(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085031
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】基板収納容器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
H01L21/68 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199347
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 壮紀
(72)【発明者】
【氏名】戸田 順也
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA00
5F131CA18
5F131GA02
5F131GA12
5F131GA76
5F131KA05
5F131KA11
5F131KA60
5F131KB24
5F131KB32
(57)【要約】
【課題】外部装置に安定して固定されることが可能な基板収納容器を提供すること。
【解決手段】
基板収納容器は、基板を収納する収容空間を画定する底板を有する容器本体と、容器本体に設けられた一体成形品である構造体6と、を備え、構造体6は、底板に接合される基部61と、基板収納容器を外部装置に固定する固定部62と、外部装置が基板収納容器を検知するための検知部63と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板収納容器であって、
基板を収納する収容空間を画定する底板を有する容器本体と、
前記容器本体に設けられた一体成形品である構造体と、
を備え、
前記構造体は、
前記底板に接合される基部と、
前記基板収納容器を外部装置に固定する固定部と、
前記外部装置が前記基板収納容器を検知するための検知部と、
を備える、基板収納容器。
【請求項2】
前記基部は、前記底板に埋設される第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、
前記固定部は、前記第2面と交差する第1方向において前記第2面と向かい合う板状の部材であって、前記第1方向と交差する第2方向における両端である第1端及び第2端を有し、
前記構造体は、
前記基部に設けられ、前記第1端において前記固定部を支持する第1壁部と、
前記基部に設けられ、前記第2端において前記固定部を支持する第2壁部と、を更に備え、
前記固定部には、前記第1方向において前記固定部を貫通する貫通孔が設けられている、請求項1に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記検知部は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向において前記固定部を挟むように設けられた第1検知体及び第2検知体を備える、請求項2に記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記構造体は、前記第1検知体と前記第2検知体とを連結するとともに、前記第1壁部に支持される連結板を更に備え、
前記連結板は、前記第2方向において前記第2端から離れるように前記第1端から延びており、
前記第1壁部には、前記第2方向において前記第1壁部を貫通する孔が設けられている、請求項3に記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記第1面には、前記第1面から前記第2面に向かって窪んだ第1凹部が設けられ、
前記第2面には、前記第2面から前記第1面に向かって窪んだ第2凹部が設けられる、請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の基板収納容器。
【請求項6】
前記第1凹部は、前記第1面を横断する溝であり、
前記第2凹部は、前記基部の周縁に沿って設けられている、請求項5に記載の基板収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハなどの基板を収納する基板収納容器が知られている。例えば、特許文献1には、容器本体と、容器本体の底面部に設けられたボトムプレートと、を備えるウエハ搬送容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような基板収納容器は、基板収納容器が有するドアが開閉されるときに外部装置に固定されることがあるので、基板収納容器の底部には、基板収納容器を外部装置に固定するためのクランプ構造(センタークランプ)が設けられることがある。さらに、基板収納容器の底部には、基板収納容器を検知するための検知パッドが設けられることがある。センタークランプの機能を有する部品と、検知パッドが設けられた部品とが、容器本体の底部に設けられた部品に嵌め合わされることによって、基板収納容器にこれらの機能が付加され得る。
【0005】
各部品の寸法公差などに起因して、嵌め合わされた部品間にクリアランスが生じることがある。このクリアランスによってセンタークランプの厳密な位置決めができないおそれがあるので、外部装置に基板収納容器が一層安定して固定されることが望まれる。
【0006】
本開示は、外部装置に安定して固定されることが可能な基板収納容器を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る基板収納容器は、基板を収納する収容空間を画定する底板を有する容器本体と、容器本体に設けられた一体成形品である構造体と、を備える。構造体は、底板に接合される基部と、基板収納容器を外部装置に固定する固定部と、外部装置が基板収納容器を検知するための検知部と、を備える。
【0008】
この基板収納容器では、底板に接合される基部と、基板収納容器を外部装置に固定する固定部と、外部装置が基板収納容器を検知するための検知部とを備える構造体が一体成形品として構成されている。構造体は一体成形品であるので、基部と検知部との相対的な位置関係、及び基部と固定部との相対的な位置関係は固定され得る。よって、互いに係合する2つ以上の部品によって、基部と検知部と固定部とが構成されている場合と比較して、検知部の位置及び固定部の位置を安定化することができる。その結果、基板収納容器を外部装置に安定して固定することが可能となる。
【0009】
いくつかの実施形態において、基部は、底板に埋設される第1面と、第1面と反対側の第2面とを有してもよい。固定部は、第2面と交差する第1方向において第2面と向かい合う板状の部材であってもよく、第1方向と交差する第2方向における両端である第1端及び第2端を有してもよい。構造体は、基部に設けられ、第1端において固定部を支持する第1壁部と、基部に設けられ、第2端において固定部を支持する第2壁部と、を更に備えてもよい。固定部には、第1方向において固定部を貫通する貫通孔が設けられていてもよい。この場合、固定部と基部との間に空間が形成される。例えば、外部装置が第1方向に進退する軸部と、軸部の先端から第1方向と交差する方向に延びる爪とを有する留め具を備える場合には、上記留め具を貫通孔に挿通させ、上記空間に爪が位置した状態で、軸部を貫通孔から引き抜く方向に移動させることによって、固定部に爪を引っ掛けることができる。これにより、基板収納容器を外部装置に安定して固定することが可能となる。
【0010】
いくつかの実施形態において、検知部は、第1方向及び第2方向と交差する第3方向において固定部を挟むように設けられた第1検知体及び第2検知体を備えてもよい。この構成では、外部装置が第1検知体及び第2検知体を検知することによって、外部装置に基板収納容器が載置されたことを検知することができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、構造体は、第1検知体と第2検知体とを連結するとともに、第1壁部に支持される連結板を更に備えてもよい。連結板は、第2方向において第2端から離れるように第1端から延びていてもよい。第1壁部には、第2方向において第1壁部を貫通する孔が設けられていてもよい。この構成によれば、第1検知体、第2検知体、及び連結板と、基部と、第1壁部とによって囲まれる空間が形成される。第1壁部を貫通する孔が設けられることによって、上記空間の通気性が向上する。したがって、この基板収納容器を洗浄したときに、上記空間に水が残る可能性を低減することができる。その結果、基板収納容器の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1面には、第1面から第2面に向かって窪んだ第1凹部が設けられてもよい。第2面には、第2面から第1面に向かって窪んだ第2凹部が設けられてもよい。容器本体を樹脂成形するために用いられる金型に構造体が配置された状態で、構造体の基部と容器本体の底板とが接合されるように容器本体が樹脂成形される際に、第1凹部と第2凹部とに溶融状態の樹脂材料が入り込み得る。この状態で樹脂材料が固化されて容器本体が形成されたとすると、容器本体は、第1凹部及び第2凹部を埋める部分を含む。このため、容器本体に向かって構造体が押し込まれるような力が構造体に加わったときに、基部と底板との接合が十分でなかったとしても、第1凹部を埋める部分に構造体が当接するので、構造体の移動が規制される。同様に、容器本体から構造体が引き離されるような力が構造体に加わったときに、基部と底板との接合が十分でなかったとしても、第2凹部を埋める部分に構造体が当接するので、構造体の移動が規制される。したがって、構造体が容器本体から外れる可能性を低減することができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1凹部は、第1面を横断する溝であってもよい。第2凹部は、基部の周縁に沿って設けられていてもよい。この場合、第1凹部及び第2凹部の形状が単純であるので、構造体を製造するために用いられる金型の構造を単純化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、基板収納容器を外部装置に安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る基板収納容器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。各図には、XYZ座標系が示される。Y軸方向(第2方向)は、X軸方向(第3方向)及びZ軸方向(第1方向)と交差(ここでは、直交)する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。一例として、X軸方向は、左右方向(幅方向)であり、Y軸方向は、前後方向(奥行方向)であり、Z軸方向は、上下方向(高さ方向)である。説明の便宜上、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、及び「右」の用語が用いられるが、これらの方向に限定されない。
【0017】
図1を参照しながら、一実施形態に係る基板収納容器を説明する。
図1は、一実施形態に係る基板収納容器の分解斜視図である。
図1に示される基板収納容器1は、複数の基板を収納するための容器である。基板収納容器1は、例えば、FOSB(Front Opening Shipping Box)と称され、工場間で基板を輸送するために用いられる。基板収納容器1は、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格を参考にして構成されている。基板の例としては、半導体ウエハが挙げられる。基板は、例えば、300mmの直径及び775μmの厚さを有する円板形状を有する。基板収納容器1に収納可能な基板の枚数は、任意に定められており、例えば、25枚である。
【0018】
基板収納容器1は、容器本体2と、蓋体3と、一対の支持体4と、を含む。
【0019】
容器本体2は、正面(前面)に開口2aが設けられたフロントオープン型の容器である。容器本体2は、複数の基板を収納する。具体的には、容器本体2は、複数の基板を上下方向に配列した状態で収納する。開口2aを介して基板が容器本体2に出し入れされる。
【0020】
容器本体2は、天板21と、底板22と、一対の側壁23と、背面壁24と、枠体25と、を含む。天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24によって、複数の基板を収納するための収容空間20が画定される。底板22は、容器本体2の外部に面する底面22a(
図2参照)を有する。枠体25は、矩形状の枠体であって、天板21の前端、底板22の前端、及び一対の側壁23の前端にわたって設けられている。枠体25によって、開口2aが画定される。枠体25は、外側に広がるように段差をつけて屈曲形成されており、その段差部の面が、ガスケットなどの封止部材が接触するシール面として機能する。
【0021】
蓋体3は、容器本体2の開口2aを閉塞するための部材である。蓋体3は、枠体25に着脱自在に取り付けられる。蓋体3は、ガスケットなどの封止部材を介して容器本体2の開口2aを気密に閉塞する。蓋体3は、蓋本体31と、施錠機構32と、を含む。
【0022】
蓋本体31は、蓋体3の本体部分である。蓋本体31は、矩形状の板材である。蓋本体31の前面には、鍵穴31hが設けられている。鍵穴31hには、不図示の鍵が挿入される。施錠機構32は、鍵穴31hに挿入された鍵が操作されることによって、蓋体3を施錠又は解錠する。施錠機構32は、不図示のラッチを含む。蓋体3が容器本体2の開口2aを塞いでいる状態で、鍵の操作によりラッチが枠体25に設けられた施錠穴(不図示)に嵌入されることによって蓋体3が施錠される。蓋体3が施錠されている状態で、鍵の操作によりラッチが施錠穴から引き抜かれることよって蓋体3が解錠される。
【0023】
容器本体2及び蓋体3の材料の例としては、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、及び液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。この熱可塑性樹脂には、導電材、各種の帯電防止材、及び紫外線吸収材などが適宜添加されてもよい。導電材の例としては、導電性カーボン、導電繊維、金属繊維、及び導電性高分子が挙げられる。
【0024】
一対の支持体4は、基板を支持する部材である。各支持体4は、側壁23の内面に設けられ、側壁23の内面から収容空間20に突出している。各支持体4には、前後方向に延びる複数の溝が設けられている。複数の溝は、側壁23に向かって窪む形状を有してもよい。複数の溝は、上下方向に並設されている。一対の支持体4に設けられた同じ高さに位置する溝に、基板の左右方向の両端部が挿入されることによって、基板が支持される。各支持体4は、インサート成形によって容器本体2に一体的に形成されてもよく、組み立て式で容器本体2に組付けられてもよい。各支持体4の構成材料の例として、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0025】
次に、
図2を参照しながら、容器本体2の底部に設けられる部材を説明する。
図2は、
図1に示される基板収納容器の底面図である。
図2に示されるように、基板収納容器1は、位置決め部材5と、構造体6と、を更に含む。
【0026】
位置決め部材5は、ロードポートなどの外部装置が基板収納容器1(容器本体2)の位置決めを行うために用いられる部材である。位置決め部材5は、底面22aから下方に突出するように、底板22に設けられる。位置決め部材5は、底板22に向かって(上方に)V字状に窪むV字面を有している。V字面には、必要に応じて、耐摩耗性、及び摺動性を向上させる表面処理が施され得る。本実施形態では、基板収納容器1は、3つの位置決め部材5を含む。各位置決め部材5は、インサート成形によって容器本体2に一体的に形成されてもよく、組み立て式で容器本体2に組付けられてもよい。各位置決め部材5の構成材料の例として、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0027】
構造体6は、基板収納容器1に各種機能を付加するための部材である。構造体6は、一体成形品であって、容器本体2に設けられている。構造体6は、例えば、樹脂成形(射出成形)によって作製される。構造体6は、インサート成形によって容器本体2に一体的に形成されている。構造体6の構成材料の例として、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0028】
次に
図3~
図6を更に参照しながら、構造体6を詳細に説明する。
図3は、
図2に示される構造体の斜視図である。
図4は、
図2に示される構造体の正面図である。
図5は、
図2に示される構造体の背面図である。
図6は、
図2に示される構造体の側面図である。
図3~
図6に示されるように、構造体6は、基部61と、固定部62と、検知部63と、支持部64と、連結板65とを含む。構造体6は、左右対称の形状を有する。
【0029】
基部61は、底板22に接合される板状の部分である。基部61の後端部の左右方向における中央は、前方に向かって矩形状に窪んでいる。基部61は、面61a(第1面)と、面61b(第2面)とを有する。面61aは、底板22に埋設される面である。面61bは、面61aと反対側の面である。面61a及び面61bは、上下方向と交差(ここでは、直交)する。
【0030】
面61aには、凹部61c(第1凹部)が設けられている。凹部61cは、面61aから面61bに向かって窪んでいる。本実施形態では、面61aには、2つの凹部61cが設けられており、各凹部61cは、面61aを左右方向に横断する溝である。2つの凹部61cは、前後方向に並んで配置されている。各凹部61cの左右方向と交差する断面は、矩形の形状を有する。各凹部61cは、底板22を構成する樹脂によって埋められている。
【0031】
面61bには、凹部61d(第2凹部)が設けられている。凹部61dは、面61bから面61aに向かって窪んでいる。凹部61dは、面61aにおける凹部61cが設けられている領域の裏側には設けられていない。言い換えると、面61bにおける凹部61dが設けられている領域は、平面視で面61aにおける凹部61cが設けられている領域とは異なる位置に設けられている。本実施形態では、面61bには、4つの凹部61dが設けられており、各凹部61dは、基部61の周縁に沿って設けられている。具体的には、4つの凹部61dは、基部61の4つの角部にそれぞれ設けられている。各凹部61dは、平面視でL字状の形状を有する。各凹部61dは、底板22を構成する樹脂によって埋められている。言い換えると、基部61の4つの角部は、底板22に埋設されている。
【0032】
固定部62は、基板収納容器1を外部装置に固定するための部分である。固定部62は、上下方向において基部61と離間して配置されている。固定部62は、上下方向において面61b(基部61)と向かい合う板状の形状を有する。平面視における固定部62の外形は、矩形の形状を有する。固定部62は、基部61と実質的に平行に配置されている。固定部62は、前後方向における固定部62の両端である前端62a(第1端)及び後端62b(第2端)を有する。固定部62には、固定部62を上下方向に貫通する貫通孔62cが設けられている。貫通孔62cは、前後方向に延びる長孔である。
図6に示されるように、固定部62と基部61との間には空間Vが設けられている。
【0033】
検知部63は、外部装置が基板収納容器1を検知するための部分である。検知部63は、一対の検知体63a(第1検知体、第2検知体)を含む。各検知体63aは、前後方向に延びる矩形板状の形状を有する。一対の検知体63aは、左右方向において固定部62を挟むように設けられている。各検知体63aの前後方向における長さは、固定部62の前後方向における長さよりも長い。具体的には、各検知体63aは、前後方向において、前端62aよりも前方から後端62bよりも後方まで延びている。
【0034】
各検知体63aは、検知面63bを有する。検知面63bは、構造体6が底板22に接合されている状態で、下方を向く面である。検知面63bは、固定部62の上面と(面61bと向かい合う面)と実質的に平行である。検知面63bは、外部装置によって検知されるセンシングパッドとして機能する。
【0035】
検知体63aは、左右方向における両縁であって、前後方向に延びる内縁63c及び外縁63dを有する。内縁63cは、左右方向において外縁63dよりも固定部62に近い。
【0036】
支持部64は、固定部62及び検知部63を支持する部分である。支持部64は、壁部64a(第1壁部)と、壁部64b(第2壁部)と、一対の側壁部64cと、一対の側壁部64dとを含む。壁部64a及び壁部64bは、前後方向において固定部62を挟むように基部61に設けられている。壁部64aと壁部64bとは、前後方向において互いに向かい合っており、実質的に平行に配置されている。
【0037】
壁部64aは、前端62aにおいて固定部62を支持する。壁部64aは、面61bに立設されており、左右方向に延びる矩形板状の形状を有する。壁部64aは、左右方向において、右側の検知体63aの外縁63dから左側の検知体63aの外縁63dまで延びている。壁部64aは、上下方向において、面61bから前端62aまで延びている。
【0038】
図4に示されるように、壁部64aには、孔64eと、孔64fとが設けられている。孔64e及び孔64fは、前後方向において壁部64aを貫通している。孔64eは、上下方向における壁部64aの縁部のうち、基部61に接する縁部(上縁部)に設けられている。本実施形態では、壁部64aには、3個の孔64eが設けられている。3個の孔64eは、左右方向に配列されている。孔64eは、壁部64aを左右方向に3等分することによって得られる各領域の左右方向における中央部に設けられている。
【0039】
孔64fは、上下方向における壁部64aの縁部のうち、検知体63aに接する縁部(下縁部)に設けられている。本実施形態では、壁部64aには、2個の孔64fが設けられている。2個の孔64fは、左右方向における壁部64aの両端に設けられている。つまり、孔64fは、側壁部64cと検知体63aとによって画定される角部に位置している。2個の孔64fは、左右方向において連結板65を挟むように設けられている。
【0040】
壁部64bは、後端62bにおいて固定部62を支持する。壁部64bは、面61bに立設されており、左右方向に延びる矩形板状の形状を有する。壁部64bは、左右方向において、右側の検知体63aの内縁63cから左側の検知体63aの内縁63cまで延びている。壁部64bは、上下方向において、面61bから後端62bまで延びている。壁部64bには、壁部64bを前後方向に貫通する孔は設けられていない。
【0041】
図5に示されるように、壁部64bは、第1部分64gと、一対の第2部分64hと、によって構成されている。第1部分64gは、左右方向における中央に位置する。第1部分64gは、後端62bに連なっており、後端62bの左右方向における全長にわたって設けられている。つまり、第1部分64gの左右方向における長さは、固定部62の左右方向における長さと実質的に等しい。第1部分64gは、固定部62よりも下方に突出している。第1部分64gは、検知面64jを有する。検知面64jは、第1部分64gの先端に位置し、下方を向く面である。検知面64j及び一対の検知面63bは、同一平面上に位置する。検知面64jは、検知面63bと同様に、外部装置によって検知されるセンシングパッドとして機能する。
【0042】
一対の第2部分64hは、左右方向において第1部分64gを挟むように設けられ、第1部分64gの左右方向における両端から互いに離れるように延びている。各第2部分64hの上下方向における長さは、第1部分64gの上下方向における長さよりも短く、各第2部分64hは、上下方向において面61bから固定部62まで延びている。
【0043】
各側壁部64cは、面61bに立設されており、前後方向に延びる矩形板状の形状を有する。一対の側壁部64cは、左右方向において互いに向かい合っており、実質的に平行に配置されている。一対の側壁部64cは、壁部64aの左右方向における両端に連結されている。具体的には、右側の側壁部64cは、壁部64aの右端に連結され、壁部64aの右端から前方に右側の検知体63aの前端まで延びている。左側の側壁部64cは、壁部64aの左端に連結され、壁部64aの左端から前方に左側の検知体63aの前端まで延びている。各側壁部64cは、上下方向において面61bから検知体63aまで延びており、検知体63aの外縁63dに連なっている。壁部64aと、一対の側壁部64cとによって、平面視でU字状の形状が構成される。
【0044】
各側壁部64dは、面61bに立設されており、前後方向に延びる矩形板状の形状を有する。一対の側壁部64dは、左右方向において互いに向かい合っている。一対の側壁部64dは、上下方向において基部61から検知体63aに向かうにつれて互いに離れるように傾斜している。一対の側壁部64dは、壁部64bの左右方向における両端に連結されている。具体的には、右側の側壁部64dは、壁部64bの右端に連結され、壁部64bの右端から後方に右側の検知体63aの後端まで延びている。左側の側壁部64dは、壁部64bの左端に連結され、壁部64bの左端から後方に左側の検知体63aの後端まで延びている。各側壁部64dは、上下方向において面61bから検知体63aまで延びており、検知体63aの内縁63cに連なっている。壁部64bと、一対の側壁部64dとによって、平面視でU字状の形状が構成される。
【0045】
側壁部64cが検知体63aのうちの固定部62の前端62aよりも前方に延びている部分を支持し、側壁部64dが検知体63aのうちの固定部62の後端62bよりも後方に延びている部分を支持することによって、支持部64は検知部63を支持している。
【0046】
連結板65は、一対の検知体63a同士を連結している板状の部分である。連結板65は、基板収納容器1を外部装置に固定するフロントリテーナとしても機能する。連結板65は、平面視で矩形の形状を有し、左右方向に延びている。連結板65の後端は、壁部64aの下端に連結されており、連結板65は、壁部64aによって支持されている。連結板65は、前端62aに連結されており、前後方向において後端62bとは反対方向(前方)に前端62aから延びている。連結板65は、左右方向において、壁部64aの右端近傍から左端近傍まで延びている。
【0047】
連結板65の左右両端部は、一対の検知体63aの検知面63bとは反対側の面(上面)に連結されている。連結板65は、左右方向における連結板65の両端である一対の端65aを有する。端65aは、左右方向において側壁部64cから離間している。前方から見て、端65aと側壁部64cとの間に孔64fが位置している。上下方向において検知体63aと連結板65とが重なっている部分の左右方向における長さは、検知体63a(又は連結板65)の上下方向における長さ(厚さ)と実質的に同じである。
【0048】
次に、基板収納容器1を製造する方法を説明する。まず、構造体6が作製される。構造体6は、樹脂成形(射出成形)によって作製される。具体的には、固定型に前方のスライド構造と、両側方のスライド構造と、可動型とが組み合わせられ、キャビティ空間に溶融状態の樹脂材料が注入され、樹脂材料が冷却されて固化することによって、構造体6が作製される。
【0049】
固定型は、基部61の面61aの形状に応じた形状を有している。可動型は固定型に対し上下方向において移動可能である。可動型は、構造体6のうち平面視で(下方から見て)他の部分に重なっていない部分(アンダーカット形状が生じていない部分)に応じた形状を有している。例えば、壁部64bと一対の側壁部64dと基部61とによって囲まれた空間には、アンダーカット形状が生じていないので、可動型によって形成される。前方のスライド構造は、壁部64a、一対の側壁部64c、連結板65、及び基部61によって囲まれる空間を形成するためのスライド構造である。側方のスライド構造は、検知体63aと基部61とによって挟まれた空間、及び空間Vを形成するためのスライド構造である。
【0050】
続いて、容器本体2を樹脂成形(射出成形)するために用いられる金型に、一対の支持体4と、位置決め部材5と、構造体6とが配置される。続いて、一対の支持体4と、位置決め部材5と、構造体6とが金型に配置された状態で、金型内のキャビティ空間に溶融状態の樹脂材料が注入される。そして、樹脂材料が冷却されて固化することにより、容器本体2が形成される。以上により、基板収納容器1が製造される。
【0051】
以上説明した基板収納容器1では、構造体6は一体成形品であるので、基部61と検知部63との相対的な位置関係、及び基部61と固定部62との相対的な位置関係は固定され得る。よって、互いに係合する2つ以上の部品によって、基部と検知部と固定部とが構成されている場合と比較して、検知部63の位置及び固定部62の位置を安定化することができる。その結果、基板収納容器1を外部装置に安定して固定することが可能となる。
【0052】
構造体6は一体成形品であるので、構造体が2以上の互いに係合する部品によって構成されている場合と比較して、部品点数を削減することができ、部品の員数管理の負担を軽減することができる。基板収納容器1では、インサート成形により、構造体6と容器本体2とが一体的に形成される。その結果、基板収納容器1の製造を簡易化することができる。
【0053】
固定部62は上下方向において基部61と離間して配置されているので、固定部62と基部61との間に空間Vが形成される。固定部62には、貫通孔62cが設けられている。例えば、外部装置が上下方向に進退する軸部と、軸部の先端から上下方向と交差する方向に延びる爪とを有する留め具を備える場合には、上記留め具を貫通孔62cに挿通させ、上記空間に爪が位置した状態で、軸部を貫通孔62cから引き抜く方向に移動させることによって、固定部62に爪を引っ掛けることができる。これにより、基板収納容器1を外部装置に安定して固定することが可能となる。
【0054】
外部装置が一対の検知体63aを検知することによって、基板収納容器1が外部装置に載置されたことを検知することができる。
【0055】
壁部64aには孔64e,64fが設けられているので、一対の検知体63a及び連結板65と、基部61と、壁部64aと、一対の側壁部64cとによって囲まれる空間の通気性が向上する。したがって、基板収納容器1を洗浄したときに、上記空間に水が残る可能性を低減することができる。その結果、基板収納容器1の乾燥性能を向上させることが可能となる。
【0056】
面61aには、凹部61cが設けられ、面61bには、凹部61dが設けられている。容器本体2を樹脂成形するために用いられる金型に構造体6が配置された状態で、基部61と底板22とが接合されるように容器本体2が樹脂成形される際に、凹部61cと凹部61dとに溶融状態の樹脂材料が入り込み得る。この状態で樹脂材料が固化されて容器本体が成形されたとすると、容器本体2は、凹部61c及び凹部61dを埋める部分を含む。このため、容器本体2に向かって構造体6が押し込まれるような力が構造体6に加わったときに、基部61と底板22との接合が十分でなかったとしても、凹部61cを埋める部分に構造体6が当接するので、構造体6の移動が規制される。同様に、容器本体2から構造体6が引き離されるような力が構造体6に加わったときに、基部61と底板22との接合が十分でなかったとしても、凹部61dを埋める部分に構造体6が当接するので、構造体6の移動が規制される。したがって、構造体6が容器本体2から外れる可能性を低減することができる。
【0057】
凹部61cは、面61aを横断する溝であり、凹部61dは、基部61の周縁に沿って設けられている。凹部61c及び凹部61dの形状が単純であり、かつ、上下方向において構造体6の他の部分と重ならない位置に設けられるので、構造体6を製造するために用いられる金型の構造を単純化することができる。
【0058】
一対の側壁部64dは、上下方向において基部61から検知体63aに向かうにつれて互いに離れるように傾斜している。したがって、一対の側壁部64dの互いに向かい合う面は抜き勾配として機能し、構造体6が作製される際に、構造体6を金型(可動型)から容易に取り外すことができる。
【0059】
なお、本開示に係る基板収納容器は上記実施形態に限定されない。
【0060】
容器本体2の樹脂成形時に樹脂材料が入り込むことが可能であれば、凹部61cの数、形状及び配置は上記実施形態に限定されない。例えば、凹部61cは、左右方向とは異なる方向に延在してもよい。凹部61cは、面61aを横断しなくてもよい。凹部61cは、溝でなくてもよい。
【0061】
容器本体2の樹脂成形時に樹脂材料が入り込むことが可能であれば、凹部61dの数、形状及び配置は上記実施形態に限定されない。例えば、凹部61dは、基部61の周縁のうち、面61bの角部と異なる位置に設けられてもよい。凹部61dは、基部61の周縁に設けられなくてもよく、基部61の周縁よりも内側に設けられてもよい。
【0062】
面61aには凹部61cが設けられてなくてもよく、面61bには凹部61dが設けられてなくてもよい。
【0063】
壁部64aに設けられる孔64eの数は、3つに限られない。1つの孔64eが設けられてもよく、2つの孔64eが設けられてもよく、4つ以上の孔64eが設けられてもよい。同様に、壁部64aには、1つのみの孔64fが設けられてもよく、3つ以上の孔64fが設けられてもよい。孔64e,64fは、上下方向において、壁部64aの両縁に設けられなくてもよい。
【0064】
壁部64aには、孔64eが設けられてなくてもよく、孔64fが設けられてなくてもよい。
【0065】
構造体6は、連結板65を含まなくてもよい。一対の側壁部64cは設けられなくてもよく、一対の側壁部64dは設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…基板収納容器、2…容器本体、6…構造体、20…収容空間、22…底板、61…基部、61a…面(第1面)、61b…面(第2面)、61c…凹部(第1凹部)、61d…凹部(第2凹部)、62…固定部、62a…前端(第1端)、62b…後端(第2端)、62c…貫通孔、63…検知部、63a…検知体(第1検知体、第2検知体)、64a…壁部(第1壁部)、64b…壁部(第2壁部)、64e…孔、64f…孔、65…連結板。