(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085033
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】筆記具ケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/34 20060101AFI20240619BHJP
B65D 43/20 20060101ALI20240619BHJP
A45C 13/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
A45C11/34 G
B65D43/20 100
A45C13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199349
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000134589
【氏名又は名称】株式会社トンボ鉛筆
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 将也
【テーマコード(参考)】
3B045
3E084
【Fターム(参考)】
3B045BA17
3B045CE07
3B045DA42
3B045EA00
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084DA03
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC04
3E084GA06
3E084GB06
(57)【要約】
【課題】開状態の場合も蓋体が場所を取らず、且つ耐久性が向上した筆記具ケースを提供する。
【解決手段】本発明の筆記具ケース1は、内部に筆記具収納部11を有するケース本体10と、前記ケース本体10と接触したまま、前記ケース本体10に対して、スライド及び回転することにより、内面が前記ケース本体10の側を向いた状態で前記筆記具収納部11の上面側を覆う閉位置と、前記内面が前記ケース本体10の側を向いた状態で前記ケース本体10の下面側に配置されて前記筆記具収納部11を開放する開位置と、の間を移動可能な蓋体20と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に筆記具収納部を有するケース本体と、
前記ケース本体と接触したまま、前記ケース本体に対して、スライド及び回転することにより、
内面が前記ケース本体の側を向いた状態で前記筆記具収納部の上面側を覆う閉位置と、
前記内面が前記ケース本体の側を向いた状態で前記ケース本体の下面側に配置されて前記筆記具収納部を開放する開位置と、の間を移動可能な蓋体と、
を備える、筆記具ケース。
【請求項2】
前記ケース本体と前記蓋体のうちの一方の両端部には、スライド溝が設けられ、
前記ケース本体と前記蓋体のうちの他方の両端部には、前記スライド溝をスライド移動する軸凸部が設けられ、
前記蓋体は、前記ケース本体に沿ってスライドし、前記ケース本体におけるスライド方向の片方の側において、前記軸凸部を中心として回転する、
請求項1に記載の筆記具ケース。
【請求項3】
前記軸凸部は、前記ケース本体又は前記蓋体の前記両端部における、前記スライド方向の一方の側に設けられ、
前記両端部における前記スライド方向の他方には、前記スライド溝から離脱可能な保持凸部が設けられている、
請求項2に記載の筆記具ケース。
【請求項4】
前記スライド溝の前記スライド方向の両側には段部が設けられ、前記スライド溝における前記段部よりもさらに前記スライド方向の両側は、前記軸凸部及び前記保持凸部を保持可能な保持凹部となっている、
請求項3に記載の筆記具ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
色鉛筆等を収納する筆記具ケースとして、ケース本体と蓋体とを備えるものがある。そして、従来、蓋体の紛失を防止するためにケース本体と蓋体とがヒンジで連結されている筆記具ケースがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の筆記具ケースは、蓋体を開いたときに、蓋体がケース本体の横に配置されるので、場所を取るという問題があった。また、蓋体とケース本体が、薄肉のヒンジ部で一体に連結されたプラスチック製の筆記具ケースである場合、開閉を繰り返すとヒンジ部が破損する可能性があるという問題もあった。
【0005】
本発明は、開状態の場合も蓋体が場所を取らず、且つ耐久性が向上した筆記具ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 上記課題を解決するために、本発明は、内部に筆記具収納部を有するケース本体と、前記ケース本体と接触したまま、前記ケース本体に対して、スライド及び回転することにより、内面が前記ケース本体の側を向いた状態で前記筆記具収納部の上面側を覆う閉位置と、前記内面が前記ケース本体の側を向いた状態で前記ケース本体の下面側に配置されて前記筆記具収納部を開放する開位置と、の間を移動可能な蓋体と、を備える、筆記具ケースを提供する。
【0007】
(2) (1)に記載の筆記具ケースは、前記ケース本体と前記蓋体のうちの一方の両端部には、スライド溝が設けられ、前記ケース本体と前記蓋体のうちの他方の両端部には、前記スライド溝をスライド移動する軸凸部が設けられ、前記蓋体は、前記ケース本体に沿ってスライドし、前記ケース本体におけるスライド方向の片方の側において、前記軸凸部を中心として回転してもよい。
【0008】
(3) (2)に記載の筆記具ケースは、前記軸凸部は、前記ケース本体又は前記蓋体の前記両端部における、前記スライド方向の一方の側に設けられ、前記両端部における、前記スライド方向の他方には、前記スライド溝から離脱可能な保持凸部が設けられていてもよい。
【0009】
(4) (3)に記載の筆記具ケースは、前記スライド溝の前記スライド方向の両側には段部が設けられ、前記スライド溝における前記段部よりも、さらに前記スライド方向の両側は、前記軸凸部及び前記保持凸部を保持可能な保持凹部となっていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開状態の場合も蓋体が場所を取らず、且つ耐久性が向上した筆記具ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態における、蓋体20が筆記具収容部11の上面を覆った閉状態の筆記具ケース1の斜視図である。
【
図2】第1実施形態における、蓋体20がケース本体10の下面を覆った開状態の筆記具ケース1の斜視図である。
【
図3】第1実施形態における、ケース本体10の斜視図である。
【
図4】第1実施形態における、蓋体20の内面側から見た斜視図である。
【
図5】第1実施形態における、筆記具ケース1の動作を説明する筆記具ケース1の斜視図である。
【
図6】第1実施形態における、筆記具ケース1の動作を説明する筆記具ケース1の斜視図である。
【
図7】第1実施形態における、
図1に示すI-I線に沿った断面位置での、筆記具ケース1の動作を説明する図である。
【
図8】第1実施形態における、
図1に示すI-I線に沿った断面位置での、筆記具ケース1の動作を説明する図である。
【
図9】第1実施形態における、
図1に示すI-I線に沿った断面位置での、筆記具ケース1の動作を説明する図である。
【
図10】第1実施形態における、
図1に示すI-I線に沿った断面位置での、筆記具ケース1の動作を説明する図である。
【
図11】第2実施形態における、ケース本体10の斜視図である。
【
図12】第2実施形態における、蓋体20の内面側から見た斜視図である。
【
図13】
図1で示した第1実施形態のケース本体のI-I線と同じ断面位置での、第2実施形態における筆記具ケース101の動作を説明する図である。
【
図14】
図1で示した第1実施形態のケース本体のI-I線と同じ断面位置での、第2実施形態における筆記具ケース101の動作を説明する図である。
【
図15】
図1に示す第1実施形態のケース本体のI-I線と同じ断面位置での、第2実施形態における筆記具ケース101の動作を説明する図である。
【
図16】
図1で示した第1実施形態のケース本体のI-I線と同じ断面位置での、第2実施形態における筆記具ケース101の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の筆記具ケース1について説明する。筆記具ケース1は、例えばプラスチックで製造され、ケース本体10と、蓋体20とを備える。
図1は、蓋体20がケース本体10の上面を覆った閉状態の筆記具ケース1の斜視図である。
図2は、蓋体20がケース本体10の下面を覆い、内部に収納されている筆記具の取出しが可能となった開状態の筆記具ケース1の斜視図である。
【0013】
実施形態では、
図2に示すように、筆記具ケース1に12本の筆記具Pが収納されている。実施形態の筆記具Pは、例えば色鉛筆等であるが、これに限定されず、黒芯鉛筆、ボールペン、マーキングペン、クレヨン等であってもよい。また、筆記具ケース1は、筆記具と共に消しゴムや鉛筆削り器等が収納可能なものであってもよい。
【0014】
(ケース本体10)
図3はケース本体10の斜視図である。ケース本体10は、上面が開口し、内部に筆記具収納部11が形成された薄型箱形状である。ケース本体10は、2つの側辺と2つの端辺とを有する略長方形の底板部12を有する。ケース本体10は、さらに、底板部12の2つの側辺から上方に延びる本体側板部13と、底板部12の2つの端辺から上方に延びる本体端板部14と、を有する。
【0015】
本明細書においては、図示するように、本体側板部13の長手方向を縦方向T、本体端板部14の長手方向を横方向Y、ケース本体10において筆記具収納部11が形成されている側を上、逆側を下として説明する。これに限定されないが、実施形態の筆記具ケース1は縦長である。筆記具収納部11は、底板部12と、底板部12の外周を囲む本体側板部13及び本体端板部14とで形成された空間である。
【0016】
(底板部12)
底板部12の上面には、筆記具Pを保持する複数の凹条部12Aが並んで縦方向に延びている。凹条部12Aは、断面がU字型で、それぞれの凹条部12Aに1本の筆記具Pが収納可能である。実施形態では12本の凹条部12Aが設けられているが、12本に限定されない。
【0017】
(本体側板部13)
本体側板部13は、それぞれが平坦な板部材であり、図中右側の回転側本体側板部13Aと、図中左側の開閉側本体側板部13Bとを有する。回転側本体側板部13Aは、開閉側本体側板部13Bより上下方向の高さが低い。
【0018】
(本体端板部14)
本体端板部14は、それぞれが平坦な板部材である。2つの本体端板部14は同様であるので一方について説明する。本体端板部14の上下方向の高さは、回転側本体側板部13Aと略等しい。すなわち、2つの本体端板部14と2つの本体側板部13とのうちの、開閉側本体側板部13Bだけが、上下方向の高さが高くなっている。
【0019】
(スライド溝15)
2つの本体端板部14の外面には、スライド溝15が設けられている。スライド溝15は、レール溝部15rと、レール溝部15rの横方向Yの両側に設けられた段部16と、段部16よりもさらに横方向Yの両側に設けられた保持凹部17とを有する。
レール溝部15rは、本体端板部14の外面において横方向Yに延びる凹条部である。段部16は、レール溝部15rの底面よりも突出した部分である。保持凹部17は、レール溝部15rと同じ深さの窪みで、後述の軸凸部27R及び保持凸部27Hとを保持可能な部分である。保持凹部17は、回転側本体側板部13Aの側の回転側保持凹部17Aと、開閉側本体側板部13Bの側の開閉側保持凹部17Bとがある。
スライド溝15(レール溝部15r、段部16、保持凹部17)の上下方向の幅は一定で、軸凸部27Rの径より僅かに大きい。
なお、レール溝部15r及び保持凹部17は、実施形態では有底であるが、これに限らず、本体端板部14を貫通した貫通孔であってもよい。
【0020】
(開閉側切り欠き部18B)
開閉側保持凹部17Bから上下方向の下側に向かって開閉側切り欠き部18Bが設けられている。開閉側切り欠き部18Bは、開閉側保持凹部17Bから外部へと続く窪みとなっている。開閉側切り欠き部18Bの窪みの深さは、開閉側保持凹部17Bの深さよりも浅く、開閉側保持凹部17Bと開閉側切り欠き部18Bとの間には段差が形成されている。開閉側切り欠き部18Bの横方向Yの最も狭い部分の幅は、開閉側保持凹部17Bの横方向Yの幅よりも狭くなっている。
【0021】
(回転側切り欠き部18A)
回転側保持凹部17Aから横方向Yの外側に向かって回転側切り欠き部18Aが設けられている。回転側切り欠き部18Aは、回転側保持凹部17Aから外部へと続く窪みとなっている。回転側切り欠き部18Aの窪みの深さは、開閉側切り欠き部18Bの窪みの深さと同じで、回転側保持凹部17Aよりも浅く、回転側保持凹部17Aと回転側切り欠き部18Aとの間には段差が形成されている。回転側切り欠き部18Aの上下方向の最も狭い部分の幅は、回転側保持凹部17Aの上下方向の幅よりも狭くなっている。
【0022】
(当接部19)
本体端板部14の回転側本体側板部13Aの側の上部には、スライド時に蓋体20の内面と当接する当接部19が設けられている。
【0023】
(蓋体20)
蓋体20は、ケース本体10に対して、スライド及び回転することにより、
図1に示すような内面側がケース本体10の側を向いた状態で筆記具収納部11の上面側を覆う閉位置と、
図2に示すような内面側がケース本体10の側を向いた状態でケース本体10の下面側に配置されて筆記具収納部11を開放する開位置と、の間を移動可能である。
【0024】
図4は蓋体20の内面側から見た斜視図である。蓋体20は、2つの側辺と2つの端辺とを有する略長方形の天板部22を有する。蓋体20は、さらに、天板部22の一方の側辺から
図4において下方に延びる1つの蓋体側板部23と、天板部22の2つの端辺から下方に延びる2つの蓋体端板部24と、を有する。なお、例えば蓋体20を透明部材で製造すれば筆記具ケース1の中の筆記具Pを閉状態においても視認することができる。
【0025】
(天板部22)
天板部22の内面には、横方向Yに延びる複数のリブ部22Rが等間隔で並んで延びている。リブ部22Rは天板部22を補強すると共に閉状態において収納された筆記具のがたつきを抑えるように覆う。天板部22の内面における両端部には、当接部19に沿ってスライドする凸条部29が設けられている。
【0026】
(蓋体側板部23)
蓋体側板部23は、
図1に示す閉状態において、天板部22の2つの側辺のうちの回転側本体側板部13Aと同じ側の側辺から下方に延びる平坦な板部材であり、天板部22の2つの側辺のうちの開閉側本体側板部13Bと同じ側の側辺には設けられていない。
【0027】
上述のように、ケース本体10の筆記具収納部11の一方の側面としての回転側本体側板部13Aは、他方の側面としての開閉側本体側板部13Bより低い。蓋体20が筆記具収納部11の上面を覆う
図1の閉状態において、筆記具収納部11の両方の側面は、一方は開閉側本体側板部13Bにより、もう一方は、回転側本体側板部13Aと蓋体側板部23とが横方向Yの同位置に配置されて上下方向に重なることにより、略閉塞される(後述の
図7参照)。
【0028】
(蓋体端板部24)
蓋体端板部24は、それぞれが平坦な板部材である。2つの蓋体端板部24は同様であるので一方について説明する。蓋体端板部24の、蓋体側板部23側に、保持凸部27Hが設けられている。保持凸部27Hは実施形態では円柱状の凸部である。また、蓋体端板部24の、蓋体側板部23とは反対側に、軸凸部27Rが設けられている。軸凸部27Rは実施形態では円柱状の凸部である。保持凸部27Hは軸凸部27Rより径が小さい。また、保持凸部27Hは軸凸部27Rより円柱状の凸部の高さが低い。
【0029】
(筆記具ケース1の動作)
図5及び
図6は、
図1及び
図2と合わせて、筆記具ケース1の動作を説明する筆記具ケース1の斜視図である。また、
図7から
図10は
図1に示すI-I線に沿った断面位置での筆記具ケース1の動作を説明する図である。
【0030】
(閉位置)
図1及び
図7は、蓋体20の内面がケース本体10の側を向いた状態で筆記具収納部11の上面側を覆う、蓋体20が閉位置にある状態を示す。
【0031】
ここで、
図7に示す保持凸部27Hと軸凸部27Rとの間の距離Y1(保持凸部27Hの外面と軸凸部27Rの外面とが最も近くなる
図7に示す距離Y1)は、段部16の横方向の外側を向いた面の間の距離以上で、実施形態では
図7に示すように略等しい。そして、回転側保持凹部17A及び開閉側保持凹部17Bのそれぞれの横方向Yの長さは、保持凸部27Hと軸凸部27Rとのうちの大径である軸凸部27Rの径と略等しい。
【0032】
また、軸凸部27Rの径は開閉側切り欠き部18Bの横方向Yの幅より大きい。さらに縦方向Tにおいて、軸凸部27Rは、高さが開閉側切り欠き部18Bの深さより十分に大きい。従って、軸凸部27Rは、開閉側切り欠き部18Bに乗り上げられないようになっており、開閉側切り欠き部18Bには入らない。
【0033】
したがって、蓋体20の軸凸部27Rがケース本体10の開閉側保持凹部17Bの内部に嵌合して保持されている状態で、蓋体20の保持凸部27Hもケース本体10の回転側保持凹部17Aの内部に嵌合して保持される。これにより、使用者が蓋体20を意図的にスライドさせない限り、蓋体20は、ケース本体10の筆記具収納部11の上面側を覆う状態に保持された状態を保つ。
【0034】
(スライド移動)
図5及び
図8は、蓋体20に対して図示する矢印の方向に力を加えて、蓋体20をケース本体10に沿って横方向Yにスライドさせた状態を示す。このとき、天板部22の内面における両端部に設けられた凸条部29が、本体端板部14の回転側本体側板部13Aの側の上部に設けられた当接部19上をスライドする。
【0035】
開閉側保持凹部17Bに保持されていた蓋体20の軸凸部27Rは、ケース本体10の開閉側保持凹部17Bから
図8中左側の段部16を超えてレール溝部15r内に入り、レール溝部15r内を左から右にスライド移動し、右側の段部16を乗り越える。
【0036】
軸凸部27Rの径は、回転側切り欠き部18Aの上下方向の幅より大きい。さらに、縦方向Tにおいて、軸凸部27Rは、高さが開閉側切り欠き部18Aの深さより十分に大きく、回転側切り欠き部18Aに乗り上げないようになっている。よって、軸凸部27Rは、回転側切り欠き部18Aに入らずに、回転側保持凹部17A内に保持される。
【0037】
一方、保持凸部27Hの径は、回転側切り欠き部18Aの上下方向の幅より僅かに小さい。さらに、保持凸部27Hは、縦方向Tにおいて、回転側切り欠き部18Aに乗り上げ可能な高さとなっている。回転側保持凹部17Aに保持されていた保持凸部27Hは、横方向Yを左から右に移動して回転側保持凹部17Aと回転側切り欠き部18Aとの間の段差を超えて、回転側保持凹部17A(スライド溝15)から離脱し、回転側切り欠き部18Aに乗り上げる。そして、さらに回転側切り欠き部18A内を横方向Yの左から右に移動して回転側切り欠き部18Aから離脱し、ケース本体10の外部へと移動する。
【0038】
これにより、蓋体20がケース本体10の横方向Yを左から右に移動し、ケース本体10の筆記具収納部11が開いた状態となる。
【0039】
(回転)
図6及び
図9は、
図5及び
図8に示す状態から蓋体20を図示する矢印の方向に回転させている状態を示す。蓋体20は、回転側保持凹部17Aに保持された軸凸部27Rを軸として、矢印方向に回転する。このとき、回転側本体側板部13Aは開閉側本体側板部13Bより上下方向の高さが低いので、蓋体20の天板部22や凸条部29の内面と当接しにくく、回転が妨げられることがない。
【0040】
(開位置)
図2及び
図10は、蓋体20を
図6及び
図9に示す状態からさらに回転させて、蓋体20の内面がケース本体10の側を向いた状態でケース本体10の下面側に配置された、蓋体20が筆記具収納部11を開放した開位置にある状態を示す。
【0041】
蓋体20の保持凸部27Hの径は、開閉側切り欠き部18Bの横方向Yの幅より僅かに小さい。さらに、保持凸部27Hは、縦方向Tにおいて、開閉側切り欠き部18Bに乗り上げ可能な高さである。よって、保持凸部27Hは、開閉側切り欠き部18Bを通ってケース本体10の開閉側保持凹部17Bの内部に嵌合して保持される。蓋体20の軸凸部27Rは、ケース本体10の回転側保持凹部17Aの内部に嵌合して保持されている状態である。これにより、蓋体20は、ケース本体10の筆記具収納部11の下面側を覆う状態に保持された状態を保つ。
【0042】
蓋体20を
図2及び
図10に示す開位置から、
図1及び
図7に示す閉位置に移動させるには、蓋体20を上記と逆に移動させる。すなわち、まず、蓋体20の保持凸部27H側を下方に移動させる。保持凸部27Hは、開閉側保持凹部17Bと開閉側切り欠き部18Bとの間の段差を超えて開閉側保持凹部17B(スライド溝15)から離脱し、開閉切り欠き部18Bを通ってケース本体10の外部へと移動する。
【0043】
そして、
図2及び
図10に示す状態から、
図6及び
図9に示す矢印と反対側に、蓋体20を、軸凸部27Rを軸として回転させる。
【0044】
さらに、
図5及び
図8に示す矢印と反対側に、蓋体20をケース本体10に対して横方向Yの右から左にスライドさせる。
【0045】
そうすると、蓋体20の軸凸部27Rは、
図8中右側の段部16を超えてレール溝部15rに入り、レール溝部15r内を
図8において右から左にスライド移動し、
図8中左側の段部16を乗り越えて、開閉側保持凹部17B内に保持される。保持凸部27Hは、ケース本体10の外部を移動して回転側切り欠き部18Aに入り、回転側保持凹部17A内に保持される。これにより、
図1及び
図7に示すように、蓋体20の内面がケース本体の側を向いた状態で筆記具収納部11の上面側を覆う、蓋体20が閉位置になる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の筆記具ケース101について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の部分は同一の符号を付し、第2実施形態において、第1実施形態と同様な説明は省略する。第2実施形態の筆記具ケース101が第1実施形態の筆記具ケース1と異なる点は、以下である。
【0047】
(ケース本体10)
図11はケース本体10の斜視図である。第1実施形態で開閉側切り欠き部18Bは、開閉側保持凹部17Bから上下方向下側に向かって設けられていたが、第2実施形態で開閉側切り欠き部18Bは、開閉側保持凹部17Bから上下方向上側に向かって設けられている。
【0048】
(蓋体20)
図12は蓋体20の内面側から見た斜視図である。第1実施形態では、蓋体端板部24の、蓋体側板部23側に、保持凸部27Hが設けられ、蓋体側板部23と反対側に、軸凸部27Rが設けられていた。しかし、第2実施形態では、蓋体端板部24の、蓋体側板部23側に、軸凸部27Rが設けられ、蓋体側板部23と反対側に、保持凸部27Hが設けられている。
【0049】
(筆記具ケース101の動作)
(閉位置)
図13は、蓋体20の内面がケース本体10の側を向いた状態で筆記具収納部11の上面側を覆う、蓋体20が閉位置にある状態を示す、
図1で示した第1実施形態のケース本体のI-I線と同じ断面位置での断面図である。
【0050】
蓋体20の軸凸部27Rは、ケース本体10の回転側保持凹部17Aの内部に嵌合して保持され、蓋体20の保持凸部27Hは、ケース本体10の開閉側保持凹部17Bの内部に嵌合して保持されている。これにより、使用者が蓋体20の保持凸部27H側を上方に移動させない限り、蓋体20は、ケース本体10の筆記具収納部11の上面側を覆う状態に保持された状態を保つ。
【0051】
(回転)
図14は、
図13に示す状態から蓋体20を図示する矢印の方向に回転させている状態を示す、
図1で示した第1実施形態のケース本体のI-I線と同じ断面位置での断面図である。蓋体20は、軸凸部27Rを軸として、矢印方向に回転する。
図15は、
図14に示す状態から、蓋体20が回転してケース本体10の横方向Yの同一直線上に来た状態を示す、
図1で示した第1実施形態のケース本体のI-I線と同じ断面位置での断面図である。
【0052】
蓋体20が閉位置にある状態(
図13)から蓋体20の保持凸部27H側を上方に移動させると、開閉側保持凹部17Bに保持されていた蓋体20の保持凸部27Hは、開閉側保持凹部17Bと開閉側切り欠き部18Bとの間の段差を超えて開閉側保持凹部17B(スライド溝15)から離脱し、開閉側切り欠き部18Bに乗り上げる。そして、開閉側切り欠き部18B内を上方に移動して開閉側切り欠き部18Bから離脱し、ケース本体10の外部へと移動する。続けて、蓋体20を
図14の矢印方向に、軸凸部27Rを軸として
図15の状態まで回転させる。
【0053】
(スライド移動)
次いで、蓋体20に対して図示する矢印の方向に力を加えて、蓋体20をケース本体10に対して図中右側から左側に向かって横方向Yにスライドさせる。
【0054】
(開位置)
図16は、蓋体20を
図15に示す状態からスライドさせて、蓋体20の内面がケース本体10の側を向いた状態でケース本体10の下面側に配置された、蓋体20が筆記具収納部11を開放した開位置にある状態を示す、
図1で示した第1実施形態のケース本体のI-I線と同じ断面位置での断面図である。
【0055】
回転側保持凹部17Aに保持されていた蓋体20の軸凸部27Rは、回転側保持凹部17Aから
図15中右側の段部16を超えてレール溝部15r内に入り、レール溝部15r内を右から左にスライド移動し、左側の段部16を乗り越えて、開閉側保持凹部17B内に保持される。
【0056】
保持凸部27Hは、回転側切り欠き部18Aを通って回転側保持凹部17A内に入り、回転側保持凹部17Aに保持される。
【0057】
これにより、使用者が蓋体20を意図的に横方向Yの右側に向かってスライドさせない限り、蓋体20は、ケース本体10の筆記具収納部11の下面側を覆う状態に保持される。
【0058】
蓋体20を
図16に示す開位置から、
図13に示す閉位置に移動させるには、蓋体20を上記と逆に移動させる。
【0059】
(実施形態の効果)
以上、第1実施形態の筆記具ケース1及び第2実施形態の筆記具ケース101によると、以下の効果を有する。
【0060】
筆記具ケース1,101は、内部に筆記具収納部11を有するケース本体10と、ケース本体10との接触を維持したまま、ケース本体10に対して、スライド及び回転することにより、内面がケース本体10の側を向いた状態で筆記具収納部11の上面側を覆う閉位置と、内面がケース本体10の側を向いた状態でケース本体10の下面側に配置されて筆記具収納部11を開放する開位置と、の間を移動可能な蓋体20と、を備える。
【0061】
筆記具ケース1,101は、このように、ケース本体10と蓋体20との2部品で構成可能であるので、部品数が少なく安価に製造可能である。
【0062】
また、蓋体20はケース本体10と接触したまま、ケース本体10とを分離することなく、閉状態と開状態とをとることができるので、蓋体20が紛失したりすることがない。
【0063】
さらに、蓋体20は、内面がケース本体10の側を向いた状態で筆記具収納部11の上面側を覆う閉位置と、内面がケース本体10の側を向いた状態でケース本体10の下面側に配置されて筆記具収納部11を開放する開位置と、を取ることができる。ゆえに、筆記具Pの使用時における筆記具収納部11を開放する開位置において、蓋体20がケース本体10の横に配置されないので、場所を取らず、使い勝手がよい。
【0064】
そして、開位置において、内面がケース本体10の側を向いた状態でケース本体10の下面側に配置されているので、蓋体20の内部にケース本体10を配置することができ、開状態での蓋体20とケース本体10とを重ねたときの高さが、高くならない。
【0065】
また、筆記具ケース1,101は、ケース本体10と蓋体20のうちの一方の両端部には、スライド溝15が設けられ、ケース本体10と蓋体20のうちの他方の両端部には、スライド溝15をスライド移動する軸凸部27Rが設けられ、蓋体20は、ケース本体10に沿ってスライドし、ケース本体10におけるスライド方向の片方の側において、軸凸部27Rを中心として回転する。このように蓋体20とケース本体10との回転機構は、薄板部材を用いたヒンジ構造ではないので、強度が向上すると共に耐久性が向上する。
【0066】
そして、筆記具ケース1,101は、軸凸部27Rが、ケース本体10又は蓋体20の両端部における、スライド方向の一方の側に設けられ、両端部における、スライド方向の他方には、スライド溝15から離脱可能な保持凸部27Hが設けられている。筆記具ケース1,101は、スライド溝15のスライド方向の両側には段部16が設けられ、スライド溝15における段部16よりも、さらにスライド方向の両側は、軸凸部27R及び保持凸部27Hを保持可能な保持凹部17となっている。したがって、閉位置及び開位置での蓋体20の不要な移動が防止される。
【0067】
実施形態の筆記具ケース1,101は全体がプラスチックで製造されているので、金属の筆記具ケースと比べて軽量で持ち運びしやすい。また、机から落下した場合であっても金属の筆記具ケースのような騒音が発生しない。仮に、落下してケース本体と蓋体とが分離してしまったとしても、元の組付けた状態に戻すことも可能である。
【0068】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、これに限定されず、種々の変更が可能である。例えば、実施形態では、ケース本体10の両端部に設けられた本体端板部14に、スライド溝15が設けられ、蓋体20の両端部に設けられた蓋体端板部24に、スライド溝15をスライド移動する軸凸部27Rが設けられた形態であったが、蓋体の両端部に設けられた蓋体端板部にスライド溝が設けられ、ケース本体の両端部に設けられた本体端板部に、軸凸部を設けた形態であってもよい。
【0069】
実施形態では、動作時に、蓋体端板部24に設けられた保持凸部27Hが、本体端板部14に設けられた回転側切り欠き部18A及び開閉側切り欠き部18Bに乗り上げ可能なように、保持凸部27Hの高さは回転側切り欠き部18A及び開閉側切り欠き部18Bの深さより僅かに大きい程度であったが、保持凸部の高さを回転側切り欠き部18A及び/または開閉側切り欠き部18Bの深さより小さくして、切り欠き部に入るときの(乗り上げ)抵抗がないようにしてもよい。
【0070】
第1実施形態の開位置又は第2実施形態の閉位置で、蓋体20の開閉側がケース本体10から意図せず離れないよう保持する機構を、開閉側保持凹部17Bと開閉側切り欠き部18Bの段差と、保持凸部27Hの高さ、との関係以外の方法で実現してもよい。例えば、開閉側切り欠き部18Bの深さは開閉側保持凹部17Bの深さと同じにして、開閉側切り欠き部18BのY方向の幅の一部を保持凸部27Hの径より僅かに(意図的な力を加えることで保持凸部27Hが通過できる程度に)狭くしてもよく、天板部22と本体側板部13に互いをロックする構造を取り付けてもよい。
【0071】
第1実施形態又は第2実施形態の開位置及び閉位置で、蓋体20がケース本体10から意図せずスライドしないよう保持する機構を、段部16と軸凸部27Rとの高さの関係以外の方法で実現してもよい。例えば、スライド溝15において、段部16を設ける代わりに、レール溝部15rと保持凹部17との間の一部の上下方向の幅を軸凸部27Rの径より僅かに(意図的な力を加えることで軸凸部27Rが通過できる程度に)狭くしてもよい。
【0072】
また、第1実施形態の閉位置又は第2実施形態の開位置においては、段部16と軸凸部27Rとの高さの関係に加えて、回転側保持凹部17Aと回転側切り欠き部18Aの段差と、保持凸部27Hの高さとの関係も蓋体20の開閉側がケース本体10から意図せずスライドしないよう保持する機構として機能しているが、こちらはなくてもよいし、別の方法で実現してもよい。別の方法としては、例えば、回転側切り欠き部18Aの深さは回転側保持凹部17Aの深さと同じにして、回転側切り欠き部18Aの上下方向の幅の一部を保持凸部27Hの径より僅かに(意図的な力を加えることで保持凸部27Hが通過できる程度に)狭くしてもよい。さらに別の方法として、天板部22と本体側板部13に互いをロックする構造を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1,101 筆記具ケース
10 ケース本体
11 筆記具収納部
12 底板部
12A 凹条部
13 本体側板部
13A 回転側本体側板部
13B 開閉側本体側板部
14 本体端板部
15 スライド溝
15r レール溝部
16 段部
17 保持凹部
17A 回転側保持凹部
17B 開閉側保持凹部
18A 回転側切り欠き部
18B 開閉側切り欠き部
19 当接部
20 蓋体
22 天板部
23 蓋体側板部
24 蓋体端板部
27H 保持凸部
27R 軸凸部
29 凸条部
P 筆記具