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特開2024-84998ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024084998
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240619BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240619BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20240619BHJP
   A61K 36/756 20060101ALI20240619BHJP
   A61K 36/61 20060101ALI20240619BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240619BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240619BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/49
A61K31/4375
A61K36/756
A61K36/61
A61P1/02
A61P43/00 111
A61P31/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199265
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓馬
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC851
4C083AC852
4C083CC41
4C083EE33
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA57
4C086NA14
4C086ZA67
4C086ZB35
4C086ZC20
4C086ZC75
4C088AB57
4C088AB62
4C088BA08
4C088MA07
4C088MA57
4C088NA14
4C088ZA67
4C088ZB35
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】ジンジパインのプロテアーゼ活性を好適に阻害する。
【解決手段】ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤は、ベルベリンを含有する植物エキス、及びクローブエキスから選ばれる少なくとも一種を含有している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルベリンを含有する植物エキス、及びクローブエキスから選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤。
【請求項2】
前記植物エキスはオウバクエキスである請求項1に記載のジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤。
【請求項3】
ベルベリンを含有する植物エキス、及びクローブエキスから選ばれる少なくとも一種を含有し、ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害用であることを特徴とする口腔用組成物。
【請求項4】
前記植物エキスはオウバクエキスである請求項3に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、歯周病に関連する細菌として、Porphyromonas gingivalis(以下、「ジンジバリス」という。)が知られている。ジンジバリスは、プロテアーゼの一種であるジンジパインを産生する。ジンジパインには、ペプチド切断部位特異性の異なるArg-ジンジパイン(Rgp)と、Lys-ジンジパイン(Kgp)と、が存在する。ジンジパインのプロテアーゼ活性によって、歯周病の発症、及び歯周病の進行が引き起こされることが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-31399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジンジパインのプロテアーゼ活性を阻害することが、歯周病の予防、及び歯周病の進行抑制につながると考えられる。ジンジパインのプロテアーゼ活性を好適に阻害する効果が得られる口腔用組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤は、ベルベリンを含有する植物エキス、及びクローブエキスから選ばれる少なくとも一種を含有することを要旨とする。
【0006】
上記ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤について、前記植物エキスは、オウバクエキスであることが好ましい。
上記課題を解決するための口腔用組成物は、ベルベリンを含有する植物エキス、及びクローブエキスから選ばれる少なくとも一種を含有することを要旨とする。
【0007】
上記口腔用組成物について、前記植物エキスは、オウバクエキスであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物によれば、ジンジパインのプロテアーゼ活性を好適に阻害することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物の一実施形態について説明する。
本実施形態のジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤は、ベルベリンを含有する植物エキス、及びクローブエキスから選ばれる少なくとも一種を含有している。
【0010】
本実施形態の口腔用組成物は、上記プロテアーゼ活性阻害剤と同様の成分を含有している。口腔用組成物は、上記成分のうち一種のみを含有していてもよいし、上記成分のうち二種以上を組み合わせて含有していてもよい。以下では、ジンジパインのプロテアーゼ活性のことをジンジパイン活性ともいう。
【0011】
ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物が含有する上記成分について説明する。ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物は同様の成分を含有しているため、以下では、口腔用組成物について説明し、ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤については説明を省略する。なお、本発明において、口腔用組成物とは、主として口腔内で使用することを目的とするものを意味するものとする。使用後は口腔内から排出される口腔用製剤だけでなく、摂取可能な飲食品を含むものとする。ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤は、口腔内で使用することを目的とするものに限定されない。
【0012】
<ベルベリンを含有する植物エキス>
ベルベリンは、ミカン科キハダ属のキハダや、キンポウゲ科オウレン属のオウレン等の植物に含まれるベンジルイソキノリンアルカロイドの一種である。
【0013】
ベルベリンを含有する植物エキスは、上記等の植物から抽出されたベルベリンを含有するエキスである。ベルベリンを含有する植物エキスの具体例としては、例えば、オウバクエキス、オウレンエキス等が挙げられる。なお、口腔用組成物は、ベルベリンを含有する植物エキスとして、オウバクエキスを含有することが好ましい。
【0014】
植物エキスの抽出方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができる。ベルベリンを含有する植物エキスは、ベルベリンを含有していればよく、他の成分は特に限定されるものではない。すなわち、口腔用組成物は、ベルベリン以外の植物エキスを含有していてもよいし、植物エキスとしてベルベリンのみを含有していてもよい。
【0015】
口腔用組成物におけるベルベリンを含有する植物エキスの含有量は、特に制限されないが、例えば、0.01質量%以上1.0質量%以下である。以下では、口腔用組成物における各成分の含有量について「質量%」を「%」に省略して表記する。ベルベリンを含有する植物エキスの含有量の上限値は、0.8%であることが好ましく、より好ましくは0.6%である。ベルベリンを含有する植物エキスの含有量の下限値は、0.1%であることが好ましく、より好ましくは0.2%である。当該範囲の上限値又は下限値は、例えば、0.025、0.05、0.075、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8又は0.9%であってもよい。
【0016】
口腔用組成物におけるベルベリンの含有量は、特に制限されないが、例えば、0.001%以上0.5%以下である。ベルベリンの含有量の上限値は、0.3%であることが好ましく、より好ましくは0.2%である。ベルベリンの含有量の下限値は、0.01%であることが好ましく、より好ましくは0.03%である。当該範囲の上限値又は下限値は、例えば、0.005、0.0075、0.01、0.0125、0.015、0.0175、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3又は0.4%であってもよい。
【0017】
<クローブエキス>
クローブは、フトモモ科の植物チョウジノキの蕾である。クローブエキスは、公知の製造方法によって製造されたものを用いることができる。クローブエキスは、例えば、クローブを含水エタノールで抽出した抽出液である。
【0018】
口腔用組成物におけるクローブエキスの含有量は、特に制限されないが、例えば、0.01%以上1.0%以下である。クローブエキスの含有量の上限値は、0.8%であることが好ましく、より好ましくは0.6%である。オウバクエキスの含有量の下限値は、0.1%であることが好ましく、より好ましくは0.2%である。当該範囲の上限値又は下限値は、例えば、0.025、0.05、0.075、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8又は0.9%であってもよい。
【0019】
<その他成分>
口腔用組成物は、適用目的、形態、用途等に応じて、前述した成分以外のその他成分を含有してもよい。その他成分としては、例えば、界面活性剤、香味剤、甘味剤、湿潤剤、粘結剤、防腐剤、着色剤、pH調整剤、キレート剤、薬効成分、基剤、研磨剤、安定化剤等が挙げられる。その他成分は、口腔用組成物に配合される公知のものを使用することができる。口腔用組成物は、上記のその他成分のそれぞれについて、一種のみを単独で含有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。
【0020】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル;脂肪酸アルカノールアミド類;グリセリン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレン付加係数が8~10、アルキル基の炭素数が13~15であるポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン付加係数が10~18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;セバシン酸ジエチル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。
【0021】
アニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0022】
両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤;N-ココイル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤;N-ラウリルジアミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が挙げられる。
【0023】
香味剤の具体例としては、例えば、メントール、カルボン酸、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセタート、メチルオイゲノール、シネオール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、d-カンフル、d-ボルネオール、ウイキョウ油、ケイヒ油、アニス油、シンナムアルデヒド、ハッカ油、バニリン等が挙げられる。
【0024】
甘味剤の具体例としては、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、p-メトキシシンナミックアルデヒド等が挙げられる。
【0025】
湿潤剤の具体例としては、例えば、ソルビット、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、ポリオキシエチレングリコール等が挙げられる。
【0026】
粘結剤の具体例としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム等のセルロース誘導体、キサンタンガム等の微生物産生高分子、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、寒天、ペクチン、プルラン、ジェランガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム等の天然高分子又は天然ゴム類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子、増粘性シリカ、ビーガム等の無機粘結剤、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン性粘結剤等が挙げられる。
【0027】
防腐剤の具体例としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。
【0028】
着色剤の具体例としては、例えば、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等が挙げられる。
pH調整剤の具体例としては、例えば、クエン酸、リン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、又はこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0029】
キレート剤の具体例としては、例えば、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩、エデト酸カリウム塩、フィチン酸等が挙げられる。
薬効成分の具体例としては、例えば、酢酸d1-α-トコフェロール、コハク酸トコフェロール、又はニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、又はリン酸アスコルビルマグネシウム等のビタミンC類、ピリドキシン塩酸塩等のビタミンB6類、ドデシルジアミノエチルグリシン等の両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の非イオン性殺菌剤、ソルビン酸等のアニオン系殺菌剤、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン系殺菌剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)等の酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物、トラネキサム酸やイプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレステロール、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド、アラントイン、カルバゾクロム、硝酸カリウム、パラチニット等が挙げられる。
【0030】
基剤の具体例としては、例えば、アルコール類、シリコン、アパタイト、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、プラスチベース等が挙げられる。
【0031】
アルコール類の具体例としては、例えば、エチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
研磨剤の具体例としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、シリカ、ゼオライト、メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ベンガラ、硫酸カルシウム、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0032】
安定化剤の具体例としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
<適用形態、用途、及び剤形>
ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物の適用形態は、特に限定されず、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品として使用することができる。ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物の用途としては、公知の用途を適宜採用することができる。例えば、咀嚼剤、口腔内溶解剤、口腔内崩壊剤、舌ケア剤、口中清涼剤、練歯磨剤、洗口剤、含漱剤、液体歯磨剤、バイオフィルム分散剤、口臭予防剤、歯茎マッサージ剤、口腔用湿潤付与剤、舌苔除去剤、口腔内塗布剤、口腔殺菌剤、咽喉殺菌剤、口腔咽喉剤、歯周病治療剤、義歯装着剤、義歯コーティング剤、義歯安定化剤、義歯保存剤、義歯洗浄剤、インプラントケア剤等が用途として挙げられる。
【0033】
ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物の剤形は、特に限定されず、例えば、水、アルコール等の溶媒を含有することにより、軟膏剤、ペースト剤、パスタ剤、スプレー剤、ジェル剤、液剤、懸濁剤、ガム剤、タブレット、ドロップ等の形態(剤形)等に適用することができる。
【0034】
溶媒として用いられる水の種類は特に限定されず、例えば蒸留水、純水、超純水、精製水、水道水等を用いることができる。溶媒として用いられるアルコールの種類は特に限定されず、例えばエタノールを用いることができる。水とアルコールを混合して用いることもできる。
【0035】
ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物が液状に構成されている場合において、水等の溶媒の含有量は、特に制限されないが、60質量%以上99.8質量%以下であることが好ましく、70質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
【0036】
<作用および効果>
本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物によれば、ジンジパイン活性を好適に阻害することができる。
【0037】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、及び口腔用組成物は、ベルベリンを含有する植物エキス、及びクローブエキスから選ばれる少なくとも一種を含有する。したがって、ジンジパイン活性を好適に阻害することができる。これによって、歯周病の予防、及び歯周病の進行を抑制することができる。
【0038】
(2)ベルベリンを含有する植物エキスは、オウバクエキスである。ベルベリンを含有する植物エキスとしてオウバクエキスを含有しているジンジパインのプロテアーゼ活性阻害剤、口腔用組成物によれば、ジンジパイン活性を好適に阻害することができる。
【実施例0039】
本実施形態の口腔用組成物について、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、口腔用組成物は、実施例欄に記載の構成に限定されるものではない。
<調製>
実施例1~20、比較例1~6、及び参考例1のサンプル溶液をそれぞれ調製した。各実施例1~20、比較例1~6、及び参考例1のサンプル溶液が含有する成分の種類は、表1に示すとおりである。実施例1~6、14~20及び比較例1のサンプル溶液は、各成分の濃度が表1に示す濃度になるように水で希釈した。実施例7~13及び比較例3~6のサンプル溶液は、各成分の濃度が表1に示す濃度になるように50%エタノールで希釈した。比較例2のサンプル溶液は、水のみを用いており、ネガティブコントロールとした。参考例1のサンプル溶液は、Rgp inhibitorとして、K Y T-1(株式会社ペプチド研究所製)を水で1000倍希釈して調製した。K Y T-1は、((3S)-N-[(1S)-5-Amino-1-(N,N-dimethylcarbamoyl)pentyl]-3-[(2S)-6-amino-2-(benzyloxycarbonyl)aminohexanoylamino]-6-guanidino-2-oxohexanamide)である。
【0040】
【表1】
P.g菌(P.gingivalis W83)を37℃、嫌気条件下、変法GAM培地にて24時間培養した。波長660nmにおける培養液の濁度が1.0になるように変法GAM培地にて希釈して、これを菌液とした。当該菌液を5000Gで遠心分離した後、上清を回収した。回収した上清中にP.g菌が産生したジンジパインが含まれる。変法GAM培地は、市販のものを使用した。
【0041】
Z-Phe-Arg-MCA(株式会社ペプチド研究所製)をPBSで100倍希釈して、Rgp基質液とした。Z-Phe-Arg-MCAは、Benzyloxycarbonyl-L-phenylalanyl-L-arginine 4-methylcoumaryl-7-amide (Hydrochloride Form)であり、Arg-ジンジパイン(Rgp)活性によって切断されることで蛍光を発する試薬である。
【0042】
<ジンジパイン活性の測定>
Arg-ジンジパイン(Rgp)活性の測定を行った。
サンプル溶液100μLと上清100μLとを混合して混合菌液を調製し、10分間放置した。さらに、混合菌液50μLとRgp基質液50μLとを混合し、遮光して37℃で30分静置した。
【0043】
30分後、蛍光プレートリーダー(Gemini XPS)にて蛍光強度(励起光:380nm、放出光:440nm)を測定した。比較例2、すなわちネガティブコントロールにおけるArg-ジンジパイン(Rgp)活性を100%とした。ネガティブコントロールの蛍光強度に対する相対値に基づいて、実施例1~20、比較例1、3~6及び参考例1におけるArg-ジンジパイン(Rgp)活性を算出した。結果を表1に示す。なお、各実施例1~20、各比較例1~6、及び参考例1についての検討は、n=4で行い、算出する値は平均値とした。また、標準偏差を表1の「SD」欄に示す。
【0044】
<評価>
算出されたジンジパイン活性値が小さいほど、ジンジパイン活性が強く阻害されたことを示す。算出したジンジパイン活性について、以下の評価基準に基づいて評価を行った。結果を表1に示す。
【0045】
・評価基準
◎◎(優れる):0%以上、且つ38%未満である。
◎(良好):38%以上、且つ68%未満である。
【0046】
〇(可):68%以上、且つ98%未満である。
×(不可):98%以上である。
表1に示すように、実施例1~20は全て、ジンジパイン活性の評価が可以上であった。すなわち、実施例1~20は、ジンジパイン活性を好適に阻害できることがわかる。
【0047】
実施例1~6の結果から、オウバクエキスによってジンジパイン活性を好適に阻害できることがわかる。また、実施例7~13の結果から、ベルベリンによってもジンジパイン活性を好適に阻害できることがわかる。
【0048】
また、実施例14~20の結果から、クローブエキスによってもジンジパイン活性を好適に阻害できることがわかる。比較例3~6の結果から、オイゲノールにはジンジパイン活性を阻害する効果はないことがわかる。これらより、クローブエキスに含まれるオイゲノール以外の成分が、ジンジパイン活性の阻害に関与していることがわかる。