(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085060
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20240619BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199385
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小末 将吾
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM10
4F206AR02
4F206AR04
4F206AR15
4F206JA07
4F206JL02
4F206JL07
4F206JP02
4F206JP13
4F206JP14
4F206JP22
(57)【要約】
【課題】保守担当者の労力を軽減しつつ、ボールねじの寿命を延命することができる射出成形機を提供する。
【解決手段】射出成形機は、ねじ軸39、ボール、ナット38を含むボールねじ37と、ボールねじ37にグリスの供給を行なうグリス供給機構200と、グリス供給機構200を制御する制御装置140とを備える。制御装置140は、第1の量のグリスをナット38に供給する通常給脂と、第1の量よりも多い第2の量のグリスをナット38に供給する洗浄給脂とをグリス供給機構200に行なわせるように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ軸、ボール、ナットを含むボールねじと、
前記ボールねじにグリスの供給を行なうグリス供給機構と、
前記グリス供給機構を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、第1の量のグリスを前記ナットに供給する通常給脂と、前記第1の量よりも多い第2の量のグリスを前記ナットに供給する洗浄給脂とを前記グリス供給機構に行なわせるように構成される、射出成形機。
【請求項2】
前記ナットは、グリスを注入する少なくとも第1注入口と第2注入口とを含み、
前記制御装置は、前記通常給脂時は、前記第1注入口と前記第2注入口の両方からグリスを注入し、前記洗浄給脂時は、前記第1注入口のみからグリスを注入するように、前記グリス供給機構を制御するように構成される、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記ねじ軸の回転軸に沿う方向の前記ナットの中心位置と前記第1注入口との距離は、前記中心位置と前記第2注入口との距離よりも短い、請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記グリス供給機構は、
前記通常給脂時に供給する第1種類のグリスを貯留する第1保持部と、
前記洗浄給脂時に供給する第2種類のグリスを貯留する第2保持部とを含み、
前記第2種類のグリスは、前記第1種類のグリスよりも粘度が高い、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記洗浄給脂時に、前記第2種類のグリスを前記第2の量供給した後に、前記第1種類のグリスを前記ナットに充填させるように、前記グリス供給機構を制御するように構成される、請求項4に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記グリス供給機構は、
前記ナットから排出されたグリスから異物を取り除くフィルタを含み、
前記フィルタを通過したグリスは、前記ナットの給脂に再利用される、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記グリス供給機構は、
前記通常給脂時に供給するグリスを貯留する第1保持部と、
前記洗浄給脂時に供給するグリスを貯留する第2保持部とをさらに含み、
前記フィルタを通過したグリスは、前記第2保持部に送られ前記洗浄給脂時に再利用される、請求項6に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記ボールねじの状態を示す物理値を検出するセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記センサの出力に基づいて前記洗浄給脂を行なうタイミングを決定するように構成され、
前記センサは、前記物理値として、前記ねじ軸の振動、前記ねじ軸を回転させるサーボモータのトルク、射出成形機の射出圧力、前記ナットから排出されたグリスの鉄粉濃度の少なくともいずれか1つを検出する、請求項1~7のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記制御装置は、前記ナットに保持された前記ねじ軸が前記ナットに対して摺動する延べ距離に基づいて前記洗浄給脂を行なうタイミングを決定するように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、成形材料を溶融して射出する射出装置および型締装置を備える。射出装置は、先端部にノズルを有する加熱シリンダと、当該加熱シリンダ内に周方向と軸方向とに回転可能に配されたスクリュとを備える。スクリュは駆動機構によって回転方向と軸方向とに駆動する。スクリュ駆動機構は、射出用サーボモータの回転駆動力をスクリュの軸方向への駆動力に変換して伝達するボールねじを備える。
【0003】
たとえば、特開2021-74917号公報(特許文献1)には、ボールねじを備える射出成形機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボールねじの典型的な摩耗モデルは、ボールねじに異物が噛み込み、ねじ軸またはナットのボール転走面に微小な傷がつき、そこをボールが通過することで、そこから転走面が剥離し、さらにそれをボールが踏むことで新たな傷ができ、加速度的に磨耗が進むというものである。
【0006】
摩耗の目安となるグリス中の鉄粉濃度が上昇してきた場合に、手動でグリスを供給し鉄粉などの異物を押し出すことで、ボールねじの寿命を延ばそうとすることがある。
【0007】
しかし、従来は保守担当者が定期的に鉄粉濃度を測定し、必要に応じてグリスを供給しなければならなかった。
【0008】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、保守担当者の労力を軽減しつつ、ボールねじの寿命を延ばすことができる射出成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態による射出成形機は、ねじ軸、ボール、ナットを含むボールねじと、ボールねじにグリスの供給を行なうグリス供給機構と、グリス供給機構を制御する制御装置とを備える。制御装置は、第1の量のグリスをナットに供給する通常給脂と、第1の量よりも多い第2の量のグリスをナットに供給する洗浄給脂とをグリス供給機構に行なわせるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る射出成形機によれば、保守担当者の手間を増加させずに射出成形機に含まれるボールねじの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】射出成形機100の構成を説明するための図である。
【
図2】
図1における作動装置124の詳細構成を示す図である。
【
図3】ボールねじとグリス供給機構の構成を示すブロック図である。
【
図4】ボールねじ37の状態を示すFFT信号強度および正常状態判定方法を示す第1の説明図である。
【
図5】ボールねじ37の状態を示すFFT信号強度および正常状態判定方法を示す第2の説明図である。
【
図6】ボールねじ37の劣化モデルおよび寿命予測方法を示す説明図である。
【
図7】通常給脂時のグリスの供給制御を説明するためのフローチャートである。
【
図8】洗浄給脂時のグリスの供給制御を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施の形態2で用いられるグリス供給機構の構成を示す図である。
【
図10】実施の形態2における洗浄給脂時のグリスの供給制御を説明するためのフローチャートである。
【
図11】実施の形態3で用いられるグリス供給機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
[実施の形態1]
<射出成形機の構成>
図1は、射出成形機100の構成を説明するための図である。なお、説明の便宜上、
図1において射出成形機100が配置される床面をXY平面とし、当該床面に垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸の正方向を上面側または上方、負方向を下面側または下方と称する場合がある。なお、射出成形機100は、横型の射出成形機として示されているが、横型に限られず、竪型の射出成形機であってもよい。
【0014】
射出成形機100は、金型を型締めするための型締装置110、射出材料を溶融して射出するための射出装置120、操作盤130、および、制御装置140を含む。
【0015】
型締装置110は、ベッド111と、固定盤112と、型締ハウジング113と、可動盤114と、タイバー115と、型締機構116と、金型117,118と、ボールねじ119とを含む。
【0016】
型締ハウジング113と可動盤114とは、型締機構116によって連結されている。型締機構116はトグル機構を有している。トグル機構には、ボールねじ119が連結されており、型締ハウジング113に配置されるサーボモータ151を駆動してボールねじ119を回転させることによって、型締ハウジング113に対して可動盤114をX軸方向に相対移動させることができる。
【0017】
金型117および金型118は、可動盤114と固定盤112との間において互いに対向して配置されている。型締機構116を用いて金型117をX軸方向に移動させることによって、金型117と、金型118とを密着させたり、金型117を金型118から離間させたりすることができる。
【0018】
金型117と金型118とを密着させた状態で、金型内部に溶融材料(樹脂)を充填し、冷却して固化させることによって、所望の形状の製品(成形品)を成形することができる。製品の成形後、金型117を金型118から離間させた状態で、可動盤114に配置された突出機構(図示せず)を動作させることによって、成形された製品を金型117から取り出すことができる。突出機構は、可動盤114に配置されたサーボモータ152によって駆動される。
【0019】
射出装置120は、基台121と、加熱シリンダ122と、作動装置124と、ホッパ125と、温度センサ128とを含む。
【0020】
作動装置124には、X軸方向に延在する加熱シリンダ122が配置されている。加熱シリンダ122は、内部を加熱するためのヒータ(図示せず)と、スクリュ123と、射出ノズル126とを含む。スクリュ123は、作動装置124内の可塑化モータ154によってX軸方向を回転軸として回転可能に構成される。また、スクリュ123は、射出モータ153によってX軸方向に移動可能に構成されている。ホッパ125には、ビーズ状の樹脂材料αが投入される。加熱シリンダ122は、樹脂材料αを加熱溶融し、スクリュ123を用いて混練することによって溶融材料を生成する。
【0021】
また、作動装置124によってスクリュ123がX軸方向に移動されることにより、射出成形機100は、射出ノズル126を型締装置110における金型118のスプルーブッシュに接触させる。そして、射出成形機100は、射出ノズル126から溶融材料を射出することによって、金型117,118のキャビティ内に溶融材料が充填される。可塑化モータ154は、加熱シリンダ122内のスクリュ123をX軸の負方向に移動させることによって溶融材料に圧力を付与し、金型117,118内への溶融材料の注入、および、注入後の溶融材料の圧力を一定に保持する。
【0022】
制御装置140は、温度センサ128の検出値に基づいてヒータを制御して、溶融材料の温度を所望の温度に調整する。
【0023】
射出成形機100は、型締工程、射出工程、保圧工程、可塑化工程、型開工程および突出工程をサイクリックに繰り返し実行することによって、製品を連続的に形成することができる。
【0024】
制御装置140は、基台121の内部に格納されている。制御装置140は、CPU141と、メモリ142と、各モータを駆動するためのサーボアンプ143とを含む。制御装置140は、射出成形機100に配置された各種センサの検出値を取得し、射出成形機100を統括的に制御する。
【0025】
操作盤130は、様々な画像を表示するディスプレイ132、および、キーボードなどの入力装置を含む。操作盤130は制御装置140に接続されており、射出成形機100の状態を取得して表示したり、入力装置からのユーザ操作信号を制御装置140に出力したりすることができる。
【0026】
<作動装置の構成>
図2は、
図1における作動装置124の詳細構成を示す図である。以下の作動装置124の説明では、主に
図2を参照するが、
図1についても適宜参照する。なお、
図2においては、加熱シリンダ122の一部およびスクリュ123の一部が示されている。
【0027】
作動装置124は、固定プレート27、エンドプレート28、リニアガイド43、および可動プレート30を備える。可塑化モータ154は、可動プレート30に配置されている。射出モータ153は、エンドプレート28に配置されている。固定プレート27とエンドプレート28とはガイドバー31によって連結されている。リニアガイド43は、可動プレート30をX軸方向に案内する。また、可動プレート30はガイドバー31にガイドされてX軸方向に移動する。
【0028】
固定プレート27には孔33が形成されており、この孔33と加熱シリンダ122の孔が整合するように加熱シリンダ122の後端部が固定されている。スクリュ123の後端部は、孔33を貫通して回転駆動軸35に固定されている。また、回転駆動軸35は、減速機47の出力軸47Bに連結されている。
【0029】
作動装置124は、さらに、ボールねじ軸39とボールねじナット38とボールとを含むボールねじ37と、第1ベアリング51と、第1タイミングベルト61と、リニアガイド43と、振動センサ50とを備える。第1ベアリング51は、エンドプレート28に収容されている。第1ベアリング51は、ボールねじ軸39の一部を回転可能に支持する。
【0030】
ボールねじナット38は、減速機47を介して可動プレート30に固定されている。ボールねじナット38は、ボールねじ軸39に装着される。ボールねじ37のボールねじ軸39は、エンドプレート28を貫通して、ボールねじ軸39の先端がエンドプレート28から突出している。この突出箇所に第1プーリ41が設けられている。射出モータ153の回転軸には第2プーリ42が設けられ、第1プーリ41と第2プーリ42とに第1タイミングベルト61が掛け回されている。
【0031】
従って、制御装置140の制御により射出モータ153が駆動すると、射出モータ153の動力は第1タイミングベルト61によりボールねじ軸39に伝達される。また、ボールねじ軸39が該動力により回転することにより、ボールねじナット38がX軸方向に移動し、可動プレート30およびスクリュ123もX軸方向に移動する。以上により、制御装置140の制御により射出モータ153が駆動すると、スクリュ123は、X軸方向に移動する。
【0032】
作動装置124は、さらに、減速機47と、第2タイミングベルト62とを備える。減速機47は、可塑化モータ154の回転軸の回転を減速させる。また、減速機47の入力軸47Aに第3プーリ48が設けられている。また、可塑化モータ154の回転軸に第4プーリ49が設けられている。また、第3プーリ48と第4プーリ49とに第2タイミングベルト62が掛け回されている。従って、制御装置140の制御により可塑化モータ154が駆動すると、スクリュ123が回転する。
【0033】
振動センサ50は、ボールねじナット38に設置される。振動センサ50として、たとえば、加速度センサが用いられる。
【0034】
<ボールねじとグリス供給機構の構成>
図3は、ボールねじとグリス供給機構の構成を示すブロック図である。射出成形機は、ねじ軸39、ボール40、ナット38を含むボールねじ37と、ボールねじ37にグリスの供給を行なうグリス供給機構200と、グリス供給機構200を制御する制御装置140とを備える。
【0035】
ボールねじナット38は、グリスを注入する注入口P1~P3を含む。グリス供給機構200は、グリスを貯留するグリスタンク202と、グリスを送給する送給ポンプ201と、注入口P1と送給ポンプ201とを接続する配管に設けられた開閉弁V1と、注入口P2と送給ポンプ201とを接続する配管に設けられた開閉弁V2と、注入口P3と送給ポンプ201とを接続する配管に設けられた開閉弁V3とを含む。
【0036】
射出成形機は、
図3に示すように、ボールねじ37の状態を示す物理値を検出するセンサ160をさらに備える。制御装置140は、センサ160の出力に基づいて洗浄給脂を行なうタイミングを決定するように構成される。センサ160は、物理値として、ねじ軸39の振動、ねじ軸39を回転させるサーボモータのトルク、射出成形機の射出圧力、ナット38から排出されたグリスの鉄粉濃度の少なくともいずれか1つを検出する。
【0037】
射出成形機のナット38は、グリスを注入する第1注入口P1と第2注入口P2と第3注入口P3を含む。制御装置140は、通常給脂時は、第1注入口P1と第2注入口P2の両方および第3注入口からグリスを注入し、洗浄給脂時は、第1注入口P1のみからグリスを注入するように、グリス供給機構200を制御するように構成される。
【0038】
制御装置140は、第1の量のグリスをナット38に供給する通常給脂と、第1の量よりも多い第2の量のグリスをナット38に供給する洗浄給脂とをグリス供給機構200に行なわせるように構成される。
【0039】
本実施の形態では、センサ160の検出値が正常範囲を外れたと認識したら、制御装置140は、通常給脂よりも大量にグリスを供給してボールねじナット38の内部の鉄粉、異物を洗い流す洗浄給脂を行なう。このようにすれば、実際にボールねじが磨耗し始めたことを検出し、適切なタイミングで自動的に行なわれるので、保守担当者の労力を軽減することができる。
【0040】
射出成形機が成形動作しているときに、ボールねじ軸39が動いている間のみ給脂するようにすれば、生産を妨げず、かつ効果的に異物を洗い流すことができる。供給するグリスの量は、あらかじめ実験によって決めておくとよい。
【0041】
グリス注入口は複数あり、通常給脂時には複数の注入口P1~P3から給脂が行なわれる。一方、洗浄給脂動作においては、グリスが外に向かって流れやすいように、そのうち最もナット本体の中心C0に近い注入口P1のみから給脂する。
【0042】
ねじ軸39の回転軸に沿う方向のナット38の中心位置C0と第1注入口P1との距離D1は、中心位置C0と第2注入口P2との距離D2および中心位置C0と第3注入口P3との距離D3よりも短い。
【0043】
複数の注入口からグリスを注入すると、グリスの流れが衝突し、鉄粉の排出が妨げられるが、中央付近の注入口1つのみ使用することにより、効率よく鉄粉、異物を洗い流すことができる。なお、注入口の数を減らし、ナット本体の中心C0付近にグリス注入口を一つ設け、そこからグリスを注入するようにしても良い。
【0044】
<洗浄給脂を行なうタイミングの決定>
続いて、洗浄給脂を行なうタイミングの決定について一例を説明する。なお、以下の洗浄給脂を行なうタイミングの決定についての説明では
図1についても適宜参照する。一例では、制御装置140は、振動センサ50によってボールねじ37に生じる振動加速度を監視する。制御装置140は、取得した振動加速度データと、当該振動加速度データを取得した時間を示す時間データとを対応付けてメモリ142に記憶する。次いで、制御装置140は、メモリ142が記憶する振動加速度データおよび時間データを高速フーリエ変換する。高速フーリエ変換により、振動加速度データの周波数成分が得られる。以下、周波数成分の大きさをFFT(Fast Fourier Transform)信号強度と呼ぶ。
【0045】
図4は、ボールねじ37の状態を示すFFT信号強度および正常状態判定方法を示す第1の説明図である。
図5は、ボールねじ37の状態を示すFFT信号強度および正常状態判定方法を示す第2の説明図である。
図4および
図5に示すグラフの横軸は周波数、縦軸はFFT信号強度を示している。
図4は、正常なボールねじ37から得られるFFT信号強度を示している。
図5は、正常でないボールねじ37から得られるFFT信号強度を示している。つまり、
図5は、ボールねじ37の摩耗が加速度的に進行する原因となる事象の発生したときに得られるFFT信号強度を示している。
【0046】
ナット38に傷が付くと、
図4および
図5中、矩形枠で示す特定の周波数帯域のFFT信号強度の値が全体的に大きくなる。
図4および
図5中、破線は、ボールねじ37が正常か異常かを判別するための閾値を示している。特定の周波数帯域と、閾値は、正常なボールねじ37を用いて実験的に得ることができる。メモリ142は、特定の周波数帯域および閾値を記憶している。
【0047】
制御装置140は、特定の周波数帯域のFFT信号強度と、閾値とを比較することにより、ボールねじ37が正常であるか否かを判定する。制御装置140は、特定の周波数帯域におけるFFT信号強度の平均値が閾値未満である場合、ボールねじ37が正常であると判定する。制御装置140は、特定の周波数帯域におけるFFT信号強度の平均値が閾値以上である場合、ボールねじ37が正常でないと判定する。
【0048】
以上の1次判定で正常でないと判定された場合は、制御装置140は2次判定を行なう。2次判定に使用する振動加速度データは、1次判定で正常で無いと判定された時点以後に蓄積された振動加速度データである。
【0049】
制御装置140は、メモリ142が記憶する振動加速度データに基づく状態インジケータおよび時間データに基づいて、ボールねじ37の寿命と相関のある状態インジケータの計時変化を推定するための劣化モデルを算出する。劣化モデルは、使用時間と状態インジケータとの関係を示す関数である。劣化モデルは、最尤推定法によって求めることができる。
【0050】
劣化モデルに係る関数は、たとえば下記式(1)で表される。
P=a×ebt+c…(1)
但し、Pは状態インジケータを表わし、tは使用時間を表わし、a,b,cは係数を表わす。
【0051】
制御装置140は、平均二乗誤差が最小となる係数a,b,cを算出することによって、劣化モデルを求める。
【0052】
図6は、ボールねじ37の劣化モデルおよび寿命予測方法を示す説明図である。
図6に示すグラフの横軸は、ボールねじ37の使用時間を示し、縦軸はボールねじ37の状態インジケータを示す。不規則に漸増している線は状態インジケータの経時変化を示している。滑らかな曲線はボールねじ37の劣化モデルであり、破線は劣化モデルの信頼区間を示している。太線は、故障判定閾値である。故障判定閾値はボールねじ37が故障するときの状態インジケータの値である。
【0053】
劣化モデルを用いて状態インジケータが故障判定閾値を超えるときの使用時間を求めることによりボールねじ37の寿命を予測することができる。なお、故障判定閾値は、傷をつけたボールねじ37を用いて実験的に得ることができる。メモリ142は故障判定閾値を記憶している。
【0054】
次いで、制御装置140は、劣化モデルを用いてボールねじ37の寿命予測を行なう。たとえば、制御装置140は、劣化モデルを用いて算出される状態インジケータが故障判定閾値に達する時点を、故障時期として推定することができる。制御装置140は、推定した故障時期より手前の適時に洗浄給脂を行なうタイミングの決定を行なうように構成される。
【0055】
<グリスの供給制御>
次に、グリスの供給制御について説明する。なお、以下のグリスの供給制御についての説明では
図1についても適宜参照する。制御装置140は、通常給脂と洗浄給脂の2つの態様で、ボールねじ37に対するグリスの供給を行なう。
【0056】
図7は、通常給脂時のグリスの供給制御を説明するためのフローチャートである。
ステップS1において、制御装置140は、通常給脂条件が成立したか否かを判断する。通常給脂条件は、たとえば、前回の通常給脂時から一定時間が経過したこと、ボールねじの稼働延べ時間が一定時間増加したこと、等である。通常給脂条件が成立しなければ(S1でNO)、このフローチャートの処理を抜ける。
【0057】
通常給脂条件が成立した場合(S1でYES)、ステップS2において、制御装置140は、ボールねじの状態を確認する。ボールねじが走行中の場合には、ステップS3において、制御装置140は、グリスを3つの注入口から供給するために、
図3に示す開閉弁V1~V3(
図3参照)を開き、ポンプ201を駆動させる。一方、ボールねじが停止中の場合には、ステップS4において、制御装置140は、ポンプ201を停止させグリスの供給を一時停止する。
【0058】
そして、ステップS5において、制御装置140は、供給されたグリスの量が規定の量(A)に到達したか否かを判断する。給脂量が規定の量に到達していなければ(S5でNO)、ステップS2に処理が戻り、グリスの供給が継続される。一方、給脂量が規定の量(A)に到達していれば(S5でYES)、このフローチャートの処理を抜ける。
【0059】
図8は、洗浄給脂時のグリスの供給制御を説明するためのフローチャートである。
ステップS11において、制御装置140は、動作タイミングの基準となるセンサの値を取得する。たとえば、
図3に示すセンサ160が
図2の振動センサ50である場合には、
図4~
図6で説明した2段階判定を行なって寿命を推定し、寿命からみて適時に到来したことに基づいて洗浄給脂を行なうことを決定しても良い。これに限らず、
図3に示すセンサ160は、ボールねじ37の状態を示す物理値であれば他の物理値を検出するものであっても良い。制御装置140は、センサ160の出力に基づいて洗浄給脂を行なうタイミングを決定するように構成される。センサ160は、物理値として、ねじ軸39の振動、ねじ軸39を回転させるサーボモータのトルク、射出成形機の射出圧力、ナット38から排出されたグリスの鉄粉濃度の少なくともいずれか1つを検出する。
【0060】
続いて、ステップS12において、制御装置140は、取得したセンサの値が正常の範囲を外れているか否かを判断する。センサの値が正常範囲であれば(S12でNO)、このフローチャートの処理を抜ける。
【0061】
一方、センサの値が正常範囲を外れていれば(S12でYES)、ステップS13において、制御装置140は、ボールねじの状態を確認する。ボールねじが走行中の場合には、ステップS14において、制御装置140は、グリスを1つの注入口から供給するために、開閉弁V1のみを開き、ポンプ201を駆動させる。一方、ボールねじが停止中の場合には、ステップS15において、制御装置140は、ポンプ201を停止させグリスの供給を一時停止する。
【0062】
そして、ステップS16において、制御装置140は、供給されたグリスの量が規定の量(B)に到達したか否かを判断する。ここで洗浄給脂における規定量Bは通常給脂における規定量Aよりも多い。給脂量が規定の量(B)に到達していなければ(S16でNO)、ステップS13に処理が戻り、グリスの供給が継続される。一方、給脂量が規定の量(B)に到達していれば(S16でYES)、このフローチャートの処理を抜ける。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態では、洗浄給脂時には、注入口1つから、通常給脂時よりも多い量のグリスを供給して、鉄粉および異物を洗い流す。鉄粉および異物が自動的に適時に除去されるので、保守担当者の労力をかけずにボールねじの寿命を延ばすことができる。
【0064】
[実施の形態2]
実施の形態1では、洗浄給脂時は、通常給脂時よりも多い量のグリスを供給する例を説明した。この場合は、洗浄給脂時にも通常動作時に使用する比較的低粘度のグリスを使用する。
【0065】
同じグリスを使用することにより、通常の機械動作を妨げず、洗浄動作が行なえるという利点がある。一方で、洗浄給脂時にはグリスの種類を変えることも考えられる。たとえば、通常動作を止め、洗浄用の粘度の高いグリスを使用しボールねじを動かす。
【0066】
高粘度のグリスを使用すると効果的に異物を押し流せるが、高いグリス粘度のために動作負荷が高まり、通常の機械動作には適さない。そこで、実施の形態2では、洗浄動作終了前に通常動作時のグリスに切り替え、ボールねじのナット内部のグリスを入れ替え、通常の機械動作に支障のない状態にする。
【0067】
図9は、実施の形態2で用いられるグリス供給機構の構成を示す図である。
図9に示すグリス供給機構210は、グリスを貯留するグリスタンク202A,202Bと、グリスを送給する送給ポンプ201A,201Bと、注入口P1と送給ポンプ201A,201Bとを接続する配管に設けられた開閉弁V1と、注入口P2と送給ポンプ201A,201Bとを接続する配管に設けられた開閉弁V2と、注入口P3と送給ポンプ201A,201Bとを接続する配管に設けられた開閉弁V3とを含む。
【0068】
グリスタンク202Aは、通常給脂時に使用されるグリスが貯留される。一方、グリスタンク202Bは、洗浄給脂時に使用されるグリスが貯留される。たとえば、グリスタンク202Bのグリスは、グリスタンク202Aのグリスよりも粘度が高いものが使用される。
【0069】
一般に、グリスの硬さは「ちょう度」で表わされる。グリスタンク202Aの通常給脂時に使用されるグリスは、たとえば、ちょう度番号1(混和ちょう度310~340)のグリスを使用することができる。グリスタンク202Bの洗浄給脂時に使用されるグリスは、それより硬いグリス、たとえば、ちょう度番号2または3(混和ちょう度265~250)のグリスを使用することができる。ちょう度の測定方法は、たとえばJIS-K2220に規定されている。
【0070】
図10は、実施の形態2における洗浄給脂時のグリスの供給制御を説明するためのフローチャートである。
【0071】
ステップS21において、制御装置140は、動作タイミングの基準となるセンサの値を取得する。ステップS22において、制御装置140は、取得したセンサの値が正常の範囲を外れているか否かを判断する。ステップS21,S22の処理は、それぞれ、
図8のステップS11,S12の処理と同様であるので、説明は繰り返さない。
【0072】
センサの値が正常範囲であれば(S22でNO)、このフローチャートの処理を抜ける。一方、センサの値が正常範囲を外れていれば(S22でYES)、ステップS23において、制御装置140は、ボールねじの通常動作を停止させる。
【0073】
そして、ステップS24において、ボールねじを連続して左右に動かしつつ洗浄用グリス(高粘度)の供給を行なう。このとき開閉弁V1~V3を開いても良いが、好ましくは実施の形態1と同様に、制御装置140は、グリスを1つの注入口から供給するために、開閉弁V1のみを開き、ポンプ201Bを駆動させる。
【0074】
そして、ステップS25において、制御装置140は、供給されたグリスの量が規定の量(B)に到達したか否かを判断する。ここで洗浄給脂における規定量Bは通常給脂における規定量Aよりも多い。給脂量が規定の量(B)に到達していなければ(S25でNO)、ステップS24に処理が戻り、グリスの供給が継続される。一方、給脂量が規定の量(B)に到達していれば(S25でYES)、ステップS26以降の処理が実行され、通常用のグリスの再充填が行なわれる。
【0075】
ステップS26において、ボールねじを連続して左右に動かしつつ通常動作用グリス(低粘度)の供給を行なう。このとき開閉弁V1~V3を開いても良いが、好ましくは実施の形態1と同様に、制御装置140は、グリスを1つの注入口から供給するために、開閉弁V1のみを開き、ポンプ201Aを駆動させる。これにより速やかなグリスの置換が行なわれる。
【0076】
そして、ステップS27において、制御装置140は、供給されたグリスの量が規定の量(A)に到達したか否かを判断する。給脂量が規定の量(A)に到達していなければ(S27でNO)、ステップS26に処理が戻り、グリスの供給が継続される。一方、給脂量が規定の量(A)に到達していれば(S27でYES)、ステップS28において通常動作が再開される。
【0077】
実施の形態2によれば、高粘度のグリスにより鉄粉および異物が押し流されやすいので、実施の形態1よりもボールねじの状態を清浄に保つことができる。また、洗浄用給脂の最後に通常動作用のグリスを再充填するので、通常動作を元通り行なうことができる。
【0078】
[実施の形態3]
実施の形態3では、洗浄時に多く消費されるグリスを再利用することについて説明する。
【0079】
図11は、実施の形態3で用いられるグリス供給機構の構成を示す図である。
図11に示すように、グリス供給機構220は、グリスタンク202Aと、ポンプ201Aと、グリスタンク202Bと、ポンプ201Bと、開閉弁V1~V3とを含む。グリスタンク202Aは、通常給脂時に供給するグリスを貯留する。ポンプ201Aは、グリスタンク202Aのグリスを送給する。グリスタンク202Bは、洗浄給脂時に供給するグリスを貯留する。ポンプ201Bは、グリスタンク202Bのグリスを送給する。開閉弁V1~V3は、ナット38に設けられた3つの注入口に選択的にグリスを供給する。
【0080】
グリス供給機構220は、オイルパン203と、ポンプ204と、フィルタ205と、ポンプ206とをさらに含む。オイルパン203は、ナット38から排出されたグリスを貯留する。ポンプ204は、オイルパン203のグリスをフィルタ205に送出する。フィルタ205は、ナット38から排出されたグリスから異物を取り除く。ポンプ206は、フィルタ205を通過したグリスをグリスタンク202Bに送給する。
【0081】
フィルタ205を通過したグリスは、ナット38の給脂に再利用される。なお、
図11の構成のように通常給脂時には新しいグリスを使用することが好ましいが、グリスタンク202A,ポンプ201Aを削除して、通常給脂時にも再利用のグリスを使用しても良い。
【0082】
実施の形態3によれば、多くのグリスを消費する洗浄給脂を導入してもグリスを再利用できるため、グリスの補充量が少なくて済む。
【0083】
以上の実施の形態では、ボールねじ37にグリス供給機構を導入した例を示したが、他の部分のボールねじ、たとえばボールねじ119等に同様なグリス供給機構を導入しても良い。
【0084】
[付記]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0085】
(第1項) 本開示の射出成形機は、ねじ軸39、ボール、ナット38を含むボールねじ37と、ボールねじ37にグリスの供給を行なうグリス供給機構200と、グリス供給機構200を制御する制御装置140とを備える。制御装置140は、第1の量のグリスをナット38に供給する通常給脂と、第1の量よりも多い第2の量のグリスをナット38に供給する洗浄給脂とをグリス供給機構200に行なわせるように構成される。
【0086】
(第2項) 第1項に記載の射出成形機のナット38は、グリスを注入する少なくとも第1注入口P1と第2注入口P2とを含む。制御装置140は、通常給脂時は、第1注入口P1と第2注入口P2の両方からグリスを注入し、洗浄給脂時は、第1注入口P1のみからグリスを注入するように、グリス供給機構200を制御するように構成される。
【0087】
(第3項) 第2項に記載の射出成形機において、ねじ軸39の回転軸に沿う方向のナット38の中心位置C0と第1注入口P1との距離D1は、中心位置C0と第2注入口P2との距離D2よりも短い。
【0088】
(第4項) 第1項に記載の射出成形機において、
図9に示すように、グリス供給機構210は、通常給脂時に供給する第1種類のグリスを貯留するグリスタンク202Aと、洗浄給脂時に供給する第2種類のグリスを貯留するグリスタンク202Bとを含み、第2種類のグリスは、第1種類のグリスよりも粘度が高い。
【0089】
(第5項) 第4項に記載の射出成形機において、制御装置140は、洗浄給脂時に、第2種類のグリスを第2の量供給した後に、第1種類のグリスをナット38に充填させるように、グリス供給機構210を制御するように構成される。
【0090】
(第6項) 第1項に記載の射出成形機において、
図11に示すように、グリス供給機構220は、ナット38から排出されたグリスから異物を取り除くフィルタ205を含む。フィルタ205を通過したグリスは、ナット38の給脂に再利用される。
【0091】
(第7項) 第6項に記載の射出成形機において、
図11に示すように、グリス供給機構220は、通常給脂時に供給するグリスを貯留するグリスタンク202Aと、洗浄給脂時に供給するグリスを貯留するグリスタンク202Bとをさらに含む。フィルタ205を通過したグリスは、グリスタンク202Bに送られ洗浄給脂時に再利用される。
【0092】
(第8項) 第1項~第7項のいずれか1項に記載の射出成形機は、
図3に示すように、ボールねじ37の状態を示す物理値を検出するセンサ160をさらに備える。制御装置140は、センサ160の出力に基づいて洗浄給脂を行なうタイミングを決定するように構成される。センサ160は、物理値として、ねじ軸39の振動、ねじ軸39を回転させるサーボモータのトルク、射出成形機の射出圧力、ナット38から排出されたグリスの鉄粉濃度の少なくともいずれか1つを検出する。
【0093】
(第9項) 第1項~第7項のいずれか1項に記載の射出成形機において、制御装置140は、ナット38に保持されたねじ軸39がナット38に対して摺動する延べ距離に基づいて洗浄給脂を行なうタイミングを決定するように構成される。
【0094】
なお、本実施の形態では、射出成形機にグリス供給機構を導入した例を説明したが、他の産業機械のボールねじに本開示のグリス供給機構を適用しても良い。また、上述した実施形態および変更例について、明細書内で言及されていない組み合わせを含めて、不都合または矛盾が生じない範囲内で、実施形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。
【0095】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
27 固定プレート、28 エンドプレート、30 可動プレート、31 ガイドバー、33 孔、35 回転駆動軸、37,119 ボールねじ、38 ナット、39 ねじ軸、40 ボール、41 第1プーリ、42 第2プーリ、43 リニアガイド、47 減速機、47A 入力軸、47B 出力軸、48 第3プーリ、49 第4プーリ、50 振動センサ、51 第1ベアリング、61 第1タイミングベルト、62 第2タイミングベルト、100 射出成形機、110 型締装置、111 ベッド、112 固定盤、113 型締ハウジング、114 可動盤、115 タイバー、116 型締機構、117,118 金型、120 射出装置、121 基台、122 加熱シリンダ、123 スクリュ、124 作動装置、125 ホッパ、126 射出ノズル、128 温度センサ、130 操作盤、132 ディスプレイ、140 制御装置、141 CPU、142 メモリ、143 サーボアンプ、151,152 サーボモータ、153 射出モータ、154 可塑化モータ、160 センサ、200,210,220 グリス供給機構、201,201A,201B,204,206 ポンプ、202,202A,202B グリスタンク、203 オイルパン、205 フィルタ、P1~P3 注入口、V1~V3 開閉弁。