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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085061
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】井戸用カメラ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20240619BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240619BHJP
   H04N 23/698 20230101ALI20240619BHJP
   H04N 23/51 20230101ALI20240619BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240619BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H04N23/50
H04N23/56
H04N23/698
H04N23/51
H04N23/63
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199386
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000152321
【氏名又は名称】株式会社日さく
(71)【出願人】
【識別番号】594010700
【氏名又は名称】株式会社レアックス
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 直人
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054CF05
5C054CG08
5C054HA19
5C122DA26
5C122EA33
5C122EA55
5C122FA02
5C122FA18
5C122GE01
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GG03
5C122GG17
(57)【要約】
【課題】取得した映像の補正を必要とすることなく、井戸内部に設置した井管についての全方位撮影を可能にする井戸用カメラ装置を提供する。
【解決手段】井戸用カメラ装置100が、最下端部に直視カメラ6を設けたカメラ設置部材2と、カメラ設置部材2の周側面部に、縦方向の高さが一致するように設置された複数の側視カメラ5と、直視カメラ6および複数の側視カメラ5の周囲に設けられたLED照明部7と、複数の側視カメラ5に連通する分割ユニット、ならびに、分割ユニットおよび直視カメラ6に連通するカメラコントローラを設置した、カメラ設置部材2に連設するカメラハウジング部3と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最下端部に直視カメラを設けたカメラ設置部材と、
前記カメラ設置部材の周側面部に、縦方向の高さが一致するように設置された複数の側視カメラと、
前記直視カメラおよび前記複数の側視カメラの周囲に設けられたLED照明部と、
前記複数の側視カメラに連通する分割ユニット、ならびに、前記分割ユニットおよび前記直視カメラに連通するカメラコントローラを設置した、前記カメラ設置部材に連設するカメラハウジング部と、を備え、
前記カメラハウジング部に連接して前記カメラコントローラと連通するコネクタから、地上のTVモニタまで、カメラケーブルを介して連通することで、前記直視カメラおよび前記複数の側視カメラの映像を前記TVモニタに映し出す、井戸用カメラ装置。
【請求項2】
前記複数の側視カメラが、周方向において等間隔に配置される、請求項1に記載の井戸用カメラ装置。
【請求項3】
前記複数の側視カメラが、隣接する前記複数の側視カメラの間で視野角がオーバーラップする部分を有するように配置される、請求項1に記載の井戸用カメラ装置。
【請求項4】
前記複数の側視カメラが、左右方向に360°回転可能に取り付けられる、請求項1に記載の井戸用カメラ装置。
【請求項5】
前記複数の側視カメラの個数が、2個、3個、または4個である、請求項1に記載の井戸用カメラ装置。
【請求項6】
前記TVモニタに映し出される、前記直視カメラによる直視映像、および/または、前記側視カメラによる側視映像に、深度表示を行う、請求項1に記載の井戸用カメラ装置。
【請求項7】
前記LED照明部が、前記側視カメラが撮影する撮影面に略直角に照明が当たるように設置される、請求項1に記載の井戸用カメラ装置。
【請求項8】
前記LED照明部が、縦方向および/または周方向に配列された複数のLEDランプを有し、前記複数のLEDランプを個別に制御して部分的に点灯可能とする、請求項1に記載の井戸用カメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取得した映像の補正を必要とすることなく、井戸内部に設置した井管についての全方位撮影を可能にする井戸用カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、300~500mにおよぶ井戸に井管を設置し、井管内部の状況を監視撮影する手段として、カメラ設置部材の周側面部の縦方向の四方向箇所に側視カメラを設置する井戸用カメラ装置が提案されている(例えば、特許文献1)。この井戸用カメラ装置によれば、井戸に施工した井管内に設置し、井管の全周面状態を360°全面に監視点検し、井管の付着物や破損等の状態を見落とすことなく、全方位にわたって確実に撮影記録することができる。
【0003】
また、井戸内を撮影するカメラ部として該カメラ部の周囲水平方向360度を撮影可能な全天球カメラを採用したものが提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-119986号公報
【特許文献2】特開2019-27142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、側視カメラを縦方向(深さ方向)に並べているため、カメラ毎の深度ずれが発生するので、この深度ずれを別途開発した画像解析ソフトにより同一深度の映像に補正する必要があった。
【0006】
また、特許文献2では、全天球カメラは一般に、単眼カメラの映像と異なり映像の端部に歪みが生じてしまうので、正確な診断を行うためには、映像の歪みを補正する必要があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、取得した映像の補正を必要とすることなく、井戸内部に設置した井管についての全方位撮影を可能にする井戸用カメラ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はかかる課題を解決するため、最下端部に直視カメラを設けたカメラ設置部材と、前記カメラ設置部材の周側面部に、縦方向の高さが一致するように設置された複数の側視カメラと、前記直視カメラおよび前記複数の側視カメラの周囲に設けられたLED照明部と、前記複数の側視カメラに連通する分割ユニット、ならびに、前記分割ユニットおよび前記直視カメラに連通するカメラコントローラを設置した、前記カメラ設置部材に連設するカメラハウジング部と、を備え、前記カメラハウジング部に連接して前記カメラコントローラと連通するコネクタから、地上のTVモニタまで、カメラケーブルを介して連通することで、前記直視カメラおよび前記複数の側視カメラの映像を前記TVモニタに映し出す、井戸用カメラ装置を提供する。
【0009】
前記井戸用カメラ装置では、前記複数の側視カメラが、周方向において等間隔に配置される、としてもよい。
【0010】
前記井戸用カメラ装置では、前記複数の側視カメラが、隣接する前記複数の側視カメラの間で視野角がオーバーラップする部分を有するように配置される、としてもよい。
【0011】
前記井戸用カメラ装置では、前記複数の側視カメラが、左右方向に360°回転可能に取り付けられる、としてもよい。
【0012】
前記井戸用カメラ装置では、前記複数の側視カメラの個数が、2個、3個、または4個である、としてもよい。
【0013】
前記井戸用カメラ装置では、前記TVモニタに映し出される、前記直視カメラによる直視映像、および/または、前記側視カメラによる側視映像に、深度表示を行う、としてもよい。
【0014】
前記井戸用カメラ装置では、前記LED照明部が、前記側視カメラが撮影する撮影面に略直角に照明が当たるように設置される、としてもよい。
【0015】
前記LED照明部が、縦方向および/または周方向に配列された複数のLEDランプを有し、前記複数のLEDランプを個別に制御して部分的に点灯可能とする、としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の井戸用カメラ装置によれば、取得した映像を補正する必要がないので、解析ソフトを簡素化できるとともに、より正確に高さ方向が同一な映像を用いてリアルタイム監視を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の好適な実施形態に係る井戸用カメラ装置を含む井戸監視システム全体の説明図である。
図2】本発明の好適な実施形態に係る井戸用カメラ装置の正面図である。
図3】本発明の好適な実施形態に係る井戸用カメラ装置の要部の正面図である。
図4図3のA-A断面の一例を示す図である。
図5図3のA-A断面の別の一例を示す図である。
図6図3のA-A断面の別の一例を示す図である。
図7図3のB-B線方向から見た底面図である。
図8】本発明の好適な実施形態に係る井戸用カメラ装置の内部の回路説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の井戸用カメラ装置の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または、発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。そのような変形や変更もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0019】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る井戸用カメラ装置100を含む井戸監視システム全体の説明図、図2は、本発明の好適な実施形態に係る井戸用カメラ装置100の正面図、図3は、本発明の好適な実施形態に係る井戸用カメラ装置100の要部の正面図である。井戸用カメラ装置100は、円筒形状になる水中TVカメラ部1を有し、これを略称MVP(Multi View Point)カメラ部と呼ぶ。MVPカメラ部1は、360°回転可能なカメラ設置部材2と、その上方部に摺動自在に被嵌するカメラハウジング部3と、カメラハウジング部3に連接するコネクタ4とを備える。
【0020】
そして、カメラ設置部材2に連設するカメラハウジング部3において、各側視カメラ5に連通する分割ユニット9、ならびに、分割ユニット9および直視カメラ6に連通するカメラコントローラ8を設置し、カメラハウジング部3に連接してカメラコントローラ8と連通するコネクタ4から、地上のTVモニタ23まで、カメラケーブル17,21を介して連通することで、直視カメラ6および各側視カメラ5の映像をTVモニタ23に映し出す。
【0021】
本実施形態の井戸用カメラ装置100では、複数の側視カメラ5が、カメラ設置部材2の周側面部に、縦方向の高さが一致するように設置される。同一深度の映像を同時に撮影することで、映像の補正を行うことなくリアルタイム監視できる。
【0022】
側視カメラ5は、例えば魚眼レンズ付きカメラとすることができる。側視カメラ5は、特に個数は限定されないが、例えば図4に示すように4つ配置する場合、例えば110°の広角の視野角を有し、隣接する側視カメラ5と例えば20°ずつ重なるように配置して、井管の360°の全周面部の撮影に死角が生じないようにする。隣接するカメラ5との間で視野角がオーバーラップする部分を有することで、魚眼レンズの端部の歪みの影響を排除することができる。
【0023】
側視カメラ5の視野角の性能により、図5に示すように3つの配置としたり、図6に示すように2つの配置とすることができる。
【0024】
また、各側視カメラ5は、左右方向に360°回転可能に取り付けられてもよい。このようにして各カメラ5を回転させることにより、各カメラ5の境界付近の映像を撮影することができる。
【0025】
複数の側視カメラ5は、周方向において等間隔に配置されることが好ましい。
【0026】
カメラ設置部材2の最下端部には、直視カメラ6が設けられる。直視カメラ6は、MVPカメラ部1を上下移動させる際に、井管内部の状態を確認するために使用する。
【0027】
カメラ設置部材2内には、カメラの曇りを防止するため、除湿剤等を封入してもよい。
【0028】
図7に示すように、直視カメラ6および各側視カメラ5の周囲には、LED照明部7が設けられる。カメラ周囲の照明にLEDライトを採用することにより、より鮮明な撮影が可能となる。LED照明部7は、カメラ設置部材2内において、側視カメラ5が撮影する撮影面に略直角に照明が当たるように設置される。これにより、撮影面における影の発生を防ぐことができる。
【0029】
LED照明部7は、複数のLEDランプを有してもよい。複数のLEDランプは、縦方向および/または周方向に配列されることができる。複数のLEDランプは、個別に制御可能としてもよい。LEDランプを縦方向および/または周方向に部分的に点灯することで、撮影対象面の陰影により、凹凸イメージングが可能になる。LEDランプの制御は、後述する多重ユニット11に電気的に接続されるLEDコントローラ(図示せず)により、地上から行えるようにすればよい。
【0030】
カメラ設置部材2の周側面は、透明なプラスチック材により構成されている。また、カメラ設置部材2の内部へ除湿剤を容易に出し入れできるようにされている。
【0031】
図8は、本発明の好適な実施形態に係る井戸用カメラ装置100の内部の回路説明図である。図中、説明のために、側視カメラ5は縦方向に2つのみ記載しているが、側視カメラ5は縦方向の同一高さに配置される。
【0032】
カメラコントローラ8は、カメラ設置部材2の内部に設けられ、直視カメラ6に連絡する。また、カメラコントローラ8は、多重ユニット11およびスリップリング14を介してコネクタ4に連通する。
【0033】
分割ユニット9は、各側視カメラ5に連絡し、カメラコントローラ8に通ずる。分割ユニット9により、地上のTVモニタ23に分割された映像を同時に映し出すことができる。
【0034】
直視カメラ6に連絡し、分割ユニット9を介して側視カメラ5に連絡するカメラコントローラ8によって、直視カメラ6および側視カメラ5を制御するとともに、地上のTVモニタ23へ映像の信号を伝達する。
【0035】
カメラコントローラ8は、レコーダとしての機能を有してもよい。撮影した映像を、USBメモリ、DVD、および、SDカード等のメモリーカードなどの可搬性記録媒体に記録する。さらに、LAN等のネットワーク接続により、遠隔地との映像共有を行えるようにしてもよい。レコーダ機能は、カメラコントローラ8と別体に設けてもよい。
【0036】
DC-DCコンバータ10は、LED照明部7に連絡して電力を供給し、多重ユニット11に通じて制御される。
【0037】
多重ユニット11では、直視カメラ6、側視カメラ5、およびLED照明部7への制御信号を管理する。
【0038】
パンモータ13は、カメラコントローラ8に連絡し、側視カメラ5の回転を制御する。
【0039】
スリップリング14は、多重ユニット11に連絡し、かつコネクタ4に連絡する。
【0040】
センターライザ15は、コネクタ4の基端部材16とカメラハウジング部3の一部との間に架設される。センターライザ15の外側面部は井管aの内壁面に接触しながら上下に摺動し、カメラハウジング部3がコネクタ4上で上下移動する。
【0041】
図1において、カメラケーブル17は、コネクタ4の基端部材16からコネクタ4の内部、カメラハウジング部3の内部から各カメラ5,6に連通し、地上において上部シーブ18および中間シーブ19を介して電動ウィンチ20に連接し、ここからカメラケーブル21およびカメラコントローラ22を介してTVモニタ23に連通する。
【0042】
深度カウンタケーブル24は、カメラコントローラ22と上部シーブ18との間に連結される。深度カウンタ28は、上部シーブ18の軸に取付けられ、例えば分解能が1cmであるパルスエンコーダ方式のロータリエンコーダとすることができる。深度カウンタ28によって測定される深度の信号は、深度カウンタケーブル24により、カメラコントローラ22に伝達される。
【0043】
ウィンチ用リモコン25により電動ウィンチ20を操作し、電動ウィンチ20にはさらに電源ケーブル26が接続する。図1において、リモコンはケーブル接続されているが、ワイヤレス接続としてもよい。電動ウィンチ20は、ロープを均等に巻取り、乱巻を防止するため、トラバーサー機能を有することができる。また、手動およびモータ駆動の切り替えが可能なクラッチ制御を備えてもよい。
【0044】
カメラコントローラ22には、電源ケーブル27が接続されて電力が供給される。
【0045】
撮影記録は動画保存することが可能となるのみならず、専用ソフトによる処理によって、井管aの全内周面の展開映像を検視することができる。
【0046】
地上のTVモニタ23に映された映像から異常個所を発見したときは、直視カメラ6および各側視カメラ5の映像の切り替えによって詳細な確認を確実に行うことができる。
【0047】
MPVカメラ部1の直視カメラ6と側視カメラ5間の映像の切り替え、および、各側視カメラ5間の映像の切り替えは、地上において簡単に行うことができる。
【0048】
TVモニタ23に映し出される、直視カメラ6による直視映像、および/または、側視カメラ5による側視映像に、深度カウンタ28により測定した深度を表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 水中TVカメラ部(MVPカメラ部)
2 カメラ設置部材
3 カメラハウジング部
4 コネクタ
5 側視カメラ
6 直視カメラ
7 LED照明部
8 カメラコントローラ
9 分割ユニット
17 カメラケーブル
21 カメラケーブル
23 TVモニタ
28 深度カウンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8