(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085097
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】ケラチン繊維のための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20240619BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20240619BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20240619BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/64
A61K8/365
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022199442
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 由実子
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 宜己
(72)【発明者】
【氏名】淺間 仁美
(72)【発明者】
【氏名】アイザック・エン・ティン・リー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC172
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD411
4C083AD412
4C083CC33
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】カラーリングしたケラチン繊維の色を保護する又は保持することができる、毛髪等のケラチン繊維のための組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種のジペプチドと、
(b)少なくとも1種のヒドロキシ酸と、
(c)水と
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための組成物であって、
(b)ヒドロキシ酸の量が、組成物の総質量に対して少なくとも0.1質量%である、
組成物に関する。本発明による組成物は、ケラチン繊維に、良好な色保護効果を付与することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のジペプチドと、
(b)少なくとも1種のヒドロキシ酸と、
(c)水と
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための組成物であって、
(b)ヒドロキシ酸の量が、組成物の総質量に対して少なくとも0.1質量%である、
組成物。
【請求項2】
ジペプチドを構成するアミノ酸が、アルギニン、チロシン、バリン、トリプトファン、アラニン、システイン、グリシン、リジン、プロリン、ヒドロキシプロリン及びヒスチジンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ジペプチドが、塩基性ジペプチドから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ジペプチドが、カルノシンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ジペプチドの量が、組成物の総質量に対して、0.5質量%~20質量%、好ましくは1質量%~15質量%、より好ましくは1.5質量%~10質量%の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ヒドロキシ酸が、α-ヒドロキシ酸から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ヒドロキシ酸が、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、グルコン酸、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ヒドロキシ酸が、乳酸、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ヒドロキシ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.2質量%~50質量%、好ましくは0.3質量%~40質量%、より好ましくは0.5質量%~30質量%、特定すると0.8質量%~25質量%の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
リンスオフタイプである、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
1.5~8、好ましくは1.8~7、より好ましくは2~6の範囲のpH値を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ケラチン繊維を処置する、コンディショニングする、クレンジングする及び/又はケアするためである、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための美容方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物をケラチン繊維に塗布する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪美容処置法の分野では、消費者は、毛髪に、滑らかさ等のコンディショニング効果を付与するための毛髪化粧料を使用する。今日まで、ジペプチドを含むいくつかの毛髪用製品が報告されてきた。
【0003】
例えば、WO 2010/124817は、少なくとも1種の毛髪コンディショニング剤及び少なくとも1種のジペプチドを含む、毛髪のためのコンディショニング組成物を開示している。また、WO 2010/124818は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、2種の異なるアミノ酸部分(アミノ酸部分のうちの少なくとも1つがグリシンであるとき)を含有する少なくとも1種のジペプチドとを含む、優れたコンディショニング効果を有する、ケラチン繊維のための、特にヒトの毛髪のための水性クレンジング組成物を開示している。
【0004】
カラーリングした毛髪等のケラチン繊維のためのコンディショニングでは、ケラチン繊維の色の保持はきわめて重要な特性である。カラーリングしたケラチン繊維、詳細にはカラーリングした毛髪に、改善された色保護特性を付与することができる、ケラチン繊維、詳細には毛髪を処置するための化粧用組成物へのニーズが依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2010/124817
【特許文献2】WO 2010/124818
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、カラーリングしたケラチン繊維の色を保護する又は保持することができる、毛髪等のケラチン繊維のための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、
(a)少なくとも1種のジペプチドと、
(b)少なくとも1種のヒドロキシ酸と、
(c)水と
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための組成物であって、
該組成物中の(b)ヒドロキシ酸の量が、組成物の総質量に対して少なくとも0.1質量%である、
組成物によって達成することができる。
【0008】
ジペプチドを構成するアミノ酸は、アルギニン、チロシン、バリン、トリプトファン、アラニン、システイン、グリシン、リジン、プロリン、ヒドロキシプロリン及びヒスチジンから選択することができる。
【0009】
ジペプチドは、塩基性ジペプチドから選択することができる。
【0010】
ジペプチドは、カルノシンであってよい。
【0011】
組成物中のジペプチドの量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%~20質量%、好ましくは1質量%~15質量%、より好ましくは1.5質量%~10質量%の範囲であってよい。
【0012】
ヒドロキシ酸は、α-ヒドロキシ酸から選択することができる。
【0013】
ヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、グルコン酸、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0014】
ヒドロキシ酸は、乳酸、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0015】
組成物中のヒドロキシ酸の量は、組成物の総質量に対して、0.2質量%~50質量%、好ましくは0.3質量%~40質量%、より好ましくは0.5質量%~30質量%、特定すると0.8質量%~25質量%の範囲であってよい。
【0016】
組成物は、リンスオフタイプであってよい。
【0017】
組成物は、1.5~8、好ましくは1.8~7、より好ましくは2~6の範囲のpH値を有してよい。
【0018】
組成物は、ケラチン繊維を処置する、コンディショニングする、クレンジングする及び/又はケアするためであってよい。
【0019】
本発明はまた、本発明による組成物をケラチン繊維に塗布する工程を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
鋭意検討の結果、発明者らは、本発明の成分の組み合わせが、カラーリングしたケラチン繊維のための改善された色保護特性を呈することができる、毛髪等のケラチン繊維のための組成物を提供することを発見した。
【0021】
そのため、本発明は、
(a)少なくとも1種のジペプチドと、
(b)少なくとも1種のヒドロキシ酸と、
(c)水と
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための組成物であって、
組成物中の(b)ヒドロキシ酸の量が、組成物の総質量に対して少なくとも0.1質量%である、
組成物に主に関する。
【0022】
本発明による組成物は、カラーリングしたケラチン繊維のために使用することができ、詳細にはカラーリングしたケラチン繊維の色の保護及び/又は保持のために使用して、改善された色の保護及び/又は維持効果をもたらすことができる。
【0023】
「ケラチン繊維」には、本明細書では、毛髪、眉毛、まつ毛等が挙げられる。本発明が、毛髪のために使用されることが好ましい。
【0024】
表現「カラーリングしたケラチン繊維の色の保護」又は「カラーリングしたケラチン繊維の色の保持」は、ケラチン繊維を染色することによりケラチン繊維に既に付与されたケラチン繊維の色を、保護する又は保持する効果を意味する。そのため、表現「カラーリングしたケラチン繊維の色の保護」又は「カラーリングしたケラチン繊維の色の保持」はまた、カラーリングしたケラチン繊維から退色する又は色が浸出することを防ぐ効果であるとも理解される。また、本発明による組成物は、ケラチン繊維に、改善された色持続性を付与することもできる。
【0025】
本発明による組成物で処置されることになるケラチン繊維は、ケラチン繊維を染色することによりカラーリングされたものであってよい。ケラチン繊維を染色する方法は特に限定されないが、典型的には、ケラチン繊維は、酸化性染料を用いた酸化カラーリング前駆体でカラーリングされたものである。
【0026】
本発明による組成物は、好ましくは化粧用組成物として使用されうる。詳細には、本発明による組成物は、毛髪等のケラチン繊維上への塗布が意図されうる。そのため、本発明による組成物は、ケラチン繊維のための美容方法のために使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、本発明による組成物は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を、処置する、コンディショニングする、クレンジングする及び/又はケアするために使用することができる。
【0027】
本発明による組成物は、溶液、ゲル、ローション、セラム、サスペンション、分散体、流体、乳液、増粘化されているか若しくは増粘化されていないW/O若しくはO/Wエマルション、ペースト、泡又はクリーム等の任意の形態で存在してよい。
【0028】
本発明の一実施形態では、本発明による組成物は、リンスオフタイプ又はリーブオンタイプの化粧用組成物である。リンスオフタイプの組成物は、ケラチン繊維上で使用された後に濯ぎ落とされることが意図されている。リーブオンタイプの化粧用組成物は、塗布直後に洗い落とされる/濯ぎ落とされる又は除去されることが意図されていない。
【0029】
本明細書で以降、本発明は、詳細に説明される。
【0030】
[組成物]
本発明の一態様は、
(a)少なくとも1種のジペプチドと、
(b)少なくとも1種のヒドロキシ酸と、
(c)水と
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための組成物に関する。
【0031】
成分のうちのそれぞれが、以下に、より詳細に説明される。
【0032】
(ジペプチド)
本発明による組成物は、少なくとも1種のジペプチドを含む。2種以上のジペプチドが組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプのジペプチド、又は異なるタイプのジペプチドの組み合わせを使用することができる。
【0033】
用語「ジペプチド」は、本明細書では、ペプチド結合により結合された2つのアミノ酸を含む化合物を意味する。アミノ酸は、天然に発生したバージョンであっても化学的に変性されたバージョンであってもよい。
【0034】
ジペプチドを構成するアミノ酸は、少なくとも1つのアミノ基及び少なくとも1つのカルボキシル基を有する。アミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基又は第三級アミノ基であってよい。
【0035】
アミノ酸は、D形態にあってもL形態にあってもよい。
【0036】
アミノ酸は、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸、又はこれらの混合物から選択することができる。酸性アミノ酸は、典型的には、1つのアミノ基と2つのカルボキシル基とを有する。塩基性アミノ酸は、典型的には、2つのアミノ基と1つのカルボキシル基とを有する。塩基性アミノ酸には、アルギニン、リジン、ヒスチジン及びオルニチンが挙げられうる。中性アミノ酸中のアミノ基の数とカルボキシル基の数とは同一である。中性アミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンが挙げられうる。
【0037】
いくつかの好ましい実施形態では、ジペプチドを構成するアミノ酸は、塩基性アミノ酸、及びこれらの混合物から選択することができる。換言すると、アミノ酸は、少なくとも1種の塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチンを含んでよく、好ましくはヒスチジンを含んでよい。
【0038】
更なる好ましい実施形態では、本発明のジペプチドは、少なくとも1つの塩基性アミノ酸から形成される塩基性ジペプチドから選択される。用語「塩基性ジペプチド」は、本明細書では、塩基性アミノ酸に由来する少なくとも1つの部分を含み、そのため塩基性特性を呈する、ジペプチドを意味する。
【0039】
アミノ酸は、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸及びδ-アミノ酸から選択することができる。α-アミノ酸は、非環状α-アミノ酸及び環状α-アミノ酸から選択することができる。非環状α-アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群から選択することができる。環状α-アミノ酸は、非芳香族環状α-アミノ酸、例えばピロリドンカルボン酸(ピログルタミン酸又はピドロ酸)から選択することができる。ピロリドンカルボン酸は、グルタミン酸のアミノ基とカルボキシル基との分子間縮合によって形成されうる。
【0040】
いくつかの実施形態では、アミノ酸は、アミノ酸の誘導体から選択することができる。アミノ酸の誘導体(アミノ酸誘導体)は、そこでアミノ酸中のアミノ基の窒素原子上の水素原子が少なくとも1つの置換基で置換されているアミノ酸から選択することができる。
【0041】
置換基として挙げることができるのは、例えば、アルキル基、アシル基、アルケニル基、アルコキシル基及びアルコキシカルボニル基である。
【0042】
アルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基であってよい。アルキル基は、直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基及びブチル基であってもよい。その一方で、アルキル基は、環状のC3~C6アルキル基、例えばシクロペンチル基及びシクロヘキシル基であってもよい。
【0043】
アシル基は、C1~C6アシル基、例えばホルミル基及びアセチル基であってよい。
【0044】
アルケニル基は、C2~C6アルケニル基、例えばビニル基、アリル基、ブチレン基、ペンテニル基及びヘキセニル基であってよい。
【0045】
アルコキシ基は、C1~C6アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基であってよい。
【0046】
アルコキシカルボニル基は、C1~C6アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロポキシカルボニル基であってよい。
【0047】
上記の置換基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基等の少なくとも1つの基、及びフェニル基等の芳香族基で更に置換されうる。
【0048】
一実施形態では、アミノ酸は、アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩から選択することができる。
【0049】
アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩のタイプは限定されない。該塩は、酸塩であっても塩基性塩であってもよい。酸塩として挙げることができるのは、例えば、無機酸塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩、並びに有機酸塩、例えばクエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩及び酒石酸塩である。塩基性塩として挙げることができるのは、例えば、無機塩基塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アルミニウム塩及びアンモニウム塩、並びに有機塩基塩、例えばトリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩及びジイソプロピルアンモニウム塩である。
【0050】
本発明によるジペプチドは、同じアミノ酸のうちの2種、又は異なるアミノ酸のうちの2種から構成されてよい。本発明の一実施形態では、ジペプチドを構成する2種のアミノ酸は、異なるアミノ酸である。
【0051】
本発明のなおも別の実施形態では、ジペプチドは、イミダゾールジペプチドから選択される。用語「イミダゾールジペプチド」は、本明細書では、そこでジペプチドを構成するアミノ酸のうちの1種がヒスチジンであるジペプチドを意味する。換言すると、ジペプチドは、ジペプチドを構成するアミノ酸として、少なくとも1種のヒスチジンを含む。
【0052】
イミダゾールジペプチドとして挙げることができるのは、カルノシン、アンセリン及びバレニンである。カルノシンは、アラニン及びヒスチジンから構成されるジペプチドである。カルノシンは、L-カルノシンであってもD-カルノシンであってもよい。アンセリンは、β-アラニル-N-メチルヒスチジンとしても知られ、β-アラニン及びN-メチル化ヒスチジン(すなわち、そこでイミダゾール環中の1個の窒素原子がメチル化されているヒスチジン)から構成されるジペプチドである。バレニンは、β-アラニル-1-メチル-L-ヒスチジンとしても知られ、β-アラニン及び3-メチルヒスチジンから構成されるジペプチドである。
【0053】
好適なジペプチドの非限定的な例は、市販されており、且つそれらのINCI名、ジペプチド-1、ジペプチド-2、ジペプチド-3、ジペプチド-4、ジペプチド-5、ジペプチド-6、ジペプチド-7、ジペプチド-8、及びカルノシンで知られているものである。好ましいのはカルノシンであり、β-アラニン及びL-ヒスチジンのものである。
【0054】
本発明の好ましい一実施形態では、ジペプチドは、カルノシンである。
【0055】
本発明による組成物中のジペプチドの量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であってよい。
【0056】
本発明による組成物中のジペプチドの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。
【0057】
本発明による組成物は、ジペプチドを、組成物の総質量に対して、0.5質量%~20質量%、好ましくは1質量%~15質量%、より好ましくは1.5質量%~10質量%の量で含有してよい。
【0058】
本明細書の文脈では、上記の上限値と下限値との任意の組み合わせが、量の好ましい範囲を表すのに使用可能でありうる。
【0059】
(ヒドロキシ酸)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のヒドロキシ酸を含む。2種以上のヒドロキシ酸が組み合わせて使用されうる。そのため、単一のタイプのヒドロキシ酸、又は異なるタイプのヒドロキシ酸の組み合わせを使用することができる。
【0060】
ヒドロキシ酸は、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含む、少なくとも1種のモノカルボン酸又はポリカルボン酸を含んでよい。ヒドロキシ酸は、α-ヒドロキシ酸及びβ-ヒドロキシ酸から選ぶことができる。例えば、少なくとも1種のヒドロキシ酸は、α-ヒドロキシ酸であってよい。α位及びβ位は、ヒドロキシル官能基のうちの少なくとも1つが、酸のカルボキシル官能基のうちの少なくとも1つに対するα位又はβ位を占めていること、すなわち、それぞれ、カルボキシル官能基を保有する炭素に結合している、又はカルボキシル官能基を保有する炭素に隣接する炭素に結合している、のいずれかであるという事実を反映している。酸は、例えば組成物に与えられる最終pHに応じて、遊離酸、関連するその塩(例えば、有機塩基及びアルカリ金属との塩)、並びに任意選択で、対応するラクチド(すなわち、複数の分子の自己エステル化によって得られる形態)から選ばれる形態で存在してよい。
【0061】
- AHA
本発明による組成物は、ヒドロキシ酸として、少なくとも1種のα-ヒドロキシ酸(AHA)を含んでよい。2種以上のα-ヒドロキシ酸が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0062】
用語「α-ヒドロキシ酸」又は「AHA」は、本明細書では、隣接する(アルファ)炭素原子上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するカルボン酸を意味する。
【0063】
α-ヒドロキシ酸は、化学式:
(Ra)(Rb)C(OH)COOH
(式中、
Ra及びRbは、飽和又は不飽和の、異性体又は非異性体の、直鎖又は分枝鎖又は環状の形態の、1~25個の炭素原子を有するH、F、Cl、Br、I、アルキル、アラルキル又はアリールの各基であり、加えて、Ra及びRbは、OH、CHO、COOH、及び1~9個の炭素原子を有するアルコキシル基を有してもよい)
によって表すことができる。
【0064】
炭素原子に結合している水素原子は、F、Cl、Br、I、又は1~9個の炭素原子を有する低級アルキル、アラルキル、アリール、若しくはアルコキシルの各基によって置換されていてもよい。アルファヒドロキシ酸は、遊離酸若しくはラクトン形態として存在してもよく、又は有機塩基若しくは無機アルカリとの部分塩の形態で存在してもよい。アルファヒドロキシ酸は、例えばD体、L体、DL体及びメソ体等の立体異性体として存在してもよい。
【0065】
Ra及びRbがアルキルである場合、それらは、独立して、C1~C5、C6~C10、C11~C15、C16~C20、C21~C25及びC26~C29の基のうちのいずれかのうちでありうる。そのため、上記化学式内の化合物は、RaとRbとの可能な組み合わせのうちの全てを含む。C1~C12から独立して選択されるRa及びRbを有する化合物の亜属が、前述のもののうちに含まれる。
【0066】
Ra及びRbに関して、典型的なアルキル、アラルキル、アリール及びアルコキシルの各基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、ラウリル、ステアリル、ベンジル、フェニル、メトキシル及びエトキシルが挙げられる。
【0067】
第1の群のアルファヒドロキシ酸は、
(1)アルキルアルファヒドロキシ酸、
(2)アラルキル及びアリールアルファヒドロキシ酸、
(3)ポリヒドロキシアルファヒドロキシ酸、
(4)ポリカルボキシアルファヒドロキシ酸、及び
(5)種々のアルファヒドロキシ酸
に細分することができる。
【0068】
以下が、それぞれの下位群における、代表的なアルファヒドロキシ酸である:
(1)アルキルアルファヒドロキシ酸: 2-ヒドロキシエタン酸(グリコール酸)、2-ヒドロキシプロパン酸(乳酸)、2-メチル2-ヒドロキシプロパン酸(メチル乳酸)、2-ヒドロキシブタン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシヘプタン酸、2-ヒドロキシオクタン酸、2-ヒドロキシノナン酸、2-ヒドロキシデカン酸、2-ヒドロキシウンデカン酸、2-ヒドロキシドデカン酸、2-ヒドロキシテトラデカン酸、2-ヒドロキシヘキサデカン酸、2-ヒドロキシオクタデカン酸、2-ヒドロキシエイコサン酸(アルファヒドロキシアラキドン酸)、2-ヒドロキシテトラエイコサン酸(セレブロン酸)、2-ヒドロキシエイコセン酸(アルファヒドロキシネルボン酸)、及び2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブタン酸(パントイン酸)
(2)アラルキル及びアリールアルファヒドロキシ酸: 2-フェニル2-ヒドロキシエタン酸(マンデル酸)、2,2-ジフェニル2-ヒドロキシエタン酸(ベンジル酸)、3-フェニル2-ヒドロキシプロパン酸(フェニル乳酸)、2-フェニル2-メチル2-ヒドロキシエタン酸(アトロ乳酸)、及び4-ヒドロキシマンデル酸
(3)ポリヒドロキシアルファヒドロキシ酸: 2,3-ジヒドロキシプロパン酸(グリセリン酸)、2,3,4-トリヒドロキシブタン酸(異性体、エリスロン酸、トレオン酸)、2,3,4,5-テトラヒドロキシペンタン酸(異性体、リボン酸、アラビノン酸、キシロン酸、リキソン酸)、2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサン酸(異性体、アロン酸、アルトロン酸、グルコン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸、タロン酸)、2,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロキシへプタン酸(異性体、グルコヘプトン酸、ガラクトヘプトン酸、マンノヘプトン酸等)
(4)ポリカルボキシアルファヒドロキシ酸: 2-ヒドロキシプロパン-1,3-二酸(タルトロン酸)、2-ヒドロキシブタン-1,4-二酸(リンゴ酸)、2-ヒドロキシ-2-メチルブタン-1,4-二酸(シトラマル酸)、2,3-ジヒドロキシブタン-1,4-二酸(酒石酸)、2,3,4-トリヒドロキシペンタン-1,5-二酸(異性体、リバル酸、アラバル酸、キシラル酸、リキサル酸)、2,3,4,5-テトラヒドロキシヘキサン-1,6-二酸(異性体、グルカル酸、ガラクタル酸、マンナル酸、アラル酸、アルトラル酸、グラル酸、イダル酸、タラル酸)、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸(クエン酸)、1-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸(イソクエン酸)、1-ヒドロキシ-1,2,4-ブタントリカルボン酸(ホモイソクエン酸)、2-ヒドロキシ-3-ヘキサデシル-1,2,3-プロパントリカルボン酸(n-ヘキサデシルクエン酸、アガリン酸)
(5)種々のアルファヒドロキシ酸:グリセルロン酸、エリトルロン酸、トレウロン酸、2,3,4-トリヒドロキシペンタヌロン酸(異性体、リブロン酸、アラビヌロン酸、キシルロン酸、リキスロン酸)、2,3,4,5-テトラヒドロキシヘキサヌロン酸(異性体、アルロン酸、アルトルロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルロン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸、タルロン酸)、2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘプタヌロン酸(異性体、アロヘプタヌロン酸、アルトロヘプタヌロン酸、グルコヘプタヌロン酸、マンノヘプタヌロン酸、グロヘプタヌロン酸、イドヘプタヌロン酸、ガラクトヘプタヌロン酸、タロヘプタヌロン酸)。
【0069】
ヒドロキシ酸は、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、グルコン酸、及びこれらの混合物からなる群から、好ましくはグリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物からなる群から、より好ましくは乳酸、クエン酸、酒石酸、及び混合物からなる群から選択することができる。
【0070】
- BHA
本発明による組成物は、ヒドロキシ酸として、少なくとも1種のβ-ヒドロキシ酸(BHA)を含んでよい。2種以上のβ-ヒドロキシ酸が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0071】
用語「β-ヒドロキシ酸」又は「BHA」は、本明細書では、ベータ炭素原子上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するカルボン酸を意味する。
【0072】
β-ヒドロキシ酸として挙げることができるのは、限定的ではなく、サリチル酸及びその誘導体、特定すると式(I):
【0073】
【0074】
[式中、
R1は、ヒドロキシル基、又は式:
-O-CO-R4
(式中、R4は、1~26個の炭素原子、好ましくは1~18個の炭素原子を含有する、飽和若しくは不飽和の脂肪族基である、又は1~18個の炭素原子、好ましくは1~12個の炭素原子を含有するアルキル基で任意選択で置換されている、アミン官能基又はチオール官能基である)
のエステルを表し、
R2及びR3は、互いに独立して、ベンゼン環上の3位、4位、5位、又は6位にあり、互いに独立して、水素原子又は基:
-(O)n-(CO)m-R5
(式中、n及びmは、互いに独立に、それぞれ0又は1に等しい整数である)
を表すが、但しR2とR3とが同時に水素原子であることはなく、
R5は、水素原子、1~18個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝状若しくは環状の飽和脂肪族基、又は1~9個の共役二重結合若しくは非共役二重結合を保有する、3~18個の炭素原子を含有する不飽和基を表し、これらの基は、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素)、トリフルオロメチル基、遊離形態若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されているヒドロキシル、又は遊離形態若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されているカルボキシルから選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていることが可能である]
の、そのアルキル化誘導体又はそのような誘導体の塩である。
【0075】
式(I)のサリチル酸誘導体は、好ましくは、R1がヒドロキシル基を表し、R2が水素原子を表し、R3がベンゼン環の5位にあり、且つ-CO-R5基(式中、R5は、3~15個の炭素原子を含有する飽和脂肪族基を表す)を表すようなものである。
【0076】
本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)のサリチル酸誘導体は、5-n-オクタノイルサリチル酸、5-n-デカノイルサリチル酸、5-n-ドデカノイルサリチル酸、5-n-オクチルサリチル酸、5-n-ヘプチルオキシサリチル酸、4-n-ヘプチルオキシサリチル酸、5-tert-オクチルサリチル酸、3-tert-ブチル-5-メチルサリチル酸、3-tert-ブチル-6-メチルサリチル酸、3,5-ジイソプロピルサリチル酸、5-ブトキシサリチル酸、5-オクチルオキシサリチル酸、5-プロパノイルサリチル酸、5-n-ヘキサデカノイルサリチル酸、5-n-オレオイルサリチル酸、5-ベンゾイルサリチル酸、それらの一価及び二価の塩、並びにそれらの混合物から選ばれる。それは、より具体的には、5-n-オクタノイルサリチル酸(INCI: カプリロイルサリチル酸)である。
【0077】
ヒドロキシ酸は、好ましくはα-ヒドロキシ酸から選択され、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、グルコン酸、及びこれらの混合物からなる群から、好ましくはグリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物からなる群から、より好ましくは乳酸、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0078】
組成物中の(b)ヒドロキシ酸の量は、組成物の総質量に対して少なくとも0.1質量%である。
【0079】
ヒドロキシ酸は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、特定すると0.8質量%以上の量で存在してよい。
【0080】
ヒドロキシ酸は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、特定すると25質量%以下の量で存在してよい。
【0081】
ヒドロキシ酸は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.2質量%~50質量%、好ましくは0.3質量%~40質量%、より好ましくは0.5質量%~30質量%、特定すると0.8質量%~25質量%の範囲の量で存在してよい。
【0082】
(水)
本発明による組成物は、水を含む。
【0083】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上であってよい。
【0084】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、99.5質量%以下、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下であってよい。
【0085】
本発明による組成物中の水の量は、組成物の総質量に対して、30質量%~99.5質量%、好ましくは50質量%~99質量%、より好ましくは65質量%~98質量%であってよい。
【0086】
(他の任意選択の添加剤)
本発明による組成物はまた、例えば、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性界面活性剤、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性ポリマー、油、化粧料として許容される親水性有機溶媒、ガム、樹脂、親水性増粘剤、疎水性増粘剤、分散剤、抗酸化剤、成膜剤、保存剤、例えばフェノキシエタノール、芳香剤、中和剤、化粧用活性剤、保湿剤、皮膚軟化剤、及びこれらの混合物から選ばれる、化粧料の分野で通常使用される任意の他の任意選択の添加剤も含んでよい。
【0087】
本発明による組成物中に存在しうる上記の任意選択の添加剤の性質及び量を、所望の美容特性が該添加剤によって影響を受けないように調節することは、当業者にとって常法である。
【0088】
いくつかの実施形態では、油は、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して、0質量%~50質量%、好ましくは0質量%~40質量%、又は0質量%~30質量%の範囲の量で存在してよい。
【0089】
本明細書では、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)にて、液体又はペースト(非固体)の形態にある脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧料に一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0090】
油には、揮発性又は不揮発性の油が挙げられてよく、これらの油は、特に動物又は植物起源の炭化水素系油、合成油、シリコーン油、フルオロ油、又はこれらの混合物であってよい。油は、エステル油、脂肪アルコール、及びこれらの組み合わせから選ぶことができる。
【0091】
本発明の目的において、「炭化水素系油」又は「炭化水素油」は、主に水素原子及び炭素原子、及び任意選択で酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はリン原子を含有する油を意味することが意図される。炭化水素系油は、ケイ素原子を一切含まない。
【0092】
本発明の目的において、「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1つのSi-O基を含む油、例えばジメチコンを意味することが意図される。
【0093】
本発明による組成物のpHは、一般に、例えば、1.5~8、好ましくは1.8~7、より好ましくは2~6、更により好ましくは2~5であってよい。
【0094】
本発明による組成物は、上に説明した必須成分と、必要な場合には上に説明した任意選択の成分とを混合することによって、調製することができる。
【0095】
上記の必須成分と任意成分とを混合する方法及び手段は限定されない。任意の従来の方法及び手段を使用して、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合し、本発明による組成物を調製することができる。
【0096】
[美容方法]
本発明はまた、本発明による組成物をケラチン繊維に塗布する工程を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための美容方法にも関する。
【0097】
本発明の美容方法は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を、処置する、コンディショニングする、クレンジングする及び/又はケアするための美容方法であってよい。
【0098】
本発明による組成物は、ケラチン繊維が該組成物で処置された後に濯ぎ落とされてよい。したがって、本発明の一実施形態では、本発明による方法は、組成物をケラチン繊維から濯ぎ落とす追加の工程を含んでよい。
【0099】
本発明による方法は、ケラチン繊維を処置している間、コンディショニングしている間、クレンジングしている間及び/又はケアしている間に、カラーリングしたケラチン繊維のために、詳細にはカラーリングしたケラチン繊維の色の保護又は保持のために、用いることができる。
【0100】
そのため、美容方法の実施形態(I)として、本発明は、
(i)本発明による組成物をケラチン繊維に塗布する工程と、
(ii)任意選択で該組成物をケラチン繊維から濯ぎ落とす工程と
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪のための美容方法に関する。
【0101】
別段の指摘がない限り、(a)少なくとも1種のジペプチドと、(b)少なくとも1種のヒドロキシ酸と、(c)水とを含む組成物のための説明と同じ説明を、本発明による方法のための説明に当てはめることができる。本発明による方法において使用される組成物は、本発明による組成物に関して上で説明された任意選択の添加剤のいずれかを含むことができる。
【実施例0102】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0103】
(実施例1~9及び比較例1)
[調製]
実施例1~9(Ex.1~Ex.9)及び比較例1(Comp. Ex.1)による毛髪のための組成物のそれぞれを、周囲条件下で、成分を、それが均質になるまで混合して調製した。組成物のそれぞれの配合率をTable 3(表3)及びTable 4(表4)に示した。カルノシンは、Symrise社から得た。成分の量の数値は、全て、活性原料の「質量%」に基づく。
【0104】
[評価]
中国人の100%の白髪束(1g、10cm)をホットプレート上に30℃にて置いた。還元剤(PREMIA WAVE、L'Oreal Professionnel)を束(2g/毛髪g)上に塗布し、次いでそれをビニルラップで被覆した。束をホットプレート上に15分間放置した後、ビニルラップを外し、次いで束を水道水で37℃にて濯ぎ落とし、続いてタオルで乾かした。酸化性剤(PREMIA WAVE、L'Oreal Professionnel)を束(2g/毛髪g)上に塗布し、それを10分間放置した後、水道水で37℃にて濯ぎ落とし、次いでタオルで乾かし、ブロー乾燥して、パーマをかけた毛髪束を得た。
【0105】
得られた、パーマをかけた毛髪束をホットプレート上に27℃にて置いた。色製品(Majirel Majirouge Carmilane 6.66 Dark Red Blonde、L'Oreal Professionnel)と酸化体製品(Oxidant Creme 6% 20vol.、L'Oreal Professionnel)との質量比1:1.5における混合物を、束(混合物3g/毛髪g)上に塗布し、それを35分間放置した後、水道水により37℃にて濯ぎ落とし、次いでプレーンシャンプーで洗い落とし、次いでタオルで乾かし、ブロー乾燥して、パーマをかけてカラーリングした毛髪束を得た。カラーリング手順において使用したプレーンシャンプーの配合率を以下のTable 1(表1)に示す。成分の量の数値は、全て、活性原料の「質量%」に基づく。
【0106】
【0107】
得られた、パーマをかけてカラーリングした毛髪束(1g、10cm)を、ホットプレート上に27℃にて置いた。実施例1~9及び比較例1による組成物のそれぞれを1g/毛髪gの量で束上に等しく塗布し、次いでそれをビニルラップでラップした。束をホットプレート上に30分間放置した後、ビニルラップを外した。過剰な組成物を絞って除去した後、各束を水道水で37℃にて濯ぎ落とした。次いで各束をプレーンシャンプーの1wt%溶液(90g/毛髪gの量にある)で1340rpmにおいて5分間洗い落とし、次いで水道水により37℃にて濯ぎ落とし、ブロー乾燥した。退色分析において使用したプレーンシャンプーの配合率を以下のTable 2(表2)に示す。成分の量の数値は、全て、活性原料の「質量%」に基づく。
【0108】
【0109】
パーマをかけてカラーリングした束の色における、退色についてのシャンプー前とシャンプー後との差を、Konica Minolta Spectrophotometer CM-3600Aを用いて比色値(L*、a*、b*、明度/緑色-赤色/青色-黄色)を測定することにより、測定した。ΔE*値(ΔL*a*bシステム下でのカラーリング方法の処置前の束と処置後の束との間の)を算出した。ΔE*値を、等式:
【0110】
【0111】
(式中、L0、a0及びb0は、組成物を塗布する前の値であり、L1、a1及びb1は、組成物を塗布した後の値である)
を用いて算出した。より小さいΔE*は、より良好な色保護を示す。
【0112】
【0113】
【0114】
Table 3(表3)及びTable 4(表4)から見られるように、本発明の成分(a)~(c)の特定の組み合わせを含んだ実施例1~9による組成物は、低ΔE*を達成することができ、これは、それらが、カラーリングしたケラチン繊維からの染料の浸出を防ぐことができたこと、及びカラーリングしたケラチン繊維に改善された色保護効果をもたらすことができたことを意味する。
【0115】
他方、(b)ヒドロキシ酸を十分な量で含まなかった比較例1による組成物は、より高いΔE*を示し、これは、それが不良な色保護を有していたことを示す。
【0116】
これに応じて、本発明による組成物が、それが改善された色保護効果を示すことができるので、カラーリングしたケラチン繊維を処置するのにきわめて好適であると結論付けることができる。