(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085096
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を脱色する及び/又は明色化するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/22 20060101AFI20240619BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
A61K8/22
A61Q5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022199440
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マチルド・ガファール
(72)【発明者】
【氏名】アドリヤン・ケゼール
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・マレ
(72)【発明者】
【氏名】アデリーノ・ナカノ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB411
4C083AB412
4C083AD352
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB13
4C083BB43
4C083BB45
4C083CC35
4C083DD06
4C083DD17
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE27
4C083EE29
(57)【要約】
【課題】毛髪への損傷を少なくしつつ、毛髪の色味を効果的にリフトすることができる、毛髪の色味をリフトするための改善された方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、毛髪を脱色する及び/又は明色化する方法であって、
(i)酵素以外の少なくとも1種の過酸化水素生成系を含む脱色性組成物を、過酸化水素を含む酸化性組成物と混合して、処置組成物を調製する工程と、
(ii)処置組成物を毛髪に適用する工程と、
(iii)超音波を毛髪に適用する工程と
を含む、方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を脱色する及び/又は明色化するための方法であって、
(i)酵素以外の少なくとも1種の過酸化水素生成系を含む脱色性組成物を、過酸化水素を含む酸化性組成物と混合して、処置組成物を調製する工程と、
(ii)処置組成物を毛髪に適用する工程と、
(iii)超音波を毛髪に適用する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
脱色性組成物中の過酸化水素生成系が、過酸素化塩から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
過酸素化塩が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばカリウム、ナトリウム及びマグネシウム、並びにこれらの組み合わせの、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過酸の塩及び過炭酸塩から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
脱色性組成物が、粉末又はペーストの形態にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
酸化性組成物が、25℃にて、100Pa・s未満、好ましくは70Pa・s未満、より好ましくは40Pa・s未満の粘度を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
酸化性組成物が、過酸化水素を、組成物の総質量に対して、0.5質量%~12質量%、好ましくは1質量%~9質量%、より好ましくは2質量%~6質量%の量で含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
超音波の波長が、25kHz~100kHz、好ましくは27kHz~75kHz、より好ましくは30kHz~50kHzである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
超音波が、工程(iii)において、10分~40分間毛髪に適用される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
超音波が、40℃未満、好ましくは35℃未満の温度にて毛髪に適用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
超音波が、工程(iii)において、間欠的に又は連続的に毛髪に適用される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
脱色性組成物が、少なくとも1種のアルカリ性剤を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
総ての脱色性組成物と、酸化性組成物との質量比が、10:1~1:10、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは3:1~1:3である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
脱色性組成物が、過酸化水素生成系を、組成物の総質量に対して、10質量%~80質量%、好ましくは20質量%~70質量%、より好ましくは30質量%~60質量%の量で含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
脱色性組成物が、水を、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下の量で含んでもよく、又は脱色性組成物が水を含まない、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
酸化性組成物が、水を、組成物の総質量に対して、30質量%~99質量%、好ましくは50質量%~97質量%、より好ましくは70質量%~95質量%の量で含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を脱色する及び/又は明色化(lighten)するための方法、特に超音波を用いて毛髪を脱色する及び/又は明色化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者が、例えば毛髪の色味、スタイル及び/若しくは形状を変化させることにより、且つ/又は多様な特性、例えば光沢及びコンディショニングを毛髪に付与することにより、毛髪等のケラチン基質の外観を向上させる化粧用及びケア組成物の使用を望んでいることが既知である。毛髪の外観を向上させるための、既知の組成物及び方法の多くは、毛髪の化学的処置を伴う。
【0003】
例えば、毛髪の色味を変更する方法は、毛髪に異なった色相若しくは色味をもたらす人工的な色味を毛髪に堆積させること、及び/又は毛髪の色味をリフトすること、例えば、暗い毛髪の色味をより明るい色相へと脱色する又は明色化すること、ができる。毛髪の色味をリフトする方法は、脱色及び明色化としても知られ、一般に、少なくとも1種の酸化剤を含む組成物の使用を必要とする。
【0004】
一般に、毛髪明色化組成物又は色味リフト組成物、及び染毛組成物は、これらの組成物が7を上回るpH値を有し、典型的にはpH9以上であるようなアルカリ度を持ち、一般に、アンモニア若しくはアンモニアガス生成化合物、及び/又はアミン若しくはアンモニウム系化合物等のアルカリ性化剤が、そのような組成物をアルカリ性にするのに十分な量で存在することを必要としうる。アルカリ性化剤は、毛髪が膨潤することを引き起こし、そのようにして脱色性活性剤又は酸化性染料小分子がキューティクル及びコルテックスに透過することを可能にする。
【0005】
染色又はする又は色味リフト組成物及びアルカリ性化剤は毛髪の色味を効果的に変更することができるが、これらの化学的処置は、毛髪繊維を損傷し、且つ/又は頭皮に刺激を与えるおそれがある。そのため、上に挙げた欠点を低減する又は回避するために、毛髪の色味を変更する効果的な方法が開発されてきた。開発された技術のうちの1つには、超音波の利用が挙げられる。
【0006】
例えば、US-A-2013/0125916は、毛髪を染色する方法であって、
a.超音波を放出する超音波ホーンの表面に着色剤を送達することにより、着色剤を含有するスプレーを生成する工程と、
b.着色剤を含有するスプレーを毛髪に適用するために超音波を利用することによって、1本の毛髪のキューティクル内のスペース中に着色剤を堆積させる工程と、
c.適用済み着色剤内のキャビテーションを生成することによって、1本の毛髪のコルテックス中へ、キューティクル内のスペース内に着色剤を押し込む工程と
を含む、方法を開示している。
【0007】
更に、WO2007/140460は、ケラチン繊維を処置する方法であって、
(a)処置媒質を前記ケラチン繊維に適用する工程と、
(b)前記処置媒質に接触しており且つ前記ケラチン繊維の近位にある超音波装置にエネルギーを与える工程であり、前記処置媒質が、前記超音波装置と前記処置済みケラチン繊維との間のエネルギー移行を促進し、それにより前記ケラチン繊維が前記エネルギー移行の結果として処置される、工程と
を含む、方法を開示している。
【0008】
しかしながら、毛髪の色味をリフトする効果的な方法を開発する要求が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US-A-2013/0125916
【特許文献2】WO2007/140460
【特許文献3】US5,008,093
【特許文献4】US3,376,110
【特許文献5】US5,183,901
【特許文献6】US-A-5364633
【特許文献7】US-A-5411744
【特許文献8】FR-2416723
【特許文献9】US2,798,053
【特許文献10】US2,923,692
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、毛髪への損傷を少なくしつつ、毛髪の色味を効果的にリフトすることができる、毛髪の色味をリフトするための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記の目的は、毛髪を脱色する及び/又は明色化するための方法であって、
(i)酵素以外の少なくとも1種の過酸化水素生成系を含む脱色性組成物を、過酸化水素を含む酸化性組成物と混合して、処置組成物を調製する工程と、
(ii)該処置組成物を毛髪に適用する工程と、
(iii)超音波を毛髪に適用する工程と
を含む、方法によって達成することができる。
【0012】
過酸化水素生成系は、過酸素化塩から選択することができる。
【0013】
過酸素化塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばカリウム、ナトリウム及びマグネシウム、及びこれらの組み合わせの、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過酸の塩及び過炭酸塩から選択することができる。
【0014】
脱色性組成物は、粉末又はペーストの形態にあってよい。
【0015】
酸化性組成物は、25℃にて、100Pa・s未満、好ましくは70Pa・s未満、より好ましくは40Pa・s未満の粘度を有してよい。
【0016】
酸化性組成物は、過酸化水素を、組成物の総質量に対して、0.5質量%~12質量%、好ましくは1質量%~9質量%、より好ましくは2質量%~6質量%の量で含んでよい。
【0017】
超音波の波長は、25kHz~100kHz、好ましくは27kHz~75kHz、より好ましくは30kHz~50kHzであってよい。
【0018】
超音波は、工程(iii)において、10分~40分間毛髪に適用されてよい。
【0019】
超音波は、40℃未満、好ましくは35℃未満の温度にて毛髪に適用されてよい。
【0020】
超音波は、工程(iii)において、間欠的に又は連続的に毛髪に適用されてよい。
【0021】
脱色性組成物は、少なくとも1種のアルカリ性剤を含んでよい。
【0022】
総ての脱色性組成物と、酸化性組成物との質量比は、10:1~1:10、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは3:1~1:3であってよい。
【0023】
脱色性組成物は、過酸化水素生成系を、組成物の総質量に対して、10質量%~80質量%、好ましくは20質量%~70質量%、より好ましくは30質量%~60質量%の量で含んでよい。
【0024】
脱色性組成物は、水を、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下の量で含んでもよく、又は脱色性組成物は水を含まなくてもよい。
【0025】
酸化性組成物は、水を、組成物の総質量に対して、30質量%~99質量%、好ましくは50質量%~97質量%、より好ましくは70質量%~95質量%の量で含んでよい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
鋭意検討の結果、本発明者らは、本発明による方法が、酸化剤の量がより少なく且つ/又は処置時間がより短いために、毛髪への損傷を少なくしつつ、毛髪を脱色する及び/又は明色化することができることを、驚くべきことに見出した。加えて、本発明者らは、低粘度の処置組成物が、より良好な色味リフト効果をもたらすことができ、そのため本発明を完了したことを、驚くべきことに見出した。
【0027】
そのため、本発明は、毛髪を脱色する及び/又は明色化するための方法であって、
(i)酵素以外の少なくとも1種の過酸化水素生成系を含む脱色性組成物を、過酸化水素を含む酸化性組成物と混合して、処置組成物を調製する工程と、
(ii)該処置組成物を毛髪に適用する工程と、
(iii)超音波を毛髪に適用する工程と
を含む、方法である。
【0028】
本明細書で以降、本発明による方法を詳細に説明する。
【0029】
[方法]
本発明による方法は、毛髪を脱色する及び/又は明色化する方法であって、
(i)酵素以外の少なくとも1種の過酸化水素生成系を含む脱色性組成物を、過酸化水素を含む酸化性組成物と混合して、処置組成物を調製する工程と、
(ii)該処置組成物を毛髪に適用する工程と、
(iii)超音波を毛髪に適用する工程と
を含む、方法である。
【0030】
本発明による方法は、超音波処置を利用して毛髪を脱色する及び/又は明色化することが意図される。
【0031】
本発明による方法は、周囲状況において、すなわち大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)にて、実施することができる。
【0032】
本発明による方法は、毛髪への損傷を少なくしつつ、毛髪を効果的に脱色する及び/又は明色化することができる。
【0033】
本発明による方法は、少なくとも工程(i)~(iii)を含む。これらの工程は、以下に詳細に記載される。
【0034】
工程(i)
工程(i)は、酵素以外の少なくとも1種の過酸化水素生成系を含む脱色性組成物を、過酸化水素を含む酸化性組成物と混合して、処置組成物を調製する工程である。
【0035】
(脱色性組成物)
脱色性組成物は、溶液、ゲル、ローション、セラム、サスペンション、分散体、流体、乳液、ペースト、クリーム、エマルション(O/W型又はW/O型)、多層(例えば、W/O/W、ポリオール/O/W及びO/W/O)エマルション、粉末等の多様な形態を取ってよい。特定の一実施形態では、本発明の脱色性組成物は、粉末又はペーストの形態にある。
【0036】
用語「ペースト」は、本明細書では、25℃にて及び大気圧(760mmHg)にて、2Pa・s超、好ましくは10Pa・s超、より好ましくは15Pa・s超の粘度を有する組成物を意味する。
【0037】
過酸化水素生成系として挙げることができるのは、(a)過酸化物の塩、(b)過酸化尿素、(c)過酸化水素を放出することができるポリマー錯体、及び(d)アルカリ金属臭素酸塩、並びにフェリシアニドである。本発明の脱色性組成物は、1つのタイプの過酸化水素生成系、又は2つ以上のタイプの過酸化水素生成系を組み合わせて含んでよい。
【0038】
(a)過酸化物の塩はまた、過酸素化塩、又は過酸塩(persalt)とも表すことができる。過酸化物の塩の例として挙げることができるのは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばカリウム、ナトリウム及びマグネシウム、及びこれらの組み合わせの、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過酸の塩及び過炭酸塩である。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によれば、過酸化水素生成系は、(a)過硫酸塩の過酸化物の塩から選択され、より好ましくは過硫酸ナトリウム及び/又は過硫酸カリウム、並びにこれらの混合物から選択される。
【0040】
(c)過酸化水素を放出することができるポリマー錯体として挙げることができるのは、特定すると粉末形態にある、ポリビニルピロリドン/lHbC錯体、並びにUS5,008,093、US3,376,110、及びUS5,183,901に記載されている他のポリマー錯体である。
【0041】
本発明の過酸化水素生成系は、酵素以外のもの、例えば基質の存在において過酸化水素を生成する、ラッカーゼを含むオキシダーゼから選択される。本発明の一実施形態では、脱色性組成物は、酵素を、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特定すると1質量%以下の量で含む。本発明の別の一実施形態では、脱色性組成物は、オキシダーゼ等の酵素を含まない。
【0042】
過酸化水素生成系は、脱色性組成物中に、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上の量で存在してよく、且つ/又は80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下の量で存在してよい。
【0043】
過酸化水素生成系は、脱色性組成物中に、組成物の総質量に対して、10質量%~80質量%、好ましくは20質量%~70質量%、より好ましくは30質量%~60質量%の量で存在してよい。
【0044】
本発明の脱色性組成物は、アルカリ性pH値を好ましくは有してよい。例えば、脱色性組成物のうちの1質量%の水溶液は、8~12、好ましくは8.5~11.5、より好ましくは9~11の範囲のpH値を有する。
【0045】
本実施形態では、本発明の脱色性組成物は、少なくとも1種のアルカリ性剤を含んでよい。2つ以上のタイプのアルカリ性剤を組み合わせて使用してもよい。そのため、脱色性組成物中で、単一のタイプのアルカリ性剤、又は異なるタイプのアルカリ性剤の組み合わせを使用することができる。
【0046】
アルカリ性剤は、無機アルカリ性剤であってもよい。無機アルカリ性剤が、アンモニア;アンモニウム塩;アルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属リン酸塩及びリン酸一水素塩、例えばリン酸ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムからなる群から選択されることが可能でありうる。
【0047】
無機アルカリ金属水酸化物の例として挙げることができるのは、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。アルカリ土類金属水酸化物の例として挙げることができるのは、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムである。
【0048】
アンモニウム塩は、有機アンモニウム塩であっても無機アンモニウム塩であってもよい。有機アンモニウム塩は、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、リジン、アルギニンとのアンモニウム塩;及びギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、及びアルキルアンモニウム水酸化物、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、及びこれらの混合物から選択することができる。無機アンモニウム塩は、例えば、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及びリン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0049】
アルカリ性剤は、有機アルカリ性剤であってもよい。有機アルカリ性剤が、モノアミン及びその誘導体;ジアミン及びその誘導体;ポリアミン及びその誘導体;塩基性アミノ酸及びその誘導体;塩基性アミノ酸のオリゴマー及びその誘導体;塩基性アミノ酸のポリマー及びその誘導体;尿素及びその誘導体;並びにグアニジン及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
【0050】
有機アルカリ性剤の例として挙げることができるのは、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミン、並びにイソプロパノールアミン;尿素、グアニジン及びそれらの誘導体;塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン又はアルギニン;並びにジアミン、例えば構造:
【0051】
【0052】
(式中、Rは、ヒドロキシル基又はC1~C4アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、R1、R2、R3及びR4は、独立に、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、これは、1,3-プロパンジアミン及びその誘導体によって例示されうる)
において説明されているものである。アルギニン、尿素及びモノエタノールアミンが好ましい場合がある。
【0053】
アルカリ性剤は、脱色性組成物中に、組成物の総質量に対して、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上の量で存在してよく、且つ/又は60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下の量で存在してよい。
【0054】
アルカリ性剤は、脱色性組成物中に、組成物の総質量に対して、3質量%~60質量%、好ましくは5質量%~50質量%、より好ましくは10質量%~40質量%の量で存在してよい。
【0055】
本発明の一実施形態では、脱色性組成物は、水を、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下の量で含んでよい。本発明の別の一実施形態では、脱色性組成物は、水を含まず、すなわち脱色性組成物は無水である。
【0056】
本発明による脱色性組成物は、当業者に周知の方法のうちのいずれかに従って、上記の必須の成分と任意選択の成分とを混合することによって調製することができる。
【0057】
(酸化性組成物)
酸化性組成物は、溶液、ゲル、ローション、セラム、サスペンション、分散体、流体、乳液、ペースト、クリーム、エマルション(O/W型又はW/O型)、多層(例えば、W/O/W、ポリオール/O/W及びO/W/O)エマルション、粉末等の多様な形態を取ってよい。好ましい一実施形態では、本発明の酸化性組成物は、溶液、サスペンション、分散体又はエマルション(O/W型又はW/O型)の形態にある。
【0058】
本発明の酸化性組成物は、過酸化水素を含む。過酸化水素は、酸化性組成物中に、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上の量で存在してよく、且つ/又は12質量%以下、好ましくは9質量%以下、より好ましくは6質量%以下の量で存在してよい。
【0059】
過酸化水素は、酸化性組成物中に、組成物の総質量に対して、0.5質量%~12質量%、好ましくは1質量%~9質量%、より好ましくは2質量%~6質量%の量で存在してよい。
【0060】
酸化性組成物は、少なくとも1種の過酸化水素安定剤を含んでよく、これは、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属ピロリン酸塩、アルカリ金属及びアルカリ土類金属スズ酸塩、フェナセチン、及び酸とオキシキノリンとの塩、例えば硫酸オキシキノリンから選ぶことができる。別の実施形態では、少なくとも1種のピロリン酸塩と任意選択で組み合わされた少なくとも1種のスズ酸塩が使用される。
【0061】
過酸化水素安定剤の濃度は、酸化性組成物の総質量に対して、0.0001質量%~5質量%、例えば0.01質量%~2質量%の範囲であってよい。過酸化水素の、可能な少なくとも1種の安定剤に対する濃度比は、0.05:1~1000:1、例えば0.1:1~500:1等、更に例えば1:1~200:1の範囲であってよい。
【0062】
酸化性組成物は、水を含んでよい。水は、酸化性組成物中に、組成物の総質量に対して、30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上の量で存在してよく、且つ/又は99質量%以下、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下の量で存在してよい。
【0063】
水は、酸化性組成物中に、組成物の総質量に対して、30質量%~99質量%、好ましくは50質量%~97質量%、より好ましくは70質量%~95質量%の量で存在してよい。
【0064】
本発明の酸化性組成物は、酸性pH値を好ましくは有してよい。例えば、酸化性組成物は、2~6.5、好ましくは2.5~6、より好ましくは3~5.5の範囲のpH値を有してよい。
【0065】
本発明の一実施形態では、酸化性組成物は、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、ゲル、液体又は低粘度液体の形態にあってよい。本明細書では、「液体」は、酸化性組成物が、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、室温(25℃)にて、液体又はペースト(非固体)の形態にあることを意味する。
【0066】
本発明の酸化性組成物は、室温(25℃)にて、100Pa・s未満、好ましくは70Pa・s未満、より好ましくは40Pa・s未満の粘度を有してよい。粘度の下限は限定されないが、一般に、組成物は、室温にて、1mPa・s超の粘度を有する。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明の脱色性組成物と酸化性組成物との混合物は、室温(25℃)にて、100Pa・s未満、好ましくは70Pa・s未満、より好ましくは40Pa・s未満の粘度を有してよい。粘度の下限は限定されないが、一般に、組成物は、室温にて、1mPa・s超の粘度を有する。
【0068】
本発明のいくつかの特定の実施形態では、本発明の酸化性組成物は、室温(25℃)にて、30Pa・s未満、好ましくは20Pa・s未満、より好ましくは10Pa・s未満の粘度を有してよい。
【0069】
酸化性組成物のそれぞれの粘度は、VISCOMETRON(商標)粘度計(芝浦機械株式会社製のVDA Type)を用いて室温にて測定された。粘度(mPa.s-1)は、ローター第2番を用いて算出される。
【0070】
総ての脱色性組成物と、酸化性組成物との混合比は、特に限定されない。一般に、総ての脱色性組成物と、酸化性組成物との質量比は、10:1~1:10又は7:1~1:7、好ましくは5:1~1:5又は4:1~1:4、より好ましくは3:1~1:3又は2:1~1:2であってよい。
【0071】
酸化性組成物は、脱色性組成物よりも多い量で使用されうる。したがって、総ての脱色性組成物の、酸化性組成物に対する混合比は、1超で10以下、1超で7以下、好ましくは1超で5以下、1超で4以下、より好ましくは1超で3以下、及び1超で2以下であってよい。
【0072】
脱色性組成物と酸化性組成物との混合は、当業者に周知である任意の手段を用いて行うことができる。混合は、混合物が均質になり、処置組成物が得られるまで、実施される。
【0073】
本発明の脱色性組成物及び/又は酸化性組成物はまた、以下のような1種又は複数の追加の成分も含んでよい。
【0074】
- 脂肪化合物
脱色性組成物及び/又は酸化性組成物、好ましくは本発明の酸化性組成物は、少なくとも1種の脂肪化合物を含んでよい。2種以上の脂肪化合物を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一のタイプの脂肪化合物、又は異なるタイプの脂肪化合物の組み合わせを使用することができる。
【0075】
用語「脂肪化合物」は、常温(25℃)にて及び大気圧(760mmHg)にて水に不溶性である(5%未満、好ましくは1%、更により優先的には0.1%の溶解度)有機化合物を意味する。
【0076】
脂肪化合物のタイプは特に限定されず、本発明の効果が得られる限り、任意のタイプの脂肪化合物を使用することができる。
【0077】
脂肪化合物は、液体の形態にあっても固体の形態にあってもよい。本明細書では、「液体」及び「固体」は、脂肪化合物が、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、室温(25℃)にて、それぞれ液体又はペースト(非固体)又は固体の形態にあることを意味する。脂肪化合物が、室温にて及び大気圧下で、ペースト又は固体の形態にある、好ましくは固体の形態にある、少なくとも1種の脂肪化合物を含むことが好ましい。
【0078】
脂肪化合物は、動物又は植物起源の油、鉱油、合成グリセリド;動物又は植物油及び合成グリセリド以外の脂肪アルコール及び/又は脂肪酸のエステル、脂肪アルコール、脂肪酸、シリコーン油、並びに脂肪族炭化水素からなる群から選択することができる。これらの脂肪化合物は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。好ましくは、脂肪化合物は、動物又は植物起源の油、合成グリセリド、動物又は植物油及び合成グリセリド以外の脂肪エステル、脂肪アルコール、脂肪酸、シリコーン油、並びに脂肪族炭化水素からなる群から選択される。より好ましくは、脂肪化合物は、脂肪アルコール、脂肪族炭化水素、好ましくは鉱油、及びこれらの混合物から選択される。
【0079】
脂肪族炭化水素の例として挙げることができるのは、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばParleam、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物である。
【0080】
他の脂肪族炭化水素の例としてまた挙げることができるのは、直鎖状若しくは分枝状の、又は場合により環状のC6~C16低級アルカンである。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン並びにイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソデカン、及びC13~C14イソパラフィンがある。
【0081】
合成グリセリドの例として挙げることができるのは、例としては、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例としてはStearineries Dubois社により販売されているもの、又はDynamit Nobel社により名称Miglyol(登録商標)810、812及び818で販売されているものである。
【0082】
シリコーン油の例として挙げることができるのは、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルヒドロゲンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;及びこれらの混合物である。
【0083】
植物油の例として挙げることができるのは、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、アプリコット油、ダイズ油、アララ油、ヘーゼルナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、紅花油、ホホバ油、アーモンド油、ブドウ種子油、ゴマ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物である。動物油の例として挙げることができるのは、例えば、スクワレン、ペルヒドロスクワレン及びスクワランである。
【0084】
有利には上に挙げた動物又は植物油及び合成グリセリドとは異なる、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステルの例として特に挙げることができるのは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族モノ-又はポリアルコールとのエステルであって、総炭素数が10以上であるエステルである。
【0085】
モノエステルの中で挙げることができるのは、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸セチル、乳酸C12~C15アルキル、乳酸イソステアリル、乳酸ラウリル、乳酸リノレイル、乳酸オレイル、オクタン酸(イソ)ステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸セチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オクタン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソステアリル、アセチルリシノール酸メチル、ステアリン酸ミリスチル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、ペラルゴン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、エルカ酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸エチル及びパルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル又はミリスチン酸ステアリル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、並びにラウリン酸2-ヘキシルデシルである。
【0086】
本組成物はまた、脂肪エステルとして、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを含んでよい。用語「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基ありで又はなしで、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含有する、酸素含有炭化水素系化合物を意味する。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0087】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特に、メチル誘導体等のアルキル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0088】
脂肪酸の糖エステルは、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から、特に選択することができる。脂肪酸が不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。
【0089】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特に、オレオ-パルミチン酸、オレオ-ステアリン酸及びパルミト-ステアリン酸の各混合エステルから選択することができる。
【0090】
脂肪化合物は、少なくとも1種の脂肪アルコールを含んでもよく、且つ2種以上の脂肪アルコールが使用されてもよい。
【0091】
用語「脂肪アルコール」は、本明細書では、任意の、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30脂肪アルコールを意味し、これは、特に1つ又は複数の(特定すると1~4つの)ヒドロキシル基で任意選択で置換されている。脂肪酸が不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含みうる。
【0092】
C8~C30脂肪アルコールの中で、例えば、C12~C22脂肪アルコールが使用される。これらの中で挙げることができるのは、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、リノレニルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキドニルアルコール及びエルシルアルコール、並びにこれらの混合物である。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びミリスチルアルコールを、固体の脂肪化合物として使用することができる。別の実施形態では、イソステアリルアルコールを、液体の脂肪化合物として使用することができる。
【0093】
脂肪化合物は、ワックスであってよい。本明細書では、「ワックス」は、脂肪化合物が大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)にて実質的に固体の形態にあり、一般に35℃以上の融点を有することを意味する。ワックス状脂肪化合物として、一般に化粧料中で使用されているワックスを、単独で又はこれらの組み合わせで使用することができる。
【0094】
本発明の好ましい一実施形態によれば、酸化性組成物は、少なくとも1種の脂肪アルコールを含む。
【0095】
脂肪化合物は、脱色性組成物及び/又は酸化性組成物中に、好ましくは酸化性組成物中に、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~40質量%、より好ましくは10質量%~30質量%の範囲の量で含まれうる。
【0096】
- 界面活性剤
本発明の脱色性組成物及び/又は酸化性組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含んでよい。単一のタイプの界面活性剤が使用されてもよいが、2種以上の異なるタイプの界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
【0097】
任意の界面活性剤が本発明のために使用されてよく、本発明の効果が得られうる限り、任意のタイプの界面活性剤を使用することができる。
【0098】
好ましい一実施形態では、本発明のために使用される界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物から選択することができる。好ましくは、本発明のために使用される界面活性剤は、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0099】
・非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤は、3.0~7.0、好ましくは3.5~6.0、より好ましくは4.0~5.0のHLB(親水性親油性バランス)値を有してもよい。或いは、非イオン性界面活性剤は、11~17、好ましくは12~16、より好ましくは13~15のHLB値を有してもよい。2種以上の非イオン性界面活性剤が使用される場合、HLB値は、全ての非イオン性界面活性剤のHLB値の秤量された平均により決定される。
【0100】
非イオン性界面活性剤は、以下から選ぶことができる:
(1)ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化アルキルグリセリド及びポリオキシアルキレン化脂肪エーテルから選ばれる界面活性剤、
(2)脂肪酸又は脂肪アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステル、
(3)糖の脂肪酸エステル、及び糖の脂肪アルコールエーテル、
(4)ソルビタンの脂肪エステル、及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステル、及びオキシアルキレン化脂肪エステルから選ばれる界面活性剤、
(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマー、
(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテル、
(7)シリコーン界面活性剤、並びに
(8)これらの混合物。
【0101】
界面活性剤(1)は、45℃以下の温度にて流体であってよい。
【0102】
界面活性剤(1)は、特に以下であってよい:
- 少なくとも1つの飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪酸と、2~12個のグリセロール、好ましくは2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロールとの、ポリグリセリル脂肪酸エステル、
- ポリオキシエチレン化(PEG化(PEGylated))アルキルグリセリド、例えばカプリル酸及びカプリン酸のモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体(好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~20個のエチレンオキシド単位、更により好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位)、例えば、PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG-7カプリル酸/カプリン酸グリセリド、及びPEG-7グリセリルココエート、
- 少なくとも1つの飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1種の、好ましくは1種の、脂肪アルコールと、2~60個のエチレンオキシド、好ましくは2~30個のエチレンオキシド、より好ましくは2~10個のエチレンオキシドとの、ポリオキシエチレン化脂肪エーテル、並びに
- これらの混合物。
【0103】
ポリグリセリル脂肪酸エステルが、2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロール、更により好ましくは4~6個のグリセロールに由来するポリグリセロール部分を有することが好ましい。
【0104】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の酸、好ましくは飽和の酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びミリスチン酸のモノ、ジ及びトリエステルから選ぶことができる。
【0105】
ポリオキシアルキレン化脂肪エーテル、好ましくはポリオキシエチレン化脂肪エーテルは、2~60個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位を含んでよい。エーテルの脂肪鎖は、ラウリル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル及びセチルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから特に選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エーテルの例は、2個、3個、4個及び5個のエチレンオキシド単位を含むラウリルアルコールエーテル(CTFA名:ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4及びラウレス-5)、例えば、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-2で、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 703で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称EMALEX 705で販売されている製品である。更に挙げることができるのは、例えば、2個、3個、4個、5個及び20個のエチレンオキシド単位を含むステアリルアルコールエーテル(CTFA名:ステアレス-2、ステアレス-3、ステアレス-4、ステアレス-5及びステアレス-20)、例えば、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 602で、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 603で、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BS-4で、及び日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 605で販売されている製品である。
【0106】
ポリオキシアルキレン化脂肪エーテルが、C8~C24脂肪アルコール又はアルコールと、それらのポリオキシアルキレン化誘導体とのポリエチレングリコールエーテル、並びにC4~C24脂肪アルコール又はアルコールのポリプロピレングリコールエーテル、例えばPPG-14ブチルエーテル及びPPG-15ステアリルエーテルであることもまた好ましい。
【0107】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(2)脂肪酸又は脂肪アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル鎖を有する脂肪酸又は脂肪アルコールと、α-ヒドロキシ酸及び/又はコハク酸の、グリセロールとの混合エステルを含む群から特に選ぶことができる。α-ヒドロキシ酸は、例えば、クエン酸、乳酸、グリコール酸又はリンゴ酸、及びこれらの混合物であってよい。
【0108】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルに由来する脂肪酸又は脂肪アルコールのアルキル鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。それらは、特に、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、ベヘン酸、アラキドン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、イソステアリル、ステアリル、リノレイル、オレイル、ベヘニル、ミリスチル、ラウリル又はカプリルの各鎖、及びこれらの混合物であってよい。
【0109】
本発明のナノエマルション中で使用されうる混合エステルの例として挙げることができるのは、Huls社により名称Imwitor 375で販売されている、グリセロールと、クエン酸、乳酸、リノール酸及びオレイン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸グリセリル); Huls社により名称Imwitor 780 Kで販売されている、コハク酸及びイソステアリルアルコールの、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:コハク酸イソステアリルジグリセリル); Huls社により名称Imwitor 370で販売されている、クエン酸及びステアリン酸の、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:クエン酸ステアリン酸グリセリル);Danisco社により名称Lactodan B30又はRylo LA30で販売されている、乳酸及びステアリン酸の、グリセロールとの混合エステル(CTFA名:乳酸ステアリン酸グリセリル)である。
【0110】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(3)糖の脂肪酸エステルは、C8~C22脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物、並びにC14~C22脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選ぶことができる。
【0111】
本発明において使用されうるエステルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪酸は、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状のアルキル鎖又はアルケニル鎖を含む。エステルの脂肪単位は、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル及びカプリン酸エステル、並びにこれらの混合物から特に選ぶことができる。ステアリン酸エステルが使用されることが好ましい。
【0112】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(3)糖の脂肪アルコールエーテルは、45℃以下の温度にて固体でありえ、且つC8~C22脂肪アルコールと、グルコース、マルトース、スクロース又はフルクトースとのエーテル又はエーテル混合物、並びにC14~C22脂肪アルコールとメチルグルコースとのエーテル又はエーテル混合物を含む群から特に選ぶことができる。これらは、特定するとアルキルポリグルコシドである。
【0113】
本発明のナノエマルション中で使用されうるエーテルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪アルコールは、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する、飽和又は不飽和の、直鎖状のアルキル又はアルケニル鎖を含む。該エーテルの脂肪単位は、デシル、セチル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル、パルミチル、ミリスチル、ラウリル、カプリル及びヘキサデカノイルの各単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから特に選ぶことができる。
【0114】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)ソルビタンの脂肪エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪エステルは、ソルビタンのC16~C22脂肪酸エステル及びソルビタンのオキシエチレン化C16~C22脂肪酸エステルを含む群から選ぶことができる。これらは、それぞれ16~22個の炭素原子を含有する少なくとも1つの飽和の直鎖状のアルキル鎖を含む少なくとも1種の脂肪酸と、ソルビトールから又はエトキシル化ソルビトールから形成されうる。オキシエチレン化エステルは、一般に、1~100個のエチレングリコール単位、好ましくは2~40個のエチレンオキシド(EO)単位を含みうる。
【0115】
これらのエステルは、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジン酸エステル、パルミチン酸エステル、及びこれらの混合物から特に選ぶことができる。ステアリン酸エステル及びパルミチン酸エステルを使用することが好ましい。
【0116】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)オキシアルキレン化脂肪エステル、好ましくはエトキシル化脂肪エステルは、1~100個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~60個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位と、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有する少なくとも1つの脂肪酸鎖とから形成されたエステルであってよい。該エステル中の脂肪鎖は、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジン酸エステル及びパルミチン酸エステルの各単位、並びにこれらの混合物から特に選ぶことができる。挙げることができるエトキシル化脂肪エステルの例は、40個のエチレンオキシド単位を含むステアリン酸のエステル、例えばICI社により名称Myrj 52(CTFA名:ステアリン酸PEG-40)で販売されている製品、並びに8個のエチレンオキシド単位を含むベヘン酸のエステル(CTFA名:ベヘン酸PEG-8)、例えばGattefosse社により名称Compritol HD5 ATOで販売されている製品である。
【0117】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマーは、特に、式(I):
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)zH (I)
(式中、x、y及びzは、x+zが2~100の範囲であり、yが14~60の範囲であるような整数である)
のブロックコポリマー、及びそれらの混合物から選ぶことができ、より特定すると、8.0~14.0の範囲のHLB値を有する式(I)のブロックコポリマーから選ぶことができる。
【0118】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、以下からなる群から選択することができる:
PPG-6デシルテトラデセス-30;ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4630で販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-12;ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4612で販売されているもの、
PPG-13デシルテトラデセス-24;ポリオキシエチレン(24)ポリオキシプロピレン(13)デシルテトラデシルエーテル、例えばNOF Corporation社からUNILUBE 50MT-2200Bで販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PEN-4620で販売されているもの、
PPG-4セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-31で販売されているもの、
PPG-8セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-41で販売されているもの、
PPG-4セテス-10;ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-33で販売されているもの、
PPG-4セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-34で販売されているもの、
PPG-5セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(5)セチルエーテル、例えばCroda Inc.社からProcetyl AWSで販売されているもの、
PPG-8セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えば日光ケミカルズ株式会社からNikkol PBC-44で販売されているもの、及び
PPG-23ステアレス-34;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(34 EO)(23 PO)、例えばポーラ化成工業株式会社からUnisafe 34S-23で販売されているもの。これらは、比較的短時間のうちに組成物の温度が上下する場合であっても、長時間にわたり安定性を伴う組成物を提供することができる。
【0119】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(7)シリコーン界面活性剤として挙げることができるのは、US-A-5364633及びUS-A-5411744に開示されているものである。
【0120】
上記の非イオン性界面活性剤としての(7)シリコーン界面活性剤は、好ましくは式(I):
【0121】
【0122】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1つのR1基、R2基又はR3基は、アルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、但し、AとBとが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、
zは、0~5の範囲の整数である]
の化合物であってよい。
【0123】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0124】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として挙げることができるのは、式(II):
【0125】
【0126】
(式中、Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0127】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、また挙げることができるのは、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
(式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0128】
・アニオン性界面活性剤
本発明によれば、アニオン性界面活性剤のタイプは限定されない。アニオン性界面活性剤が、(C6~C30)アルキル硫酸塩、(C6~C30)アルキルエーテル硫酸塩、(C6~C30)アルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩、及びモノグリセリド硫酸塩; (C6~C30)アルキルスルホン酸塩、(C6~C30)アルキルアミドスルホン酸塩、(C6~C30)アルキルアリールスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、及びパラフィンスルホン酸塩; (C6~C30)アルキルリン酸塩; (C6~C30)アルキルスルホコハク酸塩、(C6~C30)アルキルエーテルスルホコハク酸塩、及び(C6~C30)アルキルアミドスルホコハク酸塩; (C6~C30)アルキルスルホ酢酸塩; (C6~C24)アシルサルコシン酸塩; (C6~C24)アシルグルタミン酸塩; (C6~C30)アルキルポリグリコシドカルボン酸エーテル; (C6~C30)アルキルポリグリコシドスルホコハク酸塩; (C6~C30)アルキルスルホスクシナメート; (C6~C24)アシルイセチオン酸塩; N-(C6~C24)アシルタウリン酸塩; C6~C30脂肪酸塩;ヤシ油酸塩又は水素化ヤシ油酸塩; (C8~C20)アシル乳酸塩; (C6~C30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;及びポリオキシアルキレン化(C6~C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩からなる群から選択されることが好ましい。
【0129】
少なくとも1つの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、塩の形態にあり、例えばアルカリ金属の塩、例としてはナトリウムの塩;アルカリ土類金属の塩、例としてはマグネシウムの塩;アンモニウム塩;アミン塩;及びアミノアルコール塩である。条件に応じて、アニオン性界面活性剤は酸の形態にあってもよい。
【0130】
アニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレン化アニオン性界面活性剤、例えば2~50のアルキレンオキシド基、例としてはエチレンオキシド基を含むものから選択されることもまた好ましい。
【0131】
ポリオキシアルキレン化アニオン性界面活性剤として挙げることができるのは、2~50個のエチレンオキシド単位を含むポリエトキシル化C6~C30脂肪アルコールと、カルボン酸と、リン酸又はスルホン酸とのエステル、例えばリン酸セテス-10である。
【0132】
界面活性剤は、本発明の脱色性組成物及び/又は酸化性組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の量で存在してよい。
【0133】
- 増粘剤
本発明の脱色性組成物及び/又は酸化性組成物は、少なくとも1種の増粘剤を含んでよい。単一のタイプの増粘剤が使用されてもよく、又は2種以上の異なるタイプの増粘剤を組み合わせて使用することもできる。
【0134】
増粘剤のタイプは特に限定されず、本発明の効果が得られる限り、任意のタイプの増粘剤を使用することができる。
【0135】
増粘剤が、
(i)会合性増粘剤、
(ii)架橋アクリル酸ホモポリマー、
(iii)(メタ)アクリル酸と(C1~C6)アクリル酸アルキルとの架橋コポリマー、
(iv)非イオン性のホモポリマー、並びにエステルタイプ及び/又はアミドタイプのエチレン性不飽和モノマーを含むコポリマー、
(v)アクリル酸アンモニウムのホモポリマー、及びアクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマー、並びに
(vi)多糖
からなる群から選択されることが好ましい。
【0136】
好ましくは、本発明の増粘剤は水溶性である。用語「水溶性」は、本明細書では、常温(25℃)にて及び大気圧(760mmHg)で、0.5質量%超、好ましくは1質量%超の、水中での溶解度を有する物質を意味する。
【0137】
(i)本明細書で使用されるとき、表現「会合性増粘剤」は、親水性単位と疎水性単位との両方を含む、例えば少なくとも1つのC8~C30脂肪鎖と少なくとも1個の親水性単位とを含む、両親媒性増粘剤を意味する。
【0138】
使用されうる代表的な会合性増粘剤は、
(aa)少なくとも1つの脂肪鎖と少なくとも1個の親水性単位とを含む非イオン性両親媒性ポリマー、
(bb)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含むアニオン性両親媒性ポリマー、
(cc)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含むカチオン性両親媒性ポリマー、及び
(dd)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含む両性両親媒性ポリマー
から選ばれる会合性ポリマーであり、
ここで、脂肪鎖は、10~30個の炭素原子を含有する。
【0139】
(aa)少なくとも1つの脂肪鎖と少なくとも1個の親水性単位とを含む非イオン性両親媒性ポリマーは、例えば、以下から選ぶことができる:
(1)少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性されたセルロースで、挙げることができる例には、以下がある:
- アルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基から選ばれる少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシエチルセルロースで、ここで、アルキル基は、例えばC8~C22であり、例えばAqualon社により販売されている製品Natrosol Plus Grade 330 CS(C1~C6アルキル)、及びBerol Nobel社により販売されている製品Bermocoll EHM 100、
並びに
- ポリアルキレングリコールアルキルフェニルエーテル基で変性されたセルロース、例えばAmerchol社により販売されている製品Amercell Polymer HM-1500(ポリエチレングリコール(15)ノニルフェニルエーテル)。
(2)少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシプロピルグアー、例えばLamberti社により販売されている製品Esaflor HM 22(C22アルキル鎖)、及びRhodia Chimie社により販売されている製品Miracare XC95-3(C14アルキル鎖)及びRE205-1(C20アルキル鎖)。
(3)少なくとも1つの脂肪鎖、例えばC10~C30アルキル又はアルケニル基を含むポリエーテルウレタン、例としてはAkzo社により販売されている製品Elfacos T 210及びElfacos T 212、又はRohm & Haas社により販売されている製品Aculyn 44及びAculyn 46。
(4)ビニルピロリドンと疎水性脂肪鎖モノマーとのコポリマー;
挙げることができる例には、以下がある:
- I.S.P.社により販売されている製品Antaron V216及びGanex V216(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)、並びに
- I.S.P.社により販売されている製品Antaron V220及びGanex V220(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)。
(5)C1~C6アクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキルと、少なくとも1つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーとのコポリマー、例えばGoldschmidt社により名称Antil 208で販売されているオキシエチレン化メタクリル酸メチル/アクリル酸ステアリルコポリマー。
(6)親水性アクリレート又はメタクリレートと、少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーとのコポリマー、例えばメタクリル酸ポリエチレングリコール/メタクリル酸ラウリルコポリマー。
【0140】
(bb)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含むアニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、少なくとも1個の脂肪鎖アリルエーテル単位と、エチレン性不飽和アニオン性モノマー単位、例えばビニルカルボン酸単位を含む少なくとも1個の親水性単位とを含む単位から選ぶことができ、更に、例えばアクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの混合物に由来する単位から選ぶことができ、ここで、脂肪鎖アリルエーテル単位は、式(I):
CH2=C(R1)CH2OBnR (I)
(式中、R1は、H及びCH3から選ばれ、Bは、エチレンオキシ基であり、nは、ゼロ及び1~100の範囲の整数から選ばれ、Rは、10~30個の炭素原子、更に例えば10~24個の炭素原子、なおも更に例えば12~18個の炭素原子を含有する、アルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール及びシクロアルキルの各基から選ばれる炭化水素系基から選ばれる)
のモノマーに相当する。
【0141】
一実施形態では、アニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、20質量%~60質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5質量%~60質量%の低級(メタ)アクリル酸アルキル、2質量%~50質量%の式(I)の脂肪鎖アリルエーテル、並びに0質量%~1質量%の、周知の共重合性不飽和ポリエチレン系モノマーである架橋剤、例えば、フタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコール及びメチレンビスアクリルアミドから形成されるポリマーである。
【0142】
アニオン性両親媒性ポリマーは、例えば、不飽和オレフィン性カルボン酸タイプの少なくとも1個の親水性単位と、不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステル等のタイプの少なくとも1個の疎水性単位とを含むものから更に選ぶことができる。不飽和オレフィン性カルボン酸タイプの親水性単位は、例えば、式(II):
【0143】
【0144】
(式中、R1は、H、CH3及びC2H5から選ばれる)
のモノマー、すなわち、アクリル酸、メタクリル酸及びエタクリル酸単位に相当する。不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステル等のタイプの疎水性単位は、例えば式(III):
【0145】
【0146】
[式中、R1は、H、CH3及びC2H5(すなわち、アクリレート、メタクリレート及びエタクリレートの各単位)から選ばれ、且つ例えばH(アクリレート単位)及びCH3(メタクリレート単位)から選ばれ、R2は、C10~C30アルキル基、例えばC12~C22アルキル基から選ばれる]
のモノマーに相当する。
【0147】
不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステルの例には、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル及びアクリル酸ドデシル、並びにその対応するメタクリレート、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルが挙げられる。
【0148】
上の前記ポリマーの中で挙げることができるのは、例えば、Goodrich社により商品名Pemulen TR1、Pemulen TR2及びCarbopol 1382、並びに更に例えばPemulen TR1で販売されている製品、並びにS.E.P.C.社により名称Coatex SXで販売されている製品である。
【0149】
アニオン性両親媒性脂肪鎖ポリマーの中でまた挙げることができるのは、例えばAmerchol社により名称Viscophobe DB 1000で販売されている、メタクリル酸/アクリル酸メチル/アルキルジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートのエトキシル化コポリマーである。
【0150】
使用される(cc)カチオン性両親媒性ポリマーは、例えば、四級化セルロース誘導体、及びアミノ側基を含むポリアクリレートから選ばれる。
【0151】
四級化セルロース誘導体は、例えば、以下から選ばれる:
少なくとも8個の炭素原子を含む、アルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基等の少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性された四級化セルロース、並びにそれらの混合物、並びに少なくとも1つの脂肪鎖、例えば少なくとも8個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル及びアルキルアリールの各基、並びにこれらの混合物を含む基で変性された四級化ヒドロキシエチルセルロース。
【0152】
アミノ側基を含む四級化及び非四級化ポリアクリレートは、例えば、疎水性基を有し、例えばステアレス20(ポリオキシ-エチレン化(20)ステアリルアルコール)及び(C10~C30)アルキルPEG-20イタコネートを有する。
【0153】
上記の四級化セルロース及びヒドロキシエチルセルロースにより保持されているアルキル基は、例えば8~30個の炭素原子を含有する。
【0154】
C8~C30脂肪鎖を含む四級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例は、Amerchol社により販売されている製品Quatrisoft LM 200、Quatrisoft LM-X 529-18-A、Quatrisoft LM-X 529-18B(C12アルキル)及びQuatrisoft LM-X 529-8(C18アルキル)、並びにCroda社により販売されている製品Crodacel QM、Crodacel QL(C12アルキル)及びCrodacel QS(C18アルキル)である。
【0155】
(dd)少なくとも1個の親水性単位と少なくとも1個の脂肪鎖単位とを含む両性両親媒性ポリマーの中で挙げることができるのは、例えば、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸/C10~C30メタクリル酸アルキルのコポリマーであり、ここで、アルキル基は、例えばステアリル基である。
【0156】
会合性増粘剤は、会合性ポリマー増粘剤、好ましくは会合性ポリウレタン増粘剤であってよい。
【0157】
会合性ポリウレタン増粘剤は、カチオン性であっても非イオン性であってもよい。
【0158】
会合性ポリウレタン増粘剤の中で挙げることができるのは、約20~70質量%の、α,β-モノエチレン性不飽和を含有するカルボン酸と、約20~80質量%の、α,β-モノエチレン性不飽和を含有する非界面活性剤モノマーと、約0.5~60質量%の、モノヒドロキシル化界面活性剤の、モノエチレン性不飽和モノイソシアネートとの反応の生成物である非イオン性モノ-ウレタンとの、重合により得られたもの等の、会合性ポリウレタン誘導体である。
【0159】
会合性ポリウレタン増粘剤として挙げることができるのは、BASF社により製品名Luvigel Star(登録商標)で販売されているポリウレタン-39である。
【0160】
(ii)架橋アクリル酸ホモポリマーの中で挙げることができるのは、糖シリーズのアリルアルコールエーテルと架橋されたものである。挙げることができるのは、ペンタエリスリトールのアリルエーテル、スクロースのアリルエーテル又はプロピレンのアリルエーテルで架橋された、アクリル酸のホモポリマーであるカルボマー、例えばLubrizol社により名称Carbopol 980、981、954、2984及び5984で販売されている製品、又は3 VSA社により名称Synthalen M及びSynthalen Kで販売されている製品である。
【0161】
(iii)(メタ)アクリル酸とC1~C6アクリル酸アルキルとの架橋コポリマーは、例えばCoatex社により名称Viscoatex 538Cで販売されている、38%の活性材料を含む水性分散体としてのメタクリル酸とアクリル酸エチルとの架橋コポリマー、及びRohm & Haas社により名称Aculyn 33で販売されている、28%の活性材料を含む水性分散体としてのアクリル酸とアクリル酸エチルとの架橋コポリマーから選ぶことができる。メタクリル酸とアクリル酸エチルとの架橋コポリマーには、NOVEON社により名称CARBOPOL AQUA SF-1で販売されている、30%の活性材料を含む水性分散体が挙げられる。
【0162】
(iv)エステル及び/又はアミドタイプのエチレン性不飽和モノマーを含む非イオン性ホモポリマー又はコポリマーの中で挙げることができるのは、Cytec社により名称Cyanamer P250で販売されている製品(ポリアクリルアミド); US Cosmetics社により名称PMMA MBX-8Cで販売されている製品(メタクリル酸メチル/ジメタクリル酸エチレングリコールコポリマー); Rohm&Haass社により名称Acryloid B66で販売されている製品(メタクリル酸ブチル/メタクリル酸メチルコポリマー);及びKobo社により名称BPA 500で販売されている製品(メタクリル酸ポリメチル)である。
【0163】
挙げることができる(v)アクリル酸アンモニウムホモポリマーには、Hoechst社により名称Microsap PAS 5193で販売されている製品がある。
【0164】
アクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマーには、Hoechst社により名称Bozepol C Nouveau又は製品PAS 5193で販売されている製品が挙げられる(これらは、FR-2416723、US2,798,053及びUS2,923,692に記載されており調製されている)。
【0165】
(vi)多糖は、例えば、グルカン、変性及び非変性デンプン(例えば、穀物、例としてはコムギ、トウモロコシ又はコメに由来するもの、野菜、例としては黄色エンドウに由来するもの、及び塊茎、例としてはジャガイモ又はキャッサバに由来するもの)、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース、及びそれらの誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース)、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アルギン酸及びアルギネート、アラビノガラクタン、カラゲナン、寒天、グリコサミノグルカン、アラビアガム、トラガカントガム、ガッティガム、カラヤガム、カロブガム、ガラクトマンナン、例えばグアーガム、及びそれらの非イオン性誘導体(例えばヒドロキシプロピルグアー)、スクレロチウムガム及びキサンタンガム、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0166】
増粘剤は、本発明の脱色性及び/又は酸化性組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の量で存在してよい。
【0167】
本発明の一実施形態では、脱色性組成物は、増粘剤を、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の量で含む。
【0168】
本発明の別の実施形態では、酸化性組成物は、増粘剤を、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下の量で含む。
【0169】
- 結合剤
本発明の脱色性及び/又は酸化性組成物は、少なくとも1種の結合剤を好ましくは含んでよい。2種以上の結合剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0170】
結合剤のタイプは特に限定されず、本発明の効果が得られる限り、任意のタイプの結合剤を使用することができる。
【0171】
本発明の一実施形態では、脱色性組成物は、少なくとも1種の結合剤を含む。
【0172】
結合剤は、水溶性ポリマーであってよい。
【0173】
本発明において使用される水溶性ポリマーとして、挙げることができるのは以下である:
- タンパク質、例えば植物起源のタンパク質、例えばコムギタンパク質又はダイズタンパク質;動物起源のタンパク質、例えばケラチン、例えばケラチン加水分解物及びスルホン性ケラチン、
- アクリルポリマー又はコポリマー、例えばポリアクリレート又はポリメタクリレート、
- ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルとリンゴ酸無水物とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー、又はポリビニルアルコール;非イオン性、カチオン性、両性又は非イオン性のキチン若しくはキトサンポリマー、
- グリコアミノグリカン、ヒアルロン酸及びその化合物、
- シェラク樹脂、サンダラック樹脂、ダンマー、エレミス又はガムコーパル、
- デオキシリボ核酸、
並びにこれらの混合物。
【0174】
結合剤ポリマーは、脱色性及び/又は酸化性組成物の総質量に対して、好ましくは脱色性組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0175】
- 充填剤
本発明の脱色性及び/又は酸化性組成物は、少なくとも1種の充填剤を含んでよい。充填剤は、1種又は複数の有機及び/又は無機充填剤から選択することができる。2種以上の充填剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0176】
充填剤のタイプは特に限定されず、本発明の効果が得られる限り、任意のタイプの充填剤を使用することができる。
【0177】
本発明の一実施形態では、脱色性組成物は、少なくとも1種の充填剤を含む。
【0178】
用語「充填剤」は、組成物の媒体に不溶性である、任意の形状の無機又は合成粒子を意味すると理解されるべきである。
【0179】
充填剤は、結晶形(例えば、層状、立方晶、六方晶、斜方晶等)にかかわらず、任意の形状のものであってよく、血小板形状、球状又は長楕円形であってよい。
【0180】
無機充填剤として挙げることができるのは、タルク、マイカ、シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリメチルシロキシケイ酸、カオリン、ベントン、炭酸カルシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、フルオロフロゴパイト、合成フルオロフロゴパイト、セリサイト、焼成タルク、焼成マイカ、焼成セリサイト、合成マイカ、ラウロイルリジン、金属石けん、オキシ塩化ビスマス、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、及びそれらの混合物であり、これらは任意選択で親水性処理又は疎水性処理されている。
【0181】
有機充填剤として挙げることができるのは、(メタ)アクリル又は(メタ)アクリレート粉末、例えばポリメチルメタクリレート粉末;ポリアクリロニトリル粉末;オルガノポリシロキサン粉末、ポリアミド粉末、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ラウロイルリジン、コメ又はトウモロコシデンプン、例えばトウモロコシデンプン: INCI名:トウモロコシ種(Zea Mays)(トウモロコシ)デンプン、テトラフルオロエチレンポリマー粉末、例えば(アルキル)アクリレートを含む、中空ポリマーミクロスフィア、8~22個の炭素原子を含有する有機カルボン酸に由来する金属石けん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、シリコーン粉末、例えばシリコーン樹脂粉末、ポリオルガノシルセスキオキサン粉末、ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン架橋ポリマー粉末、及びポリメチルシルセスキオキサン粉末、ポリウレレン粉末、カルナウバミクロワックス、合成ミクロワックス、ポリアミド粉末、例えば「Nylon 12」又は「Nylon 6」のCTFA名で列挙されているもの、並びにこれらの混合物である。
【0182】
充填剤は、組成物の総質量に対して、好ましくは脱色性組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0183】
- アジュバント
アジュバントは、有機溶媒、特定すると水溶性有機溶媒;カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性ポリマー;浸透剤;懸濁剤;キレート剤又は金属イオン封鎖剤;緩衝剤;不透明化剤;染料;顔料;芳香剤;アルカリ性剤又は酸性剤のpH調整剤;抗酸化剤又は保存剤;安定剤;及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0184】
工程(ii)
工程(ii)は、工程(i)において得られた処置組成物を毛髪に適用する工程である。
【0185】
処置組成物の毛髪への適用は、アプリケータ、例えば手、ブラシ及び櫛等の任意の従来の手段によって実施することができる。
【0186】
本発明の特定の一実施形態では、処置組成物の毛髪への適用は、毛髪を処置組成物中に浸すことによって実施することができる。
【0187】
好ましい一実施形態では、処置組成物は、毛髪に、1つの工程において適用された。これは、脱色性活性成分と過酸化水素とが、毛髪に、1つの工程において同時に適用されることを意味する。
【0188】
工程(iii)
工程(iii)は、超音波を毛髪に適用する工程である。
【0189】
超音波の毛髪への適用は、工程(ii)の後に、すなわち、脱色性組成物と酸化性組成物とが接触され混合された後に、実施される。これは、毛髪が、脱色性組成物及び酸化性組成物と接触されている間に超音波処理が行われることを意味する。換言すると、超音波は、脱色性組成物及び酸化性組成物の存在において、毛髪に適用される。
【0190】
工程(iii)における超音波処理の条件は特に限定されないが、一般に、超音波の波長は、25kHz~100kHz、好ましくは27kHz~75kHz、より好ましくは30kHz~50kHzである。
【0191】
工程(iii)における超音波処理は、毛髪における脱色反応を促進して所望の明るい色を達成するために、一定量の時間の間行うことができる。工程(iii)において実施される超音波処理の時間の期間は特に限定されないが、一般に、10分~40分間、好ましくは12分~35分間である。超音波処理は、工程(iii)において、間欠的に又は連続的に実施することができる。
【0192】
超音波の毛髪への適用は、40℃未満、好ましくは35℃未満の温度にて実施することができる。これは、工程(iii)における脱色性組成物と酸化性組成物との混合物の温度が、40℃未満、好ましくは35℃未満であってよいことを意味する。
【0193】
工程(iii)の後に、毛髪を濯ぐ、洗浄する及び/又は乾かす、追加の工程があってよい。
【実施例0194】
本発明は、実施例によって、より詳細に説明される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0195】
[調製]
(脱色性組成物)
脱色性組成物1及び2を、以下のTable 1(表1)に列挙した成分を室温にて混合して調製した。具体的には、最初に過硫酸塩とアルカリ性剤とを混合し、次いで増粘剤及び界面活性剤を添加し混合し、次いでキレート剤及び顔料を添加し混合することによって、脱色性組成物1及び2を調製した。最後に、充填剤及び結合剤を混合物に添加し、混合して、組成物を調製した。Table 1(表1)に示す成分の量についての数値は全て、活性原料の「質量%」に基づく。脱色性組成物のそれぞれのpH値を、1%の脱色性組成物を含む水溶液を使用して測定した。
【0196】
【0197】
(酸化性組成物)
酸化性組成物1~4を、以下のTable 2(表2)に列挙する成分を室温にて混合して調製した。具体的には、酸化性組成物1及び2を以下のプロトコルにより調製した。最初に、キレート剤及び保存剤を熱い脱イオン水に80℃にて溶解して水相を調製し、別のビーカー中に界面活性剤と脂肪化合物を80℃以下で混合して油相を調製した。次に、油相を水相中に添加し、該混合物を、それが均質になるまで10分にわたり乳化させた。混合物を室温に冷却した後、過酸化水素を添加し、次いでpHを調整し、残りの水を添加して組成物を調製した。酸化性組成物3について、増粘剤を室温にて水相に溶解し、次いで過酸化水素を添加して組成物を調製した。酸化性組成物4について、過酸化水素を室温にて水相に溶解して、組成物を調製した。Table 2(表2)に示す成分の量についての数値は全て、活性原料の「質量%」に基づく。
【0198】
酸化性組成物のそれぞれの粘度を、VISCOMETRON(商標)粘度計(芝浦機械株式会社製のVDA Type)を用いて室温にて測定した。粘度(mPa.s-1)は、ローター第2番を用いて算出された。粘度を3回測定し、その平均データを用いた。
【0199】
【0200】
(実施例1~5並びに比較例1及び2)
(実施例1~5)
日本人の黒色の毛髪束(1g、27cm)を従来のシャンプーで洗浄し、流れる水道水で40℃にて濯ぎ、次いで乾かした。脱色性組成物3.33gを酸化性組成物6.66gとビーカー中でスパチュラを用いて混合して、処置組成物を得た。次いで、毛髪束を処置組成物中に浸し、水浴中25℃にて超音波処理(38kHz、80W)を開始した。超音波処理の開始後8.5分及び15分において、束を、スパチュラを用いて混合した。ビーカー中の組成物の温度を33℃以下に保った。17分又は30分後、束を取り上げて濯ぎ、従来のシャンプーで洗浄し、水道水で40℃にて再度濯ぎ、次いで乾かした。
【0201】
(比較例1及び2)
脱色方法を、超音波を照射しなかったことを除き、実施例1~5と同じように行った。
【0202】
[評価]
(脱色特性)
脱色方法の前後の、実施例1~5並びに比較例1及び2による脱色済み毛髪束のそれぞれの色の差を、Konica Minolta Spectrophotometer CM-3600Aを用いて比色値(L*、a*、b*、明度/緑色-赤色/青色-黄色)を測定することによって測定した。ΔL*(ΔL*a*bシステム下での脱色方法の処置前の束と処置後の束との間)を算出した。ΔL*が大きいほど、色は明るい。したがって、より大きいΔL*は、より改善された色味リフト特性を示す。
【0203】
(引張測定)
脱色済み毛髪束のそれぞれの引張特性を調べて、該方法による処置済み毛髪の完全性及び毛髪損傷レベルを評価した。破断応力(Mpa)及び破断弾性係数(Mpa)をExtensometer Dia-Stron(MTT 670-UV Win SOFTWARE)を用いて測定した。測定した毛髪サンプルの長さは、繊維の中央部を取って10cmであった。湿潤条件において、各サンプルについて50本の毛髪を用いて測定を実施し、平均値を算出した。
【0204】
実施例及び結果をTable 3(表3)にまとめる。この表中、「脱色性組成物」及び「酸化性組成物」は、これらの組成物の数を表す。
【0205】
【0206】
Table 3(表3)から見られるように、実施例1と比較例1とを比較すると、超音波処理を用いた実施例1による方法で処置した毛髪束は、超音波処理の工程を含まない比較例1のものよりも顕著により明るい色味及びより高い引張特性を呈することができた。したがって、実施例1による方法は、比較例1よりも大きい色味リフト効果をもたらし、且つ毛髪上にもたらした損傷はより少なかった。
【0207】
実施例2と比較例2とを比較すると、超音波処理を用いた実施例2による方法で処置した毛髪束は、超音波処理の工程を含まない比較例2のそれよりも顕著により明るい色味を呈することができた。加えて、それらは匹敵する引張特性を示した。したがって、実施例2による方法は、比較例2よりも大きい色味リフト効果をもたらした。
【0208】
実施例1と比較例2とを比較すると、6質量%の過酸化水素を含む酸化性組成物1を使用した実施例1による方法で処置した毛髪束は、9質量%の過酸化水素を含む酸化性組成物2を使用した比較例2による方法で処置したものに匹敵する明度を示した。したがって、本発明の実施例1は、より少ない量の過酸化水素で、比較例2と同じレベルの色味リフト効果を達成することができた。
【0209】
加えて、実施例3と比較例2とを比較すると、17分間の超音波処理を含む実施例3による方法で処置した毛髪束は、脱色性組成物及び酸化性組成物での30分間の処置を含む比較例2による方法で処置したものに匹敵する明度を示した。したがって、本発明の実施例3は、より短い時間で、比較例2と同じレベルの色味リフト効果を達成することができた。
【0210】
実施例4と実施例5とを比較すると、粘度1.6mPa・s(混合物粘度:34,925mPa.s)を有する酸化性組成物4を使用した実施例5による方法で処置した毛髪束は、粘度7,700mPa・s(混合物粘度45,375mPa.s)を有する酸化性組成物3を使用した実施例4のそれよりも明るい色味を呈した。したがって、脱色処置のための低粘度混合物が、より良好な色味リフト効果をもたらすことができることを驚くべきことに発見した。
【0211】
これに応じて、本発明による方法が、毛髪を脱色する及び/又は明色化するのに顕著に効果的であると結論付けることができる。