(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085032
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240619BHJP
B65D 1/46 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
B65D1/02 233
B65D1/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199348
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 玲太
(72)【発明者】
【氏名】勝田 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】永春 利佳
(72)【発明者】
【氏名】内山 剛志
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA18
3E033CA02
3E033CA05
3E033DA03
3E033DB01
3E033DD05
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】ペタロイド形状に形成された底部を備える耐圧ボトルにおいて、底落ちの発生をより有効に抑制する。
【解決手段】底溝部56の周方向中央における縦断面形状が、曲率半径が相対的に大きい第一の円弧部56aと、曲率半径が相対的に小さい第二の円弧部56bとを含み、底溝部56の溝底に沿って、第一の円弧部56aと前記第二の円弧部56bとが滑らかに連続するように、底溝部56を形成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、肩部、胴部、及び底部を備える合成樹脂製容器であって、
前記底部には、複数の脚部が、中心軸周りに回転対称に、かつ、均等な間隔で放射状に配設されているとともに、隣接する前記脚部の間には、容器内方に嵌入してなる底溝部が、底面中央部から放射状に延在するように形成され、
前記底溝部の周方向中央における縦断面形状が、曲率半径が相対的に大きい第一の円弧部と、曲率半径が相対的に小さい第二の円弧部とを含み、
前記底溝部の溝底に沿って、前記第一の円弧部と前記第二の円弧部とが滑らかに連続していることを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記第一の円弧部が、胴部側曲率調整部を介して前記胴部に滑らかに連続し、
前記第二の円弧部が、底面中央部側曲率調整部を介して前記底面中央部に滑らかに連続している請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記第一の円弧部の曲率半径が、30~1000mmであり、前記第二の円弧部の曲率半径が、10~40mmである請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記脚部に対する前記底溝部の最深部の深さが、12mm以上である請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項5】
前記脚部に対する前記底溝部の最深部で、前記第一の円弧部と前記第二の円弧部とが滑らかに連続している請求項1~4のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【請求項6】
前記底部の上端縁の半径をr、前記底面中央部の半径をr0、前記底部の高さをh、前記脚部の接地部と前記底面中央部の中心との高さ方向沿った高低差をh0としたときに、(r-r0)<(h-h0)なる関係が成り立つ請求項1~4のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製容器に関し、特に、炭酸飲料を内容液とする耐圧ボトルとしての用途に好適な合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いてプリフォームを作製し、次いで、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂製の容器が、各種飲料品等を内容液とする容器として広い分野で利用されている。
【0003】
このような合成樹脂製容器のうち、炭酸飲料を内容液とする飲料用容器にあっては、炭酸ガスによる圧力に耐え得る耐圧性を備えるとともに、容器内が陽圧になっても自立安定性が損なわれることなく、自立可能であることが要求される。このため、例えば、特許文献1が開示するような、いわゆるペタロイド形状に形成された底部を備える耐圧ボトルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ペタロイド形状に形成された底部を備える耐圧ボトルにあっては、底落ちと称される現象が発生し易い傾向があることが知られている。近年、高いガスボリューム(GV)の強炭酸飲料にも対応できる耐圧ボトルが求められているところ、そのためには、底落ちの発生をより有効に抑制できるようにすることが望まれる。
【0006】
そこで、本発明者らは、ペタロイド形状に形成された底部を備える耐圧ボトルにおいて、底落ちの発生をより有効に抑制するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る合成樹脂製容器は、口部、肩部、胴部、及び底部を備える合成樹脂製容器であって、前記底部には、複数の脚部が、中心軸周りに回転対称に、かつ、均等な間隔で放射状に配設されているとともに、隣接する前記脚部の間には、容器内方に嵌入してなる底溝部が、底面中央部から放射状に延在するように形成され、前記底溝部の周方向中央における縦断面形状が、曲率半径が相対的に大きい第一の円弧部と、曲率半径が相対的に小さい第二の円弧部とを含み、前記底溝部の溝底に沿って、前記第一の円弧部と前記第二の円弧部とが滑らかに連続する構成としてある。
【0008】
本発明に係る合成樹脂製容器においては、次の態様が好ましい。
(1)前記合成樹脂製容器において、前記第一の円弧部が、胴部側曲率調整部を介して前記胴部に滑らかに連続し、前記第二の円弧部が、底面中央部側曲率調整部を介して前記底面中央部に滑らかに連続していること、
(2)前記いずれかの合成樹脂製容器において、前記第一の円弧部の曲率半径が、30~1000mmであり、前記第二の円弧部の曲率半径が、10~40mmであること、
(3)前記いずれかの合成樹脂製容器において、前記脚部に対する前記底溝部の最深部の深さが、12mm以上であること、
(4)前記いずれかの合成樹脂製容器において、前記脚部に対する前記底溝部の最深部で、前記第一の円弧部と前記第二の円弧部とが滑らかに連続していること、
(5)前記いずれかの合成樹脂製容器において、前記底部の上端縁の半径をr、前記底面中央部の半径をr0、前記底部の高さをh、前記脚部の接地部と前記底面中央部の中心との高さ方向沿った高低差をh0としたときに、(r-r0)<(h-h0)なる関係が成り立つこと。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ペタロイド形状に形成された底部を備える耐圧ボトルとしての用途に好適な合成樹脂製容器において、底落ちの発生をより有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す底面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器をブロー成形により製造する工程の一部を示す説明図である。
【
図6】比較例1に係る容器の底溝部の溝底に沿った断面形状を含む断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図であり、
図2は、同正面図、
図3は、同底面図である。
【0012】
これらの図に示す容器1は、口部2、肩部3、胴部4、及び底部5を備えており、胴部4が概ね円筒状に形成された、一般に、丸形ボトルと称される容器形状を有している。
【0013】
このような容器1は、熱可塑性樹脂を使用して射出成形や圧縮成形などにより有底筒状に成形されたプリフォームPを作製し、このプリフォームPを二軸延伸ブロー成形などにより所定の容器形状に成形することによって製造することができる。
【0014】
使用する熱可塑性樹脂としては、ブロー成形が可能な任意の樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,非晶ポリアリレート,ポリ乳酸,ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などのポリエステル系樹脂を使用するのが好ましい。これらの樹脂は二種以上混合してもよく、他の樹脂をブレンドしてもよい。使用するポリエステル系樹脂は、植物由来のバイオエタノールを原料とするエチレングリコール又はその誘導体などをジオール成分としたり、植物由来のバイオパラキシレンを原料とするテレフタル酸又はその誘導体、植物由来のフルクトースを原料とするフランジカルボン酸又はその誘導体などをジカルボン酸成分としたりするなどして、バイオマス度が高められたポリエステル系樹脂であってもよい。
【0015】
口部2は、内容液の注入出口となる円筒状の部位である。かかる口部2の開口端側の側面には、図示しない蓋体を取り付けるためのねじ山21が設けられており、その下方には、周方向に沿って環状に張り出すネックリング22が設けられている。そして、ネックリング22の直下から、概ね同一径で円筒状に垂下する部分を含めて、口部2というものとする。
【0016】
このような口部2の下端は、胴部4に向かって拡径して口部2と胴部4との間をつなぐ肩部3に連接している。図示する例において、肩部3は、丸みを帯びた円錐台状に形成されているが、肩部3の形状は、これに限定されない。例えば、いわゆるつる首状に形成したりすることもできる。
【0017】
また、胴部4は、容器1の高さ方向の多くを占める部位であり、上端が肩部3に連接し、下端が底部5に連接している。
【0018】
ここで、高さ方向とは、口部2を上にして容器1を水平面に正立させたときに、水平面に直交する方向をいうものとし、この状態(
図2に示す状態)で容器1の上下左右及び縦横の方向を規定するものとする。
【0019】
本実施形態において、容器1は、炭酸飲料(特に、高GVの強炭酸飲料)を内容液とする耐圧ボトルとして好適に利用できるように構成されている。そのため、容器内が陽圧になっても自立安定性が損なわれないように、複数(図示する例では、五つ)の脚部51が、容器1の中心軸C周りに回転対称に、かつ、均等な間隔で放射状に配設された、いわゆるペタロイド形状の底部5を備えている。
【0020】
このような形状とされた底部5において、隣接する脚部51の間には、容器内方に嵌入してなる底溝部56が、底面中央部50から放射状に延在するようにして形成されている。一方、脚部51は、胴部4と連接する底部5の上端から垂下(図示する例では、容器内方にやや傾斜しながら垂下)して、周方向に沿った長さ(横幅)が下端側で狭められた外周面部52と、外周面部52の周方向両端縁から底溝部56に向かって延在する側面部53と、底面中央部50から外周面部52の下端部に向かって下向きに傾斜して延在する脚底面部54とを有している。そして、外周面部52と脚底面部54との連接部及びその近傍が、容器1を正立させたときに、接地面に接する接地部55となるように形成されている。
【0021】
このような形状とされた底部5を備える容器1は、例えば、
図4に示すように、型開きを考慮して設計された、開閉可能な分割型からなる胴型M1と、胴型M1の底部側に組み入れられる底型M2とを備えるブロー成形型Mを用いて成形することができる。
【0022】
容器1をブロー成形するに際しては、加熱により軟化させてブロー成形が可能な状態とされてから、ブロー成形型MにセットされたプリフォームPが、ブロー成形型Mに支持されたネックリング22の直下を延伸の起点として、図示しない延伸ロッドにより軸方向(縦方向)に延伸されつつ、高圧流体ブローにより軸方向及び周方向(横方向)に延伸される。そして、延伸された部位にブロー成形型Mのキャビティ形状が転写されることによって、肩部3、胴部4、底部5が賦形されて、所定の容器形状を備える容器1に成形される。
【0023】
このようにして成形された容器1にあっては、胴型M1と底型M2との境目にパーティングラインPLがあらわれる。本実施形態では、このパーティングラインPLに沿って切り取られた下側の部分を底部5とし、胴部4と底部5との境界がパーティングラインPLによって画定されるものとする。
【0024】
なお、
図4に示す例において、ブロー成形型Mについては、プリフォームP及び容器1の中心軸Cを含む紙面に平行な面で切り取った断面を示しており、
図4(a)は、プリフォームPをブロー成形型Mにセットした状態、
図4(b)は、ブロー成形された容器1を取り出すためにブロー成形型Mを型開きした状態をそれぞれ示している。
【0025】
ここで、
図2のA-A断面図として、底溝部56の周方向中央における縦断面形状(中心軸Cを含む面で切断した断面の形状)を含む断面図を
図5に示す。
なお、
図5に示す断面図にあっては、底部5の断面にあらわれる肉厚を省略している。
【0026】
図5に示すように、本実施形態にあっては、底溝部56の周方向中央における縦断面形状、換言すれば、底溝部56の溝底に沿った断面形状が、曲率半径が相対的に大きい第一の円弧部56aと、曲率半径が相対的に小さい第二の円弧部56bとを含むように、底溝部56が形成されている。そして、底溝部56の溝底に沿って、第一の円弧部56aと第二の円弧部56bとが滑らかに連続するようにしている。
【0027】
ペタロイド形状に形成された底部5を備える容器1にあっては、ブロー成形後に元のプリフォームPの形状に戻ろうとする力が、底面中央部50を押し下げるように作用して、底面中央部50が下降するように変形する底落ちと称される現象が発生し易い傾向がある。かかる底落ちは、内容積のばらつきの原因となることに加え、環境応力腐食割れ耐性(ESCR)の低下と相関関係にあるという知見が本出願人の検討によって得られている。さらには、炭酸飲料等の内容液を充填した後に、容器1内の圧力によって底落ちが顕著となると、自立安定性を損ねてしまう虞もある。
【0028】
本実施形態にあっては、底面中央部50を押し下げるように作用する力が、底溝部56の溝底に沿って径方向外向きに分散されるようにするために、底溝部56が前述のように形成されるようにしている。このようにすることで、底面中央部50を押し下げるように作用する力を緩和して、底落ちの発生をより有効に抑制することを可能にしている。
【0029】
このようにして、底落ちの発生を抑制するにあたり、本実施形態にあっては、第一の円弧部56aの曲率半径が、30~1000mmであるのが好ましく、第二の円弧部56bの曲率半径が、10~40mmであるのが好ましい。その際、第一の円弧部56aが胴部4に滑らかに連続するように、両者の間には、第一の円弧部56aの曲率半径に応じて、胴部側曲率調整部56cを介在させるのが好ましく、第二の円弧部56bが底面中央部50に滑らかに連続するように、両者の間には、第二の円弧部56bの曲率半径に応じて、底面中央部側曲率調整部56dを介在させるのが好ましい。胴部側曲率調整部56cと底面中央部側曲率調整部56dのそれぞれの曲率半は、5~30mmであるのが好ましく、これらの曲率半径は同じでもよく、異なっていてもよい。
【0030】
また、底落ちの発生を抑制する上で、脚部51に対する底溝部56の最深部の深さdが、12mm以上であるのが好ましい。特に、環境応力破壊による割れを抑制するという観点からは、脚部51に対する底溝部56の最深部で、第一の円弧部56aの一端側と第二の円弧部56bの一端側とが連接して、第一の円弧部56aと第二の円弧部56bとが滑らかに連続していることが好ましい。
【0031】
ここで、脚部51に対する底溝部56の深さdは、底溝部56の溝底に沿った断面において、溝底をなす第一の円弧部56a又は第二の円弧部56bの接線に対する垂線を含み、かつ、溝底に沿う方向に直交する面内における、脚部51の外周面部52、接地部55又は脚底面部54と、底溝部56の溝底との高低差をいうものとする(
図5参照)。
【0032】
また、底面中央部50を押し下げるように作用する力が、底溝部56の溝底に沿って径方向外向きに、より有効に分散されるようにする上で、底溝部56の溝底に占める第一の円弧部56aの割合が、第二の円弧部56bよりも大きくなるようにするのが好ましい。そのための条件として、底部5の上端縁の半径をr、底面中央部50の半径をr0、底部5の高さをh、脚部51の接地部55と底面中央部50の中心との高さ方向沿った高低差(以下、「上げ底高さ」ともいう)をh0としたときに、(r-r0)<(h-h0)なる関係が成り立つように、容器1の各部位の寸法を設計するのが好ましい。
【0033】
また、容器1の各部位の寸法を設計するにあたり、ネックリング22よりも下側の部分の高さ方向に沿った長さをネック下容器高さH、当該部分の質量をネック下容器質量Wとして、ネック下容器高さHに対する底部5の高さhの比h/HをR(h/H)で表し、ネック下容器質量Wに対する底部5の質量wの比w/WをR(w/W)で表したときに、次のような関係が成り立つように、形状、寸法などを適宜調整して使用樹脂量を削減したプリフォームPにより容器1を成形するのが好ましい。
すなわち、R(w/W)とR(h/H)との間には、
1.00≦R(w/W)/R(h/H)≦1.90 ・・・(1)
なる関係が成り立つのが好ましく、
1.40≦R(w/W)/R(h/H)≦1.85 ・・・(2)
なる関係が成り立つのがより好ましい。
【0034】
上記関係が成り立つように成形された容器1は、同様の容器形状の耐圧ボトルに対して、肩部3、胴部4の質量を維持したまま、底部5を軽量化することができる。その理由は、次のように考えられる。すなわち、容器1をブロー成形するに際し、ブロー成形型Mに支持されたネックリング22の直下を延伸の起点として、プリフォームPが軸方向に延伸されるのは前述した通りであり、上記関係が成り立つようにプリフォームPの形状、寸法などを調整しても、延伸の途中までは調整前のプリフォームと同様に延伸する。このため、肩部3、胴部4の質量が維持される一方で、底部5に賦形される部分の樹脂量が減少し、より延伸した状態で底部5が賦形されるため、底部5を軽量化することができると考えられる。
【0035】
したがって、ブロー成形後の底部5の冷却が不十分であると、底落ちが発生し易くなってしまうのに対して、前述の関係が成り立つように容器1を成形することで、底部5の樹脂量が減少することから、ブロー成形後に底部5が冷却され易くすることができる。その結果、底部5の底落ちをより有効に回避しつつ、冷却時間を短縮して生産性を高めることが可能となるため好ましい。
【実施例0036】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0037】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート系樹脂を用い、重量約25.5gのプリフォームを射出成形により作製した。作製したプリフォームを加熱して軟化させた後、ブロー成形型にセットして、二軸延伸ブロー成形により
図1等に示す容器形状となるように容器を成形した。容器を成形するに際しては、底部の上端縁の半径rを33.5mm、底面中央部の半径r
0を6mm、底部の高さhを35mmとして、底溝部の溝底に沿った断面形状が、
図5に示す断面形状となるように、各部位の寸法を適宜調整した。
【0038】
成形された容器の上げ底高さh0を測定したところ、3.28mmであった。このような容器に、5.5GV相当の炭酸水を適量充填し、23℃で24時間放置した後に、上げ底高さh0を測定したところ、その結果は3.23mmであり、底落ちは0.05mmに抑制されていた。同様にして、37℃で24時間放置した後に、上げ底高さh0を測定したところ、その結果は2.59mmであり、底落ちは、0.69mmに抑制されていた。
【0039】
また、成形された容器に、5.5GV相当の炭酸水を適量充填し、0.2重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、環境応力破壊試験を行ったところ、環境応力破壊による割れが認められるまで33分の時間を要した。
【0040】
[実施例2]
底部の高さhを33mmとして、底溝部の溝底に沿った断面形状が、
図5に示す断面形状となるように、各部位の寸法を適宜調整した以外は、実施例1と同様にして容器1を成形した。
【0041】
成形された容器の上げ底高さh0を測定したところ、3.34mmであった。このような容器に、5.5GV相当の炭酸水を適量充填し、23℃で24時間放置した後に、上げ底高さh0を測定したところ、その結果は3.07mmであり、底落ちは0.27mmに抑制されていた。同様にして、37℃で24時間放置した後に、上げ底高さh0を測定したところ、その結果は2.48mmであり、底落ちは、0.86mmに抑制されていた。
【0042】
また、成形された容器に、5.5GV相当の炭酸水を適量充填し、0.2重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、環境応力破壊試験を行ったところ、環境応力破壊による割れが認められるまで34分の時間を要した。
【0043】
[比較例1]
底部の高さhを29mmとして、底溝部の溝底に沿った断面形状が、
図6に示す断面形状となるように、各部位の寸法を適宜調整した以外は、実施例1と同様にして容器を成形した。
なお、
図6には、
図5と同様にして、比較例1に係る容器の底溝部の溝底に沿った断面形状を含む断面図を示すが、比較例1にあっては、実施例1の第一の円弧部に相当する部位が直線状に形成されている。
【0044】
成形された容器の上げ底高さh0を測定したところ、3.15mmであった。このような容器に、5.5GV相当の炭酸水を適量充填し、23℃で24時間放置した後に、上げ底高さh0を測定したところ、その結果は2.12mmであり、1.03mmの底落ちが認められた。同様にして、37℃で24時間放置した後に、上げ底高さh0を測定したところ、その結果は1.58mmであり、1.57mmの底落ちが認められた。
【0045】
また、成形された容器に、5.5GV相当の炭酸水を適量充填し、0.2重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、環境応力破壊試験を行ったところ、19分で環境応力破壊による割れが認められた。
【0046】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。