(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085068
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】吊具
(51)【国際特許分類】
B66C 1/14 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
B66C1/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199396
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政数
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AD04
3F004EA01
(57)【要約】
【課題】安定した状態で物体を吊り下げる。
【解決手段】把持部140
1の第2把持部及び接続部を物体WKに形成された開口OP
1,2に物体WK外側から挿入し、把持部140
2の第2把持部142及び接続部143を物体に形成された開口OP
2,2に物体WK外側から挿入する。当該挿入後に、把持部140
1,140
2の向きを変えて、第2把持部142を開口OP
1,2,OP
2,2から取り出し可能な第1姿勢から、第2把持部142を開口OP
1,2,OP
2,2から取り出し不可の第2姿勢へと遷移させる。この状態から、吊具100が上昇すると、把持部140
1,140
2の第1把持部141が物体WK外側から開口OP
1,2,OP
2,2に係合して物体WKを把持する。また、把持部140
1,140
2の第2把持部142が開口OP
1,OP
2内部側から開口OP
1,2,OP
2,2に係合して物体WKを把持する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定厚さを有する開口が形成される物体を吊るす吊具であって、
前記物体に形成された前記開口に係合して前記物体を把持する把持部と、
昇降装置に直接的又は間接的に吊支され、前記昇降装置と前記把持部とを連結する連結部と備え、
前記把持部は、
前記開口の一方側部分から前記物体を把持する第1把持部と、
前記開口に挿入可能であり、前記開口の他方側部分から前記物体を把持する第2把持部と、
前記第1把持部と前記第2把持部とを所定間隔で接続する接続部と、を備え、
前記所定間隔の長さは、前記所定厚さの長さよりも長く設定される、
ことを特徴とする吊具。
【請求項2】
前記第1把持部、前記第2把持部及び前記接続部は、一体成形され、
前記把持部は、前記第2把持部が前記開口に挿入されている際に、
前記第2把持部を前記開口から取り出し可能な第1姿勢から、前記第2把持部を前記開口から取り出し不可の第2姿勢へと遷移可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の吊具。
【請求項3】
前記物体には、前記物体における対称となる位置に複数の前記開口が形成され、
前記把持部及び前記連結部の数は複数であり、
前記複数の前記把持部のそれぞれは、前記対称となる位置に形成された前記複数の前記開口に係合する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の吊具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷役物運搬機を用いて物品を運搬する際に、荷役物運搬機に吊るされ、物体を吊り下げる吊具が使用されている。当該吊具については、吊り下げる物体の形状等に応じて、様々な技術が提案されている。
【0003】
こうした提案技術として、物体に形成された開口を利用して当該物体を吊り下げるものがある(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術は、H鋼杭を吊り下げる杭吊下治具であり、チェーンと、当該チェーンの一端に設けられるトグルとを備える簡単な構成となっている。当該杭吊下治具では、H鋼杭を吊り下げるに際して、横置きにしたH鋼杭のウェブに形成された挿通穴に、トグルを挿通する。そして、杭吊下治具を取り付けた杭クランプ装置を上昇させることにより、トグルが挿通穴と係合した状態でH鋼杭が持ち上がり、当該H鋼杭を縦向き状態で吊り下げるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例の技術では、H鋼杭の縦向き状態での吊り下げ中は、H鋼杭のウェブに形成された挿通穴の一方側面はトルグに係合しているが、他方側面はチェーンに当接している。この結果、H鋼杭全体における挿通穴の位置にも依るが、H鋼杭の吊り下げ中に、当該H鋼杭が縦向き状態からトグル側に前側に傾く姿勢となる可能性がある。また、H鋼杭の吊り下げ中に、当該H鋼杭に何らかの外力が加わってしまうと、H鋼杭が水平状態になる可能性がある。したがって、従来例では、吊下げ中の物体の姿勢が安定しないことがあった。
【0006】
このため、物体に形成された開口を利用して当該物体を吊り下げるに際して、簡易な構成で、安定した状態で物体を吊り下げることができる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、安定した状態で物体を吊り下げることができる新たな吊具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定厚さを有する開口が形成される物体を吊るす吊具であって、前記物体に形成された前記開口に係合して前記物体を把持する把持部と、昇降装置に直接的又は間接的に吊支され、前記昇降装置と前記把持部とを連結する連結部と備え、前記把持部は、前記開口の一方側部分から前記物体を把持する第1把持部と、前記開口に挿入可能であり、前記開口の他方側部分から前記物体を把持する第2把持部と、前記第1把持部と前記第2把持部とを所定間隔で接続する接続部と、を備え、前記所定間隔の長さは、前記所定厚さの長さよりも長く設定される、ことを特徴とする吊具である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】昇降装置に取り付けられ、物体を吊り下げる前の本発明の一実施形態に係る吊具、及び当該物体の外観図である。
【
図4】物体の取り付け方法を説明するための図(その1)である。
【
図5】物体の取り付け方法を説明するための図(その2)である。
【
図6】物体の取り付け方法を説明するための図(その3)である。
【
図7】物体の取り付け方法を説明するための図(その4)である。
【
図8】昇降装置に取り付けられ、物体を吊り下げる
図1の吊具の外観図(その1)である。
【
図9】昇降装置に取り付けられ、物体を吊り下げる
図1の吊具の外観図(その2)である。
【
図10】昇降装置に取り付けられ、他の物体を吊り下げる
図1の吊具の外観図(その1)である。
【
図11】昇降装置に取り付けられ、他の物体を吊り下げる
図1の吊具の外観図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
[構成]
図1には、昇降装置MLに取り付けら、物体WKを吊り下げる前の一実施形態に係る吊具100の外観図が示されている。当該吊具100を説明する座標系(X,Y,Z)は、図示の通りに定義されている。ここで、
図1は、吊具100、昇降装置ML及び物体WKの斜視図である。
【0012】
ここで、昇降装置MLは、当該昇降装置MLの本体部内部に巻回され、巻き取り及び巻き出しが可能なチェーンを備え、当該チェーンの端部にフックが取り付けられている。このフックを、吊具100における鉛直上方部分のスリングの一方側の端部のアイ部に引っ掛けることで、吊具100が、昇降装置MLに取り付けられるようになっている。当該昇降装置MLは、操作部を備え、作業者が操作部を操作することで、チェーンを巻き取り・巻き出しして、吊具100を昇降させることができるようになっている。当該昇降装置MLは、建屋内の所定位置に配置され、移動可能な状態で設置されている。
【0013】
<物体WK>
本実施形態では、物体WKは、直方体形状のパレットである。
図2には、物体WKの外観図が示されている。
図2(A)は、
図1に示した物体WKを+Y方向側から視た図であり、
図2(B)は、
図1に示した物体WKを+Z方向側から視た図である。
図1及び
図2により総合的に示されるように、物体WKには、Y方向に沿って延びて物体WKを貫通する2つの開口OP
1,OP
2が形成されている。ここで、開口OP
1は、物体WK全体の+X方向側に形成され、開口OP
2は、物体WK全体の-X方向側に形成されている。
【0014】
また、物体WKには、Z方向に沿って延びる開口OP1,1~OP1,5、及び、開口OP2,1~OP2,5が形成されている。開口OP1,1~OP1,5、及び、開口OP2,1~OP2,5は、物体WKにおけるZ軸に関して対称となる位置に配置され、形成されている。
【0015】
ここで、開口OP1,1~OP1,5は、物体WK内部で開口OP1と繋がっている。また、開口OP2,1~OP2,5は、物体WK内部で開口OP2と通じている。そして、開口OP1,1~OP1,5、及び、開口OP2,1~OP2,5の+Z方向側の物体WK側面から、開口OP1及び開口OP2までの厚さは、DW(所定厚さ)となっている。本実施形態では、吊具100は、物体WKにおけるZ軸に関して対称となる位置に形成された開口OP1,2及び開口OP2,2を利用して、物体WKを吊り下げる。当該開口OP1,2及び開口OP2,2のX方向の長さはLWとなっている。また、当該開口OP1,2及び開口OP2,2のY方向の長さはCWとなっている。以下では、「DW」を開口OP1,2及び開口OP2,2の厚さ、「LW」を開口OP1,2及び開口OP2,2の長さ、「CW」を開口OP1,2及び開口OP2,2の幅とも記す。
【0016】
<吊具100の構成>
図1に戻り、上記の吊具100の構成について、説明する。
図1に示されるように、吊具100は、2個のスリング120
1,120
2と、2個の把持部140
1,140
2とを備えている。ここで、スリング120
1,120
2は、連結部に対応している。本実施形態では、スリング及び把持部の数は、同数の複数個を備えている。
【0017】
《スリング1201,1202》
上記のスリング1201,1202について、説明する。スリング120j(j=1,2)は、昇降装置MLと把持部140jとを連結する。スリング120jは、本実施形態では、線維吊りベルトであり、本体部と、両端にアイ部とを有している。スリング120jの一方側の端部は、昇降装置MLのフックに取り付けられ、スリング120jの他方側の端部は、把持部140jに取り付けられる。
【0018】
《把持部1401,1402の構成》
上記の把持部1401,1402の構成について、説明する。把持部1401は、連接部材1301を介してスリング1201に取り付けられ、吊具100全体の+X方向側に配置される。把持部1402は、連接部材1302を介してスリング1202に取り付けられて、吊具100全体の-X方向側に配置される。本実施形態では、連接部材1301,1302は、U字状の部材と円柱状の部材とから構成されるシャックルを採用している。なお、連接部材1301,1302として、カラビナ等の他の部材を採用してもよい。
【0019】
把持部1401は、物体WKに形成された開口OP1,2に係合して物体WKを把持する。また、把持部1402は、物体WKに形成された開口OP2,2に係合し物体WKを把持する。
【0020】
図3には、把持部140
j(j=1,2)の代表として、把持部140
1の外観図が示されている。本実施形態では、把持部140
2についても、把持部140
1と同様に構成されている。
図3(A)は、
図1に示した把持部140
1を+X方向側から視た図であり、
図3(B)は、
図1に示した把持部140
1を+Y方向側から視た図である。
【0021】
図3に示されるように、把持部140
1は、第1把持部141と、第2把持部142とを備えている。また、把持部140
1は、接続部143を備えている。本実施形態では、これらの第1把持部141、第2把持部142及び接続部143は、一体成形されている。
【0022】
上記の第1把持部141は、本実施形態では、Z方向に沿って延びる板状の部材である。第1把持部141の+Z方向側の端部には、連接部材1301の円柱状の部材を通す穴HLが形成されている。当該第1把持部141は、物体WKの+Z方向側の面(開口OP1,2の一方側部分)から物体WKを把持する。
【0023】
上記の第2把持部142は、本実施形態では、Z方向に沿って延びる板状の部材である。当該第2把持部142は、開口OP1内部側(開口OP1,2の他方側部分)から物体WKを把持する。
【0024】
本実施形態では、第1把持部141のZ方向の長さは、第2把持部142のZ方向の長さLCより長くなっている。また、第2把持部142のZ方向の長さLCは、開口OP1,2のX方向の長さLWより短くなっている。
【0025】
上記の接続部143は、本実施形態では、Y方向に沿って延びる板状の部材である。当該接続部143は、第1把持部141と第2把持部142とを間隔DC(所定間隔)で接続する。ここで、当該間隔DCは、開口OP1,2,OP2,2の厚さDWより僅かに長く設定されている。間隔DCは、開口OP1,2,OP2,2の厚さDWを考慮して、第1把持部141が物体WK外側から開口OP1,2,OP2,2に係合して物体WKを把持するとともに、第2把持部142が開口OP1,OP2内部側から開口OP1,2,OP2,2に係合して物体WKを把持してできるように設定されている。
【0026】
また、接続部143のZ方向の幅をCC、接続部143の厚さTCとすると、次の(1)式の関係が成立している。
(CC2+TC2)1/2 < CW …(1)
【0027】
以下では、「DC」を第1把持部141と第2把持部142との間隔、「LC」を第2把持部142の長さ、「CC」を接続部143の幅、「TC」を接続部143の厚さとも記す。
【0028】
[動作]
以上のようにして構成された吊具100の動作の一例について、説明する。
【0029】
<物体WKの取り付け動作、及び、物体WKの吊り下げ動作>
前提として、
図4に示されるように、吊具100は、昇降装置MLに取り付けられて、吊支されているものとする。また、当初においては、物体WKは床面に横置きに載置されているものとする。
【0030】
こうした状態で、まず、作業者が、吊具100の位置が物体WKの開口OP
1,1~OP
1,5、及び、開口OP
2,1~OP
2,5の上方となるように、吊具100を吊支した昇降装置MLを移動させる。次いで、作業者が、
図5に示されるように、把持部140
1,140
2における第1把持部141を+Z方向側にするとともに、第2把持部142を-Z方向側にして、当該第1把持部141及び第2把持部142の延びる方向がX方向となるように、把持部140
1,140
2の向きを変える。
【0031】
次に、作業者が、
図6に示されるように、昇降装置MLの操作部を操作して吊具100の高さ位置を調整して、把持部140
1の第2把持部142及び接続部143を物体WKに形成された開口OP
1,2に挿入し、把持部140
2の第2把持部142及び接続部143を物体WKに形成された開口OP
2,2に挿入する。ここで、
図6(A)は、吊具100及び物体WKの斜視図であり、
図6(B)は、
図6(A)に示した吊具100及び物体WKを+Y方向側から視た図である。
【0032】
第2把持部142の長さLCは、開口OP1,2及び開口OP2,2の長さLWより短くなっている。また、第1把持部141と第2把持部142との間隔DCは、開口OP1,2及び開口OP2,2の厚さDWより僅かに長くなっている。このため、把持部1401の第2把持部142及び接続部143は開口OP1,2内に挿入され、把持部1402の第2把持部142及び接続部143は開口OP2,2内に挿入される。
【0033】
引き続き、作業者が、第1把持部141及び第2把持部142の延びる方向が略Y方向となるように、把持部140
1,140
2の向きを変えて、第2把持部142を開口OP
1,2,OP
2,2から取り出し可能な
図6に示される状態(第1姿勢)から、
図7に示される状態にする。これにより、第2把持部142を開口OP
1,2,OP
2,2から取り出し不可の姿勢(第2姿勢)へと遷移させることができる。ここで、
図7(A)は、吊具100及び物体WKの斜視図であり、
図7(B)は、
図7(A)に示した吊具100及び物体WKを+Y方向側から視た図である。
【0034】
把持部1401,1402の接続部143の幅CC及び厚さTCは、開口OP1,2及び開口OP2,2の幅CWとの関係で、上記の(1)式の関係が成立している。このため、把持部1401の第2把持部142及び接続部143を開口OP1,2に挿入した状態で把持部1401を回転させることができる。また、把持部1402の第2把持部142及び接続部143を開口OP2,2に挿入した状態で把持部1402を回転させることができる。
【0035】
そして、作業者が、昇降装置MLの操作部を操作して、吊具100を+Z方向に移動(上昇)させる。吊具100が上昇していくと、把持部140
1,140
2の第1把持部141が物体WK外側から開口OP
1,2,OP
2,2に係合して物体WKを把持する。また、把持部140
1,140
2の第2把持部142が開口OP
1,OP
2内部側から開口OP
1,2,OP
2,2に係合して物体WKを把持する。これにより、物体WKは吊具100に把持され、当該物体WKは吊り下げられる。
図8及び
図9には、物体WKを吊り下げた吊具100の外観図が示されている。ここで、
図8は、吊具100、昇降装置ML及び物体WKの斜視図である。また、
図9は、
図8に示した吊具100、昇降装置ML及び物体WKを-Y方向側から視た図である。
図8及び
図9に示されるように、吊具100の把持部140
1,140
2のそれぞれは、物体WKにおける対称位置に形成された開口OP
1,2,OP
2,2に係合して物体WKを把持する。
【0036】
かかる物体WKの取り付け動作、及び、物体WKの吊り下げ動作の間に、作業者は、物体WKへの把持部140jの挿入操作及び昇降装置MLにおける操作部の操作を行っただけである。このため、作業者の手間を低減して、吊具100に物体WKを取り付け、安定した状態で物体WKを吊り下げることができる。
【0037】
以上、説明したように、本実施形態では、把持部1401の第2把持部142及び接続部143を物体WKに形成された開口OP1,2に物体WK外側から挿入し、把持部1402の第2把持部142及び接続部143を物体に形成された他の開口OP2,2に物体WK外側から挿入する。当該挿入後に、把持部1401,1402の向きを変えて、第2把持部142を開口OP1,2,OP2,2から取り出し可能な第1姿勢から、第2把持部142を開口OP1,2,OP2,2から取り出し不可の第2姿勢へと遷移させる。この状態から、吊具100が上昇すると、把持部1401,1402の第1把持部141が物体WK外側から開口OP1,2,OP2,2に係合して物体WKを把持する。また、把持部1401,1402の第2把持部142が開口OP1,OP2内部側から開口OP1,2,OP2,2に係合して物体WKを把持する。これにより、物体WKは吊具100に把持され、当該物体WKは吊り下げられる。
【0038】
このため、本実施形態では、吊具100を簡易な構成にして、物体WKに形成された開口を利用して、安定した状態で物体を吊り下げることができる。
【0039】
また、上記の実施形態では、第1把持部141と第2把持部142との間隔DCは、開口OP1,2,OP2,2の厚さDWを考慮して、第1把持部141が物体WK外側から開口OP1,2,OP2,2に係合して物体WKを把持するのと同時に、第2把持部142が開口OP1,OP2内部側から開口OP1,2,OP2,2に係合して物体WKを把持して、第1把持部141と第2把持部142とで開口OP1,2,OP2,2の周辺部分を挟持することができるように設定されている。
【0040】
このため、物体WKの吊り下げ中に、当該物体WKの姿勢が傾く状態を低減させることができる。また、物体WKの吊り下げ中に、当該物体WKに何らかの外力が加わった場合にも、例えば、物体WKが水平状態になることを防止することができる。
【0041】
また、本実施形態では、把持部140
1,140
2を物体WKの形成された開口に挿入して物体WKを吊り下げるようにしている。このため、本発明は、異なる形状やサイズ等の物体に対応することができる。例えば、
図10に示される物体WKBや
図11に示される物体WKCを、安定した状態で吊り下げることができる。
【0042】
また、本実施形態では、把持部1401,1402のそれぞれは、パレットである物体WKの形状における、Z軸に関して対称となる位置に配置・形成された開口OP1,2,OP2,2に係合して物体WKを把持する。そして、物体WKの吊り下げ方向は、Z軸方向となっている。このため、安定した状態で物体WKを吊り下げることができる。
【0043】
したがって、本実施形態によれば、安定した状態で物体を吊り下げることができる。
【0044】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0045】
上記の実施形態では、吊具は、2個のスリングと、2個の把持部とを備えるようにした。これに対し、スリング及び把持部の数は、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、スリングは昇降装置のフックに直接的に取り付けられて昇降装置に直接的に吊支された。これに対し、例えば、吊部を介して、スリングが昇降装置に間接的に取り付けられて、昇降装置に間接的に吊支されてもよい。
【0047】
また、上記の実施形態では、把持部1401は、物体WKに形成された開口OP1,2に係合して物体WKを把持し、把持部1402は、物体WKに形成された開口OP2,2に係合し物体WKを把持した。これに対し、把持部1401及び把持部1402は、物体WKに形成された他の開口に係合して物体WKを把持するようにしてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、横置きにしたパレットを縦向きにして吊り下げたが、縦置きにしたパレットを縦向きにして吊り下げるようにしてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、スリングを線維吊りベルトとしたが、スリングをワイヤロープやチェーン、リンクにしてもよい。
【0050】
また、上記の実施形態では、パレットを吊り下げたが、開口部分を有する物体であれば、他の形状の物体であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
100 … 吊具
120j(j=1,2) … スリング(連結部)
130j … 連接部材
140j … 把持部
141 … 第1把持部
142 … 第2把持部
143 … 接続部
OP1,OP2 … 開口
OP1,1~OP1,5,OP2,1~OP2,5 … 開口
HL … 穴
ML … 昇降装置
WK,WKB,WKC … 物体