と、前記第１隔壁に新たな第１フィルムを溶着する工程と、を備える。
このような態様とすれば、すでに溶着されていた第１フィルムに穴を設けたり、第１フィルムを第１隔壁から剥がしたりした後、第１隔壁に対して新たな第１フィルムを溶着させることで、第１隔壁が画定する流路または液体収容室を再度、新たなフィルムで構成することができる。その結果、液体収容容器を再生することができる。

【0154】

本開示は、液体収容容器および液体収容容器の再生方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、使用済みの液体収容容器に液体を収容させる方法、液体充填装置、液体充填装置の制御方法、それらの方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。

【符号の説明】

【0155】

４Ｃ…捕捉部、４Ｃ１…第１領域、４Ｃ２…第２領域、４Ｃ２１…流路部分（第２領域）、４Ｃ２２…流路部分（第２領域）、４Ｃ３…第３領域、４Ｈ…障壁流路部、４Ｈ１…流路部分、４Ｈ２…流路部分、１１７…液体収容室、１１８…流通孔、１１９…流通孔、１２０…連通路、１２１…液体収容室、２００…液体供給口、３００…液体供給路、３２２…流通孔、３２３…流通孔、３２４…流通孔、３２５…差圧弁、３２６…流通孔、３２７…流通孔、３２８…流路部分、４００…大気導入路、４０１…大気開放口、４０２…流通孔、４０３…屈曲流路部、４０３ａ…流路部分、４０３ｂ…流路部分、４０５…流通孔、４０６…流通孔、４０７…流通孔、４０８…空気室、４０９…空気室、４１０…第１領域、４１０ｏ…円開口、４１１…第１領域、４１１ｏ…円開口、４１２…第１領域、４１２ｏ…円開口、４１３…第１領域、４１３ｏ…円開口、４１４…空気室、４１５…流通孔、４１６…流通孔、７００…吸引装置、８００…充填装置、８３０…注入ノズル、８３０ｔ…部分、９００…筐体、９１０…蓋、１４０２…壁部、１４０３…周囲壁、１４０４…周囲壁、１４０４ａ…第１部分壁、１４０４ｂ…第２部分壁、１４０６…壁部、ＡＰ…周囲壁１４０４の上端面の露出領域、Ａｈｐ…第１隔壁フィルムが押圧される方向を示す矢印、Ａｈｐ１…封止フィルムが押圧される方向を示す矢印、ＣＳ２００…隔壁ＰＴ２００と接続している構成、ＣＳ４０１…隔壁ＰＴ４０１と接続している構成、ＣＳ４０３…隔壁ＰＴ４０３と接続している構成、Ｄ２００…突出方向、Ｄ４０１…突出方向、Ｄ４０３…突出方向、Ｄ４Ｃ２…突出方向、ＦＬｅ…封止フィルム、ＦＬｅ１…封止フィルム、ＦＬｅ１１…第１層、ＦＬｅ１２…第２層、ＦＬｅ２…封止フィルム、ＦＬｅ２１…第１層、ＦＬｅ２２…第２層、ＦＬｉ…内フィルム、ＦＬｐ…隔壁フィルム、ＦＬｐ１…第１隔壁フィルム、ＦＬｐ１ｂ…第１隔壁フィルム、ＦＬｐ１ｐ…分離部、ＦＬｐ２…第２隔壁フィルム、ＦＬｐ２ｂ…第２隔壁フィルム、ＦＬｐＯ…貫通孔、ＦＬｐＯ２…貫通孔、ＦＬｓｐ…供給口フィルム、ＦＬｖ…通気フィルム、ＧＭ…ゴム膜、Ｈ２００…隔壁ＰＴ２００の突出量、Ｈ４０１ｏ…隔壁ＰＴ４０１ｏの突出量、Ｈ４０１ａ…隔壁ＰＴ４０１ａの突出量、Ｈ４０１ｂ…隔壁ＰＴ４０１ｂの突出量、Ｈ４０３ａ…隔壁ＰＴ４０３ａの突出量、Ｈ４０３ｏ…隔壁ＰＴ４０３ｏの突出量、Ｈ４Ｃ２…周囲壁１４０４の突出量、ＩＣ…液体収容容器、Ｌ１…第１層、Ｌ２…第２層、Ｌ３…第３層、Ｌ４…第４層、ＬＰ…剥離層、Ｌｂ…ラベル、ＭＣ…メモリーチップ、ＰＲ…プリズム、ＰＴ２００…隔壁、ＰＴ４０１…隔壁、ＰＴ４０１ｏ…隔壁、ＰＴ４０１ａ…隔壁、ＰＴ４０１ｂ…隔壁、ＰＴ４０３…隔壁、ＰＴ４０３ｏ…隔壁、ＰＴ４０３ａ…隔壁、ＰＴｍ…混合物、ＰＴｍａ…混合物、ＰＴｍｂ…混合物、Ｒ１１７…凹部、Ｒ１２１…凹部、Ｒ２００…凹部、Ｒ３００…凹部、Ｒ４００…凹部、Ｒ４０１…凹部、Ｒ４０３…凹部、Ｒ４Ｃ２…凹部、ＳＰ２…コイルバネ、ＳＰ３…コイルバネ、ＳＲ…シールゴム、Ｖ２…バルブ、ＶＣ…バルブ蓋、ＷＰ１…溶着部、ＷＰ２…溶着部、ＷＰ２ｂ…溶着部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】