(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085027
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】積層体およびそれを用いた包装袋
(51)【国際特許分類】
B32B 15/08 20060101AFI20240619BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240619BHJP
B65D 30/02 20060101ALN20240619BHJP
【FI】
B32B15/08 F
B65D65/40 D BSG
B65D30/02 BRH
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199339
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正樹
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E064BA17
3E064BA24
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC14
3E064EA30
3E086AA23
3E086AD01
3E086AD05
3E086AD24
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BA29
3E086BA33
3E086BB01
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB21
3E086BB23
3E086BB41
3E086BB51
3E086BB61
3E086BB62
3E086BB63
3E086BB71
3E086CA01
3E086CA28
4F100AB01B
4F100AB01D
4F100AB10B
4F100AB10D
4F100AK03A
4F100AK03E
4F100AK07A
4F100AK07E
4F100AK51C
4F100AT00A
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00C
4F100CB03E
4F100EH66B
4F100EH66D
4F100EJ37A
4F100GB15
4F100JD06
4F100JL11C
4F100JL12E
4F100JN02
(57)【要約】
【課題】基材とシーラント層とがポリオレフィン系の単一素材を用いたモノマテリアル包材であって、リサイクル性に優れ、遮光性やガスバリア性を兼ね備えた積層体およびそれを用いた包装袋を提供する。
【解決手段】第1の基材層と、接着層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、
前記第1の基材層と前記接着層との間に第1蒸着膜を、前記ヒートシール層と前記接着層との間に第2蒸着膜を備え、
前記積層体の全光線透過率が0.1%以内であり、
前記積層体の光学濃度値が3.0以上であることを特徴とする積層体である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材層と、接着層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、
前記第1基材層と前記接着層との間に第1蒸着層を、前記ヒートシール層と前記接着層との間に第2蒸着層を備え、
前記第1蒸着層および第2蒸着層はガスバリア性を有する金属蒸着膜であり、
前記積層体の全光線透過率が0.1%以内であり、
前記積層体の光学濃度値が3.0以上であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
請求項1に記載の積層体にさらに第2基材層を含み、
前記第2基材層は、前記第1基材層と、前記シーラント層との間に、接着層を介して設けられ、
第2基材層のどちらか一方の面に、前記第1蒸着層、または、前記第2蒸着層を備えることを特徴とする積層体。
【請求項3】
前記第1基材層と、前記シーラント層とがポリオレフィン樹脂を含み、前記ポリオレフィン樹脂の合計質量が、積層体の全量を基準として、90質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記第1および第2基材層と、前記シーラント層とがポリオレフィン樹脂を含み、前記ポリオレフィン樹脂の合計質量が、積層体の全量を基準として、90質量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
【請求項5】
請求項1または2に記載の積層体を用いてなる包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマテリアル包材であって、リサイクル性に優れ、遮光性やガスバリア性を備えた積層体およびそれを用いた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の変質や腐敗等を抑制し、それらの機能や品質を維持するため、内容物を変性させる気体(水蒸気、酸素、その他)の進入を防ぐ性質、つまりガスバリア性が求められる。そのため、これらの包装材料には、ガスバリア性を有するフィルム材料(ガスバリアフィルム)が用いられる。
【0003】
また、特に上記医薬品向けの包装材料に対しては、ガスバリア性のみならず、内容物を紫外線を始めとする外光の影響から保護するために遮光性が求められることがある。ガスバリア性と遮光性を併せ持つ包装材料として最も一般的に用いられているのは、金属箔や金属蒸着膜を含む積層体である。
【0004】
金属箔や金属蒸着膜としては、遮光性の高いアルミニウム箔や、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材として表面にアルミニウム蒸着膜を形成したPETフィルム(東レフィルム加工製VM-PET)が用いられ、特に遮光性の求められる医薬品包材にはアルミニウム蒸着膜を厚くしたVM-PETを使用していた(特許文献1参照)。
【0005】
ところで、近年、海洋プラスチックごみ問題等に端を発する環境意識の高まりから、プラスチック材料の分別回収と再資源化のさらなる高効率化が求められつつある。これまでは、様々な異種材料を組み合わせることで高性能化を図ってきた包装用の積層体においても例外でなく、単一素材を用いたモノマテリアル化が求められるようになってきた。
【0006】
積層体においてモノマテリアル化を実現するためには、90%質量以上の同一樹脂素材を用いた包装材料を使用する必要がある。例えばポリオレフィンの一種であるポリプロピレンやポリエチレンは、包装材料に広く使用されているため、ポリプロピレンやポリエチレンを使用した積層体のモノマテリアル化が期待されている。
【0007】
モノマテリアル化を実現するために、例えば、特許文献2では、基材、ヒートシール層の少なくとも一方の面に蒸着層を備えるポリエチレン系フィルムを用いた積層体が提案されており、印刷適性、製袋適性の観点から延伸ポリエチレンが基材として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-64633号公報
【特許文献2】特開2020-055157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のVM-PETは、PETとアルミニウム蒸着膜との密着性に優れており、アルミニウム蒸着膜を厚くできるため遮光性が十分であるが、特許文献2に記載の積層体を適用した際に、ポリオレフィン系基材の表面にアルミニウム蒸着膜を厚くすることが難しく、遮光性が十分ではない虞があった。これは、アルミニウム蒸着膜を形成する基材に用いるポリエチレンは耐熱性が低く(熱によって変化しやすく)、アルミニウム蒸着膜を形成す
る段階で伸縮してクラックを生じるためである。
【0010】
クラックが生じると、積層体にデラミネーションを生じたり、包装材料が破れたりしたりする虞がある。上記事情を踏まえ、本発明は、基材とシーラント層とがポリオレフィン系の単一素材を用いたモノマテリアル包材であって、リサイクル性に優れ、遮光性とガスバリア性を兼ね備えた積層体およびそれを用いた包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、本発明において、第1の態様は、
第1基材層と、接着層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、
前記第1基材層と前記接着層との間に第1蒸着層を、前記ヒートシール層と前記接着層との間に第2蒸着層を備え、
前記第1蒸着層および第2蒸着層はガスバリア性を有する金属蒸着膜であり、
前記積層体の全光線透過率が1.0%以内であり、
前記積層体の光学濃度値が3.0以上であることを特徴とする積層体である。
【0012】
また、第2の態様は、
請求項1に記載の積層体にさらに第2基材層を含み、
前記第2基材層は、前記第1基材層と、前記シーラント層との間に、接着層を介して設けられ、
第2基材層のどちらか一方の面に、前記第1蒸着層、または、前記第2蒸着層を備えることを特徴とする積層体である。
【0013】
また、第3の態様は、
前記第1および第2基材層と、前記シーラント層とがポリオレフィン樹脂を含み、前記ポリオレフィン樹脂の合計質量が、積層体の全量を基準として、90質量%以上であってもよい。
【0014】
また、第4の態様は、
請求項1または2に記載の積層体を用いてなる包装袋である。
【0015】
前述したように、VM-PETは、PETとアルミニウム蒸着膜との密着性に優れており、アルミニウム蒸着膜を厚くできるため、ガスバリア性とともに遮光性が十分であるが、本発明のポリオレフィン系の単一素材から構成されるモノマテリアル積層体では、VM-PETと同じような蒸着厚みでポリオレフィン系樹脂上にアルミニウム蒸着すると基材伸縮が大きく、アルミニウムにクラックを発生してしまうので、基材の表面にアルミニウムなどの金属蒸着膜を厚くすることが難しく、遮光性が十分得られない問題がある。
【0016】
本発明では、積層体に、ガスバリア性を有する金属蒸着膜を2層(第1蒸着膜および第2蒸着膜)設けることによってガスバリア性と遮光性を付与できることを見出した。これによって、外部からの光線を遮断し、内部に収容した内容物を、外部の光線から保護し、内容物の変質や劣化を防止することに効果的である。したがって、遮光性の要求が高い医薬品包装材料としても使用できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、
ポリオレフィン系の単一素材から構成される積層体であって、リサイクル性に優れ、遮光性とガスバリア性を兼ね備えた積層体およびそれを用いた包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る積層体の実施形態1の層構成を示す概略断面図である。
【
図2】本発明に係る積層体の実施形態2の層構成を示す概略断面図である。
【
図3】本発明に係る積層体の実施形態3の層構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明では、金属蒸着膜を2層設けることによってガスバリア性と遮光性を付与するものである。図面を参照して本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0020】
<積層体>
図1は、実施形態1の積層体10の層構成を示す概略断面図である。実施形態1の積層体10は、接着層4を介して第1基材層1に積層されたシーラント層を備える。第1基材層1およびシーラント層3はポリオレフィン系樹脂を含み、積層体10中のポリオレフィンの含有量は、積層体10全量を基準として90質量%以上であることが望ましい。90質量%以上であると、モノマテリアル包装材料として好適に使用することができる。
【0021】
[基材層]
第1基材層1は、第1蒸着層2aを形成するための基材となる。第1基材層1を構成するポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0022】
ポリエチレンとしては、蒸着加工、印刷加工、製袋加工、充填適性などを考慮すると、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)/高密度ポリエチレン(HDPE)のような多層構成フィルムを、第1基材層1として用いてもよい。ポリプロピレンとしては、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)が挙げられる。
【0023】
第1基材層1を構成するポリオレフィンフィルムは、延伸フィルムであってよく、無延伸フィルムであってよい。但し、耐衝撃性、耐熱性、耐水性、寸法安定性等の観点から、ポリオレフィンフィルムは延伸フィルムであってよい。延伸方法としては特に限定されず、インフレーションによる延伸、一軸延伸、二軸延伸等、寸法が安定したフィルムが供給可能であれば、どのような方法でもよい。ポリオレフィンフィルムの厚さは特に限定されない。用途に応じ、選択できる。
【0024】
また、第1基材層1を構成するポリオレフィンは、リサイクルされたポリオレフィンであってもよく、また植物などのバイオマス由来の原料を重合して得られたポリオレフィンであってもよい。これらのポリオレフィンは、単独で使用しても、通常の化石燃料から重合されたポリオレフィンと混合して使用してもよい。
【0025】
[シーラント層]
シーラント層3は、ヒートシールによる封止性を付与する層である。シーラント層3の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)などのシール性のあるフィルムのほうが好ましい。上記シーラントフィルム以外にも、シール面にヒートシール樹脂があれば(シールできれば)使用できる。シーラント層3の厚さは、内容物の質量や、包装体の形状などにより定められるが、概ね30~150μmの厚さが好ましい。
【0026】
このように、本発明の基材層とシーラント層とがポリオレフィン系の単一素材を用いた
モノマテリアル包材であるため、リサイクル性に優れる。
【0027】
[蒸着層]
第1および第2蒸着層2a、2bは、積層体10にガスバリア性を付与することができる層であり、積層体10の酸素透過度は、20cc/m2・day・atm以下であることが好ましく、10cc/m2・day・atmであることがより好ましく、5cc/m2・day・atm以下であることが更に好ましく、2cc/m2・day・atm以下であることが特に好ましい。酸素透過度が上記範囲内であることで、積層体10のガスバリア性を十分に確保することができる。第1および第2蒸着層2a、2bとしては、アルミニウム蒸着膜を用いることができる。
【0028】
また、本発明の金属蒸着膜を設けた蒸着層を2層(第1および第2蒸着層2a、2b)設けることによって、ガスバリア性以外に遮光性を付与することが可能である。遮光性とは、日本工業規格(JIS K-7361)記載の方法で測定した全光線透過率(T.T)が、5%以下である機能のことをいう。本発明では、全光線透過率が1.0%以下であり、光学濃度値が3.0以上であることが望ましい。
【0029】
[蒸着層の形成]
上記金属蒸着膜を設けた蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(PhysicalVaporDeposition法、PVD法)や、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(ChemicalVaporDeposition法、CVD法)が好適な方法として挙げられる。
【0030】
金属蒸着膜を設けたい蒸着フィルムを真空蒸着装置にセットし、例えば1.3×10-2Pa以上の真空度で上記フィルムのベース層表面に、アルミニウムなどの金属を30nmの膜厚で金属蒸着を施して、蒸着フィルムを得ることができる。
【0031】
第1基材層1または、シーラント層3に、金属蒸着膜を設けた蒸着フィルムをラミネートする方法は、接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、ウエットラミネート法、溶剤を使用しないノンソルベントラミネート法等の公知の方法を挙げることができるが、ドライラミネート法が好適に使用できる。
【0032】
接着剤は特に指定はないが、金属蒸着フィルムをラミネートする場合、反応にガス発生を伴う接着剤を使用すると外観不良(気泡によるもの)になりやすいので、ガス発生の無い(空気中との水分との反応も含む)接着剤を使用することが好ましい。ハンドリング性やラミネート強度を求めるときは2液硬化型ウレタン系樹脂を選定するのが良いが、衛生性を考えて芳香族系ウレタン接着剤は避ける方が良い。
【0033】
必要に応じて、商品としてのイメージアップや、内容物についての必要な情報表示や意匠性の向上を目的として、プラスチックフィルムを基材とする積層体中の、外側から見える層に印刷層を設けることができる。
【0034】
ここで、印刷方法、および印刷インキには、とくに制約を設けるものではないが、既知の印刷方法の中からプラスチックフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、容器としての安全性などを考慮すれば適宜選択してよい。
【0035】
たとえば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの既知の印刷方法から選択して用いることができる。中でもグラビア印刷法は、生産性、プラスチックフィルムへの
印刷適性、および絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
【0036】
上述のとおり、本実施形態に係る積層体を構成するフィルムは、リサイクル性に優れる単一素材からなる(モノマテリアルの)包装材料とすることができる。積層体は、容器や袋等の包装製品、化粧シートやトレー等のシート成形品、光学フィルム、樹脂板、各種ラベル材料、蓋材、及び、ラミネートチューブ当の各種用途に好適に使用することができ、特に、包装製品に好適に使用することができる。包装製品としては、ピロー袋、スタンディングパウチ、3方シール袋、4方シール袋等が挙げられる。
【0037】
<包装袋>
包装袋は、上述した積層体を製袋してなるものである。包装袋は、1枚の積層体をシーラント層が対向するように二つ折りにした後、3方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよく、2枚のガスバリア積層体をシーラント層が対向するように重ねた後、4方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよい。包装袋は、内容物として食品、医薬品等の内容物を収容することができる。
【0038】
<層構成>
図1に示す実施形態1の積層体は、基材層が1層積層された場合であり、実施形態2および3は基材層が追加され、基材層が2層積層された場合である。次に実施形態1~3における層構成を説明する。どの層構成でも蒸着層が2層設けられている。
【0039】
[実施形態1の層構成]
図1は、実施形態1の積層体の層構成を示す概略断面図である。図を見てわかるように、外側から第1基材1と、第1基材1上に設けられた第1アルミニウム蒸着膜2aと、第1アルミニウム蒸着膜2a上に設けられた接着剤層4と、接着剤層4上に設けられた第2アルミニウム蒸着膜2bと、第2アルミニウム蒸着膜2b上に設けられたシーラント層3を順次積層してなり、第1基材1とシーラント層3はそれぞれ、ポリオレフィン系樹脂から成る積層体である。シーラント層3上に、追加された第2基材5が積層されていてもよい。以下に実施形態1の層構成を示す。
第1基材層1/第1アルミニウム蒸着膜2a/接着剤層4/第2アルミニウム蒸着膜2b/(第2基材5)/シーラント層3。
【0040】
[実施形態2の層構成]
図2は、実施形態2の積層体の層構成を示す概略断面図である。図を見てわかるように、外側から第1基材1と、第1基材1上に設けられた接着剤層4と、接着剤層4上に設けられた第2基材層5の一方の側に第1アルミニウム蒸着膜2aが設けられ、その上に接着剤層4と、接着剤層4上に設けられた第2アルミニウム蒸着膜2bと、第2アルミニウム蒸着膜2b上に設けられたシーラント層3を順次積層してなり、第1基材1および第2基材5とシーラント層3はそれぞれ、ポリオレフィン系樹脂から成る積層体である。以下に実施形態2の層構成(a)、(b)を示す。
(a)第1基材層1/接着剤層4/第1アルミニウム蒸着膜2a/第2基材層5/接着剤層4/第2アルミニウム蒸着膜2b/シーラント層3。
(b)第1基材層1/接着剤層4/第2基材層5/第1アルミニウム蒸着膜2a/接着剤層4/第2アルミニウム蒸着膜2b/シーラント層3。
【0041】
[実施形態3の層構成]
図3は、実施形態3の積層体の層構成を示す概略断面図である。図を見てわかるように、外側から第1基材1と、第1基材1上に設けられた第1アルミニウム蒸着膜2aと、第1アルミニウム蒸着膜2a上に設けられた接着剤層4と、接着剤層4上に設けられた第2基材層5の一方の側に第2アルミニウム蒸着膜2bが設けられ、その上に接着剤層4と、
接着剤層4上に設けられたシーラント層3を順次積層してなり、第1基材1および第2基材5とシーラント層3はそれぞれ、ポリオレフィン系樹脂から成る積層体である。以下に実施形態3の層構成(a)、(b)を示す。
(a)第1基材層1/第1アルミニウム蒸着膜2a/接着剤層4/第2アルミニウム蒸着膜2b/第2基材層5/接着剤層4/シーラント層3。
(b)第1基材層1/第1アルミニウム蒸着膜2a/接着剤層4/第2の基材層5/第2アルミニウム蒸着膜2b/接着剤層4/シーラント層3。
【0042】
本発明の積層体には、上記のように、2層のアルミニウム蒸着膜(第1および第2蒸着層)が設けられ、ガスバリア性以外に遮光性を有する。以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例0043】
(1)アルミニウム蒸着フィルム単層、および、(2)接着剤にてアルミニウム蒸着フィルム単層を2枚貼り合わせたアルミニウム蒸着フィルム2層のサンプルを作成した。
本発明の積層体は、2層のアルミニウム蒸着膜が設けられることで、ガスバリア性以外に遮光性を有することを特徴としており、以下、(2)アルミニウム蒸着フィルム2層のサンプルを実施例、(1)アルミニウム蒸着フィルム単層のサンプルを比較例とし、遮光性を比較測定した。
<評価用サンプル>
(1)アルミニウム蒸着フィルム単層のサンプル
・基材層(OPP)+アルミニウム蒸着膜:
比較例1:サンプル1-OPP(15μm)にアルミ蒸着(350nm)したフィルム
比較例2:サンプル2-OPP(25μm)にアルミ蒸着(350nm)したフィルム
・シーラント層(CPP)+アルミニウム蒸着膜:
比較例3:サンプル3-CPP(40μm)にアルミ蒸着(300nm)したフィルム
比較例4:サンプル4-OPP(25μm)にアルミ蒸着(600nm)したフィルム
(2)アルミニウム蒸着フィルム2層のサンプル
上記単層フィルム2枚を接着剤を介してラミネートした。
貼り合わせに使用した接着剤は、下記の三井化学(株)の2液硬化型ウレタン系樹脂。
A525(主剤):ポリエステルポリオール
A52(硬化剤):脂肪族XDI/IPDI
接着剤と溶剤を混合したのち、バーコーター(バーNo.5;ウェット膜厚11.43g/m2)を用いて、100mm/sの速度で接着剤を塗工。60℃、1min乾燥させて溶剤を蒸発させ、
ハンドラミネーター(ニップ圧:0.3Mpa、ニップ温度:60℃、速度:1m/min)にてラミネートした。ニップロールは、(上)金属/ゴムロール(下) 40℃、72hエージングすることで下記のアルミニウム蒸着フィルム2層のサンプルを作成した。
実施例1:サンプル1/サンプル3の蒸着面同士を貼り合わせたもの
実施例2:サンプル2/サンプル3の蒸着面同士を貼り合わせたもの
【0044】
<遮光性評価>
評価項目および評価基準は下記のとおりである。
[評価項目]
・全光線透過率(T.T[%])
装置:HAZE Meter NDH7000(日本電色工業製)
JIS K 7361-1(ISO 13468-1) プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法準拠
・光学濃度値(OD値)
装置:361T 白黒透過濃度計(ビデオジェット・エックスライト製)
[評価基準]
医薬系包材では、全光線透過率が1%以下を求められることが多く、特に規格の厳しいものだと0.1%以下が求められるため、OD値が3.0以上、全光線透過率が0.1%以下のものを遮光性能合格(〇)とした。サンプル1~14の評価結果を表1に示す。
【0045】
【0046】
比較例のアルミニウム蒸着フィルム単層品ではサンプル4のみT.Tが0.1%以下であり、その他のフィルムは遮光性能が十分ではない。他の単層フィルムはOD値が低くT.T値が高く、遮光性は十分とは言えない。サンプル4は蒸着膜厚がかなり厚いが、その分基材へのダメージやコストUPにつながっている。PET基材と同じような蒸着厚みでPPやPE上にAL蒸着すると基材伸縮が大きく、ALにクラックが発生してしまうのでガスバリア性が低下してしまう。これに対し、アルミ蒸着フィルムを2層貼り合わせた実施例では、単層では遮光性が低いフィルムでも2枚以上積層させることで医薬品包材にも使用できる遮光性を有するものが得られた。