(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085087
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】記録媒体廃棄監視システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240619BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199424
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】522486461
【氏名又は名称】近畿産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000464
【氏名又は名称】弁理士法人いしい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】傍島 万記
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機密情報を記録した記録媒体の廃棄過程を証明する記録媒体廃棄監視システムを提供する。
【解決手段】機密情報を記録した記録媒体の廃棄処理を追跡監視する記録媒体廃棄監視システムであって、顧客1が排出する電子媒体や紙媒体などの記録媒体を、それを収容する媒体収容箱2に取り付けた識別タグ21の箱IDで、記録媒体の引取りから最終処分まで追跡可能にしている。これにより、機密情報を記録した記録媒体が確実に最終処分されたことを証明でき、また、案件IDや箱ID、運搬車両IDなどの識別情報の管理を管理本部5のサーバ装置が統括して行うことで、記録媒体の引取りから最終処分までをより確実かつ正確に追跡及び管理できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機密情報を記録した記録媒体の廃棄処理を監視するシステムであって、
前記記録媒体の廃棄過程を追跡可能にした記録媒体廃棄監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密情報を記録した記録媒体の廃棄を監視する記録媒体廃棄監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報漏洩を防ぐ手段として、機密情報を記録した紙媒体や電子媒体などの記録媒体をシュレッダーにより切断して、機密情報を復元不能に処理することがよく行われている。ここで、電子媒体としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)やフロッピーディスク(FD)などの磁気記録媒体、コンパクトディスク(CD)やデジタル多用途ディスク(DVD)などの光学記録媒体、ソリッドステートドライブ(SSD)やUSBメモリなどの半導体記録媒体などがある。
【0003】
例えば、大量の機密情報を取り扱う官公庁や企業、金融機関等などでは、個人情報や企業秘密等の機密漏洩対策として、機密情報を記録した記録媒体の処分を廃棄処理事業者に依頼することがよく行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機密情報を記録した記録媒体を廃棄するにあたり、記録媒体は、運搬者や廃棄処理業者の手に委ねられることになり、管理の徹底ができない状況下におかれる。そのため、情報漏洩を防ぎながら記録媒体を処理するには、媒体の回収から廃棄までの過程を証明できるようにする必要がある。
【0006】
本発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録媒体廃棄監視システムは、機密情報を記録した記録媒体の廃棄処理を監視するシステムであって、前記記録媒体の廃棄過程を追跡可能にしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の記録媒体廃棄監視システムは、機密情報を記録した記録媒体の廃棄過程を証明できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】記録媒体廃棄監視システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【
図3】搬入セクションを管理本部及び運搬車両とともに示す模式図である。
【
図4】積替セクションを管理本部及び搬入セクションとともに示す模式図である。
【
図5】保管セクションを管理本部とともに示す模式図である。
【
図6】最終処理セクションを管理本部とともに示す模式図である。
【
図7】見学セクション及び最終処理セクションを管理本部とともに示す模式図である。
【
図8】顧客への梱包材送付処理の流れを説明するための図である。
【
図9】客先IDに紐づけられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
【
図10】案件登録処理の流れを説明するための図である。
【
図11】案件IDに紐づけられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
【
図12】記録媒体の回収処理の流れを説明するための図である。
【
図13】搬入処理の流れを説明するための図である。
【
図14】積替え処理の流れを説明するための図である。
【
図15】保管処理の流れを説明するための図である。
【
図16】立会い日時予約処理の流れを説明するための図である。
【
図17】現場立会い最終処理の流れを説明するための図である。
【
図18】ウェブ立会い最終処理の流れを説明するための図である。
【
図19】各セクションで撮像した映像を案件ごとに作成する例を説明するための模式図である。
【
図20】箱IDに紐づけられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
【
図21】台車IDに紐づけられる情報の一例を示すデータテーブル図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、記録媒体廃棄監視システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。まず、
図1を参照して、本実施形態の記録媒体廃棄監視システムの概要について説明する。
【0011】
<1.記録媒体廃棄監視システムの概要>
図1に示す記録媒体廃棄監視システムは、機密情報を記録した記録媒体を排出する顧客1と、顧客1が排出する記憶媒体を収容する媒体収容箱2と、媒体収容箱2を運搬する運搬車両3と、運び込まれた媒体収容箱2内の記録媒体を廃棄する廃棄処理場4と、システム内の情報を統括して管理する管理本部5とによって構成される。そして、この記録媒体廃棄監視システムは、媒体収容箱2にIDを付与することで、媒体収容箱2内の記録媒体の追跡が可能となっている。
【0012】
また、記録媒体廃棄監視システムにおける情報管理システムは、インターネット回線網などによる外部ネットワーク100で接続されて構成される。なお、顧客1と運搬車両3と廃棄処理場4と管理本部5との間は、外部ネットワーク100として、専用回線や仮想専用回線を利用し、外部への情報漏洩を防ぐ構成とすることが好ましい。
【0013】
図3~
図7に示すように、管理本部5は、記録媒体廃棄監視システム内の情報を統括して管理する。管理本部5は、記録媒体を収容した媒体収容箱2に関する情報や顧客1に関する情報などを記憶したデータベース52を備える。このデータベース52は、管理本部5内に構築されているLAN(Local Area Network)によってサーバ装置51と接続され、外部ネットワーク100からのアクセスが遮断されるような構成となっている。即ち、サーバ装置51は、外部ネットワーク100からのアクセスによって受け取ったデータを処理し、データベース52に蓄積するASP(Application Service Provider)サーバとして機能する。また、管理本部5内のサーバ装置51は、データベース52にアクセス可能な複数のサーバ装置によって構成され、外部ネットワーク100からのアクセスに対応するサーバ装置が特定されずにランダムに選択される、クラウドコンピューティングシステムを採用するものであってもよい。
【0014】
なお、
図1では、管理本部5は廃棄処理場4の外部に位置しているが、管理本部5は廃棄処理場4内に設けられても構わない。この場合、廃棄処理場4と管理本部5との間はLANによって接続されていても構わない。また、
図1では、説明を簡単にするために、顧客1及び運搬車両3それぞれが、廃棄処理場4及び管理本部5と1対1の関係とした構成としているが、廃棄処理場4及び管理本部5と1対n(nは、1以上の整数)の関係であっても構わない。
【0015】
図1等に示すように、記録媒体を収容する媒体収容箱2それぞれにID付きの識別タグ21が貼付される。媒体収容箱2は例えば段ボール箱である。ただし、媒体収容箱2は、例えば金属製やプラスチック製の容器であっても構わない。識別タグ21は、例えばバーコードもしくは二次元コードがプリントされたラベルであるが、電子タグ(RFIDタグ)であっても構わない。なお、本実施形態で使用される電子タグはパッシブ型又はアクティブ型のいずれかであってもよい。また、識別タグ21は媒体収容箱2に印刷されていても構わない。
【0016】
本実施形態では、機密情報が記録された記録媒体の最終処理として、紙媒体と電子媒体それぞれを破砕処理する例について説明する。なお、当該最終処理は紙媒体の溶解処理などであっても構わない。本実施形態において、紙媒体を収容する媒体収容箱2と電子媒体を収容する媒体収容箱2とで箱自体の色やデザインなどを異ならせることで、内容物を識別できるようにしても構わない。また、識別タグ21の色やデザインなどを異ならせることで内容物を識別できるようにしても構わない。なお、
図1等において、便宜上、一部の媒体収容箱2において内容物(紙媒体)が図示されているが、記録媒体の回収から最終処分まで媒体収容箱2は密封される。
【0017】
図2に示すように、運搬車両3は、管理本部5との間で通信を行うために、サーバ装置51と通信を行う車両通信装置31を備えている。この車両通信装置31は、例えば無線で外部ネットワーク100に接続可能なものである。運搬車両3は、運搬者(運転者)が操作する車両端末装置32と、荷台33への媒体収容箱2の積込み作業を撮像するカメラ装置34と、GPS(登録商標)装置などの位置追跡装置35とを備えている。車両端末装置32、カメラ装置34及び位置追跡装置35それぞれは、無線又は有線で車両通信装置31と接続可能に構成されており、管理本部5のサーバ装置51と通信可能になっている。なお、車両端末装置32は運転者ごとに割り当てられる端末装置であっても構わない。
【0018】
図1に示すように、廃棄処理場4は、搬入セクション6と、積替セクション7と、保管セクション8と、最終処理セクション9と、見学セクション10とを備えている。
図3~
図7を参照して、各セクションの構成について説明する。
【0019】
図3に示すように、搬入セクション6は、廃棄処理場4への媒体収容箱2の搬入を監視するセクションであり、端末装置61とカメラ装置62と入退場管理ゲート63と重量計64とを備えている。端末装置61、カメラ装置62、入退場管理ゲート63及び重量計64それぞれは管理本部5のサーバ装置51とLAN及び外部ネットワーク100を通じて通信可能な構成となっている。
【0020】
図4に示すように、積替セクション7は、搬入セクション6に搬入された媒体収容箱2を運搬車両3から台車11へ積み替えるセクションである。積替セクション7には、サーバ装置51とLAN及び外部ネットワーク100を通じて通信可能な端末装置71及びカメラ装置72が設けられている。
【0021】
図5に示すように、保管セクション8は、台車11に積載した媒体収容箱2を保管するセクションである。保管セクション8には、サーバ装置51と接続された端末装置81及びカメラ装置82が設けられている。台車11にはIDが付与された台車識別タグ111が設けられている。最終処理セクション9のエリアには例えば座標が振られており、台車11の保管位置(ストック座標と称す)を管理可能に構成している。台車識別タグ111は、例えば電子タグ(RFIDタグ)であるが、バーコードもしくは二次元コードがプリントされたラベルであっても構わない。なお、
図5では、便宜上、台車11に積載した複数の媒体収容箱2を1つの枠で図示している。ただし、台車11に積載する媒体収容箱2は1つであっても構わない。
【0022】
図6に示すように、最終処理セクション9は、媒体収容箱2の内容物を最終処分(本実施形態では破砕処理)するセクションである。最終処理セクション9には、HDDやUSBなどの電子媒体を破砕処理する電子媒体処理場9Aと、紙媒体を破砕処理する紙媒体処理場9Bとを備えている。電子媒体処理場9Aに、サーバ装置51とLAN及び外部ネットワーク100を通じて通信可能な端末装置91A、カメラ装置92A及び処理機93Aが設けられている。紙媒体処理場9Bに、サーバ装置51とLAN及び外部ネットワーク100を通じて通信可能な端末装置91B、カメラ装置92B及び処理機93Bが設けられている。
【0023】
図7に示すように、見学セクション10は、顧客1の担当者が廃棄処分を依頼した記録媒体が処分されたかどうかを立ち会って確認できるセクションである。見学セクション10は、最終処理セクション9に隣接して設けた部屋で構成されている。見学セクション10には、見学セクション10への入退室を管理する電子錠101とカメラ装置102とが設けられている。また、
図1にも示すように、見学セクション10から最終処理セクション9への入退場を管理する電子錠91が設けられている。電子錠91、101及びカメラ装置102はサーバ装置51とLAN及び外部ネットワーク100を通じて通信可能な構成となっている。
【0024】
<2.顧客による梱包材等の送付依頼>
次に、
図8及び
図9を参照しながら、顧客1が管理本部5にアクセスして媒体収容箱2の送付を依頼する流れについて説明する。
図9は、客先IDに紐づけられる情報の一例を示す顧客情報用データテーブル図である。顧客1は、顧客端末装置(図示省略)におけるウェブブラウザ機能を利用するなどして、管理本部5のサーバ装置51へアクセスを行う。このとき、サーバ装置51に対してアクセスの許可を求めるために、ID及びパスワードなどを用いた個別認証がなされる。このとき、顧客1が初めてサーバ装置51にアクセスする場合は、管理本部5による記録媒体廃棄監視システムに登録するための入力が、顧客端末装置を通じてなされる。
【0025】
顧客1の客先情報が顧客端末装置に入力されることで、サーバ装置51にアップロードされて、客先IDが付与されるとともに顧客1の客先情報がデータベース52に記憶され、顧客1の客先情報の登録を完了する。なお、顧客1の客先情報は、例えば、顧客1の氏名又は名称や、住所又は居所や、電話番号、ファクシミリ番号、又はメールアドレスなどの連絡先情報が含まれる。
【0026】
また、サーバ装置51は、初めての顧客1に対して生成した客先ID及びパスワードを顧客1に顧客端末装置を通じて通知し、2回目からは客先ID及びパスワードを使ってサーバ装置51に対してアクセス可能に構成している。なお、当該パスワードは顧客1が顧客端末装置を通じて変更可能に構成しても構わない。
【0027】
このように、顧客1の客先情報は、初回又は情報の変更時に、顧客端末装置によりその入力を受け付けてサーバ装置51にアップロードすることで、データベース52の顧客用データテーブルに記憶される。よって、顧客1は、2回目からの利用の際には、顧客端末装置を操作して客先情報を入力する必要がない。そして、サーバ装置51と顧客端末装置との間で通信を行って、顧客1の認証がなされると、サーバ装置51は、その認証した顧客1に関する客先情報をデータベース52内から検索して読み出すことができる。
【0028】
このようにして、顧客1がサーバ装置51へのアクセスが認証されると、顧客1は、顧客端末装置を操作して、媒体収容箱2(梱包材)の送付をサーバ装置51に要求する。このとき、媒体収容箱2の送付要求個数が、顧客端末装置に入力されて、サーバ装置51に通知される。サーバ装置51は、入力された媒体収容箱2の送付要求個数を顧客端末装置から受信すると、照合した顧客1の住所に、要求個数の媒体収容箱2及び識別タグ21を送付する指示を出す。
図1及び
図8に示すように、送付請求個数に応じた空っぽの媒体収容箱2(梱包材)と識別タグ21とが、不図示の配送業者などによって、サーバ装置51が指示した送付先の顧客住所に送付される。
【0029】
また、
図9に示すように、サーバ装置51は、客先IDに紐づけて、送付要求個数に応じた識別タグ21の箱IDと梱包材請求日情報を記憶させる。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶された箱情報用データテーブルの該当箱IDに紐づけて、対応する識別タグ21を客先へ送付した日時を客先送付日情報として記憶させる。
【0030】
図20は、箱IDに紐づけられる情報の一例を示す箱情報用データテーブル図である。サーバ装置51は、顧客1への媒体収容箱2及び識別タグ21の送付が行われると、送付された識別タグ21に記録された箱IDに対応して、箱IDのステータス情報に「客先送付済」のステータスを付与する。このステータス情報は、
図9に示すように、客先IDに紐づく各箱IDのステータス情報に反映される。これにより、データベース52に記憶された顧客1ごとの客先ID情報を参照することで、顧客1の手元にある識別タグ21及び媒体収容箱2の数を把握できる。
【0031】
なお、収容対象となる紙媒体と電子媒体とで媒体収容箱2や識別タグ21のデザインや色分けなどを行う場合は、顧客1は顧客端末装置を通じて、紙媒体用と電子媒体用それぞれの媒体収容箱2の個数をサーバ装置51に送付要求するようにしても構わない。
【0032】
顧客1は、受け取った媒体収容箱2に、廃棄する紙媒体又は電子媒体ごとに収容して密閉し、識別タグ21を貼付する。密閉された媒体収容箱2内の記録媒体の種類(紙媒体又は電子媒体)が分かるように、顧客1は識別タグ21に内容物が紙媒体と電子媒体のいずれであるかを記述する(例えばチェックボックスにチェックする)。なお、媒体収容箱2や識別タグ21が電子媒体用と紙媒体用とで種類分けされているときには、顧客1は媒体収容箱2及び識別タグ21の種類に応じた記録媒体(電子媒体又は紙媒体)を媒体収容箱2に収容する。
【0033】
<3.顧客による記録媒体の引取依頼>
図10に示すように、顧客1は、廃棄する記録媒体を収容した媒体収容箱2の引き取りを要求する。顧客1は、顧客端末装置を通じて、サーバ装置51へ客先ID及びパスワードを送信する。サーバ装置51は、データベース52に記憶された客先ID及びパスワードの照合を行う。サーバ装置51へのアクセスを許可された顧客1は、顧客端末装置を通じて、引取りを希望する収容物(電子媒体又は紙媒体)ごとの媒体収容箱2の個数をアップロードする。
【0034】
サーバ装置51は、データベース52に記憶された引取カレンダーデータ及び運搬車両3の車両稼働情報用データテーブルから空き日時を確認し、引取り可能な日時の候補を顧客1の顧客端末装置に送信する。ここで、引取カレンダーデータは、搬入セクション6の使用予定状況を表すデータである。また、車両稼働情報用データテーブルは、運搬車両3の稼働予定状況を車両IDごとに表すデータである。サーバ装置51は、運搬車両3の移動時間や、運搬車両3への媒体収容箱2の積込み作業時間を予測して、引取り可能な日時の候補を設定することが好ましい。
【0035】
顧客1は、候補日時の中から引取り希望日時を選択してサーバ装置51に送信する。
図11は、案件IDに紐づけられる情報の一例を示す案件情報用データテーブル図である。
図11に示すように、サーバ装置51は、データベース52に記憶された案件情報用データテーブルに新規の案件IDを登録する。そして、サーバ装置51は、作成した案件IDに、客先ID、電子媒体と紙媒体それぞれの引取り希望箱数情報(引取予約箱数)と引取予約日情報とを紐づけて、データベース52に記憶させる。
【0036】
また、サーバ装置51は、案件IDの案件ステータス情報に「予約済」のステータスを付与する。なお、詳細は後述するが、案件IDの案件ステータス情報には、例えば、「予約済」、「引取済」、「搬入済」、「積替済」、「保管済」、「処理中」、「処理済」、「動画編集済」などのステータスが付与される。
【0037】
サーバ装置51は、案件IDの登録及び引取予約日情報の登録に合わせて、データベース52に記憶された引取カレンダーデータと、運搬車両3の車両稼働情報用データテーブルの該当車両IDとについて、引取り予約日時に対応して案件IDを紐づけて記憶させるとともに、「稼働予定」のステータスを付与する。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶された該当案件ID情報に、媒体収容箱2の運搬に使用する予定の運搬車両3の車両IDを紐づけて記憶させる(
図11参照)。
【0038】
また、サーバ装置51は、顧客1による媒体収容箱2の引取り予約操作時に、顧客1に対して立会い方法の選択を電子媒体、紙媒体の処理毎に要求する。本実施形態では、立会い方法の種類として、「現場立会い」、「ウェブ立会い」、「立合いなし」の3つが顧客1の顧客端末装置に提示される(
図11の案件IDの「立会方法」参照)。現場立会いは、顧客1の担当者が廃棄処理場4に出向いて、見学セクション10から最終処理セクション9の処理機93A、93Bによる破砕処理を確認する。ウェブ立会いは、最終処理セクション9のカメラ装置92A、92Bが撮像する処理機93A、93Bの映像を、サーバ装置51を通じて顧客1の顧客端末装置で視聴する。
【0039】
なお、「現場立会い」、「ウェブ立会い」、「立合いなし」のいずれの場合であっても動画ダウンロードで確認できるようになっている。すなわち、データベース52に保存されたカメラ装置92A、92Bが撮像する処理機93A、93Bの映像を録画して動画を案件IDに基づいて一つの動画として編集し、顧客1が最終処理の後日にサーバ装置51を通じて顧客端末装置にダウンロードする。
【0040】
顧客1は、顧客端末装置を通じて、選択した電子媒体と紙媒体ごとの立会い方法をサーバ装置51に送信する。サーバ装置51は、受け取った立会い方法情報を案件IDに紐づけてデータベース52に記憶させる(
図11参照)。なお、顧客1による立会い方法の選択操作は、案件IDの作成時から最終処理日時までの間に行われればよく、例えば、後述する最終処理日時の予約時に行っても構わない。
【0041】
<4.記録媒体の引取り>
次に、
図12を参照しながら、顧客1からの媒体収容箱2の引取りの流れについて説明する。運搬車両3の運搬者は車両端末装置32を操作して、車両通信装置31を通じてサーバ装置51にアクセスし、引取先の確認を行う。ここで、運搬者が車両端末装置32によってサーバ装置51にアクセスする際、運搬者ごとに割り振られた運搬者ID及びパスワードの入力が求められ、サーバ装置51による車両端末装置32の使用者の認証が行われるようにしても構わない。なお、車両端末装置32の使用者の認証は、ID及びパスワードの入力に限らず、例えばIDカード方式や生体認証方式、その他の認証方式であっても構わない。
【0042】
サーバ装置51は、車両通信装置31を通じて車両IDと運搬者IDを受け取ると、データベース52に記憶された案件情報用データテーブル(車両稼働情報用データテーブルでもよい)を照会し、受け取った車両IDと現在日時情報から、媒体収容箱2の引取りを行う案件IDを割り出す。サーバ装置51は、案件IDに紐づいた客先IDから客先住所(引取り場所)を読み込み、運搬車両3の位置追跡装置35から受け取った運搬車両3の位置情報と客先住所から適切な移動ルートを算出する。そして、サーバ装置51は、車両端末装置32に、案件IDと、客先住所と、案件IDから読み込んだ引取予約箱数(
図11参照)、ルート情報とを送信する。
【0043】
また、サーバ装置51は、車両端末装置32から受け取った運搬者IDを、データベース52に記憶された該当案件IDに紐づけて記憶させる(
図11参照)。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶された車両稼働情報用データテーブルの該当車両IDの該当引取り日時に対応する日時情報について「稼働中」のステータスを付与する。ここで、車両稼働情報用データテーブルの当該日時情報に運搬者IDを紐づけてデータベース52に記憶させても構わない。
【0044】
運搬車両3の運搬者は、車両端末装置32が受け取ったルート情報に沿って、運搬車両3を顧客1の客先住所まで移動させる。なお、サーバ装置51から受け取ったルート情報(誘導経路)を表示するナビゲーション機能は、車両端末装置32に設けられても構わないし、位置追跡装置35に設けられても構わないし、運搬車両3に別途設けたナビゲーション装置に設けられても構わない。また、運搬者が運搬車両3を操作するにあたり、運搬車両3の車載器(例えば位置追跡装置35)が運搬者IDを記録したIDカードを読み取ることで、運搬者の認証が行われるようにしても構わない。なお、車載器が運搬者IDを読み取る方式は、IDカード方式に限らず、例えば生体認証方式やその他の認証方式であっても構わない。
【0045】
運搬車両3が顧客1に到着すると、運搬車両3の車両IDと位置情報とが、位置追跡装置35から車両通信装置31を通じてサーバ装置51にアップロードされる。この運搬車両3の位置情報のアップロードは、例えば、運搬者が位置追跡装置35又は車両端末装置32を操作することで行う。なお、ナビゲーション機能を有する車載器、位置追跡装置35又は車両端末装置32が、サーバ装置51から受け取った客先住所情報と運搬車両3の位置情報を比較することで、運搬車両3の車両IDと位置情報とを自動でサーバ装置51にアップロードするようにしても構わない。
【0046】
サーバ装置51は、受け取った運搬車両3の車両IDと位置情報について、データベース52に記憶された案件情報用データテーブル及び客先情報用データテーブルを照会し、運搬車両3の位置情報と客先住所とを照合した結果を車両端末装置32に送信する。照合結果が適合(「到着OK」)の場合、運搬者は媒体収容箱2を運搬車両3に積み込む作業へ移行する。照合結果が不適合(「到着NG」)の場合、サーバ装置51は車両端末装置32に客先住所情報とルート情報とを送信し、運搬者は運搬車両3を顧客1の客先住所へ移動させる。
【0047】
<4-1.運搬車両への媒体収容箱の積込み>
顧客1に到着した運搬車両3の運搬者は、媒体収容箱2の運搬車両3への積込み作業を行うべく、車両端末装置32を操作して媒体収容箱2の識別タグ21を読み取り、内容物種別情報(電子媒体又は紙媒体)を車両端末装置32に入力する。なお、媒体収容箱2の積込み作業には顧客1の担当者が立ち会うことが好ましい。
【0048】
車両端末装置32は、読み取った識別タグ21の箱IDと内容物種別情報と案件IDとを車両通信装置31を通じてサーバ装置51にアップロードする。サーバ装置51は、受け取った箱IDと案件IDとについてデータベース52に記憶された箱情報用データテーブルと案件情報用データテーブルを照会する。
【0049】
サーバ装置51は、受け取った箱IDに紐づく客先IDと、案件IDに紐づく客先IDとを照合し、データベース52に記憶された当該箱IDについて、ステータス情報に「引取済」のステータスを付与し、内容物種別情報に「電子媒体」又は「紙媒体」のいずれかを登録するとともに、当該案件IDを紐づける(
図20参照)。また、当該箱IDに、車両端末装置32による識別タグ21の読込日時情報(引取日時情報)と車両ID、運搬者IDなどを紐づけてデータベース52に記憶させる(
図20参照)。
【0050】
図12に示すように、サーバ装置51は、案件情報用データテーブルの該当案件IDに紐づく引取箱実数(
図11参照)を、受け取った内容物種別情報に応じてカウントアップする。また、サーバ装置51は、該当案件IDに、受け取った箱IDを内容物種別ごとに区別して紐づける。
【0051】
なお、識別タグ21の箱IDが電子媒体用と紙媒体用とで予め振り分けられているときは、運搬者による車両端末装置32への収容記録媒体の種別の入力作業を省略できる。この場合、顧客1が識別タグ21を見て電子媒体用であるか紙媒体用であるかを判別可能なように、デザインや色などを電子媒体用、紙媒体用ごとに異ならせておくことが好ましい。これにより、顧客1による、予め電子媒体用と紙媒体用とに振り分けられた識別タグ21が貼付された媒体収容箱2への、電子媒体又は紙媒体の入れ間違いを防止できる。
【0052】
運搬者は、識別タグ21の読取りを完了した媒体収容箱2を運搬車両3の荷台33に積み込む。詳細は後述するが、この積込み作業は運搬車両3に設けたカメラ装置34によって撮影されている。
【0053】
運搬者は、車両端末装置32を使用した媒体収容箱2の識別タグ21の読取り作業と収容記録媒体の種別の入力作業、および媒体収容箱2の荷台33への積込み作業を、電子媒体と紙媒体それぞれの引取箱実数が引取予約箱数(
図11参照)に到達するまで繰り返す。サーバ装置51は、上記と同様に、車両端末装置32から箱ID、案件ID等を受け取ると、データベース52に記憶された該当案件IDについて箱IDの紐づけや引取箱実数のカウントアップなどを行い、該当箱IDについてステータスの付与、内容物種別の登録、対応案件IDの紐づけなどを行う。
【0054】
運搬者は、顧客1が引取りを希望した媒体収容箱2をすべて運搬車両3に積み込み、顧客1にすべての積み込みが確認されると、車両端末装置32を操作して積込み完了の信号を、車両通信装置31を通じてサーバ装置51に送信する。サーバ装置51は、案件情報用データテーブル(
図11参照)の該当案件IDに紐づく電子媒体と紙媒体ごとの引取予約箱数と引取箱実数とを照合する。
【0055】
サーバ装置51は、該当案件IDに紐づく引取予約箱数と引取箱実数とが電子媒体、紙媒体それぞれで一致していると、車両端末装置32に照合適合の信号を送信する(
図12の「箱ID読取OK」)。当該引取予約箱数と引取箱実数と異なるとき、サーバ装置51は車両端末装置32に運搬者による顧客1への確認を促す信号を送る(「アラート」)。アラートを確認した運搬者は、顧客1に、引き取る媒体収容箱2の個数と記録媒体種別に間違いがないかを確認する。
【0056】
例えば、媒体収容箱2の積込みの漏れがあったときには、運搬者は、車両端末装置32を使用した媒体収容箱2の識別タグ21の読取り作業と収容記録媒体の種別の入力作業、および媒体収容箱2の荷台33への積込み作業を行う。サーバ装置51は、該当案件IDに紐づく予約引取個数と引取実数とを照合する。
【0057】
運搬者は、顧客1に最終確認を行い、車両端末装置32を操作して、最終確認完了の信号をサーバ装置51に送信する(「客先確認OK」)。このとき、例えば、顧客1の操作によって積み込み完了がサーバ装置51に送信されるものとしてもかまわない。最終確認完了の信号を受け取ったサーバ装置51は、案件情報用データテーブル(
図11参照)の該当する案件IDに「引取済」のステータスを付与する。そして、サーバ装置51は、車両端末装置32に廃棄処理場4へ向かう指示信号を送信する(「リターン指示」)。なお、媒体収容箱2の引取実数が予約引取個数と異なる場合であっても、車両端末装置32からの最終確認完了の信号をサーバ装置51が受け取ることで、該当案件IDの媒体収容箱2の積込み作業が完了したものとしても構わない。
【0058】
この積込み作業にともなって、上述のように、箱情報用データテーブル(
図20参照)の対応する箱IDのステータス情報に「引取済」のステータスが付与される。このステータスの付与は、顧客情報用データテーブル(
図9参照)の対応する客先IDに紐づく箱IDごとのステータス情報に反映される。これにより、顧客情報用データテーブルを参照することで、顧客1に送付した識別タグ21及び媒体収容箱2のうち使用されたものを把握できるとともに、媒体収容箱2及び顧客1の手元に残っている識別タグ21及び媒体収容箱2の数を把握できる。
【0059】
車両端末装置32でリターン指示を確認した運搬者は、運搬車両3を廃棄処理場4へ移動させる。このとき、サーバ装置51は廃棄処理場4へのルート情報を作成して運搬車両3に送信しても構わない。また、サーバ装置51は、位置追跡装置35からの位置情報信号によって運搬車両3の移動を追跡し、その移動ルート情報を案件IDに紐づけてデータベース52に記憶させるようにしても構わない。これにより、顧客1から引き取った媒体収容箱2の移動ルートや運搬状況を把握でき、媒体収容箱2内の記録媒体の移動及び追跡をより正確に行える。また、サーバ装置51は、複数の運搬車両3について各運搬車両3の位置情報を監視するようにすれば、移動中の運搬車両3や待機中の運搬車両3の位置など、各運搬車両3の状況を正確に把握できるので、運搬車両3の効率的な管理・運用を実現できる。
【0060】
<4-2.運搬車両への媒体収容箱の積込み作業の録画>
さて、運搬者による運搬車両3への媒体収容箱2の積込み作業は、運搬車両3に設けたカメラ装置34にて撮像される。カメラ装置34が取得した映像は、車両通信装置31を通じてサーバ装置51にアップロードされる。サーバ装置51は、カメラ装置34が取得した映像をデータベース52に記憶させる(
図19の車両動画データ34x参照)。
【0061】
例えば、カメラ装置34は、運搬車両3のキースイッチがオンになっているときは常時起動し、取得映像をサーバ装置51に逐次送信する。この場合、サーバ装置51は、カメラ装置34が撮像した車両動画データ34xをデータベース52に一定期間保存する。これにより、運搬車両3に媒体収容箱2を積載するときや、運搬車両3に積載した媒体収容箱2に対して、媒体収容箱2を開封するなどの不正行為が行われていないことをカメラ装置34の車両動画データ34xから確認できる。
【0062】
詳細は後述するが、カメラ装置34が撮像した車両動画データ34xのうち、媒体収容箱2の引取作業を撮影した動画データ部分34yを案件ごとに切り取って編集する。ここで、案件ごとの引取作業の開始日時は、例えば、サーバ装置51が車両端末装置32から最初の識別タグ21の読取情報を受信した時刻で特定できる。また、案件ごとの引取り作業の完了日時は、サーバ装置51が車両端末装置32から最終確認完了の信号を受け取った時刻で特定できる。そして、サーバ装置51は、案件IDごとに、媒体収容箱2の引取開始日時情報と引取完了日時情報とを紐づけてデータベース52に記憶させる(
図11参照)。
【0063】
なお、データベース52に記憶される、案件ごとの引取開始日時情報と引取完了日時情報は、上記の時刻情報に限定されるものではない。これらの引取開始日時情報と引取完了日時情報は、切り取る動画データ部分34yの開始位置と終了位置とに対応するものであるから、動画データ部分34yに運搬車両3への最初の媒体収容箱2の積込み動作から最後の媒体収容箱2の積込み動作が含まれるように指定されるものであればよい。例えば、引取開始日時情報と引取完了日時情報の指定は、運搬者が車両端末装置32を操作することで行っても構わないし、サーバ装置51が車両端末装置32や位置追跡装置35からの各種信号に基づいて行っても構わない。
【0064】
また、カメラ装置34による映像取得は、媒体収容箱2の引取作業時に対応して行うようにしても構わない。そして、引取作業の引取開始日時(撮影開始日時)と引取終了日時(撮影終了日時)の記録は、例えば運搬者が車両端末装置32を操作することで行われるようにしても構わない。この場合、運搬者がカメラ装置34の撮影開始操作を行っていないときには車両端末装置32が識別タグ21の読取りを行えないようにしておけば、引取作業の撮像開始の失念を防止できる。また、カメラ装置34の撮像終了操作は、例えば、車両端末装置32による最終確認完了の信号の送信前には行えないようにすれば、引取作業の途中で録画が途切れることを防止できる。
【0065】
また、カメラ装置34による引取作業の撮像開始日時と撮像終了日時の記録は、サーバ装置51からの指示で行われるようにしても構わない。例えば、サーバ装置51は、運搬車両3が顧客1に到着した後、車両端末装置32によって最初の媒体収容箱2の識別タグ21が読み込まれたときに、カメラ装置34を起動させるようにしても構わない。また、サーバ装置51は、車両端末装置32から最終確認完了の信号を受け取ったときに、カメラ装置34を停止させるようにしても構わない。これにより、運搬者による引取作業の録画の失念を防止できる。
【0066】
<5.媒体収容箱の搬入>
顧客1から引き取った媒体収容箱2を積載した運搬車両3は廃棄処理場4の搬入セクション6に入場する。
図3及び
図13に示すように、運搬車両3は、搬入セクション6の入退場管理ゲート63に到着すると、車両通信装置31を通じて入退場管理ゲート63に設けた通信装置に車両IDを送信する。車両IDを受信した入退場管理ゲート63は、車両IDをサーバ装置51に送信する。このとき、入退場管理ゲート63のゲートは閉じている。例えば、車両端末装置32が、入退場管理ゲート63からの車両ID要求信号を、車両通信装置31を通じて無線で受信することで、車両IDを入退場管理ゲート63に送信し、入退場管理ゲート63が受信した車両IDをサーバ装置51にアップロードする。
【0067】
<5-1.入退場管理ゲートの通過及び録画>
サーバ装置51は、受け取った車両IDについて、データベース52に記憶された示す案件情報用データテーブル(
図11)を照会する。照会結果が不適合である(受け取った車両IDが紐づけられた案件IDに、引取箱に関する情報や引取・運搬に関する情報が紐づいていない)とき、サーバ装置51は入退場管理ゲート63に「入場不可」の信号を送信する(「開門不可」)。照会結果が適合であるとき、サーバ装置51は入退場管理ゲート63に「入場許可」の信号を送信する(開門指示)。開門指示を受けた入退場管理ゲート63はゲートを開放する。運搬者は運搬車両3を操縦して入退場管理ゲート63を通過して搬入セクション6に入場させ、重量計64へ移動させる。なお、サーバ装置51の判定結果を車両端末装置32に送信したり、端末装置61に表示させたりしても構わない。
【0068】
運搬車両3が入退場管理ゲート63を通過する様子は、搬入セクション6に設けたカメラ装置62にて撮像される。そして、サーバ装置51は、カメラ装置62が取得した映像をデータベース52に記憶させる。例えば、カメラ装置62は常時起動しており、取得映像をサーバ装置51に常時送信する。サーバ装置51は、カメラ装置62の取得映像をデータベース52に一定期間保存する(
図19のゲート動画データ62x参照)。なお、カメラ装置62による撮像は、運搬車両3が入退場管理ゲート63を通過するときだけ行われるようにしても構わない。
【0069】
詳細は後述するが、カメラ装置62が撮像したゲート動画データ62xのうち、運搬車両3が入退場管理ゲート63を通過する様子を撮影した動画データ部分62yが案件ごとに切り取って編集される。サーバ装置51は、データベース52に記憶された該当案件IDに対して、運搬車両3のゲート通過の開始日時情報と通過完了日時情報とを紐づけて記憶させる。例えば、ゲート通過開始日時情報は、サーバ装置51が当該案件IDに関連付けされた車両IDを入退場管理ゲート63から受け取った時刻とすることができる。また、ゲート通過完了日時情報は、運搬車両3がカメラ装置62の撮像範囲から消えた時刻とすることができる。そして、サーバ装置51は、案件IDごとに、運搬車両3のゲート通過開始日時情報とゲート通過完了日時情報とを紐づけてデータベース52に記憶させる(
図11参照)。
【0070】
なお、データベース52に記憶される、案件ごとのゲート通過開始日時情報、ゲート通過完了日時情報は、上記の時刻情報に限定されるものではない。ゲート通過の開始日時情報と完了日時情報は、切り取る動画データ部分62yの開始位置と終了位置とに対応するものであるから、動画データ部分62yに運搬車両3の入退場管理ゲート63の通過の様子が含まれるように指定されるものであれば構わない。
【0071】
例えば、案件IDごとの運搬車両3のゲート通過開始日時は、例えば、運搬車両3がカメラ装置62に映り込んだ時刻としても構わない。また、運搬車両3のゲート通過完了日時は、運搬車両3の位置追跡装置35からの車両位置情報を監視することよって特定できる、運搬車両3が入退場管理ゲート63を完全に通り過ぎた時刻としても構わない。
【0072】
そして、サーバ装置51は、案件IDごとに、運搬車両3のゲート通過開始日時情報と通過完了日時情報とを紐づけてデータベース52に記憶させる。なお、運搬車両3の入退場管理ゲート63の通過を証明するデータは、日時を特定できる画像データであっても構わない。
【0073】
また、入退場管理ゲート63で運搬車両3を確認する方法は、上記のものに限定されず、どのような方法であっても構わない。例えば車両IDと運搬車両3のナンバープレート情報とを紐づけておき、カメラ装置62が撮像した映像に映るナンバープレートをサーバ装置51が画像処理して認識することで、車両IDを読み取る方式であっても構わない。このとき、例えば、カメラ装置62が撮像した映像に運搬車両3が映り出したときをゲート通過開始日時とし、映像から運搬車両3が消えたときをゲート通過完了日時としても構わない。また、車両IDを読み取る方式は、運搬車両3に二次元コードなどの車両ID識別ラベルを貼り付けておき、カメラ装置62が撮像した映像より車両ID識別ラベルを非接触で読み取って車両IDを認識する方式であっても構わない。
【0074】
また、サーバ装置51は、運搬車両3が廃棄処理場4の入退場管理ゲート63を通過すると、データベース52に記憶された引取カレンダーデータに対して当該引取り日時に対応する日時情報に「搬入」のステータスを付与する。また、サーバ装置51は、データベース52に記憶された車両稼働情報用データテーブルの該当車両IDの該当引取り日時に対応する日時情報に「搬入」のステータスを付与する。
【0075】
<5-2.引取り記録媒体の重量計測>
搬入セクション6に入場した運搬車両3は重量計64に向かう。そして、運搬車両3に積まれた媒体収容箱2の重量を重量計64で計測する。具体的には、重量計64で、媒体収容箱2を積んだ状態の運搬車両3の重量(荷卸し前重量)と、媒体収容箱2を荷卸した後の運搬車両3の重量(荷卸し後重量)とを計測し、荷卸し前重量から荷卸し後重量を差し引くことで、案件毎の媒体収容箱2の総重量を算出する。このとき、電子媒体を収容した媒体収容箱2と、紙媒体を収容した媒体収容箱2とに分けて、サーバ装置51が重量計64で計測した荷卸し前重量と荷卸し後重量とを受け、それぞれの総重量(引取重量)を算出する。なお、搬入セクション6の端末装置61が重量計64の計測値を受け、媒体収容箱2の重量を算出するものとしてもよい。
【0076】
<6.媒体収容箱の積替え>
次に、
図4及び
図14を参照しながら、運搬車両3から台車11への媒体収容箱2の積替え作業の流れについて説明する。積替セクション7の作業者は、端末装置71を操作して、積替え作業の開始日時情報をサーバ装置51にアップロードする。また、搬入セクション6の重量計64で計測した、媒体収容箱2を積んだ状態の運搬車両3の重量情報(荷卸し前重量情報)と車両IDと計測日時情報がサーバ装置51にアップロードされる。なお、サーバ装置51は、この案件IDに端末装置71を操作した作業者IDを紐づけてデータベース52に記憶させても構わない。
【0077】
<6-1.台車への媒体収容箱の積載>
まず、端末装置71によって、台車11に取り付けた台車識別タグ111の台車IDを読み取り(「台車ID読取」)、読み取った台車IDをサーバ装置51にアップロードする。次に、端末装置71によって、1個目の媒体収容箱2の識別タグ21の箱IDを読み取り(「箱ID読取」)、データベース52にアップロードする。
【0078】
サーバ装置51は、データベース52に記憶された案件情報用データテーブル(
図11参照)を照会して、受け取った箱IDに関連する案件IDと内容物種別(電子媒体又は紙媒体)を特定する(「箱IDで案件照合」処理)。そして、サーバ装置51は、特定した案件ID(以下、処理中の案件IDという)に、端末装置71から受け取った台車IDと内容物種別(電子媒体又は紙媒体)、および重量計64から受け取った運搬車両3の重量情報(荷卸し前重量情報)と計測日時情報と内容物種別(電子媒体又は紙媒体)を関連付けてデータベース52に記憶させる。また、サーバ装置51は、処理中の案件IDに対して、当該積替え作業に関連して最初に台車IDを受け取った時刻又は最初の箱IDを受け取った時刻を積替開始日時情報として紐づけて記憶させる。
【0079】
図21は、台車IDに紐づけられる情報の一例を示す台車情報用データテーブル図である。サーバ装置51は、受け取った台車IDに、受け取った箱ID(積載箱ID)と処理中案件IDとを紐づける。また、サーバ装置51は、台車IDを受け取った時刻又は最初の箱IDを受け取った時刻を箱積載開始日時情報として、当該台車IDに紐づけて記憶させる。さらに、サーバ装置51は、処理中の案件IDのデータテーブル(
図11参照)又は受け取った箱IDのデータテーブル(
図20参照)から、当該台車IDに関連付けた箱IDに関する媒体収容箱2の内容物種別情報(電子媒体又は紙媒体)に対応して、当該台車IDに内容物種別情報を付与する。また、案件IDと台車IDそれぞれに、端末装置71を操作する作業者の作業者IDを紐づける。また、サーバ装置51は、当該台車IDの台車ステータス情報に「箱積載中」のステータスを付与する。
【0080】
サーバ装置51は、箱IDに紐づく内容物種別(電子媒体又は紙媒体)に対応した「台車積載済箱実数をカウントアップ」する。そして、サーバ装置51は、その内容物種別について、処理中の案件IDに関する引取済実数(
図11を参照)を確認し、処理中の案件ID及び関連したその内容物種別の媒体収容箱2が運搬車両3に残っているか否かを判断すべく、カウントアップ値と引取済実数とを比較する(「引取済実数確認」処理)。カウントアップ値と引取済実数とが一致しない場合(NO)、サーバ装置51は、1台の台車11に積載した台車積載可能実数をカウントアップする。
【0081】
そして、サーバ装置51は、台車積載可能実数カウントアップ値が台車11における媒体収容箱2の積載可能箱数と一致するかを確認する(「台車の積載数確認」処理)。当該カウントアップ値と積載可能箱数とが一致しない場合(NO)、サーバ装置51は端末装置71に対して次の媒体収容箱2の識別タグ21を読み取る指示信号を送信する。また、サーバ装置51は、端末装置71から受け取った箱ID(
図20参照)に、その支持信号を送信した時刻又は端末装置71から箱IDを受け取った時刻情報を積替日時情報に登録するとともに、「積替済」のステータスを付与し、さらに処理中の台車IDと作業者IDとを紐づける。作業者は1個目の媒体収容箱2を運搬車両3から台車11に積み替える。
【0082】
端末装置71によって、次の媒体収容箱2の識別タグ21の箱IDを読み取り、サーバ装置51にアップロードする。サーバ装置51は、今回受け取った箱IDと、処理中の案件IDに紐づいて記憶された箱IDとの照合と、前回受け取った箱IDに関連する内容物種別(以下、処理中の内容物種別という)と今回受け取った箱IDに関連する内容物種別と一致するかの確認を実施する(「箱IDで案件照会」処理)。今回受け取った箱IDが処理中の案件IDに関連するものでない場合(案件NG)、サーバ装置51は端末装置71に正しい箱の読み直し指示の信号を送信する(「正しい箱を読み直し」)。また、今回受け取った箱IDに関連する内容物種別と処理中の内容物種別とが不一致の場合(種別NG)も、サーバ装置51は端末装置71に正しい箱の読み直し指示の信号を送信する。
【0083】
今回受け取った箱IDが処理中の案件IDに関連し、かつ処理中の内容物種別と一致する場合、サーバ装置51は、当該箱IDを処理中の案件ID(
図11参照)及び台車ID(
図21参照)に紐づける。そして、サーバ装置51は、「台車積載済箱実数をカウントアップ」する。サーバ装置51は、上記と同様に、当該カウントアップ値と引取済実数(処理中の内容物種別のもの)とを比較する(「引取済実数確認」処理)。一致しない場合は、サーバ装置51は、台車積載可能実数をカウントアップし、そのカウントアップ値と台車の積載可能箱数とを比較する(「台車の積載数確認」処理)。一致しない場合は、サーバ装置51は端末装置71に対して次の媒体収容箱2の識別タグ21を読み取る指示信号を送信する。また、サーバ装置51は、最初の箱IDの編集処理と同様に、処理中の箱ID(
図20参照)に、積替日時情報に登録するとともに、「積替済」のステータスを付与し、処理中の台車IDと作業者IDとを紐づける。作業者は今回の媒体収容箱2を運搬車両3から台車11に積み替える。
【0084】
このように、積み下ろした箱数が処理中の内容物種別の引取箱実数より少ない場合は、そのまま台車11に積載する。こうすることで、同じ案件で同じ内容物種別の媒体収容箱2に対して、同じ台車11にまとめて積載できる。そして、台車11に積載可能な箱数より少ない場合は、そのまま同じ台車11に積載できる。
【0085】
作業者は、サーバ装置51が処理中の案件ID及び内容物種別について「引取済実数確認」処理で「種別毎の引取箱数と台車積載済箱実数(カウントアップ値)」とが一致したと判定するまで、処理中の案件ID及び内容物種別に関連する媒体収容箱2を運搬車両3から台車11に積み替える作業を繰り返す。また、サーバ装置51は、対応する箱IDの編集を上記と同様にして繰り返す。
【0086】
なお、サーバ装置51は、「引取済実数確認」処理で台車積載済箱実数カウントアップ値が処理中の内容物種別の引取箱実数に到達する前に、「台車の積載数確認」処理で台車積載可能実数カウントアップ値が台車11の積載可能箱数に到達したとき(YES)、端末装置71に対して「台車交換」の指示信号を送信する。また、サーバ装置51は、その支持信号を送信したときの時刻情報を台車IDのテーブル(
図21)の箱積載完了日時情報として登録するとともに、その台車IDの台車ステータス情報に「箱積載済」を付与する。
【0087】
作業者は、台車11を次の台車11に交換し、端末装置71によって次の台車11の台車IDを読み取ってサーバ装置51にアップロードする。サーバ装置51は、受け取った台車IDを処理中の案件IDに紐づけてデータベース52に記憶させる。ここで、運搬車両3には、処理中の内容物種別に対応した媒体収容箱2が残っているので、交換した台車11には、引き続き、処理中の内容物種別に対応した媒体収容箱2が積載される。したがって、交換した台車11の台車IDには、前回受け取った台車IDに紐づけて登録した内容物種別情報と同じ内容物種別情報が紐づけて記憶される。サーバ装置51は、当該台車IDを処理中の案件IDに紐づける。
【0088】
サーバ装置51は、処理中の案件ID及び内容物種別について「引取済実数確認」処理で「種別毎の引取箱数と台車積載済箱実数」とが一致したと判定すると、その時刻情報を処理中の台車IDの箱積載完了日時情報(
図21参照)に関連付けて記憶させる。また、サーバ装置51は、搬入セクション6の重量計64に運搬車両3の重量計測の指示を送信する。計測指示の信号を受け取った重量計64は、計測結果(荷卸し後重量情報)と車両IDと重量計測日時情報とをサーバ装置51にアップロードする。サーバ装置51は、受け取った荷卸し後重量情報及び重量計測日時情報と処理中の案件ID及び内容物種別とを関連付けてデータベース52に記憶させる(
図11参照)。サーバ装置51は、処理中の案件ID及び内容物種別に関連付けられた荷卸し前重量情報の値から荷卸し後重量情報の値を差し引いて、台車11に積み替えた媒体収容箱2の総重量(引取重量)を算出する(「重量計算」)。そして、サーバ装置51は、算出した引取重量情報を処理中の案件ID及び内容物種別に関連付けてデータベース52に記憶させる。
【0089】
なお、媒体収容箱2の積替え作業は、運搬車両3を重量計64上から移動させてから行っても構わないし、運搬車両3を重量計64上に積載した状態で行っても構わない。そして、荷卸し後重量を計測するにあたり、前者の場合は運搬車両3が重量計64上に移動されて計測が行われ、後者の場合は運搬車両3を移動させることなく荷卸し後重量を計測できる。
【0090】
サーバ装置51は、データベース52の案件情報用データテーブルを照会して、処理中の案件IDについて運搬車両3から台車11への積替えを行っていない媒体収容箱2の有無を確認する(「種別確認」)。具体的には、処理中の案件IDに、積替え未処理の次の内容物種別(紙媒体又は電子媒体)を収容した媒体収容箱2が関連付けられているか否かを確認する。
【0091】
次の内容物種別があるとき(次の種別あり)、サーバ装置51は端末装置71に対して「台車交換」の指示信号を送信する。作業者は、台車11を次の台車11に交換し、端末装置71によって次の台車11の台車IDを読み取ってサーバ装置51にアップロードする。その後、処理中の案件IDについて、次の内容物種別を収容した媒体収容箱2に対する運搬車両3から台車11への積替え作業と、データベース52に記憶された対応する案件ID、箱ID、台車IDの編集処理とが上記と同様の流れで行われる。なお、当該次の内容物種別を収容した媒体収容箱2の積替え作業において、運搬車両3の荷卸し前重量情報の値として、処理中の案件IDに関連付けて記憶された他方の内容物種別の荷卸し後重量情報の値を使用しても構わない。
【0092】
サーバ装置51は、処理中の案件IDについて次の内容物種別がないと判定したとき(次の種別なし)、その時刻情報を箱積載完了日時情報(
図21参照)として処理中の案件IDに関連付けてデータベース52に記憶させるとともに、その案件IDの案件ステータス情報に「積替済」のステータスを付与する(「読取完了」)。また、サーバ装置51は、端末装置71に次の案件の読取指示を送信する。
【0093】
例えば、運搬車両3が複数の顧客1から媒体収容箱2を引き取ってきた場合など、運搬車両3に複数の案件に関する媒体収容箱2が積載されていることがある。このとき、1つの案件について媒体収容箱2の台車11への積替えが完了した後、次の案件の媒体収容箱2についての積替え作業が行われる。
【0094】
<6-2.媒体収容箱の積替え作業の録画>
さて、運搬車両3から台車11への媒体収容箱2の積替え作業は、積替セクション7に設けたカメラ装置72にて撮像される。カメラ装置72が取得した映像はサーバ装置51にアップロードされる。サーバ装置51は、カメラ装置72が取得した映像をデータベース52に記憶させる(
図19の積替え動画データ参照)。
【0095】
例えば、カメラ装置72による撮像は防犯上の観点から常時行うものとする。そして、サーバ装置51は、カメラ装置72の取得映像をデータベース52に一定期間保存する(
図19の積替セクション動画データ72x参照)。詳細は後述するが、カメラ装置72が撮像した積替セクション動画データ72xのうち、媒体収容箱2の積替え作業を撮影した動画データ部分72yを案件ごとに切り取って編集する。ここで、案件ごとの積替え作業の開始日時と完了日時は、
図11も参照して説明した上記積替開始日時情報と積替完了日時情報の時刻情報で特定できる。なお、カメラ装置72による撮像は、積替作業が行われている間だけ行われるようにしても構わない。
【0096】
<7.引き取った記録媒体の一時保管>
次に、
図5及び
図15を参照しながら、台車11に積み替えた媒体収容箱2を保管セクション8に保管する流れについて説明する。本実施形態では、媒体収容箱2を台車11に積載した状態で保管セクション8に保管する。
【0097】
<7-1.台車の移動>
積替セクション7で処理中の案件IDについて媒体収容箱2の台車11への積替えが完了すると、積替セクション7の端末装置71は、最初の台車11の台車IDをサーバ装置51に送信する(「最初の台車を移動通知」)。台車IDを受け取ったサーバ装置51は、データベース52に記憶された案件情報用データテーブルの台車ID情報(
図11参照)を参照して、保管処理を開始する案件IDを特定する(「台車IDから案件照合」)。
【0098】
案件IDを特定したサーバ装置51は、保管セクション8において当該案件IDに関連する台車11を保管する場所(ストック座標)を決定し、そのストック座標と案件IDと台車IDとを保管セクション8の端末装置81に送信する。ストック座標等を受け取った端末装置81は、その受信時刻を保管作業の開始日時情報としてサーバ装置51に送信する(「台車受入確認」)。保管作業の開始日時情報を受け取ったサーバ装置51は、保管作業中の案件IDにストック座標とともに当該開始日時情報を紐づけてデータベース52に記憶させる(
図11参照)。なお、ストック座標については、案件IDではなく台車IDに紐づけるものとしてもかまわない(
図21参照)。また、当該台車IDについて、例えば積替セクション7の端末装置71からサーバ装置51が当該台車IDを受け取った時刻情報が移動開始日時情報として紐づけられる。
【0099】
作業者は、保管作業中の案件IDに関連する最初の台車11を積替セクション7から保管セクション8へ移動させる(「台車移動」)。ここで、台車11を移動させる作業者の作業者IDを案件ID又は台車IDに関連付けてデータベース52に記憶させても構わない(
図11、
図21参照)。保管セクション8の所定のストック座標に移動された台車11の台車識別タグ111を端末装置81によって読み取り、読み取った台車IDをサーバ装置51にアップロードする(「台車ストック」)。
【0100】
台車IDを受け取ったサーバ装置51は、その台車IDのステータス情報に「保管済」のステータスを付与するとともにその受信時刻情報を移動完了日時情報として紐づけて記憶し、その台車IDの台車11が保管セクション8に保管されたと判断する(「ストック完了判断」)。なお、台車IDのステータス情報に、例えば使用状況に応じて、「空き」、「箱積載中」、「箱積載済」、「保管済」、「最終処理中」のステータスが付与される(
図21参照)。
【0101】
また、サーバ装置51は、保管セクション8に保管された台車11に積載された媒体収容箱2の箱ID情報(
図20参照)に、台車IDに紐づいた移動完了日時情報、ストック座標、作業者IDに対応して、保管日時情報、ストック座標、作業者IDを紐づける。また、サーバ装置51は、当該台車IDの箱ステータス情報に「保管済」のステータスを付与する。
【0102】
サーバ装置51は、データベース52に記憶された案件情報用データテーブル(
図11参照)と台車用データテーブル(
図21参照)とを参照して、保管作業中の案件IDに紐づく台車IDについて、ステータスが「箱積載済」のものの有無を確認する(「案件に紐づく残台車確認」)。保管作業中の案件IDに関連する残りの台車11があるとき、サーバ装置51は残りの台車IDを積替セクション7の端末装置71に送信する。端末装置71は残りの台車IDを表示し、作業者に残りの台車11の移動要求を通知する。
【0103】
作業者は、残りの台車11の台車識別タグ111を端末装置71読み取って台車IDをサーバ装置51にアップロードする(「残りの台車を移動通知」)。台車IDを受け取ったサーバ装置51は、その台車IDが保管作業中の案件IDに紐づくものであるかを照合する(「台車IDから案件照合」)。その台車IDが保管作業中の案件IDに紐づいていないとき、サーバ装置51は、端末装置71にその台車IDの台車11について台車受入不可の信号を送信する。
【0104】
サーバ装置51は、「台車IDから案件照合」処理で、端末装置71から受け取った台車IDが保管作業中の案件IDに紐づけられたものであると確認したとき、その台車IDと案件IDとストック座標とを保管セクション8の端末装置81に送信する。そして、その台車IDの台車11について、最初の台車11の保管セクション8への移動と同様にして、端末装置81での「台車受入確認」処理、作業者による保管セクション8への台車11の移動、端末装置81による「台車ストック」処理、サーバ装置51による「ストック完了判断」処理が行われる。また、サーバ装置51は、処理した台車11の台車ID情報(
図21参照)及びそれに紐づく箱ID情報(
図20参照)について、上記と同様の情報の更新を行う。
【0105】
そして、保管作業中の案件IDに関連する最後の台車11まで、サーバ装置51による「案件に紐づく残台車確認」処理から、台車11の移動などを経て、サーバ装置51による「ストック完了判断」処理までの流れが繰り返される。サーバ装置51は、「案件に紐づく残台車確認」処理で、保管作業中の案件IDに紐づく全ての台車IDのステータス情報が「保管済」になったことを確認すると(「最後の台車移動完了」)、最後の台車移動完了情報を端末装置81に送信する。その情報を受け取った端末装置81は、その受信時刻情報をサーバ装置51にアップロードする。その受信時刻情報を受け取ったサーバ装置51は、その受信時刻情報を保管完了日時情報(
図11参照)として、保管作業中の案件IDに関連付けてデータベース52に記憶させる。なお、サーバ装置51が「最後の台車移動完了」と判定した時刻を保管完了日時としても構わない。また、サーバ装置51はその案件IDの案件ステータス情報に、当該案件IDに紐づく媒体収容箱2の内容物種別に応じて、「保管済(電子)」又は「保管済(紙)」もしくはその両方のステータスを付与する。なお、案件ステータス情報の「(電子)」、「(紙)」は、引き取った内容物種別が電子媒体、紙媒体であることを表す。
【0106】
<7-2.媒体収容箱の保管作業の録画>
台車11に積載した媒体収容箱2の保管作業は、保管セクション8に設けたカメラ装置82にて撮像される。カメラ装置82が取得した映像はサーバ装置51にアップロードされる。サーバ装置51は、カメラ装置82が取得した映像をデータベース52に記憶させる(
図19の保管セクション動画データ参照)。
【0107】
例えば、カメラ装置82による撮像は、積替セクション7のカメラ装置72による撮像と同様に、防犯上の観点から常時行うものとする。そして、サーバ装置51は、カメラ装置82の取得映像をデータベース52に一定期間保存する。詳細は後述するが、保管セクション動画データ82xのうち、台車11に積載した媒体収容箱2の保管作業を撮影した動画データ部分82yを案件ごとに切り取って編集する。ここで、案件ごとの保管作業の開始日時と完了日時は、上記保管開始日時情報と保管完了日時情報の時刻情報で特定できる(
図11参照)。なお、カメラ装置82による撮像は、保管作業が行われている間だけ行われるようにしても構わない。
【0108】
<8.顧客による処理日の予約依頼>
図16に示すように、サーバ装置51は、媒体収容箱2の保管セクション8への保管作業が完了した案件について、顧客端末装置を通じて、顧客1に最終処理日の予約を要求する。処理日予約要求を受けた顧客1は、顧客端末装置を通じて、サーバ装置51へ客先ID及びパスワードを送信する。サーバ装置51は、受け取った客先IDから案件IDを特定する。
【0109】
サーバ装置51は、データベース52に記憶された電子媒体処理場9A、紙媒体処理場9Bごとの処理カレンダーデータから空き日時を確認し、最終処理を可能な日時の候補を顧客1の顧客端末装置に送信する。ここで、処理カレンダーデータは、最終処理セクション9の処理機93A、93Bの使用予定状況を表すデータである。サーバ装置51は、案件IDに関連付けされた箱IDの数(媒体収容箱2の個数)及び内容物種別に応じた最終処理に要する予想時間を算出して、最終処理を可能な日時の候補を設定することが好ましい。
【0110】
電子媒体と紙媒体の両方の記録媒体を引き取った案件については、電子媒体を収容した媒体収容箱2の最終処理候補日時と、紙媒体を収容した複数の媒体収容箱2の最終処理候補日の両方が顧客端末装置を通じて顧客1に送付される。ここで、電子媒体と紙媒体とについての最終処理に関連する各処理は、電子媒体(電子媒体処理場9A)と紙媒体(紙媒体処理場9B)とで別々に実施される。そして、それらの最終処理は、同一案件に関するものであっても別々の日時に実施されることもある。
【0111】
顧客1は、候補日時の中から最終処理の希望日時を選択してサーバ装置51に送信する。サーバ装置51は、案件IDに最終処理予定日情報(処理日)を紐づけてデータベース52の案件情報用データテーブル(
図11参照)に記憶する。また、サーバ装置51は、これに合わせて、データベース52に記憶された処理カレンダーデータに対して、最終処理予約日時に対応して「稼働予定」のステータスを付与する。また、
図11には例示していないが、案件IDの案件ステータス情報に「処理予約済」のステータスを付与しても構わない。
【0112】
なお、顧客1に最終処理日の予約を要求するタイミングは、引き取った媒体収容箱2を保管セクション8に保管した後に限らず、媒体収容箱2の保管セクション8への保管前であっても構わない。ただし、引き取る媒体収容箱2の個数及び内容物種別が確定した後、すなわち、本実施形態では顧客1での運搬車両3への媒体収容箱2の積込み作業が完了した後であることが好ましい。
【0113】
また、案件IDには、顧客1による媒体収容箱2の引取り予約操作時に顧客1が選択した立会い方法情報(「現場立会い」、「ウェブ立会い」、「立会いなし」のいずれか)が紐づいてデータベース52に記憶されている(
図11参照)。サーバ装置51は、案件IDのうち、各内容物種別(電子媒体又は紙媒体)についての立会い方法情報が「立会いなし」を有する案件ID(顧客1により立会い希望がない内容物種別処理が紐づいている案件の案件ID)については、サーバ装置51が電子媒体処理場9A又は紙媒体処理場9Bの処理カレンダーデータの空き日時を参照して最終処理予定日を決定し、その最終処理予定日情報を案件IDに紐づけてデータベース52に記憶させる。このとき、サーバ装置51は、顧客端末装置を通じて、顧客1に案件IDと最終処理予定日を通知することが好ましい。
【0114】
<9.記録媒体の最終処理>
次に、
図6、
図7、
図17及び
図18を参照しながら、顧客1から引き取った媒体収容箱2内の記録媒体を最終処理する流れについて説明する。本実施形態では、最終処理を実施する際に、顧客1の担当者が廃棄処理場4で立ち会う現場立会と、外部ネットワーク100及び顧客端末を通じたオンラインで立ち会うウェブ立会とについて説明する。
【0115】
<9-1.現場立会での最終処理>
図1及び
図7に示すように、廃棄処理場4は最終処理セクション9に隣接した見学セクション10を備えている。見学セクション10は、顧客1が廃棄処分を依頼した記録媒体が処分される様子を顧客1の担当者が確認できるセクションである。本実施形態では、見学セクション10から電子媒体処理場9Aと紙媒体処理場9Bの両方を見学可能に設けている。ただし、見学セクション10は、電子媒体処理場9A、紙媒体処理場9Bごとに設けられていても構わない。
【0116】
見学セクション10への入退室は出入口に設けた電子錠101によって管理される。また、見学セクション10への入退室を監視するカメラ装置102が設けられている。カメラ装置102はサーバ装置51に接続しており、カメラ装置102が撮像した映像はサーバ装置51にアップロードされる。サーバ装置51はカメラ装置102から受け取った映像をデータベース52に一定期間保存させるように構成している。
【0117】
処理当日に廃棄処理場4に出向いた顧客1は作業者に案内されて見学セクション10に向かう。作業者は、作業者IDが記録されたIDカードで電子錠101の認証を行って解錠する。解錠した電子錠101は作業者IDと解錠時刻情報とをサーバ装置51にアップロードする。サーバ装置51は受け取った作業者IDと解錠時刻情報とをデータベース52に記憶された電子錠管理用データテーブルに登録する。電子錠101を解錠した作業者は、最終処理に立ち会う顧客1の担当者を見学セクション10内に案内する。電子錠101は作業者と顧客1の担当者の入室後、自動で施錠する。なお、データベース52に記憶された案件IDについて、
図11では図示していないが、電子錠101の開錠時刻情報や顧客1の担当者名情報、作業者ID情報が紐づけられても構わない。
【0118】
見学セクション10に入室した作業者は、見学セクション10と最終処理セクション9との間に設けた出入口の電子錠91に対してIDカードを使って認証および解錠し、顧客1の担当者を見学セクション10に残して最終処理セクション9に入場する。解錠した電子錠91は作業者IDと解錠時刻情報とをサーバ装置51にアップロードする。サーバ装置51は受け取った作業者IDと解錠時刻情報とをデータベース52に記憶された電子錠管理用データテーブルに登録する。電子錠91は作業者が最終処理セクション9へ入場した後、自動で施錠する。なお、電子錠91、101での認証方式は、IDカード方式に限定されず、例えば生体認証方式やID及びパスワードの入力方式など、どのような方式であっても構わない。
【0119】
<9-1-1.最終処理セクションへの媒体収容箱の移動>
図17に示すように、最終処理セクション9の作業者は、処理機93A、93Bの準備が完了すると、端末装置91A、91Bを通じて作業者IDをサーバ装置51にアップロードする。サーバ装置51は、処理機93A、93Bの準備が完了したことを確認するとともに(「処理機準備完了」)、データベース52に記憶された処理カレンダーデータを照会して、現在時刻に対応する案件IDを抽出する(「カレンダー照会」)。
【0120】
媒体収容箱2の内容物である電子媒体と紙媒体とについての最終処理に関連する各処理は、電子媒体(電子媒体処理場9A)と紙媒体(紙媒体処理場9B)とで別々に実施される。そして、それらの最終処理が別々の日時に実施されることもある。まず、電子媒体の最終処理に関連する処理を主に説明する。
【0121】
電子媒体処理場9Aに対応する処理カレンダーデータから処理対象の案件IDを抽出したサーバ装置51は、案件IDと、その案件IDに関連付けされた台車ID(内容物種別情報が電子媒体のもの)と保管セクション8でのストック座標とを、電子媒体処理場9Aの端末装置91Aに送信する。端末装置91Aには、台車11に積載している媒体収容箱2の内容物種別(電子媒体)に応じた台車ID等がサーバ装置51から送信される。端末装置91Aは受け取った案件ID、台車ID、ストック座標を表示して作業者に台車11の保管セクション8から最終処理セクション9への移動作業を促す(「処理台車移動」)。
【0122】
作業者は該当する台車11を保管セクション8から最終処理セクション9の電子媒体処理場9Aへ移動させる。移動された台車11の台車識別タグ111を端末装置91Aで読み取って、台車IDをサーバ装置51にアップロードする。台車IDを受け取ったサーバ装置51は、処理対象の案件IDに関連付けされ、かつ内容物種別情報「電子媒体」が紐づいている台車IDであるか否かを確認する(「台車確認」)。
【0123】
サーバ装置51は、受け取った台車IDが処理対象の案件IDに関連づいて「電子媒体」の内容物種別情報が紐づいている台車IDに該当するときは、端末装置91Aに対して次の台車IDの読込みを指示する信号を送信する。台車IDの読込み指示を受け取った端末装置91Aは、作業者に次の台車11の台車識別タグ111の読み込み作業を促す。他方、サーバ装置51は、受け取った台車IDが例えば別案件に関連付けされた台車IDであって処理対象の案件IDに紐づき、かつ内容物種別情報が「電子媒体」の台車IDに該当しないときは、処理不可の信号を端末装置91Aに対して送信する。作業者は該当する台車11を保管セクション8へ戻す。なお、移動させる台車11が処理中の案件に関連する台車11であるか否かの確認は、保管セクション8の端末装置81を使用して、保管セクション8でも行うようにしても構わない。
【0124】
保管セクション8から最終処理セクション9へ移動させる台車11の確認フローは処理中の案件に関連するすべての台車11の移動が完了するまで繰り返して行われる。サーバ装置51は、最終処理セクション9への移動を確認した台車11の台車IDに対して、そのステータスを「保管」から「処理中」に変更する(
図21参照)。また、台車11の移動作業を行う作業者の作業者IDを、端末装置91Aを通じてサーバ装置51にアップロードし、サーバ装置51がその作業者IDを該当台車IDに紐づけてデータベース52に記憶させるようにしても構わない。
【0125】
サーバ装置51は、処理対象の案件及び内容物種別「電子媒体」に関連するすべての台車11の移動完了を確認すると、確認が完了した時刻を内容物種別「電子媒体」の最終処理の処理開始日時情報として処理中の案件IDに関連付けてデータベース52に記憶させる(「全台車準備OK、開始時刻登録」)。このとき、サーバ装置51は、最終処理セクション9へ内容物種別「電子媒体」に関連するすべての台車11を移動した案件の案件IDに対して、その案件ステータス情報について「保管済(電子)」から「処理中(電子)」に変更する(
図11参照)。また、サーバ装置51は、当該案件IDに、端末装置91Aを操作する作業者の作業者IDを、内容物種別「電子媒体」の最終処理の作業者ID情報に紐づける。
【0126】
<9-1-2.記録媒体の処理機への投入>
サーバ装置51は、端末装置91Aに対して処理開始の指示信号を送信する。処理開始指示の信号を受け取った端末装置91Aは作業者に処理開始を促す表示をする。作業者は、電子媒体処理場9Aで、媒体収容箱2に収容されている電子媒体を処理機93Aに投入して復元不能に破砕する作業を開始する。
【0127】
まず、処理する媒体収容箱2の識別タグ21を端末装置91Aによって読み込む(「処理する箱ID読取」)。端末装置91Aは読み取った識別タグ21の箱IDをサーバ装置51にアップロードする。サーバ装置51は受け取った箱IDが処理中の案件IDに関連付けられたものであって内容物種別情報が「電子媒体」であるか否かを確認する(「箱確認」)。
【0128】
サーバ装置51は、受け取った箱IDが処理中の案件IDに関連付けられ、かつ内容物種別情報が「電子媒体」であるときは、端末装置91Aに対して該当する箱IDであることを表す信号を送信する。また、サーバ装置51は、その信号送信時刻又は当該箱IDの受信時刻を、データベース52に記憶された当該箱IDに最終処理の処理日時情報として紐づけるとともに、箱ステータス情報に「処理中」のステータスを付与する(
図20参照)。また、サーバ装置51は、当該箱IDが紐づいた台車IDに、上記信号送信時刻を最終処理の箱取出開始日時情報として紐づけるとともに、台車ステータス情報に「処理中」のステータスを付与する(
図21参照)。また、サーバ装置51は、該当する箱ID及び台車IDに、端末装置91Aを操作する作業者の作業者IDを最終処理の作業者ID情報として紐づける。
【0129】
該当する箱IDである信号を受け取った端末装置91Aは、作業者にその箱IDの媒体収容箱2の処理作業を促す。他方、サーバ装置51は、受け取った箱IDが例えば別案件に関連付けされた箱IDであって処理中の案件IDに紐づく箱IDに該当しないときは、処理不可の信号を端末装置91Aに対して送信する。
【0130】
作業者は、端末装置91Aが処理作業を促した媒体収容箱2を開封し、収容されている電子媒体を処理機93Aに投入する。処理機93Aに投入された電子媒体は復元不能に破砕される。この最終処理作業の様子は、見学セクション10から見学できるようになっており、見学セクション10内の顧客1の担当者は、顧客1が廃棄処分を依頼した電子媒体が確実に処理されたことを確認できる。また、この最終処理作業の様子は、カメラ装置92Aにて撮影されている。
【0131】
電子媒体処理場9Aにおいて、処理中の案件の内容物種別「電子媒体」に関連する全て媒体収容箱2の箱IDの確認が完了するまで、箱IDの読取りとその確認処理とを繰り返す。処理中の案件に該当することが確認された媒体収容箱2内の電子媒体は、順次、処理機93Aへ投入されて最終処分される。
【0132】
なお、サーバ装置51は、箱ステータス情報に「処理中」のステータスを付与した箱IDについて、端末装置91Aから次の箱IDを受け取ると、箱ステータス情報を「処理中」から「処理済」に書き換える(
図20参照)。なお、サーバ装置51は、端末装置91Aから受け取った箱IDが、処理中の案件の内容物種別「電子媒体」に関連する箱IDのうち最後の箱IDであるときは、例えば当該箱IDの受信時刻又は後述する処理完了信号の受信時刻を当該箱IDに最終処理の処理日時情報として紐づけるとともに、箱ステータス情報に「処理済」のステータスを付与する(
図20参照)。
【0133】
また、サーバ装置51は、台車ステータス情報に「処理中」のステータスを付与した台車IDについて、当該台車IDに紐づいた全ての箱ID(積載箱ID)を端末装置91Aから受け取ると、端末装置91Aから当該台車IDに紐づく最後の箱IDを受け取った時刻情報を最終処理の箱取出完了日時情報として紐づけるとともに、台車ステータス情報に「空き」のステータスを付与する(
図21参照)。なお、台車11は繰り返し使用されるものであるから、各台車IDに紐づく情報は、上書き処理せずに、案件IDごとにデータベース52に記憶させておくことが好ましい。
【0134】
サーバ装置51は、処理中の案件の内容物種別「電子媒体」に関連する全ての箱IDの読取りを確認した後、端末装置91Aに全箱読取完了の信号を送信する(「全ての箱の読み取り完了」)。端末装置91Aは、処理中の案件の全ての媒体収容箱2の識別タグ21を読み取ったことを作業者に通知する(「箱の読取終了」)。作業者は、最後の媒体収容箱2内の電子媒体を処理機93Aに投入した後、端末装置91Aに対して作業完了操作を行う(「処理完了」)。作業完了操作を受けた端末装置91Aは、処理完了信号をサーバ装置51に送信する。処理完了信号を受け取ったサーバ装置51は、処理が完了した案件ID(
図11参照)にその受信時刻を最終処理の内容物種別「電子媒体」の処理完了日時情報として関連付けてデータベース52に記憶させる(「終了時刻登録」)。また、サーバ装置51は、電子媒体の最終処理が完了した案件IDの案件ステータス情報について「処理中(電子)」から「処理済(電子)」に変更する(
図11参照)
【0135】
作業者は、最終処理作業が完了したことを見学セクション10内の顧客1の担当者に知らせる。これにより、媒体収容箱2内の電子媒体の最終処理及び現場立会が完了する。
【0136】
ここまで、電子媒体の最終処理に関連する処理を説明した。そして、紙媒体処理場9Bで端末装置91B及び処理機93Bを使用して実施される紙媒体の最終処理に関しても、電子媒体処理場9Aで行われる電子媒体の最終処理と同様にして、処理対象の案件IDの抽出、台車11の移動、案件ID、台車ID及び箱IDそれぞれに紐づく情報の記録が行われる。例えば、サーバ装置51は、紙媒体に関する最終処理が完了した案件ID(
図11参照)に、内容物種別「紙媒体」の最終処理の処理開始日時情報及び処理完了日時情報を記録する。また、サーバ装置51は、当該案件IDの案件ステータス情報について「保管済(紙)」のステータスを、「処理中(紙)」を経て「処理済(紙)」に書き換える。
【0137】
<9-2.ウェブ立会での最終処理>
次に、
図6及び
図18を参照しながらウェブ立会の流れについて説明する。
図18に示すように、ウェブ立会による記録媒体(電子媒体又は紙媒体)の最終処理作業においても、保管セクション8から最終処理セクション9への媒体収容箱2の移動作業が行われる。この移動作業の流れは、上記で説明した「9-1-1.最終処理セクションへの媒体収容箱の移動」の流れと同じである。ウェブ立会による記録媒体の最終処理では、顧客1が顧客端末装置を通じて予め予約した処理日時(上記の「8.顧客による処理日の予約依頼」参照)の開始時刻までに、台車11に積載された媒体収容箱2の最終処理セクション9への移動が完了される。
【0138】
顧客1は、予約処理日時に、顧客端末装置を通じてサーバ装置51へ客先ID及びパスワードを送信して通信要求する(「通信要求」)。サーバ装置51は、データベース52に記憶された処理カレンダーデータに照会して、受け取った客先IDから案件IDを特定し、その案件IDに紐づいている最終処理予約日時情報を参照する(「立会時刻確認」)。サーバ装置51は、案件IDに紐づいている最終処理予約日時情報が現在時刻と合致しているとき、顧客1の顧客端末装置に通信許可信号を送信する。
【0139】
通信許可信号を受けた顧客端末装置は、処理対象の内容物種別に応じて、電子媒体処理場9Aのカメラ装置92A又は紙媒体処理場9Bのカメラ装置92Bからサーバ装置51に送信されるカメラ装置92A又は92Bの取得映像を視聴可能な状態になる。サーバ装置51は顧客端末装置がカメラ装置92A又は92Bの取得映像にアクセスしたことを確認し(「接続開始確認」)、そのときの時刻を電子媒体又は紙媒体の最終処理作業の開始時刻情報として案件ID(
図11参照)に関連付けてデータベース52に記憶させる(開始時刻登録)。
【0140】
さて、サーバ装置51は、処理対象の内容物種別について最終処理の処理開始日時情報を登録すると、処理対象の内容物種別に対応する端末装置91A又は91Bに対して処理開始の指示信号を送信する。処理開始指示の信号を受け取った端末装置91A又は91Bは作業者に処理開始を促す表示をする。作業者は、電子媒体処理場9A又は紙媒体処理場9Bで、媒体収容箱2に収容されている電子媒体又は紙媒体を処理機93A又は93Bに投入して復元不能に破砕する最終処理作業を開始する。
【0141】
この最終処理作業の様子は、カメラ装置92A又は92Bにて撮影されており、カメラ装置92A又は92Bの取得映像はサーバ装置51にアップロードされる。顧客1は、サーバ装置51にアップロードされた最終処理作業の様子を、顧客端末装置を通じて視聴する。最終処理作業は、上記で説明した「9-1-2.記録媒体の処理機への投入」での流れと同様に、案件に関連する全ての媒体収容箱2内の記録媒体が最終処理されるまで行われる。
【0142】
最後の媒体収容箱2内の電子媒体又は紙媒体が処理機93A又は93Bに投入された後、端末装置91A又は91Bによってサーバ装置51へ処理完了信号が送信される。処理完了信号を受け取ったサーバ装置51は、その受信時刻を処理対象の内容物種別についての最終処理の処理完了日時情報(
図11参照)として処理が完了した案件IDに関連付けてデータベース52に記憶させる(「終了時刻登録」)。そして、サーバ装置51は、顧客1の顧客端末装置に対して、サーバ装置51にアップロードされるカメラ装置92A又は92Bの取得映像へのアクセスを遮断する。これにより、顧客1の顧客端末装置を通じた最終処理作業の視聴が終了する(「視聴終了」)。これにより、顧客1から引き取った媒体収容箱2内の記録媒体(電子媒体又は紙媒体)の最終処理及びウェブ立会が完了する。
【0143】
<9-3.最終処理の完了>
サーバ装置51は、紐づく全ての箱ID(電子媒体、紙媒体の両方)の箱ステータス情報(
図20参照)が「処理済」になった案件ID(
図11参照)について、案件ステータス情報に「全箱処理済」のステータスを付与する。「全箱処理済」のステータスが付与された案件IDには、次の(1)~(7)の情報が紐づいている。
(1)運搬車両3に、媒体収容箱2を顧客1先で積み込んだ引取開始日時情報及び取完了日時情報、
(2)廃棄処理場4の入退場管理ゲート63を、媒体収容箱2を積載した運搬車両3が通過したときのゲート通過開始日時情報及びゲート通過完了日時情報、
(3)積替セクション7で、媒体収容箱2を運搬車両3から台車11に積み替えた積替開始日時情報及び積替完了日時情報、
(4)保管セクション8に、台車11に積載した媒体収容箱2を保管した保管開始日時情報及び保管完了日時情報、
(5)最終処理セクション9で、媒体収容箱2内の記録媒体を最終処理した電子媒体、紙媒体ごとの処理開始日時情報及び処理完了日時情報、
(6)引き取った全ての媒体収容箱2の箱ID、
(7)電子媒体、紙媒体それぞれの引取重量情報。
【0144】
なお、案件IDに関連付けされている箱IDに紐づく内容物種別情報が電子媒体のみ、または紙媒体のみであることがある。この場合、顧客1による処理日の予約や、保管セクション8から最終処理セクション9への台車11の移動は、電子媒体処理場9A又は紙媒体処理場9Bのいずれか一方に対してのみ実施される。
【0145】
<9-4.最終処理作業の録画>
上記の現場立会およびウェブ立会に限らず、電子媒体処理場9A、紙媒体処理場9Bで実施される最終処理作業の様子は、カメラ装置92A、92Bにて撮像される。カメラ装置92A、92Bが取得した映像はサーバ装置51にアップロードされる。サーバ装置51は、カメラ装置92A、92Bが取得した映像をデータベース52に記憶させる(
図19の電子媒体処理動画データ92Ax、紙媒体処理動画データ92Bx参照)。
【0146】
例えば、カメラ装置92A、92Bによる撮像は、積替セクション7及び保管セクション8のカメラ装置72、82による撮像と同様に、防犯上の観点から常時行うものとする。そして、サーバ装置51は、カメラ装置92A、92Bの取得映像をデータベース52に一定期間保存する。なお、カメラ装置92A、92Bによる撮像は、最終処理作業が行われている間だけ行われるようにしても構わない。
【0147】
<10.動画編集>
図19に示すように、データベース52には、運搬車両3のカメラ装置34が撮像した車両動画データ34x、搬入セクション6のカメラ装置62が撮像したゲート動画データ62x、積替セクション7のカメラ装置72が撮像した積替セクション動画データ72x、保管セクション8のカメラ装置82が撮像した保管セクション動画データ82x、電子媒体処理場9Aのカメラ装置92Aが撮像した電子媒体処理動画データ92Ax、および、紙媒体処理場9Bのカメラ装置92Bが撮像した紙媒体処理動画データ92Bxが記憶されている。
【0148】
サーバ装置51は、これらの動画データから、全箱の最終処理が完了した案件(案件IDの案件ステータス情報「全箱処理済」)について、その案件に関する引取作業、廃棄処理場4への搬入(入退場管理ゲート63の通過)、積替作業、保管作業、最終処理作業それぞれを撮像した動画データ部分34y、62y、72y、82y、92Ay、92Byを切り取って、案件動画データ10xに編集する(
図19参照)。ここで、サーバ装置51は、各動画データ部分の切り取りに関し、案件ID(
図11参照)に紐づく情報を参照する。
【0149】
具体的には、サーバ装置51は、引取作業の動画データ部分34yの切り取りに関し、上記(1)引取開始日時情報と取完了日時情報とを切取り開始位置と終了位置として、車両動画データ34xから動画データ部分34yを切り取る。同様に、サーバ装置51は、上記(2)ゲート通過開始日時情報とゲート通過完了日時情報をもとにゲート動画データ62xから搬入の動画データ部分62yを切り取り、上記(3)積替開始日時情報と積替完了日時情報をもとに積替セクション動画データ72xから積替作業の動画データ部分72yを切り取り、上記(4)保管開始日時情報と保管完了日時情報をもとに保管セクション動画データ82xから保管作業の動画データ部分82yを切り取り、上記(5)電子媒体及び/又は紙媒体の処理開始日時情報と処理完了日時情報をもとに電子媒体処理動画データ92Ax及び/又は紙媒体処理動画データ92Bxから電子媒体及び/又は紙媒体の最終処理作業の動画データ部分92Ay及び/又は動画データ部分92Byを切り取る。そして、サーバ装置51は、これらの動画データ部分34y、62y、72y、82y、92Ay、92Byを時系列につなげて1本の案件動画データ10xを作成する。
【0150】
サーバ装置51は、案件動画データ10xの作成が完了すると、その動画IDを作成し、案件IDに紐づけてデータベース52に記憶させるとともに、案件動画データ10xをデータベース52に保存する。また、サーバ装置51は案件IDの案件ステータス情報に「動画作成済」のステータスを付与する。そして、サーバ装置51は、案件動画データ10xをサーバ装置51自身または他のサーバ装置などにアップロードする。そして、サーバ装置51は、その案件動画データ10xのダウンロードURLを、対応する顧客1に顧客端末装置を通じて通知する。顧客1は、顧客端末装置を通じてダウンロードURLにアクセスし、案件動画データ10xをダウンロードする。
【0151】
なお、引き取った記録媒体に電子媒体と紙媒体の両方が含まれる案件については、電子媒体の案件動画データ(
図19の動画データ部分34y、62y、72y、82y、92Ay)をつなげたものと、紙媒体の案件動画データ(
図19の動画データ部分34y、62y、72y、82y、92By)をつなげたものの両方を作成してもかまわない。また、切り取った動画データ部分34y、62y、72y、82y、92Ay、92Byをつなげずに、それぞれをデータベース52に保存するとともに、それぞれの動画データ部分IDを作成して案件IDに紐づけてデータベース52に記憶しても構わない。また、これらの動画データの入手を顧客1が要求すれば、例えばUSBメモリに収容するなどして顧客1に提供するようにしても構わない。
【0152】
また、上記の(1)引取開始日時情報及び取完了日時情報、(2)ゲート通過開始日時情報及びゲート通過完了日時情報、(3)積替開始日時情報及び積替完了日時情報、(4)保管開始日時情報及び保管完了日時情報、(5)処理開始日時情報及び処理完了日時情報それぞれは、上記実施形態で説明した決定方法に限定されるものではない。これらの日時情報は、これらの日時情報を使用して各動画データから対応する作業の動画データ部分を切り取る際に、対応する作業の開始から完了までの様子が含まれるように決定される日時情報であればよい。
【0153】
<11.まとめ>
本実施形態の記録媒体廃棄監視システムは、顧客1が排出する電子媒体や紙媒体などの記録媒体を、それを収容する媒体収容箱2に取り付けた識別タグ21の箱IDで、記録媒体の引取りから最終処分まで追跡可能にしている。これにより、機密情報を記録した記録媒体が確実に最終処分されたことを証明できる。また、本実施形態は、案件IDや箱ID、運搬車両IDなどの識別情報の管理を管理本部5のサーバ装置51が統括して行うことで、記録媒体の引取りから最終処分までをより確実かつ正確に追跡及び管理できる。
【0154】
また、本実施形態では、記録媒体の引取作業、廃棄処理場4への搬入、積替作業、保管作業、最終処理作業それぞれの様子をカメラ装置で撮影している。そして、案件ごとに、それらの作業を撮影した動画データを編集した案件動画データを作成し、案件IDに関連付けてデータベース52に記憶させているので、記録媒体の引取りから最終処分までの処理が適切にされたことをより確実に証明できる。
【0155】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 顧客
2 媒体収容箱
3 運搬車両
4 廃棄処理場
5 管理本部
6 搬入セクション
7 積替セクション
8 保管セクション
9 最終処理セクション
9A 電子媒体処理場
9B 紙媒体処理場
10 見学セクション
11 台車
21 識別タグ
31 車両通信装置
32 車両端末装置
33 荷台
34 カメラ装置
34x 車両動画データ
34y 引取作業の動画データ部分
35 位置追跡装置
51 サーバ装置
52 データベース
61 端末装置
62 カメラ装置
62x ゲート動画データ
62y 搬入の動画データ部分
63 入退場管理ゲート
64 重量計
71 端末装置
72 カメラ装置
72x 積替セクション動画データ
72y 積替作業の動画データ部分
81 端末装置
82 カメラ装置
82x 保管セクション動画データ
82y 保管作業の動画データ部分
91 電子錠
91A 端末装置
91B 端末装置
92A カメラ装置
92Ax 電子媒体処理動画データ
92Ay 電子媒体処理作業の動画データ部分
92B カメラ装置
92Bx 紙媒体処理動画データ
92By 紙媒体処理作業の動画データ部分
93A 処理機
93B 処理機
100 外部ネットワーク
101 電子錠
102 カメラ装置
111 台車識別タグ