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  • 特開-静電容量式液位検出センサ 図1
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  • 特開-静電容量式液位検出センサ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085079
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】静電容量式液位検出センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/263 20220101AFI20240619BHJP
【FI】
G01F23/263
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199416
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】堺 昭治
(72)【発明者】
【氏名】三好 新二
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 典彦
(72)【発明者】
【氏名】嶋根 義親
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014EA00
(57)【要約】
【課題】1つの静電容量式の液位検出センサで満検出、空検出、及び、その間の液位検出を精度よく行うことができる静電容量式液位検出センサを提供する。
【解決手段】内側に配置された円柱又は円筒状の検出電極と、検出電極と同心で検出電極の外側に配置された円筒状の対向電極と、を有し、タンク内の液位の位置に応じて静電容量が変化する静電容量式の液位検出センサであって、タンクの満付近と、タンクの空付近における検出電極の直径が、その他の部位に比べて大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に配置された円柱又は円筒状の検出電極と、前記検出電極と同心で前記検出電極の外側に配置された円筒状の対向電極と、を有し、タンク内の液位の位置に応じて静電容量が変化する静電容量式の液位検出センサであって、
前記タンクの満付近と、前記タンクの空付近における前記検出電極の直径が、その他の部位に比べて大きい、
静電容量式液位検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は静電容量式の液位検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電容量式の液位検出センサの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-209217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タンク内の燃料等の液体の液位を検出する手段として、タンク内に電極(大小同心円筒を含む)を設置し、電極間の静電容量を測定して液位を検出する手法が広く知られている。従来では、満(満タン)付近と空付近とを精度よく検出する必要が有るため、液位を検出する検出計とは別に満付近と空付近との少なくとも一方に別途静電容量式センサを設置することがある。このようにセンサを複数配置する必要があるため、センサの取付スペースが多大となり、センサ重量が重く、コストも高くなる問題がある。
【0005】
本開示では上記問題を鑑み、1つの静電容量式の液位検出センサで満検出、空検出、及び、その間の液位検出を精度よく行うことができる静電容量式液位検出センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、内側に配置された円柱又は円筒状の検出電極と、検出電極と同心で検出電極の外側に配置された円筒状の対向電極と、を有し、タンク内の液位の位置に応じて静電容量が変化する静電容量式の液位検出センサであって、タンクの満付近と、タンクの空付近における検出電極の直径が、その他の部位に比べて大きい、静電容量式液位検出センサを開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、タンク満付近、空付近の検出精度が向上し、1つの静電容量式の液位検出センサで満検出、空検出、及び、その間の液位検出を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は静電容量式液位検出センサ10の構成を説明する図である。
図2図2は静電容量式液位検出センサ50の構成を説明する図である。
図3図3は静電容量式液位検出センサ60の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、内側に配置された検出電極と検出電極の外周を囲むように配置された対向電極とを具備する電極部を有する静電容量式の液位検出センサにおいて、内側に配置された検出電極の直径を場所に応じて変更している。従来技術では、満付近及び空付近の、静電容量検出精度を上げるために、液位位置検出部とは別に、レベルスイッチと呼ばれる満検出部センサと空検出部センサを別途配置していた。このためセンサの体積が増し、コスト高、重量増の問題がある。これに対して本開示の静電容量式液位検出センサによれば、位置によって検出電極の大きさを変えることで、別途レベルスイッチを設けることなく満付近及び空付近での検出精度も高めることができ上記問題を解決することができる。
【0010】
1.第1形態
図1に第1形態の静電容量式液位検出センサ10の構成を示した。(a)は斜視図、(b)はA-Aに沿った断面図、(c)はB-B矢視断面図である。静電容量式液位検出センサ10は実際に液位を検出する電極部20、電極部20で検出された情報を増幅する等して計器に送るアンプ41、及び、電極部20とアンプ41との間に配置され静電容量式液位検出センサ10を設置する際の取り付け部等となる拡径された板状であるフランジ40を有している。フランジ40、アンプ41の具体的態様は公知の通りである。
【0011】
電極部20による液位検出の基本的な考え方は公知の静電容量式の液位検出センサと同様である。従って、電極部20は円柱状(又は円筒状)の検出電極25、及び、検出電極25の外周に対して所定の間隙を有して検出電極25を囲むように対向電極21が配置されている。検出電極25、対向電極21を構成する材料は公知の静電容量式液位検出センサと同様である。
【0012】
本形態では、図1からわかるように検出電極25は円柱の軸線方向の両端部が太く形成されており、第1拡大部25b、第2拡大部25cとされている。第1拡大部25bと第2拡大部25cとの間が液位検出部25aである。従って、第1拡大部25b及び第2拡大部25cでは、液位検出部25aに比べて対向電極21との間隔が狭くなる。
【0013】
ここで、第1拡大部25bは静電容量式液位検出センサ10が設置されたタンクの満付近に相当する位置に設けられ、第2拡大部25cは静電容量式液位検出センサ10が設置されたタンクの空付近に相当する位置に設けられる。このように、本形態では、満付近及び空付近の検出電極25の直径を大きくして対向電極21との間隙を狭くした。望ましくは、第1拡大部25b、第2拡大部25cの直径が液位検出部25aの直径に対して1.2倍以上である。これにより、満付近及び空付近における静電容量の検出感度を35%以上向上させることができる。
【0014】
具体的な例としては次の通りである。電極部における静電容量Cは、検出電極の半径をa(m)、対向電極の内側の半径をb(m)、軸線方向の長さをL(m)とすると、次の式により求めることができる。
C=(2πεL)/(ln(b/a))
【0015】
ここでlnは自然対数、εは誘電率である。
2πεLを定数A、b=2aとすると、
C=A/ln(2a/a)=1.45A
となる。これに対して検出電極の半径を1.2倍である1.2aにすると、
C=A/ln(2a/1.2a)=1.96A
となり、Cが35%大きくなってその分検出感度が向上する。同様に検出電極の半径を1.5倍にすれば139%検出感度が向上する。
なお、液位検出部25aを含めた全ての部位で検出電極の半径を大きくすれば、当該全ての部位で検出感度が向上するように思えるが、これにより間隙が小さくなってしまい、実際には液が検出電極と対向電極との間に入り難くなり、誤検出の可能性が高まってしまう。
【0016】
また、本形態では対向電極21のうち、検出電極25の第一拡大部25bに対向する位置に壁面を貫通する孔21aが設けられている。これは空気が抜ける孔として機能し、これにより検出電極25と対向電極21との間の間隙に液が入りやすくなり誤検出の発生を抑制することができる。
【0017】
対向電極21に設けられ、その壁面を貫通する孔は、他の部位にも設けられてもよい。具体的には対向電極21のうち、検出電極25の第二拡大部25cに対向する位置に少なくとも1つの孔を設けることができる。これによれば、狭くされた対向電極21と検出電極25の第二拡大部25bとの間隙に液を速やかに導入することができる。
【0018】
さらに、本形態では検出電極25の第二拡大部25cと対向電極21との間隙の一部に樹脂30が充填されている。これにより検出電極25と対向電極21との相対位置が保持されて間隙の大きさが安定し、検出精度の向上が図られる。
【0019】
このように静電容量式液位検出センサ10によれば、満付近、空付近で検出感度が高められていることから検出精度が向上し、1つの静電容量式液位検出センサで満検出、空検出、及び、その間の液位検出を精度よく行うことができる。
【0020】
本形態では拡大部を第一拡大部25b、及び第二拡大部25cの2か所に設けたが、いずれか一方であってもよい。静電容量式液位検出センサの使用状況に応じて、いずれかの拡大部のみが具備されたものを用いるか、両方の拡大部が具備されたものを用いるかを適宜使い分けることができる。
【0021】
2.第2形態
図2には第2形態の静電容量式液位検出センサ50を説明する図を示した。図2図1(b)と同じ視点による図である。
静電容量式液位検出センサ50では、第一拡大部51b、第二拡大部51cで検出電極51を二重管形状とすることで液位検出部51aに対して径を拡張して検出感度を向上させている。これによっても静電容量式液位検出センサ10と同様の効果を奏するものとなる。
本形態では第二拡大部51cで2重管となる部位は樹脂30を間隙の一部に配置することにより、当該2重管となる部位が対向電極21の内側に保持される。このときには不図示の信号線により当該2重管部分とアンプ41とが電気的に接続されている。
【0022】
3.第3形態
図3(a)~図3(c)には第3形態の静電容量式液位検出センサ60を説明する図を示した。図3(a)~図3(c)の各図は図1(b)と同じ視点による図である。
図3(a)の例では、静電容量式液位検出センサ60では検出電極61において、その軸線方向中央で径が小さく、両端に向けて径が大きくなるように傾斜(テーパ形状)とすることで液位検出部61aに対して第一拡大部61b及び第二拡大部61cの径を大きくして対向電極21との間隙を狭めている。これによっても静電容量式液位検出センサ10と同様の効果を奏するものとなる。
【0023】
図3(b)は図3(a)と同様の考え方で検出電極61がその長手方向に沿って径が徐々に変化するテーパ形状を有することで、径が大きい第二拡大部61cが形成されるが、満付近側では拡大部が設けらていない形態である。
図3(c)は図3(a)と同様の考え方で検出電極61がその長手方向に沿って径が徐々に変化するテーパ形状を有することで、径が大きい第一拡大部61bが形成されるが、空付近側では拡大部が設けらていない形態である。
静電容量式液位検出センサ60の使用状況に応じて、図3(a)~図3(b)の形態を使い分けることができる。
【符号の説明】
【0024】
10…静電容量式液位検出センサ、20…電極部、21…対向電極、25…検出電極、25a…液位検出部、25b…第一拡大部、25c…第二拡大部、30…樹脂、40…フランジ、41…アンプ、50…静電容量式液位検出センサ、51…検出電極、51a…液位検出部、51b…第一拡大部、51c…第二拡大部、60…静電容量式液位検出センサ、61a…液位検出部、61b…第一拡大部、61c…第二拡大部
図1
図2
図3