(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085034
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】液体計量容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
B65D47/20 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199351
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000104526
【氏名又は名称】キタノ製作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】池本 健二
(72)【発明者】
【氏名】種田 知波
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084AB09
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA02
3E084FB01
3E084FC04
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084JA07
3E084KB01
3E084LA18
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
3E084LE06
(57)【要約】
【課題】内容液を一定量に計量する計量動作と、計量後の注出動作が簡単であり、正確に計量して注出することができる液体計量容器を提供する。
【解決手段】計量部28の先端を閉鎖する上面部30と、上面部30に開口する注出口34を有する計量筒部材18を備える。注出口34内に上端部が挿通され挿通方向に移動可能で、押し下げられた時に透孔63を開放し、引き上げられた時に透孔63を閉鎖する弁部材78を備える。計量筒部材18の上面部30に被せられたキャップ44を有する。弁部材78を係止する係合手段である係止筒部50、または弁部材78を上方に付勢する弾性体110を備える。キャップ44を開けると、弁部材78が透孔63を閉鎖するとともに、注出口34が開口する。溢流筒68は、容器本体12を傾けて計量筒部材18に内容液90を注入した後、正立状態にしたときに、計量部28内の余分な内容液90が溢流し、所定の計量値となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に口部が設けられ内容液を収容する容器本体と、前記口部を塞ぐ仕切壁部と前記仕切壁部に形成された透孔を有する中栓と、前記中栓に取り付けられ筒状の側面である計量部と前記計量部の先端を閉鎖する上面部と前記上面部に開口する注出口を有する計量筒部材と、前記透孔から前記計量筒部材へ挿通され前記注出口内に上端部が挿通され挿通方向に移動可能に設けられ、前記容器本体側に押し下げられた時に前記透孔を開放し、引き上げられた時に前記透孔を閉鎖するバルブを有する弁部材と、前記計量筒部材の上面部に着脱可能に被せられるキャップと、前記キャップと前記弁部材を係止する係合手段が設けられ、
前記キャップを開ける時に、前記係合手段により係止された前記弁部材が前記キャップに引かれて移動し、前記弁部材の前記バルブが前記透孔を閉鎖するとともに、前記係合手段が解かれて前記注出口が開口して前記計量部内の内容液が注出可能となり、
前記透孔には筒形の溢流筒が前記計量部へ突出して設けられ、前記溢流筒の先端の開口縁は、前記容器本体を傾けて前記計量筒部材に前記内容液を注入した後、前記容器本体を傾斜状態、または正立状態に戻したときに、前記計量部内の余分な前記内容液が乗り越えて前記容器本体に溢流し前記計量部内の液量が所定の計量値となる溢流端面であることを特徴とする液体計量容器。
【請求項2】
上端部に口部が設けられ内容液を収容する容器本体と、前記口部を塞ぐ仕切壁部と前記仕切壁部に形成された透孔を有する中栓と、前記中栓に取り付けられ筒状の側面である計量部と前記計量部の先端を閉鎖する上面部と前記上面部に開口する注出口を有する計量筒部材と、前記透孔から前記計量筒部材へ挿通され前記注出口内に上端部が挿通され挿通方向に移動可能に設けられ、前記容器本体側に押し下げられた時に前記透孔を開放し、引き上げられた時に前記透孔を閉鎖するバルブを有する弁部材と、前記計量筒部材の上面部に着脱可能に被せられるキャップと、
前記キャップを閉めたときに前記弁部材を所定位置まで押し込む押込手段と、前記バルブ下部に前記弁部材を上方に付勢する弾性体が設けられ、
前記キャップを開ける時に、前記押込手段が前記弁部材から離れ、前記弁部材は前記弾性体により押し上げられて移動し、前記弁部材の前記バルブが前記透孔を閉鎖するとともに前記注出口が開口して前記計量部内の内容液が注出可能となり、
前記透孔には筒形の溢流筒が前記計量部へ突出して設けられ、前記溢流筒の先端の開口縁は、前記容器本体を傾けて前記計量筒部材に前記内容液を注入した後、前記容器本体を傾斜状態、または正立状態に戻したときに、前記計量部内の余分な前記内容液が乗り越えて前記容器本体に溢流し前記計量部内の液量が所定の計量値となる溢流端面であることを特徴とする液体計量容器。
【請求項3】
前記溢流端面は、前記液体計量容器の組立状態で前記容器本体を正立させた時に略水平となる水平溢流端面である請求項1又は2記載の液体計量容器。
【請求項4】
前記溢流端面の約半周は前記水平溢流端面であり、前記溢流端面の、前記水平溢流端面以外の約半周には、前記水平溢流端面よりも前記液体計量容器の組立状態で上方に突出する突出溢流端面が設けられ、前記水平溢流端面と前記突出溢流端面の間はなだらかな傾斜溢流端面で連続し、
前記傾斜溢流端面は、前記仕切壁部側に向かって凹む曲面であり、
前記容器本体を傾けて前記計量部に前記内容液を注入した後、前記容器本体を正立状態に戻す間のどの傾斜位置でも、前記計量値の前記内容液の液面の位置より下方に位置しないよう設定されている請求項3記載の液体計量容器。
【請求項5】
前記上面部の外側には、ヒンジ部を介して前記キャップが設けられ、
前記中栓と前記計量筒部材は、前記突出溢流端面が、前記ヒンジ部とは反対側に位置する向き、もしくは前記ヒンジ部に対して垂直方向に突出するとともに前記ヒンジ部側とは異なる位置に設けられ、前記中栓と前記計量筒部材には、互いに取り付ける向きを位置決めする位置決め手段が各々設けられている請求項4記載の液体計量容器。
【請求項6】
前記計量部は透明または半透明の材料で作られ、前記計量部に、前記容器本体の傾斜状態での計量水位を示す傾斜水位線が設けられ、前記内容液の水位が前記傾斜水位線に一致することを外側から視認することができる請求項1又は2記載の液体計量容器。
【請求項7】
前記仕切壁部の、前記溢流筒とは反対側には、前記透孔に連続して円筒部が設けられ、
前記注出口の下端部には、一方向に長い保持板が連続して設けられ、前記保持板には挿通孔が上下に貫通して設けられ、
前記弁部材は一方向に長い棒状の本体を有し、前記本体の下端部付近には前記バルブが設けられ、前記本体の上端部付近は前記保持板の前記挿通孔に挿通され、前記バルブは前記円筒部に挿通され、前記弁部材は前記容器本体と前記計量筒部材の挿通方向に対して略平行に移動する請求項1又は記載の液体計量容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医薬品などの薬液や化粧液、その他食品や入浴剤や洗浄剤等の液体を収容し、一回の使用量を計量して取り出すことができる液体計量容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品などの薬液や化粧液、その他食品等の液体を収容し、一回の使用量を計量して一定化する液体計量容器がある。例えば、特許文献1に開示されているディスペンサー付き容器は、容器本体の口部に装着され、その内部に収容した内容物を定量注出するディスペンサーを備えている。ディスペンサーは、内容物を収容する貯留タンクと、この貯留タンクに保持され容器本体の口部を通して容器本体内から内容物を定量注出する計量栓と、この計量栓に合わさり内容物を貯留タンクに送給する前に一旦保持する定量注出空間を形成するケーシングからなる。計量栓には、定量注出空間と貯留タンクをつないで内容物を貯留タンクへ供給する貫通孔と、貯留タンク内の内容物をケーシングを経て外界へ排出する排出口が設けられている。容器本体の内容物を定量注出するには、まず、容器本体を倒立させ、容器本体の内容物を計量栓の開口部先端に達するまで定量注出空間に一定量を流し込む。次に容器本体を正立に戻し、定量注出空間の内容物は定量栓の貫通孔を通って貯留タンクに送給され、貯留タンクに一旦保持される。そしてキャップを取り外して排出口を開き、容器本体を傾けて、貯留タンク内の内容物が外へ排出される。
【0003】
また、特許文献2に開示されている定量注出容器は、容器本体の取出口に設けられこの取出口を塞ぐ仕切壁部と仕切壁部に形成された透孔とこの透孔を囲んで形成された筒状の計量部を有する中栓を備える。さらに、中栓の透孔に挿通され挿通方向に移動可能に設けられているとともに、計量部の開口部を閉鎖する第一弁と、中栓の透孔を容器本体側から閉鎖する第二弁とを有する弁部材を備える。弁部材は、中栓の透孔を開き、計量部の開口部を閉じた計量状態と、透孔を閉じ計量部の開口部を開いた注出状態とを択一的に且つほぼ同時に切り替える。容器本体の内容液を定量注出するには、まず、計量部が弁部材に密閉され透孔が開放された計量状態で、容器本体を倒立させ、容器本体の内容液を流し込み、計量部に充満させて計量する。次に弁部材を外側に向かって移動させる。すると、計量部の開口から弁部材の第一弁が離間して注出状態となり、計量室に溜まった内容液が注出される。それとほぼ同時に中栓の透孔が第二弁により閉鎖され、余分な内容液が容器本体から流れることを防ぎ、計量部の内側に満たされた一定量の内容液が取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002―37297号公報
【特許文献2】特開2003-128109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術の特許文献1の場合、容器本体の内容物は計量栓の開口部先端に達するまで定量注出空間に一定量を流し込むことで、計量されるものであり、正確に計量されない場合がある。弁部材を持たないため、容器本体を倒立させた後に正立に戻す際に、容器本体から余分な内容物が定量注出空間に加えられる恐れもある。
【0006】
特許文献2の場合、容器本体を倒立させた状態で弁部材を移動させて内容液を注出するため、注出動作が面倒である。また、弁部材は計量状態と注出状態を同時に切り替えるため、切り替え時に余分な内容液が計量部に加えられる恐れがあり、正確に計量されない恐れがある。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、内容液を一定量に計量する計量動作と、計量した内容液を注出する注出動作が簡単であり、また正確に一定量を計量して注出することができる液体計量容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上端部に口部が設けられ内容液を収容する容器本体と、前記口部を塞ぐ仕切壁部と前記仕切壁部に形成された透孔を有する中栓と、前記中栓に取り付けられ筒状の側面である計量部と前記計量部の先端を閉鎖する上面部と前記上面部に開口する注出口を有する計量筒部材と、前記透孔から前記計量筒部材へ挿通され前記注出口内に上端部が挿通され挿通方向に移動可能に設けられ前記容器本体側に押し下げられた時に前記透孔を開放し引き上げられた時に前記透孔を閉鎖するバルブを有する弁部材と、前記計量筒部材の上面部に着脱可能に被せられるキャップと、前記キャップと前記弁部材を適度な強さで係止する係合手段が設けられ、前記キャップを開ける時に、前記係合手段により係止された前記弁部材が前記キャップに引かれて移動し、前記弁部材の前記バルブが前記透孔を閉鎖するとともに、前記係合手段が解かれて前記注出口が開口して前記計量部内の内容液が注出可能となり、前記透孔には筒形の溢流筒が前記計量部へ突出して一体に設けられ、前記溢流筒の先端の開口縁は、前記容器本体を傾けて前記計量筒部材に前記内容液を注入した後、前記容器本体を傾斜状態または、正立状態に戻したときに、前記計量部内の余分な前記内容液が乗り越えて前記容器本体に溢流し前記計量部内の液量が所定の計量値となる溢流端面であることを特徴とする液体計量容器である。
【0009】
または、上端部に口部が設けられ内容液を収容する容器本体と、前記口部を塞ぐ仕切壁部と前記仕切壁部に形成された透孔を有する中栓と、前記中栓に取り付けられ筒状の側面である計量部と前記計量部の先端を閉鎖する上面部と前記上面部に開口する注出口を有する計量筒部材と、前記透孔から前記計量筒部材へ挿通され前記注出口内に上端部が挿通され挿通方向に移動可能に設けられ、前記容器本体側に押し下げられた時に前記透孔を開放し、引き上げられた時に前記透孔を閉鎖するバルブを有する弁部材と、前記計量筒部材の上面部に着脱可能に被せられるキャップと、前記キャップを閉めたときに前記弁部材を所定位置まで押し込む押込手段と、前記バルブ下部に前記弁部材を上方に付勢する弾性体が設けられ、前記キャップを開ける時に、前記押込手段が前記弁部材から離れ、前記弁部材は前記弾性体により押し上げられて移動し、前記弁部材の前記バルブが前記透孔を閉鎖するとともに前記注出口が開口して前記計量部内の内容液が注出可能となり、
前記透孔には筒形の溢流筒が前記計量部へ突出して設けられ、前記溢流筒の先端の開口縁は、前記容器本体を傾けて前記計量筒部材に前記内容液を注入した後、前記容器本体を傾斜状態、または正立状態に戻したときに、前記計量部内の余分な前記内容液が乗り越えて前記容器本体に溢流し前記計量部内の液量が所定の計量値となる溢流端面であることを特徴とする液体計量容器である。
【0010】
前記溢流端面は、前記液体計量容器の組立状態で前記容器本体を正立させた時に略水平となる水平溢流端面である。
【0011】
前記溢流端面の約半周は前記水平溢流端面であり、前記溢流端面の、前記水平溢流端面以外の約半周には、前記水平溢流端面よりも前記液体計量容器の組立状態で上方に突出する突出溢流端面が設けられ、前記水平溢流端面と前記突出溢流端面の間はなだらかな傾斜溢流端面で連続し、前記傾斜溢流端面は、前記仕切壁部側に向かって凹む二次曲線状等の曲面であり、前記容器本体を傾けて前記計量部に前記内容液を注入した後、前記容器本体を正立状態に戻す間の、どの傾斜位置でも前記内容液が溢流しすぎて前記計量値が少なくならないように、前記計量値の前記内容液の液面の位置より下方に位置しないよう設定されている。
【0012】
前記上面部の外側には、ヒンジ部を介して前記キャップが設けられ、前記中栓と前記計量筒部材は、前記突出溢流端面が、前記ヒンジ部とは180°反対側、に位置する向き、もしくは前記ヒンジ部に対して垂直方向に突出するとともに前記ヒンジ部側とは異なる位置に設けられ、前記中栓と前記計量筒部材には、互いに取り付ける向きを位置決めする位置決め手段が各々設けられている。
【0013】
前記計量部は透明または半透明の材料で作られ、前記計量部に、前記容器本体の傾斜状態での計量水位を示す傾斜水位線が設けられ、前記内容液の水位が前記傾斜水位線に一致することを外側から視認することができる。
【0014】
前記仕切壁部の、前記溢流筒とは反対側には、前記透孔に連続して円筒部が設けられ、前記注出口の下端側には、一方向に長い保持板が連続して設けられ、前記保持板には挿通孔が上下に貫通して設けられ、前記弁部材は一方向に長い棒状の本体を有し、前記本体の下端部付近には前記バルブが設けられ、前記本体の上端部付近は前記保持板の前記挿通孔に挿通され、前記バルブは前記円筒部に挿通され、前記弁部材は前記容器本体と前記計量筒部材の挿通方向に対して略平行に移動する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液体計量容器は、内容液を一定量に計量する計量動作と、計量した内容液を注出する注出動作が簡単であり、また正確に一定量を計量して注出することができる。計量した一定量の内容液を、複数回に分けて注出することができ、便利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の第一実施形態の液体計量容器の縦断面図である。
【
図2】この発明の第一実施形態の液体計量容器の注出状態を示す縦断面図である。
【
図3】この発明の第一実施形態の液体計量容器の部分破断斜視図である。
【
図4】この発明の第一実施形態の液体計量容器の計量動作を示す縦断面図である。
【
図5】この発明の第一実施形態の液体計量容器の計量動作を示す縦断面図である。
【
図6】この発明の第一実施形態の液体計量容器の計量動作を示す縦断面図である。
【
図7】この発明の第一実施形態の液体計量容器の注出動作を示す縦断面図である。
【
図8】この発明の第一実施形態の液体計量容器の斜視図(a)と、キャップを開いた状態を示す斜視図(b)である。
【
図9】この発明の第二実施形態の液体計量容器の縦断面図である。
【
図10】この発明の第三実施形態の液体計量容器の縦断面図である。
【
図11】この発明の第三実施形態の液体計量容器の注出状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図8はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の液体計量容器10は、上端部に口部14が設けられ後述する内容液90を収容する有底筒状の容器本体12を有し、容器本体12は比較的硬い合成樹脂で作られている。口部14は、容器本体12より径が小さい円筒状で、口部14の外側面には雄ねじ16が設けられている。
【0018】
口部14には、透明または半透明の合成樹脂で作られた計量筒部材18が嵌合されて設けられている。計量筒部材18には、口部14の内側に嵌合される円筒状の取付部20が設けられ、取付部20の上端部には、口部14の上端部に当接するフランジ部22が一周して形成されている。取付部20の内周面の、フランジ部22に一致する位置には、後述する中栓60が嵌合する取付溝部23が、一周して設けられている。
【0019】
フランジ部22の外周縁部に連続して、口部14の外側を覆う円筒形の装着部24が設けられ、装着部24の内側面に雌ねじ26が形成されている。フランジ部22の内周縁部に連続して、筒状の側面である計量部28が上方に突出して形成されている。
【0020】
計量部28の先端には、計量部28の先端を閉鎖する上面部30を有している。上面部30の中央には、円筒形の注出口34が上面部30を上下に貫通して形成され、上面部30を開口している。上面部30は、注出口34に近づくにつれて上昇し、円錐台状に傾斜している。注出口34は、計量部28よりも径が小さい円筒形であり、上面部30から上方に突出し、円筒形の上端部は、注出口34の外側に一周して広がっている。注出口34の下端側には、一方向に長い板がコの字形に折り曲げられた保持板36が連続して設けられている。保持板36の長手方向の両端部は、上面部30の下側面の、注出口34の直径上に位置する2か所に連続し、下方に凸となり、下方に位置する部分は注出口34の挿通方向に対して略直角であり、中央が円板状に幅広くなり、円板の中央に挿通孔38が上下に貫通して設けられている。
【0021】
上面部30の、円周よりも少し内側には、後述するキャップ44が閉められるキャップ用凸部40が一周して設けられている。上面部30の、キャップ用凸部40の外側には、ヒンジ部42を介してキャップ44が設けられている。キャップ44は、ヒンジ部42を回転軸として開閉可能である。キャップ44は、上面部30とキャップ用凸部40を覆って被せられる円板形の上面部44aが設けられ、上面部44aの周縁には、キャップ用凸部40の外周面に嵌合する筒部44bが一体に形成されている。筒部44bの挿通方向の長さは、キャップ44が上面部30に閉じられた時に注出口34の上端部と上面部44aが接しないものである。ヒンジ部42は、保持板36の両端部が連続する注出口34の直径上に位置している。キャップ44のヒンジ部42付近には、筒部44bの外側面に、キャップ44の開放状態を維持する開放用突起42aが形成されている。上面部30のヒンジ部42付近には、計量部28の外側面に、開放用突起42aが係止されてキャップ44の開放状態を維持する開放用凹部42bが設けられている。
【0022】
上面部44aの内側面の中央には、注出口34の内周面に嵌合される円筒形の液止め筒部48が設けられている。液止め筒部48の内側には、後述する弁部材78を適度な強さで係止する係合手段である係止筒部50が設けられている。係止筒部50は、弁部材78の本体78aの上端部を囲む円筒形に形成され、係止筒部50の内周面には、本体78aの係合手段である係止溝部82に差し込まれて係止される係止突起50aが一周して設けられている。係止筒部50の内周面の、上面部44aに近い位置には、キャップを閉めたときに弁部材78の本体78aの上端部に当接して弁部材78を所定位置まで押し込む4つの係止突条50bが、挿通方向に長く設けられている。
【0023】
キャップ44の、ヒンジ部42とは反対方向は、開閉操作を容易にする鍔部46が設けられている。キャップ44の筒部44bの内周面には、鍔部46の両脇に位置する部分に、キャップ用凸部40を乗り越えて嵌合される係止用凸部52が各々設けられている。計量部28の外側面に、鍔部46に隣接する部分に指を鍔部46にかけやすくするための凹部が設けられてもよい。
【0024】
計量部28の内周面には、フランジ部22よりも少し上方に、水平水位線56が設けられている。水平水位線56は、例えば計量部28の内周面に形成された小さい突条であり、計量部28は透明または半透明の合成樹脂で作られているため、計量部28の外側から線として視認される。水平水位線56は、計量部28の挿通方向に対して略直角に一周して形成されて、液体計量容器10の正立の使用状態では略水平に位置する。計量部28の内周面の、水平水位線56の上方には、傾斜水位線58が設けられている。傾斜水位線58も、水平水位線56と同様に内周面に形成された小さい突条であり、計量部28の外側から線として視認される。傾斜水位線58は、計量部28を半周する長さであり、長手方向の中心がヒンジ部42とは反対側で上面部30の近傍に位置し、両端部が水平水位線56の、ヒンジ部42が位置する直径方向に直交する直径付近を通過して計量部28の下端部に達している。
図1に示すように計量部28を、ヒンジ部42が右に来るようにして見た時に、水平水位線56と傾斜水位線58の交差する部分の、左側の角度Aは例えば約45°である。
【0025】
計量部28の内周面には、ヒンジ部42が設けられた位置に、位置決め突起59が設けられている。位置決め突起59は、中栓60と計量筒部材18を互いに取り付ける向きを位置決めする位置決め手段であり、計量部28の挿通方向に沿う突条であり、位置決め突起59の上端は上面部30に達し、下端はフランジ部22よりも少し上方に達している。
【0026】
計量筒部材18には、合成樹脂製の中栓60が嵌合されて取り付けられている。中栓60には、計量筒部材18の取付部20の開口部、つまり口部14を塞ぐ仕切壁部62を有し、仕切壁部62の周縁には、取付部20の内周面に沿う筒部64が一体に形成されている。筒部64の、開口の端部の外周面には、計量筒部材18の取付溝部23に差し込んで取り付ける取付突部64aが一周して設けられている。筒部64の挿通方向の長さは、計量筒部材18の取付部20とほぼ同じである。筒部64の開口の端面には、係止凸部65が仕切壁部62とは反対側に突出して設けられている。係止凸部65には、筒部64の挿通方向に連続する係止溝65aが設けられている。係止溝65aは、係止凸部65を筒部64の半径方向に貫通して形成され、幅は、計量筒部材18の位置決め突起59が嵌合されるものである。
【0027】
仕切壁部62の中央には透孔63が形成され、透孔63に連続して仕切壁部62の筒部64側に突出する円筒形の溢流筒68が一体に設けられている。透孔63の内周面には、後述する弁部材78のバルブ80が密閉されるシール突起66aが一周して設けられている。溢流筒68は、筒部64の挿通方向に平行な中心軸を有し、溢流筒68の内側空間は仕切壁部62を連通する挿通孔66となる。溢流筒68の、先端の円形の開口縁は、後述する計量動作の際に、容器本体12を傾けて計量筒部材18に内容液90を注入した後、容器本体12を正立状態に徐々に戻す際に、計量部28内の余分な内容液90が乗り越えて容器本体12に溢流させて、計量部28内の液量が所定の計量値となる溢流端面70である。
【0028】
溢流端面70の、係止凸部65側の約半周は水平溢流端面70aとなり、水平溢流端面70aは挿通孔66の挿通方向に対して略直角であり、筒部64の開口の端面を超えて突出し、液体計量容器10の組立状態で容器本体12を成立させた時に略水平となり、中栓60を取り付けた計量筒部材18の側方から見て計量筒部材18の水平水位線56とほぼ一致する。溢流端面70の、水平溢流端面70a以外の、係止凸部65とは反対側の約半周には、水平溢流端面70aよりも高く突出する突出溢流端面70bが一体に設けられている。
【0029】
突出溢流端面70bの仕切壁部62からの高さは、例えば水平溢流端面70aの仕切壁部62からの高さの約1.7倍程度である。突出溢流端面70bは挿通孔66の挿通方向に対して略直角であり、水平溢流端面70aに対して略平行である。突出溢流端面70bの円周方向の長さは、例えば溢流端面70の約6分の1程度であり、円周方向の円弧の中心は、注出方向と一致する。水平溢流端面70aと突出溢流端面70bの間は、なだらかな傾斜溢流端面70cで連続し、傾斜溢流端面70cは、仕切壁部62側に向かって凹む二次曲線状又は円弧状の曲面である。傾斜溢流端面70cは、後述する計量動作の際に容器本体12を傾けて計量部28に内容液90を注入した後、容器本体12を正立状態に戻す間のどの傾斜位置でも内容液90が溢流し過ぎて計量値が少なくならないように、計量値の内容液90の液面の位置より下方に位置しないよう設定されている。従って、傾斜水位線58は、
図1等に示すように、水平方向の投影位置で傾斜溢流端面70cとほぼ接した状態の位置関係にあり、後述するように計量時の内容液90の液面位置が、所定の計量位置である傾斜水位線58から下がらないような曲線に形成されている。
【0030】
仕切壁部62の、溢流筒68とは反対側には、挿通孔66に連続して円筒部72が設けられている。円筒部72は、溢流筒68と同軸であり、基端部が仕切壁部62に連続し、先端部が仕切壁部62から溢流筒68とは反対側に位置し、例えば、筒部64と同じ深さ程度に移動した位置に達している。
【0031】
円筒部72の先端部には、円筒部72の開口を閉鎖する底部74が設けられている。円筒部72には、4個の透孔76が円周方向に90°の間隔で形成され、円筒部72の内側と、容器本体12の内部空間を連通している。
【0032】
液体計量容器10には組み立てた状態で、中栓60の透孔63から計量筒部材18へ溢流筒68を通過して挿通される弁部材78が設けられている。弁部材78は挿通方向に移動可能であり、PP等の比較的剛性の高い合成樹脂で作られている。弁部材78は、一方向に長い棒状の本体78aを有し、本体78aの長さは、液体計量容器10を組み立てた状態で、円筒部72の底部74から、透孔63と、保持板36の挿通孔38を通過して、保持板36から上方に突出するものであり、本体78aの径は、透孔63,挿通孔38を通過可能なものである。本体78aの下端部には、液体計量容器10を組み立てた状態で、弁部材78が容器本体12側に押し下げられた時に透孔63を開放し、引き上げられた時に透孔63を閉鎖するバルブ80が設けられている。バルブ80は、透孔63のシール突起66aに密着して嵌合し挿通孔66を閉鎖する円形であり、フランジ状に本体78aの側方に突出して設けられている。
【0033】
弁部材78の本体78aには、本体78aの上端部から少し下方に離れた位置であって組み立て状態で保持板36の挿通孔38から上方に突出する位置に、キャップ44の係止筒部50の係止突起50aが差し込まれて係止される係止溝部82が側周面を一周して設けられている。本体78aの、係止溝部82よりもバルブ80に近い位置には、側方へ突出するストッパー84が側周面を一周して設けられている。ストッパー84の外径は、挿通孔38の内径よりも大きく、挿通孔38を通過することができない。ストッパー84の少し上には、側方へ小さく突出するストッパー86が側周面の複数か所、例えば円周方向の等間隔に4か所に設けられている。ストッパー86の外径は、挿通孔38の内径より少し大きく、挿通孔38の周縁部に係止されるが、弁部材78を強い力で動かすと挿通孔38を通過可能である。ストッパー84とストッパー86の間隔は、保持板36の厚みとほぼ等しい。このため、液体計量容器10を組み立てた状態で、弁部材78を強い力で上方に移動すると、上方のストッパー86は保持板36の挿通孔38を通過し、下方のストッパー84は通過せず、弁部材78は保持板36に係止され、上下方向に移動しなくなる。
【0034】
次に、この実施形態の液体計量容器10の組立方法について説明する。まず、計量筒部材18のキャップ44を、ヒンジ部42を回転軸として移動させて、上面部30の上方からかぶせ、キャップ44の係止用凸部52をキャップ用凸部40に係止して閉じると、キャップ44の液止め筒部48は、計量筒部材18の注出口34の内周面に差し込まれて液密となる。
【0035】
計量筒部材18の装着部24側から弁部材78を入れて、保持板36の挿通孔38に挿通し、押し込む。弁部材78のストッパー86は挿通孔38を通過して保持板36の上方に位置し、係止筒部50の係止突起50aに係止溝部82が差し込まれる。さらに、ストッパー84は保持板36の下方に位置し、保持板36に係止される。次に、計量筒部材18の装着部24側から中栓60を入れ、弁部材78を溢流筒68に挿通させ、強い力で押し込む。この時、中栓60の係止凸部65の係止溝65aに、計量筒部材18の位置決め突起59を一致させる。筒部64が取付部20の内側に深く押し込まれ、筒部64の取付突部64aが、取付部20の取付溝部23に差し込まれ、係止されて、抜け落ちることが無い。中栓60を押し込むと、係止凸部65の係止溝65aに位置決め突起59が差し込まれ、円周方向の回転を止めて位置決めされる。これにより、溢流端面70の突出溢流端面70bは、計量筒部材18のヒンジ部42とは反対側に位置決めされる。計量部28の下方の開口は、中栓60の仕切壁部62に閉鎖され、後述する内容液90を貯めることができる。中栓60の溢流筒68の水平溢流端面70aは、計量部28の水平水位線56とほぼ一致する高さとなる。このため内容液90は、水平水位線56を超える量は溢流筒68から流れて容器本体12に戻るため、計量部28の水平水位線56までの内容液90の量は一定となる。中栓60の仕切壁部62から、計量部28の水平水位線56までの空間は、内容液90を計量する計量空間29となる。なお、組み立て状態で中栓60の突出溢流端面70bは、計量筒部材18の傾斜水位線58側に位置する。
【0036】
次に、弁部材78と中栓60が組み付けられた計量筒部材18を、収容する内容液90を入れた容器本体12の口部14に取り付ける。まず、計量筒部材18の取付部20を口部14の中に入れ、取付部20は口部14の内周面に液密に嵌合され、装着部24は口部14の外周面を覆い、軸周りに回転させて口部14の雄ねじ16と装着部24の雌ねじ26を螺合させ、液体計量容器10の組み立てが完了する。
【0037】
この状態では容器本体12を傾けても容器本体12に収容している内容液90が出ることが無く、液体計量容器10を安全に運搬したり保管したりすることができる。
【0038】
この時、
図1に示すように弁部材78はキャップ44の係止筒部50の係止突条50bに押されて下降し、弁部材78のストッパー86は保持板36の挿通孔38を通過して保持板36の下方に位置する。弁部材78のバルブ80が中栓60の円筒部72の底部74に位置し、挿通孔66のシール突起66aから離間し、透孔63は開放され、挿通孔66と容器本体12の内側空間は、透孔76を通じて連通する。そして係止筒部50の係止突起50aは、弁部材78の係止溝部82に差し込まれ、ある程度の強さで互いに係止される。なお、収容される内容液90は、種々の液体が使用される。
【0039】
キャップ44は、鍔部46を押し上げて、係止用凸部52とキャップ用凸部40を外し、ヒンジ部42を回転軸としてキャップ44を開くと、
図2に示すように開く。この時、係止筒部50の係止突起50aは、弁部材78の係止溝部82に差し込まれてある程度の強さで係止されているため、キャップ44の引き上げに伴って弁部材78も引き上げられる。弁部材78の本体78aの上端部付近は保持板36の挿通孔38に挿通され、弁部材78の下端部に形成されたバルブ80は円筒部72に挿通されているため、弁部材78は容器本体12や計量筒部材18の挿通方向に対して略平行に移動する。弁部材78は、ストッパー86が保持板36の挿通孔38を通過し、ストッパー84は挿通孔38を通過することができず、保持板36の下方の周縁に当接し、弁部材78はそれ以上引き上がらずに止まる。この時、バルブ80が挿通孔66のシール突起66aと嵌合し、透孔63及び挿通孔66を閉鎖する。
【0040】
さらにキャップ44を引き上げると、係止突起50aと係止溝部82との係止が外れ、キャップ44が180°以上開く。キャップ44のヒンジ部42付近には開放用突起42aが形成され、計量筒部材18のヒンジ部42付近には開放用凹部42bが形成され、キャップ44を開いた状態で開放用突起42aと開放用凹部42bを係合させると、キャップ44の開き状態を維持することができる。キャップ44を閉じる時は、開放用突起42aと開放用凹部42bの係合を適度な力を加えて解除する。
【0041】
次に、液体計量容器10を使用する際の計量動作と注出動作について説明する。容器本体12から内容液90を取り出して使用する時の計量動作は、まず、
図4に示すように、キャップ44を閉めた状態で容器本体12を倒立又は所定角度以上傾斜させる。これにより、容器本体12内の内容液90は中栓60の透孔76,63と挿通孔66を通過して計量筒部材18の計量部28に注入する。注出口34は、キャップ44の液止め筒部48で液密に閉鎖されているため、注出口34から内容液90が出ることはない。なお、容器本体12を完全に倒立させなくてもよく、計量部28に傾斜水位線58を超える水位に内容液90を満たすことができる所定角度以上に傾ければよい。
【0042】
次に、
図5に示すように、容器本体12よりも注出口34が上方となり傾斜水位線58がほぼ水平になる傾斜位置まで徐々に戻す。この時、計量筒部材18の傾斜溢流端面70c側が水平溢流端面70a側よりも下方に位置する状態を通過して、傾斜位置まで徐々に戻す。傾斜水位線58がほぼ水平になった時、計量部28内に満たされていた内容液90のうち、突出溢流端面70bと傾斜溢流端面70cよりも高い余分な内容液90が、突出溢流端面70bと傾斜溢流端面70cを超えて溢流筒68の挿通孔66に流れ、透孔63,76から容器本体12へ溢流する。容器本体12を、傾斜水位線58が水平な状態からさらに正立に近い状態に戻すと、傾斜水位線58に一致していた水面が、徐々に水平水位線56に近い角度になる。この過程で、必要な内容液90が突出溢流端面70bと傾斜溢流端面70cを超えて容器本体12に溢流することが無い。溢流筒68に余計に流れることが無く、内容液90が少なくならない。即ち、傾斜水位線58は、
図1等に示すように、水平方向の投影位置で傾斜溢流端面70cとほぼ接した状態の位置関係に形成されているので、傾斜水位線58が水平な状態でも、内容液90が溢流端面70から流出せず、液面位置が傾斜水位線58から下にはならないので、正確に計量される。
【0043】
次に、
図6に示すように、容器本体12を正立に戻す。この時、計量部28内の余分な内容液90があっても水平溢流端面70aを超えて容器本体12へ溢流する。計量部28の計量空間29には、計量された内容液90が溜まる。これで、計量動作が完了する。傾斜溢流端面70cは傾斜水位線58に一致する高さを有する。また、傾斜状態の傾斜溢流端面70cで計量された内容液の量は、水平状態の水平溢流端面70aで計量された内容液の量とほぼ等しいため、計量された内容液90の水面は水平水位線56に一致する。計量部28は透明または半透明の合成樹脂で作られているため、内容液90の水位が傾斜水位線58に一致することを外側から視認することができる。
【0044】
他の実施例として、必ずしも傾斜状態の傾斜溢流端面70cで計量された内容液の量は、水平状態の水平溢流端面70aで計量された内容液の量と一致させる必要はなく、例えば傾斜状態の傾斜溢流端面70cで計量する内溶液の量より、水平状態の水平溢流端面70aで計算された内容液の量が多い場合、多少の液面の揺れや振動でも計量した液が溢流筒68へ溢流しにくく、傾斜溢流端面70cで計量した内容量を保持することができる。逆に傾斜状態の傾斜溢流端面70cで計量する内溶液の量よりも、水平状態の水平溢流端面70aで計算された内容液の量が少ない場合、水平状態の水平溢流端面70aで余分な内容液が溢流筒68へ溢流し、水平状態で最終計量することができる。
【0045】
次に、注出動作は、
図7に示すように、容器本体12を正立させた状態で、キャップ44の鍔部46を押し上げて、ヒンジ部42を回転軸としてキャップ44を開く。係止筒部50の係止突起50aは、弁部材78の係止溝部82に係止されているため、キャップ44の引き上げに伴い弁部材78も引かれて移動する。そして、バルブ80がシール突起66aに液密に接して透孔63を閉鎖する。さらにキャップ44を引き上げると、係止突起50aと係止溝部82との係止が解かれて、キャップ44が開く。注出口34が開口して、計量部28の計量空間29と外側が連通する。容器本体12を傾けると、計量空間29に計量された内容液90が、注出口34から注出される。この時、バルブ80が透孔63を閉鎖しているため、容器本体12内の内容液90は、挿通孔66から追加で流れ出ることが無く、計量空間29に計量された一定量の内容液90のみが取り出され、計量空間29の内容液90は複数回に分けて取り出してもよい。例えば、使用者が容器本体12を保持し傾けて計量空間29の内容液90の一部を注出口34から注出した後、容器本体12を正立に戻してテーブル等に載置し、使用者が任意の作業を行った後、再び容器本体12を保持し傾けて計量空間29に残っている内容液90を注出口34から注出することができる。複数回に分けて内容液90を注出しても、計量空間29に計量された一定量の内容液90を取り出すことができる。
【0046】
この実施形態の液体計量容器10は、内容液90を一定量に計量する計量動作と、計量した内容液を注出する注出動作が簡単であり、また注出動作ではバルブ80が挿通孔66を閉鎖して容器本体12の内側から内容液90が追加されることが無く、正確に一定量を計量して注出することができる。計量した一定量の内容液90を、任意の回数に分けて注出することができ、便利である。
【0047】
容器本体12を傾けて計量部28に内容液90を注入した後、素早く正立状態に戻すと、内容液90の粘度や表面張力等の条件によって、挿通孔66が内容液90で閉鎖されて容器本体12内のエアーが抜けず余分な内容液90が溢流しない場合があるが、液体計量容器10は、容器本体12を傾斜水位線58がほぼ水平になる傾斜位置まで徐々に戻すことによって挿通孔66内に圧力差が生じ、エアーを置換して余分な内容液90を溢流することができる。突出溢流端面70bと傾斜溢流端面70cがない場合、容器本体12を傾けて計量部28に内容液90を注入した後、容器本体12を正立状態に戻すと、容器本体12を正立状態に戻す間に溢流し過ぎてしまう場合があるが、液体計量容器10は、溢流端面70に突出溢流端面70bを設けるとともに傾斜溢流端面70cを曲面とし、容器本体12を正立状態に戻す間のどの傾斜位置でも傾斜水位線58より溢流端面70が低い位置にならず、内容液90が戻ってしまうことがなく、安定した計量値を得ることができる。溢流端面70の突出溢流端面70bは、計量筒部材18のヒンジ部42とは反対側に位置するため、計量動作と注出動作で、容器本体12を持ち替えることなく、スムーズに行うことができる。
【0048】
キャップ44は計量部28の上面部30の上方にヒンジ部42で一体に設けられ、計量部28が露出し、さらに透明または半透明の樹脂で作られているため、水平水位線56と傾斜水位線58、内容液90の水位を、側方から視認することができ、計量状態を確認し易い。また、キャップ44の開閉が容易で部品点数も減らすことができる。傾斜水位線58を設けることで、容器本体12を傾ける方向や角度が視認し易く正確に計量することができる。計量筒部材18の上面部30は、注出口34に近づくにつれて上昇し、円錐台状に傾斜しているため、注出動作の際に計量した内容液90が溜まることが無く、内容液90を残さず注出することができる。
【0049】
その他、この第一実施形態の液体計量容器10は、中栓60を介さず、計量筒部材18の取付部20と容器本体12の口部14で嵌合しているため液密状態が保ちやすく、計量部28から取付部20への液漏れを防止することができる。
【0050】
次にこの発明の第二実施形態について
図9に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の液体計量容器92は、容器本体12の口部14に計量筒部材94が取り付けられている。計量筒部材94の下端部には、口部14の外側を覆う円筒形の装着部24が設けられ、装着部24の内側面に雌ねじ26が形成されている。装着部24の上端は、口部14の上端に重ねられるフランジ部22が一周して設けられ、フランジ部22の内周面に連続して計量部28が形成されている。計量筒部材94の計量部28には、水平水位線56のみが設けられ、第一実施形態のような傾斜水位線58は設けられていない。また、装着部24の内側に上記実施形態のようなフランジ部22に設けられた取付部20は形成されていない。
【0051】
容器本体12の口部14には、中栓96が嵌合されて取り付けられている。中栓96には、容器本体12の口部14の内側に嵌合される円筒状の取付部98が設けられ、取付部98の上端部には、口部14の上端面に当接するフランジ部100が一周して形成されている。フランジ部100の内周縁には、取付部98の開口を閉鎖する仕切壁部102が形成されている。仕切壁部102の中央には透孔63が形成され、透孔63に連続して仕切壁部102の取付部98とは反対側に突出する円筒形の溢流筒68が一体に設けられている。挿通孔66の先端の溢流端面70は、水平溢流端面70aのみであり、水平水位線56とほぼ一致する。溢流端面70には、第一実施形態のような突出溢流端面70bと傾斜溢流端面70cは設けられていない。仕切壁部102の下方の円筒部72の底部74は、取付部98の下端とほぼ同じ位置にある。
【0052】
次に、この実施形態の液体計量容器92の組立方法について説明する。まず、計量筒部材94の装着部24側から弁部材78を入れて、保持板36の挿通孔38に挿通し、押し込み、係止する。次に、計量筒部材94の装着部24側から中栓96を取り付ける。この時、中栓96上部の外周面を計量部28の内周面に嵌合させ、中栓96のフランジ部100が計量筒部材94のフランジ部22に当接するまで押し込む。ここで、中栓96はフランジ部100の外周部と装着部24の上部内周面にある係合部によって係止される。次に、弁部材78および中栓96を係止した計量筒部材94を、容器本体12の口部14に被せ、装着部24の雌ねじ26と口部14の雄ねじ16を螺合させ、取付部98が口部14の内周面に嵌合するとともにフランジ部100が口部14の上端に当接することで組み立てが完了する。
【0053】
この実施形態の液体計量容器92によれば、上記実施形態と同様の使用方法で、同様の効果を有するものである。さらに、中栓96の溢流端面70の形状がシンプルで、製造が容易である。溢流端面70には傾斜溢流端面70cと突出溢流端面70bが無いが、粘度や表面張力の低い内容液90であれば、倒立後に素早く正立状態に戻すことによって、正確に計量することができる。中栓96は、装着部24のフランジ部22と口部14の上端に挟まれて係止されるため、取り付け強度が高い。
【0054】
次にこの発明の第三実施形態について
図10、
図11に基づいて説明する。なお、ここで上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の液体計量容器104は、容器本体12の口部14に計量筒部材18が取り付けられている。
【0055】
計量筒部材18には、中栓60が嵌合して取り付けられている。中栓60は、仕切壁部62を有し、仕切壁部62の周縁には筒部64が一体に形成されている。仕切壁部62の中央には透孔63が形成され、透孔63に連続して溢流筒68が一体に設けられている。仕切壁部62の、溢流筒68とは反対側に、円筒部106が設けられている。円筒部106は、溢流筒68と同軸であり、基端部が仕切壁部62に連続し、先端部が仕切壁部62から溢流筒68とは反対側に位置し、例えば、筒部64の深さ以上に移動した位置に達している。円筒部106の先端部には、円筒部106の開口を閉鎖する底部108が設けられている。円筒部106には、4個の透孔76が形成され、円筒部106の内側と、容器本体12の内部空間を連通している。円筒部106の内側には、弾性体であるコイルバネ110が設けられている。コイルバネ110は、下端部が底部108に接し、円筒部106の挿通方向に伸縮可能である。
【0056】
計量筒部材18には、キャップ44が設けられている。キャップ44の、上面部44aの内側面の中央には液止め筒部48が設けられている。液止め筒部48の内側には、弁部材78の上端部を押し下げる押込手段112が設けられている。
【0057】
弁部材78は、一方向に長い棒状の本体78aを有し、本体78aの下端部にはバルブ80が設けられている。液体計量容器104を組み立てた状態では、バルブ80が円筒部106の内側に入れられ、円筒部106の底部108とバルブ80の間に、コイルバネ110が圧縮されて設けられ、弁部材78は、コイルバネ110により、上方に付勢されている。
【0058】
図10に示すように、キャップ44を閉めた状態では、キャップ44の液止め筒部48は、計量筒部材18の注出口34の内周面に差し込まれて液密となる。押込手段112は弁部材78を押し下げて、コイルバネ110が圧縮される。弁部材78のバルブ80が中栓60の円筒部72の底部74の近くに位置し、挿通孔66のシール突起66aから離間し、透孔63は開放され、挿通孔66と容器本体12の内側空間は、透孔76を通じて連通する。
【0059】
図11に示すように、キャップ44を開くと、注出口34が開口して計量部28の計量空間29と外側が連通する。キャップ44の押込手段112が弁部材78から離れ、弁部材78はコイルバネ110により押し上げられて移動する。弁部材78は、ストッパー84は挿通孔38を通過することができず、保持板36の下方の周縁に当接し、弁部材78はそれ以上に上がらずに止まる。この時、バルブ80が挿通孔66のシール突起66aと嵌合し、透孔63及び挿通孔66を閉鎖する。
【0060】
この実施形態の液体計量容器104の組立方法は、第一実施形態の液体計量容器10と同様である。ただし、計量筒部材18に中栓60を取り付ける時、円筒部106の中にコイルバネ110を入れてから取り付ける。これにより、円筒部106の底部108とバルブ80の間に、コイルバネ110が圧縮されて設けられる。
【0061】
液体計量容器104を使用する際の計量動作と注出動作は、第一実施形態の液体計量容器10と同様であり、そして同様の効果を有する。液体計量容器104は、弁部材78の移動をコイルバネ110の付勢力により行うため、キャップ44の係止筒部50と、弁部材78の係止溝部82を設ける必要がなく、構造が簡単である。
【0062】
なお、この発明の液体計量容器は上記実施の形態に限定されるものではなく、材料や形状等自由に変更可能である。キャップは、ヒンジ部で開くもの以外でも良い。中栓と計量筒部材の位置決め手段は、係止凸部と位置決め突起以外でも良い。水平水位線と傾斜水位線は、計量部の内周面に形成された小さい突条以外でも良く、溝や印刷等でも良い。水平水位線や、傾斜水位線、円筒部の透孔の面積、溢流筒の径や溢流端面の形状は、内容液の性状によって適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
10,92,104 液体計量容器
12 容器本体
14 口部
18,94 計量筒部材
28 計量部
30 上面部
34 注出口
36 保持板
38 挿通孔
42 ヒンジ部
44 キャップ
50 係止筒部
58 傾斜水位線
59 位置決め突起
60,96 中栓
62,102 仕切壁部
63 透孔
65 係止凸部
68 溢流筒
70 溢流端面
70a 水平溢流端面
70b 突出溢流端面
70c 傾斜溢流端面
72,106 円筒部
78 弁部材
78a 本体
80 バルブ
90 内容液