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特開2024-85004ポンプの圧力を利用した圧電発電装置およびポンプ発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085004
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】ポンプの圧力を利用した圧電発電装置およびポンプ発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20240619BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20240619BHJP
   F04D 29/30 20060101ALI20240619BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20240619BHJP
【FI】
H02N2/18
F04D29/00 B
F04D29/30 C
H10N30/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199277
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】駒場 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 修章
【テーマコード(参考)】
3H130
5H681
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB22
3H130AB60
3H130AC30
3H130DF03X
5H681AA01
5H681BB08
5H681DD23
5H681DD33
(57)【要約】
【課題】
ポンプのロックの危険性がなく、発電量も増加可能な、ポンプの圧力を利用した圧電発電装置およびポンプ発電システムを提供する。
【解決手段】
ポンプから吐き出された流体の脈動による圧力変化により発電を行うポンプ発電システムであって、ポンプと、ポンプの吐出口からの流体を分岐させる第1バイパス管と、第1バイパス管と接続された圧電発電装置と、圧電発電装置から送出される流体をポンプの吐出口側に戻す第2バイパス管を備え、圧電発電装置は、タンク形状であり、タンク内の空間が弾性体で液体層と空気層で区分けされ、液体層は、第1バイパス管からの流体が流入する流入口と、第2バイパス管へ流体が流出する流出口を有し、空気層は圧電素子を有し、液体層に加わる第1バイパス管から流れ込んだ流体の脈動による圧力変化により空気層が圧縮され圧電素子に圧力が加わることにより発電を行う構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプから吐き出された流体の脈動による圧力変化により発電を行うポンプ発電システムであって、
流体を吸込口から吸い込み吐出口から吐き出すポンプと、
前記ポンプの吐出口からの流体を分岐させる第1バイパス管と、
前記第1バイパス管と接続された圧電発電装置と、
前記圧電発電装置から送出される流体を前記ポンプの吐出口側に戻す第2バイパス管を備え、
前記圧電発電装置は、タンク形状であり、タンク内の空間が弾性体で液体層と空気層で区分けされ、前記液体層は、前記第1バイパス管からの流体が流入する流入口と、前記第2バイパス管へ流体が流出する流出口を有し、前記空気層は圧電素子を有し、前記液体層に加わる第1バイパス管から流れ込んだ前記流体の脈動による圧力変化により前記空気層が圧縮され前記圧電素子に圧力が加わることにより発電を行うことを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ発電システムにおいて、
第1バイパス管は、前記ポンプの吐出口側に取付けられた短管を経由して前記ポンプの吐出口からの流体を分岐させることを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項3】
請求項1に記載のポンプ発電システムにおいて、
第1バイパス管は、前記ポンプの吐出口側のフランジまたはケーシングに接続され、前記ポンプの吐出口側のフランジまたはケーシングに設けたゲージ穴を利用して前記ポンプの吐出口からの流体を分岐させることを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項4】
請求項1に記載のポンプ発電システムにおいて、
前記第2バイパス管は、前記圧電発電装置から送出される流体を前記ポンプの吸入口側に戻すことを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項5】
請求項1に記載のポンプ発電システムにおいて、
前記圧電発電装置の1次側に仕切弁を備えることを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項6】
請求項1に記載のポンプ発電システムにおいて、
前記第2バイパス管に逆止弁を設けることを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項7】
請求項1に記載のポンプ発電システムにおいて、
前記圧電発電装置の1次側に脈動発生装置を備えることを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項8】
請求項7に記載のポンプ発電システムにおいて、
前記圧電発電装置の2次側に清流板を備えることを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項9】
請求項7に記載のポンプ発電システムにおいて、
前記脈動発生装置は、流体により回転する羽根車を有することを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項10】
請求項9に記載のポンプ発電システムにおいて、
前記羽根車は1枚羽根で構成されていることを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項11】
請求項9に記載のポンプ発電システムにおいて、
前記羽根車は、複数の羽根を有し、
前記複数の羽根は、羽根間隔または羽根外径が不均一であることを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項12】
ポンプから吐き出された流体の脈動による圧力変化により発電を行うポンプ発電システムであって、
流体を吸込口から吸い込み吐出口から吐き出すポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
前記ポンプの吐出口側のフランジまたはケーシングに設けたゲージ穴とを繋ぐ第1バイパス管と、
前記第1バイパス管と接続された圧電発電装置と、
前記圧電発電装置から送出される流体を前記ポンプの吸込口側のフランジまたはケーシングに設けたゲージ穴とを繋ぐ第2バイパス管を備え、
前記圧電発電装置は、タンク形状であり、タンク内の空間が弾性体で液体層と空気層で区分けされ、前記液体層は、前記第1バイパス管からの流体が流入する流入口と、前記第2バイパス管へ流体が流出する流出口を有し、前記空気層は圧電素子を有し、前記液体層に加わる前記第1バイパス管から流れ込んだ前記流体の脈動による圧力変化により前記空気層が圧縮され前記圧電素子に圧力が加わることにより発電を行うことを特徴とするポンプ発電システム。
【請求項13】
ポンプから吐き出された流体の脈動による圧力変化により発電を行う圧電発電装置であって、
タンク形状であり、タンク内の空間が弾性体で液体層と空気層で区分けされており、
前記液体層は、ポンプから吐き出された流体が流入する流入口と、該液体層内の流体が流出する流出口を有し、
前記空気層は圧電素子を有し、
前記液体層に加わる前記ポンプから吐き出された流体の脈動による圧力変化により前記空気層が圧縮され前記圧電素子に圧力が加わることにより発電を行うことを特徴とする圧電発電装置。
【請求項14】
請求項13に記載の圧電発電装置において、
前記圧電素子は前記空気層内のタンク内周に配置され、圧電素子で発電した電力を集電及び蓄電する蓄電制御装置を前記空気層に備えることを特徴とする圧電発電装置。
【請求項15】
請求項13に記載の圧電発電装置において、
前記流入口にはフランジまたはネジを備え、該フランジまたはネジを介して前記ポンプから吐き出された流体が流入する配管と接続することを特徴とする圧電発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプの圧力を利用した圧電発電装置およびポンプ発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策として、カーボンニュートラルの対策が急務となっており、産業機器の分野においても再生可能エネルギーの創出や製品の高効率化が要求されている。特に再生可能エネルギーについては注目されており、水流を利用して羽根車を回転させる水車発電が一般的に普及しているが、水圧を利用した圧電発電も一例として挙げられる。
【0003】
本技術分野における背景技術として特許文献1がある。特許文献1にはポンプの羽根車に圧電素子を取り付け、その圧力から電力を取り出す点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-32080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1はポンプの羽根車に発電ユニットを含む圧電素子を取り付け、電力を発生させているが、羽根車は回転体であるがゆえに、圧電素子は、様々な方向から水流を受け羽根車から取り外れる可能性がある。そのため、圧電素子が外れることによりポンプのロックや送水先の機器故障に繋がる可能性がある。また、圧電素子が羽根車に取り付けられる面積が限られ、発電量が小さいことや、ポンプ性能面においても羽根車内部に異物を取り付けることにより、性能低下の課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ポンプのロックの危険性がなく、発電量も増加可能な、ポンプの圧力を利用した圧電発電装置およびポンプ発電システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その一例を挙げるならば、ポンプから吐き出された流体の脈動による圧力変化により発電を行うポンプ発電システムであって、ポンプと、ポンプの吐出口からの流体を分岐させる第1バイパス管と、第1バイパス管と接続された圧電発電装置と、圧電発電装置から送出される流体をポンプの吐出口側に戻す第2バイパス管を備え、圧電発電装置は、タンク形状であり、タンク内の空間が弾性体で液体層と空気層で区分けされ、液体層は、第1バイパス管からの流体が流入する流入口と、第2バイパス管へ流体が流出する流出口を有し、空気層は圧電素子を有し、液体層に加わる第1バイパス管から流れ込んだ流体の脈動による圧力変化により空気層が圧縮され圧電素子に圧力が加わることにより発電を行う構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポンプのロックの危険性がなく、発電量も増加可能な、ポンプの圧力を利用した圧電発電装置およびポンプ発電システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1におけるポンプ発電システムの構成図である。
図2】実施例1における圧電発電装置の内部構造を示す断面図である。
図3】実施例1における圧電発電装置の圧電素子ユニットを上面に配置した内部構造を示す断面図である。
図4】実施例1における圧電発電装置のタンク形状を横長形状とした内部構造を示す断面図である。
図5】実施例1における圧電発電装置の流体流入口の接続をねじ込み式とした内部構造を示す断面図である。
図6】実施例2におけるポンプ発電システムの構成図である。
図7】実施例2における他のポンプ発電システムの構成図である。
図8】実施例2における脈動発生装置の構造断面図である。
図9】実施例2における脈動発生装置の羽根車の形状を示す断面図である。
図10】実施例2における脈動発生装置の羽根車の他の形状を示す断面図である。
図11】実施例2における脈動発生装置の羽根車の他の形状を示す構面図である。
図12】実施例3におけるポンプ発電システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例0011】
図1は、本実施例におけるポンプの圧力を利用したポンプ発電システムの構成図である。図1において、ポンプ発電システム100は、主としてポンプ101と圧電発電装置104からなる。ポンプ101は、吸込口と吐出口を有し、流体を吸込口から吸い込み昇圧経路にて昇圧して吐出口から吐き出す。そして、ポンプ101の吐出口から吐き出された流体の脈動による圧力変化を圧電発電装置104で電力に変換して発電を行う。そして、本実施例におけるポンプ発電システムは、ポンプの通常運転に影響を与えないために、通常運転とは別に発電用の流体のバイパス経路を設け、そのバイパス経路内に圧電発電装置を組み込む。
【0012】
具体的には、図1において、ポンプ101の吐出口側に短管102を取付け、短管102にポンプ101の吐出口からの流体を分岐させる第1バイパス管103を設ける。そして、第1バイパス管103と接続された圧電発電装置104を設け、圧電発電装置104から送出される流体をポンプの2次側(吐出口側)に戻す第2バイパス管105を備える。これにより、圧電発電装置104への流体の流れを形成する。図1において、流体の流れを白抜き矢印で示している。また、短管102と第1バイパス管103との間等に2重線の記載があるが、これはフランジでの管接続を意味している。
【0013】
なお、図1に示すように、圧電発電装置104のメンテナンスを容易に行えるように、圧電発電装置104の1次側に仕切弁106を備えてもよい。また、逆流対策のため第2バイパス管105に逆止弁107を設けてもよい。また、圧電発電装置104から送出される流体をポンプの2次側ではなく、1次側(吸込口側)に戻しても構わない。
【0014】
また、図1では短管102を設けて第1バイパス管103を接続しているが、短管102の代わりにポンプのフランジまたはケーシングに設けたゲージ穴を利用して、ポンプのフランジまたはケーシングに第1バイパス管103を接続するようにしてもよい。
【0015】
図2は本実施例における圧電発電装置の内部構造を示す断面図である。図2において、圧電発電装置104は、タンク形状であり、タンク内の空間をゴム等の弾性体204で液体層202と空気層203に区分けしている。液体層202には、フランジ207を介して接続された第1バイパス管103からの流体が流入する流入口を介して流体が流入し、図示しないタンクの側面に設けられた流出口に接続された第2バイパス管105へ流体が流出する。また、空気層203には、タンク内周に圧電素子ユニット205を設け、圧電素子ユニット205で発電した電力を集電・蓄電する蓄電制御装置206を備える。蓄電制御装置206は外部の設備等へ接続され、電力の供給を可能とする。なお、圧電素子ユニット205は、圧電素子に加え、圧電素子を保護するゴム等の保護部材と湿度を遮断するカバーで構成する。
【0016】
液体層202にはポンプの流体圧により圧力が加わり、空気層203を圧縮し、圧電素子ユニット205に圧力を加え発電させる仕組みとなる。すなわち、ポンプから発生される流体の脈動からの圧力差異を利用し発電させる。
【0017】
なお、圧電素子ユニット205は空気層203内であればどこに取り付けてもよい。例えば、図3に示すように、圧電素子ユニット205をタンク内の上面に配置してもよい。また、圧電発電装置104を大型化又は、タンクを増やして発電量を調整することができる。例えば、図4に示すように、圧電発電装置104のタンク形状を横長形状として、タンク内周に圧電素子ユニット205を複数設けてもよい。また、図2から図4においては、液体層202における流入口の接続をフランジ207を介して行なうが、図5に示すように、ネジ208を備え、ねじ込み式で第1バイパス管103と接続してもよい。
【0018】
このように、本実施例では、圧電発電装置104において、液体層202と空気層203を分離し、空気層203に圧電素子ユニット205を設けることで、圧電素子ユニット205には直接流体が接触することはなく、流体による圧電素子の取り外れの可能性がなく、圧電素子が外れることによりポンプのロックやポンプの2次側の機器故障に繋がる可能性もない。また、発電量も圧電素子ユニットを増設することで増加可能である。
【0019】
また、従来のポンプシステムに、発電用の流体のバイパス経路と圧電発電装置を設置するだけで、ポンプが運転されれば自動的に発電され、手間が掛からないという効果がある。
【0020】
以上のように、本実施例によれば、ポンプのロックの危険性がなく、発電量も増設可能な圧電素子を利用した発電が可能な、ポンプの圧力を利用した圧電発電装置およびポンプ発電システムを提供できる。
【実施例0021】
本実施例は、実施例1を基本構成とし、より発電効率を上げることのできるポンプ発電システムについて説明する。
【0022】
図6は、本実施例におけるポンプ発電システム200の構成図である。図6において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。図6において、図1と異なる点は、第1バイパス管103の経路内であって、圧電発電装置104の1次側に脈動発生装置301を設ける点である。脈動発生装置301により、流体の脈動を故意に発生させることで、流体の脈動による圧力変動を大きくし、これにより圧電発電装置104内の圧電素子へかかる圧力を大きく変化させることができ発電効率を上げることができる。なお、脈動発生装置301と第1バイパス管103との間に2重線の記載があるが、これはフランジでの管接続を意味している。なお、脈動発生装置301の配管接続をフランジ式ではなく、ねじ込み式としても構わない。
【0023】
また、脈動発生装置301を設けることで、圧電発電装置104から出力された流体は大きな脈動が発生しており、第2バイパス管105を介してポンプの2次側に戻した場合、2次側への影響があるため、圧電発電装置104の2次側、すなわち第2バイパス管105の、例えば圧電発電装置104と逆止弁107の間に清流板などを配置して脈動軽減させることが望ましい。
【0024】
また、ポンプの2次側への影響を低減するために、エネルギーロスには繋がるが、圧電発電装置104から送出される流体をポンプの1次側に戻してもよい。図7は、本実施例におけるポンプ発電システム200において、圧電発電装置104から送出される流体をポンプの1次側に戻す場合の構成図である。図7において、圧電発電装置104ら出力された流体を第2バイパス管105を介してポンプの1次側に戻した場合にも、脈動発生装置301により圧電発電装置104から出力された流体は大きな脈動が発生しており、配管の損傷や振動・騒音などの問題が起こす可能性がある。そのため、圧電発電装置104と逆止弁107の間に清流板などを配置して脈動軽減させることが望ましい。
【0025】
図8は、本実施例における脈動発生装置の構造断面図である。図8に示すように、脈動発生装置301は、ボディ401、羽根車402、主軸403、軸受404で構成され、流体の流れを利用し、羽根車402を回転させる構造である。
【0026】
図9は、図8における脈動発生装置の羽根車402の形状を示す断面図である。図9においては、主軸403に直交した平面での羽根車402の断面図を示している。図9に示すように、羽根車402は、1枚羽根501で構成され、これを回転させることで圧力変動(脈動)を発生させる。これにより圧電素子へかかる圧力を変化させ発電効率を上げることができる。なお、図9では1枚羽根の構成としたが、圧力変動(脈動)が発生すればよいので、回転方向に非対称な配置の複数枚羽根の構成でもよい。
【0027】
図10は、図8における羽根車の他の形状を示す断面図である。図10では、羽根車402は、複数の羽根を有し、それらの羽根間隔を不均一にした間隔不均一羽根502を有し、これを回転させることで圧力変動(脈動)を発生させる。また、図11は、図8における羽根車のさらに他の形状を示す断面図である。図11では、羽根車402は、複数の羽根を有し、それらの羽根外径を不均一にした外径不均一羽根503を有し、これを回転させることで圧力変動(脈動)を発生させる。
【0028】
なお、本実施例では、脈動発生装置として、羽根車を回転させる構造について説明したが、これに限定されるものではなく、流体の脈動を発生させるのであればどのような構造でもよい。
【0029】
以上のように、本実施例によれば、実施例1の効果に加えて、より発電効率を上げることのできるポンプ発電システムを提供できる。
【実施例0030】
本実施例は、実施例1をベースに小型で簡易的な発電を目的とした小型発電システムについて説明する。
【0031】
図12は、本実施例におけるポンプ発電システムの構成図である。図12において、ポンプ発電システム300は、主としてポンプ600と、ポンプ600を駆動するモータ700と、圧電発電装置800からなる。なお、図12においては、ポンプ600のみを断面図で示している。また、圧電発電装置800と、ポンプ600の吐出口側ポンプフランジ601に設けたゲージ穴とを繋ぐ第1バイパス管801を設ける。さらに、圧電発電装置800と、ポンプ600の吸込口側ポンプフランジ602に設けたゲージ穴とを繋ぐ第2バイパス管802を設ける。また、圧電発電装置800は、実施例1で述べた圧電発電装置104と同様の構成であり、図2から図5と同様の構造とする。なお、圧電発電装置800と繋ぐポンプ600の吐出口側および吸込口側のゲージ穴は、ポンプフランジに設けたゲージ穴ではなくポンプのケーシングに設けたゲージ穴でもよい。
【0032】
図12において、本実施例におけるポンプ発電システムは、ポンプの通常運転に影響させないため通常運転とは別に発電用の流体のバイパス経路である第1バイパス管801と第2バイパス管802を設け、ポンプ600の吐出口側に設けたゲージ穴からの流体を第1バイパス管801介して圧電発電装置800に流入させ、圧電発電装置800から送出される流体を第2バイパス管802を介してポンプ600の吸込口側に設けたゲージ穴に戻す。これにより、従来のポンプシステムに、圧電発電装置800と、発電用の流体のバイパス経路であるポンプ600との配管(第1バイパス管801、第2バイパス管802)を簡易的に取り付けるだけで発電を可能にできる。なお、本実施例は小型で簡易的な発電を目的としているため、発電量は小さく、IoT(Internet of Things)製品の電源用などの用途に向いている。
【0033】
以上のように、本実施例によれば、ポンプの圧力を利用した圧電発電装置およびポンプ発電システムを提供できるため、炭素排出量を減らし、地球温暖化を防止することができ、SDGs(Sustainable Development Goals)を実現するための特に項目7のエネルギーに貢献する。
【0034】
また、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0035】
100、200、300:ポンプ発電システム、101、600:ポンプ、102:短管、103、801:第1バイパス管、104、800:圧電発電装置、105、802:第2バイパス管、106:仕切弁、107:逆止弁、202:液体層、203:空気層、204:弾性体、205:圧電素子ユニット、206:蓄電制御装置、207:フランジ、208:ネジ、301:脈動発生装置、401:ボディ、402:羽根車、403:主軸、404:軸受、501:1枚羽根、502:間隔不均一羽根、503:外径不均一羽根、601:吐出口側ポンプフランジ、602:吸込口側ポンプフランジ、700:モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12