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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084997
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】雌端子金具
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20240619BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H01R13/42 G
H01R13/11 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199264
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三栖 健史
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087FF06
5E087GG16
5E087MM05
5E087RR01
5E087RR25
5E087RR26
5E087RR29
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】部品点数を低減可能とした雌端子金具を提供すること。
【解決手段】雌端子金具11は、キャビティ12内に装着され、第1軸線X1に沿って雄端子金具13が挿入される。雌端子金具11は、金属製の一体成形品であり、第1軸線X1に沿った方向の基端部に設けられ、電線31の芯線31aがかしめ接続可能なバレル部22と、雌端子金具11に挿入された状態の雄端子金具13の周囲に押圧接触すべく第1軸線X1と交差する方向に弾性を有する弾性接触片25と、第1軸線X1と交差する方向の外側に広がりつつ第1軸線X1に沿って延びることで、キャビティ12の係合部15と係合してキャビティ12からの抜けを防止するランス部26とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティ内に装着され、第1軸線に沿って雄端子金具が挿入される雌端子金具であって、
金属製の一体成形品であり、
前記第1軸線に沿った方向の基端部に設けられ、電線の芯線がかしめ接続可能なバレル部と、
雌端子金具に挿入された状態の前記雄端子金具の周囲に押圧接触すべく前記第1軸線と交差する方向に弾性を有する弾性接触片と、
前記第1軸線と交差する方向の外側に広がりつつ前記第1軸線に沿って延びることで、前記キャビティの係合部と係合して前記キャビティからの抜けを防止するランス部と、
を備える、雌端子金具。
【請求項2】
前記ランス部は、前記第1軸線に沿った方向において、少なくとも一部が前記弾性接触片と重なる位置に配置されている、
請求項1に記載の雌端子金具。
【請求項3】
前記ランス部は、前記第1軸線に沿った方向において、全体が前記弾性接触片と重なる位置に配置されている、
請求項2に記載の雌端子金具。
【請求項4】
前記第1軸線に沿った方向の先端側に設けられた先端側筒部と、前記先端側筒部と前記バレル部との間に設けられた基端側筒部と、を備え、
前記弾性接触片は、前記先端側筒部と前記基端側筒部とを接続するように設けられ、
前記ランス部は、前記先端側筒部の周方向において前記弾性接触片が設けられていない部位から前記第1軸線と交差する方向の外側に広がりつつ前記第1軸線に沿った方向の後端側に延びている、
請求項3に記載の雌端子金具。
【請求項5】
前記先端側筒部及び前記基端側筒部は、金属製板材が環状に曲げられて成形されるとともに前記金属製板材の端部同士が接続されている接続部を有し、
前記弾性接触片及び前記ランス部は、前記先端側筒部の周方向において前記接続部が配置されていない部位に設けられている、
請求項4に記載の雌端子金具。
【請求項6】
前記弾性接触片は、前記先端側筒部の周方向に複数設けられ、
前記ランス部は、前記複数の弾性接触片の間に設けられている、
請求項4に記載の雌端子金具。
【請求項7】
前記ランス部は、前記先端側筒部の周方向に複数設けられるとともに、前記先端側筒部の周方向に等間隔に設けられている、
請求項6に記載の雌端子金具。
【請求項8】
前記ランス部は、前記先端側筒部の周方向に180°間隔で設けられ、
前記弾性接触片は、前記先端側筒部の周方向において、前記ランス部同士の間に複数設けられるとともに、前記第1軸線に沿った方向から見て、前記ランス部同士を通過する直線に対して線対称の位置に配置されている、
請求項7に記載の雌端子金具。
【請求項9】
前記先端側筒部及び前記基端側筒部の少なくとも一方は、前記第1軸線と交差する方向の外側に突出することで前記キャビティの周方向係合部と係合可能な突部を有する、
請求項4に記載の雌端子金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雌端子金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、雌端子金具としては、バレル部と、弾性接触片と、ランス部とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。バレル部は、電線の芯線がかしめ接続可能に構成されている。弾性接触片は、挿入された状態の雄端子金具の周囲に押圧接触すべく、雄端子金具が挿入される方向に沿った第1軸線と交差する方向に弾性を有する。ランス部は、第1軸線と交差する方向の外側に広がりつつ第1軸線に沿って延びることで、キャビティの係合部と係合可能に構成されている。雌端子金具は、ランス部によってキャビティからの抜けが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-40989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した雌端子金具は、バレル部と弾性接触片とを備えた第1部品とランス部を備えた第2部品とが組み付けられてなるため、部品点数が多いという問題があった。このことは、雌端子金具の構成を複雑化するとともに、組み付け工数を増加させる原因となっている。
【0005】
本開示の目的は、部品点数を低減可能とした雌端子金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の雌端子金具は、キャビティ内に装着され、第1軸線に沿って雄端子金具が挿入される雌端子金具であって、金属製の一体成形品であり、前記第1軸線に沿った方向の基端部に設けられ、電線の芯線がかしめ接続可能なバレル部と、挿入された状態の前記雄端子金具の周囲に押圧接触すべく前記第1軸線と交差する方向に弾性を有する弾性接触片と、前記第1軸線と交差する方向の外側に広がりつつ前記第1軸線に沿って延びることで、前記キャビティの係合部と係合して前記キャビティからの抜けを防止するランス部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の雌端子金具によれば、部品点数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態における雌端子金具の平面図である。
図2図2は、一実施形態における雌端子金具の斜視図である。
図3図3は、一実施形態における雌端子金具の側面図である。
図4図4は、一実施形態における雌端子金具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の雌端子金具は、
[1]キャビティ内に装着され、第1軸線に沿って雄端子金具が挿入される雌端子金具であって、金属製の一体成形品であり、前記第1軸線に沿った方向の基端部に設けられ、電線の芯線がかしめ接続可能なバレル部と、雌端子金具に挿入された状態の前記雄端子金具の周囲に押圧接触すべく前記第1軸線と交差する方向に弾性を有する弾性接触片と、前記第1軸線と交差する方向の外側に広がりつつ前記第1軸線に沿って延びることで、前記キャビティの係合部と係合して前記キャビティからの抜けを防止するランス部と、を備える。
【0010】
同構成によれば、バレル部と弾性接触片とランス部とを備えた雌端子金具が一体成形品であるため、例えば、バレル部と弾性接触片とを備えた部品とランス部を備えた部品とが組み付けられてなる雌端子金具に比べて、部品点数を低減できる。よって、例えば、構成を簡素化できるとともに、組み付け工数を低減できる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記ランス部は、前記第1軸線に沿った方向において、少なくとも一部が前記弾性接触片と重なる位置に配置されていてもよい。
同構成によれば、ランス部は、第1軸線に沿った方向において、少なくとも一部が弾性接触片と重なる位置に配置されているため、例えば、重ならない位置に配置された場合に比べて、雌端子金具の短尺化を図ることができる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記ランス部は、前記第1軸線に沿った方向において、全体が前記弾性接触片と重なる位置に配置されていてもよい。
同構成によれば、ランス部は、第1軸線に沿った方向において、全体が弾性接触片と重なる位置に配置されているため、雌端子金具の更なる短尺化を図ることができる。
【0013】
[4]上記[3]において、前記第1軸線に沿った方向の先端側に設けられた先端側筒部と、前記先端側筒部と前記バレル部との間に設けられた基端側筒部と、を備え、前記弾性接触片は、前記先端側筒部と前記基端側筒部とを接続するように設けられ、前記ランス部は、前記先端側筒部の周方向において前記弾性接触片が設けられていない部位から前記第1軸線と交差する方向の外側に広がりつつ前記第1軸線に沿った方向の後端側に延びていてもよい。
【0014】
同構成によれば、ランス部は、先端側筒部の周方向において弾性接触片が設けられていない部位から延びているため、雌端子金具を一体成形品としながら、第1軸線に沿った方向においてランス部の全体を弾性接触片と重なる位置に配置することができる。
【0015】
[5]上記[4]において、前記先端側筒部及び前記基端側筒部は、金属製板材が環状に曲げられて成形されるとともに前記金属製板材の端部同士が接続されている接続部を有し、前記弾性接触片及び前記ランス部は、前記先端側筒部の周方向において前記接続部が配置されていない部位に設けられていてもよい。
【0016】
同構成によれば、先端側筒部及び基端側筒部は、金属製板材が環状に曲げられて成形されるとともに金属製板材の端部同士が接続されている接続部を有する構成であるため、雌端子金具を容易に製造できる。また、弾性接触片及びランス部は、先端側筒部の周方向において接続部が配置されていない部位に設けられているため、接続部に影響されず、容易に設けることができる。
【0017】
[6]上記[4]または上記[5]において、前記弾性接触片は、前記先端側筒部の周方向に複数設けられ、前記ランス部は、前記複数の弾性接触片の間に設けられていてもよい。
【0018】
同構成によれば、弾性接触片は、先端側筒部の周方向に複数設けられ、ランス部は、複数の弾性接触片の間に設けられているため、例えば、キャビティ内における雌端子金具の姿勢を安定して保つことができる。
【0019】
[7]上記[6]において、前記ランス部は、前記先端側筒部の周方向に複数設けられるとともに、前記先端側筒部の周方向に等間隔に設けられていてもよい。
同構成によれば、ランス部は、先端側筒部の周方向に複数設けられるとともに、先端側筒部の周方向に等間隔に設けられているため、例えば、キャビティ内における雌端子金具の姿勢を安定して保つことができる。
【0020】
[8]上記[7]において、前記ランス部は、前記先端側筒部の周方向に180°間隔で設けられ、前記弾性接触片は、前記先端側筒部の周方向において、前記ランス部同士の間に複数設けられるとともに、前記第1軸線に沿った方向から見て、前記ランス部同士を通過する直線に対して線対称の位置に配置されていてもよい。
【0021】
同構成によれば、ランス部は、先端側筒部の周方向に180°間隔で設けられるため、キャビティ内における雌端子金具の姿勢を安定して保つことができる。また、弾性接触片は、先端側筒部の周方向において、ランス部同士の間に複数設けられるとともに、第1軸線に沿った方向から見て、ランス部同士を通過する直線に対して線対称の位置に配置されているため、雄端子金具と良好に接続することができる。すなわち、弾性接触片は、複数ずつで雄端子金具を線対称の位置から挟み込むように配置されるため、雄端子金具と良好に接続することができる。
【0022】
[9]上記[4]から上記[8]のいずれか1つにおいて、前記先端側筒部及び前記基端側筒部の少なくとも一方は、前記第1軸線と交差する方向の外側に突出することで前記キャビティの周方向係合部と係合可能な突部を有していてもよい。
【0023】
同構成によれば、先端側筒部及び基端側筒部の少なくとも一方は、第1軸線と交差する方向の外側に突出する突部を有するため、例えば、雌端子金具のキャビティへの組み付け時における誤組み付けを防止できる。また、例えば、雌端子金具がキャビティに組み付けられた状態で、キャビティに対する雌端子金具の回転を防止することができる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の雌端子金具11の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
(雌端子金具11の構成)
図1に示すように、雌端子金具11は、キャビティ12内に装着され、第1軸線X1に沿って雄端子金具13が挿入されるものである。キャビティ12は、樹脂製である。キャビティ12は、雌端子金具11を収容する収容部14を有する。収容部14は、内側に突出する係合部15を有する。雄端子金具13は、円柱状に形成されている。
【0026】
図1から図3に示すように、雌端子金具11は、金属製の一体成形品である。雌端子金具11は、金属製板材21から構成されている。雌端子金具11は、バレル部22と、先端側筒部23と、基端側筒部24と、複数の弾性接触片25と、ランス部26と、突部としての誘い込み突部27a及び回転防止突部27bとを備える。
【0027】
(バレル部22の構成)
バレル部22は、雌端子金具11において第1軸線X1に沿った方向の基端部に設けられ、電線31の芯線31aがかしめ接続可能に構成されている。バレル部22は、予め円弧形状に形成された円弧部22aと、円弧部22aの両端から延びており、曲げられることで円弧部22aとで芯線31aを挟み込むことが可能な延設部22bとを有する。なお、図1から図4では、曲げられる前の状態の延設部22bを図示している。
【0028】
(先端側筒部23及び基端側筒部24の構成)
先端側筒部23は、雌端子金具11において第1軸線X1に沿った方向の先端部に設けられている。また、基端側筒部24は、先端側筒部23とバレル部22との間に設けられている。本実施形態では、先端側筒部23は、第1軸線X1に沿った方向から見て、真円形状である。また、本実施形態では、基端側筒部24は、第1軸線X1に沿った方向から見て、真円形状である。先端側筒部23と基端側筒部24とは、直径が同じである。先端側筒部23及び基端側筒部24は、金属製板材21が環状に曲げられて成形されるとともに金属製板材21の端部同士が接続されている接続部21aを有する。なお、図1及び図2に示すように、本実施形態の接続部21aは、係止凸部21bと係止凹部21cとを有し、係止凸部21bが係止凹部21cに嵌められることで金属製板材21の端部同士が離間することが防止されている。基端側筒部24の周方向の一部とバレル部22の円弧部22aとは、連結部28によって接続されている。
【0029】
(弾性接触片25の構成)
弾性接触片25は、先端側筒部23と基端側筒部24とを接続するように設けられている。弾性接触片25は、先端側筒部23の周方向の一部と基端側筒部24の周方向の一部とを接続するように延びる長尺状の片である。弾性接触片25は、挿入された状態の雄端子金具13の周囲に押圧接触すべく第1軸線X1と交差する方向に弾性を有する。詳しくは、弾性接触片25は、先端側筒部23から基端側筒部24の方向に延びつつも径方向内側に傾斜して延びる第1傾斜部25aと、第1傾斜部25aから基端側筒部24に接続されつつも径方向外側に傾斜して延びる第2傾斜部25bとを有する。また、弾性接触片25は、第1傾斜部25aと第2傾斜部25bとの間に雄端子金具13に押圧接触される接触部25cを有する。弾性接触片25は、先端側筒部23及び基端側筒部24の周方向に複数設けられている。本実施形態では、弾性接触片25は、先端側筒部23及び基端側筒部24の周方向に6つ設けられている。
【0030】
(ランス部26の構成)
図3に示すように、ランス部26は、先端側筒部23の周方向において弾性接触片25が設けられていない部位から延びている。ランス部26は、第1軸線X1と交差する方向の外側に広がりつつ基端側筒部24の方向であって第1軸線X1に沿った方向の後端側に延びている。ランス部26は、第1軸線X1に沿った方向において、全体が弾性接触片25と重なる位置に配置されている。言い換えると、第1軸線X1に沿った方向において、ランス部26が配置される範囲は、弾性接触片25が配置される範囲内にある。ランス部26は、第1軸線X1に沿った方向において、弾性接触片25の半分の長さを超える長さに設定されている。
【0031】
図1に示すように、ランス部26は、キャビティ12の係合部15と係合することでキャビティ12からの雌端子金具11の後方への抜けを防止する。ランス部26は、先端側筒部23の周方向において、複数の弾性接触片25の間に設けられている。
【0032】
また、図4に示すように、ランス部26は、先端側筒部23の周方向に複数設けられるとともに、先端側筒部23の周方向に等間隔に設けられている。本実施形態では、ランス部26は、先端側筒部23の周方向に180°間隔で設けられている。
【0033】
また、弾性接触片25は、先端側筒部23の周方向において、ランス部26同士の間に複数設けられるとともに、第1軸線X1に沿った方向から見て、ランス部26同士を通過する直線Y1に対して線対称の位置に配置されている。詳しくは、本実施形態では、弾性接触片25は、先端側筒部23の周方向において、ランス部26同士の間に3つずつ等間隔に設けられている。
【0034】
また、弾性接触片25及びランス部26は、先端側筒部23の周方向において接続部21aが配置されていない部位に設けられている。言い換えると、弾性接触片25及びランス部26は、先端側筒部23の周方向において接続部21aが配置されている部位を避けるように設けられている。本実施形態では、接続部21aは、先端側筒部23の周方向において弾性接触片25同士の間に配置されている。
【0035】
(誘い込み突部27aの構成)
図1及び図2に示すように、誘い込み突部27aは、先端側筒部23の周方向の一部に設けられている。誘い込み突部27aは、第1軸線X1と交差する方向の外側に突出している。誘い込み突部27aは、先端側筒部23の一部が切り起こされることで突出している。
【0036】
図1及び図4に示すように、誘い込み突部27aは、先端側筒部23の周方向に複数設けられるとともに、先端側筒部23の周方向に等間隔に設けられている。本実施形態では、誘い込み突部27aは、先端側筒部23の周方向に180°間隔で設けられている。
【0037】
図4に示すように、誘い込み突部27aは、雌端子金具11のキャビティ12への組み付け時に、キャビティ12に設けられた周方向係合部16と係合することで、キャビティ12に対する雌端子金具11の誤組み付けを防止する。すなわち、誘い込み突部27aは、キャビティ12に雌端子金具11を挿入する際に周方向係合部16に誘い込まれることで、キャビティ12に対して雌端子金具11が周方向に誤った角度で挿入されることを防止する。
【0038】
(回転防止突部27bの構成)
図1及び図2に示すように、回転防止突部27bは、基端側筒部24の周方向の一部に設けられている。回転防止突部27bは、第1軸線X1と交差する方向の外側に突出している。回転防止突部27bは、基端側筒部24の一部が切り起こされることで突出している。
【0039】
図1に示すように、回転防止突部27bは、基端側筒部24の周方向に複数設けられるとともに、基端側筒部24の周方向に等間隔に設けられている。本実施形態では、回転防止突部27bは、基端側筒部24の周方向に180°間隔で設けられている。
【0040】
回転防止突部27bは、雌端子金具11がキャビティ12に組み付けられた状態で、キャビティ12に設けられた周方向係合部16と係合することでキャビティ12に対する雌端子金具11の第1軸線X1を中心とした回転を防止する。
【0041】
次に、上記のように構成された雌端子金具11の作用について説明する。
雌端子金具11は、第1軸線X1に沿った先端側からキャビティ12の収容部14に挿入されることでキャビティ12内に装着される。ランス部26は、雌端子金具11が挿入される途中で先端側筒部23の径方向内側に弾性変形しつつ、係合部15と対応した位置で先端側筒部23の径方向外側に広がって係合部15と係合可能な位置に配置される。これにより、雌端子金具11のキャビティ12からの抜けが防止される。
【0042】
そして、第1軸線X1に沿って雌端子金具11に雄端子金具13が挿入されると、弾性接触片25が径方向外側に弾性変形するとともに、接触部25cが雄端子金具13の周囲に押圧接触される。これにより、雄端子金具13と雌端子金具11とは、電気的に良好に接続される。
【0043】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)バレル部22と弾性接触片25とランス部26とを備えた雌端子金具11が一体成形品であるため、例えば、バレル部と弾性接触片とを備えた部品とランス部を備えた部品とが組み付けられてなる雌端子金具に比べて、部品点数を低減できる。よって、例えば、構成を簡素化できるとともに、組み付け工数を低減できる。
【0044】
(2)ランス部26は、第1軸線X1に沿った方向において、全体が弾性接触片25と重なる位置に配置されているため、例えば、重ならない位置に配置された場合に比べて、雌端子金具11の短尺化を図ることができる。
【0045】
(3)ランス部26は、先端側筒部23の周方向において弾性接触片25が設けられていない部位から延びている。よって、雌端子金具11を一体成形品としながら、第1軸線X1に沿った方向においてランス部26の全体を弾性接触片25と重なる位置に配置することができる。
【0046】
(4)先端側筒部23及び基端側筒部24は、金属製板材21が環状に曲げられて成形されるとともに金属製板材21の端部同士が接続されている接続部21aを有する構成であるため、雌端子金具11を容易に製造できる。また、弾性接触片25及びランス部26は、先端側筒部23の周方向において接続部21aが配置されていない部位に設けられているため、接続部21aに影響されず、容易に設けることができる。
【0047】
(5)弾性接触片25は、先端側筒部23の周方向に複数設けられ、ランス部26は、複数の弾性接触片25の間に設けられているため、例えば、周方向に複数の弾性接触片25によって、雄端子金具13と良好に接続することができる。また、例えば、キャビティ12内における雌端子金具11の姿勢を安定して保つことができる。
【0048】
(6)ランス部26は、先端側筒部23の周方向に複数設けられるとともに、先端側筒部23の周方向に等間隔に設けられているため、例えば、キャビティ12内における雌端子金具11の姿勢を安定して保つことができる。
【0049】
(7)ランス部26は、先端側筒部23の周方向に180°間隔で設けられるため、キャビティ12内における雌端子金具11の姿勢を安定して保つことができる。また、弾性接触片25は、先端側筒部23の周方向において、ランス部26同士の間に複数設けられるとともに、第1軸線X1に沿った方向から見て、ランス部26同士を通過する直線Y1に対して線対称の位置に配置されている。よって、雄端子金具13と良好に接続することができる。すなわち、弾性接触片25は、複数ずつで雄端子金具13を線対称の位置から挟み込むように配置されるため、雄端子金具13と良好に接続することができる。
【0050】
(8)先端側筒部23は、第1軸線X1と交差する方向の外側に突出する誘い込み突部27aを有するため、例えば、雌端子金具11のキャビティ12への組み付け時における誤組み付けを防止することができる。また、基端側筒部24は、第1軸線X1と交差する方向の外側に突出する回転防止突部27bを有するため、例えば、雌端子金具11がキャビティ12に組み付けられた状態で、キャビティ12に対する雌端子金具11の回転を防止することができる。
【0051】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ランス部26は、第1軸線X1に沿った方向において、全体が弾性接触片25と重なる位置に配置されているとしたが、これに限定されない。例えば、ランス部26は、第1軸線X1に沿った方向において、一部が弾性接触片25と重なる位置に配置されていてもよい。また、例えば、ランス部26は、第1軸線X1に沿った方向において、弾性接触片25と重ならない位置に配置されていてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、雌端子金具11は、先端側筒部23と基端側筒部24とを備えるとしたが、これに限定されず、例えば、先端側筒部23や基端側筒部24は、環状ではない構成としてもよい。すなわち、先端側筒部23や基端側筒部24は、接続部21aを有していない構成としてもよい。また、弾性接触片25は、先端側筒部23と基端側筒部24とを接続するように設けられるとしたが、挿入された状態の雄端子金具13の周囲に押圧接触すべく第1軸線X1と交差する方向に弾性を有していれば、他の態様で設けられていてもよい。また、ランス部26は、先端側筒部から延びるとしたが、第1軸線X1と交差する方向の外側に広がりつつ第1軸線X1に沿って延びていれば、他の態様で設けられていてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、先端側筒部23及び基端側筒部24は、金属製板材21が環状に曲げられて成形されるとしたが、これに限定されず、例えば、雌端子金具11は金属製パイプ材から製造されていてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、弾性接触片25及びランス部26は、先端側筒部23の周方向において接続部21aが配置されていない部位に設けられているとしたが、これに限定されず、接続部21aが配置されている部位に設けられていてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、弾性接触片25は、先端側筒部23の周方向に複数設けられるとしたが、これに限定されず、例えば、先端側筒部23の周方向に1つのみ設けられていてもよい。なお、この場合、例えば、1つの弾性接触片と対向する位置に撓み難い弾性接触片対向部を設けて、挿入された状態の雄端子金具13を弾性接触片と弾性接触片対向部とで挟み込むようにしてもよい。また、上記実施形態では、弾性接触片25は、6つ設けられているとしたが、これに限定されず、例えば、2つとしてもよいし、3つとしてもよいし、8つとしてもよく、その他の数設けてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、ランス部26は、先端側筒部23の周方向に複数設けられるとしたが、これに限定されず、例えば、先端側筒部23の周方向に1つのみ設けられていてもよい。また、上記実施形態では、ランス部26は、2つ設けられているとしたが、これに限定されず、例えば、3つとしてもよいし、4つとしてもよく、その他の数設けてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、ランス部26は、先端側筒部23の周方向に等間隔に設けられているとしたが、これに限定されず、例えば、先端側筒部23の周方向に不等間隔に設けられていてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、弾性接触片25は、第1軸線X1に沿った方向から見て、ランス部26同士を通過する直線Y1に対して線対称の位置に配置されているとしたが、これに限定されず、直線Y1に対して線対称以外の位置に配置されていてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、先端側筒部23は、第1軸線X1と交差する方向の外側に突出する誘い込み突部27aを有するとしたが、これに限定されず、誘い込み突部27aを有していなくてもよい。また、上記実施形態では、基端側筒部24は、第1軸線X1と交差する方向の外側に突出する回転防止突部27bを有するとしたが、これに限定されず、回転防止突部27bを有していなくてもよい。また、先端側筒部23及び基端側筒部24のいずれか1つのみが誘い込み突部27aまたは回転防止突部27bの少なくとも1つを有していてもよい。例えば、先端側筒部23が、誘い込み突部27aとして機能するとともに回転防止突部27bとしても機能する突部を有していてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、ランス部26は、第1軸線X1に沿った方向において、弾性接触片25の半分の長さを超える長さに設定されているとしたが、これに限定されず、例えば、弾性接触片25の半分の長さ以下の長さであってもよい。
【0061】
・上記実施形態では、バレル部22は、電線31の芯線31aのみをかしめ接続可能な構成としたが、これに限定されず、例えば、電線31の絶縁被覆をかしめ固定可能な被覆かしめ部を有する構成としてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、先端側筒部23及び基端側筒部24は、第1軸線X1に沿った方向から見て、真円形状であるとしたが、これに限定されず、例えば、第1軸線X1に沿った方向から見て、四角形状であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
11 雌端子金具
12 キャビティ
13 雄端子金具
14 収容部
15 係合部
16 周方向係合部
21 金属製板材
21a 接続部
21b 係止凸部
21c 係止凹部
22 バレル部
22a 円弧部
22b 延設部
23 先端側筒部
24 基端側筒部
25 弾性接触片
25a 第1傾斜部
25b 第2傾斜部
25c 接触部
26 ランス部
27a 誘い込み突部(突部)
27b 回転防止突部(突部)
28 連結部
31 電線
31a 芯線
X1 第1軸線
Y1 直線
図1
図2
図3
図4