(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085023
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】電気接続ユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 4/01 20060101AFI20240619BHJP
H01R 4/48 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H01R4/01
H01R4/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199330
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】北岡 賢一
(72)【発明者】
【氏名】林 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】舘 健太郎
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB14
5E085CC03
5E085DD07
5E085EE24
5E085FF13
5E085GG13
5E085GG35
5E085JJ01
(57)【要約】
【課題】板状接続部材と相手側板状接続部材との高い接続信頼性を得つつ、接続作業を容易に行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】電気接続ユニット20は、相手側板状接続部材10と接続される電気接続ユニットであって、相手側板状接続部材に対して重ね合わせ状態で接続される板状接続部材30と、板状接続部材に接する第1接触部42と、相手側板状接続部材に接する第2接触部44とを有する付勢部材40と、を備え、付勢部材は、第1接触部と第2接触部との間で板状接続部材と相手側板状接続部材とを挟込んで、板状接続部材と相手側板状接続部材との接触圧を付与し、付勢部材は、温度上昇により、接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側板状接続部材と接続される電気接続ユニットであって、
前記相手側板状接続部材に対して重ね合わせ状態で接続される板状接続部材と、
前記板状接続部材に接する第1接触部と、前記相手側板状接続部材に接する第2接触部とを有する付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、前記第1接触部と前記第2接触部との間で前記板状接続部材と前記相手側板状接続部材とを挟込んで、前記板状接続部材と前記相手側板状接続部材との接触圧を付与し、
前記付勢部材は、温度上昇により、前記接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている、電気接続ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続ユニットであって、
前記板状接続部材と前記付勢部材とを覆うハウジングをさらに備える、電気接続ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の電気接続ユニットであって、
前記ハウジングは、インナハウジングとアウタハウジングとを有し、前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に中空空間が形成されている、電気接続ユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気接続ユニットであって、
前記第1接触部と前記第2接触部とが、前記板状接続部材と前記相手側板状接続部材との接触箇所の外側に位置する、電気接続ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気接続ユニットであって、
前記板状接続部材は、長手方向と短手方向とを有する細長い板状であり、
前記第1接触部及び前記第2接触部は、それぞれ前記板状接続部材の長手方向に沿った長い楕円状をなして内方に向って突出する付勢接点部を有する、電気接続ユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気接続ユニットであって、
前記板状接続部材は、長手方向と短手方向とを有する細長い板状であり、
前記板状接続部材は、その長手方向に沿って離れた位置に、前記相手側板状接続部材側に突出する複数の端子接点部を有する、電気接続ユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気接続ユニットであって、
前記付勢部材は、Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金である、電気接続ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、メスピンと、形状記憶スプリングとを備えるゼロインサーションフォースコネクタを開示している。特許文献1では、形状記憶スプリングが通電加熱されると、当該形状記憶スプリングの形状回復力によってメスピンが開いた状態となる。これにより、オスピンをメスピンに挿入する際の装着力をゼロにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気的な接続箇所において、耐振動性及び接点発熱抑制のために、接触箇所の接触圧を高めることが要請されることが考えられる。しかしながら、接触圧を高めると、接続のために要する力が大きくなり、接続作業性が悪くなる可能性がある。特許文献1に開示の技術では、オスピンの挿入作業時に形状記憶スプリングを通電によって加熱する必要があり、接続作業が面倒である。
【0005】
そこで、本開示は、板状接続部材と相手側板状接続部材との高い接続信頼性を得つつ、接続作業を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電気接続ユニットは、相手側板状接続部材と接続される電気接続ユニットであって、前記相手側板状接続部材に対して重ね合わせ状態で接続される板状接続部材と、前記板状接続部材に接する第1接触部と、前記相手側板状接続部材に接する第2接触部とを有する付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、前記第1接触部と前記第2接触部との間で前記板状接続部材と前記相手側板状接続部材とを挟込んで、前記板状接続部材と前記相手側板状接続部材との接触圧を付与し、前記付勢部材は、温度上昇により、前記接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている、電気接続ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、板状接続部材と相手側板状接続部材との高い接続信頼性を得つつ、接続作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係る電気接続ユニットを示す斜視図である。
【
図2】
図2は電気接続ユニットを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は電気接続ユニットを示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は付勢部材が板状接続部材と相手側板状接続部材とを挟込んだ状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の電気接続ユニットは、次の通りである。
【0011】
(1)相手側板状接続部材と接続される電気接続ユニットであって、前記相手側板状接続部材に対して重ね合わせ状態で接続される板状接続部材と、前記板状接続部材に接する第1接触部と、前記相手側板状接続部材に接する第2接触部とを有する付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、前記第1接触部と前記第2接触部との間で前記板状接続部材と前記相手側板状接続部材とを挟込んで、前記板状接続部材と前記相手側板状接続部材との接触圧を付与し、前記付勢部材は、温度上昇により、前記接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている、電気接続ユニットである。
【0012】
本開示によると、温度上昇前の状態で相手側板状接続部材を、板状接続部材と第2接触部との間に挿入接続することで、接続作業を容易に行える。また、接続後の温度上昇により、板状接続部材と相手側板状接続部材との接触圧が高まるため、高い接続信頼性を得ることができる。さらに、第1接触部と第2接触部との間で板状接続部材と相手側板状接続部材とを挟込んでいるため、それらで生じた熱が付勢部材に伝わり易い。このため、付勢部材が効果的に加熱され、板状接続部材と相手側板状接続部材との接触圧が効果的に高まり、この点からも、高い接続信頼性を得ることができる。
【0013】
(2)(1)の電気接続ユニットであって、前記板状接続部材と前記付勢部材とを覆うハウジングをさらに備えてもよい。
【0014】
この場合、ハウジングが板状接続部材と付勢部材とを覆うため、板状接続部材と相手側板状接続部材とで生じた熱が逃げ難い。これにより、付勢部材が効果的に加熱され、板状接続部材と相手側板状接続部材との接触圧が効果的に高まり、この点からも、高い接続信頼性を得ることができる。
【0015】
(3)(2)の電気接続ユニットであって、前記ハウジングは、インナハウジングとアウタハウジングとを有し、前記インナハウジングと前記アウタハウジングとの間に中空空間が形成されていてもよい。
【0016】
これにより、板状接続部材と相手側板状接続部材とで生じた熱をより外に逃げ難くできる。
【0017】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの電気接続ユニットであって、前記第1接触部と前記第2接触部とが、前記板状接続部材と前記相手側板状接続部材との接触箇所の外側に位置してもよい。
【0018】
これにより、板状接続部材と相手側板状接続部材との接触箇所で電流が集中して熱が生じ易い。当該接触箇所で生じた熱が第1接触部及び第2接触部を介して付勢部材に伝わり易い。これにより、板状接続部材と相手側板状接続部材との接触圧が効果的に高まり、より高い接続信頼性を得ることができる。
【0019】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの電気接続ユニットであって、前記板状接続部材は、長手方向と短手方向とを有する細長い板状であり、前記第1接触部及び前記第2接触部は、それぞれ前記板状接続部材の長手方向に沿った長い楕円状をなして内方に向って突出する付勢接点部を有してもよい。
【0020】
この場合、第1接触部及び第2接触部が付勢接点部を介して板状接続部材及び相手側板状接続部材を押すことで、第1接触部及び第2接触部の姿勢が変っても、安定した位置で板状接続部材及び相手側板状接続部材を付勢でき、かつ、熱の伝わり方も安定する。また、付勢接点部が楕円状であるため、板状接続部材及び相手側板状接続部材に対する接触面積を大きくでき、板状接続部材と相手側板状接続部材とで生じた熱が第1接触部及び第2接触部を介して付勢部材に伝わり易い。これにより、板状接続部材と相手側板状接続部材との接触圧が効果的に高まり、より高い接続信頼性を得ることができる。
【0021】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの電気接続ユニットであって、前記板状接続部材は、長手方向と短手方向とを有する細長い板状であり、前記板状接続部材は、その長手方向に沿って離れた位置に、前記相手側板状接続部材側に突出する複数の端子接点部を有してもよい。
【0022】
この場合、部分的な突出部である端子接点部によって板状接続部材と相手側板状接続部材との接触圧を高めることができる。また、複数の端子接点部が板状接続部材の長手方向に沿って離れて位置するため、板状接続部材の長手方向に沿う方向において、板状接続部材と相手側板状接続部材との外面間の距離が安定する。このため、板状接続部材及び相手側板状接続部材に対する第1接触部及び第2接触部の接触状態も安定する。これにより、板状接続部材と相手側板状接続部材とで生じた熱が安定して第1接触部及び第2接触部を介して付勢部材に伝わり易い。
【0023】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの電気接続ユニットであって、前記付勢部材は、Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金であってもよい。
【0024】
これにより、温度上昇によって、形状記憶により元の形状に戻すことができると共に、弾性係数を大きくして板状接続部材と相手側板状接続部材との接触圧を高めることができる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電気接続ユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
[実施形態]
以下、実施形態に係る電気接続ユニットについて説明する。
図1は電気接続ユニット20を示す斜視図である。
図2及び
図3は電気接続ユニット20を示す分解斜視図である。
【0027】
電気接続ユニット20は、相手側板状接続部材10と接続される。
【0028】
ここで、相手側板状接続部材10は、例えば、金属板をプレス加工等することによって形成される。金属板は、例えば、銅板又は銅合金板である。相手側板状接続部材10の表面には、錫メッキ等のメッキが施されていてもよい。ここでは、相手側板状接続部材10は、一方向に長い長方形板状に形成されている。相手側板状接続部材10は、その長手方向に沿って電気接続ユニット20に挿入接続される。
【0029】
相手側板状接続部材10は、例えば、電線の端部の芯線に接続される。相手側板状接続部材10は、機器の電気回路から延出するバスバ等に接続されていてもよい。
【0030】
電気接続ユニット20の全体構成について説明する。電気接続ユニット20は、板状接続部材30と、付勢部材40とを備える。板状接続部材30は、板状部分を有しており、相手側板状接続部材10に対して重ね合せ状態で接続される。付勢部材40は、相手側板状接続部材10と板状接続部材30とを挟込んで、相手側板状接続部材10と板状接続部材30とを付勢する部材である。付勢部材40の付勢力によって、相手側板状接続部材10と板状接続部材30との接続状態が保持される。
【0031】
相手側板状接続部材10は、電線又はバスバの電気伝送媒体を介して第1電気機器に接続される。板状接続部材30は、電線又はバスバ等の電気伝送媒体を介して第2電気機器に接続される。相手側板状接続部材10が板状接続部材30に接続されることで、第1電気機器と第2電気機器とが電気的に接続される。
【0032】
相手側板状接続部材10と板状接続部材30とは、電力線を接続するための端子の組合せであってもよい。例えば、板状接続部材30が電源18に接続され、相手側板状接続部材10が負荷19に接続される(
図6参照)。相手側板状接続部材10と板状接続部材30に接続されることで、電源18と負荷19とが電気的に接続される。この場合、相手側板状接続部材10と板状接続部材30との接触箇所には、負荷19を動作させるのに見合った電流が流れる。負荷19の種類、例えば、負荷19がモータ等である場合には、当該接触箇所には大電流が流れる。
【0033】
本実施形態では、電気接続ユニット20は、さらに、ハウジング50を備える。ハウジング50は、ホルダ52と、インナハウジング60と、アウタハウジング70とを備える。ホルダ52内に上記板状接続部材30及び付勢部材40が一定姿勢で保持される。ホルダ52は、インナハウジング60内に保持される。インナハウジング60は、アウタハウジング70内に保持される。ホルダ52、インナハウジング60に、相手側板状接続部材10を挿入接続するためのスリット52S、60S2が形成されている。相手側板状接続部材10は、当該スリット52S、60S2を通じて、ハウジング50内の付勢部材40と板状接続部材30との間に挿入接続される。
【0034】
また、板状接続部材30は、電線14の端部に接続されている。より具体的には、電線14の端部に芯線14aが露出している。板状接続部材30の基端部が当該露出した芯線14aに接続される。
【0035】
電線14の被覆14bの端部に環状シール部材15が外嵌めされている。電線14の被覆14bの端部のうち環状シール部材15よりも電線14の中間側にバックリテーナ16が取付けられている。板状接続部材30がハウジング50内に組込まれた状態で、環状シール部材15及びバックリテーナ16がアウタハウジング70の開口73hを塞ぐ。
【0036】
各部構成についてより具体的に説明する。
【0037】
図4は付勢部材40が板状接続部材30と相手側板状接続部材10とを挟込んだ状態を示す側面図である。
図5は
図1のV-V線断面図であり、
図6は
図1のVI-VI線断面図である。
図5において相手側板状接続部材10を挿入する前の付勢部材40が2点鎖線で示されている。
【0038】
図1から
図6に示すように、板状接続部材30は、例えば、金属板をプレス加工等することによって形成される。金属板は、例えば、銅板又は銅合金板である。板状接続部材30の表面には、錫メッキ等のメッキが施されていてもよい。
【0039】
相手側板状接続部材10と重ね合せて接続される板状部本体32を備える。板状部本体32は、一方向に長い方形板状に形成されている。板状部本体32は、端子接触面33と付勢力受面34とを有している。板状部本体32のうちの一方の主面が端子接触面33である。板状部本体32のうち端子接触面33とは反対側の主面が付勢力受面34である。つまり、端子接触面33と付勢力受面34とは、板状部本体32の厚み方向において互いに反対側を向く面である。端子接触面33は相手側板状接続部材10に対向し、当該相手側板状接続部材10に接する面である。付勢力受面34は付勢部材40に対向し、当該付勢部材40から付勢力を受ける面である。
【0040】
板状部本体32は、端子接点部35を有する。板状部本体32のうち端子接点部35の最突出部分が相手側板状接続部材10に接することができる。これにより、端子表面の酸化膜の破壊、接触圧力の向上等が可能となる。なお、板状部本体32に端子接点部35が形成されることは必須ではない。
【0041】
本実施形態では、板状部本体32は、複数(ここでは2つ)の端子接点部35を有する。複数の端子接点部35は、板状部本体32の長手方向に沿って離れた位置に形成されている。端子接点部35は、板状部本体32を部分的に端子接触面33側に突出させた部分である。このため、端子接点部35は、端子接触面33側からは部分的に突出した部分として観察され、付勢力受面34からは部分的に凹んだ部分として観察される。
【0042】
端子接点部35の数は任意である。複数の端子接点部35が相手側板状接続部材10に接すれば、端子接点部35と相手側板状接続部材10との接触面積を大きくすることができ、かつ、両者の位置関係が安定し易い。
【0043】
端子接点部35の最突出部分は、平面状に形成されていてもよい。この構成によっても、端子接点部35と相手側板状接続部材10との接触面積を大きくすることができ、かつ、両者の位置関係を安定させ易い。
【0044】
端子接点部35の形状は特に限定されないが、例えば、方形状、細長い形状又は楕円状の突部に形成されてもよい。本実施形態では、端子接点部35は、角が丸められた方形状の突部形状に形成されている。端子接点部35は、最突出部分に向けて内向き傾斜する外周面を有していてもよい。これにより、相手側板状接続部材10が端子接点部35の外周面上を滑って端子接点部35上に案内され易い。
【0045】
なお、相手側板状接続部材10が板状接続部材30側に突出する接点部を有していてもよい。
【0046】
本実施形態では、板状接続部材30は、電線14の端部に接続される端子であることが想定されている。電線14は、例えば、芯線14aと当該芯線14aを被覆する被覆14bとを含む被覆電線である。電線14の端部に芯線14aが露出している。
【0047】
板状接続部材30は、板状部本体32と連なる電線接続部38を有する。電線接続部38は、電線14の端部に露出する芯線14aに接続される部分である。本実施形態では、電線接続部38は板状に形成されている。電線14の端部の芯線14aが電線接続部38に対して超音波接合、溶接、半田付等されることによって、芯線14aが電線接続部38に対して固定されると共に電気的に接続される。電線接続部38は、芯線14aに圧着される圧着片を有する構成であってもよい。
【0048】
板状接続部材30が電線14に接続される端子であることは必須ではない。板状接続部材30は、電気部品における回路から延出するバスバ等に直接ネジ止、はんだ付等されていてもよい。
【0049】
付勢部材40は、板状接続部材30と相手側板状接続部材10とを挟込んで、それらの接触圧を付与する部材である。
【0050】
付勢部材40は、例えば、金属板のプレス加工等によって形成される。付勢部材40は、第1接触部42と、第2接触部44と、連結片46とを含む。第1接触部42と第2接触部44とが、連結片46を介して繋がっている。第1接触部42と第2接触部44とが直接繋がっていてもよい。
【0051】
第1接触部42は、板状接続部材30に接する部分である。第1接触部42は、板状、より具体的には、一方向に長い長方形板状に形成されている。第1接触部42は、板状部本体32の付勢力受面34に対向する第1挟持面43を有しており、この第1挟持面43が付勢力受面34に接する。
【0052】
本実施形態では、第1接触部42は付勢接点部として第1接点部42Pを有している。第1接点部42Pは、第1接触部42の一部を内側に突出させることによって形成されている。第1接点部42Pは、板状部本体32の長手方向に沿って長い楕円状に突出する形状に形成されている。より具体的には、第1接点部42Pは、細長いドーム状に突出しており、その最突出部は、周縁部よりも平面に近い緩やかな球面状をなしている。第1付勢接点部の形状は任意である。第1付勢接点部が形成されることは必須ではない。
【0053】
第2接触部44は、相手側板状接続部材10に接する部分である。第2接触部44は、板状、より具体的には、一方向に長い長方形板状に形成されている。第2接触部44は、相手側板状接続部材10に対向する第2挟持面45を有しており、この第2挟持面45が相手側板状接続部材10に接する。
【0054】
本実施形態では、第2接触部44は付勢接点部として第2接点部44Pを有している。第2接点部44Pは、第2接触部44の一部を第2挟持面45側に突出させることによって形成されている。第2接点部44Pは、上記第1接点部42Pと同様形状、ここでは、細長いドーム状に突出している。第2接点部44Pの最突出部は、その周りの部分よりも平面に近い緩やかな球面状をなしている。第2押圧部の形状は任意である。第2押圧部が形成されることは必須ではない。
【0055】
上記第1接触部42と第2接触部44とは、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触箇所の外側に位置することが好ましい。本実施形態では、板状接続部材30の端子接点部35が相手側板状接続部材10に対する接触箇所であり、第1接触部42及び第2接触部44は、接続部材30、10の重ね合せ方向において接続部材10、30の重ね合せ体の外側に位置する。
【0056】
本実施形態では、接続部材30、10に対する第1接触部42及び第2接触部44の接触箇所は、第1接点部42P及び第2接点部44Pの最突出部である。当該最突出部は、板状部本体32の長手方向に沿って長い。このため、第1接点部42P及び第2接点部44Pの最突出部は、前記重ね合せ方向において、端子接点部35の最突出部に重なっている。このため、接続部材30、10の重ね合せ方向に沿って見たとき、接続部材30、10に対する第1接触部42及び第2接触部44の接触箇所が、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触箇所の外側に位置している。
【0057】
第1接触部42及び第2接触部44のうち連結片46が連なる部分とは反対側の先端縁は、互いに遠ざかる方向へ外向き傾斜するガイド縁に形成されている。ガイド縁によって、相手側板状接続部材10を第1接触部42及び第2接触部44の間に容易に案内することができる。
【0058】
連結片46は、第1接触部42及び第2接触部44の基端に連なり、第1接触部42及び第2接触部44を、間隔をあけて並行状態に連結する部分である。つまり、第1接触部42と連結片46と第2接触部44とは、U字状をなすように連なっている。
【0059】
第1接触部42と第2接触部44とは、連結片46への連結箇所及び連結片46の弾性変形を利用することで、第1接触部42と第2接触部44との間隔を変更することができる。
【0060】
第1接触部42と第2接触部44との最小間隔は、例えば、板状接続部材30の厚みと相手側板状接続部材10の厚みとの総和よりも小さい。この場合、付勢部材40を弾性変形させて第1接触部42と第2接触部44との間隔を広げることで、第1接触部42と第2接触部44との間に板状接続部材30と相手側板状接続部材10との重ね合せ体を配置することができる。この状態で、付勢部材40が元の形状に戻ろうとする弾性力によって、第1挟持面43が板状接続部材30の付勢力受面34を押し、第2挟持面45が第1挟持面43と反対側から相手側板状接続部材10を押す。これにより、板状接続部材30及び相手側板状接続部材10が互いに近づく方向に付勢され、板状接続部材30の端子接触面33と、相手側板状接続部材10のうち端子接触面33に対向する面とに相互に近づく方向に作用し合う接触圧が付与される。これにより、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との間で導通が得られる。つまり、付勢部材40は、第1接触部42と第2接触部44との間で板状接続部材30と相手側板状接続部材10とを挟込んで、板状接続部材30と相手側板状接続部材10とに接触圧を付与する。
【0061】
付勢部材40は、温度上昇により、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている。
【0062】
接触圧が高まる前の温度は、例えば、相手側板状接続部材10を板状接続部材30に接続する作業がなされる温度であり、例えば、常温に属する温度である。常温は、例えば、摂氏25度±15度である。以下、温度について言及がある場合、摂氏温度による温度である。
【0063】
接触圧が高まる温度は、相手側板状接続部材10を板状接続部材30に接続する作業がなされる温度よりも高い温度である。接触圧が高まる温度は、例えば、常温を超える温度であってもよい。接触圧が高まる温度は、例えば、本電気接続ユニット20の使用環境温度に、ジュール熱等による加熱の影響が加味された温度であってもよい。接触圧が高まる温度は、例えば、50度以上の温度であってもよい。
【0064】
つまり、付勢部材40は、25度±15度の温度範囲から50度以上への温度上昇により、接触圧を高めるように形態記憶されていてもよい。
【0065】
形態記憶は、温度上昇により、形状変化して又は物性値が変化することで、前記接触圧を高めるように形態記憶されていればよい。
【0066】
例えば、付勢部材40の第1接触部42及び第2接触部44の最小間隔を想定する。例えば、上記第1接点部42Pの最突出部と第2接点部44Pの最突出部とを結ぶ最短距離が最小間隔である。接触圧が高まる前の温度における最小間隔よりも、接触圧が高まった後における最小間隔が小さくなるように形状記憶されていることが考えられる。つまり、温度上昇によって、最小間隔が小さくなるように、付勢部材40が形状記憶されている。
【0067】
また、例えば、付勢部材40は、温度上昇によって物性値の一例である弾性係数が大きくなって、バネ荷重を高めることができるように、形態記憶されていてもよい。
【0068】
形状記憶合金は、例えば、Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金であってもよい。Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金であれば、25度±15度の温度範囲から50度以上に温度変化することで、形状変化し、さらに、弾性係数を高めるように、形態記憶することができる。これにより、温度上昇によって、付勢部材40が板状接続部材30及び相手側板状接続部材10を互いに近づく方向に付勢する力を高めることができる。
【0069】
なお、形状記憶合金は、Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金以外の合金であってもよい。
【0070】
付勢部材40は、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との外側に位置するため、主たる導電路としての役割が期待される部分ではない。このため、付勢部材40については、導電性よりも、バネ性及び形状記憶機能に鑑みた材質を選定することができる。これに対して、板状接続部材30及び相手側板状接続部材10については、バネ性は無くてもよいので、導電性等に鑑みた材質を選定することができる。
【0071】
ハウジング50は、板状接続部材30と付勢部材40とを覆う樹脂部材である。ハウジング50は、相手側板状接続部材10が挿入される挿入口(例えば、スリット52S、60S2)を有しており、相手側板状接続部材10が当該挿入口を通って、ハウジング50内の板状接続部材30と重ね合わされて、当該板状接続部材30に接続される。
【0072】
本実施形態では、ハウジング50は、ホルダ52と、インナハウジング60と、アウタハウジング70とを備える。ホルダ52と、インナハウジング60と、アウタハウジング70とのそれぞれは、樹脂金型成形部品であってもよい。
【0073】
ホルダ52は、内部に付勢部材40を収容可能な空間を有する箱状に形成されている。ホルダ52の一端側に開口52hが形成される。当該開口52hから付勢部材40が挿入され、ホルダ52内に配置される。ホルダ52内面のうち開口52hの縁側に係止凸部52pが突出している(
図3及び
図6参照)。付勢部材40がホルダ52内に挿入された状態で、当該係止凸部52pが付勢部材40に開口52h側から係止する。これにより、付勢部材40が開口52hから脱落しないようにホルダ52内に保持される。
【0074】
板状接続部材30の板状部本体32も、開口52hからホルダ52内に挿入され、付勢部材40の第1接触部42と第2接触部44との間であって第1接触部42側に接する位置に配置される。
【0075】
ホルダ52の4つの外周側壁のうちの1つにスリット52Sが形成されている。スリット52Sは、板状部本体32の長手方向に沿う細長いスリットである。スリット52Sの内側に、ホルダ52内の板状部本体32と第2接触部44との隙間が位置している。
【0076】
インナハウジング60は、挿入側壁部61と、一対の側壁62と、天井部63と、底部64とを有する箱状に形成されている。インナハウジング60内にホルダ52を収容可能な空間が形成されている。
【0077】
インナハウジング60のうち挿入側壁部61とは反対側に、ホルダ52を挿入するためのセット用開口60hが形成されている。ホルダ52は、当該セット用開口60hを通じてインナハウジング60内に配置される。底部64に板状部本体32を挿入するための底側スリット60S1が開口している。板状部本体32は、当該底側スリット60S1を通って、インナハウジング60の内外を貫通するように配置される。
【0078】
挿入側壁部61に、スリット60S2が形成されている。スリット60S2は、板状部本体32の長手方向に沿う細長いスリットである。このスリット60S2は、上記スリット52Sの外側に位置している。相手側板状接続部材10は、スリット60S2及び52Sを通って、ホルダ52内の板状部本体32と第2接触部44との隙間に向けて挿入され得る。
【0079】
一対の側壁62のそれぞれに内外に弾性変形可能な係止片62pが形成されている。係止片62pは、側壁62に対して一対のスリットを介して分離された方形状部分である。係止片62pの基端部は、側壁62に連結された状態となっている。係止片62pは、側壁62に連結された部分を支持箇所としてインナハウジング60の内外に弾性変形することができる。係止片62pに係止孔が形成されており、アウタハウジング70の係止凸部73paが当該係止孔に係止する。
【0080】
アウタハウジング70は、フード部72と、電線引出用の筒部76とを有する。
【0081】
フード部72は、周壁部73と、天井部74とを有している。フード部72内にインナハウジング60を収容可能な空間が形成されている。周壁部73は、半円筒状部分の両端のそれぞれに板状部分が連なる形状である。天井部74は、周壁部73の一端側を閉じている。周壁部73のうち半円筒状部分の反対側に開口73hが形成されている。インナハウジング60は、開口73hを通じてフード部72内に収容される。
【0082】
周壁部73の両側の板状部分は、インナハウジング60の側壁62に対して間隔をあけて対向し、天井部74はインナハウジング60の天井部63に対して間隔を介して対向する。このため、インナハウジング60の側壁62及び天井部63と、アウタハウジング70との間に中空空間SPが形成されている。
【0083】
周壁部73のうち半円筒状部分の内側から開口73hに向けて一対の保持壁73pが突出している。一対の保持壁73pは、インナハウジング60の一対の側壁62に沿って、ここでは、一対の側壁62の内面に沿って配置可能な位置に形成されている。一対の保持壁73pに、上記係止片62pの係止孔に係止可能な係止凸部73paが突設されている(
図5参照)。
【0084】
インナハウジング60が開口73hからアウタハウジング70内に押込まれると、一対の保持壁73pがインナハウジング60の一対の側壁62の内面に沿って押込まれる。すると、保持壁73p又は側壁62が弾性変形し、係止凸部73paが側壁62の係止孔に係止する。これにより、インナハウジング60がアウタハウジング70内に保持される。
【0085】
筒部76は、アウタハウジング70のうち天井部74とは反対側に連なる部部状部分である。フード部72内の空間は、筒部76内の空間と連続している。筒部76にバックリテーナ16を係止するための係止凸部76pが形成されている。
【0086】
板状接続部材30から延出する電線14が筒部76を通って外方に引出される。この際、電線14に装着された環状シール部材15が筒部76の外側開口縁と電線14との間に介在し、それらの隙間を塞ぐ。バックリテーナ16が筒部76の開口外側に配置された状態で、係止凸部76pがバックリテーナ16の係止凹部16hに係止して、筒部76に係止固定される。バックリテーナ16は、筒部76から環状シール部材15が脱落しないように、環状シール部材15を筒部76内に押える役割を果すことができる。
【0087】
上記電気接続ユニット20は、例えば、次のように組立てられる。
【0088】
すなわち、付勢部材40が開口52hを通ってホルダ52内に収容される。ホルダ52を収容した付勢部材40が、セット用開口60hを通ってインナハウジング60内に収容される。このインナハウジング60が、開口73hを通ってフード部72内に収容される。この状態で、フード部72の係止凸部73paがインナハウジング60の側壁62の係止孔に係止し、インナハウジング60がアウタハウジング70内に保持される。
【0089】
上記とは別に、電線14の端部に板状接続部材30が接続されたものが準備される。電線14の被覆14bの端部には環状シール部材15及びバックリテーナ16が装着される。
【0090】
板状接続部材30の板状部本体32が、筒部76、インナハウジング60の底側スリット60S1及びホルダ52の開口52hを通って、ホルダ52内の付勢部材40内に配置される。インナハウジング60の底側スリット60S1は、第2接触部44よりも第1接触部42に近い位置に形成されているため、板状部本体32は、第1接触部42に近い位置に配置される。
【0091】
この状態で、付勢部材40の第2接触部44と板状部本体32の端子接触面33とには隙間が形成されている。当該隙間は、上記スリット52S、60S2の奥側に位置する。
【0092】
本電気接続ユニット20の挙動について説明する。
【0093】
上記組立て後の状態が初期状態である。なお、温度上昇前(例えば、常温)であれば、第1接触部42と第2接触部44とが、温度上昇後よりも大きく開いていることが考えられる。このため、板状部本体32は、第1接触部42と第2接触部44との間に容易に挿入され得る。
【0094】
図1に示すように、相手側板状接続部材10がスリット52S、60S2を通って、付勢部材40の第2接触部44と板状部本体32の端子接触面33との間に挿入される。すると、第2接触部44の第2接点部44Pが相手側板状接続部材10の一方の主面に接すると共に、板状部本体32の端子接点部35が相手側板状接続部材10の他方の主面に接する。第2接点部44Pと端子接点部35との間に相手側板状接続部材10を挿入可能な空間が形成されるように、第1接触部42と第2接触部44とが互いに離れる方向に押広げられる。この際、相手側板状接続部材10には、付勢部材40自体のバネ荷重による付勢力F1が作用している(
図5及び
図6参照)。よって、相手側板状接続部材10の挿入作業時においては、相手側板状接続部材10と第2接触部44との間、相手側板状接続部材10と板状部本体32との間のそれぞれには、付勢力F1による接触圧が作用している。このため、相手側板状接続部材10と第2接触部44との間、相手側板状接続部材10と板状部本体32との間のそれぞれには、付勢力F1に比例する摩擦力が作用する。
【0095】
付勢力F1は、温度上昇後の付勢力F2よりは小さい。このため、相手側板状接続部材10を接続するために要する力を小さくできる。また、接続作業時に接触圧を小さくすることによって、相手側板状接続部材10及び板状接続部材30のめっき摩耗を抑制できる。これにより、相手側板状接続部材10及び板状接続部材30との接続状態において、酸化防止、耐食防止といっためっきの機能が発揮され、高い接続信頼性が得られる。
【0096】
電気接続ユニット20が電気回路の中継接続箇所として用いられる場合、相手側板状接続部材10及び板状接続部材30の一方に電源18が電気的に接続され、他方に負荷19が電気的に接続されていると考えることができる。このため、電流が相手側板状接続部材10と板状接続部材30とに流れる。
【0097】
電流が相手側板状接続部材10と板状接続部材30とに流れると、ジュール熱によって相手側板状接続部材10と板状接続部材30が温度上昇する。相手側板状接続部材10と板状接続部材30との接触箇所ではジュール熱によって温度上昇し易いことも考えられる。相手側板状接続部材10及び板状接続部材30の熱が付勢部材40に伝わり、付勢部材40も温度上昇する。これにより、付勢部材40は記憶された形状に変形し、又は、付勢部材40の弾性係数等の物性値が変えられ、付勢部材40によるバネ荷重が高くなる。すると、付勢部材40による付勢力F2が、上記付勢力F1よりも大きくなる。このため、相手側板状接続部材10及び板状接続部材30との間の接触圧も大きくなる。これにより、例えば、車両等における振動条件下においても、相手側板状接続部材10と板状接続部材30とが安定して接触した状態に保たれる。また、相手側板状接続部材10と板状接続部材30との電気抵抗が低下し、当該接触箇所において過大に発熱することが抑制される。
【0098】
例えば、本電気接続ユニット20が電源回路又は高圧が印加される回路に適用される場合には、ジュール熱による発熱が期待される。高圧とは、例えば、60V以上であり、より好ましくは、90V以上である。
【0099】
もっとも、電気接続ユニット20は、信号回路又は低圧が印加される回路に適用されてもよい。
【0100】
付勢部材40の温度上昇は、相手側板状接続部材10及び板状接続部材30におけるジュール熱以外の熱によってもたらされてもよい。例えば、電気接続ユニット20周りの制御機器、駆動回路の熱、内燃機関の熱又はバッテリーの熱によって、付勢部材40が温度上昇してもよい。
【0101】
以上のように構成された電気接続ユニット20によると、温度上昇前の状態で、相手側板状接続部材10を、板状接続部材30と第2接触部44との間に挿入接続することで、低い挿入力で接続作業を容易に行える。また、接続後の温度上昇により、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触圧が高まるため、高い接続信頼性を得ることができる。さらに、接触部42、44が接続部材10、30に直接接した状態で、第1接触部42と第2接触部44との間で板状接続部材30と相手側板状接続部材10とを挟込んでいるため、板状接続部材30と相手側板状接続部材10とで生じた熱が付勢部材に伝わり易い。このため、付勢部材40が効果的に加熱され、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触圧が効果的に高まり、この点からも、高い接続信頼性を得ることができる。
【0102】
また、常温に戻ると、上記接触圧が相対的に低い状態に戻るため、電気接続ユニット20に対する相手側板状接続部材10の挿脱を伴うメンテナンスが容易に実施され得る。
【0103】
例えば、耐振動性及び接点における発熱抑制のために、端子のバネ荷重を高くすることが想定される。この場合、接続のために要する力が大きくなり、接続作業性が悪化する可能性がある。接続作業性を高めるために、てこの原理を利用したレバーを組込んだり、ボルトの締付け力を利用したりする構成が考えられる。これらの場合、重量化、大型化及び複雑化する可能性がある。
【0104】
本ソケット端子20によると、重量化、大型化及び大型化を抑制しつつ、接続作業の容易化及び接続信頼性の向上が可能となる。なお、ソケット端子20において、上記レバー又はボルトを利用した接続構造が適用されてもよい。
【0105】
また、板状接続部材30及び相手側板状接続部材10にバネ性を付与しなくてもよいので、板状接続部材30及び相手側板状接続部材10を、バネ性を呈するための形状に形成しなくてもよく、形状を単純化し易い。また、板状接続部材30及び相手側板状接続部材10を形成する材料を選定する際に、バネ性を考慮しなくてもよいので、コストの観点又は導電性の観点から適切な材料を選定できる。
【0106】
また、ハウジング50が板状接続部材30と付勢部材40を覆うため、板状接続部材30と相手側板状接続部材10とで生じた熱が逃げ難い。これにより、付勢部材40が効果的に加熱され、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触圧が効果的に高まる。この点からも、高い接続信頼性を得ることができる。
【0107】
また、付勢部材40による接触圧が高まる前でも、ハウジング50によって板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接続状態を保持し易い。
【0108】
また、ハウジング50が、インナハウジング60とアウタハウジング70とを有し、それらのハウジング60、70の間に中空空間が形成されている。このため、板状接続部材と相手側板状接続部材とで生じた熱がより一層外に逃げ難くなる。これにより、付勢部材40が効果的に加熱され、この点からも、高い接続信頼性を得ることができる。
【0109】
また、第1接触部42と第2接触部44とが、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触箇所の外側に位置する。板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触箇所で熱が生じ易いところ、当該接触箇所で生じた熱が第1接触部42及び第2接触部44を介して付勢部材40に伝わり易い。これにより、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触圧が効果的に高まり、より高い接続信頼性を得ることができる。
【0110】
また、仮に、第1接触部及び第2接触部が平面を介して板状接続部材及び相手側板状接続部材に接していると、付勢部材の開き具合に応じて、第1接触部及び第2接触部の姿勢が変る。このため、板状接続部材及び相手側板状接続部材に対する第1接触部及び第2接触部の接触位置が変動し、付勢力の作用箇所又は熱の伝わり方が不安定となる可能性がある。本実施形態では、第1接触部42及び第2接触部44は、板状接続部材30の長手方向に沿って長い楕円状に突出する接点部42P、44Pを有する。第1接触部42及び第2接触部44が接点部42P、44Pを介して板状接続部材30及び相手側板状接続部材10を押すため、安定した位置で板状接続部材30及び相手側板状接続部材10を付勢でき、また、熱が安定して付勢部材40に伝わる。
【0111】
また、接点部42P、44Pが楕円状であるため、板状接続部材30及び相手側板状接続部材10に対する接触面積をなるべく大きくでき、板状接続部材30と相手側板状接続部材10とで生じた熱が第1接触部42及び第2接触部44を介して付勢部材40に伝わり易い。これにより、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触圧が効果的に高まり、より高い接続信頼性を得ることができる。
【0112】
また、板状接続部材30は、その長手方向に沿って離れた位置に、相手側板状接続部材10側に突出する複数の端子接点部35を有する。このため、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との接触圧を高めることができる。また、複数の端子接点部35が板状接続部材30の長手方向に沿って離れて位置するため、板状接続部材30の長手方向に沿う方向において、板状接続部材30と相手側板状接続部材10との重ね合せ体の外面間の距離が安定する。このため、板状接続部材10及び相手側板状接続部材30に対する第1接触部42及び第2接触部44の接触状態が安定する。これにより、板状接続部材30と相手側板状接続部材10で生じた熱が安定して第1接触部42及び第2接触部44を介して付勢部材40に伝わり易い。
【0113】
また、複数の端子接点部35が板状接続部材30の長手方向に間隔をあけて配置されているので、同方向に長い楕円状の第1接点部42P及び第2接点部44Pを、複数の端子接点部35と重なる位置に配置し易い。
【0114】
また、付勢部材40がNi-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金であれば、温度上昇時に、形状記憶により元の形状に戻すことができると共に、弾性係数を大きくして相手側板状接続部材10と板状接続部材30との接触圧を高めることができる。
【0115】
[変形例]
上記各実施形態では、板状接続部材30に対して交差する方向から相手側板状接続部材10が接続される例が示されたが、当該構成である必要は無い。板状接続部材の長手方向に沿う方向から、相手側板状接続部材が板状接続部材に接続されてもよい。
【0116】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0117】
10 相手側板状接続部材
14 電線
14a 芯線
14b 被覆
15 環状シール部材
16 バックリテーナ
16h 係止凹部
18 電源
19 負荷
20 電気接続ユニット
30 板状接続部材
32 板状部本体
33 端子接触面
34 付勢力受面
35 端子接点部
38 電線接続部
40 付勢部材
42 第1接触部
42P 第1接点部(付勢接点部)
43 第1挟持面
44 第2接触部
44P 第2接点部(付勢接点部)
45 第2挟持面
46 連結片
50 ハウジング
52 ホルダ
52S、60S2 スリット
52h、73h 開口
52p、73pa、76p 係止凸部
60 インナハウジング
60S1 底側スリット
60h セット用開口
61 挿入側壁部
62 側壁
62p 係止片
63、74 天井部
64 底部
70 アウタハウジング
72 フード部
73 周壁部
73p 保持壁
73pa 係止凸部
76 筒部
SP 中空空間