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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085119
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】車載システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
G01S5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199473
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松田 知幸
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB01
5J062BB05
5J062CC18
5J062GG01
5J062GG02
(57)【要約】
【課題】車載システムの消費電力を抑制する。
【解決手段】車載システム4は、通信制御装置5と、少なくとも1つモニタ装置6a~6dとを備え、通信制御装置は携帯機との間で無線通信を行う。モニタ装置は、通信制御装置と通信を行う。通信制御装置は、メインアンテナ51を備え、それぞれのモニタ装置は、サブアンテナ61a~61dを備える。サブアンテナは、メインアンテナとは異なるアンテナである。モニタ制御部63a~63dは、サブアンテナを介して受信した携帯機を送信元とする電波の強度を示す情報を含む通信情報を、車載制御部53に出力する。モニタ制御部は、モニタ装置をスリープ状態に遷移させるスリープ実行タイミングを決定し、決定したスリープ実行タイミングにモニタ装置をスリープ状態に遷移させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載システム(4)であって、
携帯機との間で無線通信を行うように構成された第1の車載デバイス(5)と、前記第1の車載デバイスと通信を行うように構成された少なくとも1つの第2の車載デバイス(6a~6d)とを備え、
前記第1の車載デバイスは、
電波を送受信する第1のアンテナ(51)と、
前記第1のアンテナを用いて無線通信を行うように構成された第1の車載機通信部(52)と、
前記第1の車載機通信部を介して前記携帯機との間でデータの送受信を行い、且つ、それぞれの前記第2の車載デバイスから出力された通信情報に基づいて前記携帯機の位置を検出するように構成された第1の車載機側制御部(53)と、
を備え、
それぞれの前記第2の車載デバイスは、
前記第1のアンテナとは異なる第2のアンテナ(61a~61d)と、
前記第2のアンテナを用いて無線通信を行うように構成された第2の車載機通信部(62a~62d)と、
第2の車載機側制御部(63a~63d)と、
を備え、
前記第2の車載機側制御部は、
前記通信情報であって前記第2のアンテナを介して受信した前記携帯機を送信元とする電波の強度を示す情報を含む前記通信情報を、前記第1の車載機側制御部に出力するように構成された情報出力部(S260)と、
前記第2の車載デバイスを指定機能が実行可能なウェイクアップ状態から前記指定機能が停止されたスリープ状態に遷移させるスリープ実行タイミングを決定し、決定した前記スリープ実行タイミングに前記第2の車載デバイスをスリープ状態に遷移させるように構成された遷移部(S255)と、
を備える、車載システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車載システムであって、
前記遷移部は、前記第2のアンテナを介して受信した前記携帯機を送信元とする通信フレームに含まれる情報に基づいて、前記スリープ実行タイミングを決定する、車載システム。
【請求項3】
請求項2に記載の車載システムであって、
前記遷移部は、前記第2のアンテナを介して受信した携帯機を送信元とする通信フレームのヘッダに含まれる情報に基づいて、前記スリープ実行タイミングを決定する、車載システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の車載システムであって、
前記遷移部は、前記通信フレームに含まれる情報であって前記通信フレームのデータ量を示すためのデータ量情報を取得し、前記データ量情報に基づいて前記通信フレームの受信に要する受信必要時間を算出し、前記受信必要時間が経過した時点を前記スリープ実行タイミングとして決定する、車載システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車載システムであって、
前記遷移部は、供給停止指示に従って前記指定機能を有する装置への電力の供給を少なくとも停止させる指定機能電力切替装置(65a~65d)に予め設定された指示時間の経過後に前記供給停止指示を出力するように構成されたタイマ装置(66a~66d)に対して前記指示時間を前記受信必要時間に設定し、前記タイマ装置に前記受信必要時間が経過した時点で前記指定機能電力切替装置に前記供給停止指示を出力させる、車載システム。
【請求項6】
請求項1に記載の車載システムであって、
前記指定機能は、前記第1の車載デバイスと前記携帯機との通信を傍受するスニッフィングを実行するための機能である
車載システム。
【請求項7】
請求項6に記載の車載システムであって、
前記指定機能は、前記第2の車載機通信部が有する機能である、車載システム。
【請求項8】
請求項1に記載の車載システムであって、
前記携帯機と前記第1の車載デバイスとの間の無線通信は、Bluetooth Low Energy(Bluetoothは登録商標)規格に従った無線通信であり、通信フレームはBluetooth Low Energy規格に従ったBLE通信フレームであり、
前記第2の車載機側制御部は、
受信した前記BLE通信フレームのヘッダに含まれる情報であってNESN及びSNを示す情報を取得し、NESN≠SNである場合に、前記受信したBLE通信フレームが前記携帯機を送信元とする前記BLE通信フレームであると判定するように構成された送信元判定部(S245)
を更に備える、車載システム。
【請求項9】
請求項1に記載の車載システムであって、
前記携帯機と前記第1の車載デバイスとの間の無線通信は、Bluetooth Low Energy(Bluetoothは登録商標)規格に従った無線通信であり、通信フレームはBluetooth Low Energy規格に従ったBLE通信フレームであり、
前記第2の車載機側制御部は、
受信した前記BLE通信フレームのヘッダに含まれる情報であってNESN及びSNを示す情報を取得し、NESN≠SNである場合に、前記受信したBLE通信フレームが前記携帯機を送信元とする前記BLE通信フレームであると判定するように構成された送信元判定部(S245)
を更に備え、
前記遷移部は、前記第1の車載機側制御部に前記通信情報が出力された時点を前記スリープ実行タイミングとして決定する、車載システム。
【請求項10】
請求項1に記載の車載システムであって、
前記第1の車載機側制御部は、前記携帯機の位置に基づいて、前記車両の施錠及び開錠、又は、エンジンの始動及び停止を行うように構成される、車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両において、携帯機との間で無線通信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両において、ユーザによって携帯される携帯機との間で無線通信を行う技術が知られている。例えば、下記特許文献1には、車載機が、携帯機からの電波のRSSIを用いて携帯機の位置を検出し、携帯機に対応付けられた車両から所定範囲内に携帯機が位置する場合に、ドアロックの実行及び解除等を行うという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6711413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の車載機は、携帯機と無線通信を行うメインアンテナ以外に複数のサブアンテナを備え、メインアンテナに接続された無線通信装置(以下、メイン通信装置)が、複数のサブアンテナで受信された電波のRSSIに基づいて、携帯機の位置を特定する。上述の車載機は、複数のサブアンテナ毎に設けられた複数の無線通信装置(以下、サブ通信装置)を更に備える。このため、上述の車載機おいて、メイン通信装置の他にも、複数のサブ通信装置が常時作動していると、消費電力が相対的に大きくなるという課題が見出された。
【0005】
消費電力を低減するために、メイン通信装置が、全てのサブアンテナについてのRSSIを取得した後に、全てのサブ通信装置を一斉にスリープ状態に遷移させることが考えらえる。しかしながら、この場合、例えば、メイン通信装置が、全てのサブ通信装置と通信を行い、スリープ状態に遷移させるタイミングを決定し、このタイミングで全てのサブ通信装置をスリープ状態に遷移させる指示を出力する、等といった処理を行う必要がある。また、メイン通信装置とサブ通信装置それぞれとの間での通信のための時間も必要とされる。このため、一斉にスリープ状態に遷移させる指示が出力されるまでに時間を要するおそれがあった。つまり、十分に消費電力が低減されないおそれがあった。
【0006】
本開示の1つの局面は、車両に搭載されるシステムであって携帯機との間で無線通信を行うシステムにおいて、消費電力を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車両に搭載された車載システム(4)であって、第1の車載デバイス(5)と、少なくとも1つの第2の車載デバイス(6a~6d)とを備える。第1の車載デバイスは、携帯機との間で無線通信を行うように構成される。第2の車載デバイスは、第1の車載デバイスと通信を行うように構成される。第1の車載デバイスは、第1のアンテナ(51)と、第1の車載機通信部(52)と、第1の車載機側制御部(53)と、を備える。
【0008】
第1のアンテナは、電波を送受信する。第1の車載機通信部は、第1のアンテナを用いて無線通信を行うように構成される。第1の車載機側制御部は、第1の車載機通信部を介して携帯機との間でデータの送受信を行い、且つ、それぞれの第2の車載デバイスから通信線を介して出力された通信情報に基づいて携帯機の位置を検出する。
【0009】
それぞれの第2の車載デバイスは、第2のアンテナ(61a~61d)と、第2の車載機通信部(62a~62d)と、第2の車載機側制御部(63a~63d)と、を備える。第2のアンテナは、第1のアンテナとは異なる。第2の車載機通信部は、第2のアンテナを用いて無線通信を行うように構成される。第2の車載機側制御部は、情報出力部(S260)と、遷移部(S255)と、を備える。
【0010】
情報出力部は、通信情報であって第2のアンテナを介して受信した携帯機を送信元とする電波の強度を示す情報を含む通信情報を、第1の車載機側制御部に出力するように構成される。遷移部は、第2の車載デバイスを指定機能が実行可能なウェイクアップ状態から指定機能が停止されたスリープ状態に遷移させるスリープ実行タイミングを決定するように構成される。また、遷移部は、決定したスリープ実行タイミングに第2の車載デバイスをスリープ状態に遷移させるように構成される。
【0011】
このように構成された本開示の車載システムは、それぞれの第2の車載デバイスが決定したスリープ実行タイミングで第2の車載デバイスが自らをスリープ状態に遷移させることができる。このため、第2の車載デバイス以外の他の装置がスリープ実行タイミングを決定し該タイミングで指示を出力して第2の車載デバイスをスリープ状態に遷移させる場合よりも、速やかにそれぞれの第2の車載デバイスをスリープ状態に遷移させることができる。これにより、携帯機との間で無線通信を行う本開示の車載システムは、消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】スマートエントリ・スタートシステムの機能を説明する説明図である。
図3】BLE通信を説明する説明図である。
図4】BLE通信の通信フレームを説明する説明図である。
図5】携帯制御部の機能を示すブロック図である。
図6】車載制御部の機能を示すブロック図である。
図7】車載通信処理のフローチャートである。
図8】位置検出処理のフローチャートである。
図9】モニタ処理のフローチャートである。
図10】車載システムの作動を説明する説明図である。
図11】比較例の作動を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
[1-1.全体構成]
図1に示す通信システム1は、車両3に搭載された車載システム4に含まれる通信制御装置5と、通信制御装置5と無線通信を行う携帯機2と、を含む。通信制御装置5と携帯機2とは、予め定められた通信規格に準拠した双方向の無線通信を実行する。本実施形態の通信システム1では、通信規格としてのBluetooth Low Energy(以下、BLE)規格に従った双方向の無線通信が実行される。Bluetoothは登録商標である。
【0014】
通信制御装置5は、図2に示すように、人により携帯される携帯機2が車両3から所定範囲内に位置する際、ドアロックの実行及び解除やエンジンの始動及び停止等を可能とする機能(すなわち、所謂スマートエントリ・スタートシステムの機能)を備える。所定範囲は、例えば、図2に示す領域Aa~領域Adであってもよい。通信制御装置5は、携帯機2が車両3から所定範囲内に位置するか否かを、携帯機2から受信する電波の受信強度(すなわち、RSSI)に基づいて判定する。BLE通信とは、BLEに準拠した方式の通信をいう。
【0015】
<BLE通信について>
BLE通信では、公知のように周波数ホッピングの技術が適用されている。例えば、2.4GHz帯の周波数を2MHz幅に分割した複数のチャネル(例えば、37チャネル)を、所定のチャネル数ずつ(例えば、mチャネルずつ)変化させて、通信が行われる。以下では、ここでいう所定のチャネル数を周波数情報というものとする。周波数情報は、BLE通信のコネクション確立時に定められる。BLE通信では、例えば、5が周波数情報として設定されている場合(すなわち、m=5)、コネクションが確立したときの周波数Lが3チャネル(すなわち、L=3)であったとする。以降は、3チャネル(すなわち、Lチャネル)→8チャネル(すなわち、L+mチャネル)→13チャネル(すなわち、L+m×2チャネル)…といった具合に、使用する周波数を変化させる。
【0016】
通信制御装置5と携帯機2とは、周波数情報に基づいて、同一チャネルで互いに送受信を行うように構成されている。BLE通信では、図3に示すように、使用されるチャネルは、通信制御装置5から通信フレームの送信が開始されてから所定のインターバル期間Tiが経過した後、次のチャネル(すなわち、次の周波数)に切り替えられる。BLE通信では、このインターバル期間Ti(すなわち、次に周波数が遷移する迄の期間)毎に、通信制御装置5と携帯機2との間の通信が完結するようになっている。
【0017】
BLE通信に用いられる通信フレームのフォーマットを図4に示す。BLE通信の通信フレームにおいて、Header(以下、ヘッダ)は、Preamble(以下、プリアンブル)、Access Address(以下、アクセスアドレス)と同様に、暗号化されない部分(以下、非暗号化部)に含まれている。
【0018】
BLE通信では、コネクション確立後、通信制御装置5から携帯機2への通信フレームと、携帯機2から通信制御装置5への通信フレームと、を1つのペア(以下、ペアフレームという)とする通信が繰り返される。ペアフレームにおいて、まず、通信制御装置5から携帯機2へ通信フレームが送信され、次に、携帯機2から通信制御装置5への通信フレームが送信される。例えば、図3では、1点鎖線で囲まれる通信フレームが1つのペアフレームに相当する。すなわち、白矢印で示される通信制御装置5から携帯機2への通信フレームと、黒矢印で示される携帯機2から通信制御装置5への通信フレームとが1つのペアフレームに相当する。
【0019】
BLE通信では、上述の1つのペアフレームに関する通信を1つのシーケンス、という。つまり、1つのシーケンスには、通信制御装置5から携帯機2に向けて送出される1つの通信フレームと、携帯機2から通信制御装置5に向けて送出される1つの通信フレームと、が含まれる。
【0020】
BLE通信では、それぞれのシーケンス(すなわち、それぞれのペアフレーム)を区別するために、シーケンス番号(以下、SN)が付与される。SNとしては、例えば、1ビットで表される2つの数値である0、1が用いられる。SNは、例えば、0、1、0、1…の様に、交互に繰り返し付与される。つまり、少なくとも連続するシーケンスにおいては、互いに異なるSNが付与される。
【0021】
BLE通信の通信フレームでは、図4に示すように、ヘッダに、NESN及びSNが含まれる。NESN及びSNは、それぞれ、1ビットで示される。ここで、SNは、送信する通信フレームが含まれるシーケンス番号(すなわち、送信する通信フレームが含まれるペアフレームのシーケンス番号)を示す。一方、NESNは、次に受信する通信フレームが含まれるシーケンス番号(すなわち、次に受信する通信フレームが含まれるペアフレームのシーケンス番号)を示す。
【0022】
通信制御装置5から携帯機2に向けて送出される通信フレームは、図3に示すように、常に、NESN=SNであり、携帯機2から通信制御装置5に向けて送出される通信フレームは、常に、NESN≠SNである。このように、BLE通信では、NESN及びNSの組み合わせ(つまり、NESN=SNであるかNESN≠SNであるか)に基づいて、通信フレームの送信元が通信制御装置5であるか携帯機2であるかを特定することができる。
【0023】
[1-2.携帯機]
携帯機2は、携帯機2に対応づけられた車両3の通信制御装置5と無線通信(すなわち、上述のBLE通信)を行う。携帯機2は、車両3のユーザによって携帯可能な携帯端末である。携帯機2は、例えば、所謂スマートフォン等であってもよい。携帯機2は、図1に示すように、携帯機アンテナ21と、携帯機通信部22と、携帯機制御部23と、入力部24と、を備える。
【0024】
携帯機アンテナ21は、BLE通信に用いられる2.4GHz帯の信号を送受信するためのアンテナである。
携帯機通信部22は、携帯機アンテナ21を介して無線通信を行うように構成されている。本実施形態では、携帯機通信部22は、BLE通信の通信フレームを示すデータ(すなわち、ビット列)で搬送波を変調することにより送信信号(すなわち、送信電波)を生成する。搬送波は、上述の周波数情報に基づいて特定されるチャネルの周波数の搬送波である。また、携帯機通信部22は、周波数情報に基づいて特定されるチャネルの周波数の電波を受信し、受信電波を復調してBLE通信の通信フレームを示すデータ(すなわち、ビット列)を生成する。ビット列とは、2進数で表されるデータ(すなわち、0又は1)の繰り返しである。
【0025】
入力部24は、ユーザからの入力を受け付ける。入力には、車両3の施錠又は開錠の指示や、車両3のエンジンを始動又は停止させる指示等が含まれる。
<携帯機制御部>
携帯機制御部23は、図1に示すように、CPU230と、ROM及びRAM等といったメモリ231とを備えたマイクロコンピュータ(以下、マイコン)25を中心に構成された電子制御装置である。マイコン25の各種機能は、CPU230が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROMが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、CPU230が実行する機能の一部又は全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、携帯機制御部23を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。CPU230は、図5に示すように、アプリ実行部235としての機能を備える。
【0026】
<アプリ実行部による機能>
アプリ実行部235は、スマート・スタートシステムのアプリを実行する。アプリのプログラムは、例えば、メモリ231に記憶されている。アプリ実行部235は、スマート・スタートシステムのアプリを実行している間、まず、携帯機2と紐付けられている、予め登録された車両3を識別可能な車両情報(すなわち、車両ID)を含むiBeaconを受信するまで待機する。iBeaconは登録商標である。iBeaconは、携帯機アンテナ21、携帯機通信部22を介して受信される。
【0027】
アプリ実行部235は、iBeaconを受信すると、携帯IDを含むアドバタイズパケットを、携帯機通信部22、携帯機アンテナ21を介して、ブロードキャストで送信する。携帯IDは、携帯機2を識別可能な情報である。アプリ実行部235は、携帯IDを含むアドバタイズパケットを検出した通信制御装置5から接続要求を受信すると、アドバタイズパケットの送信を停止する。アプリ実行部235は、接続要求を送信した通信制御装置5との間で、BLEの標準仕様に従ってペアリングを行い、コネクションを確立する(すなわち、BLE通信を確立する)。
【0028】
アプリ実行部235は、BLE通信の確立後は、予め定められた終了操作があるまで、通信制御装置5との間でBLE通信を継続する。終了操作としては、例えば、携帯機2がBLE通信をオフする操作や、携帯機2がアプリを終了する操作や、携帯機2が接続範囲外(例えば、図2に示すスマートデバイス未接続エリア)に移動すること、等が挙げられる。
【0029】
また、アプリ実行部235は、携帯機2と通信制御装置5との間でBLE通信が確立している間、ユーザによって入力部24に指示が入力されると、入力された指示を実行するための指示データを生成する。指示には、車両3のドアロックの施錠及び解除やエンジンの始動及び停止等といった指示が含まれ得る。そして、アプリ実行部235は、Payload(以下、ペイロード)に指示データを含むBLE通信の通信フレームを、携帯機通信部22、携帯機アンテナ21を介して送信する。これにより、車両3では、携帯機2の位置を検出し、携帯機2が車両3(すなわち、通信制御装置5)から所定の範囲内に位置する場合、携帯機2の指示に従って、各ドアロックの施錠及び解除やエンジンの始動及び停止等が実行される。
【0030】
[1-3.車載システム]
図1に示すように、車両3は、車載システム4と対象装置7とを備え、車載システム4は、通信制御装置5と、少なくとも1つのモニタ装置6a~6dを備える。本実施形態では、車載システム4は、4つのモニタ装置6a~6dを備える。なお、車載システム4が備えるモニタ装置6の数は、4つに限定されるものではない。車載システム4が備えるモニタ装置6の数は、1つであってもよいし、2、3、又は5以上の複数であってもよい。
【0031】
通信制御装置5とモニタ装置6a~6dとは、通信線9によって、予め定められた車内用の通信プロトコルに従って通信可能に接続されている。本実施形態では、車内用の通信プロトコルとしてはLINが適用される。なお、車内用の通信プロトコルは、LINに限定されるものではなく、CANやEthernet等といった種々の通信プロトコルが用いられてもよい。CANは登録商標である。Ethernetは登録商標である。なお、以下では、車内用の通信プロトコルに従う通信フレームを車内用通信フレームと記載する。また、BLE通信に用いられる通信フレームを、BLE通信の通信フレーム、又は、単に通信フレーム、と記載する。
【0032】
(1)通信制御装置
通信制御装置5は、メインアンテナ51と、車載通信部52と、車載制御部53と、を備える。通信制御装置5は、図2に示すように、後部座席後方のCピラーに設置されていてもよい。なお、通信制御装置5は車両3における任意の位置に設けられてよい。
【0033】
メインアンテナ51は、BLE通信に用いられる2.4GHz帯の電波を送受信するためのアンテナである。
車載通信部52は、携帯機2(すなわち、携帯機通信部22)との間で、メインアンテナ51を用いて無線通信(すなわち、上述のBLE通信)を行う。本実施形態では、車載通信部52は、メインアンテナ51を介して受信された電波から通信フレームを示すデータ(すなわち、ビット列)を復調する。復調されたデータは車載制御部53に出力される。また、車載通信部52は、通信フレームを示すデータ(すなわち、ビット列)で搬送波を変調することにより送信信号(すなわち、送信電波)を生成する。通信フレームを示すデータは、車載制御部53から入力される。送信信号はメインアンテナ51を介して送信される。なお、ここでいう搬送波は、BLE通信において上述の周波数情報に基づいて特定されるチャネルの周波数の搬送波である。
【0034】
例えば、車載通信部52は、データ(すなわち、通信フレームを示すビット列)を変調してベースバンドの変調波を生成し、ベースバンドの変調波を周波数情報に基づいて特定されるチャネルの周波数に変換して送信電波を生成するように構成されてもよい。また、車載通信部52は、受信電波を、データ(すなわち、通信フレームを示すビット列)を表すベースバンドの変調波に変換し、ベースバンドの変調波からデータ(すなわち、通信フレームを示すビット列)を復調するように構成されてもよい。但し、変調及び復調の方式はこれに限定されるものではなく、任意の方式であり得る。
【0035】
<車載制御部>
車載制御部53は、電子制御装置(すなわち、ECU)である。ECUは、Electronic Control Unitの略である。車載制御部53は、図1に示すように、CPU550、ROM及びRAM等といったメモリ551を備えたマイコン55を備える。車載制御部53は、メイン車内通信部56を更に備える。メイン車内通信部56は、上述の車内用の通信プロトコル(例えば、LIN)に従って、通信制御装置5とモニタ装置6a~6dとの間で、通信線9を介して通信を行うための装置である。
【0036】
マイコン55の各種機能は、CPU550が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラム552を実行することにより実現される。この例では、ROMが、プログラム552を格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラム552の実行により、プログラム552に対応する方法が実行される。なお、CPU550が実行する機能の一部又は全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、車載制御部53を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0037】
車載制御部53は、図6に示すように、通信実行部531、対象駆動部532としての機能を備える。通信実行部531は、車載通信部52を介して携帯機2との間で、BLEに準拠した方式の近距離無線通信により、データの送受信を行う。また、通信実行部531は、携帯機2と通信制御装置5との間でのBLE通信が確立している間、それぞれのモニタ装置6a~6dから通信線9を介して出力された通信情報に基づいて携帯機2の位置を検出する。通信情報は、それぞれのモニタ装置6a~6dが備えるサブアンテナ61a~61dを介して受信された、携帯機2を送信元とする電波の強度(すなわち、RSSI)を示す受信強度情報を含む。通信情報には、受信強度情報以外の情報が含まれていてもよい。通信実行部531は、後述する車載通信処理を実行する。
【0038】
対象駆動部532は、携帯機2から受信したデータと携帯機2の位置とに基づいて、予め定められた処理を行う。具体的には、対象駆動部532は、携帯機2と通信制御装置5との間のBLE通信が確立している間、位置特定部533によって携帯機2が車両3から所定範囲内に位置すると判定されたとき、携帯機2からの指示があった場合に対象装置7を駆動する処理を行う。
【0039】
対象駆動部532は、例えば、図2に示すように、通信実行部531によって特定された携帯機2の位置が、車室内(例えば、領域Aa内)であるか否かを判定する。対象駆動部532は、携帯機2の位置が車室内であると判定されたとき、携帯機2からの指示がある場合に(すなわち、携帯機2からの指示に従って)、対象装置7としての車両3のエンジンをスタート又は停止させる。
【0040】
また、対象駆動部532は、通信実行部531によって特定された携帯機2の位置が、右ドア付近(例えば、領域Ab内)であるか否かを判定する。対象駆動部532は、携帯機2の位置が、右ドア付近であると判定されたとき、携帯機2からの指示がある場合に、対象装置7としての右ドアのドアロックを、開錠又は施錠する。
【0041】
同様に、通信制御装置5は、通信実行部531によって特定された携帯機2の位置が左ドア付近(例えば、領域Ac内)であると判定されたとき、携帯機2からの指示がある場合に、対象装置7としての左ドアのドアロックを、開錠又は施錠する。同様に、通信制御装置5は、通信実行部531によって特定された携帯機2の位置が後部ドア付近(例えば、領域Ad内)であると判定されたとき、携帯機2からの指示がある場合に、対象装置7としての後部ドアのドアロックを、開錠又は施錠する。
【0042】
(2)モニタ装置
それぞれのモニタ装置6a~6dは、携帯機2と通信制御装置5との間の無線通信に用いられる電波のスニッフィング(すなわち、傍受)によってこの電波を受動的に受信し、この電波のRSSI(すなわち、受信強度)を計測する。
【0043】
それぞれのモニタ装置6a~6dは、図1に示すように、1つのサブアンテナ61a~61dと、1つのモニタ受信部62a~62dと、1つのモニタ制御部63a~63dと、を有する。それぞれのモニタ装置6a~6dは、更に、1つのモニタ車内通信部64a~64dと、1つの第1の電源切替装置65a~65dと、1つのタイマ66a~66dと、1つの第2の電源切替装置67a~67dと、を有する。
【0044】
サブアンテナ61aは車室内に配置され、サブアンテナ61bは右ドアのドアロック付近に配置され、サブアンテナ61cは左ドアのドアロック付近に配置され、サブアンテナ61dは後部ドアのドアロック付近に配置される。モニタ装置6a~6dは、サブアンテナ61a~61dの位置が異なる以外は同様の構成であるため、以下では、サブアンテナ61a~61dに共通する構成を、モニタ装置6aについて説明する。
【0045】
モニタ装置6aは、サブアンテナ61aと、モニタ受信部62aと、モニタ制御部63aと、モニタ車内通信部64aと、第1の電源切替装置65aと、タイマ66aと、第2の電源切替装置67aと、を有する。モニタ装置6aは、少なくとも、モニタ受信部62a~第2の電源切替装置67aを、基板60a上に有していてもよい。また、モニタ装置6aは、更に、サブアンテナ61aを基板60a上に有していてもよい。
【0046】
サブアンテナ61aは、携帯機2と通信制御装置5との通信に用いられる電波を受動的に受信するためのアンテナである。サブアンテナ61aは、携帯機2と通信制御装置5とのBLE通信に用いられる2.4GHz帯の電波を受信する。サブアンテナ61aは、モニタ受信部62aと接続される。
【0047】
モニタ受信部62aは、サブアンテナ61aと、モニタ制御部63aと接続される。本実施形態では、モニタ受信部62aは、ICとして構成されており、第1の電源切替装置65aを介して電源Vcから供給された電力によって作動する。モニタ受信部62aへ供給される電力は、第1の電源切替装置65aによって、供給又は供給停止が切り替えられる。つまり、モニタ受信部62aは、第1の電源切替装置65aによって、動作及び非動作が切り替えられる。
【0048】
モニタ受信部62aは、電源Vcから電力が供給されている間、サブアンテナ61aを介して受信した2.4GHz帯の電波から通信フレームを示すデータ(すなわち、ビット列)を復調する。復調されたデータはモニタ制御部63aに出力される。上述の周波数情報は、通信制御装置5と携帯機2とのBLE通信のコネクション確立時に、車載制御部53(例えば、通信実行部531)によって、車内用通信フレームに格納されて、通信線9に出力される。なお、モニタ制御部63aは、この車内用通信フレームを通信線9を介して受信し、車内用通信フレームに含まれている周波数情報をモニタ制御部63aが備えるメモリ632に記憶する。これにより、モニタ受信部62aは、周波数情報に基づいて、BLE通信に用いられるチャネルの周波数に追従して、インターバル期間Ti毎に、携帯機2と通信制御装置5との間のBLE通信を受信することができる。
【0049】
また、モニタ受信部62aは、サブアンテナ61aを介して受信した2.4GHz帯の電波のRSSI(すなわち、受信強度)を検出し、検出結果をモニタ制御部63aに出力する。例えば、モニタ受信部62aは、受信電波の強度を電圧値等のアナログ信号で表す受信強度信号を生成し、AD変換を行い、受信強度信号のデジタル値をモニタ制御部63aが備えるメモリ632(例えば、レジスタ等)に記憶させる。受信強度信号のデジタル値は、メモリ632(例えば、レジスタ等)に上書きされていってもよい。
【0050】
第1の電源切替装置65aは、オン(すなわち、接続)及びオフ(すなわち、非接続)を切り替え可能なスイッチである。第1の電源切替装置65aは、供給停止指示に従ってオフされ、電源Vcからモニタ受信部62aへの電力の供給を停止させる。第1の電源切替装置65aは、供給開始指示に従ってオンされ、電源Vcからモニタ受信部62aへの電力の供給を実行する。供給停止指示はタイマ66aから出力され、供給開始指示はモニタ制御部63aから出力される。第1の電源切替装置65aは、電源Vcから電力が常時供給されている。
【0051】
タイマ66aは、第1の電源切替装置65aに、設定された指示時間の経過後に供給停止指示を出力する。本実施形態では、タイマ66aは、指示時間が設定された時点を起点として、起点から指示時間の経過後に供給停止指示を出力する。指示時間は、モニタ制御部63aによってタイマ66aに設定される。タイマ66aは、ハードウェアで構成され、電源Vcから電力が常時供給されるように構成されてもよい。
但し、タイマ66aの構成はこの構成に限定されるものではない。例えば、タイマ66aは、モニタ制御部63aが備えるマイコン630のタイマ機能を用いて構成されてもよいし、モニタ制御部63aが実行するモニタ処理とは別の処理によってソフトウェアで実現されるように構成されてもよい。なお、これらの場合、タイマ66aは、モニタ制御部63aと同様のタイミングで、作動及び非作動が切り替えられるものであってもよい。
【0052】
第2の電源切替装置67aは、オン(すなわち、接続)及びオフ(すなわち、非接続)を切り替え可能なスイッチである。第2の電源切替装置67aは、給電停止指示に従ってオフされ、電源Vcからモニタ制御部63aへの電力の供給を停止させる。これにより、モニタ制御部63aは非動作となる。第2の電源切替装置67aは、給電開始指示に従ってオンされ、電源Vcからモニタ制御部63aへの電力の供給を実行する。これにより、モニタ制御部63aは動作する。給電停止指示はモニタ制御部63aから出力され、給電開始指示はモニタ車内通信部64aから出力される。第2の電源切替装置67aは、電源Vcから電力が常時供給されている。
【0053】
モニタ車内通信部64aは、上述の車内用の通信プロトコル(例えば、LIN)に従って、通信制御装置5とモニタ装置6a~6dとの間で、通信線9を介して通信を行うための装置である。モニタ車内通信部64aは、電源Vcから電力が常時供給されている。モニタ車内通信部64aは、例えば、任意の車内用通信フレームを通信線9を介して受信した場合に、第2の電源切替装置67aに、給電開始指示を出力する。これにより、モニタ制御部63aは、通信線9を介して何らかの車内用通信フレームを受信した場合に、動作する。なお、モニタ車内通信部64aは、所定の通信フレーム、例えば、後述する受信開始命令を表す通信フレームを受信した場合に、第2の電源切替装置67aに、給電開始指示を出力するように構成されてもよい。
【0054】
<モニタ制御部>
モニタ制御部63は、図1に示すように、上述の車載制御部53と同様に、CPU631、ROM及びRAM等といったメモリ632を備えたマイコン630を中心に構成された電子制御装置である。マイコン630の各種機能は、CPU631が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラム633を実行することにより実現される。この例では、ROMが、プログラム633を格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラム633の実行により、プログラム633に対応する方法が実行される。なお、CPU631が実行する機能の一部又は全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、モニタ制御部63を構成するマイコン630の数は1つでも複数でもよい。なお、上述のように、モニタ制御部63aは、第2の電源切替装置67aによって、動作及び非動作が切り替えられる。
【0055】
モニタ制御部63aが実現する機能は以下のとおりである。すなわち、モニタ制御部63aは、サブアンテナ61aを介して受信した、携帯機2を送信元とする電波の強度を示す受信強度情報を含む通信情報を取得し、車載制御部53に通信情報を、通信線9を介して出力する。また、モニタ制御部63aは、スリープ実行タイミングを決定する。スリープ実行タイミングは、モニタ装置6a~6dを、指定機能が実行可能なウェイクアップ状態から指定機能が停止されたスリープ状態に遷移させるタイミングである。
【0056】
また、モニタ制御部63aは、決定したスリープ実行タイミングで、モニタ装置6aをスリープ状態に遷移させる。本実施形態では、スリープ実行タイミングをタイマ66aに設定して、タイマ66に、スリープ実行タイミングで第1の電源切替装置65aに対する供給停止指示を出力させる。これにより、タイマ66aから出力された供給停止指示によってモニタ受信部62aへの電力の供給が停止する。つまり、指定機能としての無線通信の受信機能(すなわち、モニタ受信部62aの機能)を非動作とすることで、モニタ装置6aをスリーブ状態に遷移させる。モニタ制御部63aは、モニタ処理を実行することによって、これらの機能を実現する。
【0057】
[2.処理]
通信制御装置5において、車載制御部53が備える通信実行部531が実行する車載通信処理について、図7図8のフローチャートを用いて説明する。通信実行部531は、車載制御部53に電力が供給されている間、車載通信処理を繰り返し実行する。本実施形態では、車載制御部53に常時電力が供給されている。
【0058】
<車載通信処理>
通信実行部531は、S10では、車両3を識別可能な車両情報を含むiBeaconを送信する。車両情報は、例えば、個々の車両を識別可能な情報(すなわち、車両ID)である。上述のように、携帯機2は、登録された車両IDを含むiBeaconを受信すると、携帯機2を識別可能な携帯IDを含むアドバタイズパケットを送信する。
【0059】
通信実行部531は、続くS20では、アドバタイズのスキャンを開始する。つまり、通信実行部531は、メインアンテナ51、車載通信部52を介して、アドバタイズパケットの受信を開始する。
【0060】
通信実行部531は、次にS30では、携帯IDを含むアドバタイズパケット(以下、対象アドバタイズパケットともいう)を検出したか否かを判定する。ここでいう携帯IDは、予め車両3と紐付けられている携帯機2を識別可能な情報である。つまり、通信実行部531は、メインアンテナ51、車載通信部52を介して受信したアドバタイズパケットに、携帯IDが格納されているか否かを判定する。ここで、対象アドバタイズパケットが検出されていない場合は、通信実行部531は、S30の処理を繰り返すことにより、対象アドバタイズパケットを検出するまで待機する。一方、通信実行部531は、対象アドバタイズパケットを検出すると処理をS40へ移行させる。
【0061】
通信実行部531は、S40では、対象アドバタイズパケットを送信した携帯機2へ接続要求を送信する。
通信実行部531は、続くS50では、対象アドバタイズパケットを送信した携帯機2との間で、BLEの標準仕様に従ってペアリングを行い、ペアリングが完了した後に、BLEに準拠した方式による近距離無線通信のコネクションを確立する。
【0062】
通信実行部531は、次にS60では、位置検出処理を実行する。位置検出処理では、コネクションを確立した携帯機2との間で、BLE通信を実行し、携帯機2の位置を検出する。位置検出処理については後述する。
【0063】
通信実行部531は、続くS70では、コネクションを確立した携帯機2とのBLE通信を終了させる終了操作があったか否かを判定する。終了操作としては、例えば、コネクションを確立した携帯機2がBLE通信をオフする操作や、該携帯機2がアプリ(すなわち、スマートエントリ・スタートシステムのアプリ)を終了する操作、が挙げられる。また、終了操作としては、携帯機2が接続範囲外に移動すること、等が挙げられる。
【0064】
ここで、通信実行部531は、終了操作が無いと判定された場合に処理をS60に戻し、位置検出処理を継続する。一方、通信実行部531は、終了操作があると判定された場合に、以上で本車載通信処理を終了する。
【0065】
<位置検出処理>
次に、通信実行部531が、S60にて実行する位置検出処理を図8に示すフローチャートを用いて説明する。位置検出処理は、通信制御装置5と携帯機2とのBLE通信が確立されたことをきっかけとして開始され、BLE通信の終了操作が実行されるまで、繰り返し実行される。ここで、S110~S145は、図3における(1)及び(2)のペアフレーム(すなわち、SN=0のペアフレーム)によるBLE通信の際に実行される処理である。一方で、S150~S185は、図6における(3)及び(4)のペアフレーム(すなわち、SN=1のペアフレーム)によるBLE通信の際に実行される処理である。
【0066】
S110では、通信実行部531は、モニタ装置6a~6dに、受信開始命令を出力する。具体的には、通信実行部531は、受信開始命令を表す車内用通信フレームを生成して、この車内用通信フレームを、メイン車内通信部56を介して通信線9に出力する。
【0067】
次にS115では、通信実行部531は、携帯機2と無線通信を行うため、BLE通信の通信フレームを生成する。通信実行部531は、ヘッダに含まれるNESN及びSNを、NESN=0、SN=0に設定する。ペイロードに格納されるデータは、予め定められたデータであってもよいし、空データであってもよい。
【0068】
続くS120では、通信実行部531は、S115で生成したBLE通信の通信フレームを示すデータを、車載通信部52に出力する。また、通信実行部531は、周波数情報を更新する指示を車載通信部52に出力する。更新とは、使用するチャネルを次のチャネルに遷移させることをいう。これにより、車載通信部52及びメインアンテナ51を介して、周波数情報に基づくチャネルの周波数で、BLE通信に用いられる通信フレームが送信される。また、通信実行部531は、インターバル期間Tiのカウントを開始する。カウントは、マイコン55が備えるタイマ機能によって実現されてもよい。
【0069】
次にS125では、通信実行部531は、携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームを、正常に受信したか否かを判定する。携帯機2を送信元とするか否かについては、通信実行部531は、受信したBLE通信の通信フレームのAccess Address(以下、アクセスアドレス)に基づいて判定してもよい。つまり、受信した通信フレームのアクセスアドレスがコネクション確立時に定められたアクセスアドレスに一致する場合に、携帯機2を送信元とする通信フレームを受信したと判定してもよい。アクセスアドレスは、通信フレームの非暗号化部に含まれている。
【0070】
なお、ここでいう正常に受信したとは、誤りなく受信し且つ再送要求が無いことをいう。例えば、通信実行部531は、受信した通信フレームに含まれているCRCと、受信した通信フレームの内容に基づいて演算したCRCとが一致する場合に、誤りなく受信したと判定してもよい。通信実行部531は、携帯機2を送信元とする通信フレームを正常に受信したと判定された場合に、処理をS140に移行させる。一方で、通信実行部531は、携帯機2を送信元とする通信フレームを正常に受信しなかったと判定された場合に、処理をS130に移行させる。
【0071】
S130では、通信実行部531は、S120にてカウントを開始したカウント結果に基づいて、BLE通信の通信フレームを送信してからインターバル期間Tiが経過する迄待機する。インターバル期間Tiは、例えば100msecに設定されている。但し、インターバル期間Tiの長さは、通信プロトコルにおいて予め定められた期間であれば任意の長さであってよい。通信実行部531は、インターバル期間Tiが経過した後に処理をS110に移行させ、S110~S125の処理を繰り返す。これにより、ヘッダにおいてNESN=0及びSN=0が設定された通信フレームが、次のチャネルの周波数を用いて再送される。
【0072】
携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームを正常に受信したと判定された場合に移行するS140では、通信実行部531は、それぞれのモニタ装置6a~6dから送信された通信情報に含まれる受信強度情報を取得し、携帯機の位置を検出する。受信強度情報は、それぞれのサブアンテナ61a~61dを介して受信された携帯機2を送信元とする電波の受信強度を示す情報であり、それぞれのモニタ装置6a~6dから通信制御装置5(すなわち、車載制御部53)に送信される。
【0073】
なお、車載制御部53は、モニタ装置6a~6dから受信強度情報を新たに受信すると、受信強度情報を、モニタ装置6a~6d毎にメモリ551に新たに記憶してもよい。モニタ装置6a~6dは、後述するモニタ処理にて、携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームを受信した後に、受信強度情報を含む通信情報を車内用通信フレームを用いて通信線9を介して車載制御部53に出力する。通信実行部531は、S140が実行された時点を含むインターバル期間Ti内において、全てのモニタ装置6a~6dからの受信強度情報がメモリ551に新たに記憶された時点で、それぞれのモニタ装置6a~6dの受信強度情報を取得してもよい。そして、これらの受信強度情報を用いて携帯機2の位置を検出してもよい。
【0074】
通信実行部531は、各モニタ装置6a~6dからの受信強度情報に基づいて、サブアンテナ61a~61dそれぞれから携帯機2までの距離を計測し、三角測量法等を用いて、携帯機2の位置を検出する。携帯機2の位置は、緯度及び経度によって表されてもよいし、車両3の予め定められた位置を原点とする相対的な座標によって表されてもよい。
【0075】
通信実行部531は、携帯機2の位置を、メモリ551に記憶し、対象駆動部532に出力する。これにより、対象駆動部532は、携帯機2の位置に応じて、携帯機2からの指示に従って、ドアロックの開錠又は施錠等といった予め定められた処理を実行する。そして、通信実行部531は、処理をS145に移行する。
【0076】
S145では、通信実行部531は、S120にてカウントを開始したカウント結果に基づいて、BLE通信の通信フレームを送信してからインターバル期間Tiが経過する迄待機する。そして、通信実行部531は、処理をS150に移行させる。
【0077】
S150~S185では、通信実行部531は、S155を除いて、S110~S145と同様の処理を実行するため、説明を簡略化して記載する。
S150では、通信実行部531は、S110と同様の処理を実行し、受信開始命令を送信する。
【0078】
続くS155では、通信実行部531は、S115と同様の処理を実行する。但し、通信実行部531は、BLE通信フレームのヘッダにおいて、NESN及びSNについては、NESN=1、SN=1に設定する。
【0079】
続くS160は、通信実行部531は、S120と同様の処理を実行する。これにより、本ステップでは、S120と同様に、インターバル期間Tiのカウントが開始される。
【0080】
次にS165では、通信実行部531は、S125と同様にして、携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームを、正常に受信したか否かを判定する。通信実行部531は、正常に受信した判定されなかった場合に処理をS170に移行させ、正常に受信したと判定された場合に処理をS180に移行させる。
【0081】
S170では、通信実行部531は、S130と同様にして、BLE通信の通信フレームを送信してからインターバル期間Tiが経過する迄待機し、インターバル期間Tiが経過した後に処理をS150に移行させ、S150~S165の処理を繰り返す。これにより、ヘッダにおいてNESN=1及びSN=1が設定されたBLE通信の通信フレームが、次のチャネルの周波数を用いて再送される。
【0082】
携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームを正常に受信したと判定された場合に移行するS180では、通信実行部531は、S140と同様にして、それぞれのモニタ装置6a~6dから送信された受信強度情報に基づいて携帯機2の位置を検出する。また、通信実行部531は、検出した携帯機2の位置をメモリ551に記憶し、対象駆動部532に出力する。これにより、対象駆動部532では、携帯機2の位置に応じて、携帯機2からの指示に従って、ドアロックの開錠又は施錠等といった予め定められた処理が実行される。
【0083】
S185では、通信実行部531は、S160にてカウントを開始したカウント結果に基づいて、BLE通信の通信フレームを送信してからインターバル期間Tiが経過する迄待機する。そして、通信実行部531は、以上で位置検出処理を終了する。
【0084】
<モニタ処理>
次に、モニタ装置6aが備えるモニタ制御部63aが実行するモニタ処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。なお、それぞれのモニタ装置6a~6dが備えるモニタ制御部63a~63dにおいて、以下と同様のモニタ処理が実行される。
【0085】
モニタ制御部63aは、モニタ車内通信部64aを介して車内用通信フレームが受信されることによってモニタ制御部63aが起動することをきっかけとして、本モニタ処理を実行する。上述のように、モニタ車内通信部64aにおいて任意の又は所定の車内用通信フレームが受信されると、モニタ車内通信部64aから給電開始指示が出力される。これにより、第2の電源切替装置67aがオンされ、第2の電源切替装置67aを介してモニタ制御部63aへの電力の供給が開始される。
【0086】
モニタ制御部63aは、初めにS210では、受信開始命令を受信したか否かを判定する。モニタ制御部63aは、通信線9からモニタ車内通信部64aを介して受信した車内用通信フレームが受信開始命令を表す場合に、受信開始命令を受信したと判定する。モニタ制御部63aは、受信開始命令を受信したと判定した場合に処理をS215に移行させ、受信開始命令を受信しなかったと判定した場合に、以上で本モニタ処理を終了する。
【0087】
モニタ制御部63aは受信開始命令を受信したと判定して移行するS215では、モニタ受信部62aを起動させ、モニタ受信部62aによる受信を開始する。具体的には、モニタ制御部63aは、第1の電源切替装置65aに、第1の電源切替装置65aをオンするための供給開始指示を出力する。これにより、第1の電源切替装置65aを介してモニタ受信部62aへの電力の供給が開始され、モニタ受信部62aが起動し、モニタ受信部62aによる電波の受信が開始される。また、モニタ制御部63a、本ステップにおいて、インターバル期間Tiのカウントを開始する。カウントは、マイコン630が備えるタイマ機能を用いることによって実現されてもよい。
【0088】
モニタ制御部63aは、次にS220では、受信開始命令を受信してからインターバル期間Tiが経過したか否かを判定する。モニタ制御部63aは、インターバル期間Tiが経過したと判定された場合に処理をS225に移行させ、インターバル期間Tiが経過していないと判定された場合に処理をS230に移行させる。
【0089】
モニタ制御部63aは、S225では、モニタ受信部62aを停止させる。具体的には、モニタ制御部63aは、第1の電源切替装置65aに第1の電源切替装置65aをオフするための供給停止指示を出力する。これにより、第1の電源切替装置65aを介してモニタ受信部62aへの電力の供給が停止され、モニタ受信部62aによる電波の受信が停止する。そして、モニタ制御部63aは、以上で本モニタ処理を終了する。
【0090】
モニタ制御部63aは、S230では、モニタ受信部62aを介して、BLE通信の通信フレームにおけるプリアンブルを受信したか否かを判定する。ここで、モニタ制御部63aは、プリアンブルを受信したと判定された場合に処理をS235に移行させる。一方で、モニタ制御部63aは、プリアンブルを受信していないと判定された場合に処理をS220に移行させ、S220~S230の処理を繰り返す。つまり、モニタ制御部63aは、インターバル期間Tiにおいて、プリアンブルを受信する迄待機する。
【0091】
モニタ制御部63aは、S235では、モニタ受信部62aから出力されたデータ(すなわち、ビット列)であってBLE通信の通信フレームを示すデータのうちから、ヘッダを示すデータを取得する。
【0092】
モニタ制御部63aは、続くS240では、上述のようにモニタ受信部62aによってメモリ632(例えば、レジスタ等)に記憶された受信強度信号のデジタル値を取得し、受信強度情報としてメモリ632に記憶し直す。
【0093】
モニタ制御部63aは、次に、S245では、サブアンテナ61aにて受信されたBLE通信の通信フレームの送信元が携帯機2であるか否かを判定する。具体的には、モニタ制御部63aは、サブアンテナ61aによって受信された通信フレームにおいて、ヘッダに含まれるNESN及びSNが互いに異なる(すなわち、NESN≠SNである)か否か、を判定する。互いに異なる(すなわち、不一致である)とは、NESN=1及びSN=0、又は、NESN=0及びSN=1、であることをいう。
【0094】
ここで、モニタ制御部63aは、ヘッダ部に含まれるNESN及びSNが互いに一致する場合に、通信フレームの送信元は携帯機2でない(すなわち、送信元は通信制御装置5である)と判定し、処理をS250に移行する。互いに一致するとは、NESN=0及びSN=0、又は、NESN=1及びSN=1、であることをいう。一方で、モニタ制御部63aは、ヘッダ部に含まれるNESN及びSNが互いに異なる場合に、通信フレームの送信元が携帯機2であると判定し、処理をS255に移行する。
【0095】
S250では、モニタ制御部63aは、S240にてメモリ632に記憶された受信強度情報を破棄する。例えば、モニタ制御部63aは、受信強度情報を初期化して0にする。そして、モニタ制御部63aは、処理をS220に移行し、S220~S245の処理を繰り返す。
【0096】
S255では、モニタ制御部63aは、予め定められたスリープ実行タイミングに、ウェイクアップ状態であるモニタ装置6aをスリーブ状態に遷移させるように作動する。本実施形態では、モニタ制御部63aは、インターバル期間Ti内におけるBLE通信が完了するタイミングを上述のスリープ実行タイミングとして、このスリープ実行タイミングに、モニタ装置6aをスリーブ状態に遷移させる。ウェイクアップ状態とは、モニタ装置6aが備える機能のうちの一部である指定機能が実行可能な状態をいい、スリープ状態とは指定機能が停止された状態をいう。本実施形態では、無線通信の受信機能を指定機能とする。すなわち、モニタ受信部62aが有する機能を指定機能とする。
【0097】
本ステップにおいて、モニタ制御部63aは、まず、モニタ装置6aをウェイクアップ状態からスリープ状態に遷移させるタイミングである、スリープ実行タイミングを決定する。そして、モニタ制御部63aは、決定したスリープ実行タイミングに、指定機能を停止させてモニタ装置6aをスリープ状態に遷移させるように(すなわち、モニタ受信部62aを停止させるように)、タイマ66aを設定する。
【0098】
具体的には、まず、モニタ制御部63aは、式(1)に示すように、ヘッダに含まれるLengthが示す値から、受信必要時間Tcを算出する。受信必要時間Tcは、BLE通信の通信フレームの受信を完了するために必要な時間である。ここでいう通信フレームは、上述のように、携帯機2を送信元とする通信フレームである。
【0099】
Tc=(Length+P)×Q (1)
ここで、Lengthは、通信フレームのデータ長(すなわち、データ量)を示すための情報であり、ペイロードに含まれるデータ長と、MICのデータ長(すなわち、4バイト)とを合わせたデータ長である。単位はバイトである。また、受信余裕Pは、算出する受信必要時間Tcが通信フレームの受信が完了する時間となるように、Lengthに加算する値であり、単位はバイトである。本実施形態では、受信余裕Pは、例えば、CRCのデータ長(すなわち、3バイト)に設定される数値であり、単位はバイトである。なお、受信余裕Pは、CRCのデータ長以上の値に設定されてもよい。
【0100】
Qは、携帯機2と通信制御装置5との間の無線通信における通信速度であり、例えば、1バイトあたり数μ~数十μSECに設定される。なお、P、Qの値は、通信プロトコルや通信状況等に応じて、任意に設定され得る。次に、モニタ制御部63aは、現時点から、受信必要時間Tcの経過後に、第1の電源切替装置65aをオフする供給停止指示を出力するように、タイマ66aにおいて、受信必要時間Tcを指示時間として設定する。モニタ制御部63aは、現時点から受信必要時間Tcが経過した時点を、スリープ実行タイミングとして決定する。現時点とは、受信必要時間Tcを算出した時点である。
【0101】
これにより、現時点から受信必要時間Tcの経過後に、タイマ66aによって供給停止指示が出力され、第1の電源切替装置65aによってモニタ受信部62aへの電力の供給が停止され、モニタ受信部62aによる電波の受信が停止される。
【0102】
なお、上述のように、タイマ66aは、受信必要時間Tcが設定された時点を起点として、指示時間のカウントを開始する。本実施形態では、S235にてヘッダの情報が取得されてからS245にて携帯機2を送信元とする通信フレームであることが判定された直後に、タイマ66aに受信必要時間Tcがセットされる。換言すれば、ヘッダの情報が取得されてからタイマ66aに受信必要時間Tcがセットされるまでのタイムラグは短い。これにより、ヘッダの取得後速やかに、タイマ66aによって受信必要時間Tcがカウントされ供給停止指示が出力されるので、結果として、モニタ受信部62aにて携帯機2を送信元とする通信フレームの受信完了後速やかに、モニタ受信部62aは停止される。つまり、携帯機2を送信元とする通信フレームの受信完了後速やかに、モニタ装置6aはスリーブ状態に遷移される。
【0103】
モニタ制御部63aは、次に、S260では、メモリ632に記憶されている受信強度情報(すなわち、S240にて取得されたRSSI)を、車載制御部53に出力する。モニタ制御部63aは、受信強度情報を含む通信情報をペイロードに格納した車内用通信フレームを生成し、モニタ車内通信部64aを介して通信線9に出力する。
【0104】
モニタ制御部63aは、続くS265では、モニタ制御部63a自身の作動を停止させる。具体的には、モニタ制御部63aは、第2の電源切替装置67aに、第2の電源切替装置67aをオフする給電停止指示を出力する。これにより、モニタ制御部63aへの電力の供給が停止され、モニタ制御部63aは停止する。モニタ制御部63aは、以上で本モニタ処理を終了する。
【0105】
<作動>
本実施形態の車載システム4の作動を図10に基づいて説明する。通信制御装置5(すなわち、車載制御部53)から受信開始命令が送信されると、受信開始命令を受信したモニタ装置6a~6d(すなわち、モニタ制御部63a~63d)はBLE通信の通信フレームの受信を開始する。それぞれのモニタ装置6a~6dは、携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームを受信すると、タイマ66aにスリープ実行タイミングをセットする。本実施形態では、スリープ実行タイミングは、モニタ装置6a~6d毎に、携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームの受信を完了した時点に設定される。これにより、それぞれのモニタ装置6a~6dは、携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームの受信完了後、速やかに、それぞれのモニタ装置6a~6dが備えるモニタ受信部62a~62dを停止させる。このようにして、それぞれのモニタ装置6a~6dは、速やかに、自らスリーブ状態に遷移する。
【0106】
上述のサブアンテナ61a~61dは、それぞれ異なる位置に設けられているため、携帯機2までの距離に応じて、それぞれのモニタ受信部62a~62dが停止するタイミングは異なる。つまり、モニタ装置6a~6dは、サブアンテナ61a~61dと携帯機2との距離が短い順に、早くスリーブ状態に遷移する。図10は、サブアンテナ61aと携帯機2との距離<サブアンテナ61bと携帯機2との距離<サブアンテナ61cと携帯機2との距離<サブアンテナ61dと携帯機2との距離、である例を示す。このように、モニタ装置6a~6dは個別にスリーブ状態に遷移し、スリーブ状態に遷移した以降は、それぞれのモニタ装置6a~6dにおいて、モニタ受信部62a~62dにおける消費電力が削減される。
【0107】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(a)車載システム4は、通信制御装置5とモニタ装置6a~6dとを備える。通信制御装置5が備える車載制御部53は、それぞれのモニタ装置6a~6dから通信線9を介して出力された通信情報に基づいて携帯機2の位置を検出する。そして、車載制御部53は、携帯機2から受信したデータと携帯機2の位置とに基づいて、予め定められたスマートエントリ・スタートシステムに関する処理を行う。
【0108】
それぞれのモニタ装置6a~6dが備えるモニタ制御部63a~63dは、S260では、サブアンテナ61a~61dを介して受信した携帯機2を送信元とする電波の強度を示す受信強度情報を含む通信情報を、車載制御部53に、通信線9を介して出力する。また、モニタ制御部63a~63dは、S255では、モニタ装置6a~6dを、ウェイクアップ状態からスリープ状態に遷移させるスリープ実行タイミングを決定し、決定したスリープ実行タイミングにモニタ装置6a~6dをスリープ状態に遷移させる。スリープ状態は指定機能が停止された状態である。
【0109】
このように構成された本実施形態の車載システム4は、モニタ装置6a~6dが決定したスリープ実行タイミングでモニタ装置6a~6dが自らをスリープ状態に遷移させることができる。このため、モニタ装置6a~6d以外の他の装置(例えば、通信制御装置5)がスリープ実行タイミングを決定し該タイミングで指示を出力してモニタ装置6a~6dをスリープ状態に遷移させる場合よりも、速やかにモニタ装置6a~6d自らをスリープ状態に遷移させることができる。これにより、車載システム4は、消費電力を抑制することができる。
【0110】
また、モニタ受信部62a~62dでは、無線通信に用いられる電波の周波数帯としては、例えば、数MHZ~数十GHzといった、相対的に高い周波数帯が用いられる。このような高い波数帯の電波に適用されるモニタ受信部62a~62dは、相対的に低い周波数帯の電波に適用される一般的な受信装置よりも消費電力が大きい。本実施形態の車載システム4は、速やかにモニタ装置6a~6d自らをスリープ状態に遷移させることができるので、より大きな消費電力抑制の効果を得ることができる。
【0111】
なお、図11に、比較例として、通信制御装置5とほぼ同様に構成された通信制御装置105と、モニタ装置6a~6dとほぼ同様に構成されたモニタ装置106a~106dと、を備える装置の動作例を示す。通信制御装置105は、車載制御部53とほぼ同様に構成された車載制御部153を有する。モニタ装置106a~106dは、モニタ受信部62a~62dとほぼ同様に構成されたモニタ受信部162a~162dと、モニタ制御部63a~63dとほぼ同様に構成されたモニタ制御部163a~163dと、を有する。
【0112】
比較例では、通信制御装置105(例えば、車載制御部153)は、全てのモニタ装置106a~106dから受信強度情報を受信した時点をスリープ実行タイミングとして設定する。通信制御装置105(例えば、車載制御部153)は、このタイミングで一斉に全てのモニタ装置106a~106dに受信停止命令を出力する。受信停止命令は、モニタ装置106a~106dが備えるモニタ受信部162a~162dを停止させる命令である。比較例では、携帯機2からの通信フレームの受信を完了したか否かに拘わらず、携帯機2から最も遠いモニタ装置106dから受信強度情報が車載制御部153にて受信されるまでは、全てのモニタ装置106a~106dがウェイクアップ状態となっている。
【0113】
本実施形態の車載システム4は、図11に示す比較例のように全てのモニタ装置6a~6dにおけるBLE通信の通信フレームの受信完了を待つことなく、モニタ装置6a~6dは携帯機2からの通信フレームの受信を完了した時点で個別にスリーブ状態に遷移する。このため、比較例の場合よりも、より早く、それぞれのモニタ装置6a~6dをスリープ状態に遷移させることができる。より早くスリーブ状態に遷移するぶん消費電力が低減されるので、本実施形態の車載システム4は、比較例よりも消費電力をより抑制することができる。
【0114】
(b)モニタ制御部63a~63dは、S255では、サブアンテナ61a~61dを介して受信した携帯機2を送信元とする通信フレームのヘッダに含まれる情報に基づいて、スリープ実行タイミングを決定する。これにより、車載システム4では、モニタ装置6a~6dは、通信フレームに含まれる情報を適宜用いて、スリープ実行タイミングを任意のタイミングに決定することができる。また、モニタ装置6a~6dを、通信フレームのヘッダ以外(例えば、ペイロード)に含まれる情報に基づいてスリープ実行タイミングを決定する場合よりも、簡素に構成することができる。非暗号化部に含まれるヘッダの情報が用いられることで、暗号化されたペイロードの情報を読み取る装置が必要とされないからである。また、ヘッダは、ペイロードよりも通信フレームの先頭近くに位置するためより早く受信されるので、ヘッダに含まれる情報に基づいてスリープ実行タイミングをより早く決定することができる。スリープ実行タイミングをより早く決定することで、ヘッダが受信されてからタイマ66aに指定時間としてのスリーブ実行タイミングが設定されるまでのタイムラグを短くすることができる。
【0115】
(c)モニタ制御部63a~63dは、S255では、携帯機2を送信元とする通信フレームに含まれる情報であって、この通信フレームのデータ量を示すデータ量情報(例えば、Length)を取得する。モニタ制御部63a~63dは、データ量情報としてのLengthに基づいて携帯機2を送信元とする通信フレームの受信に要する受信必要時間Tcを算出する。モニタ制御部63a~63dは、受信必要時間Tcが経過した時点を、スリープ実行タイミングとして決定する。なお、上述のように、受信必要時間Tcが経過した時点をカウントする起点とする時点は、通信フレームにおいてLengthが含まれるヘッダを受信した時点であってもよい。なお、起点とする時点は、通信フレームにおいてLengthが含まれるヘッダを受信した時点に、厳密に限定されるものではない。
【0116】
これにより、モニタ装置6a~6dは、受信必要時間Tcが経過した時点で(すなわち、通信フレームの受信完了後に)スリープ状態に遷移することができる。また、スリープ状態は指定機能以外の機能が起動している状態であるため、この指定機能以外の機能(例えば、モニタ制御部63a~63dが有する機能)において、受信完了した通信フレームのデータを用いることが可能となる。
【0117】
(d)モニタ制御部63a~63dは、S255では、第1の電源切替装置65a~65dに予め設定された指示時間の経過後に供給停止指示を出力するように構成されたタイマ66a~66dに対して、指示時間を受信必要時間Tcに設定する。そして、モニタ制御部63a~63dは、タイマ66a~66dに、受信必要時間Tcが経過した時点で第1の電源切替装置65a~65dに供給停止指示を出力させる。第1の電源切替装置65a~65dは、供給停止指示に従ってモニタ受信部62a~62dへの電力の供給を停止する。これにより、車載システム4では、タイマ66a~66dを用いてモニタ受信部62a~62dを停止できる。このため、モニタ装置6a~6dにおいてモニタ制御部63a~63dの処理負荷が大きい場合であっても、確実にモニタ装置6a~6dをスリーブ状態に遷移させることができる。
【0118】
(e)指定機能は、通信制御装置5と携帯機2との通信を傍受するスニッフィングを実行するための機能であり、本実施形態では、無線通信の受信機能である。つまり、モニタ受信部62a~62dが有する機能である。スリープ状態において指定機能としてのモニタ受信部62a~62dが有する機能が停止するため、モニタ装置6a~6dは、スリーブ状態において、モニタ受信部62a~62dぶんの消費電力を抑制することができる。本実施形態のモニタ受信部62a~62dは、2.3GHz帯といった高周波数帯の電波の送受信に用いられるため、相対的に低い電波の送受信に用いられる場合よりも、より消費電力の抑制効果を得ることができる。
【0119】
(f)モニタ制御部63a~63dは、S245では、受信したBLE通信フレームのヘッダに含まれる情報であってNESN及びSNを示す情報に基づいて、NESN≠SNである場合に、受信したBLE通信フレームが携帯機2を送信元とする前記BLE通信フレームであると判定する。これにより、非暗号化部であるヘッダに含まれるNESN及びSNに基づいて判定を行うことができるため、暗号化部に含まれる情報に基づいて判定を行う場合よりも、モニタ装置6a~6dを簡易に構成することができる。
【0120】
(g)車載制御部53が行う予め定められた処理は、携帯機2の位置に基づいて、車両3の施錠及び開錠、又は、エンジンの始動及び停止を行うため処理である。これにより、スマートエントリ・スタートシステムを実現することができる。
【0121】
<対応関係>
なお、上述の実施形態において、通信制御装置5が第1の車載デバイスに相当し、モニタ装置6a~6dが第2の車載デバイスに相当する。メインアンテナ51が第1のアンテナに相当し、車載通信部52が第1の車載機通信部に相当し、車載制御部53が第1の車載機側制御部に相当する。サブアンテナ61a~61dが第2のアンテナに相当し、モニタ受信部62a~62dが第2の車載機通信部に相当し、モニタ制御部63a~63dが第2の車載機側制御部に相当する。第1の電源切替装置65~65dが指定機能電力切替装置に相当し、タイマ66a~66dがタイマ装置に相当する。S245が送信元判定部としての処理に相当し、S255が遷移部としての処理に相当し、S260が情報出力部としての処理に相当する。BLE通信フレームにおけるLengthがデータ量情報に相当する。
【0122】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0123】
(4a)上述の実施形態において、携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームに含まれる情報であって、この通信フレームのデータ量を示すデータ量情報は、ペイロードに含まれていてもよい。そして、このデータ量情報に基づいて携帯機2を送信元とする通信フレームの受信に要する受信必要時間Tcが算出されてもよい。
【0124】
(4b)上述の実施形態において、通信制御装置5と携帯機2との間の無線通信は、BLE以外の通信規格に準拠した通信であってもよい。また、無線通信に用いられる信号の周波数帯は、2.4GHz帯以外の周波数帯であってもよい。
【0125】
(4c)上述の実施形態において、指定機能は無線通信を受信する機能であり、モニタ受信部62aが有する機能であったが、指定機能はこれに限定されるものではない。例えば、モニタ受信部62aは無線通信の送信機能を更に有していてもよく、この場合、指定機能は、無線通信の受信機能、又は、受信機能及び送信機能の両方、であってもよい。
【0126】
(4d)上述の実施形態において、モニタ制御部63aは、受信したBLE通信フレームのヘッダに含まれる情報であってNESN及びSNを示す情報を取得し、NESN≠SNである場合に、受信したBLE通信フレームが携帯機2を送信元とするBLE通信フレームであると判定してもよい。そして、モニタ制御部63aは、この携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームに含まれる通信情報を車載制御部53に送信した後に、自身でスリープ状態に遷移してもよい。
【0127】
つまり、スリープ実行タイミングを、携帯機2を送信元とするBLE通信の通信フレームに含まれる通信情報を車載制御部53に送信後、としてもよい。この場合、例えば、図9に示すフローチャートにおいて、車載制御部53は、S245にて肯定判定した後、S260及びS265を実行してもよい。そして、車載制御部53は、S260の実行後に、第1の電源切替装置65aに供給停止指示を出力してもよい。また、車載制御部53は、このように供給停止指示を出力した後に、S265を実行してもよい。このようにしても、車載システム4において消費電力を抑制することができる。
【0128】
(4e)上述の実施形態において、通信制御装置5(例えば、メイン車内通信部56)とモニタ装置6a~6d(例えば、モニタ車内通信部64a~64d)とは、通信線9を介さず、無線通信を行うように構成されてもよい。
(4f)本開示に記載の車載制御部53、モニタ制御部63a~63d及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の車載制御部53、モニタ制御部63a~63d及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の車載制御部53、モニタ制御部63a~63d及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。車載制御部53、モニタ制御部63a~63dに含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0129】
(4g)上述の実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上述の実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上述の実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上述の実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0130】
(4h)上述した車載システム4の他、通信システム1、モニタ装置6a~6d、携帯機2や、通信制御装置5、車載制御部53、モニタ制御部63a~63d、携帯機制御部23、及びこれらを機能させるためのプログラム、これらのプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、通信方法、位置検出方法、遷移方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0131】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
車両に搭載された車載システム(4)であって、
携帯機との間で無線通信を行うように構成された第1の車載デバイス(5)と、前記第1の車載デバイスと通信を行うように構成された少なくとも1つの第2の車載デバイス(6a~6d)とを備え、
前記第1の車載デバイスは、
電波を送受信する第1のアンテナ(51)と、
前記第1のアンテナを用いて無線通信を行うように構成された第1の車載機通信部(52)と、
前記第1の車載機通信部を介して前記携帯機との間でデータの送受信を行い、且つ、それぞれの前記第2の車載デバイスから出力された通信情報に基づいて前記携帯機の位置を検出し、前記携帯機から受信したデータと前記携帯機の位置とに基づいて、予め定められた処理を行うように構成された第1の車載機側制御部(53)と、
を備え、
それぞれの前記第2の車載デバイスは、
前記第1のアンテナとは異なる第2のアンテナ(61a~61d)と、
前記第2のアンテナを用いて無線通信を行うように構成された第2の車載機通信部(62a~62d)と、
第2の車載機側制御部(63a~63d)と、
を備え、
前記第2の車載機側制御部は、
前記通信情報であって前記第2のアンテナを介して受信した前記携帯機を送信元とする電波の強度を示す情報を含む前記通信情報を、前記第1の車載機側制御部に出力するように構成された情報出力部(S260)と、
前記第2の車載デバイスを指定機能が実行可能なウェイクアップ状態から前記指定機能が停止されたスリープ状態に遷移させるスリープ実行タイミングを決定し、決定した前記スリープ実行タイミングに前記第2の車載デバイスをスリープ状態に遷移させるように構成された遷移部(S255)と、
を備える、車載システム。
[項目2]
項目1に記載の車載システムであって、
前記遷移部は、前記第2のアンテナを介して受信した前記携帯機を送信元とする通信フレームに含まれる情報に基づいて、前記スリープ実行タイミングを決定する、車載システム。
[項目3]
項目2に記載の車載システムであって、
前記遷移部は、前記第2のアンテナを介して受信した携帯機を送信元とする通信フレームのヘッダに含まれる情報に基づいて、前記スリープ実行タイミングを決定する、車載システム。
[項目4]
項目2又は項目3に記載の車載システムであって、
前記遷移部は、前記通信フレームに含まれる情報であって前記通信フレームのデータ量を示すためのデータ量情報を取得し、前記データ量情報に基づいて前記通信フレームの受信に要する受信必要時間を算出し、前記受信必要時間が経過した時点を前記スリープ実行タイミングとして決定する、車載システム。
[項目5]
項目4に記載の車載システムであって、
前記遷移部は、供給停止指示に従って前記指定機能を有する装置への電力の供給を少なくとも停止させる指定機能電力切替装置(65a~65d)に予め設定された指示時間の経過後に前記供給停止指示を出力するように構成されたタイマ装置(66a~66d)に対して前記指示時間を前記受信必要時間に設定し、前記タイマ装置に前記受信必要時間が経過した時点で前記指定機能電力切替装置に前記供給停止指示を出力させる、車載システム。
[項目6]
項目1から項目5のいずれか1項に記載の車載システムであって、
前記指定機能は、前記第1の車載デバイスと前記携帯機との通信を傍受するスニッフィングを実行するための機能である、車載システム。
[項目7]
項目6に記載の車載システムであって、
前記指定機能は、前記第2の車載機通信部が有する機能である、車載システム。
[項目8]
項目1から項目7までのいずれか1項に記載の車載システムであって、
前記携帯機と前記第1の車載デバイスとの間の無線通信は、Bluetooth Low Energy(Bluetoothは登録商標)規格に従った無線通信であり、通信フレームはBluetooth Low Energy規格に従ったBLE通信フレームであり、
前記第2の車載機側制御部は、
受信した前記BLE通信フレームのヘッダに含まれる情報であってNESN及びSNを示す情報を取得し、NESN≠SNである場合に、前記受信したBLE通信フレームが前記携帯機を送信元とする前記BLE通信フレームであると判定するように構成された送信元判定部(S245)
を更に備える、車載システム。
[項目9]
項目1から項目8までのいずれか1項に記載の車載システムであって、
前記携帯機と前記第1の車載デバイスとの間の無線通信は、Bluetooth Low Energy(Bluetoothは登録商標)規格に従った無線通信であり、通信フレームはBluetooth Low Energy規格に従ったBLE通信フレームであり、
前記第2の車載機側制御部は、
受信した前記BLE通信フレームのヘッダに含まれる情報であってNESN及びSNを示す情報を取得し、NESN≠SNである場合に、前記受信したBLE通信フレームが前記携帯機を送信元とする前記BLE通信フレームであると判定するように構成された送信元判定部(S245)
を更に備え、
前記遷移部は、前記第1の車載機側制御部に前記通信情報が出力された時点を前記スリープ実行タイミングとして決定する、車載システム。
[項目10]
項目1から項目9までのいずれか1項に記載の車載システムであって、
前記第1の車載機側制御部は、前記携帯機の位置に基づいて、前記車両の施錠及び開錠、又は、エンジンの始動及び停止を行うように構成された、車載システム。
【符号の説明】
【0132】
1…通信システム、2…携帯機、3…車両、4…車載システム、5…通信制御装置、6a、6b、6c、6d…モニタ装置、51…メインアンテナ、53…車載制御部、61a、61b、61c、61d…サブアンテナ、63a、63b、63c、63d…モニタ制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11