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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085154
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20240619BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240619BHJP
   F24F 8/158 20210101ALI20240619BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20240619BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20240619BHJP
   F24F 11/48 20180101ALI20240619BHJP
   F24F 110/65 20180101ALN20240619BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F8/108 120
F24F8/108 310
F24F8/158
F24F8/108 210
F24F7/003
B01D46/52 Z
F24F11/48
F24F110:65
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199532
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】521458247
【氏名又は名称】酒井 全福
(71)【出願人】
【識別番号】507413309
【氏名又は名称】株式会社ベリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100178124
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】酒井 全福
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
4D058
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L260AB18
3L260BA09
3L260BA16
3L260BA38
3L260CA17
3L260DA20
3L260EA17
3L260FA20
3L260HA01
4D058JA14
4D058KB05
4D058SA20
4D058TA03
(57)【要約】
【課題】本発明は、空気に含まれる有害物質を簡単かつ確実に検知することができる有害物質用空気清浄機を提供することを目的とする。
【解決手段】外部の空気を吸引するための第1の吸引駆動部1と、第1の吸引駆動部1により外部の空気が吸引される吸気部2と、吸気部2から吸引された空気に含まれる有害物質を除去するフィルタ部3と、フィルタ部3により有害物質が除去された空気を外部に排出する排気部4と、フィルタ部3を通過した空気に含まれる有害物質を検知するセンサ部5と、外部の空気をフィルタ部3を通過させずに吸引するための第2の吸引駆動部9と、各部が設けられる基枠7とを備える。センサ部5は、第1の吸引駆動部1により外部の空気が吸引される前段階において、第2の吸引駆動部9により吸引された外部の空気が接触することにより初期化される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中に含まれる有害物質を吸引して除去する空気清浄機であって、
外部の空気を吸引するための第1の吸引駆動部と、
前記第1の吸引駆動部により外部の空気が吸引される吸気部と、
前記吸気部から吸引された空気に含まれる有害物質を除去するフィルタ部と、
前記フィルタ部により有害物質が除去された空気を外部に排出する排気部と、
前記フィルタ部を通過した空気に含まれる有害物質を検知するセンサ部と、
前記第1の吸引駆動部、前記吸気部、前記フィルタ部、前記排気部および前記センサ部が設けられる基枠とを備え、
外部の空気を前記フィルタ部を通過させずに吸引するための第2の吸引駆動部が基枠に設けられ、
前記センサ部は、前記第1の吸引駆動部により外部の空気が吸引される前段階において、前記第2の吸引駆動部により吸引された外部の空気が接触することにより初期化されることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
一端部が前記基枠の外部に露出状態に配置され、他端部が前記センサ部の付近に配置される吸引管が前記基枠の内部に設けられ、
前記センサ部は、前記第2の吸引駆動部により前記吸引管を介して吸引された外部の空気が接触することにより初期化される請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記フィルタ部は、前記基枠に設けられた駆動機構により前記第1の吸引駆動部に気密状態で接続される請求項1または請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記フィルタ部の下方において平面方向に延びる態様で前記基枠に設けられた回転軸と、該回転軸の両端部に偏心状態に設けられた回転板と、前記回転軸の一端部に設けられたハンドル部とを備え、前記ハンドル部の操作により前記回転軸が軸回転するのに伴って前記回転板が上方に突出する態様で回転することによって、前記フィルタ部が上方に押し上げられながら前記第1の吸引駆動部に気密状態で接続される請求項3に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記フィルタ部は、前記基枠内の吸引側に配置された第1のフィルタ部と、前記基枠内の排出側に配置された第2のフィルタ部とを備え、前記基枠に着脱可能に装着される請求項1または請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記センサ部は、前記第1のフィルタ部と前記第2のフィルタ部の間に配置され、前記第1のフィルタ部を通過した空気に含まれる有害物質を検知する第1のセンサ部と、前記排気部から排出される空気に含まれる有害物質を検知する第2のセンサ部とを備える請求項5に記載の空気清浄機。
【請求項7】
一端部が前記排気部に配置され、かつ他端部が前記第2のセンサ部の付近に配置される送気管が基枠内に設けられ、
前記第2のセンサ部は、前記排気部から前記送気管を介して送られてきた空気の有害物質を検知する請求項6に記載の空気清浄機。
【請求項8】
前記基枠は、前記フィルタ部が設けられる第1の収容部と、電子回路が設けられる第2の収容部とを備え、前記第1の収容部と前記第2の収容部が気密状態で分離されている請求項1または請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項9】
前記排気部は、前記フィルタ部を通過した空気を一時的に貯留する貯留空間部と、前記貯留空間部に一時的に貯留した空気を排出する排気口とを備える請求項1または請求項2に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に含まれる有害物質を吸引して除去するための有害物質用の空気清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、国内で輸入、製造、使用されている化学物質は数万種類にのぼり、その中には、危険性や有害性が指摘されていたり、不明とされたりする物質が多く含まれており、化学物質を原因とする労働災害は年間数百件程度も報告されている。このような中、国を初めとする公的機関では、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、その作業場所に有機溶剤の発生源を密閉する設備、局所排気装置、あるいはプッシュプル型換気装置等を設けることを義務付けるようになっている。
【0003】
このうち、局所排気装置として、空気中に含まれる有機溶剤等の有害物質を吸引して除去するための有害物質用の空気清浄機が使用されている。この空気清浄機は、一般に基枠内に外部の空気を吸引する吸引部と、吸引部により吸引された空気に含まれる有害物質を除去するフィルタ部と、フィルタ部により有害物質が除去された空気を外部に排出する排気部と備える。そして、最近では、空気に含まれる有害物質が所定濃度(例えば、国に申請した物質の管理濃度の1/10の濃度)を超える濃度を検知するセンサ部が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、このセンサ部は、空気に含まれる有害物質の濃度を絶対的に計測することにより有害物質を検知するものと、有害物質の濃度の変化を計測することにより有害物質を検知するものが存在している。このうち、後者の有害物質の濃度の変化を検知するセンサは、センサ抵抗が直列に接続され、固定あるいは可変負荷抵抗の両端の出力電圧変化を検知するものであり、価格面等から空気清浄機に広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-254239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、有害物質の濃度の変化を計測することにより検知するセンサの場合、検知開始時において既に空気清浄機内の空気の有害物質が充満していると(例えば、フィルタ部を過度の使用したことによりフィルタ部から有害物質が自然に生じている場合など)、検知開始時から所定時間経過後において空気清浄機内の空気の有害物質の濃度が概ね同じや少ししか変化しないことになって、有害物質が実質的に基準値を超えているにもかかわらず、有害物質を検知しない虞があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、空気に含まれる有害物質を簡単かつ確実に検知することができる空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、空気中に含まれる有害物質を吸引して除去する空気清浄機であって、外部の空気を吸引するための第1の吸引駆動部と、前記第1の吸引駆動部により外部の空気が吸引される吸気部と、前記吸気部から吸引された空気に含まれる有害物質を除去するフィルタ部と、前記フィルタ部により有害物質が除去された空気を外部に排出する排気部と、前記フィルタ部を通過した空気に含まれる有害物質を検知するセンサ部と、前記第1の吸引駆動部、前記吸気部、前記フィルタ部、前記排気部および前記センサ部が設けられる基枠とを備え、外部の空気を前記フィルタ部を通過させずに吸引するための第2の吸引駆動部が基枠に設けられ、前記センサ部は、前記第1の吸引駆動部により外部の空気が吸引される前段階において、前記第2の吸引駆動部により吸引された外部の空気が接触することにより初期化されることを特徴とする。
【0009】
これによれば、第1の吸引駆動部により外部の空気を吸引する前段階において、前記第2の吸引駆動部により空気をフィルタ部を通過させることなく吸引し、センサ部が該空気に接触することにより初期化されるため、空気に含まれる有害物質の濃度の変化を外部のきれいな空気を基準として計測することとなり、空気に含まれる有害物質を簡単かつ確実に検知することができる。
【0010】
また、一端部が前記基枠の外部に露出状態に配置され、他端部が前記センサ部の付近に配置される吸引管が前記基枠の内部に設けられ、前記センサ部は、前記第2の吸引駆動部により前記吸引管を介して吸引された外部の空気が接触することにより初期化されてもよい。これによれば、外部の空気をフィルタ部を通過させることなくセンサ部に確実に簡単かつ確実に接触させることができる。
【0011】
また、前記フィルタ部は、前記基枠に設けられた駆動機構により前記第1の吸引駆動部に気密状態で接続されてもよい。これによれば、フィルタ部を通過した空気は他の箇所に流れることなく、第1の吸引駆動部に吸引されるため、空気に含まれる有害物質を効率的に除去することができる。
【0012】
また、前記駆動機構は、前記フィルタ部の下方において平面方向に延びる態様で前記基枠に設けられた回転軸と、該回転軸の両端部に偏心状態に設けられた回転板と、前記回転軸の一端部に設けられたハンドル部とを備え、前記ハンドル部の操作により前記回転軸が軸回転するのに伴って前記回転板が上方に突出する態様で回転することによって、前記フィルタ部が上方に押し上げられながら前記第1の吸引駆動部に気密状態で接続されてもよい。これによれば、簡単な操作によってフィルタ部を第1の吸引駆動部に気密状態で接続することができる。
【0013】
また、前記フィルタ部は、前記基枠内の吸引側に配置された第1のフィルタ部と、前記基枠内の排出側に配置された第2のフィルタ部とを備え、前記基枠に着脱可能に装着されてもよい。これによれば、空気に含まれる有害物質を二重で除去することができるとともに、フィルタ部を簡単に交換することができる。
【0014】
また、前記センサ部は、前記第1のフィルタ部と前記第2のフィルタ部の間に配置され、前記第1のフィルタ部を通過した空気に含まれる有害物質を検知する第1のセンサ部と、前記排気部から排出される空気に含まれる有害物質を検知してもよい。これによれば、第1のセンサ部により、第1のフィルタ部を通過した空気に含まれる有害物質を検知するとともに、第2のセンサ部により、排気部から排出される最終的な空気に含まれる有害物質を検知するため、空気清浄機における有害物質の検知の信頼性を向上させることができる。
【0015】
また、一端部が前記排気部に配置され、かつ他端部が前記第2のセンサ部の付近に配置される送気管が基枠内に設けられ、前記第2のセンサ部は、前記排気部から前記送気管を介して送られてきた空気の有害物質を検知してもよい。これによれば、第2のセンサ部を排気部とは別の箇所に配置しながら、排気部から排出される最終的な空気に含まれる有害物質を簡単かつ確実に検知することができる。
【0016】
また、前記基枠は、前記フィルタ部が設けられる第1の収容部と、電子回路が設けられる第2の収容部とを備え、前記第1の収容部と前記第2の収容部が気密状態で分離されてもよい。これによれば、フィルタ部に付着した有害物質が含まれる空気が電子回路に接触しないため、火災などが発生を防止することができる。
【0017】
また、前記排気部は、前記フィルタ部を通過した空気を一時的に貯留する貯留空間部と、前記貯留空間部に一時的に貯留した空気を排出する排気口とを備えてもよい。これによれば、フィルタ部を通過した空気を外部に排出する前に貯留空間部に一時的に貯留するため、排気部から排出される最終的な空気に含まれる有害物質を精度良く検知することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1の吸引駆動部により外部の空気を吸引する前段階において、前記第2の吸引駆動部により空気をフィルタ部を通過させることなく吸引し、センサ部が該空気に接触することにより初期化されるため、空気に含まれる有害物質の濃度の変化を外部のきれいな空気を基準として計測することとなり、空気に含まれる有害物質を簡単かつ確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄機の斜視図である。
図2図1の空気清浄機の正面断面図である。
図3図1の空気清浄機の側面断面図である。
図4図1の空気清浄機の平面図である。
図5図1の空気清浄機の駆動機構の正面断面図である。
図6図1の空気清浄機の駆動機構の平面図である。
図7図1の空気清浄機の第1のセンサ部および第2のセンサ部と空気の流通路を示す概念図である。
図8図1の空気清浄機の電気的構成を示すブロック図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る空気清浄機の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る有害物質用の空気清浄機の実施形態について図1図8を参照しつつ説明する。
【0021】
本空気清浄機は、空気中に含まれる有害物質を吸引して除去するための空気清浄機であって、図1図3に示すように、外部の空気を吸引するための第1の吸引駆動部1と、第1の吸引駆動部1により外部の空気が吸引される吸気部2と、吸気部2から吸引された空気に含まれる有害物質を除去するフィルタ部3と、フィルタ部3により有害物質が除去された空気を外部に排出する排気部4と、空気に含まれる有害物質を検知するセンサ部5と、各部を制御する制御部6とを備え、それら各部が基枠7に設けられている。
【0022】
前記基枠7は、図1に示すように、ステンレス製の略直方体の箱状に形成されており、前面上部に操作部73および表示部74が設けられ、前面側に奥行方向に開閉可能なドアカバー75が設けられるとともに、底面に移動用の4個のコロ76が設けられている。
【0023】
また、前記基枠7は、図2に示すように、フィルタ部3が設けられる第1の収容部71と、制御部6等の電子回路が設けられる第2の収容部72とを備え、第1の収容部71と前記第2の収容部72が気密状態で分離されている。これによれば、フィルタ部3に付着した有害物質が含まれる空気が電子回路に接触しないため、火災などが発生を防止することができる。
【0024】
前記第1の吸引駆動部1は、図2に示すように、いわゆるエアポンプと呼ばれるものであり、基枠7の第2の収容部72に載置状態に固定されている。この第1の吸引駆動部1は、例えばモータの回転をダイヤフラムの運動に変換することで、ダイヤフラムが上下に運動し、この動きにより中央空間のポンプ室の容積が膨張・収縮を繰り返し、膨張する際に空気を吸引する一方、収縮する際に空気を排出する。
【0025】
前記吸気部2は、図3および図4に示すように、基枠7の背面に穿設された吸気口23と、該吸気口23に接続された2股の吸気ダクト24と、吸気ダクト24に接続された第1のホース21および第2のホース22とから構成される。この第1のホース21は、一端部が吸気ダクト24の一方のダクト口24aに接続され、かつ他端部が図示略のインクジェットプリンタに接続されている。また、第2のホース22は、一端部が吸気ダクト24の他方のダクト口24bに接続され、かつ他端部が搬送コンベアの印刷箇所に配置されている。これにより、第1の吸引駆動部1の作用によって、外部(インクジェットプリンタ内および搬送コンベア付近)の空気は、第1のホース21および第2のホース22を通過して吸気ダクト24に到達したあと、吸気口23から基枠7の第1の収容部71の下部に吸引される。
【0026】
前記フィルタ部3は、基枠7の第1の収容部71に配置され、第1の収容部71の下側に配置された第1のフィルタ部31と、第1の収容部71の上側に配置された第2のフィルタ部32とを備え、基枠7に対して平面方向に着脱可能に装着される。
【0027】
前記第1のフィルタ部31は、吸気部2から吸引された空気に含まれる比較的粒径が大きい有害物質を1次的に除去するプレフィルタから構成される。また、第2のフィルタ部32は、第1のフィルタ部31を通過した空気に含まれる比較的粒径が小さい有害物質を2次的に除去するHEPAフィルタおよびケミカルフィルタ(活性炭等)から構成される。
【0028】
而して、吸気部2から吸引された空気は、基枠7の第1の収容部71において、第1のフィルタ部31を通過して1次的に有害物質が除去されたあと、続けて第2のフィルタ部32を通過して2次的に有害物質が除去され、その後、第1の吸引駆動部1に吸引される。これによれば、空気に含まれる有害物質を二重で除去することができるとともに、フィルタ部3を簡単に交換することができる。
【0029】
また 前記第2のフィルタ部32は、基枠7に設けられた駆動機構8により第1の吸引駆動部1に気密状態で接続される。具体的に説明すると、前記駆動機構8は、図5および図6に示すように、前記フィルタ部3の下方において平面方向に延びる態様で基枠7に設けられた回転軸81と、該回転軸81の両端部に偏心状態に設けられた回転板82と、回転軸81の一端部に設けられたハンドル部83と、回転板82と第1のフィルタ部31の間に設けられた支承板84とを備え、図5の一点鎖線に示すように、ハンドル部83の操作により回転軸81が軸回転するのに伴って回転板82が上方に突出する態様で回転することによって、フィルタ部3が支承板84を介して上方に押し上げられながら第1の吸引駆動部1に気密状態に接続される。これによれば、フィルタ部3を通過した空気は他の箇所に流れることなく、第1の吸引駆動部1に吸引されるため、空気に含まれる有害物質を効率的に除去することができる。
【0030】
前記排気部4は、図2に示すように、正面から見て第2の収容部72の左側に配置され、図3に示すように、第1の吸引駆動部1に接続された排気管41と、該排気管41が設けられる貯留空間部42と、貯留空間部42における基枠7の背面に形成された排気口43と、該排気口43に設けられた排気ダクト44とを備える。これにより、第1の吸引駆動部1から排出された空気は、排気管41を通過して、空間部に一時的に貯留されたあと、排気口43から排気ダクト44を介して外部に排出される。このようにフィルタ部3を通過した空気を外部に排出する前に貯留空間部42に一時的に貯留するため、排気部4から排出される最終的な空気に含まれる有害物質を精度良く検知することができる。
【0031】
前記センサ部5は、図2に示すように、基枠7の第1の収容部71に配置された第1のセンサ部51と、基枠7の第2の収容部72に配置された第2のセンサ部52とを備える。
【0032】
前記第1のセンサ部51は、有害物質を検知するセンサ本体510から構成され、第1のフィルタ部31と第2のフィルタ部32の間に配置されている。このため、第1のフィルタ部31を通過した空気は、第1のセンサ部51のセンサ本体510により有害物質が検知される。
【0033】
前記第2のセンサ部52は、有害物質を検知するセンサ本体520と、センサ本体520が設けられる検知ボックス521と、排気部4の空気を送気する送気管522とから構成される。この送気管522は、一端部522aが排気部4の貯留空間部42に配置されるとともに、他端部522bが検知ボックス521に接続されている。このため、排気部4の貯留空間部42に貯留している空気の一部(図2および図3のA)は、図8に示すように、送気管522を通過したあと検知ボックス521の内部に流入して、検知ボックス521に設けられたセンサ本体520により有害物質が検知される。
【0034】
なお、第1のセンサ部51と第2のセンサ部52は、いずれもセンサ本体510、520が空気に含まれる有害物質を相対的に検知するものであって、センサ抵抗が直列に接続され、固定あるいは可変負荷抵抗の両端の出力電圧変化を検知することにより有害物質の濃度の変化を計測することにより有害物質を検知する。
【0035】
これによれば、第1のセンサ部51により、第1のフィルタ部31を通過した空気に含まれる有害物質を検知するとともに、第2のセンサ部52により、排気部4から排出される最終的な空気に含まれる有害物質を検知するため、空気清浄機における有害物質の検知の信頼性を向上させることができる。しかも、第2のセンサ部52を排気部4とは別の箇所に配置しながら、排気部4から排出される最終的な空気に含まれる有害物質を簡単かつ確実に検知することができる。
【0036】
前記制御部6は、図8に示すように、操作部73、表示部74、第1の吸引駆動部1および後述の第2の吸引駆動部9、第1のセンサ部51および第2のセンサ部52を制御するものであって、操作部73による設定により第1の吸引駆動部1および第2の吸引駆動部9を駆動したり、第1のセンサ部51および第2のセンサ部52による有害物質の検知結果を表示部74に表示したりする。なお、制御部6は、センサ部5の他、風圧センサや温度センサなどの各種センサも制御してもよい。
【0037】
また、本実施形態では、図2および図7に示すように、基枠7の第2の収容部72において、第2の吸引駆動部9と吸引管10が設けられている。
【0038】
前記第2の吸引駆動部9は、小型のエアポンプであり、基枠7の第1の収容部71に設けられている。この第2の吸引駆動部9も、第1の吸引駆動部1と同様、モータの回転をダイヤフラムの運動に変換することで、ダイヤフラムが上下に運動し、この動きにより中央空間のポンプ室の容積が膨張・収縮を繰り返し、膨張する際に空気を吸引する一方、収縮する際に空気を排出する。
【0039】
前記吸引管10は、一端部10aが基枠7の外部に露出状態に配置されるとともに、一方の他端部10cが第1のセンサ部51の付近に配置され、かつ他方の他端部10bが第2のセンサ部52の検知ボックス521に接続されている。これにより、外部の空気(図2および図3のB)は、第2の吸引駆動部9の作用によって、吸引管10の一端部10aから吸引されたあと、吸引管10の一方の他端部10cから流出して、第1のセンサ部51のセンサ本体510に接触する一方、吸引管10の他方の他端部10bから検知ボックス521に流入して、第2のセンサ部52のセンサ本体520に接触する。
【0040】
而して、第1の吸引駆動部1により外部の空気を吸引する前段階において、第2の吸引駆動部9により外部の空気を吸引すると、第2の吸引駆動部9により吸引された外部の空気がフィルタを通過することなく第1のセンサ部51および第2のセンサ部52に直接接触することにより、第1のセンサ部51および第2のセンサ部52が初期化される。特に本実施形態では吸引管10を介して外部の空気を吸引しているため、外部の空気をフィルタ部3を通過させることなくセンサ部5に確実に簡単かつ確実に接触させることができる。
【0041】
また、上述のように第2の吸引駆動部9を所定時間駆動して第1のセンサ部51および第2のセンサ部52の初期化が完了したときに、第1の吸引駆動部1を駆動すると、外部の空気が吸気部2から吸引され、フィルタ部3を通過して有害物質を除去されたあと、第1の吸引駆動部1から排気部4を介して外部に排出される。
【0042】
このように第1の吸引駆動部1と第2の吸引駆動部9による外部の空気の吸引によって、空気に含まれる有害物質の濃度の変化を外部のきれいな空気を基準として計測することとなり、空気に含まれる有害物質を簡単かつ確実に検知することができる。
【0043】
以上、本実施形態では、センサ部5を第1のセンサ部51および第2のセンサ部52から構成されるものとしたが、いずれか一方で構成されるものとしてもよい。
【0044】
また、外部の空気を吸引管10を介してセンサ部5に接触させるものとしたが、ファンを利用するなどして吸引管10を介さずに外部の空気をセンサ部5に接触させてもよい。
【0045】
また、第1のフィルタ部31としてプレフィルタ、第2のフィルタ部32としてHEPAフィルタおよびケミカルフィルタ(活性炭等)を採用したが、これらの組み合わせに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、第1のフィルタ部31としてHEPAフィルタおよびケミカルフィルタ(活性炭等)、第2のフィルタ部32としてケミカルフィルタ(活性炭等)を採用したものなどが挙げられる。なお、第1のフィルタの下部において、外部から吸引した空気を均等にするための所定の空間が設けられるのが好ましい。
【0046】
また、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…第1の吸引駆動部
2…吸気部
21…第1のホース
22…第2のホース
23…吸気口
24…吸気ダクト
3…フィルタ部
31…第1のフィルタ部
32…第2のフィルタ部
4…排気部
41…排気管
42…貯留空間部
43…排気口
44…排気ダクト
5…センサ部
51…第1のセンサ部
510…センサ本体
52…第2のセンサ部
520…センサ本体
521…検知ボックス
522…送気管
6…制御部
7…基枠
71…第1の収容部
72…第2の収容部
73…操作部
74…表示部
75…ドアカバー
76…コロ
8…駆動機構
81…回転軸
82…回転板
83…ハンドル部
84…支承板
9…第2の吸引駆動部
10…吸引管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9