(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008515
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
G06F 11/36 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
G06F11/36 184
G06F11/36 164
G06F11/36 188
G06F11/36 192
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110452
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾松 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】福田 毅
(72)【発明者】
【氏名】前田 功治
(72)【発明者】
【氏名】蛯名 朋仁
(72)【発明者】
【氏名】村上 隆
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GB08
5B042HH11
5B042HH17
5B042HH20
5B042HH49
5B042MC22
5B042MC29
(57)【要約】
【課題】実行空き継続時間内で実行完了可能な検証シナリオを動的に選択し、自動運転制御ソフトウェアプログラムの検証効率を向上できる車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両制御装置1は、車両の外部環境情報に基づいて、現行の自動運転制御ソフトウェアプログラムの実行空き継続時間を予測する実行空き継続時間予測部13と、新自動運転制御ソフトウェアプログラムの性能を検証するための検証シナリオから、実行空き継続時間以内で実行完了可能な検証シナリオを検証対象として選定する検証対象選定部15と備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部環境情報に基づいて、現行の自動運転制御ソフトウェアプログラムの実行空き継続時間を予測する実行空き継続時間予測部と、
新自動運転制御ソフトウェアプログラムの性能を検証するための検証シナリオから、前記実行空き継続時間内で実行完了可能な前記検証シナリオを検証対象として選定する検証対象選定部と、
前記実行空き継続時間において、前記検証対象を新自動運転制御ソフトウェアプログラムで実行する演算部と、を備える
車両制御装置。
【請求項2】
前記実行空き継続時間以外の時間で前記演算部により演算が実行された前記現行の自動運転制御ソフトウェアプログラムの演算結果と、前記実行空き継続時間内で前記演算部により演算が実行された新自動運転制御ソフトウェアプログラムの演算結果とに基づいて、新自動運転制御ソフトウェアプログラムを検証する検証部を備える
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記外部環境情報は、車両の外部環境を検知するセンサから取得されるセンサ情報を含む
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記センサ情報は、車両前方の交差点の映像、車両前方の信号機の映像を含む
請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記外部環境情報は、クラウド通信により取得されるクラウド情報を含む
請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記クラウド情報は、前方信号機の赤色継続時間、渋滞発生情報、信号機切り替えタイミングを含む
請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記外部環境情報は、自動運転が終了することを示すオブジェクトの画像情報を含む
請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記オブジェクトの画像情報は、黄色表示の信号機の画像情報、踏切の画像情報、一時停止線の画像情報、一時停止標識の画像情報、バス停で停車中のバスの画像情報を含む
請求項7に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記実行空き継続時間予測部は、前記車両の車内ユーザインターフェースから取得される自動運転が終了することを示す情報に基づいて、前記実行空き継続時間を予測する
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記車両の車内ユーザインターフェースから取得される自動運転が終了することを示す情報は、前記車両が自動運転モードから自動駐車モードに切り替える情報を含む
請求項9に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記実行空き継続時間内で実行完了可能な前記検証シナリオが存在しない場合、
前記検証対象選定部は、前記検証シナリオを前記実行空き継続時間内で実行完了可能なサイズに分割して前記検証対象を選定する
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項12】
前記実行空き継続時間内で実行完了可能な前記検証シナリオが複数存在する場合、
前記検証対象選定部は、予め設定された前記検証シナリオの優先度に基づいて前記検証対象を選定する
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項13】
前記実行空き継続時間予測部は、前記車両の他の制御装置の内部状態の情報に基づいて、前記実行空き継続時間を予測する
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項14】
前記他の制御装置の内部状態の情報は、前記車両が自動運転モードから自動駐車モードに切り替えた状態を示す情報を含む
請求項13に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の自動運転制御ソフトウェアプログラム(以下、「自動運転制御ソフト」と略記する)の安全性評価手法として、実車両で外部環境情報を用いて自動運転制御ソフトをバックグラウンドで実行して評価するShadow Modeという評価手法がある。しかしながら、Shadow modeを実現するには高性能なハードウェアを車両に搭載する必要があり、車両製造コストが増える問題がある。そこで、高性能なハードウェアを車両に追加せずに自動運転制御ソフトの検証を行うことが出来る技術(特許文献1を参照)が提案されている。
【0003】
特許文献1には、車両制御装置は、「旧バージョンの制御ソフトウェアを示す旧制御ソフト部と、新バージョンの制御ソフトウェアを示す新制御ソフト部を並行または並列に実行する」、「旧制御ソフトを実行していない空きリソース(時間、CPU)を用いて検証する」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来、旧自動運転制御ソフトの実行空き時間に新自動運転制御ソフトを実行して、新自動運転制御ソフトの安全性を検証する技術が提案されている。しかしながら、運転シナリオのサイズによって、旧自動運転制御ソフトの実行空き時間に新自動運転制御ソフトの検証が完了できない場合がある。すなわち、従来の技術では、旧自動運転制御ソフトの実行空き時間に応じて最適なサイズの運転シナリオを検証対象として選択することができない問題が発生する。このような問題が発生する場合、検証のやり直しが発生して検証効率が低下する。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、実行空き継続時間内で実行完了可能な検証シナリオを動的に選択し、自動運転制御ソフトウェアプログラムの検証効率を向上できる車両制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両制御装置は、車両の外部環境情報に基づいて、現行の自動運転制御ソフトウェアプログラムの実行空き継続時間を予測する実行空き継続時間予測部と、新自動運転制御ソフトウェアプログラムの性能を検証するための検証シナリオから、実行空き継続時間以内で実行完了可能な検証シナリオを検証対象として選定する検証対象選定部と備える。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の本発明によれば、実行空き継続時間内で実行完了可能な検証シナリオを動的に選択し、自動運転制御ソフトウェアプログラムの検証効率を向上できる車両制御装置を提供することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の各実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の車内における各種装置との接続関係を説明するための図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の情報取得部における外部環境情報の取得処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置において取得される外部環境情報のデータ例を示す図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置における新SW情報の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の検証シナリオ保存部における検証シナリオの保存処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置において保存される検証シナリオのデータ例を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の実行空き継続時間予測部における実行空き継続時間の予測処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置における実行空き継続時間のデータ例を示す図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の演算部における処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の検証対象選定部における検証シナリオの選択処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置における自動運転終了情報のデータ例を示す図である。
【
図13】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置において選定される検証シナリオのデータ例を示す図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の演算部の実行結果のデータ例を示す図である。
【
図15】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の検証部における新自動運転制御ソフトの検証処理の手順を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る車両制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る車両制御装置の実行空き継続時間予測部における実行空き継続時間の予測処理の手順を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の第2実施形態に係る車両制御装置におけるオブジェクト情報のデータ例を示す図である。
【
図19】本発明の第3実施形態に係る車両制御装置が車内における接続関係を説明するための図である。
【
図20】本発明の第3実施形態に係る車両制御装置における車内ユーザインターフェースから取得される情報の一例を示す図である。
【
図21】本発明の第3実施形態に係る車両制御装置の実行空き継続時間予測部における実行空き継続時間の予測処理の手順を示すフローチャートである。
【
図22】本発明の第4実施形態に係る車両制御装置の検証対象選定部における検証対象シナリオの分割処理の手順を示すフローチャートである。
【
図23】本発明の第5実施形態に係る車両制御装置において優先度が付与された検証シナリオのデータ例を示す図である。
【
図24】本発明の第5実施形態に係る車両制御装置の検証対象選定部における検証シナリオの選択処理の手順を示すフローチャートである。
【
図25】本発明の第6実施形態に係る車両制御装置において取得される外界情報の一例を示す図である。
【
図26】本発明の第7実施形態に係る車両制御装置において取得されるコントローラユニットの内部状態の情報一例を示す図である。
【
図27】本発明の各実施形態に係る車両制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
<第1実施形態>
本実施形態に係る車両制御装置の構成を説明する前、まず、本実施形態に係る車両制御装置が搭載される車両における各種装置と車両制御装置との接続関係について説明する。
図1は、本実施形態に係る車両制御装置1の車内における各種装置との接続関係を説明するための図である。
【0012】
車両制御装置1は、
図1に示すように、ゲートウェイ2に接続され、ゲートウェイ2から車速等の車両データや、新自動運転制御ソフトの情報(以下では、新SW情報と称する)等を取得する。また、車両制御装置1は、車内ネットワークを介して、カメラ制御装置3、LiDAR(Light Detection and Ranging)制御装置4、及び、ソナー制御装置5等の各種のセンサ制御装置から、各種のセンサ情報を取得する。また、車両制御装置1は、クラウド通信を介して、サーバ6から車両前方の交差点内の信号機の赤色継続時間情報や地図データなどのクラウド情報を取得する。
【0013】
[車両制御装置の構成例]
次に、本実施形態に係る車両制御装置1の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る車両制御装置1の構成例を示すブロック図である。車両制御装置1は、
図2に示すように、情報取得部11と、検証シナリオ保存部12と、実行空き継続時間予測部13と、演算部14と、検証対象選定部15と、検証部16とを備える。情報取得部11は、検証シナリオ保存部12、実行空き継続時間予測部13及び演算部14のそれぞれに接続される。検証シナリオ保存部12、実行空き継続時間予測部13及び演算部14のそれぞれは、検証対象選定部15にも接続される。また、演算部14は検証部16にも接続される。
【0014】
情報取得部11は、車内ネットワークを介して、各種のセンサ制御装置から各種のセンサ情報を外部環境情報M1として取得し、外部環境情報M1を検証シナリオ保存部12、実行空き継続時間予測部13及び演算部14に出力する。また、情報取得部11は、クラウド通信を介して、サーバ6からクラウド情報を外部環境情報M1として取得する。なお、情報取得部11における外部環境情報の取得処理について、後述の
図3で詳述する。
【0015】
検証シナリオ保存部12は、ゲートウェイ2から入力される新SW情報M2、及び、情報取得部11から入力される外部環境情報M1を基に、検証シナリオの保存処理を行う。また、検証シナリオ保存部12は、保存した検証シナリオM3を検証対象選定部15に出力する。なお、検証シナリオ保存部12における検証シナリオの保存処理について、後述の
図6で詳述する。
【0016】
実行空き継続時間予測部(実行空き継続時間予測部13)は、車両の外部環境情報に基づいて、現行の自動運転制御ソフトの実行空き継続時間M4を予測する。例えば、実行空き継続時間予測部13は、情報取得部11から入力される外部環境情報M1に基づいて実行空き継続時間M4を予測する。実行空き継続時間M4は、例えば、車両のドライバが運転しており、自動運転が行われない時間、又は自動運転モードから自動駐車モードに移行し、車両制御装置1が自動運転処理を行っていない時間であり、演算部14が現行SWを実行していない時間が想定される。なお、演算部14の実行割合(演算部14の全演算量に対する使用演算量)が所定値(例えば、30%)未満で継続する時間を実行空き継続時間M4としてもよい。
【0017】
実行空き継続時間予測部13は、車両が自動運転中に前方の信号機が黄色点灯から赤色点灯に変わった場合に、数秒後に車両が信号機の手前で停止することが予測できるので、信号機が青色に点灯するまでの期間を実行空き計測時間M4として予測できる。他にも、実行空き継続時間予測部13は、車両が駐車場に入って減速開始した時に、数秒後に車両が自動駐車するため、自動運転が停止するので、自動運転が停止する期間を実行空き計測時間M4として予測することもできる。
【0018】
なお、車両の外部環境情報は、例えば、車両の外部環境を検知するセンサから取得される外部環境情報M1、後述の自動運転が終了することを示す任意のオブジェクトの画像情報等を含む。情報取得部11は様々な手段で車両の外部環境情報を取得できるので、実行空き継続時間予測部13は、精度よく実行空き計測時間M4を予測できる。また、実行空き継続時間予測部13は、予測した実行空き継続時間M4を検証対象選定部15に出力する。なお、実行空き継続時間予測部13における実行空き継続時間M4の予測処理について、後述の
図8で詳述する。
【0019】
演算部14は、情報取得部11から入力される外部環境情報M1に基づいて、自動運転が終了するか否かを判定する。演算部14は、自動運転が継続すると判定した場合、現行の自動運転制御ソフト(現行SW)を継続して実行し、自動運転の実行結果M7を検証部16に出力する。また、演算部14は、自動運転が終了すると判定した場合、自動運転が終了することを示す自動運転終了情報M5を検証対象選定部15に出力する。また、演算部(演算部14)は、実行空き継続時間M4において、選択シナリオM6(検証対象)を新自動運転制御ソフトウェアプログラムで実行し、新SWの実行結果M7を検証部16に出力する。なお、演算部14における上述の処理について、後述の
図10で詳述する。
【0020】
検証対象選定部(検証対象選定部15)は、検証シナリオ保存部12により保存された新自動運転制御ソフトの性能を検証するための検証シナリオM3から、実行空き継続時間M4以内で実行完了可能な検証シナリオを検証対象として選定する。また、検証対象選定部15は、選択された検証シナリオ(以下では、選択シナリオM6と称する)を演算部14に出力する。なお、検証対象選定部15における検証シナリオの選択処理について、後述の
図11で詳述する。
【0021】
検証部(検証部16)は、実行空き継続時間M4以外の時間で演算部(演算部14)により演算が実行された現行の自動運転制御ソフトウェアプログラムの演算結果と、実行空き継続時間M4内で演算部(演算部14)により演算が実行された新自動運転制御ソフトウェアプログラムの演算結果とに基づいて、新自動運転制御ソフトウェアプログラムを検証する。検証部16による新SWの検証結果は、インターネットを通じて新SWの開発会社に送信され、新SWの開発者が新SWの検証結果を確認可能である。なお、検証部16における上述の処理について、後述の
図15で詳述する。
【0022】
なお、上述した新SW情報M2及び検証シナリオM3は、不揮発性ストレージデバイスに構成される、不図示のデータベース(DB:Data Base)に保存される。外部環境情報M1、実行空き継続時間M4、自動運転終了情報M5、選択シナリオM6及び実行結果M7は、不図示のデータベース(DB)に保存されてもよいし、RAM(Random Access Memory)やROM(Read only memory)などの不図示の記憶装置に一時的に保存されてもよい。
【0023】
[情報取得部における外部環境情報の取得処理]
図3は、本実施形態に係る車両制御装置1の情報取得部11における外部環境情報M1の取得処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、新SWの検証に関する各種処理が行われる前に外部環境情報M1を用意するため、所定の周期で実行される。
【0024】
まず、情報取得部11は、車両制御装置1に接続される各種センサの制御装置、例えば、
図1に示す、カメラ制御装置3、LiDAR制御装置4及びソナー制御装置5から各種の外部環境情報M1(
図4参照)を取得する(ステップS101)。また、この処理では、情報取得部11は、クラウド通信を介して、サーバ6からクラウド情報を外部環境情報M1(
図4参照)として取得する。
【0025】
次いで、情報取得部11は、取得した外部環境情報M1を検証シナリオ保存部12、実行空き継続時間予測部13及び演算部14に出力する(ステップS102)。ステップS102の処理後、センサ情報の取得処理は終了する。
【0026】
図4は、情報取得部11により取得される外部環境情報M1のデータ例を示す図である。外部環境情報M1は、
図4に示すように、「種類」の情報データと「内容」の情報データとを含む。「No.」は、外部環境情報M1の並び順を示す番号、例えば、「1」~「8」の数字番号である。なお、外部環境情報M1の並び順は、任意である。
【0027】
「種類」の情報データは、外部環境情報M1の取得元であるセンサの種類に対応する情報データである。例えば、カメラセンサからの外部環境情報M1の「種類」を「カメラ映像」とし、クラウドからの外部環境情報M1の「種類」を「クラウド情報」とする。
【0028】
「内容」の情報データは、外部環境情報M1の内容を表す情報データである。例えば、交差点の状況が撮像された映像を表す「歩行者有交差点走行(1) 映像」、車両の前方にある信号機の色が撮像された映像を表す「前方信号機 青色 映像」、クラウド情報の内容を表す「前方信号機 赤色継続時間 8seconds」等が挙げられる。
【0029】
図5は、車両制御装置1がゲートウェイ2を介して取得する新SW情報M2の一例を示す図である。新SW情報M2は、
図5に示すように、「項目」の情報データと「内容」の情報データとを含む。「No.」は、新SW情報M2の並び順を示す番号、例えば、「1」~「2」の数字番号である。なお、新SW情報M2の並び順は、任意である。
【0030】
「項目」の情報データは、新SW情報M2が新SWの本体情報であることを表す情報データ(例えば、「新SW」)、又は、新SW情報M2が現行SWに対するバージョンアップ箇所の情報であることを表す情報データ(例えば、「SWのバージョンアップ箇所」)である。
【0031】
「内容」の情報データは、「項目」に対応する新SW情報M2の内容を表す情報データである。例えば、「新SW」の内容を表す「車両制御ソフト」、「SWのバージョンアップ箇所」の内容を表す「交差点内の画像処理技術」等が挙げられる。車両制御ソフトとは、新SWを実行制御するために必要なソフトである。また、新SWにおける交差点内の画像処理技術がバージョンアップした結果、従来よりも交差点内の歩行者を多く検出できるのであれば、車両が交差点に進入する前、及び交差点を走行する時に限って検証シナリオが保存されるとよい。このように現行SWからバージョンアップした箇所に限定して検証シナリオが保存されるように構成することが可能である。
【0032】
[検証シナリオ保存部における検証シナリオの保存処理]
図6は、本実施形態に係る車両制御装置1の検証シナリオ保存部12における検証シナリオの保存処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、検証シナリオ保存部12が情報取得部11から外部環境情報M1を取得すると開始される。
【0033】
まず、検証シナリオ保存部12は、情報取得部11からの外部環境情報M1、及びゲートウェイ2からの新SW情報M2を取得する(ステップS201)。
【0034】
次いで、検証シナリオ保存部12は、新SW情報M2の「SWバージョンアップ箇所」に対応する「内容」、及び、外部環境情報M1に基づいて、検証シナリオM3を生成してDBに保存する(ステップS202)。この処理では、検証シナリオ保存部12は、例えば、
図5に示す「SWバージョンアップ箇所」が「交差点内の画像処理技術」である新SW情報M2に応じて、
図4に示す「歩行者有交差点走行(1) 映像」~「歩行者有交差点走行(4) 映像」の外部環境情報M1を抽出して、各映像の時間長さを基に検証シナリオM3(後述の
図7参照)を生成して保存する。
【0035】
次いで、検証シナリオ保存部12は、検証シナリオM3を検証対象選定部15に出力する(ステップS203)。ステップS203の処理後、検証シナリオの保存処理は終了する。
【0036】
図7は、検証シナリオ保存部12により保存される検証シナリオM3のデータ例を示す図である。検証シナリオM3は、
図7に示すように、「検証シナリオ候補」の情報データと「時間属性」の情報データとを含む。「No.」は、検証シナリオM3の並び順を示す番号、例えば、「1」~「2」の数字番号である。
【0037】
「検証シナリオ候補」の情報データは、検証シナリオ保存部12により生成された検証シナリオの内容を表す情報データである。「時間属性」の情報データは、「検証シナリオ候補」に格納される検証シナリオ(映像)の時間の長さを表す情報データである。例えば、「歩行者有交差点走行(1) 映像」の時間長さが10秒(seconds)であるので、「検証シナリオ候補」が「歩行者有交差点走行(1)」であり、「時間属性」が「10seconds」である検証シナリオM3が保存される。
【0038】
[実行空き継続時間予測部における実行空き継続時間の予測処理]
図8は、本実施形態に係る車両制御装置1の実行空き継続時間予測部13における実行空き継続時間の予測処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、実行空き継続時間予測部13が情報取得部11から外部環境情報M1を取得すると開始される。
【0039】
まず、実行空き継続時間予測部13は、情報取得部11から外部環境情報M1を取得する(ステップS301)。
【0040】
次いで、実行空き継続時間予測部13は、外部環境情報M1に基づいて、現行SWの実行空き継続時間M4を予測する(ステップS302)。この処理では、実行空き継続時間予測部13は、例えば、
図4に示す外部環境情報M1中の「クラウド情報」である「前方信号機 赤色継続時間 8seconds」に基づいて、現行SWの実行空き継続時間M4(後述の
図9参照)が「8seconds」となることを予測する。
【0041】
次いで、実行空き継続時間予測部13は、予測した実行空き継続時間M4を検証対象選定部15に出力する(ステップS303)。ステップS303の処理後、実行空き継続時間の予測処理は終了する。
【0042】
図9は、本実施形態に係る車両制御装置1における実行空き継続時間のデータ例を示す図である。実行空き継続時間M4は、予測された実行空き継続時間を示す「実行空き継続時間」の情報(例えば、「8seconds」)を含む。「No.」は、実行空き継続時間M4の並び順を示す番号、例えば、「1」の数字番号である。
【0043】
[演算部における処理]
図10は、本実施形態に係る車両制御装置1の演算部14における処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、演算部14が情報取得部11から外部環境情報M1を取得すると開始される。
【0044】
まず、演算部14は、情報取得部11から外部環境情報M1を取得する(ステップS401)。
【0045】
次いで、演算部14は、外部環境情報M1に基づいて自動運転が終了するか否かを判定する(ステップS402)。この処理では、演算部14は、例えば、
図4に示す「前方信号機 青色 映像」との外部環境情報M1に基づいて自動運転が継続すると判定する場合に、ステップS402はNO判定となる。また、演算部14は、例えば、
図4に示す「前方信号機 赤色 映像」との外部環境情報M1に基づいて自動運転が終了すると判定する場合に、ステップS402はYES判定となる。
【0046】
ステップS402の処理において、演算部14は、自動運転が継続すると判定した場合(ステップS402のNO判定の場合)、現行SWを継続して実行する(ステップS403)。
【0047】
次いで、演算部14は、現行SWの実行結果M7を検証部16に出力する(ステップS404)。
【0048】
一方、ステップS402の処理において、演算部14は、自動運転が終了すると判定した場合(ステップS402のYES判定の場合)、自動運転終了情報M5(後述の
図12参照)を検証対象選定部15に出力する(ステップS405)。
【0049】
次いで、演算部14は、DBに保存された新SW情報M2(
図5参照)を取得する(ステップS406)。
【0050】
次いで、演算部14は、検証対象選定部15から選択シナリオM6(後述の
図13参照)を取得する(ステップS407)。
【0051】
次いで、演算部14は、選択シナリオM6を、新SW情報M2に含まれる自動運転制御ソフト(新SW)で実行する(ステップS408)。
【0052】
次いで、演算部14は、選択シナリオM6が新SWでの実行結果M7を検証部16に出力する(ステップS409)。
【0053】
ステップS404又はステップS409の処理後、演算部14は、車両制御装置1の稼働が停止するか否かを判定する(ステップS410)。
【0054】
ステップS410の処理において、演算部14は、車両制御装置1の稼働が停止しないと判定した場合(ステップS410のNO判定の場合)、ステップS402の処理に戻し、ステップS402~ステップS410の処理を繰り返して実行する。
【0055】
一方、ステップS410の処理において、演算部14は、車両制御装置1の稼働が停止すると判定した場合(ステップS410のNO判定の場合)、演算部14における処理は終了する。
【0056】
[検証対象選定部における検証シナリオの選択処理]
図11は、本実施形態に係る車両制御装置1の検証対象選定部15における検証シナリオの選択処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、検証対象選定部15が演算部14から自動運転終了情報M5を取得すると開始される。
【0057】
まず、検証対象選定部15は、演算部14から自動運転終了情報M5を取得する(ステップS501)。
【0058】
次いで、検証対象選定部15は、自動運転が終了するか否かを判定する(ステップS502)。この処理では、検証対象選定部15は、取得した自動運転終了情報M5が自動運転終了を示す情報データ、例えば、後述の
図12に示す「1」である場合に、自動運転が終了すると判定する(ステップS502のYES判定)。また、検証対象選定部15は、取得した自動運転終了情報M5が自動運転終了を示す情報データでない、例えば、後述の
図12に示す「1」以外である場合に、自動運転が継続すると判定する(ステップS502のNO判定)。
【0059】
ステップS502の処理において、検証対象選定部15は、自動運転が継続すると判定した場合(ステップS502のNO判定の場合)、ステップS501の処理に戻し、ステップS501~ステップS502の処理を繰り返して実行する。
【0060】
一方、ステップS502の処理において、検証対象選定部15は、自動運転が終了すると判定した場合(ステップS502のYES判定の場合)、DBから検証シナリオM3を取得する(ステップS503)。この処理では、検証対象選定部15は、例えば、予め指定された検証したい検証シナリオM3を取得する。
【0061】
次いで、検証対象選定部15は、実行空き継続時間予測部13により予測された実行空き継続時間M4を取得する(ステップS504)。
【0062】
次いで、検証対象選定部15は、実行空き継続時間M4に基づき、取得した検証シナリオM3から実行完了可能な検証シナリオを選択シナリオM6として選定する(ステップS505)。例えば、検証対象選定部15は、
図9に示す「8seconds」の実行空き継続時間M4に基づき、
図7の示す検証シナリオM3から、「8seconds」以内で実行完了可能な「No.2」の検証シナリオを選択シナリオM6(後述の
図13参照)として選定する。
【0063】
次いで、検証対象選定部15は、選定した選択シナリオM6を演算部14に出力する(ステップS506)。ステップS506の処理後、検証シナリオの選択処理は終了する。
【0064】
図12は、本実施形態に係る車両制御装置1における自動運転終了情報M5のデータ例を示す図である。
図12に示すように「自動運転終了情報」の値「1」は、自動運転が終了することを表す。なお、本発明はこれに限定されず、自動運転が終了することを示す情報データであれば、「自動運転終了情報」の値を任意に設定してもよい。
【0065】
図13は、本実施形態に係る車両制御装置1において選定される検証シナリオ(選択シナリオM6)のデータ例を示す図である。
図13には、
図11のステップS505で説明した、検証対象選定部15により選定された
図7の「No.2」の検証シナリオが選択シナリオM6として示されている。
図13に示すように、選択シナリオM6の時間属性(「7seconds」)は、実行空き継続時間M4(「8seconds」)より短いものであり、すなわち、選択シナリオM6は、実行空き継続時間M4(「8seconds」)以内で実行完了可能である。
【0066】
図14は、本実施形態に係る車両制御装置1の演算部14の実行結果M7のデータ例を示す図である。
図14に示すように、実行結果M7は、実行結果が出力されるインターフェースの情報(「インターフェース」の欄)と、インターフェースに対応する現行SWの出力結果(「現行SW出力値」の欄)と、インターフェースに対応する新SWの出力結果(「新SW出力値」の欄)とを含む。「インターフェース」の欄に対応する「現行SW出力値」及び「新SW出力値」は、インターフェースの出力値を、当該インターフェースの最大出力値に対する比率として、パーセント(%)で表したものである。例えば、「ステアリング」の「現行SW出力値」及び「新SW出力値」は、いずれも「20%」であるので、ステアリング性能に変化はないことが分かる。なお、検証部16は、実行結果M7の「現行SW出力値」と「新SW出力値」とを比較して、新SWの性能評価を行う。
図14のインターフェースの欄には、アクセル、ブレーキの項目も含まれる。なお、
図14のインターフェースの欄にギア(1速、2速等)の項目が含まれてもよい。
【0067】
[検証部における新自動運転制御ソフトの評価処理]
図15は、本実施形態に係る車両制御装置1の検証部16における新自動運転制御ソフトの評価処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、演算部14から実行結果M7が出力されると実行されてもよいし、所定の周期で実行されてもよい。
【0068】
まず、検証部16は、演算部14の実行結果M7を取得する(ステップS601)。
【0069】
次いで、検証部16は、取得された実行結果M7に基づいて、新SWの性能評価を行う(ステップS602)。この処理では、検証部16は、例えば、
図14に示す実行結果M7の「現行SW出力値」と「新SW出力値」とを比較して新SWの性能を評価する。ステップS602の処理後、新自動運転制御ソフトの評価処理は終了する。
【0070】
[効果]
上述したように、本発明の第1実施形態に係る車両制御装置1は、現行の自動運転制御ソフトの実行空き継続時間(自動運転の停止時間)を予測し、予測された実行空き継続時間に基づき、実行空き継続時間内に実行完了可能な検証シナリオを選定する。すなわち、車両制御装置1は、実行空き継続時間に応じて検証シナリオを動的に選択して、選択された検証シナリオを新自動運転制御ソフトで実行して検証を行う。本実施形態に係る車両制御装置1は、検証シナリオを動的に選択するため、自動運転制御ソフトの検証効率を向上できる。
【0071】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る車両制御装置の構成例及び動作例について説明する。
図16は、本発明の第2実施形態に係る車両制御装置1Aの構成例を示すブロック図である。
図16と
図2とを比較して分かるように、車両制御装置1Aの実行空き継続時間予測部13A以外の各構成部は、
図2に示すこれらの各構成部と同様である。このため、第1実施形態と同じ構成部の説明を省略する。
【0072】
実行空き継続時間予測部13Aは、外部環境情報M1中の「クラウド情報」(
図4参照)に基づいて実行空き継続時間M4を予測するのでなく、
図16に示す任意のオブジェクト情報M8に基づいて実行空き継続時間M4を予測する。すなわち、車両制御装置1Aでは、オブジェクト情報M8は外部環境情報の一例として取得される。
【0073】
図17は、本実施形態に係る車両制御装置1Aにおけるオブジェクト情報M8のデータ例を示す図である。オブジェクト情報M8は、自動運転が終了することを示す任意のオブジェクトの画像情報(カメラセンサ情報)である。オブジェクト情報M8は、例えば、
図17に示すように、「黄色表示の信号機」の画像情報、「踏切」の画像情報、「一時停止線・一時停止標識」の画像情報、「バス停で停車中のバス」の画像情報等を含む。
【0074】
図18は、本実施形態に係る車両制御装置1Aの実行空き継続時間予測部13Aにおける実行空き継続時間の予測処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、実行空き継続時間予測部13Aが情報取得部11からカメラセンサ情報を取得すると開始される。
【0075】
まず、実行空き継続時間予測部13Aは、情報取得部11からカメラセンサ情報を取得する(ステップS701)。
【0076】
次いで、実行空き継続時間予測部13Aは、オブジェクト情報M8に基づき、取得されたカメラセンサ情報からオブジェクトを検出したか否かを判定する(ステップS702)。この処理では、実行空き継続時間予測部13Aは、オブジェクト情報M8に含まれるオブジェクトの画像情報に基づき、カメラセンサ情報からオブジェクトを検出する。実行空き継続時間予測部13Aがカメラセンサ情報からオブジェクトを検出した場合、ステップS702はYES判定となり、実行空き継続時間予測部13Aがカメラセンサ情報からオブジェクトを検出しなかった場合、ステップS702はNO判定となる。
【0077】
ステップS702の処理において、実行空き継続時間予測部13Aがカメラセンサ情報からオブジェクトを検出しなかった場合(ステップS702のNO判定の場合)、実行空き継続時間予測部13Aは、ステップS701の処理に戻し、ステップS701~ステップS702の処理を繰り返して実行する。
【0078】
一方、ステップS702の処理において、実行空き継続時間予測部13Aがカメラセンサ情報からオブジェクトを検出した場合(ステップS702のYES判定の場合)、実行空き継続時間予測部13Aは、検出したオブジェクトの情報に基づいて実行空き継続時間M4の開始タイミングを予測する(ステップS703)。この処理では、実行空き継続時間予測部13Aは、例えば、
図17に示す、「黄色表示の信号機」、「踏切」、「一時停止線・一時停止標識」、「バス停で停車中のバス」等のオブジェクトの画像情報に基づき、車両の一時停止のタイミングを予測することで実行空き継続時間M4の開始タイミングを予測する。ステップS703の処理後、実行空き継続時間予測部13Aにおける実行空き継続時間の予測処理は終了する。
【0079】
なお、検証対象選定部15は、実行空き継続時間予測部13Aにより予測された実行空き継続時間M4の開始タイミングに基づき、検証シナリオM3から実行可能な検証シナリオを動的に選定する。
【0080】
[効果]
上述したように、本実施形態に係る車両制御装置1Aでは、実行空き継続時間予測部13Aは、自動運転が終了することを示す任意のオブジェクトの画像情報であるオブジェクト情報M8に基づき、カメラセンサ情報からオブジェクトを検出して実行空き継続時間M4の開始タイミングを予測する。また、検証対象選定部15は、予測された実行空き継続時間M4の開始タイミングに基づき、動的に実行可能な検証シナリオを選定する。それゆえ、本実施形態に係る車両制御装置1Aは、第1実施形態に係る車両制御装置1と同様の効果を得ることができる。
【0081】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る車両制御装置の構成例及び動作例について説明する。
図19は、本実施形態に係る車両制御装置が車内における接続関係を説明するための図である。
図19と
図1とを比較して分かるように、本実施形態において、車両制御装置1は、ゲートウェイ2を介して車内ユーザインターフェース7(例えば、車内のインストルメントパネル)から、自動運転が終了することを示す情報を取得する。なお、車内ユーザインターフェース7以外の車両制御装置1の各種情報の取得先は、
図1で説明した各種情報の取得先(カメラ制御装置3、LiDAR制御装置4、ソナー制御装置5及びサーバ6)と同様であるため、重複説明を省略する。
【0082】
また、本実施形態に係る車両制御装置1では、実行空き継続時間予測部13以外の各構成部は、
図2に示す各構成部と同様であるため、重複説明を省略する。本実施形態に係る車両制御装置1では、実行空き継続時間予測部13は、外部環境情報M1中の「クラウド情報」(
図4参照)に基づいて実行空き継続時間M4を予測するのでなく、
図19に示す車内ユーザインターフェース(車内ユーザインターフェース7)から取得される自動運転が終了することを示す情報に基づいて実行空き継続時間M4を予測する。
【0083】
図20は、本実施形態に係る車両制御装置1における車内ユーザインターフェース7から取得される情報のデータ例を示す図である。車内ユーザインターフェース7から取得される情報は、ドライバが車内ユーザインターフェース7に対する操作により生成され、自動運転が終了することを示す情報であり、例えば、
図20に示す「自動運転モードから自動駐車モードに切り替わる情報」等を含む。例えば、ドライバが車内ユーザインターフェース7に表示される駐車ボタンを押すと、車両は自動運転モードから自動駐車モードに切り替わり、車両が自動的に駐車スペースに駐車するように制御される。
【0084】
図21は、本実施形態に係る車両制御装置1の実行空き継続時間予測部13における実行空き継続時間の予測処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、実行空き継続時間予測部13が車内ユーザインターフェース7からの情報を取得すると開始される。
【0085】
まず、実行空き継続時間予測部13は、車内ユーザインターフェース7からの情報を取得する(ステップS801)。
【0086】
次いで、実行空き継続時間予測部13は、車内ユーザインターフェース7から取得される情報に基づいて実行空き継続時間M4を予測する(ステップS802)。この処理では、実行空き継続時間予測部13は、例えば、
図20に示す車内ユーザインターフェース7から取得される、自動運転モードから自動駐車モードに切り替わる情報に基づき、自動駐車中の現行SWの実行空き継続時間M4を予測する。ステップS802の処理後、実行空き継続時間予測部13における実行空き継続時間の予測処理は終了する。
【0087】
[効果]
上述したように、本発明の第3実施形態に係る車両制御装置1では、実行空き継続時間予測部13は、車内ユーザインターフェース7から取得される、自動運転が終了することを示す情報に基づいて実行空き継続時間M4を予測する。また、検証対象選定部15は、予測された実行空き継続時間M4に応じて、動的に実行可能な検証シナリオを選定する。それゆえ、本発明の第3実施形態に係る車両制御装置1は、第1実施形態に係る車両制御装置1と同様の効果を得ることができる。
【0088】
なお、ドライバが駐車ボタンを押すような明示的な操作を行わなくても、車両が目的地の近くに着くと、自動的に自動運転モードから自動駐車モードに切り替わって駐車スペースに駐車することも想定される。この場合、実行空き継続時間予測部13は、車両が自動運転モードから自動駐車モードに切り替わったことを検出した時に、実行空き継続時間M4を予測してもよい。
【0089】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る車両制御装置の動作例について説明する。
本実施形態に係る車両制御装置1では、検証対象選定部(検証対象選定部15)は、検証シナリオの選択処理(
図11のステップS505)において、実行空き継続時間M4以内で実行完了可能な検証シナリオが選定できなかった場合、検証シナリオM3を実行空き継続時間M4以内で実行完了可能なサイズに分割して選定する。なお、実施例1と同様の構成及び各種処理の手順については、重複説明を省略する。
【0090】
図22は、本実施形態に係る車両制御装置1の検証対象選定部15における検証対象シナリオの分割処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、
図11に示す検証シナリオの選択処理のステップS505を置き換えて実行される。
【0091】
図11に示す検証シナリオの選択処理のステップS504の処理後、検証対象選定部15は、実行空き継続時間M4内で実行完了可能な検証シナリオが存在するか否かを判定する(ステップS50501)。
【0092】
ステップS50501の処理において、検証対象選定部15は、実行空き継続時間M4内で実行完了可能な検証シナリオが存在しないと判定した場合(ステップS50501のNO判定の場合)、検証シナリオM3を実行空き継続時間M4内で実行完了可能なサイズに分割する(ステップS50502)。ステップS50502の処理後、検証対象選定部15は、ステップS50501の処理に戻す。
【0093】
一方、ステップS50501の処理において、検証対象選定部15は、実行空き継続時間M4内で実行完了可能な検証シナリオが存在すると判定した場合(ステップS50501のYES判定の場合)、実行完了可能な検証シナリオを選択する(ステップS50503)。ステップS50503の処理後、検証対象選定部15は、
図11のステップS506の処理を実行する。
【0094】
なお、演算部14は、分割された検証シナリオを新SWで実行して、各分割された検証シナリオの実行結果を合併して新SWの実行結果として出力する。
【0095】
[効果]
上述したように、本発明の第4実施形態に係る車両制御装置1では、検証対象選定部15は、実行空き継続時間M4内で実行完了可能な検証シナリオが選定できなかった場合、検証シナリオM3を実行空き継続時間M4内で実行完了可能なサイズに分割して選択する。それゆえ、本発明の第4実施形態に係る車両制御装置1は、第1実施形態に係る車両制御装置1と同様の効果を有するとともに、自動運転制御ソフトの検証効率を更に向上することができる。
【0096】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る車両制御装置の動作例について説明する。
本実施形態に係る車両制御装置1では、検証対象選定部(検証対象選定部15)は、検証シナリオの選択処理(
図11のステップS505)において、実行空き継続時間M4内で実行完了可能な検証シナリオが複数存在する場合、予め設定された検証シナリオの優先度(後述の
図23参照)に基づいて検証シナリオを選定する。なお、第1実施形態と同様の構成及び各種処理の手順については、重複説明を省略する。
【0097】
図23は、本実施形態に係る車両制御装置1において優先度が付与された検証シナリオのデータ例を示す図である。
図23に示すように、検証シナリオM10では、例えば、「No.1」~「No.4」の検証シナリオに、「優先度」としてそれぞれ「1」~「4」が付与されている。本実施形態では、
図23に示す「優先度」の「1」は優先度の最も高いものとし、「1」~「4」は、優先度の高いものから優先度の低いものまでの並び順となる。なお、「優先度」の設定方法はこれに限定されず、検証シナリオの優先順序を区別できる情報データであれば、任意の設定方法を適用可能である。
【0098】
図24は、本実施形態に係る車両制御装置1の検証対象選定部15における検証シナリオの選択処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、
図11に示す検証シナリオの選択処理のステップS505を置き換えて実行される。
【0099】
図11に示す検証シナリオの選択処理のステップS504の処理後、検証対象選定部15は、実行空き継続時間M4内で実行完了可能な検証シナリオが複数存在するか否かを判定する(ステップS50504)。
【0100】
ステップS50504の処理において、検証対象選定部15は、実行空き継続時間M4内で実行完了可能な検証シナリオが複数存在する場合(ステップS50504のYES判定の場合)、この複数の検証シナリオの優先度に基づいて検証シナリオを選定する(ステップS50505)。この処理では、検証対象選定部15は、例えば、「8seconds」(実行空き継続時間M4)内で実行完了可能な
図23に示す「No.2」及び「No.4」の検証シナリオのそれぞれの優先度「2」及び「4」に基づき、優先度の高い「No.2」の検証シナリオを選定する。
【0101】
一方、ステップS50504の処理において、検証対象選定部15は、実行空き継続時間M4内で実行完了可能な検証シナリオが複数存在しないと判定した場合(ステップS50504のYES判定の場合)、実行完了可能な検証シナリオを選択する(ステップS50506)。
【0102】
ステップS50505又はステップS50506の処理後、検証対象選定部15は、
図11のステップS506の処理を実行する。
【0103】
[効果]
上述したように、本発明の第5実施形態に係る車両制御装置1では、実行空き継続時間M4内で実行完了可能な検証シナリオが複数存在する場合、検証対象選定部15は、この複数の検証シナリオの優先度に基づいて検証シナリオを選定する。それゆえ、本発明の第5実施形態に係る車両制御装置1は、第1実施形態に係る車両制御装置1と同様の効果を有するとともに、自動運転制御ソフトの検証効率を更に向上することができる。
【0104】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係る車両制御装置の動作例について説明する。
本実施形態に係る車両制御装置1では、実行空き継続時間予測部13は、
図4に示す「クラウド情報」に基づいて実行空き継続時間M4を予測することでなく、
図25に示すクラウド通信を介して取得される任意の外界情報に基づいて実行空き継続時間M4を予測する。なお、第1実施形態と同様の構成及び各種処理の手順については、重複説明を省略する。
【0105】
図25は、本実施形態に係る車両制御装置1において取得される外界情報の一例を示す図である。クラウド通信を介して取得される任意の外界情報は、例えば、
図25に示す、「渋滞発生情報」、「信号機切り換えタイミング」等の情報を含む。実行空き継続時間予測部13は、例えば、「渋滞発生情報」に基づいて、渋滞による車両の一時停止中の実行空き継続時間を予測する。また、実行空き継続時間予測部13は、例えば、車両前方交差点の赤信号継続時間と「信号機切り換えタイミング」に基づいて、車両が交差点での停止中の実行空き継続時間を予測する。なお、
図25に示すクラウド通信を介して取得される、「渋滞発生情報」、「信号機切り換えタイミング」等の情報が
図4に示す「クラウド情報」として扱われてもよい。
【0106】
[効果]
上述したように、本発明の第6実施形態に係る車両制御装置1では、実行空き継続時間予測部13は、クラウド通信を介して取得される任意の外界情報に基づいて実行空き継続時間M4を予測する。実行空き継続時間予測部13が様々の外界情報を基に実行空き継続時間M4を予測するので、本発明の第4実施形態に係る車両制御装置1は、第1実施形態に係る車両制御装置1と同様の効果を得るとともに、精度よく実行空き継続時間M4を予測することができる。
【0107】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係る車両制御装置の動作例について説明する。
本実施形態に係る車両制御装置1は、車両制御装置1(自装置)に接続される不図示の他の制御装置(コントローラユニット)との間で各種のデータを送受信可能に構成される。そして、車両制御装置1では、実行空き継続時間予測部(実行空き継続時間予測部13)は、外部環境情報M1中の「クラウド情報」(
図4参照)に基づいて実行空き継続時間M4を予測するのでなく、ゲートウェイ2を介して取得される他の制御装置の内部状態の情報に基づいて実行空き継続時間M4を予測する。なお、第1実施形態と同様の構成及び各種処理の手順については、重複説明を省略する。
【0108】
図26は、本実施形態に係る車両制御装置1において取得される他の制御装置の内部状態の情報の一例を示す図である。ゲートウェイ2を介して取得される他の制御装置の内部状態の情報は、例えば、
図26に示す、「自動運転モードから自動駐車モードに切り替えた」状態を示す情報等を含む。
【0109】
[効果]
上述したように、本発明の第7実施形態に係る車両制御装置1では、実行空き継続時間予測部13は、他の制御装置の内部状態の情報に基づいて実行空き継続時間M4を予測する。例えば、センサの故障やクラウド通信の故障などにより外部環境情報M1を取得できない場合、実行空き継続時間予測部13は、他の制御装置の内部状態の情報を基に実行空き継続時間M4を予測することができるので、本発明の第7実施形態に係る車両制御装置1は、第1実施形態に係る車両制御装置1と同様の効果を得るとともに、センサの故障やクラウド通信の故障などが発生した場合にも新SWの検証を行うことができる。
【0110】
[車両制御装置のハードウェア構成例]
図27は、上述した各実施形態に係る車両制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。車両制御装置の機能は、マイクロコンピューター等の情報処理装置により実現される。車両制御装置は、
図27に示すように、CPU(Central Processing Unit)100aと、ROM(Read Only Memory)100bと、RAM(Random Access Memory)100cと、記憶装置100dと、入出力インターフェース100eとを有する。バス100fは、各構成部間を電気的に接続して、各構成部間における信号の入出力が行われる信号経路である。
【0111】
CPU100aは、車両制御装置内の各部の動作を制御する。例えば、CPU100aは、情報取得部11における外部環境情報の取得処理、検証シナリオ保存部12における検証シナリオの保存処理等を制御する。また、CPU100aは、実行空き継続時間予測部13における実行空き継続時間の予測処理、演算部14における処理、検証シナリオ選定部15における検証シナリオの選定処理、及び、検証部16における新自動運転制御ソフトの検証処理等を制御する。
【0112】
ROM100bは、例えば、不揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU100aが実行及び参照するプログラムやデータ等を記憶する。
【0113】
RAM100cは、例えば、揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU100aが行う各処理に必要な情報(データ)を一時的に記憶する。
【0114】
記憶装置100dは、CPU100aによって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体で構成され、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置で構成される。記憶装置100dは、CPU100aが各部を制御するためのプログラム、OS(Operating System)、コントローラー等のプログラム、データを記憶する。なお、記憶装置100dに記憶されるプログラム、データの一部は、ROM100bに記憶されてもよい。また、記憶装置100dは、HDDに限定されず、例えば、SSD(Solid State Drive)、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0115】
入出力インターフェース100eは、CPU100aの制御により、外部との信号の送受信を行う。
【0116】
なお、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために車両制御装置の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1,1A…車両制御装置、11…情報取得部、12…検証シナリオ保存部、13,13A…実行空き継続時間予測部、14…演算部、15…検証対象選定部、16…検証部