(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084985
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】台間機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240619BHJP
A63F 5/04 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
A63F7/02 350Z
A63F7/02 352F
A63F7/02 352L
A63F5/04 691A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199239
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川橋 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和也
【テーマコード(参考)】
2C088
2C182
【Fターム(参考)】
2C088BB01
2C088EA44
2C088EA49
2C182EB11
(57)【要約】
【課題】
専用装置を用意することなく、台間機を遊技台に対して左配置とすることも右配置とすることもできるにも関わらず、パチンコ台とパチスロ台の両者に適切に対応できる台間機を提供することを課題とする。
【解決手段】
遊技機の左側にも右側にも設置することが可能な台間機であって、鉛直軸を中心として回動可能な表示ユニットと、切替手段を備え、前記表示ユニットは、所定の角度範囲で回動可能の状態で使用される第一の使用態様と、前記所定の角度範囲外の別の角度で固定されて使用される第二の使用態様と、の間で切替可能とされており、前記切替手段は、前記第一の使用態様と前記第二の使用態様を切り替えるために操作されるものであることを特徴とする台間機。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の左側にも右側にも設置することが可能な台間機であって、
鉛直軸を中心として回動可能な表示ユニットと、切替手段を備え、
前記表示ユニットは、所定の角度範囲で回動可能の状態で使用される第一の使用態様と、前記所定の角度範囲外の別の角度で固定されて使用される第二の使用態様と、の間で切替可能とされており、
前記切替手段は、前記第一の使用態様と前記第二の使用態様を切り替えるために操作されるものである
ことを特徴とする台間機。
【請求項2】
前記表示ユニットが固定されて使用されるときは、前記台間機が遊技機から離間されて設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の台間機。
【請求項3】
前記表示ユニットが回動可能の状態で使用されるときは、前記台間機が遊技機に接して設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の台間機。
【請求項4】
前記所定の角度範囲と前記別の角度との間の角度範囲は使用不可の角度範囲として設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の台間機。
【請求項5】
前記使用不可の範囲において前記表示ユニットを回動させ、前記表示ユニットが前記所定の角度範囲若しくは前記別の角度に到達すると、当該使用不可の角度範囲には回動できないように構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の台間機。
【請求項6】
遊技機の左側にも右側にも設置することが可能な台間機であって、
鉛直軸を中心として回動可能な表示ユニットと、切替手段を備え、
前記表示ユニットは、所定の角度範囲で回動可能の状態で使用される第一の使用態様と、が前記所定の角度範囲とは異なり、かつ、範囲が重複しない別の角度範囲で回動可能の状態で使用される第二の使用態様と、の間で切替可能とされており、
前記切替手段は、前記第一の使用態様と前記第二の使用態様を切り替えるために操作されるものである
ことを特徴とする台間機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やパチスロ機等の遊技台の左右に配置するに適した遊技媒体を貸出すための台間機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技台に左又は右に配置される遊技媒体を貸出すための所謂台間機と呼ばれる装置は、パチンコ機に対して隣接配置される場合は左配置とされ、パチスロ機に対して隣接配置される場合は右配置とされるのが伝統的である。パチンコ機の場合には、パチンコ機用台間機から払出される遊技玉を上皿の上流に導くように貸出媒体を排出するための排出ノズルが左から延びる構造が適しているからであり、パチスロ機の場合、左側にヒンジ部のあるパチスロ機を開放する際、分厚い構造の扉を左側に開放する際に、パチスロ機用台間機の排出ノズルと干渉してしまうことから、右配置とされるのである。
このような背景とは別に、賞球払出装置からパチンコ玉を貸し出すパチンコ機や、遊技者がパチンコ玉に直接接触できない態様で管理する管理遊技機と呼ばれるパチンコ機の登場により、パチンコ玉を払い出すための機構を備えない台間機が使用されるようになった。パチスロ機にも同様の発想があり、パチスロ機のメダル排出機構を利用したり、メダルレス化したりするパチスロ機の登場により、メダルを払い出すための機構を備えない台間機が使用されるようになった。
このような従来例を示すのが
図10である。排出ノズルが無くなっているにも関わらず、依然として、パチンコ機Pに対して隣接配置されるパチンコ機用遊技媒体貸出装置PUは左設置とされ、パチスロ機Sに対して隣接配置されるパチスロ機用遊技媒体貸出装置SUは右設置とされている。パチンカー(パチンコ遊技愛好者)やスロッター(パチスロ遊技愛好者)にとっては、左右それぞれに台間機が位置する伝統的な配置態様に長年慣れ親しんできたため、それを変更することには抵抗があるし、慣れ親しんだ遊技スタイルの下では、隣で遊技する者との無用なトラブルを生じさせる虞もあるからである。
その他の理由もある。台間機において、比較的大きめの液晶表示部が設けられるタイプが近年主流となっている。特許文献1に記載の台間機では、遊技者が液晶表示部を視認し易くできるように液晶表示部の表示画面の向きを左右方向に変更可能とされている。この変更可能範囲は、右隣のパチスロ機の分厚い前面扉が開放されても前面扉と液晶表示部が干渉しないように、ディスプレイが裏側を向く位置まで回動できるように設定されるのが普通である。一方、前面扉と液晶表示部の干渉はパチンコ機の場合には問題とならない。パチンコ機も左側にヒンジ部を有するが、台間機は左側に配置されるため、液晶表示部を倒し込めば、自ずと前面扉との干渉を避けることができるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、遊技台が管理遊技機Pやメダルレス遊技機Sとされても、
図10に示すように、管理遊技機用台間機PU及びメダルレス遊技機用台間機SUという専用装置が用意されることが依然として普通である。
図10(a)の管理遊技機Pに対して左配置される管理遊技機用台間機PUの液晶表示部はディスプレイが裏側を向く位置まで回動することはない一方で、
図10(b)のメダルレス遊技機Sに対して右配置されるメダルレス遊技機用台間機SUの液晶表示部はディスプレイが裏側を向く位置まで回動できるようにして、右隣のメダルレス遊技機S(不図示)の分厚い前面扉が開放されても該前面扉と液晶表示部が干渉することを防止できるようにされている。
しかし、遊技媒体の払出機構を備えず、構成部品の殆どを共通化できるのにも関わらず、液晶表示部の回動態様の違いだけで専用装置を用意するのは無駄が多い。特に、遊技店が新規台の入替に伴い、パチンコ台とパチスロ台の構成比を変更したい場合には、この問題が一層顕著となる。
そこで、本発明は、専用装置を用意することなく、台間機を遊技台に対して左配置とすることも右配置とすることもできるにも関わらず、パチンコ台とパチスロ台の両者に適切に対応できる台間機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の台間機は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
遊技機の左側にも右側にも設置することが可能な台間機であって、鉛直軸を中心として回動可能な表示ユニットと、切替手段を備え、前記表示ユニットは、所定の角度範囲で回動可能の状態で使用される第一の使用態様と、前記所定の角度範囲外の別の角度で固定されて使用される第二の使用態様と、の間で切替可能とされており、前記切替手段は、前記第一の使用態様と前記第二の使用態様を切り替えるために操作されるものであることを特徴とする。
また、本発明の台間機は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
遊技機の左側にも右側にも設置することが可能な台間機であって、鉛直軸を中心として回動可能な表示ユニットと、切替手段を備え、前記表示ユニットは、所定の角度範囲で回動可能の状態で使用される第一の使用態様と、前記所定の角度範囲とは異なり、かつ、範囲が重複しない別の角度範囲で回動可能の状態で使用される第二の使用態様と、の間で切替可能とされており、前記切替手段は、前記第一の使用態様と前記第二の使用態様を切り替えるために操作されるものであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係る台間機及び対応する遊技機の正面図であり、(a)は管理遊技機に対して配置する態様を、(b)はメダルレス遊技機に対して配置する態様を示している。
【
図2】本発明の実施形態に係る台間機及び対応する管理遊技機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は台間機のみの平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る台間機及び対応するメダルレス遊技機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は台間機のみの平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る台間機の表示ユニットが異なる角度で使用される様子を、(a)~(e)において示す部分拡大図であり、上段は左上斜視図、中段は左側面図、下段は左側面図の矢印線における断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの可動軸周りの分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの側断面図であり、(a)は切替手段の非操作時を、(b)は切替手段の操作時を、それぞれ示している。
【
図7】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットにおいて、切替手段の非操作時の様子を示す部分拡大図及びその側断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットにおいて、切替手段の操作時の様子を示す部分拡大図及びその側断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの軸受部分の様子を示す説明図であり、(a)は切替手段の非操作時の様子を、(b)は切替手段の操作時の様子を示している。
【
図10】従来の台間機及び対応する遊技機の正面図であり、(a)は管理遊技機用の装置を、(b)はメダルレス遊技機用の装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
(前提となる台間機の全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応する遊技機の正面図であり、(a)は管理遊技機に対して配置する態様を、(b)はメダルレス遊技機に対して配置する態様を示している。図示されるように、管理遊技機Pに対して台間機1が左配置され、メダルレス遊技機Sに対しては台間機1が右配置される。
【0009】
台間機1の上方には、紙幣投入口12が前面に備えられており、内部には、紙幣投入口12に対応する部位に紙幣識別ユニットが配置され、紙幣識別ユニット内部には、紙幣ストッカが配置されている。
【0010】
紙幣投入口12より下方の前面には、液晶表示ユニットから構成される表示ユニット11が設けられている。
図1(a)に示すように、台間機1が左配置される場合には、ディスプレイ11Dが正面視において右側に配置され、45度といった斜めを向くようにして使用される。一方、
図1(b)に示すように、台間機1が右配置される場合には、ディスプレイ11Dが正面視において左側に配置され、ほぼ正面を向くか、或いは、若干、斜めを向くようにして使用される。当該ディスプレイ11Dは、台間機1の貸出情報や動作状態を表示したり、管理遊技機Pやメダルレス遊技機Sの動作状態の表示やこれらの遊技機と連携した演出上の表示を行ったりする。さらに、ディスプレイ11Dは、ホストコンピュータから配信されるテレビ画像や広告画像等の表示も行う。
【0011】
表示ユニット11には、遊技媒体の貸出を受けるための貸出スイッチ11a、貯玉、持ち球を払い出すための再プレイスイッチ11b、カードを返却するための返却スイッチ11c、の3つのスイッチが設けられている。これら3つのスイッチに代えて表示ユニット11のディスプレイをタッチパネルとして、種々の操作を行えるように構成してもよい。
また、表示ユニット11の枢軸の外装(
図1においては、ディスプレイ11Dにより隠れているために見えていない)には、回転する表示ユニット11の使用角度位置を切り替えるための切替レバー(切替手段)11R(不図示)が設けられている。
【0012】
表示ユニット11より下方の前面には、カード投入口13が前面に備えられており、内部には、投入されたプリペイドカード又は会員カードの情報の読込ないし書込を行うカードリーダーライターユニットが配置されている。これらのユニットの空いたスペースには、制御ユニットが配置されている。制御ユニットは、図示されない中継基板を介して、遊技店に設置されたホストコンピュータや、自身が遊技媒体の貸出を受け持つ管理遊技機Pやメダルレス遊技機Sとの間で通信を行う。
【0013】
上方には、筐体全体を前方に引き出す際に引き出しを容易とするためのフック部14が設けられている。フック部14は、台間機1が使用されている通常時においては利用されず、台間機1のメンテナンス時や紙幣の回収時においてのみ利用される。遊技場の関係者である店員等が、図示しない引き出し用治具を引っかけて筐体全体を前方に引き出す等の作用を行えるようにするためのものである。なお、フック部14の形状は、引き出し用治具を引っかけることのできる形状とされているが、手や指で容易に抓める形状であっても良い。
【0014】
(本発明の特徴的な構成)
本発明の実施形態に係る台間機の特徴的な構成は、
図2~5を通してみると、よく理解することができる。
図2は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応する管理遊技機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は台間機のみの平面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応するメダルレス遊技機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は台間機のみの平面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る台間機の表示ユニットが異なる角度で使用される様子を、(a)~(e)において示す部分拡大図であり、上段は左上斜視図、中段は左側面図、下段は左側面図の矢印線における断面図である。
【0015】
図2に示されるように、台間機1が管理遊技機Pの左側に配置される場合、台間機1は管理遊技機Pに接して設置される。台間機1から前方に真直ぐ延びている表示ユニット11を左側に倒すことによって、右側に着席する遊技客からの視認性を高めることができる。この状態で、管理遊技機Pの前面扉を開放しても、
図2(a)及び(b)に示すように、前面扉との干渉を避けることができる。また、表示ユニット11が台間機1から前方に真直ぐに延びる状態とされていれば、左に隣接する管理遊技機P(不図示)の前面扉を開放しても、前面扉と表示ユニット11が干渉することはない。このようなことから、台間機1が左配置される場合の表示ユニット11は、ディスプレイ11Dが斜めとされる視認位置から装置本体の前面に対して垂直となる位置まで回動可能とされている。
なお、
図2(c)の表示ユニット11が台間機1から前方に真直ぐに延びている角度、すなわち、台間機1の前後方向と平行な時の角度を0度と定義し、以降の説明でも、この定義を用いる。本実施形態では、管理遊技機Pに対して用いる場合の使用角度が0度から45度と設定されている。
【0016】
図3に示されるように、台間機1がメダルレス遊技機Sの右側に配置される場合、台間機1はメダルレス遊技機Sから離間して設置される。この際、表示ユニット11は、台間機1の前後方向に対して90度の位置から120度の位置で使用される。すなわち、管理遊技機Pにおける使用角度範囲とは異なり、かつ、範囲が重複しない、メダルレス遊技機Sにおける使用角度範囲として、90度から120度の使用角度が設定されている。90度は、ディスプレイ11Dが正面を向いているため、視認性は良好であるが、これを、
図3(c)に示されるように、左側に向けて120度となるように倒すことによって、左側に着席する遊技客からの視認性を高めるようにされている。そして、
図3(a)及び(b)に示すように、右に隣接するメダルレス遊技機Sの前面扉を開放させても、前面扉と表示ユニット11が干渉することはない。
【0017】
図4は、本発明の実施形態に係る台間機の表示ユニットが異なる角度で使用される様子を示している。(a)は0度での使用状態を、(b)は45度での使用状態を、(c)は45度位置で、上下スライド可能な切替レバー11Rが上向きにスライド移動された状態を、(d)は90度での使用状態を、(e)は120度での使用状態を、それぞれ示している。また、(a)~(e)に共通して、上段は左上斜視図を、中段は左側面図を、下段は左側面図の矢印線における断面図を示している。
【0018】
切替レバー11R(操作手段)は、表示ユニット11の枢軸の外装であって、ディスプレイ11Dの裏側の中段高さ位置に設けられている。
図4(a)の0度の位置と
図4(b)の45度の位置の間では、手で操作することにより表示ユニット11を回転させて、任意の位置でディスプレイ11Dを使用することができる。しかし、45度の位置を超えて、表示ユニット11を倒すことはできない。ここで、
図4(c)に示されるように、切替レバー11Rを上方にスライド操作すると、表示ユニット11を、さらに深い角度まで倒すことができるようになる。そして、表示ユニット11を、
図4(d)に示される90度位置まで倒すと、切替レバー11Rが下方にスライド移動し、表示ユニット11の角度を戻すことができなくなる。ただし、
図4(e)に示される120度位置迄の間、すなわち、90度から120度の位置の間では、手で操作することにより表示ユニット11を回転させて、任意の位置でディスプレイ11Dを使用することができる。
【0019】
(本発明の回動範囲切替についての構造)
これまで、台間機1を左配置とするか、又は、右配置とするかによって、表示ユニット11が所定の角度範囲(本実施形態においては0度から45度)である第一の使用態様と、所定の角度範囲とは異なり、かつ、範囲が重複しない別の角度範囲(本実施形態においては90度から120度)である第二の使用態様と、を切替可能とされていることを説明したが、これが具体的にどのように実現されるのかについて説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る台間機1における表示ユニット11の可動軸周りの分解斜視図であるが、可動軸を水平に寝かせた状態で視認した図として描かれている。使用状態においては、紙面手前側に描かれた領域が下方に位置し、紙面奥側に描かれた領域が上方に位置することになる。
【0020】
表示ユニット可動軸受111に、表示ユニット11に固定された表示ユニット第1可動軸112及び表示ユニット第2可動軸113が枢支されることで、表示ユニット11は所定範囲で回動できるように構成されている。表示ユニット第2可動軸113は、回動範囲規制突起1131を備えている。これらの突起が、後記するスライド部材114の回動範囲規制壁1141,1142,1143の何れか一つないしは2つに当接することで、表示ユニット11は、回動範囲での回動となるように、回動が規制される。例えば、0度から45度の範囲、或いは、90度から120度の範囲で、回動が規制される。
【0021】
スライド部材114は、
図5の紙面手前側の位置と紙面奥側の位置の2つの位置を取るように移動することができる。スライド部材114の上下スライドは、切替レバー11Rを操作することにより達成される。切替レバー11Rは、表示ユニット可動軸受111に穿設された長孔を通して、スライド部材114に穿設された穴に結合されている。表示ユニット可動軸受111とスライド部材114との間にはバネ115が介装されており、このことにより、スライド部材114は下方に付勢されている。
【0022】
表示ユニット11が0度から45度の角度範囲にあるときは、回動範囲規制突起1131と回動範囲規制壁1141,1142,1143は周方向において互いに接触する位置関係にあるため、45度を超えて表示ユニット11を回動させることはできない。しかし、45度の位置で、バネ115の付勢力に抗して、切替レバー11Rを上方に操作して、スライド部材114が上方に移動させられると、回動範囲規制突起1131と回動範囲規制壁1141,1142,1143は周方向において接触しない位置関係となるので45度を超えて表示ユニット11を回転操作できるようになる。しかし、表示ユニット11が90度の位置まで回動すると、バネ115の付勢力によって、スライド部材114は下方に押し戻されることになり、回動範囲規制突起1131と回動範囲規制壁1141,1142,1143は、再び、周方向において互いに接触することになる。
【0023】
さらに具体的に、スライド部材114の動作について、
図6~9を用いて説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの側断面図であり、(a)は切替レバー11Rの非操作時を、(b)は切替レバー11Rの操作時を、それぞれ示している。
図7は、
図6(a)において点線で描かれた円内部を拡大したものであって、切替レバー11Rの非操作時の様子を示す拡大図及びその側断面図である。
図8は、
図6(b)において点線で描かれた円内部を拡大したものであって、切替レバー11Rの操作時の様子を示す拡大図及びその側断面図である。
図9は、本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの軸受部分の様子を示す説明図であり、(a)は切替手段の非操作時の様子を、(b)は切替手段の操作時の様子を示している。
【0024】
図6(a)に示されるように、常態では、スライド部材114は、その自重とバネによる付勢力により、下方に位置している。しかし、切替レバー11Rを上方に移動させるように操作すると、スライド部材114は、バネによる付勢力に抗して、上方に移動させられることになる。このスライド部材114の上下移動により、常態における表示ユニット11の回動範囲の規制と、使用態様の切替時における表示ユニット11の回動範囲の規制解除が実現される。
【0025】
図7は、切替レバー11Rが下方に位置した非操作時の様子を示している。当然、スライド部材114も下方に位置することになる。スライド部材114が、この高さに位置する場合には、回動範囲規制突起1131と回動範囲規制壁1141,1142,1143(
図7の断面図の角度位置では不図示)は周方向において互いに接触する位置関係となる。このため、表示ユニット11は、第一の使用態様としての所定の角度範囲(本実施形態においては0度から45度)と、第二の使用態様としての別の角度範囲(本実施形態においては90度から120度)という二つの角度範囲内に、その回転が規制されることになる。
【0026】
図8は、切替レバー11Rをバネによる付勢力に抗して上方に移動させた操作時の様子を示している。当然、スライド部材114も上方に位置することになる。スライド部材114が、この高さに位置する場合には、回動範囲規制突起1131と回動範囲規制壁1141,1142,1143(
図8の断面図の角度位置では不図示)は互いに周方向において接触しない位置関係となる。このため、45度から90度に向けて、表示ユニット11を倒し込む回転操作や、90度から45度に向けて、表示ユニット11を戻す回転操作が可能となる。切替レバー11Rに手をかけないで、回転をさせた場合には、90度位置に達した場合や、45度位置に達した場合に、スライド部材114は下方に移動させられることになり、再び回動規制が行われることになる。ここで、表示ユニット11が45度から90度に位置する範囲は、使用不可の角度範囲として設定されているということができる。
【0027】
図9は、表示ユニット可動軸受111の様子を示す説明図であり、(a)は切替手段の非操作時の様子を、(b)は切替手段の操作時の様子を示している。非操作時と比べると、操作時には、回動範囲規制壁1141,1142,1143が紙面奥側に位置していることを見て取ることができる。このため、回動範囲規制突起1131と回動範囲規制壁1141,1142,1143は互いに周方向において接触しないことになることから、使用不可の角度範囲であっても表示ユニット11を回転操作することが可能となる。一方、切替手段の非操作時には、回動範囲規制壁1141,1142,1143が紙面手前側に位置することになるため、表示ユニット11の回動範囲は、第一の使用態様としての所定の角度範囲(本実施形態においては0度から45度)、或いは、第二の使用態様としての別の角度範囲(本実施形態においては90度から120度)に規制されることになる。
【0028】
(別の実施形態)
最初の実施形態では、表示ユニット11の回動範囲を、第一の使用態様としての所定の角度範囲(例えば、0度から45度)、或いは、第二の使用態様としての別の角度範囲(例えば、90度から120度)に規制されるようにした。しかし、第二の使用態様については、90度から120度という回動範囲に幅を持たせることなく、90度での固定とすることが可能である。図示は省略するが、回動範囲規制壁どうしの間隔につき、一つの間隔について、回動規制突起と同じ大きさにすることによって、実現できる。90度位置は、ディスプレイ11Dが正面を向くことになるため、視認性の上で、何らの問題がない。
【0029】
以上、本発明の実施形態に係る台間機について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
たとえば、本発明の実施形態は、切替レバーを上方へ移動させることによって、可動軸受の下方に配置されている回動規制手段による規制を解除させるものであるが、回動規制手段を可動軸受の上方に配置して、切替レバーを下方へ移動させることによって、規制を解除するようにしても良い。また、本発明の実施形態は、表示ユニット第2可動軸側に回動規制手段を備えさせることを前提として、規制を解除した状態で、表示ユニットを別の角度範囲に回転操作させ、別の角度範囲位置に達したならば、切替レバーは下方へ複動するものであるが、表示ユニット第1可動軸側と表示ユニット第2可動軸側の双方に回動規制手段を備えさせるようにして、回動規制する角度範囲を分担させることによって、切替レバーの一方位置を第一の使用態様に設定し、切替レバーの他方位置を第二の使用態様に設定するように構成しても良い。本発明の意義は、切替レバーや回動規制手段の形状や構造を考案したところに存するものではなく(これらの構造等は、一例にすぎない。)、表示ユニットの回動範囲が異なる複数の角度範囲の間で切り替え使用できるように構成することによって、台間機を遊技台に対して左配置とすることも右配置とすることもできるという点に、本発明の意義があることは十分に理解されるべきものである。当然ながら、第一の使用態様が、例えば、0度から50度までに設定されるようにしても、本発明に含まれるものであるし、第二の使用態様が、例えば、85度から115度までに設定されるようにしても、本発明の範囲から除外されるものではない。
また、実施形態では、管理遊技機やメダルレス遊技機に対して用いられる態様として説明したが、遊技台が自身の遊技媒体払出装置からパチンコ玉やメダルを貸し出すタイプのパチンコ機やパチスロ機に対して用いられる態様であっても、本発明の技術的思想に含まれる。要は、台間機自身は遊技媒体を払い出すための機構を備えていない態様であれば、同じように適用可能ということである。
【符号の説明】
【0030】
1…………台間機
11………表示ユニット
11D……ディスプレイ
11R……切替レバー(切替手段)
11a……貸出スイッチ
11b……再プレイスイッチ
11c……返却スイッチ
111……表示ユニット可動軸受
112……表示ユニット第1可動軸
113……表示ユニット第2可動軸
1131…回動範囲規制突起
114……スライド部材
1141…回動範囲規制壁
1142…回動範囲規制壁
1143…回動範囲規制壁
115……バネ
12………紙幣投入口
13………カード投入口
14………フック部
P…………管理遊技機(パチンコ台)
S…………メダルレス遊技機(パチスロ台)
PU………管理遊技機用台間機
SU………メダルレス遊技機用台間機