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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085051
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/00 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
G01V3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199374
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 公丈
(72)【発明者】
【氏名】大江 康博
(72)【発明者】
【氏名】小寺 祥平
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB17
2G105CC03
2G105DD02
2G105EE01
2G105HH04
(57)【要約】
【課題】適切に検出対象物を検出することが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置1は、光を照射する照射部20と、光を受光する受光部30と、所定時間内における光の受光量と検出閾値とに基づいて、検出対象物が存在しない状態から存在する状態になったか否かを判定し、所定時間内における光の受光量と予め設定されたリリース閾値とに基づいて、検出対象物が存在する状態から存在しない状態になったか否かを判定する存在判定部40と、検出対象物の存在を検出していない状態において、光の受光量が、第1基準受光量と検出閾値との間にある場合、及び、検出対象物の存在を検出している状態において、光の受光量が、第2基準受光量とリリース閾値との間にある場合に、光の受光量に基づいて評価算定値を算定する算定部50と、評価算定値と判定閾値とに基づいて、所定の動作を行わせる動作指示部60と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエリアに光を照射する照射部と、
前記照射部からの前記光を受光する受光部と、
所定時間内における前記受光部が受光した前記光の受光量と予め設定された検出閾値とに基づいて、前記エリアに検出対象物が存在しない状態から存在する状態になったか否かを判定し、所定時間内における前記受光部が受光した前記光の受光量と予め設定されたリリース閾値とに基づいて、前記エリアに前記検出対象物が存在する状態から存在しない状態になったか否かを判定する存在判定部と、
前記検出対象物の存在を検出していない状態において、前記光の受光量が、前記エリアに前記検出対象物が存在していない時に前記受光部が受光した前記光の受光量である第1基準受光量と前記検出閾値との間にある場合、及び、前記検出対象物の存在を検出している状態において、前記光の受光量が、前記エリアに前記検出対象物が存在している時に前記受光部が受光した前記光の受光量である第2基準受光量と前記リリース閾値との間にある場合に、予め設定された時間内における前記光の受光量に基づいて評価算定値を算定する算定部と、
前記予め設定された時間内における前記評価算定値と予め設定された判定閾値とに基づいて、予め設定された所定の動作を行わせる動作指示部と、
を備える検出装置。
【請求項2】
前記照射部及び前記受光部のうちの少なくともいずれか一方の状態を示す情報を出力する出力部を更に備え、
前記動作指示部は、前記評価算定値が前記判定閾値以下である場合に、前記所定の動作として、前記出力部に前記情報を出力させる請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記検出対象物に対して流体を吐出する吐出ユニットを更に備え、
前記動作指示部は、前記存在判定部により前記エリアに前記検出対象物が存在していると判定され、且つ、前記評価算定値が前記判定閾値以下である場合に、前記所定の動作として、前記吐出ユニットに前記流体を吐出させる請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記存在判定部の判定結果に基づいて駆動する駆動ユニットを更に備え、
前記動作指示部は、前記存在判定部により前記エリアに前記検出対象物が存在していると判定され、且つ、前記評価算定値が前記判定閾値以下である場合に、前記所定の動作として、前記駆動ユニットの駆動を停止させる請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出対象物に対して流体を吐出する吐出ユニットを更に備え、
前記動作指示部は、前記存在判定部により前記エリアに前記検出対象物が存在していると判定され、且つ、前記評価算定値が前記判定閾値以下でない場合に、前記所定の動作として、前記吐出ユニットに前記流体を吐出させる請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記検出閾値及び前記リリース閾値を設定する閾値設定部を更に備え、
前記動作指示部は、前記評価算定値が前記判定閾値以下である場合に、前記所定の動作として、前記閾値設定部に前記検出閾値及び前記リリース閾値を変更させる請求項1から5のいずれか一項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象物を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検出対象物を検出する検出装置が利用されてきた。このような検出装置として、光を利用して検出対象物を検出するものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、流体送出システムが記載されている。この流体送出システムは、赤外線ビーム(上記「光」の一例)を送信する赤外線送信機(本願「照射部」に相当)と、赤外線送信機からの赤外線ビームを受信する受信機(本願「受光部」に相当)とを備えており、赤外線ビームの検出結果に応じてユーザの手(上記「検出対象物」の一例)を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012-532644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1では検出対象物として手が挙げられているが、検出対象物が手よりも小さく、且つ、手で保持する物体である場合には、物体の形状や赤外線ビームに対する物体の状態(位置)、更には検出対象物を保持する手の震えによって、受信機が受信する赤外線ビームの量が大きく変化し、赤外線送信機、受信機、及びユーザの手を検出するエリアが適切でない状態では、検出対象物を検出できない可能性がある。
【0006】
そこで、適切に検出対象物を検出することが可能な検出装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る検出装置の特徴構成は、所定のエリアに光を照射する照射部と、前記照射部からの前記光を受光する受光部と、所定時間内における前記受光部が受光した前記光の受光量と予め設定された検出閾値とに基づいて、前記エリアに検出対象物が存在しない状態から存在する状態になったか否かを判定し、所定時間内における前記受光部が受光した前記光の受光量と予め設定されたリリース閾値とに基づいて、前記エリアに前記検出対象物が存在する状態から存在しない状態になったか否かを判定する存在判定部と、前記検出対象物の存在を検出していない状態において、前記光の受光量が、前記エリアに前記検出対象物が存在していない時に前記受光部が受光した前記光の受光量である第1基準受光量と前記検出閾値との間にある場合、及び、前記検出対象物の存在を検出している状態において、前記光の受光量が、前記エリアに前記検出対象物が存在している時に前記受光部が受光した前記光の受光量である第2基準受光量と前記リリース閾値との間にある場合に、予め設定された時間内における前記光の受光量に基づいて評価算定値を算定する算定部と、前記予め設定された時間内における前記評価算定値と予め設定された判定閾値とに基づいて、予め設定された所定の動作を行わせる動作指示部と、を備えている点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、エリアに検出対象物が存在しない状態から存在する状態になったか否かの判定に検出閾値を利用し、エリアに検出対象物が存在する状態から存在しない状態になったか否かの判定にリリース閾値を利用しているため、検出対象物の形状やサイズにかかわらず、夫々の判定を適切に行うことができる。また、受光部により検出された受光量を用いて算定した評価算定値と判定閾値とに基づいて、受光部により検出された受光量が適切か否かを把握することもできる。したがって、適切に検出対象物を検出することが可能となる。
【0009】
また、前記照射部及び前記受光部のうちの少なくともいずれか一方の状態を示す情報を出力する出力部を更に備え、前記動作指示部は、前記評価算定値が前記判定閾値以下である場合に、前記所定の動作として、前記出力部に前記情報を出力させると好適である。
【0010】
例えば、照射部及び受光部の少なくとも一部が適切でない場合、具体的には、初期の正常状態の受光量よりも、光量が減少、又は、増加する事象が生じる場合には、受光部による光の受光量が低下する、且つ、受光量が安定して評価算定値が判定閾値以下となることが多い。そこで、上記構成とすれば、照射部及び受光部の少なくとも一部が適切でない場合に、照射部及び受光部の少なくとも一部が適切でないということを利用者に知らせることができる。
【0011】
また、前記検出対象物に対して流体を吐出する吐出ユニットを更に備え、前記動作指示部は、前記存在判定部により前記エリアに前記検出対象物が存在していると判定され、且つ、前記評価算定値が前記判定閾値以下である場合に、前記所定の動作として、前記吐出ユニットに前記流体を吐出させると好適である。
【0012】
例えば、吐出ユニットが容器に流体を吐出するような形態において、評価算定値が判定閾値以下である場合には、容器が適切に載置されている状態である可能性が高い。そこで、上記構成とすれば、容器が適切に載置されている状態である可能性が高い場合に、容器に流体を吐出することができる。したがって、流体を適切に容器に吐出することが可能となる。
【0013】
また、前記存在判定部の判定結果に基づいて駆動する駆動ユニットを更に備え、前記動作指示部は、前記存在判定部により前記エリアに前記検出対象物が存在していると判定され、且つ、前記評価算定値が前記判定閾値以下である場合に、前記所定の動作として、前記駆動ユニットの駆動を停止させると好適である。
【0014】
例えば、評価算定値が判定閾値以下である場合には、検出対象物がエリアにおける適切な位置に存在していない可能性がある。そこで、上記構成とすれば、検出対象物がエリアにおける適切な位置に存在していない可能性がある場合に、駆動ユニットの駆動を停止させることが可能となる。
【0015】
また、前記検出対象物に対して流体を吐出する吐出ユニットを更に備え、前記動作指示部は、前記存在判定部により前記エリアに前記検出対象物が存在していると判定され、且つ、前記評価算定値が前記判定閾値以下でない場合に、前記所定の動作として、前記吐出ユニットに前記流体を吐出させると好適である。
【0016】
例えば、吐出ユニットが検出対象物に対して流体を吐出するような形態において、エリアにおける適切な位置に検出対象物が存在していない場合には、評価算定値が判定閾値以下となる。したがって、評価算定値が判定閾値以下でない場合には、エリアにおける適切な位置に検出対象物が存在していることから、上記構成とすれば、エリアにおける適切な位置に存在している検出対象物に対して、流体を吐出させることが可能となる。
【0017】
また、前記検出閾値及び前記リリース閾値を設定する閾値設定部を更に備え、前記動作指示部は、前記評価算定値が前記判定閾値以下である場合に、前記所定の動作として、前記閾値設定部に前記検出閾値及び前記リリース閾値を変更させると好適である。
【0018】
評価算定値が判定閾値以下である場合には、現在、設定されている検出閾値により、エリアに検出対象物が存在しない状態から存在する状態になったか否かを適切に判定することができない可能性があり、また、現在、設定されているリリース閾値により、エリアに検出対象物が存在する状態から存在しない状態になったか否かを適切に判定することができない可能性がある。そこで、評価算定値が判定閾値以下である場合に、閾値設定部が検出閾値及びリリース閾値を変更することで、エリアに検出対象物が存在しない状態から存在する状態になったか否かの判定と、エリアに検出対象物が存在する状態から存在しない状態になったか否かの判定とを、適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】検出装置を備えたディスペンサの透過斜視図である。
図2図1のII-II線の断面図である。
図3】検出装置の構成を模式的に示したブロック図である。
図4】検出閾値、第1基準受光量、リリース閾値、及び第2基準受光量の説明図である。
図5】評価算定値の説明図である。
図6】評価算定値の説明図である。
図7】検出装置の処理を示すフローチャートである。
図8】検出閾値、リリース閾値、及び受光量を示す図である。
図9】検出閾値、リリース閾値、及び受光量を示す図である。
図10】検出閾値、リリース閾値、及び受光量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る検出装置は、適切に検出対象物を検出することができるように構成されている。以下、本実施形態の検出装置1について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の検出装置1を備えたディスペンサ101の斜視図である。図2図1の検出装置1のII-II線の断面図である(検出装置1以外の部分は平面図である)。図3は、検出装置1の構成を模式的に示したブロックである。本実施形態の検出装置1は、検出対象物2として、歯ブラシ2Aを検出する。このため、以下の説明では、検出対象物2を歯ブラシ2Aとして説明する。なお、図1では、理解を容易にするために、ディスペンサ101は筐体100を透かした状態で示している。
【0022】
図1図3に示されるように、検出装置1は、照射部20、受光部30、記憶部35、存在判定部40、算定部50、動作指示部60、出力部62、及び閾値設定部70を備えて構成される。各機能部は、歯ブラシ2Aの有無の検出に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。本実施形態では、記憶部35、存在判定部40、算定部50、動作指示部60、出力部62、及び閾値設定部70は、基板3に実装される。
【0023】
照射部20は、所定のエリア12に向けて光を照射する。所定のエリア12とは、検出装置1における歯ブラシ2Aの存在を検出するために設けられた空間(検出空間)にあたる。照射部20は、例えば赤外線LED(light-emitting diode)を用いて構成するとよい。照射部20は、このようなエリア12に向けて光を照射する。照射部20から照射される光(本実施形態では、赤外線)は、エリア12において集光された状態になると好適である。これにより、エリア12に向けて強度が大きい光を照射することができるので、後述する受光部30での誤検出を防止することが可能となる。
【0024】
受光部30は、照射部20からの光を受光する。本実施形態では、受光部30は、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していない場合に、光を検出する。このため、本実施形態では、受光部30は、所謂、透過光検出部として機能する。受光部30は、エリア12に、上述した歯ブラシ2Aが存在していない場合には、照射部20から照射された光を検出する位置であって、エリア12に歯ブラシ2Aが存在している場合には、照射部20から照射された光が歯ブラシ2Aで遮られ、受光部30に入力されない位置に設けられる。なお、受光部30は、エリア12に歯ブラシ2Aが存在している場合には、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していない場合における照射部20から照射された光の強度よりも低い強度の光(外乱光)が入力されていてもよい。これにより、エリア12に歯ブラシ2Aが存在している状態と、エリア12に歯ブラシ2Aが存在してない状態とで、受光部30に、互いに異なる検出結果を出力させることが可能となる。このような受光部30は、例えば、フォトディテクタを用いて構成するとよい。
【0025】
本実施形態では、受光部30は、検出した光の強度に応じた電圧値の電圧を出力するように構成される。すなわち、受光部30は、歯ブラシ2Aがエリア12に存在している場合には予め設定された値以下の電圧値(例えば0V)の電圧を出力し、歯ブラシ2Aがエリア12に存在していない場合にはその強度に比例した電圧値の電圧を出力するように構成される。本実施形態では、受光部30は、予め設定されたサンプリング時間(例えば数百ミリ秒)毎に、光を受光し、検出した結果(検出結果)は受光量として、記憶部35に順次記憶されるように構成される。記憶部35に記憶された検出結果は、サンプリング時間よりも十分に長い時間が経過した場合に、自動で削除するように構成することが可能である。
【0026】
存在判定部40は、所定時間内における受光部30が受光した光の受光量と予め設定された検出閾値とに基づいて、エリア12に歯ブラシ2Aが存在しない状態から存在する状態になったか否かを判定する。所定時間内における受光部30が受光した光の受光量とは、例えば2~3秒の間に亘って受光部30が受光した光の受光量である。予め設定された検出閾値とは、エリア12に歯ブラシ2Aが存在しない状態から存在する状態になったか否かの判定に用いる指標である。ここで、エリア12に歯ブラシ2Aが存在しない状態とは、エリア12に歯ブラシ2Aが存在する状態から存在しない状態になったか否かの判定に用いる指標であるリリース閾値よりも、受光部30の受光量が大きい状態を意味する。また、エリア12に歯ブラシ2Aが存在する状態とは、検出閾値よりも、受光部30の受光量が小さい状態を意味する。したがって、存在判定部40は、例えば2~3秒の間に亘って受光部30が受光した光の受光量がリリース閾値よりも大きい状態から、検出閾値よりも小さい状態になると、エリア12に歯ブラシ2Aが存在するようになったと判定し、受光部30が受光した光の受光量がリリース閾値よりも大きい状態から、検出閾値よりも小さい状態にならない場合には、エリア12に依然として歯ブラシ2Aが存在しないと判定する。なお、本実施形態では、図4に示されるように、リリース閾値>検出閾値である。
【0027】
また、存在判定部40は、所定時間内における受光部30が受光した光の受光量と予め設定されたリリース閾値とに基づいて、エリア12に歯ブラシ2Aが存在する状態から存在しない状態になったか否かを判定する。上述したように、リリース閾値とは、エリア12に歯ブラシ2Aが存在する状態から存在しない状態になったか否かの判定に用いる指標である。エリア12に歯ブラシ2Aが存在する状態とは、検出閾値よりも、受光部30の受光量が小さい状態を意味する。また、エリア12に歯ブラシ2Aが存在しない状態とは、リリース閾値よりも、受光部30の受光量が大きい状態を意味する。したがって、存在判定部40は、例えば2~3秒の間に亘って受光部30が受光した光の受光量が検出閾値よりも小さい状態から、リリース閾値よりも大きい状態になると、エリア12に歯ブラシ2Aが存在しないようになったと判定し、受光部30が受光した光の受光量が検出閾値よりも小さい状態から、リリース閾値よりも大きい状態にならない場合には、エリア12に依然として歯ブラシ2Aが存在すると判定する。
【0028】
ここで、本実施形態では、検出装置1は、泡状歯磨き(「流体」の一例)を吐出するディスペンサ(「吐出ユニット」の一例)101に組み込まれている。ディスペンサ101は、液体歯磨きが貯留されるボトル102と、ボトル102から液体歯磨きを吸い込み、吸い込んだ液体歯磨きを吐出すると共に所定の圧力の空気を吐出するポンプ103と、泡状歯磨きを吐出する吐出口104とを備えている。
【0029】
上述したように、検出装置1によりエリア12において、歯ブラシ2Aの存在が検出されると、ポンプ103が吸込管105を介して所定量の液体歯磨きをボトル102から吸い込む。ポンプ103は、吸い込んだ液体歯磨きを、吐出管106に吐出すると共に、吐出管106に連通する空気吐出管107に所定の圧力の空気を吐出する。これにより、吐出管106に吐出された液体歯磨きが吐出管106における空気吐出管107との合流部108において泡状にされる。泡状歯磨き(泡状にされた液体歯磨き)は、吐出口104から吐出される。
【0030】
このように検出装置1は、当該検出装置1が歯ブラシ2Aの存在を検出した場合に所定の物体(例えば泡状歯磨き)を吐出するディスペンサ101に組み込んで構成すること可能である。また、ディスペンサ101は、泡状歯磨きだけでなく、例えばハンドソープを吐出する装置であってもよいし、例えばアルコールなどの消毒用液体を吐出する装置であってもよい。もちろん、ディスペンサ101は、液体だけでなく、固体を吐出する装置であってもよいし、気体を吐出する装置であってもよい。
【0031】
ここで、図1及び図2に示されるように、検出装置1は歯ブラシ2Aが挿入される挿入部分は、吐出口104から歯ブラシ2Aに吐出された泡状歯磨きが歯ブラシ2A以外に飛散した場合であっても、清掃をし易いようにカバー部材109で覆われている。このカバー部材109は、ディスペンサ101から取り外して清掃し、その後、装着可能に構成されている。本実施形態では、このカバー部材109よりも、歯ブラシ2Aが挿入される方向に直交する方向、且つ、カバー部材109の外側に照射部20及び受光部30が位置するように設けられる。このため、このカバー部材109は、ディスペンサ101に装着された状態で、照射部20から照射された光が受光部30に達するまでの経路において、光が透過し易いように構成されている。
【0032】
例えば清掃したカバー部材109が、正規の位置に対してずれた状態で検出装置1に装着されていたり、あるいは、照射部20の照射面及び受光部30の受後面のうちの少なくともいずれか一方が汚れていたりすると、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していない状態であるにもかかわらず、受光部30による光の受光量が少なくなり、適切に歯ブラシ2Aの存在を検出することができなくなる可能性がある。また、カバー部材109が正規の位置にあり、照射部20の照射面及び受光部30の受後面の双方が汚れていなくても、歯ブラシ2Aを保持する手が揺れていると、歯ブラシ2Aの先端(歯ブラシ2Aにおける泡状歯磨きが供給される部位)が揺れ、受光部30による光の受光量が常に変化し、歯ブラシ2Aが存在している状態であると判定することが可能な受光状態が安定しない可能性もある。更に、例えば照射部20と受光部30との間に光を透過させるものが挿入されるような環境の変化があった場合において、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していない状態における受光量がリリース閾値より小さくなると、誤動作が生じ(その後、歯ブラシ2Aが存在していると判定された場合に、歯ブラシ2Aが存在している状態から存在しない状態へ移行することができない)、その後、歯ブラシ2Aがエリア12に存在するようになったか否かを適切に判定することができなくなる。
【0033】
そこで、算定部50は、歯ブラシ2Aの存在を検出していない状態において、光の受光量が、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していない時に受光部30が受光した光の受光量である第1基準受光量と検出閾値との間にある場合に、予め設定された時間内における光の受光量に基づいて評価算定値を算定する。歯ブラシ2Aの存在を検出していない状態とは、存在判定部40により、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していると判定されていない状態であって、受光部30による受光量が、リリース閾値よりも大きい状態をいう。エリア12に歯ブラシ2Aが存在していない時に受光部30が受光した光の受光量である第1基準受光量とは、エリア12に歯ブラシ2Aが挿入されていない状態において、照射部20からの光を受光部30が受光している状態における受光量である。このような状態の受光量は、理想的には一定となるが実際にはバックノイズ等の影響によって、図4に示されるように、検出閾値よりは小さくならないまでも、多少変動する。このような変動している状態の受光量は、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していない時の受光量の基準となることから、第1基準受光量として扱われる。
【0034】
本実施形態では、評価算定値として、受光量の平均値と変動係数とが用いられる。したがって、予め設定された時間内における光の受光量に基づいて評価算定値を算定するとは、予め設定された時間内における光の受光量に基づいて受光量の平均値と変動係数とを算定することを意味する。具体的には、記憶部35に記憶されている受光部30の検出結果のうち、直近のN回(Nは所定の数)の受光量の平均値と、直近のN回の受光量の標準偏差を受光量の平均値で除した変動係数とを算定する。
【0035】
したがって、算定部50は、存在判定部40により、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していると判定されていない状態において、光の受光量が、照射部20からの光を受光部30が受光している状態における受光量である第1基準受光量と検出閾値との間にある場合に、記憶部35に記憶されている受光部30の検出結果のうち、直近のN回(Nは所定の数)の受光量の平均値と、直近のN回の受光量の標準偏差を受光量の平均値で除した変動係数とを算定する。
【0036】
算定部50は、歯ブラシ2Aの存在を検出している状態において、光の受光量が、エリア12に歯ブラシ2Aが存在している時に受光部30が受光した光の受光量である第2基準受光量とリリース閾値との間にある場合に、予め設定された時間内における光の受光量に基づいて評価算定値を算定する。歯ブラシ2Aの存在を検出している状態とは、存在判定部40により、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していると判定されている状態であって、受光部30による受光量が、検出閾値よりも小さい状態をいう。エリア12に歯ブラシ2Aが存在している時に受光部30が受光した光の受光量である第2基準受光量とは、エリア12に歯ブラシ2Aが挿入されている状態において、照射部20からの光を受光部30が受光している状態における受光量である。このような状態の受光量は、理想的には一定にあるが実際にはバックノイズ等の影響によって、図4に示されるように、リリース閾値よりは大きくならないまでも、多少変動する。このような変動している状態の受光量は、エリア12に歯ブラシ2Aが存在している時の受光量の基準となることから、第2基準受光量として扱われる。
【0037】
本実施形態では、上述したように、評価算定値として、受光量の平均値と変動係数とが用いられる。したがって、算定部50は、存在判定部40により、エリア12に歯ブラシ2Aが存在していると判定されている状態において、光の受光量が、照射部20からの光を受光部30が受光している状態における受光量である第2基準受光量とリリース閾値との間にある場合に、記憶部35に記憶されている受光部30の検出結果のうち、直近のN回(Nは所定の数)の受光量の平均値と、直近のN回の受光量の標準偏差を受光量の平均値で除した変動係数とを算定する。算定部50により算定された評価算定値は、後述する動作指示部60に伝達される。
【0038】
動作指示部60は、予め設定された時間内における評価算定値と予め設定された判定閾値とに基づいて、予め設定された所定の動作を行わせる。予め設定された時間内における評価算定値とは、本実施形態では、直近のN回(Nは所定の数)の受光量の平均値と、直近のN回の受光量の標準偏差を受光量の平均値で除した変動係数とである。本実施形態では、動作指示部60は、評価算定値が判定閾値以下である場合に、閾値設定部70に検出閾値及びリリース閾値を変更させる。具体的には、動作指示部60は、直近のN回の受光量の標準偏差を受光量の平均値で除した変動係数が判定閾値以下である場合に、直近のN回(Nは所定の数)の受光量の平均値を使って検出閾値とリリース閾値とを変更させる。
【0039】
図5には、歯ブラシ(#1)をエリア12に挿入した状態における変動係数(直近20回の検出結果を使用した場合)と、他の歯ブラシ(#2)をエリア12に挿入した状態における変動係数(直近20回の検出結果を使用した場合)と、歯ブラシ2Aを挿入していない状態における変動係数との、所定時間に亘る時系列変化が示される。
【0040】
図5に示されるように、エリア12に歯ブラシ2Aを挿入していない場合には、変動係数が常に0に近い値となり受光量が安定している。一方、エリア12に歯ブラシ(#1)や、歯ブラシ(#2)を挿入した場合には、変動係数が判定閾値よりも小さくなることはなく変動係数が所定値以上を維持している。したがって、予め設定された検出閾値に基づいてエリア12における歯ブラシ2Aの存在を検出することができると共に、予め設定されたリリース閾値に基づいてエリア12において歯ブラシ2Aが存在しなくなったことを検出することができる。
【0041】
一方、図6には、歯ブラシ(#1)をエリア12に挿入した状態における変動係数(直近5回の検出結果を使用した場合)と、他の歯ブラシ(#2)をエリア12に挿入した状態における変動係数(直近5回の検出結果を使用した場合)と、歯ブラシ2Aを挿入していない状態における変動係数との、所定時間に亘る時系列変化が示される。
【0042】
図6に示されるように、エリア12に歯ブラシ2Aを挿入していない場合には、変動係数が常に0に近い値となり受光量が安定している。しかしながら、エリア12や、照射部20や、受光部30が異常である場合には、エリア12に歯ブラシ2Aが存在しないにもかかわらず、存在判定部40がエリア12に歯ブラシ2Aが存在する状態であるとして判定することがある。この場合には、予め設定された検出閾値に基づいてエリア12における歯ブラシ2Aの存在を適切に検出することができず、また、予め設定されたリリース閾値に基づいてエリア12において歯ブラシ2Aが存在しなくなったことを適切に検出することができないが、変動係数は判定閾値より小さくなる、或いは、0で安定する。
【0043】
そこで、この場合には、閾値設定部70が検出閾値及びリリース閾値を設定し直すとよい。すなわち、歯ブラシ2Aがエリア12に存在している場合の検出結果に基づく変動係数が0にならないまでも、歯ブラシ2Aがエリア12に存在していない場合の検出結果に基づく変動係数である0に近い場合には、歯ブラシ2Aがエリア12に存在している場合の検出結果により、エリア12に歯ブラシ2Aが存在しない状態から存在する状態になったか否かを判定することができるような検出閾値を設定し、エリア12に歯ブラシ2Aが存在する状態から存在しない状態になったか否かを判定することができるようなリリース閾値を設定するとよい。具体的には、現在設定されている検出閾値よりも小さい検出閾値を設定し、現在設定されているリリース閾値よりも小さい検出閾値を設定するとよい。
【0044】
また、動作指示部60は、変動係数が判定閾値以下であり、且つ、存在判定部40が「歯ブラシあり」と判定している場合に、出力部62に照射部20及び受光部30のうちの少なくともいずれか一方の状態を示す情報を出力させるように構成してもよい。この場合には、例えば出力部62として表示装置を用いることで、表示装置に照射部20や受光部30が異常であることを示すエラーメッセージや、メンテナンスを促すメッセージを表示させることが可能である。また、例えば出力部62としてスピーカを用いることで、スピーカから照射部20や受光部30が異常であることを示す音声や、メンテナンスを促す音声を出力させることが可能である。
【0045】
また、変動係数が判定閾値以下である場合は、歯ブラシ2Aがエリア12に存在している場合の検出結果により、エリア12に歯ブラシ2Aが存在しない状態から存在する状態になったか否かを判定することができるような検出閾値が設定されており、エリア12に歯ブラシ2Aが存在する状態から存在しない状態になったか否かを判定することができるようなリリース閾値が設定されている。このため、動作指示部60は、存在判定部40によりエリア12に歯ブラシ2Aが存在していると判定され、且つ、変動係数が判定閾値以下でない場合に、ディスペンサ101に泡歯磨きを吐出させるとよい。このように、受光部30による受光量だけでなく、変動係数が判定閾値以下であるか否かの判定結果を用いることで、ディスペンサ101による誤った泡状歯磨きの吐出を防止できる。
【0046】
次に、検出装置1の処理について図7のフローチャートを用いて説明する。ここで、本フローチャートでは、変動係数から検出対象物2の有無を判定するために判定閾値を用いている。具体的には、変動係数が判定閾値よりも小さい場合に「検出対象物が存在していない」と判定する。
【0047】
まず、予め設定されたサンプリング時間だけ待機する(ステップ#10)。記憶部35に記憶されている検出結果から算定部50が変動係数を算定する(ステップ#11)。変動係数が判定閾値より小さい場合には(ステップ#12:Yes)、カウンタの計数値に1が加算される(ステップ#13)。カウンタの計数値が所定値以上であれば(ステップ#14:Yes)、閾値設定部70が検出閾値とリリース閾値とを変更する(ステップ#15)。ここで、ステップ#14で用いられる所定値は、検出閾値及び判定閾値の変更を行うために必要な「変動係数が判定閾値よりも小さい」という条件を連続で具備する回数に相当する。具体的には、例えば10回とするとよい。受光部30が受光量を測定し、記憶部35に記憶されている最も古い検出結果を新たな測定結果と入れ替える(ステップ#16)。
【0048】
ステップ#14において、カウンタの計数値が所定値以上でなければ(ステップ#14:No)、受光部30が受光量を測定し、記憶部35に記憶されている最も古い検出結果を新たな測定結果と入れ替える(ステップ#16)。また、ステップ#12において、変動係数が判定閾値より小さくない場合には(ステップ#12:No)、カウンタの計数値を0にした後(ステップ#17)、受光部30が受光量を測定し、記憶部35に記憶されている最も古い検出結果を新たな測定結果と入れ替える(ステップ#16)。
【0049】
ステップ#16の処理後、受光量が検出閾値以下でなければ(ステップ#18:No)、ステップ#10に戻り処理が継続される。一方、受光量が検出閾値以下であれば(ステップ#18:Yes)、ディスペンサ101から泡状歯磨きを吐出する(ステップ#19)。この状態で、受光部30が受光量を測定する(ステップ#20)。受光量がリリース閾値より小さくなければ(ステップ#21:No)、ディスペンサ101が泡状歯磨きの吐出を停止し(ステップ#22)、ステップ#10から処理が継続される。
【0050】
ステップ#21において、受光量がリリース閾値より小さく(ステップ#21:Yes)、且つ、泡状歯磨きが吐出されてから予め設定された時間が経過していると(ステップ#23:Yes)、ディスペンサ101が泡状歯磨きの吐出を停止する(ステップ#24)。ステップ#23において、泡状歯磨きが吐出されてから予め設定された時間が経過していない場合には(ステップ#23:No)、ステップ#20に戻り、処理が継続される。
【0051】
ステップ#24において、ディスペンサ101が泡状歯磨きの吐出を停止すると、サンプリング時間だけ待機する(ステップ#30)。記憶部35に記憶されている検出結果から算定部50が変動係数を算定する(ステップ#31)。
【0052】
変動係数が判定閾値より小さい場合には(ステップ#32:Yes)、カウンタの計数値に1が加算される(ステップ#33)。カウンタの計数値が所定値以上であれば(ステップ#34:Yes)、閾値設定部70が検出閾値とリリース閾値とを変更する(ステップ#35)。受光部30が受光量を測定し、記憶部35に記憶されている最も古い検出結果を新たな測定結果と入れ替える(ステップ#36)。
【0053】
ステップ#34において、カウンタの計数値が所定値以上でなければ(ステップ#34:No)、受光部30が受光量を測定し、記憶部35に記憶されている最も古い検出結果を新たな測定結果と入れ替える(ステップ#36)。また、ステップ#32において、変動係数が判定閾値より小さくない場合には(ステップ#32:No)、カウンタの計数値を0にした後(ステップ#37)、受光部30が受光量を測定し、記憶部35に記憶されている最も古い検出結果を新たな測定結果と入れ替える(ステップ#36)。
【0054】
ステップ#36の処理後、受光量がリリース閾値より大きくなければ(ステップ#38:No)、ステップ#30に戻り処理が継続される。一方、受光量がリリース閾値より大きい場合には(ステップ#38:Yes)、ステップ#10から処理が継続される。検出装置1では、以上のようにして処理が行われる。
【0055】
次に、理解を容易にするために、検出閾値及びリリース閾値の変更について図8図10を用いて説明する。図8図10は、受光部30が検出した受光量の時系列変化が示される。図8図10は、縦軸が受光部30による受光量を示し、横軸は時間を示している。なお、受光量は、所定回数の平均値が示されるが、以下では単に「受光量」として説明する。
【0056】
図8の(A)には、エリア12に歯ブラシ2Aを挿入していない状態の受光量が示される(実線で示している)。図8の(A)では、受光量が所定値(例えば「R1」)近傍で推移している。また、図8の(A)には、リリース閾値及び検出閾値も示される(リリース閾値は破線で示し、検出閾値は一点鎖線で示している)。ここでは、リリース閾値は、受光量の平均値の90%の値に設定され、検出閾値は、受光量の平均値の80%の値に設定されている。
【0057】
エリア12に歯ブラシ2Aが挿入されると(t1において挿入されるとする)、図8の(B)に示されるように、受光量が低下する。このとき、受光量が検出閾値より小さくなり、泡状歯磨きが吐出される。歯ブラシ2Aがエリア12から抜き取られると(t2において抜き取られたとする)、図8の(C)に示されるように、受光量がリリース閾値より大きくなる。これにより、検出装置1は、歯ブラシ2Aがエリア12に存在していないことを検出できる。
【0058】
例えば、エリア12に歯ブラシ2Aが挿入されていない状態で、且つ、カバー部材109がずれていると(t3においてずれたとする)、図9の(A)に示されるように、歯ブラシ2Aがエリア12に挿入されていないにもかかわらず、受光量が検出閾値より小さくなる。この場合には、上述した変動係数と判定閾値との判定に基づいて、図9の(B)に示されるように、リリース閾値及び検出閾値が補正される。このときも、リリース閾値は、受光量の平均値の90%の値に設定され、検出閾値は、受光量の平均値の80%の値に設定される。
【0059】
この状態で、エリア12に歯ブラシ2Aが挿入されると(t4において挿入されるとする)、図9の(C)に示されるように、受光量が検出閾値よりも小さくなると、泡状歯磨きが吐出される。歯ブラシ2Aがエリア12から抜き取られると(t5において抜き取られたとする)、図9の(D)に示されるように、受光量がリリース閾値より大きくなる。これにより、検出装置1は、歯ブラシ2Aがエリア12に存在していないことを検出できる。
【0060】
ずれていたカバー部材109を元に戻すと(t6において戻したとする)、変動係数と判定閾値との判定に基づいて、図10の(E)に示されるように、リリース閾値及び検出閾値が補正される。このときも、リリース閾値は、受光量の平均値の90%の値に設定され、検出閾値は、受光量の平均値の80%の値に設定されている。以上のように、検出閾値及びリリース閾値が変更される。
【0061】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、評価算定値として受光量の変動係数を例に挙げて説明した。しかしながら、評価算定値は、受光量の変動係数に代えて、受光量の平均偏差を平均値で除した相対平均偏差を用いることも可能である。
【0062】
上記実施形態では、受光部30が透過光検出部を用いて構成される場合の例を挙げて説明した。しかしながら、受光部30が反射型検出部を用いて構成することも可能である。この場合には、存在判定部40は、所定時間内における受光部30が受光した光の受光量が検出閾値よりも大きくなった場合に、エリア12に検出対象物2が存在しない状態から存在する状態になったと判定し、所定時間内における受光部30が受光した光の受光量がリリース閾値よりも小さくなった場合に、エリア12に検出対象物2が存在する状態から存在しない状態になったと判定するとよい。
【0063】
上記実施形態では、検出装置1をディスペンサ101に適用し、動作指示部60が、存在判定部40によりエリア12に歯ブラシ2Aが存在していると判定され、且つ、変動係数が判定閾値以下でない場合に、ディスペンサ101に泡歯磨きを吐出させるとして説明した。例えば、検出装置1は、容器(「検出対象物」の一例)に対して飲料(「流体」の一例)を吐出するドリンクサーバ(「吐出ユニット」の一例)に適用することも可能である。ドリンクサーバにおける飲料の吐出口の下方に容器が載置されると、当該容器は照射部20からの光の照射径よりもサイズが十分大きく、照射部20からの光を遮ることができるため、受光部30による受光量は安定する。したがって、変動係数は、所定時間に亘って判定閾値以下の状態となる。そこで、この場合には、動作指示部60は、評価算定値が判定閾値以下である場合に、ドリンクサーバに飲料を吐出させるとよい。これにより、容器がエリア12にあることを適切に検出し、容器に飲料を吐出することが可能となる。
【0064】
また、検出装置1を、存在判定部40がエリア12における利用者の手の存在を判定し、その判定結果に基づいて自動で蛇口から水を吐出するように駆動する自動水栓ユニット(「駆動ユニット」の一例)に適用することも可能である。この場合に、動作指示部60は、存在判定部40によりエリア12に利用者の手が存在していると判定され、且つ、評価算定値が判定閾値以下である場合に、自動水栓ユニットの駆動を停止させるとよい。これにより、自動水栓ユニットの誤動作を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、検出対象物を検出する検出装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1:検出装置
2:検出対象物
12:エリア
20:照射部
30:受光部
40:存在判定部
50:算定部
60:動作指示部
62:出力部
70:閾値設定部
101:ディスペンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10