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特開2024-85091割付データ作成装置及び割付データ作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085091
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】割付データ作成装置及び割付データ作成方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20240619BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240619BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199429
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 拓也
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168AD13
4E168KA15
(57)【要約】
【課題】製品の周縁に割り付けた押圧突出部の実効性を向上することができる割付データ作成装置を提供する。
【解決手段】割付データ作成装置21は、押圧突出部割付部213と、判定部214と、を備える。押圧突出部割付部213は、製品の周縁に沿ったレーザ切断加工によって湾曲されて製品の周縁の切断面を押圧する押圧突出部を、製品の周縁に割り付ける。判定部214は、製品の形状に基づいて、押圧突出部の位置が適切か否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の周縁に沿ったレーザ切断加工によって湾曲されて前記製品の周縁の切断面を押圧する押圧突出部を、前記製品の周縁に割り付ける押圧突出部割付部と、
前記製品の形状に基づいて、前記押圧突出部の位置が適切か否かを判定する判定部と、
を備える割付データ作成装置。
【請求項2】
前記製品の周縁は、互いに対向する第1の辺と第2の辺とを含み、
前記判定部は、
前記押圧突出部が、前記第1及び第2の辺の各々に割り付けられた場合に、前記第1及び第2の辺の各々の傾きを算出し、
前記第1及び第2の辺の傾きに基づいて、前記第1及び第2の辺が平行か否かを判定し、
互いに対向する第1の辺及び第2の辺が平行でない場合に、前記押圧突出部の位置が適切でないと判定する
請求項1に記載の割付データ作成装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1の辺及び第2の辺が平行である場合に、
前記第1及び第2の辺のうちの一方を基準辺として設定し、他方を対辺として設定し、
前記基準辺が前記押圧突出部により押圧される位置と、前記対辺が前記押圧突出部により押圧される位置とが垂線でつながるように、前記対辺を押圧する前記押圧突出部を前記対辺の方向に沿って移動する
請求項2に記載の割付データ作成装置。
【請求項4】
前記第1の辺が前記押圧突出部により押圧される第1の位置が、前記第1の辺のレーザ切断加工において最後に切断される第1の辺の端部から第1所定距離以内に位置する場合、又は、前記第2の辺が前記押圧突出部により押圧される第2の位置が、前記第2の辺のレーザ切断加工において最後に切断される第2の辺の端部から前記第1所定距離以内に位置する場合には、前記押圧突出部の位置が適切でないと判定する
請求項3に記載の割付データ作成装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記押圧突出部を形成するための切断経路から第2所定距離以内に、前記製品の周縁を切り出すための切断経路が存在する場合には、前記押圧突出部の位置が適切でないと判定する
請求項3に記載の割付データ作成装置。
【請求項6】
前記製品の周縁は、前記製品の輪郭となる外周であり、
前記判定部は、
前記押圧突出部が前記製品の外周を押圧する位置が、前記製品内の穴をレーザ切断加工するときの切断経路から第3所定距離以内に位置する場合には、前記押圧突出部の位置が適切でないと判定する
請求項3~5のいずれか1項に記載の割付データ作成装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記押圧突出部の位置が適切でないと判定した場合には、全ての前記押圧突出部を削除する
請求項1に記載の割付データ作成装置。
【請求項8】
コンピュータが、
製品の周縁に沿ったレーザ切断加工によって湾曲されて前記製品の周縁の切断面を押圧する押圧突出部を、前記製品の周縁に割り付け、
前記押圧突出部の位置と、前記製品の形状とに基づいて、前記押圧突出部の位置が適切か否かを判定する
割付データ作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割付データ作成装置及び割付データ作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工によって板状のワークから製品を切断する際に、製品がワークを載置している複数のピンサポートに引っ掛かったりワークの上に載ってレーザ加工ヘッドの移動を阻害したり、製品がワークの下に入り込んだりすることがある。このようなことを防止するために、マイクロジョイントと称する微細な接続部(ジョイント部)によってワークと製品とを接続して、製品をワークから完全には分離させないようにする方法が知られている。このようなマイクロジョイントでは、ワークから製品を取り外すときにマイクロジョイントを切断する必要があるため、製品にマイクロジョイントに起因する微細な突起が生じることがあり、微細突起を除去する工程が必要となる。
【0003】
特許文献1には、マイクロジョイントを用いることなくワークと製品とを接続するレーザ切断加工方法が記載されている。この方法は、ワークから切断分離される製品の周囲に、製品の輪郭線に沿ったレーザ切断加工によって湾曲されて製品の周面を押圧する押圧突出部の切断溝を予めレーザ切断加工する。
【0004】
特許文献1の加工方法では、切断溝のレーザ切断加工の熱の影響によって押圧突出部の自由端に発生する残留応力に起因して、押圧突出部の自由端が製品に向けて湾曲し、自由端が製品の周面(切断面)を押圧する。この押圧突出部の湾曲により、輪郭線に沿ってレーザ切断加工を行った製品をワークから落下しないように保持することができる。特許文献1の加工方法では、ワークの材質及び厚さ、並びに、製品の寸法に基づいて、押圧突出部が自動で割り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6524368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、押圧突出部が製品の平行でない対辺上に割り付けられた場合のように、製品の形状によっては、自動で割り付けした押圧突出部の位置が、製品に対して適切な位置ではなく、押圧突出部の湾曲により製品を保持することが難しい場合がある。特許文献1に記載の加工方法では、自動で割り付けした押圧突出部の実効性が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、製品の周縁に沿ったレーザ切断加工によって湾曲されて前記製品の周縁の切断面を押圧する押圧突出部を、前記製品の周縁に割り付ける押圧突出部割付部と、
前記製品の形状に基づいて、前記押圧突出部の位置が適切か否かを判定する判定部と、
を備える割付データ作成装置。
【0008】
本発明の一態様は、判定部が、製品の形状に基づいて、押圧突出部割付部が割り付けた押圧突出部の位置が適切か否かを判定することができる。これにより、押圧突出部が製品の形状に適した位置に割り付けられているかを判断することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、製品の周縁に割り付けた押圧突出部の実効性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る割付データ作成装置を含む全体システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態に係る割付データ作成装置によって割り付けられたソフトジョイントの一例を示す図である。
図3図3は、ジョイントの種類を判定するための条件を格納した判定テーブルの一例を示す図である。
図4図4は、ソフトジョイントの割付パターンを判定するための条件を格納した判定テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、ソフトジョイントの割付パターンの一例を示す図である。
図6図6は、ソフトジョイントの切断経路を割り付けるためのパラメータを格納したテーブルの一例を示す図である。
図7図7は、ソフトジョイントの切断経路を割り付けるための各パラメータを説明する図である。
図8図8は、ソフトジョイントの切断経路を割り付けるための各パラメータを説明する図である。
図9図9は、ソフトジョイントの切断経路を割り付けるための各パラメータを説明する図である。
図10図10は、ソフトジョイントの第1のNG判定の条件を説明する図である。
図11図11は、ソフトジョイントの位置の補正方法を説明する図である。
図12図12は、ソフトジョイントの第2のNG判定の条件を説明する図である。
図13図13は、ソフトジョイントの第3のNG判定の条件を説明する図である。
図14図14は、ソフトジョイントの第4のNG判定の条件を説明する図である。
図15A図15Aは、一実施形態に係る割付データ作成装置の判定部によるNG判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15B図15Bは、一実施形態に係る割付データ作成装置の判定部によるNG判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態に係る割付データ作成装置は、押圧突出部割付部と、判定部と、を備える。押圧突出部割付部は、製品の周縁に沿ったレーザ切断加工によって湾曲されて製品の周縁の切断面を押圧する押圧突出部を、製品の周縁に割り付ける。判定部は、製品の形状に基づいて、押圧突出部の位置が適切か否かを判定する。
【0012】
以下、一実施形態に係る割付データ作成装置、割付データ作成方法及びレーザ切断加工方法について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一あるいは同等の部位、又は構成要素には、同一の符号を付している。
【0013】
図1は、本実施形態に係る割付データ作成装置を含むレーザ加工システムの構成を示すブロック図である。レーザ加工システムは、CAD(Computer Aided Design)10、CAM(Computer Aided Manufacturing)20、NC(Numerical Control)装置30、及びレーザ加工機40を主体に構成されている。
【0014】
CAD10は、CADの機能を搭載するコンピュータである。CAD10は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、CAD10が備える種々の機能が実現される。
【0015】
CAD10は、コンピュータプログラムを実行させることによって、製品データ作成装置11として機能する。製品データ作成装置11は、製品に関する製品データを作成する。製品データには、製品の形状(図形)、寸法、及び重量と、ワークの材質及び厚さなどの情報が含まれている。製品データ作成装置11によって作成された製品データは、CAM20に入力される。
【0016】
CAM20は、CAMの機能を搭載するコンピュータである。CAM20は、CPUなどのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、CAM20が備える種々の機能が実現される。
【0017】
CAM20は、コンピュータプログラムを実行することにより、割付データ作成装置21として機能する。割付データ作成装置21には、操作表示部22が接続されている。
【0018】
操作表示部22は、オペレータが割付データ作成装置21に対して情報を入力するために必要な画面を表示する。オペレータは、操作表示部22を操作することで、後述するように、ジョイントの割り付けに関する各種の設定項目を入力することができる。
【0019】
割付データ作成装置21は、割付データを作成する。割付データは、製品(すなわち、製品の形状を示す図形)に対してレーザビームの切断経路を割り付けたデータである。また、割付データは、製品に対して、後述するジョイントの切断経路を割り付けたデータでもある。割付データ作成装置21は、割付データに基づいて加工プログラムを作成する。加工プログラムは、NC装置30がレーザ加工機40を制御する機械制御コードによって構成される。
【0020】
割付データ作成装置21によって作成された加工プログラムは、NC装置30に転送される。なお、割付データ作成装置21は、作成した加工プログラムを、図示しないデータ管理サーバ内のデータベースに格納してもよい。この場合、NC装置30は、データ管理サーバのデータベースに格納された加工プログラムを読み出してもよい。
【0021】
割付データ作成装置21は、取得部211と、認識部212と、割付部213と、判定部214と、加工プログラム生成部215とを備える。
【0022】
取得部211は、製品データ作成装置11で作成された製品データを取得する。取得部211は、レーザ加工機40から、レーザ加工機の情報を含む装置データを取得する。装置データは、レーザ加工機40情報を保有する外部の装置から取得してもよい。認識部212は、製品データに基づいて、製品の形状及び寸法、並びにワークの材質及び厚さを認識する。
【0023】
割付部213は、製品データに基づいて製品の割り付けを行い、割付データを作成する。製品の割り付けにより、製品の周縁を切り出すためのレーザビームの切断経路が作成される。なお、製品の周縁は、製品の輪郭に対応する外周であってもよく、製品の輪郭よりも内側に設けられる、製品内の穴に対応する内周であってもよい。以下の説明では、製品の周縁として、製品の外周を例示する。
【0024】
割付部213は、ジョイントの自動割付処理を行う。例えば、割付部213は、製品の寸法に基づいて、マイクロジョイントを割り付けるか、ソフトジョイントを割り付けるか、ジョイントを割り付けないかを判断する。ここで言うソフトジョイントとは、製品の周縁に沿ったレーザ切断加工によって湾曲されて製品の外周の切断面を押圧する押圧突出部を意味する。
【0025】
割付部213は、マイクロジョイントを割り付けると判断した場合には、マイクロジョイントの割り付けを行い、割付データを作成する。マイクロジョイントの割り付けにより、製品の切断経路上に、マイクロジョイントを形成するための切り残し領域が設定される。マイクロジョイントの割付方法については既知であるため、説明を省略する。
【0026】
一方、割付部213は、ソフトジョイントを割り付けると判定した場合には、ワークの板厚及び材質、並びに製品の寸法とに基づいて、ソフトジョイントの割り付けを行い、割付データを作成する。ソフトジョイントの割り付けにより、製品(製品の切断経路)の外周に、ソフトジョイントを形成するための切断経路が設定される。
【0027】
図2は、本実施形態に係る割付データ作成装置21によって割り付けられたソフトジョイントの一例を示す図である。図2において、板状のワークWから正方形の製品1がレーザ切断加工によって切断分離される。割付部213は、例えば、製品1の外周の切断面を押圧するソフトジョイント12を、製品1の外周の4辺に1か所ずつ割り付ける。割付部213は、各ソフトジョイント12を形成するためのレーザビームの切断経路Sppを、製品1の外周に割り付けた割付データを作成する。
【0028】
ソフトジョイント12には、ソフトジョイント12の切断経路Sppのレーザ切断加工の熱の影響によって残留応力が存在する。そして、ソフトジョイント12の切断経路Sppのレーザ切断加工後、製品1の切断経路S10をレーザ切断加工すると、残留応力が解放される。この結果、ソフトジョイント12の自由端は残留応力に起因して製品1に向けて湾曲し、自由端が製品1の外周の切断面を押圧する。すなわち、ソフトジョイント12の湾曲によって、製品1をワークWから落下しないように保持することができる。ソフトジョイントの自動割付処理を実現するための具体的な方法については、後述する。
【0029】
判定部214は、割付部213がソフトジョイントを割り付けた場合に、ソフトジョイントの位置と、製品の形状とに基づいて、ソフトジョイントの位置が適切か否かを判定する。判定部214は、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定した場合には、全てのソフトジョイントの割り付けを削除する。すなわち、製品の形状によっては、割り付けたソフトジョイントにより製品を保持することが難しい場合があるので、この場合には、ソフトジョイントの割付データを削除することができる。判定部214は、ソフトジョイントの位置が適切であると判定した場合には、ソフトジョイントを含む割付データを加工プログラム生成部215へ送信する。ソフトジョイントの位置が適切か否かを判定方法の詳細については、後述する。
【0030】
加工プログラム生成部215は、製品データと割付データに基づいて加工プログラムを作成し、NC装置30に転送する。
【0031】
NC装置30は、CPUなどのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、NC装置30が備える種々の機能が実現される。
【0032】
NC装置30は、加工プログラムに基づいて、レーザ加工機40を制御する。この制御により、加工プログラムに従ってレーザビームが移動するとで、ワークが切断される。図2の例であれば、先ず、製品1の外周から所定の距離だけ隔離した位置にピアスPs0が形成され、続いてソフトジョイント12の切断経路Sppが切断される。そして、製品1の外周の切断経路S10が切断される。
【0033】
[ジョイントの自動割付処理の実現方法]
次に、ジョイントの自動割付処理を実現するための具体的な方法について、図3図9を参照して説明する。以下の説明では、製品は矩形の図形であるものとする。
【0034】
割付部213は、先ず、製品の寸法に基づいて、割り付けるジョイントの種類を判定する。割付部213は、割り付けるジョイントの種類を判定するための条件を格納した判定テーブル(以下、終値判定テーブルと言う)を備えている。終値判定テーブルには、予め設定された、製品のX、Y方向の寸法の条件に対応する適正なジョイントの種類が格納されている。したがって、割付部213は、製品の寸法に対応して、適正なジョイントの種類を判定することができる。
【0035】
図3は、終値判定テーブルの一例を示す図である。図3に示す例では、割付部213は、先ず、製品の寸法が、終値判定テーブルの条件1を満たすか否かを判定する。図3では値1、値2が空欄になっているが、実際には、判断に必要な値が入力されている。例えば、割付部213は、製品のX方向の寸法が終値判定テーブルの条件1における値1に設定された値以下であり、且つ、Y方向の寸法が終値判定テーブルの条件1における値2に設定された値以下であるか否かを判定する。割付部213は、製品の寸法が条件1を満たす場合には、条件1に対応する「マイクロジョイント」を割り付けると判定し、マイクロジョイントの割付処理を行う。
【0036】
また、割付部213は、製品の寸法が終値判定テーブルの条件1を満たさない場合には、製品の寸法が終値判定テーブルの条件2を満たすか否かを判定する。例えば、割付部213は、製品のX方向の寸法が終値判定テーブルの条件2における値1に設定された値以下であり、且つ、Y方向の寸法が終値判定テーブルの条件2における値2に設定された値以下であるか否かを判定する。割付部213は、製品の寸法が条件2を満たす場合には、条件2に対応する「ソフトジョイント」を割り付けると判定し、ソフトジョイントの割付処理を行う。割付部213は、製品の寸法が終値判定テーブルの条件を満たさない場合には、ジョイントの割り付けを行わないと判定する。
【0037】
このように、割付部213は、製品の寸法が終値判定テーブルに設定されている条件を満たすか否かを条件1から順に判定し、製品の寸法が条件を満たすと判定した時点で、対応するジョイントの種類を割り付けると判定する。なお、図3に示す終値判定テーブルの条件は一例であり、限定されるものでは無い。終値判定テーブルの条件は、予め試験などにより決定された条件が設定されてもよく、操作表示部22によりオペレータが設定可能であってもよい。
【0038】
また、割付部213は、ソフトジョイントを割り付けると判定した場合には、製品の寸法に基づいて、ソフトジョイントの割付パターンを判定する。ソフトジョイントの割付パターンとは、製品の外周に対してソフトジョイントを配置するパターンの情報である。割付部213は、ソフトジョイントの割付パターンを判定するための条件を格納した判定テーブル(以下、ソフトジョイント判定テーブルと言う)を備えている。ソフトジョイント判定テーブルには、予め設定された、製品のX、Y方向の寸法の条件に対応する適正なソフトジョイントの割付パターンが格納されている。したがって、割付部213は、製品の寸法に対応して、適正なソフトジョイントの割付パターンを判定することができる。
【0039】
図4は、ソフトジョイント判定テーブルの一例を示す図である。また、図5は、ソフトジョイントの割付パターンの例を示す図である。図4に示す例では、割付部213は、先ず、製品の寸法がソフトジョイント判定テーブルの条件1を満たすか否かを判定する。図4では値1、値2が空欄になっているが、実際には、判断に必要な値が入力されている。例えば、割付部213は、製品のX方向の寸法がソフトジョイント判定テーブルの条件1における値1に設定された値以上であり、且つ、Y方向の寸法がソフトジョイント判定テーブルの条件1における値2に設定された値以上であるか否かを判定する。割付部213は、製品の寸法が条件1を満たす場合には、条件1に対応する「Soft5」の割付パターンでソフトジョイントを割り付けると判定する。「Soft5」の割付パターンとは、例えば図5に示すように、製品の外周の4辺に1か所ずつソフトジョイントを配置するパターンである。
【0040】
また、割付部213は、製品の寸法がソフトジョイント判定テーブルの条件1を満たさない場合には、製品の寸法がソフトジョイント判定テーブルの条件2を満たすか否かを判定する。すなわち、割付部213は、製品のX方向の寸法がソフトジョイント判定テーブルの条件2における値1に設定された値以上であり、且つ、Y方向の寸法がソフトジョイント判定テーブルの条件2における値2に設定された値以上であるか否かを判定する。割付部213は、製品の寸法が条件2を満たす場合には、条件2に対応する「Soft1」の割付パターンでソフトジョイントを割り付けると判定する。「Soft1」の割付パターンとは、例えば図5に示すように、製品の外周の、対向するX方向の2辺に2か所ずつソフトジョイントを配置するパターンである。
【0041】
このように、割付部213は、製品の寸法がソフトジョイント判定テーブルに設定されている条件を満たすか否かを条件1から順に判定し、製品の寸法が条件を満たすと判定した時点で、対応するジョイントの割付パターンを判定する。
【0042】
また、割付パターンのその他の例についても説明する。図5に示す「Soft2」の割付パターンとは、例えば、製品の外周の、対向するY方向の2辺に2か所ずつソフトジョイントを配置するパターンである。図5に示す「Soft3」の割付パターンとは、例えば、製品の外周の、対向するY方向の2辺に1か所ずつソフトジョイントを配置するパターンである。図5に示す「Soft4」の割付パターンとは、例えば、製品の外周の、対向するX方向の2辺に1か所ずつソフトジョイントを配置するパターンである。
【0043】
図5において、「Soft1」、「Soft2」の割付パターンでは、各辺の両端の近傍にそれぞれソフトジョイントが割り付けられる。「Soft3」、「Soft」、「Soft5」の割付パターンでは、各辺の中央位置にソフトジョイントが割り付けられる。なお、図4に示すソフトジョイント判定テーブルの条件及び図5に示す割付パターンは一例であり、限定されるものでは無い。ソフトジョイント判定テーブルの条件及び各条件に対応するソフトジョイントの割付パターンは、予め試験などにより決定された条件及びソフトジョイントの割付パターンが設定されてもよく、操作表示部22によりオペレータが設定可能であってもよい。
【0044】
割付部213は、ソフトジョイントの割付パターンを判定した後に、ワークの材質及び板厚、並びにレーザ加工条件に基づいて、ソフトジョイントの切断経路を割り付けるためのパラメータ(以下、ソフトジョイント設定のパラメータと言う)を決定する。割付部213は、ソフトジョイントの切断経路を割り付けるためのパラメータを格納したテーブル(以下、ソフトジョイントテーブルと言う)を備えている。ソフトジョイントテーブルには、予め設定された、ワークの材質及び板厚、並びにレーザ加工条件に対応する適正なソフトジョイント設定のパラメータが格納されている。したがって、割付部213は、ワークの材質及び板厚、並びにレーザ加工条件に対応する適正なソフトジョイント設定のパラメータを決定することができる。
【0045】
図6は、ソフトジョイントテーブルの一例を示す図である。図6に示す例では、割付部213は、ワークの材質及び板厚、並びにレーザ加工条件に基づいて、ソフトジョイント設定のパラメータである「先端高さ」、「長さ」、「幅」、「アプローチ」、「終点補正量」を決定する。
【0046】
ソフトジョイント設定の各パラメータについて、図7図9を参照して説明する。図7図9は、ソフトジョイントの切断経路を割り付けるための各パラメータを説明する図である。図7及び図8において、ソフトジョイント12を形成するための切断経路Sppは、切断経路Sa0、S1、S2から成る。製品の外周10eから外周10eと直交する方向に距離Daだけ離隔した点P0には、ピアスPs0が形成される。切断経路Sa0は、このピアスPs0から、外周10eから外周10eと直交する方向に距離Dbだけ離隔した点P1までの切断経路である。距離Dbは、距離Daより短い距離である。このとき、ソフトジョイント12の設定パラメータである「幅」は距離Dbを示し、「アプローチ」は距離Daを示す。
【0047】
次に、切断経路S1は、点P1から、外周10eから外周10eと直交する方向に距離Dcだけ離隔し、かつ外周10eに沿った方向に距離Lだけ離隔した点P2までの切断経路である。距離Dcは、図7に示すように、距離Dbと同じ距離であってもよく、図8に示すように距離Dbより短い距離であってもよい。このとき、ソフトジョイント12の設定パラメータである「先端高さ」は距離Dcを示し、「長さ」は距離Lを示す。
【0048】
切断経路S2は、点P2から外周10eの近傍までの切断経路である。外周10eの近傍とは、製品の外周をレーザ切断加工するときの切断経路の領域である。切断経路S2の先端は、製品の切断経路の領域に到達する。
【0049】
図9に示すように、レーザ加工機40が製品の外周10eを切断するとき、レーザ加工機40は、ビームスポットBsの中心が、外周10eから外側にビームスポットBsの半径である工具径補正量Crだけずらした線10Cr上を移動するよう制御する。製品の外周10eと外周10eから外側にビームスポットBsの直径dBsだけずらした線10dBsとで挟まれた領域が、製品の切断経路の領域Rs10である。
【0050】
切断経路S2を切断するときのビームスポットBsの先端が製品の外周10eに到達して、ビームスポットBsが製品の切断経路の領域Rs10の幅と完全に重なる状態をオーバラップ量100%とする。このときの切断経路S2の終点座標は線10Cr上に位置する。切断経路S2を切断するときのビームスポットBsの先端が線10Crに到達して、ビームスポットBsが製品の切断経路の領域Rs10の幅と半分だけ重なる状態をオーバラップ量50%とする。このときの切断経路S2の終点座標は線10dBs上に位置する。
【0051】
切断経路S2を切断するときのビームスポットBsの先端が線10dBsに到達して、ビームスポットBsが製品の切断経路の幅と重ならない状態をオーバラップ量0%とする。このときの切断経路S2の終点座標は、線10dBsの手前側に、線10dBsからビームスポットBsの半径の距離だけずらした位置である。このとき、ソフトジョイント12の設定パラメータである「終点補正量」は、オーバラップ量(0%、50%、100%)を示す。
【0052】
このように、割付部213は、ジョイントテーブルに基づいて、ワークの材質及び板厚、並びにレーザ加工条件に対応する適正なソフトジョイント設定のパラメータを決定することができる。なお、図4に示すソフトジョイントの設定パラメータの値は一例であり、限定されるものでは無い。ソフトジョイントテーブルのワークの材質及び板厚、並びにレーザ加工条件に対応するソフトジョイント設定のパラメータの値は、予め試験などにより決定された値が設定されてもよく、操作表示部22によりオペレータが設定可能であってもよい。
【0053】
割付部213は、判定したソフトジョイントの割付パターンと、決定したソフトジョイントの設定パラメータとに基づいて、ソフトジョイントを製品の外周に割りつけて、ソフトジョイントの割付データを作成する。なお、ソフトジョイントの割付方法については、その他の方法であってもよく、限定されるものでは無い。
【0054】
[ソフトジョイントのNG判定方法]
【0055】
次に、判定部214によるソフトジョイントのNG判定方法について、図10図14を参照して説明する。判定部214は、製品の形状に基づいて、ソフトジョイントの位置が適切か否かを判定する。なお、ここで言うソフトジョイントの位置とは、製品の外周がソフトジョイントにより押圧される位置であり、図7及び図8における切断経路S2の終点の位置Pである。
【0056】
判定部214は、ソフトジョイントが、互いに対応する平行ではない2辺に割り付けられた場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する(第1のNG判定)。
【0057】
第1のNG判定について、図10を参照して説明する。図10は、ソフトジョイントの第1のNG判定の条件を説明する図である。図10において、ソフトジョイントが互いに対向する辺R1及びR2と、互いに対向する辺R3及びR4の各々に割り付けられた場合には、判定部214は、辺R1~R4の各々の傾きを算出する。図10において、判定部214は、辺R1及びR2の傾きに基づいて、辺R1及びR2が平行か否かを判定し、辺R3及びR4の傾きが平行か否かを判定する。
【0058】
例えば、判定部214は、ソフトジョイントが割り付けられた4つの辺R1~R4のなかから1つの辺を選択する。例えば、判定部214は、ソフトジョイントが割り付けられた4つの辺R1~R4のなかから、辺R1を選択する。判定部214は、選択した辺R1のソフトジョイントの割り付け位置P1から引いた垂線PL1と交わる辺R2を、辺R1に対向する対辺として特定する。判定部214は、選択した辺R1と、辺R1の対辺として特定した辺R2が平行か否かを判定する。
【0059】
また、判定部214は、ソフトジョイントが割り付けられた残りの辺R3、辺R4のなかから1つの辺を選択する。例えば、判定部214は、ソフトジョイントが割り付けられた残りの辺R3、辺R4のなかから辺R3を選択する。判定部214は、選択した辺R3のソフトジョイントの割り付け位置P3から引いた垂線PL3と交わる辺R4を、辺R3に対向する対辺として特定する。判定部214は、選択した辺R3と、辺R3の対辺として特定した辺R4が平行か否かを判定する。
【0060】
また、判定部214は、同様に、ソフトジョイントが割り付けられた4つの辺R1~R4のなかから、辺R2を選択して、選択した辺R1のソフトジョイントの割り付け位置P2から引いた垂線PL2と交わる辺R1を、辺R2に対向する対辺として特定してもよい。この場合、判定部214は、選択した辺R2と、辺R2の対辺として特定した辺R1が平行か否かを判定する。判定部214は、ソフトジョイントが割り付けられた残りの辺R3、辺R4のなかから辺R4を選択して、選択した辺R3のソフトジョイントの割り付け位置P3から引いた垂線PL3と交わる辺R4を、辺R3に対向する対辺として特定してもよい。この場合、判定部214は、選択した辺R3と、辺R3の対辺として特定した辺R4が平行か否かを判定する。
【0061】
判定部214は、ソフトジョイントが割り付けられ、互いに対向する第1及び第2の辺の各々の傾きを算出する。そして、第1及び第2の辺の各々の傾きに基づいて、第1の辺及び第2の辺が平行か否かを判定する。判定部214は、互いに対向する第1の辺及び第2の辺が平行でない場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。この場合、判定部214は、全てのソフトジョイントを削除する。
【0062】
なお、図10においては、判定部214は、ソフトジョイントが割り付けられ、互いに対向する辺R3及びR4が平行でないと判定する。この場合、判定部214は、辺R1~R4に割り付けられた全てのソフトジョイントの位置P1~P4が適切でないと判定し、全てのソフトジョイントの割付データを削除する。
【0063】
上述したように、第1のNG判定においては、ソフトジョイントが割り付けられ、互いに対向する第1及び第2の辺が平行でない場合に、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。しかしながら、ソフトジョイントが割り付けられ、互いに対向する第1及び第2の辺が平行な場合であっても、製品の形状によっては、ソフトジョイントの位置が適切ではない場合がある。このため、判定部214は、ソフトジョイントが割り付けられ、互いに対向する第1の辺と第2の辺が平行である場合に、ソフトジョイントの位置を補正する。
【0064】
図11は、ソフトジョイントの位置の補正方法を説明する図である。図11においては、互いに対向する辺R1及びR2と、辺R3及び辺R4は、それぞれ平行であるものとする。図11において、判定部214は、互いに対向する辺R1及びR2のうちの一方を基準辺として設定し、他方を対辺として設定する。例えば、判定部214は、辺R1を基準辺として設定し、辺R2を対辺として設定する。また、判定部214は、互いに対向する辺R3及びR4のうちの辺R3を基準辺として設定し、辺R4を対辺として設定する。判定部214は、基準辺R1がソフトジョイントにより押圧される位置P1と、対辺R2がソフトジョイントにより押圧される位置P2とが垂線でつながるように、対辺R2を押圧するソフトジョイントを対辺R2の方向に沿って位置P2′まで移動する。また、判定部214は、基準辺R3がソフトジョイントにより押圧される位置P3と、対辺R4がソフトジョイントにより押圧される位置P4とが垂線でつながるように、対辺R4を押圧するソフトジョイントの位置P4を対辺R4の方向に沿って位置P4′まで移動する。
【0065】
このように、判定部214は、ソフトジョイントが割り付けられ、互いに対向する第1の辺及び第2の辺が平行である場合に、第1及び第2の辺のうちの一方を基準辺として設定し、他方を対辺として設定する。判定部214は、基準辺がソフトジョイントにより押圧される位置と、対辺がソフトジョイントにより押圧される位置とが垂線でつながるように、対辺を押圧するソフトジョイントの位置を対辺の方向に沿って移動して、ソフトジョイントの位置を補正する。
【0066】
上述したようにソフトジョイントの位置を補正すると、ソフトジョイントの位置が、ソフトジョイントが割り付けられた製品の外周のある1辺をレーザ切断加工する際に最後に切断される辺の端部から所定距離以内に位置する場合がある。判定部214は、ソフトジョイントの位置の補正を行った後に、ソフトジョイントの位置が、ソフトジョイントが割り付けられたある1辺をレーザ切断加工する際に最後に切断される辺の端部から所定距離以内に位置する場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する(第2のNG判定)。
【0067】
第2のNG判定について、図12を参照して説明する。図12は、ソフトジョイントの第2のNG判定の条件を説明する図である。図12においては、製品の外周をレーザ切断加工するときのレーザビームの進行方向は方向Rである。図12において、方向Rに従ってソフトジョイントが割り付けられた辺R1をレーザ切断加工する際には、辺R1の端部E1が最後に切断される。判定部214は、第1の辺R1がソフトジョイントにより押圧される第1の位置P11が、端部E1から第1所定距離D1以内に位置するか否かを判定する。また、図示は省略するが、判定部214は、第1の辺R1に対向する第2の辺がソフトジョイントにより押圧される第2の位置が、第2の辺をレーザ切断加工する際に最後に切断される第2の辺の端部から第1所定距離D1以内に位置するか否かを判定する。第1所定距離D1の長さは、予め試験などにより決定されてもよく、操作表示部22によりオペレータが設定可能であってもよい。
【0068】
判定部214は、第1の位置P11が、端部Eから第1所定距離D1以内に位置する場合には、ソフトジョイントの位置を補正したときに設定した基準辺と対辺とを入れ替えて、ソフトジョイントの位置の補正を行う。判定部214は、基準辺と対辺とを入れ替えてソフトジョイントの位置の補正を行った後に、再度第2のNG判定を行う。判定部214は、基準辺と対辺を入れ替えてソフトジョイントの位置の補正を行った後でも、ソフトジョイントの位置が、端部Eから第1所定距離D1以内に位置する場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。この場合、判定部214は、全てのソフトジョイントの割付データを削除する。
【0069】
このように、判定部214は、第1の辺がソフトジョイントにより押圧される第1の位置が、第1の辺のレーザ切断加工において最後に切断される第1の辺の端部から第1所定距離以内に位置する場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。また、判定部214は、第1の辺に対向する第2の辺がソフトジョイントにより押圧される第2の位置が、第2の辺のレーザ切断加工において最後に切断される第2の辺の端部から第1所定距離以内に位置する場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。
【0070】
また、上述したようにソフトジョイントの位置を補正すると、ソフトジョイントを形成するための切断経路が製品の外周を切り出すための切断経路から所定距離以内に位置する場合がある。判定部214は、ソフトジョイントの位置の補正を行った後に、ソフトジョイントを形成するための切断経路から第2所定距離以内に、製品の外周を切り出すための切断経路が存在する場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する(第3のNG判定)。
【0071】
第3のNG判定について、図13を参照して説明する。図13は、ソフトジョイントの第3のNG判定の条件を説明する図である。図13において、判定部214は、ソフトジョイントを形成するための切断経路Sppから第2所定距離D2の範囲A2内に、製品1の外周を切り出すための切断経路が存在するか否かを判定する。図13においては、判定部214は、ソフトジョイントを形成するための切断経路Sppから範囲A2内に、製品1のピアス及びアプローチと、製品1の凸部の切断経路が存在すると判定する。第2所定距離の長さは、予め試験などにより決定されてもよく、操作表示部22によりオペレータが設定可能であってもよい。
【0072】
判定部214は、ソフトジョイントを形成するための切断経路Sppから第2所定距離D2以内に、製品の外周を切り出すための切断経路が存在する場合には、ソフトジョイントの位置を補正したときに設定した基準辺と対辺とを入れ替えて、ソフトジョイントの位置の補正を行う。判定部214は、基準辺と対辺とを入れ替えてソフトジョイントの位置の補正を行った後に、再度第3のNG判定を行う。判定部214は、基準辺と対辺を入れ替えてソフトジョイントの位置の補正を行った後も、ソフトジョイントを形成するための切断経路から第2所定距離以内に、製品の外周を切り出すための切断経路が存在する場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。この場合、判定部214は、全てのソフトジョイントの割付データを削除する。
【0073】
なお、第2のNG判定及び第3のNG判定は、第1のNG判定の後に行われればよく、第2のNG判定と第3のNG判定の順序は限定されない。
【0074】
さらに、上述したようにソフトジョイントの位置を補正すると、ソフトジョイントの位置が、製品内の穴をレーザ切断加工するときの切断経路から第3所定距離以内に位置する場合がある。判定部214は、第1~第3のNG判定を行ったあとに、ソフトジョイントの位置が、製品内の穴をレーザ切断加工するときの切断経路から第3所定距離以内に位置する場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する(第4のNG判定)。
【0075】
第4のNG判定について、図14を参照して説明する。図14は、ソフトジョイントの第4のNG判定の条件を説明する図である。図14において、判定部214は、ソフトジョイントの位置P13が、製品1内の穴Hをレーザ切断加工するときの切断経路から第3所定距離D3以内の範囲A3に位置するか否かを判定する。第3所定距離の長さは、予め試験などにより決定されてもよく、操作表示部22によりオペレータが設定可能であってもよい。
【0076】
判定部214は、ソフトジョイントの位置P13が、製品内の穴Hをレーザ切断加工するときの切断経路から第3所定距離D3以内に位置する場合には、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。この場合、判定部214は、全てのソフトジョイントの割付データを削除する。
【0077】
判定部214は、第1~4のNG判定において、ソフトジョイントの位置が適切であると判定された場合には、ソフトジョイントの割付データを加工プログラム生成部215に送信する。
【0078】
[NG判定処理の流れ]
次に、判定部214によるNG判定処理の流れについて、図15A及び図15Bを参照して説明する。図15A及び図15Bは、本実施形態に係る割付データ作成装置21の判定部214によるNG判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0079】
まず、図15AのステップS101において、判定部214は、互いに対向する第1及び第2の辺の各々にソフトジョイントが割り付けられた場合に、第1及び第2の辺の各々の傾きを算出する。すなわち、ソフトジョイントが押圧する互いに対向する各辺の傾きを算出する。
【0080】
処理はステップS102に進み、判定部214は、第1のNG判定を行う。すなわち、判定部214は、ソフトジョイントが押圧する、互いに対向する第1及び第2の辺が平行か否かを判定する。第1及び第2の辺が平行な場合、すなわちステップS102の第1のNG判定でOKの場合には、処理はステップS103に進む。一方、第1及び第2の辺が平行でない場合、すなわちステップS102でNGの場合は、処理はステップS109に進み、判定部214は、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。そして、処理はステップS110に進み、判定部214は、全てのソフトジョイントの割付データを削除して、図15Aの処理を終了する。
【0081】
ステップS103においては、判定部214は、対向する第1及び第2の辺のうちの一方を基準辺として設定し、他方を対辺として設定する。処理はステップS104に進み、判定部214は、基準辺がソフトジョイントにより押圧される位置と、対辺がソフトジョイントにより押圧される位置とが垂線でつながるように、対辺を押圧するソフトジョイントの位置を対辺の方向に沿って移動する。
【0082】
処理はステップS105に進み、判定部214は、第2のNG判定を行う。すなわち、判定部214は、第1の辺がソフトジョイントにより押圧される第1の位置が、第1の辺のレーザ切断加工において最後に切断される第1の辺の端部(終点)から第1所定距離以内に位置する場合、又は、第2の辺がソフトジョイントにより押圧される第2の位置が、第2の辺のレーザ切断加工において最後に切断される第2の辺の端部(終点)から第1所定距離以内に位置するか否かを判定する。
【0083】
第1及び第2の位置の少なくとも一方が、第1及び第2の辺の終点から第1所定距離以内に位置する場合、すなわちステップS105の第2のNG判定でNGの場合には、処理はステップS106に進む。一方、第1及び第2の位置が、第1及び第2の辺の終点から第1所定距離以内に位置しない場合、すなわちステップS105の第2のNG判定でOKの場合には、処理は図15BのステップS111に進む。
【0084】
ステップS106において、判定部214は、ステップS103で設定した基準辺と対辺を入れ替える。処理はステップS107に進み、判定部214は、ステップS104と同様に、入れ替えた後の基準辺がソフトジョイントにより押圧される位置と、入れ替えた後の対辺がソフトジョイントにより押圧される位置とが垂線でつながるように、対辺を押圧するソフトジョイントの位置を対辺の方向に沿って移動する。
【0085】
処理はステップS108に進み、判定部214は、再度第2のNG判定を行う。ステップS108の第2のNG判定でNGの場合には、処理はステップS109に進み、判定部214は、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。そして、処理はステップS110に進み、判定部214は、全てのソフトジョイントの割付データを削除して、図15Aの処理を終了する。一方、ステップS108の第2のNG判定でOKの場合には、処理は図15BのステップS111に進む。
【0086】
図15BのステップS111において、判定部214は、第3のNG判定を行う。すなわち、判定部214は、ソフトジョイントを形成するための切断経路から第2所定距離以内に、製品の外周を切り出すための切断経路が存在するか否かを判定する。ソフトジョイントを形成するための切断経路から第2所定距離以内に、製品の外周を切り出すための切断経路が存在する場合、すなわちステップS111の第3のNG判定でNGの場合には、処理はステップS112に進む。一方、ソフトジョイントを形成するための切断経路から第2所定距離以内に、製品の外周を切り出すための切断経路が存在しない場合、すなわちステップS111の第3のNG判定でOKの場合には、処理はステップS117に進む。
【0087】
ステップS112において、判定部214は、ステップS103で設定した基準辺と対辺を入れ替える。処理はステップS113に進み、判定部214は、ステップS104と同様に、入れ替えた後の基準辺がソフトジョイントにより押圧される位置と、入れ替えた後の対辺がソフトジョイントにより押圧される位置とが垂線でつながるように、対辺を押圧するソフトジョイントの位置を対辺の方向に沿って移動する。
【0088】
処理はステップS114に進み、判定部214は、再度第3のNG判定を行う。ステップS114の第3のNG判定でNGの場合には、処理はステップS115に進み、判定部214は、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。そして、処理はステップS116に進み、判定部214は、全てのソフトジョイントの割付データを削除して、図15Bの処理を終了する。一方、ステップS114の第3のNG判定でOKの場合には、処理はステップS117に進む。
【0089】
ステップS117において、判定部214は、第4のNG判定を行う。すなわち、判定部214は、ソフトジョイントが製品の外周を押圧する位置が、製品内の穴をレーザ切断加工するときの切断経路から第3所定距離以内に位置するか否かを判定する。ソフトジョイントが製品の外周を押圧する位置が、製品内の穴をレーザ切断加工するときの切断経路から第3所定距離以内に位置する場合、すなわちステップS117の第4のNG判定でNGの場合には、処理はステップS115に進み、判定部214は、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定する。そして、処理はステップS116に進み、判定部214は、全てのソフトジョイントの割付データを削除して、図15Bの処理を終了する。一方、ステップS117の第4のNG判定でOKの場合には、処理はステップS118に進む。
【0090】
ステップS118において、判定部214は、割付データを加工プログラム生成部215に送信して、図15Bの処理を終了する。
【0091】
[作用効果]
一実施形態の割付データ作成装置21及び割付データ作成方法によれば、ソフトジョイントを割り付けした後に、製品の形状に基づいて、割り付けしたソフトジョイントの位置が、製品を保持できる適切な位置か否かを判定する。押圧突出部が製品を保持できる適切な位置に割り付けされていない場合には、割り付けしたソフトジョイントを削除することができ、レーザ加工機は、ソフトジョイントが適切な位置の場合のみソフトジョイントをレーザ切断加工することができる。これにより、製品の周縁に割り付けたソフトジョイントの実効性を向上することができる。
【0092】
また、一実施形態の割付データ作成装置21及び割付データ作成方法によれば、ソフトジョイントが割り付けられ、互いに対向する第1の辺及び第2の辺が平行でない場合に、ソフトジョイントの位置が、製品を保持できる適切な位置ではないと判定できる。
【0093】
また、一実施形態の割付データ作成装置21及び割付データ作成方法によれば、ソフトジョイントが割り付けられ、互いに対向する第1の辺及び第2の辺が平行である場合に、ソフトジョイントの位置を補正する。ソフトジョイントが割り付けられた、互いに対向する第1及び第2の辺のうちの一方の辺がソフトジョイントにより押圧される位置と、他方の辺がソフトジョイントにより押圧される位置とが垂線でつながるように、ソフトジョイントの位置を補正できる。これにより、ソフトジョイントが割り付けられ、互いに対向する第1の辺及び第2の辺が平行である場合に、ソフトジョイントの位置が互いに対向する対角線上に位置するように補正できるため、ソフトジョイントにより製品をより安定して保持できる。
【0094】
また、一実施形態の割付データ作成装置21及び割付データ作成方法によれば、ソフトジョイントの位置が、ソフトジョイントが割り付けられた製品の周縁のある1辺をレーザ切断加工する際に最後に切断される辺の端部から第1所定距離以内に位置する場合に、ソフトジョイントの位置が製品を保持できる適切な位置ではないと判定できる。
【0095】
また、一実施形態の割付データ作成装置21及び割付データ作成方法によれば、ソフトジョイントを形成するための切断経路から第2所定距離以内に、製品の周縁を切り出すための切断経路が存在する場合に、ソフトジョイントの位置が製品を保持できる適切な位置ではないと判定できる。
【0096】
また、一実施形態の割付データ作成装置21及び割付データ作成方法によれば、ソフトジョイントが製品の周縁を押圧する位置が、製品内の穴をレーザ切断加工するときの切断経路から第3所定距離以内に位置する場合に、ソフトジョイントの位置が製品を保持できる適切な位置ではないと判定できる。
【0097】
また、一実施形態の割付データ作成装置21及び割付データ作成方法によれば、ソフトジョイントの位置が適切でないと判定した場合には、割り付けたソフトジョイントの割付データを削除することができる。これにより、品を保持できる適切な位置ではないソフトジョイントを加工することを抑制できる。
【符号の説明】
【0098】
1 製品
12 ソフトジョイント(押圧突出部)
20 CAM(コンピュータ)
21 割付データ作成装置
213 割付部(押圧突出部割付部)
214 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B