(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085071
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】液体分離用構成体、液体分離フィルタ、および圧縮機システム
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20240619BHJP
B01D 46/64 20220101ALI20240619BHJP
【FI】
B01D46/24 A
B01D46/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199404
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】中本 雄也
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058KA03
4D058KB11
4D058SA16
4D058TA03
4D058UA25
(57)【要約】
【課題】製造コストの上昇およびサイズの大型化を抑制しながら、性能低下を抑えつつ長寿命化を図ることができる液体分離用構成体、液体分離フィルタ、および液体分離フィルタを備える圧縮機システムを提供する。
【解決手段】液体分離フィルタ用コア22は、液体分離用構成体36を第1エレメント部34に被せることで構成される。液体分離用構成体36は、第2エレメント部38と保持部40と非エレメント部42bとを備える。第2エレメント部38は、第1エレメント部34で分離された後のガスからさらに液体を分離する繊維層を有する筒形状の部材である。保持部40は、第1エレメント部34と第2エレメント部38の径方向での間隙GDを保持する。非エレメント部42bは、第1エレメント部34から染み出す液体が第2エレメント部38に飛散するのを抑制する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機から吐出されたガスから液体を分離する繊維層を有する第1エレメント部に被せて使用する液体分離用構成体であって、
前記第1エレメント部に被せられた時に、前記第1エレメント部を囲むように径方向外側に配置され、前記第1エレメント部で分離された後のガスからさらに液体を分離する繊維層を有する筒形状の第2エレメント部と、
径方向において前記第1エレメント部と前記第2エレメント部との間に間隙が形成されるように前記第2エレメント部を保持する保持部と、
前記第1エレメント部の下部から染み出す液体が前記第2エレメント部に飛散することを抑制可能な非エレメント部と、
を備える、液体分離用構成体。
【請求項2】
前記間隙の直下に開口部を有し、前記開口部を通じて流れ落ちた液体を保持可能な液体貯蔵部をさらに備える、請求項1に記載の液体分離用構成体。
【請求項3】
前記液体貯蔵部の液体を排出する排出機構をさらに備える、請求項2に記載の液体分離用構成体。
【請求項4】
前記間隙の径方向の幅は5mm以上100mm以下である、請求項1に記載の液体分離用構成体。
【請求項5】
圧縮機から吐出されたガスから液体を分離する液体分離フィルタであって、
ガス流入口とガス流出口とを有する収容容器と、
前記収容容器に収容される液体分離フィルタ用コアと、
を備え、
前記液体分離フィルタ用コアが、
筒形状であって前記ガス流入口から流入したガスから最初に液体を分離する繊維層を有する第1エレメント部と、
筒形状であって前記第1エレメント部を囲むように径方向外側に配置され、前記第1エレメント部で分離された後のガスからさらに液体を分離する繊維層を有する第2エレメント部と、
前記第1エレメント部と前記第2エレメント部を径方向に離間させることにより、前記第1エレメント部と前記第2エレメント部との間に間隙を形成する間隙形成部と、
前記第1エレメント部の下部から染み出す液体が前記第2エレメント部に飛散することを抑制可能な非エレメント部と、
を備える、液体分離フィルタ。
【請求項6】
前記間隙の直下に開口部を有し、前記開口部を通じて流れ落ちた液体を保持可能な液体貯蔵部をさらに備える、請求項5に記載の液体分離フィルタ。
【請求項7】
前記液体貯蔵部の液体を排出する排出機構をさらに備える、請求項6に記載の液体分離フィルタ。
【請求項8】
前記間隙の径方向の幅は5mm以上100mm以下である、請求項5に記載の液体分離フィルタ。
【請求項9】
圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された吐出ガスから液体を回収する液体回収器と、
前記液体回収器の下流側に設けられ吐出ガスから液体を分離する請求項5に記載の液体分離フィルタと、
を備える、圧縮機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体分離用構成体、液体分離フィルタ、および圧縮機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機は、天然ガス、水素ガスなど種々のガスを圧縮するのに採用される。例えば、近年、環境を考慮して、水素を発電や自動車等の燃料として用いることが考えられており、水素の需要が増大している。圧縮機では、吐出されたガスから液体を分離するための液体分離フィルタが備えられる。特許文献1には、圧縮機の吐出側に接続された吐出流路が第1および第2の配管に分岐され、各々の配管に油分離フィルタが設けられてなる圧縮機システムが開示されている。
【0003】
ところで、圧縮機システムに対しは、製造コストの削減およびシステムの小型化が求められる。このような要望に対する一方策として、複数のエレメント部を多重に配置してなる液体分離フィルタが採用される。例えば、特許文献2には、それぞれが円筒形状を有する第1~第4エレメント部を備え、第4エレメント部、第3エレメント部、第2エレメント部、第1エレメント部を径方向内側から外側へと順に被せてなる構成の分離フィルタが開示されている。この構成を備える分離フィルタでは、径方向外側に配置された第1エレメントの側からガスが導入され、第1~第4エレメント部を通過することで水や油が分離され、分離後のガスが第4エレメント部の内側の空間から分離フィルタの外方へと送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-133391号公報
【特許文献2】特許第6216961号公報
【特許文献3】特開2009-226322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献3では、「微細なガラス繊維等を使用した高性能のミストフィルターでは、上下端にリーク防止および形態を保持する接着層のプレートによって、カートリッジ構造を形成する。この場合、凝集され液滴化されたミストは下部に溜り、空気の流れおよびカートリッジの差圧によって多くが外側(下流側)に押し出される。しかし、フィルタ層に保持されるミスト凝集液も多く存在する。これが空気の流れにより、気泡状となり再飛散を誘発し、分離性能低下を招いている。」という問題点が指摘されている。
【0006】
上記特許文献2に開示の分離フィルタにおいても、第1エレメント部の内周面における下部から染み出した油や水(以下、「油等」という。)が第2エレメント部に再飛散する場合が生じ得る。すなわち、第1エレメント部で分離された油等は、重力の影響を受けて当該第1エレメント部の下部に溜まって行くが、ある程度以上の量の油等が溜まるとガスの流れ方向における下流側の表面(内周面)に染み出す。この染み出した油等が、ガスの流れで再飛散して径方向内側に隣接する第2エレメント部に付着する。このように再飛散した油等が付着した場合には、第2エレメント部の劣化が早まり短寿命となってしまうという問題を生じる。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、製造コストの上昇およびサイズの大型化を抑制しながら、性能低下を抑えつつ長寿命化を図ることができる液体分離用構成体、液体分離フィルタ、および液体分離フィルタを備える圧縮機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る液体分離用構成体は、圧縮機から吐出されたガスから液体を分離する繊維層を有する第1エレメント部に被せて使用する液体分離用構成体であって、第2エレメント部と、保持部と、非エレメント部とを備える。前記第2エレメント部は、前記第1エレメント部に被せられた時に、前記第1エレメント部を囲むように径方向外側に配置され、前記第1エレメント部で分離された後のガスからさらに液体を分離する繊維層を有する筒形状の部位である。前記保持部は、径方向において前記第1エレメント部と前記第2エレメント部との間に間隙が形成されるように前記第2エレメント部を保持する部位である。前記非エレメント部は、前記第1エレメント部の下部から染み出す液体が前記第2エレメント部に飛散することを抑制可能な部位である。
【0009】
上記態様に係る液体分離用構成体は、第1エレメント部に被せることで液体分離フィルタ用コアを形成できる。このため、上記態様に係る液体分離用構成体は、第1エレメント部だけを備える既存の液体分離フィルタ用コアに対して被せることで、複数のエレメント部が多重に設けられた液体分離フィルタ用コアを容易に形成することができる。よって、上記態様に係る液体分離用構成体を用いる場合には、既存の液体分離フィルタ用コアを除去して新たな液体分離フィルタ用コアを設ける場合に比べてコストの上昇を抑えることができる。
【0010】
また、上記態様に係る液体分離用構成体を第1エレメント部に被せて形成された液体分離フィルタ用コアは、多重に設けられた複数のエレメント部を備えるので、複数の液体分離フィルタを多段配置する場合に比べて液体の捕集効果の低下を抑えながら圧縮機システム全体での小型化およびコスト削減を図ることができる。
【0011】
また、上記態様に係る液体分離用構成体では、第1エレメント部に被せた場合に、第1エレメント部の外面下部の径方向外側に対向する部分に非エレメント部が設けられている。このため、上記態様に係る液体分離用構成体では、第1エレメント部に被せた場合に、第1エレメント部の外面下部から液体が再飛散しても第2エレメント部に付着するのが抑制される。すなわち、第1エレメント部で捕集された液体は第1エレメント部の下部に溜まる。この下部(以下、「WETバンド部」)は液体を多く保有しており、外面に液体が染み出し易く再飛散が起きやすい。上記態様に係る液体分離用構成体では、第1エレメント部に被せた場合に、WETバンド部の径方向外側に非エレメント部が配置されるようにすることで、染み出した液体が再飛散したとしても非エレメント部によって第2エレメント部に付着するのが抑制される。また、第1エレメント部の外面下部の径方向外側に非エレメント部が配置されることでWETバンド部のガス流が減少し液体の再飛散自体を非活性化させることができる。
【0012】
また、上記態様に係る液体分離用構成体では、第1エレメント部に被せた場合に、第1エレメント部の外面下部に染み出した液体が第2エレメント部に付着するのが抑制されるので、第2エレメント部に流入する液体が少なくなる。つまり、上記態様に係る液体分離用構成体を採用すれば、第2エレメント部における液体飛散量と圧損が増加しにくくなる。液体分離フィルタ全体で見た時に、高性能化や長寿命化を実現することができる。
【0013】
上記態様に係る液体分離用構成体において、前記間隙の直下に開口部を有してもよく、前記開口部を通じて流れ落ちた液体を保持可能な液体貯蔵部をさらに備えてもよい。
【0014】
上記態様に係る液体分離用構成体では、前記間隙の真下に開口部を有するので、被せられた第1エレメント部から染み出した液体が第1エレメント部と第2エレメント部との間に溜まってしまうことが防止できる。
【0015】
上記態様に係る液体分離用構成体において、前記液体貯蔵部の液体を排出する排出機構をさらに備えてもよい。
【0016】
上記態様に係る液体分離用構成体では、排出機構を有する液体貯蔵部を備えるので、液体が溜まり続けることを想定した大容量の液体貯蔵部を設ける場合と比べて、液体分離用構成体を含む液体分離フィルタの大型化を防止できる。また、上記態様に係る液体分離用構成体では、液体貯蔵部に溜まる液体の増加による液体分離用構成体の重量増加も抑制される。
【0017】
上記態様に係る液体分離用構成体において、前記間隙の径方向の幅は5mm以上100mm以下であってもよい。
【0018】
上記態様に係る液体分離用構成体では、第1エレメント部に被せた場合に、第1エレメント部と第2エレメント部との間隙が5mm以上とされているので、第1エレメント部の外面に染み出した液体が再飛散したとしても第2エレメント部への付着を抑制する上で好適である。また、上記態様に係る液体分離用構成体では、第1エレメント部に被せた場合に、第1エレメント部と第2エレメント部との間隙が100mm以下とされているので、コンパクト性の観点から好適である。
【0019】
本発明の一態様に係る液体分離フィルタは、圧縮機から吐出されたガスから液体を分離する液体分離フィルタであって、収容容器と、液体分離用コアとを備える。前記収容容器は、ガス流入口とガス流出口とを有する。前記液体分離フィルタ用コアは、前記収容容器に収容される。本態様に係る液体分離フィルタにおいて、前記液体分離フィルタ用コアが、第1エレメント部と、第2エレメント部と、間隙形成部と、非エレメント部とを備える。前記第1エレメント部は、筒形状であって前記ガス流入口から流入したガスから最初に液体を分離する繊維層を有する部材である。前記第2エレメント部は、筒形状であって前記第1エレメント部を囲むように径方向外側に配置され、前記第1エレメント部で分離された後のガスからさらに液体を分離する繊維層を有する部材である。前記間隙形成部は、前記第1エレメント部と前記第2エレメント部を径方向に離間させることにより、前記第1エレメント部と前記第2エレメント部との間に間隙を形成する部材である。前記非エレメント部は、前記第1エレメント部の下部から染み出す液体が前記第2エレメント部に飛散することを抑制可能な部材である。
【0020】
上記態様に係る液体分離フィルタでは、第1エレメント部の外面下部の径方向外側に対向する部分に非エレメント部が設けられている。このため、上記態様に係る液体分離フィルタでは、第1エレメント部の外面下部から液体が再飛散しても第2エレメント部への付着が抑制される。すなわち、第1エレメント部で捕集された液体は第1エレメント部の下部に溜まる。この下部(以下、「WETバンド部」)は液体を多く保有しており、外面に液体が染み出し易く再飛散が起きやすい。上記態様に係る液体分離フィルタでは、WETバンド部の径方向外側に非エレメント部が配置されるようにすることで、染み出した液体が再飛散したとしても非エレメント部によって第2エレメント部に付着するのが抑制される。また、第1エレメント部の外面下部の径方向外側に非エレメント部が配置されることでWETバンド部のガス流が減少し液体の再飛散自体を非活性化させることができる。
【0021】
また、上記態様に係る液体分離フィルタでは、多重に設けられた複数のエレメント部を備えるので、独立の複数の液体分離フィルタを直列に多段設置した場合と同じ捕集効果が得られる。また、上記態様に係る液体分離フィルタでは、独立の複数の液体分離フィルタを設置する場合と比べて、コスト削減および小型化が可能となる。
【0022】
また、上記態様に係る液体分離フィルタでは、第1エレメント部の外面下部に染み出した液体が第2エレメント部に付着するのが非エレメント部によって抑制されるので、第2エレメント部に流入する液体が少なくなる。つまり、上記態様に係る液体分離フィルタでは、第2エレメント部における液体飛散量と圧損が増加しにくくなる。液体分離フィルタ全体で見た時に、高性能化や長寿命化を実現することができる。
【0023】
上記態様に係る液体分離フィルタにおいて、前記間隙の直下に開口部を有してもよく、前記開口部を通じて流れ落ちた液体を保持可能な液体貯蔵部をさらに備えてもよい。
【0024】
上記態様に係る液体分離フィルタでは、前記間隙の真下に開口部を有するので、被せられた第1エレメント部から染み出した液体が第1エレメント部と第2エレメント部との間に溜まってしまうことが防止できる。
【0025】
上記態様に係る液体分離フィルタにおいて、前記液体貯蔵部の液体を排出する排出機構をさらに備えてもよい。
【0026】
上記態様に係る液体分離フィルタでは、排出機構を有する液体貯蔵部を備えるので、液体が溜まり続けることを想定した大容量の液体貯蔵部を設ける場合と比べて、大型化を防止できる。また、上記態様に係る液体分離フィルタでは、液体貯蔵部に溜まる液体の増加による液体分離用構成体の重量増加も抑制される。
【0027】
上記態様に係る液体分離フィルタにおいて、前記間隙の径方向の幅は5mm以上100mm以下であってよい。
【0028】
上記態様に係る液体分離フィルタでは、第1エレメント部と第2エレメント部との間隙が5mm以上とされているので、第1エレメント部の外面に染み出した液体が再飛散したとしても第2エレメント部への付着を抑制する上で好適である。また、上記態様に係る液体分離フィルタでは、第1エレメント部と第2エレメント部との間隙が100mm以下とされているので、コンパクト性の観点から好適である。
【0029】
本発明の一態様に係る圧縮機システムは、圧縮機と、液体回収器と、液体分離フィルタとを備える。前記液体回収器は、前記圧縮機から吐出された吐出ガスから液体を回収する。前記液体分離フィルタは、前記液体回収器の下流側に設けられ吐出ガスから液体を分離する液体分離フィルタであって、上記態様に係る液体分離フィルタが適用される。
【0030】
上記態様に係る圧縮機システムは、上記態様に係る液体分離フィルタを備えるので、液体分離フィルタの効果をそのまま得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
上記の各態様では、製造コストの上昇およびサイズの大型化を抑制しながら、性能低下を抑えつつ長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る圧縮機システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る液体分離フィルタ用コアの構成を示す断面図である。
【
図3】
図2のIII―III線断面での液体分離フィルタ用コアの構成を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る液体分離用構成体の構成を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る液体分離フィルタ用コアに対して、液体分離用構成体を被せる前の状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る液体分離フィルタでの第2エレメント部への再飛散した液体の付着抑制メカニズムを説明するための図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る液体分離フィルタ用コアの構成を示す断面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線断面での液体分離フィルタ用コアの構成を示す断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る液体分離フィルタ用コアの一部構成を示す断面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係る液体分離フィルタ用コアの一部構成を示す断面図である。
【
図11】本発明の第5実施形態に係る液体分離フィルタ用コアの一部構成を示す断面図である。
【
図12】本発明の第6実施形態に係る液体分離フィルタ用コアの一部構成を示す断面図である。
【
図13】本発明の第7実施形態に係る液体分離フィルタ用コアの一部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0034】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る液体分離用構成体36、液体分離フィルタ20、および圧縮機システム10について図面を参照しながら説明する。
【0035】
1.圧縮機システム10
本実施形態に係る圧縮機システム10について、
図1を参照しながら説明する。
【0036】
図1に示すように、圧縮機システム10は、主配管14で接続された圧縮機12と液体回収器16とガスクーラ18と液体分離フィルタ20とを備える。圧縮機12は、スクリュ圧縮機である。圧縮機12の吐出側には、液体回収器16が接続されている。圧縮機12としては、給油式や無給油式のスクリュ圧縮機が採用される。給油式のスクリュ圧縮機の場合、吐出されたガスには油が液体として含まれる(油以外の液体も含まれていてもよい。)。無給油式のスクリュ圧縮機であって内部に注水する場合、吐出されたガスには水が液体として含まれる(水以外の液体も含まれていてもよい。)。なお、圧縮機12としては、スクリュ式以外にレシプロ式やスクロール式のものが採用されてもよい。圧縮機12は水素ガス、天然ガス、冷凍機用の冷媒ガス等様々なものを取り扱うことができる。
【0037】
液体回収器16では、圧縮機12から吐出されたガスに含まれる液体が回収される。ただし、液体回収器16では、ガスに含まれる液体の全てを分離回収することはできない場合もある。そのため、一部の液体は、ガスとともにガスクーラ18の側へと送られる。
【0038】
液体回収器16には、回収路26が接続されている。回収路26は、一端が液体回収器16に接続され、他端が圧縮機12の吸入部等に接続されている。回収路26には、液体冷却器28とフィルタ30とポンプ32とが設けられている。液体冷却器28は、回収された液体を冷却する。フィルタ30は、液体に含まれる異物を除去する。ポンプ32は、回収路26における液体ポンプ32よりも上流側の液体を吸引して下流側の圧縮機12に戻すポンプである。なお、圧縮機システム10では、液体回収器16、回収路26、液体冷却器28、フィルタ30、およびポンプ32は省略される場合もある。
【0039】
ガスクーラ18は、主配管14における液体回収器16の下流側の部分に設けられている。ガスクーラ18では、圧縮機12での圧縮により加温されたガスが冷却される。圧縮機システム10では、ガスクーラ18は省略される場合もある。
【0040】
液体分離フィルタ20は、主配管14におけるガスクーラ18の下流側の部分に設けられている。液体分離フィルタ20には、ガスクーラ18で冷却されたガスが流入する。
【0041】
2.液体分離フィルタ20
引き続き
図1を参照しながら、液体分離フィルタ20の構成について説明する。
【0042】
液体分離フィルタ20は、収容容器24と液体分離フィルタ用コア22とを備える。収容容器24は、主配管14の上流側から流れてくるガスを受け入れるガス流入口と、ガスを主配管14の下流側へと流出させる出口であるガス流出口とを有する。なお、
図1では、収容容器24におけるガス流入口およびガス流出口の詳細な図示を省略している。
【0043】
液体分離フィルタ用コア22は、収容容器24内に収容されている。液体分離フィルタ用コア22は、収容容器24内において、流入するガスから液体を分離する。そして、液体分離フィルタ20からは、液体が分離されたガスが主配管14の下流側へと流される。
【0044】
3.液体分離フィルタ用コア22
液体分離フィルタ用コア22の構成について、
図2から
図5を参照しながら説明する。なお、
図2,4,5において、「UP」は上方、「LO」は下方を示す。
【0045】
図2に示すように、液体分離フィルタ用コア22は、第1エレメント部34と液体分離用構成体36とを備える。また、液体分離フィルタ用コア22は、第1上端保持部44と第1下端保持部46と固定具50とを備える。そして、液体分離フィルタ用コア22は、天板48を介して収容容器24に取り付けられている。
【0046】
第1エレメント部34は、繊維層(一例としてグラスウールやデミスタからなる層)を有して円筒形状に形成されている。なお、当該繊維層の外側面や内側面には円筒状の多孔性金属板(パンチングメタルや金網など)が取り付けられていてもよい。後述の第2エレメント保持部38および第3エレメント部60の繊維層についても同様である。第1上端保持部44は、円環形状の板材で構成されている。第1上端保持部44は、円環形状の部材であって下向きに開放された受入凹部44aを下面に有する。また、第1上端保持部44は、受入凹部44aの上方であって中央部分の開口部44c周りに上方に向けて突設された円筒形状の挿入部44bを有する。
【0047】
第1下端保持部46は、略円板形状の部材で構成されている。第1下端保持部46は、上面に円環形状であって上向きに開放された受入凹部46aを有する。第1エレメント部34は、上端部34aが第1上端保持部44の受入凹部44aに嵌め込まれ、下端部34bが第1下端保持部46の受入凹部46aに嵌め込まれている。
【0048】
図2および
図4に示すように、液体分離用構成体36は、第1エレメント部34に被せられた構成体であって、第2エレメント部38と保持部40と第2下端保持部42と液体貯蔵部58とを備える。第2エレメント保持部38は、繊維層(一例としてガラス繊維や活性炭からなる層)を有して円筒形状に形成されている、
図2および
図3に示すように、第2エレメント部38は、第1エレメント部34に対して径方向外側に間隙GDを空けて配置されるように一回り大径に形成されている。
【0049】
保持部40は、円環形状であって下向きに開口された受入凹部40aを下面に有する。第2エレメント部38の上端部38aは、保持部40の受入凹部40aに嵌め込まれている。保持部40は、中央部分の開口部40d周りに上方に向けて突設された円筒形状の位置決め部40bを有する。位置決め部40bは、天板48に設けられた開口部48aに挿入されている。これにより、第2エレメント部38が位置決めされる。保持部40は、位置決め部40bの下方に当該位置決め部40bの内周面の内径よりも大径の内周面を有する挿入受入部40cをさらに有する。
図1に示すように、挿入受入部40cは、第1上端保持部44の挿入部44bの挿入を受け入れる。
【0050】
なお、液体分離フィルタ用コア22では、第1上端保持部44の挿入部44bが保持部40の挿入受入部40cに挿入(嵌入)されることにより、第1上端保持部44の受入凹部44aに上端部34aが嵌め込まれた第1エレメント部34と保持部40の受入凹部40aに上端部38aが嵌め込まれた第2エレメント部38との径方向での互いの間隙GDが形成されている。すなわち、液体分離フィルタ用コア22を備える液体分離フィルタ20では、保持部40が第1エレメント部34と第2エレメント部38とを径方向に離間させることにより、第1エレメント部34と第2エレメント部38との間に間隙GDを形成する間隙形成部として機能する。
【0051】
第2下端保持部42は、円板に二重の環状凸部が設けられてなる。第2下端保持部42は、上面に円環形状であって上向きに開放された受入凹部42aを有する。第2エレメント部38の下端部38bは、第2下端保持部42の受入凹部42aに嵌め込まれている。
【0052】
ここで、
図2に示すように、第2エレメント部38は、第1エレメント部34よりも下端面が上方に位置するように形成されている。このため、第2下端保持部42の受入凹部42bは、第1下端保持部46の受入凹部46aよりも上方に位置するように配されている。すなわち、第2下端保持部42は、第1エレメント部34の径方向外面における下部(外面下部)34cに対して径方向外側で対向する内周壁面部(非エレメント部)42bを有する。非エレメント部42bが有する機能については、後述する。
【0053】
固定具50は、両端に雄ネジが形成された棒材52とナット54,56と押圧部53とから構成されている。棒材52は、上端が天板48の上部に配置された板部48bの貫通孔を挿通し、下端が第1下端保持部46の中央部分に設けられた貫通孔を挿通するように配されている。ナット54は、押圧部53の上方で棒材52における上部の雄ネジと螺結している。ナット56は、第1下端保持部46の下方で棒材52における下部の雄ネジと螺結している。このように、棒材52の上下の雄ネジに対してナット54,56が螺結されることにより、天板48に対して押圧部53が上方から押圧し、第1上端保持部44および第1エレメント部34および第1下端保持部46が天板48に固定されている。また、保持部40は、天板48の下面と第1上端保持部44の上面の一部との間で挟持されている。このため、液体分離用構成体36は、第1エレメント部34の径方向外側に被せられた状態で、天板48および第1エレメント部34に対して固定されている。
【0054】
なお、
図2および
図3に示すように、液体分離フィルタ用コア22において、第1下端保持部46と第2下端保持部42との間には、円環形状の開口部Gが空けられている。すなわち、第2下端保持部42が第1下端保持部46に対して径方向外側に離間している。
【0055】
液体貯蔵部58は、液体分離用構成体36の一構成要素であって、上部が開口された椀形状の部材である。液体貯蔵部58は、外周縁の上部で第2下端保持部42に固定されている。液体貯蔵部58は、流れ込んだ液体を外部に排出する排出機構58aを有する。
【0056】
4.液体分離フィルタ20での液体分離
図2に示すように、収容容器24のガス流入口を通り収容容器24内に導入されたガスは、天板48の開口部48aおよび保持部40の開口部40dおよび第1上端保持部44の開口部44cを通リ第1エレメント部34の径方向内側の空間へと導入される(矢印A1)。
【0057】
第1エレメント部34の径方向内側の空間へ導入されたガスは、径方向外側に向けて流れて第1エレメント部34および第2エレメント部38を順に通過する(矢印A2)。そして、第2エレメント部38を通過して当該第2エレメント部38の径方向外側へと流れたガスは、当該部分に連続する収容容器24のガス流出口から導出される。
【0058】
矢印A2のように第1エレメント部34を通過する際に濾過された液体は、開口部Gを通じて流れ落ち(矢印A3)、液体貯蔵部58内に貯蔵される。そして、液体貯蔵部58内に貯蔵された液体は、排出機構58aから排出される(矢印A4)。なお、排出機構58aは、所定の時間間隔で溜まった液体LIQを外部に排出する機構であってもよい。また、排出機構58aは、溜まった液体の量を重量測定結果やフロートスイッチの検知結果に基づき把握し、それらの結果が閾値を超えた場合に液体LIQを外部に排出する機構であってもよい。なお、液体貯蔵部58については、使用期間中に予測されるドレン累積量よりも大きな容量を有するように設計されることがより好ましい。
【0059】
5.第1エレメント部34への液体分離用構成体36の装着
本実施形態では、第1エレメント部34に対して液体分離用構成体36を被せることで液体分離フィルタ20の液体分離フィルタ用コア22を構成することとしている。以下では、第1エレメント34への液体分離用構成体36の装着方法(被せ方)について、
図2、
図4、および
図5を参照しながら説明する。
【0060】
まず、
図5に示すように、第1エレメント部34に対して液体分離用構成体36が被せられる前の状態においては、第1上端保持部44の挿入部33bが天板48の開口部44cに嵌入されている。そして、第1エレメント部34は、第1上端保持部44および第1下端保持部46とともに天板48に固定具50で固定されている。なお、第1エレメント部34は、固定具50の締結/締結解除により天板48に対して着脱可能である。
【0061】
次に、第1エレメント部34に液体分離用構成体36が被せられてなる液体分離フィルタ用コア22を構成するには、
図5に示す状態から固定具50での締結を解除する。これにより、天板48に対する押圧部53の押圧状態が解除されて、第1上端保持部44の挿入部44bを天板48の開口部48aから下方に抜き出すことが可能となる。これにより、第1エレメント部34が天板48から取り外される。
【0062】
次に、第1上端保持部44および第1下端保持部46とともに第1エレメント部34が取り外された天板48に対して、
図4に示す液体分離用構成体36を装着する。具体的には、液体分離用構成体36の保持部40の挿入部40bを天板48の開口部48aに嵌入させる。これにより、第2エレメント部38が位置決めされる。なお、液体分離用構成体36の構成の内の液体貯蔵部58については、当該状態では取り外された状態とされている。そして、天板48に液体分離用構成体36(液体貯蔵部58を除く。)が装着された状態で、第2下端保持部42における下部の開口部42cから第1上端保持部44および第1下端保持部46に保持された第1エレメント部34を挿入する。
【0063】
図2に示すように、第1上端保持部44の挿入部44bが保持部40の挿入受入部40cに挿入(嵌入)する。このとき、第1エレメント部34と第2エレメント部38との間には間隙GDが空く。その後、固定具50の棒材52を
図2に示すように挿通させてナット54,56を螺結させ、液体貯蔵部58を取り付けることで、第1エレメント部34に対して液体分離用構成体36が被せられて液体分離フィルタ用コア22が構成される。
【0064】
なお、第1上端保持部44および第1下端保持部46で保持された状態の第1エレメント部34に対して、先に液体分離用構成体36を被せ、当該状態で天板48に装着してもよい。
【0065】
また、天板48に対して保持部40だけを先に装着しておき、この状態で第1上端保持部44および第1下端保持部46で保持された状態の第1エレメント部34を装着し、最後に第2エレメント部38、第2下端保持部42、および液体貯蔵部58を装着してもよい。
【0066】
6.非エレメント部42bの機能
上述のように、第1エレメント部34における外面下部34cに対して径方向の外側には、第2下端保持部42の内周壁面部(非エレメント部)42bが配置されている。該非エレメント部42bの機能について、
図6を参照しながら説明する。
【0067】
図6に示すように、第2エレメント部38の下端部38bが嵌め込まれる受入凹部42aは、第1エレメント部34の下端面34dよりも第2エレメント部38の下端面38cの方が上方に位置するように形成されている。そして、第2下端保持部42の非エレメント部42bは、第1エレメント部34の外面下部34に対して径方向外側に対向する。
【0068】
ここで、液体分離フィルタ用コア22では、第1エレメント部34で捕集された液体は第1エレメント部34の下部に溜まる。そして、第1エレメント部34の下部に溜まった液体の一部は、外面下部34cに染み出す(染み出し液体LIQ)。
図2を用いて説明したように、液体分離フィルタ用コア22におけるガスは、径方向の内側から外側に向けて流れる。このため、染み出し液体LIQの一部は、ガスの流れにのって矢印Bのように径方向外側へと再飛散する場合がある。
【0069】
しかしながら、本実施形態では、第1エレメント部34における外面下部34cに対して径方向外側に対向する部分に非エレメント部42bを配設しているので、仮に染み出し液体LIQの一部が矢印Bのように径方向外側に再飛散したとしても第2エレメント部38に付着するのが防がれる。
【0070】
ここで、
図6に示すように、非エレメント部42bの上端までの高さは、第1エレメント部34の下端面34dを基準として(H2+H3)で表すことができる。なお、高さH2は、第1下端保持部46における受入凹部の内外縁壁の高さH1よりも少なくとも大きな寸法で設定されている。
【0071】
また、本実施形態では、第1エレメント部34と第2エレメント部38との径方向での間隙GDは、一例として5mm以上100mm以下の範囲で設定される。このため、間隙GDが相対的に小さい場合には(H2+H3)を大きくし、間隙GDが相対的に大きい場合には(H2+H3)を小さくすることができる。すなわち、間隙GDが小さい場合には、第1エレメント部34から再飛散した液体LIQが第2エレメント部38に付着する可能性が高くなるので(H2+H3)を高くすることが必要となる。
【0072】
これに対して、間隔GDが大きい場合には、第1エレメント部34から再飛散した液体LIQが第2エレメント部38に付着する可能性が低くなるので(H2+H3)を低くすることが可能となる。すなわち、間隔GDが大きいと、第1エレメント部34から液体LIQが径方向外側に向けて再飛散しても重力の影響を受けて下方へと落下する割合が多くなるため、(H2+H3)を低くすることが可能である。
【0073】
7.効果
本実施形態に係る液体分離用構成体36は、第1エレメント部34に被せることができるように構成されている。このため、本実施形態に係る液体分離用構成体36は、第1エレメント部34だけを備える既存の液体分離フィルタに対して被せることで、複数のエレメント部34,38が多重に設けられた液体分離フィルタ20を容易に形成することができる。よって、本実施形態に係る圧縮機システム10では、既存の液体分離フィルタを除去して液体分離フィルタ22を新たに設ける場合に比べてコストの上昇を抑えることができる。また、本実施形態に係る圧縮機システム10では、1つの収容容器24内に複数のエレメント部34,38が多重に設けられているので、複数の液体分離フィルタを多段配置する場合に比べて、液体の捕集効果の低下を抑えながらシステム全体の小型化を図ることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る液体分離用構成体36では、第1エレメント部34の外面下部34cの径方向外側に対向する部分、すなわち、間隙GDを介して第1エレメント部34とは反対側に非エレメント部42bを設けている。これにより、第1エレメント部34の外面下部34cから液体LIQが再飛散しても第2エレメント部38に付着するのを抑制することができる。すなわち、
図6を参照しながら説明したように、第1エレメント部34で捕集された液体は第1エレメント部の下部に溜まる。第1エレメント部34の下部(以下、「WETバンド部」)は液体を多く保有しており、外面に液体が染み出しやすい。本実施形態では、第1エレメント部34の外面下部34cに対向する部分に非エレメント部42bを設けているので、染み出し液体LIQが再飛散したとしても非エレメント部42bによって第2エレメント部38に付着するのが防がれる。また、第2下端保持部42は金属材料などで構成されているため、非エレメント部42bをガスが透過することはできない。このため、第1エレメント部34の外面下部34cから径方向外側へのガス量が小さく抑えられる。これより、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、液体LIQの再飛散自体を非活性化することができる。
【0075】
なお、仮に第1エレメント部34の外側面下部34cの繊維層部分に適当な無孔プレートを当接させることにより、当該繊維層部分からの液体の再飛散を防止する構造も考えられる。しかし、当該構造では、当該プレートの上端部と同じ高さまで繊維層部分が液体を過剰に保持してしまうと再飛散が生じてしまう可能性がある。あるいは、当該構造では、当該プレートと外側面下部34cとの間に隙間が存在しないため液体が当該プレートの外側面に染み出しやすいことから、第2エレメント部38への再飛散が生じてしまう可能性もある。
【0076】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、上述のように第1エレメント部34の外面下部34cに染み出した液体LIQが第2エレメント部38に付着するのを抑制することができるので、第2エレメント部38の劣化を抑えることができる。これより、液体分離フィルタ20では、第2エレメント部38における液体の付着量を小さく抑え、圧損が増加し難くすることができる。これより、液体分離フィルタ20は、高性能の維持と長寿命化の両立が実現される。
【0077】
なお、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、径方向に互いに離間した複数のエレメント部34,38で液体の捕集を受け持つため、それぞれのエレメント部34,38での液体の処理量が低減される。仮に、高性能化を図ろうとするだけなら増厚した1層のエレメント部を備える液体分離フィルタを採用することも考えられる。しかし、この場合は、エレメント部が捕集した液体を保有する量が増えてしまう。
【0078】
これに対して、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、複数のエレメント部34,38が互いに離間していることから、流入した液体の量を全部共有するわけではない。すなわち、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、流入した液体の一部は第1エレメント部34と第2エレメント部38との間に溜まるので、厚みを増した1層のエレメント部を備える場合と比べて、エレメント部34,38の負荷を軽減することができる。そして、第1エレメント部34側で捕集した液体の保有を請け負い、第2エレメント部38側での液体の保有量を少なくすることができる。
【0079】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、第1エレメント部34に異常が生じたとしても第2エレメント部38が機能している場合には、液体分離性能を維持できる(バックアップ機能)。
【0080】
なお、本実施形態では、第1エレメント部34と第2エレメント部38とで構成繊維材料が異なるようにした。これは、液体の捕集量が多い第1エレメント部34は荒どり用として、例えば、グラスウール、デミスタなどから形成し、第2エレメント部38は高効率除用のフィルタとして、例えば、ガラス繊維、活性炭などから形成してもよい。このように、配置箇所や用途に合わせてカスタマイズすることで、パフォーマンスを最適化させることもできる。ただし、第1エレメント部34の形成材料と第2エレメント部38の形成材料とが同じであっても構わない。
【0081】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、第1下端保持部46と第2下端保持部42との間に開口部Gが設けられている。このため、捕集され第1エレメント部34から染み出した液体LIQが第1下端保持部46と第2下端保持部42との間に溜まってしまうことが防止できる。仮に開口部Gを有さず、第1下端保持部46と第2下端保持部42との間に液体が溜まって行くと、第1エレメント部34の下部や第2エレメント部38の下部が液体で浸漬されてしまうという事態が生じる場合がある。
【0082】
しかし、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、第1下端保持部46と第2下端保持部42との間に開口部Gが設けられているので、第1下端保持部46と第2下端保持部42との間に液体が溜まるのを防止して第1エレメント部34や第2エレメント部38の下部が液体に浸漬されるのを防ぐことができる。
【0083】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ20の液体分離用構成体36では、排出機構58aを有する液体貯蔵部58を備えるので、液体が溜まり続けることを想定した大容量の液体貯蔵部を設ける必要がなく、大型化を防止することができる。また、液体貯蔵部58に溜まる液体の重量による液体分離フィルタ20の重量増加(液体分離フィルタ用コア22の重量増加)を抑制することもできる。
【0084】
さらに、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、第1エレメント部34と第2エレメント部38との径方向での間隙GDを5mm以上としているので、第1エレメント部34の外面に染み出した液体LIQが再飛散して第2エレメント部38に付着するのを抑制する上で好適である。また、間隙GDを100mm以下としているので、液体分離フィルタ用コア22のサイズをコンパクトに抑える上で好適である。
【0085】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る液体分離フィルタ20の構成の内の液体分離フィルタ用コア22について
図7および
図8を参照しながら説明する。なお、
図7および
図8では、上記第1実施形態と同じ構成の部分には同じ符号を付しており、以下での説明を省略する。また、以下で言及しない事項については、上記第1実施形態と同じである。
【0086】
図7に示すように、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、保持部40が第2エレメント部38の上端部38aが嵌め込まれる受入凹部40aに加えて第1エレメント部34の上端部34aが嵌め込まれる受入凹部40eを有する。そして、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、上記第1実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22が有していた第1上端保持部44が省略されている。すなわち、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22においては、保持部40が受入凹部40aと受入凹部40eとで第1エレメント部34と第2エレメント部38との径方向での間隙GDを保持する(間隙保持部)。
【0087】
本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、第2下端保持部42が第2エレメント部38の下端部38bが嵌め込まれる受入凹部42aに加えて第1エレメント部34の下端部34bが嵌め込まれる受入凹部42dを有する。
【0088】
図7に示すように、第2下端保持部42には、上記第1実施形態の第2下端保持部42と同様に、非エレメント部42bが設けられている。非エレメント部42bの機能については、上記第1実施形態と同じである。
【0089】
さらに、
図7および
図8に示すように、第2下端保持部42は、径方向における受入凹部42aと受入凹部42dとの間の領域に複数の開口部42eを有する。複数の開口部42eは、周方向に分散して設けられている。
【0090】
以上の構成を有する液体分離フィルタ用コア22を備える液体分離フィルタ20は、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22は、第1上端保持部44および第1下端保持部46を有さないので、その分だけ液体分離フィルタ20の軽量化が図られる。
【0092】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る液体分離フィルタ20の構成の内の液体分離フィルタ用コア22について
図9を参照しながら説明する。なお、
図9では、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じ構成の部分には同じ符号を付しており、以下での説明を省略する。また、以下で言及しない事項については、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じである。
【0093】
図9に示すように、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22は、第1エレメント部34および第2エレメント部38に加えて、第3エレメント部60を備える。換言すると、液体分離フィルタ用コア22は、第1エレメント部34に対して第2エレメント部38および第3エレメント部60を有する液体分離用構成体36が被せられてなる。
【0094】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22は、保持部40が受入凹部40aおよび受入凹部40eに加えて第3エレメント部60の上端部60aが嵌め込まれる受入凹部40fを有する。
【0095】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、第2下端保持部42が受入凹部42aおよび受入凹部42dに加えて第3エレメント部60の下端部60bが嵌め込まれる受入凹部42fを有する。
【0096】
図9に示すように、第2下端保持部42においても、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同様に、受入凹部42aの下方における径方向内側の部分に非エレメント部42bが設けられている。非エレメント部42bが有する機能については、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じである。
【0097】
さらに、
図9に示すように、第2下端保持部42は、第1エレメント部34の下端面34dよりも第2エレメント部38の下端面38cが上方に位置し、第2エレメント部38の下端面38cよりも第3エレメント部60の下端面60cが上方に位置するように、受入凹部42a,42d,42fが形成されている。
図9に示すように、第2下端保持部42では、第2エレメント部38の下端面38cよりも第3エレメント部60の下端面60cが上方に位置するように受入凹部42a,42fが設けられている。これにより、第2エレメント部38の下端部に対して受入凹部42fの下方に位置する内周壁部が第2エレメント部38の下端部から再飛散した液体LIQが第3エレメント部60に付着するのを抑制する第2非エレメント部として機能する。
【0098】
なお、第2下端保持部42も、径方向における受入凹部42aと受入凹部42dとの間の領域に複数の開口部42eを有する。複数の開口部42eは、上記第2実施形態と同様に周方向に分散して設けられている。
【0099】
以上の構成を有する液体分離フィルタ用コア22を備える液体分離フィルタ20は、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22は、第1上端保持部44および第1下端保持部46を有さないので、その分だけ液体分離フィルタ20の軽量化が図られる。
【0101】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22は、第1エレメント部34および第2エレメント部38に加えて、第3エレメント部60を備えるので、第1エレメント部34や第2エレメント部38に異常が生じたとしても第3エレメント部60が機能している場合には、液体分離を維持できる。よって、本実施形態では、上記第1実施形態および上記第2実施形態よりも、より高いバックアップ機能を備える。
【0102】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る液体分離フィルタ20の構成の内の液体分離フィルタ用コア22について
図10を参照しながら説明する。なお、
図10では、上記第1実施形態、上記第2実施形態、および上記第3実施形態と同じ構成の部分には同じ符号を付しており、以下での説明を省略する。また、以下で言及しない事項については、上記第1実施形態、上記第2実施形態、および上記第3実施形態と同じである。そして、以下では、上記第3実施形態との差異を主に説明する。
【0103】
図10に示すように、第2下端保持部42は、第2エレメント部38の下端部38bが嵌め込まれる受入凹部42aと第3エレメント部60の下端部60bが嵌め込まれる受入凹部42fとの間の溝底に、下方に貫通する複数の開口部42gが設けられている。図示を省略するが、複数の開口部42gは、周方向に分散して形成されている。
【0104】
以上の構成を有する液体分離フィルタ用コア22を備える液体分離フィルタ20は、上記第1実施形態から上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0105】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22を備える液体分離フィルタ20は、第1エレメント部34および第2エレメント部38に加えて、第3エレメント部60を備えるので、上記第3実施形態と同様に高いバックアップ機能を備える。
【0106】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ20では、第2下端保持部42において、径方向における受入凹部42aと受入凹部42fとの間の部分に複数の開口部42gが設けられているので、受入凹部42aと受入凹部42fとの間の溝部分に液体が溜まるのを防止して第2エレメント部38や第3エレメント部60の下部が液体で浸漬されるのを防ぐことができる。
【0107】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係る液体分離フィルタ20の構成の内の液体分離フィルタ用コア22について
図11を参照しながら説明する。なお、
図11では、上記第1実施形態から上記第4実施形態と同じ構成の部分には同じ符号を付しており、以下での説明を省略する。また、以下で言及しない事項については、上記第1実施形態から上記第4実施形態と同じである。そして、以下では、上記第3実施形態との差異を主に説明する。
【0108】
上記第3実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、第1エレメント部34の下端面34d、第2エレメント部38の下端面38c、第3エレメント部60の下端面60cの順で上方に位置するように、第2下端保持部42の受入凹部42a,42d,42fが形成されてなる構成とした。
【0109】
これに対して、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、第2エレメント部38の下端面38cと第3エレメント部60の下端面60cとが略同じ高さ位置となるように、第2下端保持部42の受入凹部42d,42fが形成されている。
【0110】
以上の構成を有する液体分離フィルタ用コア22を備える液体分離フィルタ20は、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、第2エレメント部38と第3エレメント部60とが略同じ高さを有するので、第2エレメント部38と第3エレメント部60とを共通部材とすることができる。よって、製造およびメインテナンスにおける部材管理が容易となる。
【0112】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に係る液体分離フィルタ20の構成の内の液体分離フィルタ用コア22について
図12を参照しながら説明する。なお、
図12では、上記第2実施形態と同じ構成の部分には同じ符号を付しており、以下での説明を省略する。また、以下で言及しない事項については、上記第2実施形態と同じである。
【0113】
上記第2実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、第1エレメント部34の下端面34dよりも第2エレメント部38の下端面38cが上方に位置するように、第2下端保持部42の受入凹部42a,42dを設けられてなる構成とした。そして、上記第2実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、第2下端保持部42において、受入凹部42aの下方における径方向内側の部分に非エレメント部42bが設けられてなる構成を採用した。
【0114】
これに対して、
図12に示すように、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、第2下端保持部42は非エレメント部42bを有さない。本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、第1エレメント部34の下端面34dと第2エレメント部38の下端面38cとが同じ高さ位置になるように第2下端保持部42の受入凹部42a,42dが設けられている。そして、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、円筒形状の非エレメント部62を第2下端保持部42とは別部材として備える。
【0115】
非エレメント部62は、液体の透過を許容しないか抑制する部材(例えば、孔部を有しない円筒状の金属材や樹脂材)から構成されている。そして、非エレメント部62は、下端部分が第2エレメント部38の下端部38bとともに受入凹部42aに嵌め込まれている。非エレメント部62は、受入凹部42aに嵌め込まれた状態で第1エレメント部34の外面下部34cに対して径方向外側で対向する。
【0116】
以上の構成を有する液体分離フィルタ用コア22を備える液体分離フィルタ20は、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
また、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、上記第2実施形態のように第2下端保持部42に非エレメント部42bを設けなくてもよいので、その分だけ液体分離フィルタ20の重量低減およびコスト低減を図ることができる。なお、本実施形態では、液体分離用構成体36の第2エレメント部38として第1エレメント部34と同じ高さを有する部材を採用することができる。このため、第1エレメント部34と第2エレメント部38とで異なるサイズの部材を準備しておく必要がない。
【0118】
非エレメント部62は、第1エレメント部34の外面下部34cとの間に隙間を開けて配置されるのであれば、受入凹部42aと受入凹部42dとの間、すなわち、間隙GD内に第2エレメント部38から独立して配置されてもよい。
【0119】
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態に係る液体分離フィルタ20の構成の内の液体分離フィルタ用コア22について
図13を参照しながら説明する。なお、
図13では、上記第1実施形態と同じ構成の部分には同じ符号を付しており、以下での説明を省略する。また、以下で言及しない事項については、上記第1実施形態と同じである。
【0120】
上記第1実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、繊維層で構成された第1エレメント部34を採用した。そして、第1エレメント部34の外面下部34cに対して径方向外側で対向する部分に非エレメント部42bが配置されてなる構成を採用した。
【0121】
これに対して、
図13に示すように、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22では、繊維層で構成されたエレメント本体部341と、多孔性金属板(例えば、パンチングメタル)からなる円筒金属部342との組み合わせで第1エレメント部34が構成されている。エレメント本体部341および円筒金属部342は、ともに円筒形状をしている。そして、円筒金属部342は、エレメント本体部341よりも下方に延びるように設けられている。
【0122】
エレメント本体部341の下端部341bは、第1下端保持部46の受入凹部46aに嵌め込まれている。円筒金属部342の下端部342bは、第1下端保持部46に設けられた円環状の受入溝部46bに挿入されている。そして、円筒金属部342は、受入溝部46b内に充填形成された接着部64によって下端部342bで第1下端保持部46に固定されている。
【0123】
ここで、第1エレメント部34においては、円筒金属部342の外面下部342cが上記第1実施形態における第1エレメント部34の外面下部34cに相当する。そして、第2下端保持部42は、円筒金属部342の外面下部342cに対して径方向外側に対向する部分に非エレメント部42bを有する。
【0124】
以上の構成を有する液体分離フィルタ用コア22を備える液体分離フィルタ20では、第1エレメント部34のエレメント本体部341および円筒金属部342をガスが通過することで液体が分離され、エレメント本体部341および円筒金属部342の下部に溜まる。そして、エレメント本体部341の下部に溜まった液体LIQの量が所定の量を超えると下部における外周面に染み出す。エレメント本体部341から染み出した液体LIQは、近接配置された円筒金属部342を伝って下方に垂れ落ちて開口部Gから下方に落ちる。円筒金属部342の下部を垂れ落ちる液体LIQの一部は、円筒金属部342の外面下部342cと非エレメント部42bとの間に吹き込むガスの流れによって径方向外側へと再飛散する場合が生じ得る。
【0125】
しかし、第2下端保持部42には、円筒金属部342の外面下部342cの径方向外側に対向する部分に非エレメント部42bが設けられているので、例え液体LIQが再飛散したとしても非エレメント部42bに付着するのみであって、第2エレメント部38に付着するのが防がれる。従って、本実施形態に係る液体分離フィルタ用コア22を備える液体分離フィルタ20、さらには前記液体分離フィルタ20を備える圧縮機システム10は、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0126】
なお、
図13では、エレメント本体部341と円筒金属部342との間に隙間が空いた状態としているが、エレメント本体部341と円筒金属部342とが当接してもよい。
【0127】
[変形例]
上記第1実施形態および上記第7実施形態では第1下端保持部46と第2下端保持部42との間に開口部Gを有し、上記第2実施形態から上記第6実施形態では第2下端保持部42に複数の開口部42e,42gを設けることとしたが、本発明では、これらの開口部G,42e,42gは必須の構成ではない。
【0128】
また、上記第1実施形態から上記第7実施形態では、液体分離用構成体36が液体貯蔵部58を備える構成としたが、本発明では、液体貯蔵部58を備えなくてもよい。また、液体貯蔵部58を備える場合においても、排出機構58aを備えることも必須ではない。
【0129】
また、上記第1実施形態から上記第7実施形態では、第1エレメント部34と第2エレメント部38との間隙GDを5mm以上100mm以下の範囲としたが、本発明では、第1エレメント部34と第2エレメント部38との間隙GDを5mm以上100mm以下の範囲としなくてもよい。第1エレメント部34で捕集されて溜まった液体が第2エレメント部38の側へと再飛散する状況に応じて間隙GDを適宜に設定することができる。
【0130】
また、上記第1実施形態では、既存の第1エレメント部34に液体分離用構成体36を被せて2重のエレメント部34,38を有する液体分離フィルタ用コア22を構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、2重のエレメント部34,38を有する液体分離フィルタ用コア22を既存の(すなわち、1重の)液体分離用コアと交換することや、液体分離フィルタ20そのものを既存の(すなわち、1重の)液体分離フィルタと交換することも可能である。もちろん、圧縮機システム10には、液体分離フィルタ20が、初めから完成品として利用されてもよい。他の実施形態においても同様である。
【符号の説明】
【0131】
10 圧縮機システム
20 液体分離フィルタ
22 液体分離フィルタ用コア
24 収容容器
34 第1エレメント部
36 液体分離用構成体
38 第2エレメント部
40 保持部(間隙形成部)
42b 非エレメント部
42e 開口部
58 液体貯蔵部
58a 排出機構
62 非エレメント部
342 円筒金属部
G 開口部
GD 間隙