(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085018
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】コラムカバー
(51)【国際特許分類】
B62D 1/16 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
B62D1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199317
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴司
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DC13
3D030DC37
(57)【要約】
【課題】コラムカバーの組み立て時における左右方向の位置ずれを抑制する。
【解決手段】アッパーカバーは、略平行に配される一対のアーム部と、一対のアーム部が延びる方向と垂直な方向に並んで配されている一対の回転部と、第1方向において一対の回転部とは異なる位置に設けられている一対の被係止部と、を備え、ロワカバーは、同一の回転軸を中心に一対の回転部が回転できるように、それぞれ一対の回転部の一方と他方とを保持する一対の凹部と、それぞれ一対の被係止部の一方と他方とを係止する一対の係止部と、それぞれ一対の凹部の一方と他方とに連続する一対のレール部であって、第1方向に延び、アッパーカバーとロワカバーが組み合わされるときに、それぞれ一対のアーム部の一方と他方とのそれぞれの端部を受け入れ、第1方向に沿って壁部の端部を一対の凹部に案内する一対のレール部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み合わされたアッパーカバーとロワカバーを備え、ステアリングコラムを被覆するコラムカバーであって、
前記アッパーカバーは、
略平行に配される一対のアーム部と、
それぞれ前記一対のアームの一方と他方とに接続されており、前記一対のアーム部が延びる方向と垂直な方向に並んで配されている一対の回転部と、
前記アッパーカバーおよび前記ロワカバーが前記ステアリングコラムに取り付けられた際に前記コラムカバーが延びる第1方向において、前記一対の回転部とは異なる位置に設けられている一対の被係止部と、を備え、
前記ロワカバーは、
同一の回転軸を中心に前記一対の回転部が回転できるように、それぞれ前記一対の回転部の一方と他方とを保持する一対の凹部と、
前記アッパーカバーと前記ロワカバーが組み合わされた状態において、それぞれ前記一対の被係止部の一方と他方とを係止する一対の係止部と、
それぞれ前記一対の凹部の一方と他方とに連続する一対のレール部であって、前記第1方向に延び、前記アッパーカバーと前記ロワカバーが組み合わされるときに、それぞれ前記一対のアーム部の一方と他方とのそれぞれの端部を受け入れ、前記第1方向に沿って前記一対のアーム部のそれぞれの前記端部を前記一対の凹部に案内する一対のレール部と、を備える、
コラムカバー。
【請求項2】
請求項1に記載のコラムカバーであって、
前記一対のアーム部のそれぞれの前記端部は、前記一対のレール部を通過して前記一対の凹部に案内され、
前記一対のレール部の一方と他方とのそれぞれについて、前記端部を受け入れる入口の大きさは前記端部が出て行く出口の大きさより大きく設定されている、
コラムカバー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコラムカバーであって、
前記凹部は、開口から終端に向かうに従って徐々に狭くなる形状を備える、
コラムカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コラムカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車のステアリングコラムを被覆するコラムカバーであって、アッパーカバーとロワカバーとから構成されるコラムカバーについて記載されている。このコラムカバーにおいては、アッパーカバーが備える係合片が、ロワカバーが備える軸部に係ることにより、ヒンジ機構が構成される。アッパーカバーをロワカバーに組み付ける際には、ステアリングコラムにロワカバーが取り付けられ、ヒンジ機構が構成された状態で、アッパーカバーをヒンジ機構の軸部まわりに回転するように移動させ、アッパーカバーの端面をロワカバーの端面に接触させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたコラムカバーにおいては、軸部に垂直な方向であるアッパーカバーとロワカバーとの前後方向の位置ずれを抑制することができるものの、アッパーカバーとロワカバーとの左右方向の位置ずれを抑制することができない。よって、左右方向の位置ずれを抑制する技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、コラムカバーが提供される。このコラムカバーは、互いに組み合わされたアッパーカバーとロワカバーを備え、ステアリングコラムを被覆するコラムカバーであって、前記アッパーカバーは、略平行に配される一対のアーム部と、それぞれ前記一対のアーム部の一方と他方とに接続されており、前記一対のアーム部が延びる方向と垂直な方向に並んで配されている一対の回転部と、前記アッパーカバーおよび前記ロワカバーが前記ステアリングコラムに取り付けられた際に前記コラムカバーが延びる第1方向において、前記一対の回転部とは異なる位置に設けられている一対の被係止部と、を備え、前記ロワカバーは、同一の回転軸を中心に前記一対の回転部が回転できるように、それぞれ前記一対の回転部の一方と他方とを保持する一対の凹部と、前記アッパーカバーと前記ロワカバーが組み合わされた状態において、それぞれ前記一対の被係止部の一方と他方とを係止する一対の係止部と、それぞれ前記一対の凹部の一方と他方とに連続する一対のレール部であって、前記第1方向に延び、前記アッパーカバーと前記ロワカバーが組み合わされるときに、それぞれ前記一対のアーム部の一方と他方とのそれぞれの端部を受け入れ、前記第1方向に沿って前記一対のアーム部のそれぞれの前記端部を前記一対の凹部に案内する一対のレール部と、を備える。
上記形態によれば、一対の回転部が設けられた一対の壁部のアーム部が一対のレール部により第1方向に沿って凹部に案内される。よって、一対のアーム部の端部について、ステアリングコラムに取り付けられたコラムカバーが延びる方向である第1方向に交差する方向の動きが規制される。これにより、アッパーカバーをロワカバーに取り付ける際に、アッパーカバーのステアリングコラムの軸方向に交差する左右方向の動きが規制される。
(2)上記形態のコラムカバーにおいて、前記一対のアーム部のそれぞれの前記端部は、前記一対のレール部を通過して前記一対の凹部に案内され、前記一対のレール部の一方と他方とのそれぞれについて、前記端部を受け入れる入口の大きさは前記端部が出て行く出口の大きさより大きく設定されていてもよい。
上記の形態によれば、アーム部の端部をレール部に挿入することが容易となる。
(3)上記形態のコラムカバーにおいて、前記凹部は、開口から終端に向かうに従って徐々に狭くなる形状を備えていてもよい。
上記の形態によれば、回転部を凹部に円滑に挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかるコラムカバーの斜視図である。
【
図4】取り付け作業の途中のコラムカバーの斜視図である。
【
図5】
図4とは異なる方向からから見たコラムカバーの斜視図である。
【
図6】取り付け作業の途中のコラムカバーの様子を示す図である。
【
図7】第2係止部と第2被係止部との係止構造についての説明図である。
【
図8】アッパーカバーとロワカバーとが組み合わされているときのコラムカバーの斜視図である。
【
図9】
図8とは異なる方向から見たときのコラムカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態
図1は、本実施形態にかかるコラムカバーの斜視図である。
図1においては、車両の前方からコラムカバーを見た場合のコラムカバーの外観を示す。
図2は、コラムカバーの分解斜視図である。コラムカバー100は、ステアリングコラムを被覆するカバーである。ステアリングコラムは、車両の運転手がステアリングホイールS1を操作することにより、回転させられるステアリングシャフトを含む。
図1~
図2においては、技術の理解を容易にするため、ステアリングコラムの図示を省略している。
図2においては、ステアリングホイールS1の図示を省略している。
【0009】
本明細書においては、車両の幅方向に平行な方向をX軸、ステアリングコラムが取り付けられた際にコラムカバーが延びる方向、すなわち、ステアリングコラムの軸方向と平行な方向をY軸、X軸とY軸とに直交する方向をZ軸とする直交座標系を設定する。車両の前方に向かう方向をY軸正方向とし、運転席に座り、運転する姿勢を取っている乗員の右方向をX軸正方向とし、上方に向かう方向をZ軸正方向とする。なお、ステアリングコラムに、ステアリングホイールを上下方向に動かすチルト機構が備えられていることがある。この場合に、Y軸方向は、ステアリングコラムが初期姿勢となっている状態におけるステアリングコラムの軸方向と平行な方向とする。初期姿勢は、例えば、工場出荷時におけるステアリングコラムの姿勢である。
【0010】
コラムカバー100は、アッパーカバー10と、ロワカバー30とを有する。アッパーカバー10およびロワカバー30は合成樹脂により形成されている。アッパーカバー10とロワカバー30とは、一体的に組み合わされることにより、コラムカバー100を構成する。アッパーカバー10はステアリングコラムを上方から覆い、ロワカバー30はステアリングコラムを下方から覆う。アッパーカバー10とロワカバー30とは、アッパーカバー10の-Z側の端部と、ロワカバー30の+Z側の端部とが突き合わされて結合される。
【0011】
アッパーカバー10は、前壁部11と、一対の側壁部12および13と、上壁部14と、一対のアーム部15および16と、固定部17と、第3係止部18および第4係止部19と、一対の回転部21および22と、一対の第1被係止部23および第2被係止部24と、を備える。
【0012】
前壁部11は、ステアリングホイールS1の裏側に対向する。ステアリングホイールS1の裏側は、運転席に座っている乗員と対向する側とは反対側のことである。前壁部11には半円状の切欠部11aが形成されている。なお、
図1、2において、前壁部11および切欠部11aは図示されていない(後述の
図5、
図9参照)。
【0013】
側壁部12および13は、互いに対向して配置され、ステアリングコラムの側方(+X側および-X側)を覆う。側壁部12および13にはそれぞれ半円状の切欠部12aおよび13aが形成されている。上壁部14は、側壁部12および13から連続した曲面状の壁部であり、ステアリングコラムの上方(+Z側)を覆う。
【0014】
アーム部15は側壁部12から+Y側に延びている。アーム部16は、側壁部13から+Y側に延びている。アーム部15および16は互いに略平行に配置されている。略平行とは、アーム部15および16のうち一方が延びている方向に対して、他方が延びている方向がなす角度が0~30度の範囲にあることをいう。
【0015】
固定部17は、コラムカバー100とダッシュボードとの隙間を覆う不図示のシート状の遮蔽部材が取り付けられる部位である。固定部17は、壁部17aと取付部17bと結合クリップ挿入孔17cとを備える。壁部17aは、X軸方向に延びた板状部材であって、側壁部12、側壁部13、上壁部14から連続した板状部材である。壁部17aは、前壁部11と対向して配置されている。取付部17bは、X軸方向に延びた板状部材であって、壁部17aに対して略垂直に配置されている。取付部17bには、コラムカバー100とダッシュボードとの隙間を覆うシート状の遮蔽部材の下端部をコラムカバー100に取り付けるための結合クリップ挿入孔17cが形成されている。結合クリップ挿入孔17cと遮蔽部材の下端部近傍に設けられている穴とにボルトが貫通することにより、遮蔽部材の下端部がアッパーカバー10に取り付けられる。
【0016】
第3係止部18および第4被係止部36はそれぞれ、ロワカバー30の+Z側の端部とアッパーカバー10の-Z側の端部とが突き合わされると、第3被係止部35および第4被係止部36に係止する枠状部材である。第3係止部18は、アッパーカバー10のアーム部15の-Z側の端部から突出して配置されている。第4係止部19は、アッパーカバー10のアーム部16の-Z側の端部から突出して配置されている。ロワカバー30の+Z側の端部とアッパーカバー10の-Z側の端部とが突き合わされた状態においては、第3係止部18および第4被係止部36のY軸上の位置は同じである。
【0017】
回転部21は、アーム部15の先端部の近傍であって、アーム部15の内側面(+X側の面)に接続されている回転軸である。回転部22は、アーム部16の先端部の近傍であって、アーム部16の内側面(―X側の面)に接続されている回転軸である。回転部21および22は、アーム部15および16が延びる方向と垂直な方向に並ぶように配置されている。回転部21および22は、それぞれ保持部41および42に保持された状態で同一の回転軸を中心に回転可能である。同一の回転軸は、ステアリングコラムに取り付けられたコラムカバー100が延びる方向に垂直な軸である。ステアリングコラムに取り付けられたコラムカバー100が延びる方向を第1方向ともよぶ。第1方向は、ステアリングコラムの軸方向に略平行である。略平行とは、ステアリングコラムの軸方向に対してなす角度が10~30度の範囲にあることをいう。回転部21および22を一対の回転部ともよぶ。
【0018】
第1被係止部23および第2被係止部24は、それぞれ第1係止部43および第2係止部44が係止する対象である。第1被係止部23および第2被係止部24は、アッパーカバー10の前壁部11の内側に設けられている。前壁部11の内側は、ステアリングホイールと対向する側とは反対側のことである。第1被係止部23および第2被係止部24は、四角の枠体を有するブラケットである。なお、
図1、2において、第1被係止部23および第2被係止部24は図示されていない(後述の
図6、
図7参照)。第1被係止部23および第2被係止部24を一対の被係止部ともよぶ。
【0019】
ロワカバー30は、前壁部31と、一対の側壁部32および33と、底壁部34と、第3被係止部35および第4被係止部36と、保持部41および42と、第1係止部43および第2係止部44と、レール部45および46と、を備える。
【0020】
前壁部31は、ステアリングホイールS1の裏側に対向する。前壁部31には半円状の切欠部31aが形成されている。アッパーカバー10の-Z側の端部とロワカバー30の+Z側の端部とが突き合わされた状態において、切欠部31aは、アッパーカバー10の切欠部11aとともに、ステアリングコラムが貫通する開口を形成する。
【0021】
側壁部32および33は、互いに対向して配置され、ステアリングコラムの側方(+X側および-X側)を覆う。側壁部32および33にはそれぞれ半円状の切欠部32aおよび33aが形成されている。アッパーカバー10の-Z側の端部とロワカバー30の+Z側の端部とが突き合わされた状態において、切欠部32aは、アッパーカバー10の切欠部12aとともに、ワイパーレバーまたはウインカーレバーが貫通する開口を形成する。アッパーカバー10の-Z側の端部とロワカバー30の+Z側の端部とが突き合わされた状態において、切欠部33aは、アッパーカバー10の切欠部13aとともに、ワイパーレバーまたはウインカーレバーが貫通する開口を形成する。側壁部32の内側には、側壁部32を補強するための1つ以上のリブ32bが形成されている。側壁部33の内側には、側壁部33を補強するための1つ以上のリブ33bが形成されている。
【0022】
底壁部34は、側壁部32および33から連続した壁部であり、ステアリングコラムの下方(-Z側)を覆う。底壁部34には、ロワカバー30をステアリングコラムに固定するためのボルトが通されるネジ孔34aが形成されている。ボルトは、ロワカバー30の下方から上方に向かってネジ孔34aを貫通し、さらに、ステアリングコラムに設けられたネジ孔を嵌め込まれる。これにより、ロワカバー30がステアリングコラムに固定される。
【0023】
第3被係止部35および第4被係止部36は、それぞれ第3係止部18および第4係止部19が係止する対象である。なお、
図2において、第3被係止部35は図示されていない(後述の
図6参照)。第3被係止部35は、ロワカバー30の側壁部32の内側であって、+Z側の端部の近傍に設けられている凸部である。第3被係止部35は、ステアリングコラムに取り付けられたコラムカバー100が延びる方向において、後述する保持部41と第1係止部43との間に配置されている。第4被係止部36は、ロワカバー30の側壁部33の内側であって、+Z側の端部の近傍に設けられている凸部である。第4被係止部36は、ステアリングコラムに取り付けられたコラムカバー100が延びる方向において、後述する保持部42と第2係止部44との間に配置されている。
【0024】
保持部41は、アッパーカバー10とロワカバー30とが組み合わされた状態において回転部21を支持する軸受けである。保持部42は、アッパーカバー10とロワカバー30とが組み合わされた状態において回転部22を支持する軸受けである。保持部41は、回転部21を受け入れる切欠部41bが設けられた板状部材から構成される。保持部41は、側壁部32の+Y側の端部の近傍において、少なくとも切欠部41bが側壁部32の+Z側の端部より突出するように、側壁部32の内側に設けられている。保持部41は、切欠部41bの開口側が-Y側、終端側が+Y側に位置するように、配置される。保持部42は、回転部22を受け入れる切欠部42bが設けられた板状部材から構成される。保持部42は、側壁部33の+Y側の端部の近傍において、少なくとも切欠部42bが側壁部33の+Z側の端部より突出するように、側壁部33の内側に設けられている。保持部42は、切欠部42bの開口側が-Y側、終端側が+Y側に位置するように、配置される。保持部41および42を一対の凹部ともよぶ。また、切欠部41bは、その幅(開口のZ方向における長さ)が開口側から終端側に向かうに従って徐々に狭くなるように形成されている。切欠部42bも同様である。回転部21および22の挿入を円滑にするためである。
【0025】
第1係止部43および第2係止部44はそれぞれ板バネ構造を有する樹脂製のクリップである。第1係止部43および第2係止部44は、それぞれ前壁部31の+Z側の端部より突出するように前壁部31の内側に配置されている。第1係止部43および第2係止部44を一対の係止部ともよぶ。第1係止部43および第2係止部44は、それぞれ+Z側の先端にテーパ部43aおよび44aを有する。第1係止部43および第2係止部44は、それぞれ、テーパ部43aおよび44aより-Z側に爪部43bおよび44bを有する。なお、
図1、2において、テーパ部43aおよび44a、爪部43bおよび44bは図示されていない(後述の
図5参照)。
【0026】
レール部45は、アーム部15および16が延びる方向において保持部41に連続して、側壁部32の内側に設けられている。レール部45は、第1方向、すなわち、コラムカバー100が延びる方向に延び、断面が略L字型である形状を有する。レール部45は、レール部45のZ軸方向に延びた壁部の少なくとも一部が側壁部32の+Z側の端部より+Z側に突出するように、配置される。レール部46は、アーム部15および16が延びる方向において保持部42に連続して、側壁部33の内側に設けられている。レール部46の形状は、レール部45と同様である。レール部46は、レール部46のZ軸方向に延びた壁部の少なくとも一部が側壁部32の+Z側の端部より+Z側に突出するように、配置される(後述の
図5、
図6参照)。実施形態において、第1方向に延びるとは、レール部45および46が延びる方向が、回転軸に垂直な方向の方向成分を含むことをいう。
【0027】
また、レール部45において、保持部41から遠い側(-Y側)の端部の大きさは、保持部41に近い側の(+Y側)の端部の大きさより大きく設定されている。具体的には、レール部の幅(X方向における長さ)については、保持部41から遠い側(-Y側)の端部の幅が最も大きい。レール部45の幅は、保持部41から遠い側の端部を含む一定範囲において、+Y方向に向かうにしたがって徐々に狭くなる。実施形態においては、レール部45の幅は、保持部41から遠い側の端部から、レール部45の全長(Y軸方向における長さ)の1/3程度の範囲においては、幅が徐々に狭くなる。保持部41に近い側の端部を含む残りの範囲においては、レール部45の幅は同じである。レール部46も同様の形状を備える。
【0028】
続いて、作業者がコラムカバー100をステアリングコラムに取り付ける流れを説明する。
図3は、取り付け作業についての説明図である。作業者は、まず、ロワカバー30を不図示のステアリングコラムの下方の適切な位置に配置し、不図示のボルトを使用して、ロワカバー30をステアリングコラムに固定する。底壁部34のネジ孔34aおよびステアリングコラムのネジ穴を貫通する不図示のボルトにより、ロワカバー30がステアリングコラムに締結される。
【0029】
次に、作業者は、以下の手順により、ロワカバー30にアッパーカバー10を取り付ける。作業者は、回転部21および22をそれぞれ保持部41および42の切欠部41bおよび42bにそれぞれ差し込む。具体的には、
図3に示すように、作業者は、手に保持したアッパーカバー10を矢印A1が示す方向に移動させ、アーム部15および16それぞれの先端を、レール部45および46の入口に挿入する。作業者は、アーム部15および16それぞれの先端をレール部45および46に沿って進入させるように、アッパーカバー10を移動させる。本実施形態においては、レール部45および46それぞれにおいて、アーム部15および16の先端部を受け入れる側(-Y側)の端部の幅が、アーム部15および16の先端部が出ていく側(+Y側)の端部の幅より大きい。このため、レール部45および46へアーム部15および16の先端部を挿入することが容易である。
【0030】
アーム部15および16それぞれの先端は、レール部45および46を通過した後、保持部41の切欠部41bおよび保持部42の切欠部42bの内側に進入する。このように、レール部45および46それぞれは、アーム部15および16の先端部を受け入れ、アーム部15および16それぞれの先端部を保持部41および42に案内する。作業者は、アーム部15および16それぞれの先端が保持部41の切欠部41bおよび保持部42の切欠部42bそれぞれの終端に到達するまで、アッパーカバー10を移動させる。
【0031】
図4は、取り付け作業の途中のコラムカバー100の斜視図である。
図5は、
図4とは異なる方向から見たコラムカバー100の斜視図である。
図4、5に示すように、アーム部15および16それぞれの先端が、保持部41の切欠部41bおよび保持部42の切欠部42bの終端に到達し、回転部21および22それぞれは保持部41および42に保持された状態となる。この状態で、回転部21および22は、アッパーカバー10をロワカバー30に対して回転可能とする。
【0032】
図6は、取り付け作業の途中のコラムカバー100の様子を示す図である。
図6においては、回転部21が保持部41の切欠部41bに保持された状態を、コラムカバー100の内側から見た様子を示す。なお、このとき、回転部22も同様に保持部42の切欠部42bに保持されている。作業者は、さらに、アッパーカバー10を矢印A2が示す方向に回転移動させる。よって、アッパーカバー10は、回転部21および22を支点とし、回転移動する。
【0033】
図7は、第2係止部44と第2被係止部24との係止構造についての説明図である。
図7においては、コラムカバー100の内側を-Y方向に見た様子を示す。
図7の左側に示すように、アッパーカバー10の回転移動により、アッパーカバー10が矢印A3の示す方向、即ち、下方に移動する。よって、アッパーカバー10がロワカバー30に近づく。さらに、アッパーカバー10が移動することにより、第2係止部44のテーパ部44aが第2被係止部24に差し込まれる。
図7の右側に示すように、第2係止部44が決められた位置まで到達すると、爪部44bが第2被係止部24に係止する。第1係止部43も同様に第1被係止部23に係止する。このように、ロワカバー30の+Z側の端部とアッパーカバー10の-Z側の端部とが突き合わされると、第1係止部43および第2係止部44はそれぞれ、第1被係止部23および第2被係止部24に係止する。
【0034】
また、ロワカバー30の+Z側の端部とアッパーカバー10の-Z側の端部とが突き合わされた状態において、第1係止部43および第2係止部44と、第1被係止部23および第2被係止部24とは、前壁部11および側壁部13に覆われる。従来のように、ネジを用いてアッパーカバーとロワカバーとを固定する方法では、コラムカバー100の外側からネジが見えるため美観が損なわれることがあったが、本実施形態においては、美観を損なわない。
【0035】
図8は、アッパーカバー10とロワカバー30とが組み合わされているときのコラムカバーの斜視図である。
図9は、
図8とは異なる方向から見たときのコラムカバー100の斜視図である。
図8、9に示すように、ロワカバー30の+Z側の端部とアッパーカバー10の-Z側の端部とが突き合わされると、第4係止部19が第4被係止部36に係止する。第3係止部18も同様に第3被係止部35に係止する。
【0036】
上記形態によれば、レール部45および46により、回転部21および22が設けられたアーム部15および16が、ステアリングコラムに取り付けられたコラムカバー100が延びる方向である第1方向に沿って、保持部41および42に案内される。よって、アーム部15および16の端部について、第1方向に交差する方向の動きが規制される。これにより、アッパーカバー10をロワカバー30に取り付ける際に、アッパーカバー10のステアリングコラムの軸方向に交差する左右方向の動きが規制される。これにより、アッパーカバー10をロワカバー30に取り付けるときの、左右方向の位置ずれを抑制できる。よって、アッパーカバー10をロワカバー30に取り付ける作業が容易となる。
【0037】
B1.他の実施形態1
実施形態においては、レール部45および46それぞれにおいて、アーム部15および16の先端部を受け入れる入口の大きさが、アーム部15および16の先端部が出て行く出口より大きい例を説明した。しかしながら、レール部45および46それぞれにおいて、アーム部15および16の先端部を受け入れる入口の大きさと、アーム部15および16の先端部が出て行く出口の幅とが同じであってもよい。
【0038】
B2.他の実施形態2
実施形態においては、保持部41および42それぞれにおいて、切欠部41bおよび切欠部42bそれぞれの幅が徐々に狭くなる形状である例を説明した。しかしながら、切欠部41bおよび切欠部42bそれぞれの幅は、開口側から終端側まで同じであってもよい。
【0039】
B3.他の実施形態3
実施形態においては、ロワカバー30に備えられた第1係止部43および第2係止部44が、アッパーカバー10に備えられた第1被係止部23および第2被係止部24にする例を説明した。あるいは、アッパーカバーに一対の係止部が設けられ、ロワカバーに一対の被係止部が設けられてもよい。この場合、アッパーカバーに設けられた一対の係止部のうちの一方が、ロワカバーに設けられた一対の被係止部のうちの一方に係止する。アッパーカバーに設けられた一対の係止部のうちの他方が、ロワカバーに設けられた一対の被係止部のうちの他方に係止する。
【0040】
B4.他の実施形態4
実施形態において、レール部45および46はそれぞれ、回転部21および22の回転軸に垂直な方向に延び、断面が略L字型である形状を有する例を説明した。しかしながら、レール部45および46はそれぞれ、回転部21および22の回転軸に垂直な方向に延び、断面が略U字型である形状を有していてもよい。この場合、開口部が上方に位置するように、レール部45および46が配置される。
【0041】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…アッパーカバー、11…前壁部、11a…切欠部、12…側壁部、12a…切欠部、13…側壁部、13a…切欠部、14…上壁部、15…アーム部、17…固定部、17a…壁部、17b…取付部、17c…結合クリップ挿入孔、18…第3係止部、19…第4係止部、21…回転部、22…回転部、23…第1被係止部、24…第2被係止部、30…ロワカバー、31…前壁部、31a…切欠部、32…側壁部、32a…切欠部、32b…リブ、33…側壁部、33a…切欠部、33b…リブ、34…底壁部、34a…ネジ孔、35…第3被係止部、36…第4被係止部、41…保持部、41b…切欠、42…保持部、42b…切欠、43…第1係止部、43a…テーパ部、43b…爪部、44…第2係止部、44b…爪部、45…レール部、46…レール部、100…コラムカバー、A1,A2,A3…矢印、S1…ステアリングホイール