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特開2024-85158乗降補助管理システム、乗降補助管理サーバ装置、および乗降補助管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085158
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】乗降補助管理システム、乗降補助管理サーバ装置、および乗降補助管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240619BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G06Q50/30
B61L25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199537
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 博史
【テーマコード(参考)】
5H161
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB20
5H161DD01
5H161DD21
5H161FF01
5H161GG03
5H161GG11
5L049CC43
5L050CC43
(57)【要約】
【課題】車椅子を使用する旅客に対する乗降補助に必要な情報を要請先乗降駅の担当係員に正確かつ確実に通知することが可能な乗降補助管理システムを提供する。
【解決手段】乗降補助管理システムは、券売機と、係員端末と、サーバ装置とを備える。券売機は、車椅子席の座席指定券を販売する。係員端末は、座席指定券で指定された乗車駅および降車駅の各々の駅務員がそれぞれ所持する。サーバ装置は、券売機および係員端末と通信可能に接続され、座席指定券の予約状況を管理する。券売機は、座席指定券で指定された旅客に対する乗降補助の要請情報を取得する要請情報取得手段と、乗降補助要請取得手段で取得した要請情報をサーバ装置に送信する要請情報送信手段とを有する。サーバ装置は、要請情報送信手段から送信された要請情報で要請された乗降補助への対応を依頼する対応依頼通知を係員端末に送信する対応依頼通知送信手段を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子を使用する旅客が乗降駅で列車に乗降する際、前記乗降駅の駅務員が前記旅客に対して行う乗降補助を管理する乗降補助管理システムであって、
車椅子席の座席指定券を販売する券売機と、
前記座席指定券で指定された乗車駅および降車駅の各々の駅務員がそれぞれ所持する係員端末と、
前記券売機および前記係員端末と通信可能に接続され、前記座席指定券の予約状況を管理するサーバ装置と、を備え、
前記券売機は、前記座席指定券で指定された前記乗車駅および前記降車駅の少なくとも一方での前記旅客に対する乗降補助の要請情報を取得する要請情報取得手段と、前記要請情報取得手段で取得した前記要請情報を前記サーバ装置に送信する要請情報送信手段と、を有し、
前記サーバ装置は、前記要請情報送信手段から送信された前記要請情報で要請された乗降補助への対応を依頼する対応依頼通知を前記係員端末に送信する対応依頼通知送信手段を有する
乗降補助管理システム。
【請求項2】
前記係員端末は、前記対応依頼通知送信手段から送信された前記対応依頼通知についての応答情報を取得して前記サーバ装置に送信する応答情報送信手段を有する
請求項1に記載の乗降補助管理システム。
【請求項3】
前記係員端末は、前記対応依頼通知送信手段から送信された前記対応依頼通知で依頼された乗降補助への対応についての完了報告を取得して前記サーバ装置に送信する完了報告送信手段を有する
請求項2に記載の乗降補助管理システム。
【請求項4】
車椅子席の座席指定券を販売する券売機および前記座席指定券で指定された乗車駅および降車駅の各々の駅務員がそれぞれ所持する係員端末とともに、車椅子を使用する旅客が乗降駅で列車に乗降する際、前記乗降駅の駅務員が前記旅客に対して行う乗降補助を管理する乗降補助管理システムを構成するサーバ装置であって、
前記座席指定券で指定された前記乗車駅および前記降車駅の少なくとも一方での前記旅客に対する乗降補助の要請情報を前記券売機から取得する要請情報取得手段と、
前記要請情報で要請された乗降補助への対応を依頼する対応依頼通知を前記係員端末に送信する対応依頼通知送信手段と、
前記対応依頼通知についての応答情報を前記係員端末から取得する応答情報取得手段と、
前記対応依頼通知で依頼された乗降補助への対応についての完了報告を前記係員端末から取得する完了報告取得手段と、を有する
サーバ装置。
【請求項5】
車椅子を使用する旅客が乗降駅で列車に乗降する際、前記乗降駅の駅務員が前記旅客に対して行う乗降補助を管理する乗降補助管理処理を実行する乗降補助管理システムを制御するプログラムであって、
車椅子席の座席指定券で指定された乗車駅および降車駅の少なくとも一方での前記旅客に対する乗降補助の要否を選択する手順と、
選択結果が乗降補助を要請するものである場合、該乗降補助への対応を依頼する対応依頼通知を、前記乗車駅および前記降車駅の各々の駅務員がそれぞれ所持する係員端末に付与する手順と、
前記対応依頼通知についての応答情報を前記係員端末から取得して前記座席指定券の予約状況を管理するサーバ装置に付与する手順と、
前記対応依頼通知で依頼された乗降補助への対応についての完了報告を取得して前記サーバ装置に付与する手順と、を前記乗降補助管理システムに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗降補助管理システム、乗降補助管理サーバ装置、および乗降補助管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道などの交通機関において、車椅子を使用する旅客が列車に乗降する際、係員による補助が必要とされる場合がある。この場合、旅客は、例えば乗車駅の窓口で駅務員に対して乗降の補助を要請する。乗降補助の要請を受けた駅務員は、依頼先の乗降駅のそれぞれの担当係員に対し、必要情報を通知して乗降補助の依頼を行う。担当係員に通知される情報としては、例えば補助日時、乗車予定の列車名、列車番号、列車号車、座席番号、乗車駅、乗車時刻(列車発車時刻)、降車駅、降車時刻(列車到着時刻)などの情報が含まれる。
【0003】
乗降補助に支障を生じさせないように、その要請があった場合には、要請先乗降駅の担当係員に必要情報を正確かつ確実に通知することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-231560号公報
【特許文献2】特開2017-124662号公報
【特許文献3】特開2015-16704号公報
【特許文献4】特開2021-179802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態が解決しようとする課題は、車椅子を使用する旅客に対する乗降補助の要請があった場合、要請先乗降駅の担当係員に必要情報を正確かつ確実に通知することが可能な乗降補助管理システム、乗降補助管理サーバ装置、および乗降補助管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の乗降補助管理システムは、車椅子を使用する旅客が乗降駅で列車に乗降する際、前記乗降駅の駅務員が前記旅客に対して行う乗降補助を管理する乗降補助管理システムである。前記乗降補助管理システムは、券売機と、係員端末と、サーバ装置とを備える。前記券売機は、車椅子席の座席指定券を販売する。前記係員端末は、前記座席指定券で指定された乗車駅および降車駅の各々の駅務員がそれぞれ所持する。前記サーバ装置は、前記券売機および前記係員端末と通信可能に接続され、前記座席指定券の予約状況を管理する。前記券売機は、前記座席指定券で指定された前記乗車駅および前記降車駅の少なくとも一方での前記旅客に対する乗降補助の要請情報を取得する要請情報取得手段と、前記乗降補助要請取得手段で取得した前記要請情報を前記サーバ装置に送信する要請情報送信手段とを有する。前記サーバ装置は、前記要請情報送信手段から送信された前記要請情報で要請された乗降補助への対応を依頼する対応依頼通知を前記係員端末に送信する対応依頼通知送信手段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る乗降補助管理システムの構成を概略的に示すブロック図。
図2】同実施形態に係る乗降補助管理システムで実行される乗降補助管理処理の一例を示すシーケンスチャート。
図3】同実施形態に係る乗降補助管理システムにおいて、指定券情報の各項目値を選択するために券売機に表示される画面の一例を示す図。
図4】同実施形態に係る乗降補助管理システムにおいて、指定券情報が入力(選択)された券売機の表示画面の一例を示す図。
図5】同実施形態に係る乗降補助管理システムにおいて、乗降補助要請情報が入力(選択)された券売機の表示画面の一例を示す図。
図6】同実施形態に係る乗降補助管理システムにおいて、係員端末に表示される乗降補助対応依頼通知の表示例を示す図。
図7】同実施形態に係る乗降補助管理システムにおいて、係員端末に表示される乗降補助対応確認通知の表示例を示す図。
図8】同実施形態に係る乗降補助管理システムにおいて、係員端末に表示される乗降補助対応報告通知の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る乗降補助管理システム1の構成を概略的に示すブロック図である。乗降補助管理システム1は、例えば鉄道事業者などによって用いられ、車椅子を使用する旅客が乗降駅で列車に乗降する際、該乗降駅の駅務員が該旅客に対して行う乗降補助を管理する機能を有する。
【0009】
図1に示すように、乗降補助管理システム1は、券売機2と、係員端末4と、サーバ装置6とを備える。これらの券売機2、係員端末4、およびサーバ装置6は、ネットワーク8を介して通信可能に接続されている。接続態様は、有線、無線、その両方のいずれであっても構わない。
【0010】
券売機2は、運行日時と運行区間(始発駅、終着駅、および途中停車駅)が定められ、座席指定が可能な列車(以下、単に列車という)の座席指定券を販売する装置であり、例えば鉄道駅の改札付近に設置されて旅客に操作される自動券売機、座席指定券の販売窓口に設置されて駅務員に操作される窓口券売機(係員操作卓)などである。ただし、券売機2は、ネットワーク8を介してサーバ装置6と通信可能に接続される端末装置、例えば旅客が所持するタブレット、スマートフォン、パソコンなどであってもよい。この場合、かかる端末装置は、例えばネットワーク8を介してサーバ装置6に接続し、該サーバ装置6上の座席指定券の販売用WEBページなどにアクセスする。座席指定券は、座席を指定して列車に乗車するために必要な指定席券であり、乗車券や特急券などを含んでいてもよい。
【0011】
本実施形態において、券売機2は、車椅子席が設置された列車につき、該車椅子席の座席指定券を販売可能とされている。車椅子席は、車椅子で利用可能な列車内の専有空間であり、例えば車椅子対応座席や車椅子スペースなどである。券売機2は、列車の利用者が指定した所望の乗車日時と乗車区間(乗車駅および降車駅)に応じて車椅子席の座席指定券を販売する。なお、図1においては便宜的に一台の券売機2のみ示されているが、本実施形態に係る乗降補助管理システム1は任意の複数台の券売機2を備える。これらの券売機2は、例えば列車の運行区間内の各駅や停車駅などに一台ずつもしくは複数台ずつ設置されている。
【0012】
図1に示すように、券売機2は、主たる構成要素として、表示部21、操作部22、通信部23などを備えている。図1に示す例では、券売機2が自動券売機や窓口券売機である場合を想定しており、該券売機2は、上記に加えて、決済部24、発券部25をさらに備えている。
【0013】
表示部21は、列車の座席指定券に関する所定の情報を券売機2の利用者が視認可能に表示する。例えば、表示部21は、座席指定券の販売状況の照会画面や購入する座席指定券の選択画面など、目的に応じて画面を適宜切り換えて表示する。本実施形態においては、表示部21が表示可能な情報として、乗降時の係員補助、つまり乗降駅の一方もしくは双方で乗降補助を要するか否かの選択を利用者に促す情報が含まれる。かかる情報は、例えば乗降補助の要請画面や乗降補助要請ボタンなどの態様で表示部21に表示される。
【0014】
操作部22は、列車の座席指定券の購入時、利用者によって操作される。例えば、操作部22は、列車の乗車日時や乗車区間(乗車駅および降車駅)を入力するための文字入力装置、購入する座席指定券を選択する選択ボタンなどとして構成される。これらの文字入力装置や選択ボタンは、固定的に存在する機械的なものであってもよいし、表示部21が表示する画面上に現れるものであっても構わない。本実施形態においては、操作部22で可能な操作として、乗降時の係員補助、つまり乗降駅の一方もしくは双方で乗降補助を要するか否かを利用者が選択する操作が含まれる。
【0015】
通信部23は、例えば通信制御モジュールや通信制御基板などとして構成され、座席指定券を販売する際に券売機2とサーバ装置6との間で必要なデータの送受信を行う。決済部24は、選択した座席指定券を利用者が購入する際の決済を、例えば現金の入出金やキャッシュレスなどで行う。ただし、決済部24は、例えば決済の受け付けを行い、決済自体をサーバ装置6に引き渡してもよい。発券部25は、決済が完了した座席指定券を発券する。
【0016】
係員端末4は、駅務に関する各種の情報の送受信が可能な端末装置であり、例えば駅務員に所持されるタブレット、スマートフォン、パソコンなどである。係員端末4を所持する駅務員は、車椅子を使用する旅客が乗降駅で列車に乗降する際、乗車駅や降車駅で該旅客に対して乗降補助を行う担当係員を兼ねる。本実施形態において、係員端末4は、旅客の乗降補助に関する各種の情報の送受信が可能とされている。担当係員は、旅客の乗降補助に関して必要な各種情報の取得、確認、問い合わせなどを係員端末4で行う。なお、図1においては便宜的に一台の係員端末4のみ示されているが、本実施形態に係る乗降補助管理システム1は任意の複数台の係員端末4を備える。これらの係員端末4は、例えば列車の運行区間内の各駅や停車駅の任意の駅務員にそれぞれ一台ずつ所持されている。
【0017】
図1に示すように、係員端末4は、主たる構成要素として、表示部41、音声出力部42、操作部43、通信部44などを備えている。
【0018】
表示部41は、駅務に関する各種の情報を駅務員が視認可能に表示する。本実施形態において、表示部41に表示される情報には、車椅子を使用する旅客に対する乗降時の補助要請に関する情報、例えば補助要請の通知、受け付け、実施状況、完了報告などの各情報が含まれる。
【0019】
音声出力部42は、駅務に関する各種の情報の読み上げや該情報の通知音などの鳴動などにより、該情報を駅務員へ音声により伝達したり、表示部41での該情報の表示を補完したりする。
【0020】
操作部43は、係員端末4で駅務に関する各種の情報の送受信を行う際、駅務員によって操作される。例えば、操作部43は、文字を入力するための文字入力装置や入力項目を選択する選択ボタンなどとして構成される。これらの文字入力装置や選択ボタンは、常設された機械的なものであってもよいし、表示部41が表示する画面上に必要に応じて現れるものであっても構わない。本実施形態においては、操作部43で可能な操作として、車椅子を使用する旅客に対する乗降時の補助要請に関する各種の操作、例えば補助要請の通知や実施状況を照会する操作、通知された補助要請を受け付ける旨を回答する操作、乗降補助が完了した旨を報告する操作などが含まれる。
【0021】
通信部44は、例えば通信制御モジュールや通信制御基板などとして構成され、係員端末4とサーバ装置6との間で必要なデータの送受信を行う。本実施形態において、通信部44が送受信するデータには、車椅子を使用する旅客に対する乗降時の補助要請の管理に関して必要とされるデータ、例えば補助要請の依頼、通知、受け付け、完了報告などのデータが含まれる。
【0022】
サーバ装置6は、例えば列車を運行する鉄道事業者の本社やシステムセンタなどに配置され、券売機2および係員端末4とネットワーク8を介して通信可能に接続されている。サーバ装置6は、券売機2および係員端末4の上位装置として機能し、これらにおいて実行可能な処理を管理する。本実施形態においては、サーバ装置6が管理する処理として、車椅子席が設置された列車の座席指定券の販売処理、および車椅子を使用する旅客に対する乗降時の補助要請に関する処理が含まれる。
【0023】
図1に示すように、サーバ装置6は、主たる構成要素として、制御部61、座席指定券処理部62、乗降補助処理部63、情報格納部64、通信部65などを備えている。
【0024】
制御部61は、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発性メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、制御部61は、各種データを入出力回路により読み込み、記憶装置からメモリに読み出したプログラムを用いてCPUで演算処理を実行する。
【0025】
座席指定券処理部62は、車椅子席が設置された列車の該車椅子席を含む座席指定券の販売を管理するための処理を行う。乗降補助処理部63は、車椅子を使用する旅客に対する乗降時の補助要請を管理するための処理を行う。本実施形態では一例として、座席指定券処理部62および乗降補助処理部63は、サーバ装置6において所定の演算処理を実行するためのプログラム(乗降補助管理プログラム)として構成されており、制御部61の記憶装置に格納されて各々の処理時にメモリに読み出されて実行される。座席指定券処理部62および乗降補助処理部63の具体的な処理の内容については、乗降補助管理システム1の動作の説明において後述する。
【0026】
情報格納部64は、座席指定券の販売状況を管理する情報(以下、販売状況管理情報という)を格納する。販売状況管理情報は、座席指定券の対象列車につき、列車番号、列車名、運行日時、始発駅、主着駅、途中停車駅、号車、座席番号などの列車情報に加えて、該列車情報に紐付けられた座席番号ごとの座席指定券の販売可否や販売有無などのデータを含む。
【0027】
また、情報格納部64は、車椅子を使用する旅客の乗降補助を管理する情報(以下、乗降補助管理情報という)を格納する。乗降補助管理情報は、販売された車椅子席の座席指定券につき、車椅子を使用する旅客に対する乗降時の係員補助の要請有無、乗降補助要請がなされている場合は、乗降補助対象の列車につき、上記列車情報に加えて、該列車情報に紐付けられた座製番号ごとの乗降補助が要請される駅名、乗降補助が要請される時刻、乗降補助要請の受付状況および実施状況などのデータを含む。
【0028】
情報格納部64に格納された販売状況管理情報や乗降補助管理情報は、座席指定券処理部62および乗降補助処理部63によって各々の処理時に適宜読み出され、処理結果に応じて適宜更新される。
【0029】
通信部65は、例えば通信制御モジュールや通信制御基板などとして構成され、サーバ装置6と券売機2および係員端末4との間で必要なデータの送受信を行う。本実施形態において、通信部65が送受信するデータには、車椅子を使用する旅客に対する乗降時の補助要請の管理に関して必要とされるデータ、例えば補助要請の依頼、通知、受け付け、完了報告などのデータが含まれる。
【0030】
次に、本実施形態に係る乗降補助管理システム1の動作について説明する。図2は、乗降補助管理システム1で実行される乗降補助管理処理の一例を示すシーケンスチャートである。乗降補助管理処理は、車椅子席が設置された列車につき、車椅子席の座席指定券が販売され、該車椅子席を使用する旅客に対する乗降時の補助要請があった場合に、該補助要請の通知(対応依頼)から、受け付け、完了までを管理するための処理である。
【0031】
乗降補助管理処理は、乗降補助管理システム1の利用者に券売機2が操作されて車椅子席の座席指定券が購入され、乗降時の補助要請がされた場合に実行開始される。乗降補助管理システム1の利用者は、座席指定券の購入者や座席指定券の販売窓口の駅務員などである。
【0032】
図2に示すように、券売機2は、車椅子席が設置された列車の該車椅子席の座席指定券に関する情報(以下、指定券情報という)を取得する(ステップS01)。指定券情報は、列車名、列車番号、乗車駅、発車時刻、降車駅、到着時刻、列車号車、座席番号などを含む。例えば、券売機2には、指定券情報を入力するための画面から所定の指定券情報が利用者によって入力される。かかる画面は、券売機2の表示部21に表示される。例えば、利用者は、指定券情報の入力画面において、指定券情報の各項目に対応した選択肢の中から所望のものを選択する。図3には、表示された選択肢の中から指定券情報の各項目値を選択するために表示部21に表示される画面21aの一例を示す。
【0033】
指定券情報を取得すると、該指定券情報が券売機2からサーバ装置6に送信される(ステップS02)。なお、券売機2とサーバ装置6との間の情報(ステップS02では指定券情報)の送受信は、互いの通信部23,65を介して行われる(以降のステップにおいて情報が送受信される場合も同様)。
【0034】
指定券情報を受信したサーバ装置6は、指定券情報で指定された車椅子席の座席指定券の販売状況を照会する(ステップS03)。その際、サーバ装置6の座席指定券処理部62は、情報格納部64にアクセスし、指定券情報で指定された座席指定券の販売状況管理情報を取得する。次いで、座席指定券処理部62は、取得した販売状況管理情報に応じて、指定券情報で指定された座席指定券の販売可否を判定し、その判定結果を券売機2に送信する(ステップS04)。例えば、販売状況管理情報において、指定された座席指定券が未販売であれば該座席指定券は販売可であること、指定された座席指定券が販売済であれば該座席指定券は販売不可であることが座席指定券処理部62から券売機2に通知される。
【0035】
判定結果を受信すると、券売機2は、受信した判定結果を表示部21に表示する(ステップS05)。ここでは、受信した判定結果に応じて、指定券情報で指定された車椅子席の座席指定券の購入可否が表示部21に表示される。指定された座席指定券が販売可能である場合、券売機2は、該座席指定券が購入可能であることを表示部21に表示する。
【0036】
図4には、指定券情報が入力(選択)された画面21bの一例を示す。図4に示す例では、券売機2は、表示された座席指定券を購入するための決定ボタン211を表示部21に表示する。決定ボタン211は、表示部21が表示する画面上に現れる操作部22の一例である。以下では、座席指定券が購入可能である場合について説明する。なお、指定された座席指定券が販売不可である場合、券売機2は、該座席指定券が購入不可能であることを表示部21に表示する。例えば、券売機2は、新たな指定券情報を入力させるべく、指定券情報の入力画面に戻るためのボタンなどを表示部21に表示する。
【0037】
指定券情報で指定された車椅子席の座席指定券が販売可能である場合、券売機2は、車椅子を使用する旅客の乗降補助、つまり乗降時の駅務員による補助を要請するための情報(以下、乗降補助要請情報という)を取得する(要請情報取得手段)(ステップS06)。乗降補助要請情報は、乗降補助の要否、乗降補助を要請する駅名、乗降補助を要請する時刻(列車の発車時刻や到着時刻)などを含む。乗降補助要請情報の各項目の入力値は、指定券情報で指定された車椅子席の座席指定券(例えば、列車番号および座席番号など)と紐付けられる。例えば、券売機2は、これらの乗降補助要請情報の各項目の入力値を利用者に選択させる画面やボタンなどを表示部21に表示する。この場合、利用者は、表示部21の表示に応じて、乗降補助の要否を選択するとともに、要請を選択する場合には乗降補助を要請する駅名や時刻などを選択する。
【0038】
図5には、乗降補助要請情報が入力(選択)された画面21cの一例を示す。図5に示す例では、券売機2は、表示された内容にて乗降補助を要請するための補助要請ボタン212を表示部21に表示する。この場合、利用者は、補助要請ボタン212を押すことで表示内容にて乗降補助を要請する旨の意思表示を行う。補助要請ボタン212は、表示部21が表示する画面上に現れる操作部22の一例である。以下、図5に示すように、乗車駅および降車駅の両駅での乗降補助の要請がなされた場合について一例として説明する。
【0039】
座席指定券の購入決定がなされると、乗降補助要請情報が券売機2からサーバ装置6に送信される(要請情報送信手段)(ステップS07)。なお、座席指定券の購入決定がなされると、券売機2においては、決済部24が該座席指定券の購入に対する決済を行い、決済が完了すると、発券部25が該座席指定券を発券する。ステップS07では、決済が完了して座席指定券が発券された状態となっている。
【0040】
乗降補助要請情報を受信したサーバ装置6は、乗降補助要請情報に対応する車椅子席の座席指定券についての乗降補助管理情報を更新する(ステップS08)。例えば、乗降補助処理部63は、要請情報取得手段として機能し、情報格納部64にアクセスし、乗降補助要請情報に対応する座席指定券についての乗降補助管理情報の要請有無のデータ値を初期値から補助要請があることを示す値に更新する。要請有無データの初期値は、補助要請があることを示す値以外の値、例えば未設定もしくは補助要請がないことを示す値などとされている。なお、ステップS07において乗降補助の要請がなされなかった場合、乗降補助処理部63は、例えば乗降補助要請情報に対応する座席指定券についての補助要請管理情報の要請有無のデータ値を初期値から補助要請がないことを示す値に更新する。
【0041】
また、サーバ装置6は、座席指定券の販売状況のデータを更新する。例えば、座席指定券処理部62は、情報格納部64にアクセスし、乗降補助要請情報に対応する座席指定券の販売状況管理情報の販売有無のデータ値を初期値から販売済であることを示す値に更新する。販売有無データの初期値は、販売済であることを示す値以外の値、例えば未販売を示す値などとされている。なお、ステップS07において乗降補助の要請がなされなかった場合、例えば上述したように補助要請管理情報の要請有無のデータ値が初期値から補助要請がないことを示す値に更新された後、以降の処理を行うことなく乗降補助管理処理が終了する。
【0042】
併せて、サーバ装置6は、乗降補助要請情報で指定された対象駅(ここでは乗降駅)の係員端末4に対し、要請のあった乗降補助への対応を依頼する通知を送信する(対応依頼通知送信手段)(ステップS09)。本実施形態においては、乗降駅の複数の係員端末4の各々にサーバ装置6から乗降補助への対応依頼通知が送信される。対応依頼通知は、乗降補助が要請された車椅子席の座席指定券(例えば、列車番号および座席番号など)と紐付けられている。なお、サーバ装置6と係員端末4との間の情報(ステップS09では乗降補助依頼通知)の送受信は、互いの通信部65,44を介して行われる(以降のステップにおいて情報が送受信される場合も同様)。
【0043】
乗降補助への対応依頼通知を受信した係員端末4は、該乗降補助への対応の依頼があった旨の情報(以下、対応依頼情報という)を表示部41に表示する(ステップS10)。例えば、係員端末4は、要請のあった乗降補助への対応依頼を示すポップアップメッセージなどを表示部41に表示する。
【0044】
図6には、対応依頼情報を示すポップアップメッセージの一例である乗降補助対応依頼通知41aの表示例を示す。併せて、係員端末4は、対応依頼を示す通知音などを音声出力部42から発する。これにより、対応依頼通知を受信した係員端末4を所持する駅務員に対して、乗降補助への対応依頼がなされた状態となる。この状態において、かかる駅務員は、例えば係員端末4の操作部43を操作してサーバ装置6にアクセスし、情報格納部64に格納された乗降補助要請情報を確認可能である。
【0045】
そして、係員端末4は、依頼のあった補助要請への対応についての応答情報を取得する(ステップS11)。例えば、係員端末4は、要請のあった乗降補助への対応依頼を示すポップアップメッセージを承認すること、つまり該対応依頼を受け付けて乗降補助を行うことを示す応答ボタンを該ポップアップメッセージとともに表示部41に表示する。図6に示す例では、係員端末4は、要請された乗降補助を受け付ける旨を応答する要請受付ボタン411を表示部41に表示する。要請受付ボタン411は、表示部41が表示する画面上に現れる操作部43の一例である。係員端末4を所持する駅務員は、ポップアップメッセージの応答ボタン(図示例では要請受付ボタン411)を押すことで、要請のあった乗降補助への対応依頼を受け付ける旨の意思表示を行う。
【0046】
応答情報を取得すると、該応答情報が係員端末4からサーバ装置6に送信される(応答情報送信手段)(ステップS12)。
【0047】
応答情報を受信したサーバ装置6は、該応答情報、つまり乗降補助要請情報に対応する車椅子席の座席指定券についての乗降補助管理情報を更新する(ステップS13)。例えば、乗降補助処理部63は、応答情報取得手段として機能し、情報格納部64にアクセスし、かかる座席指定券に対する乗降補助管理情報の受付状況のデータ値を所定値(受付完了を示す値)に更新する。
【0048】
その後、乗降補助要請情報で指定された補助要請時刻(列車の発車時刻や到着時刻)になると、対象駅(ここでは乗降駅)において、車椅子を使用する旅客に対して駅務員による乗降補助が行われる。例えば、乗降補助要請情報で指定された補助要請時刻(列車の発車時刻や到着時刻)の所定時間前に、係員端末4は、乗降補助への対応を促す確認メッセージなどを表示部41にポップアップ表示する。ただし、乗降補助への対応依頼通知から補助要請時刻までの時間が上記所定時間よりも短いような場合には、乗降補助への対応を促す確認メッセージなどを省略し、乗降補助への対応依頼通知を該確認メッセージとすることも可能である。
【0049】
図7には、確認メッセージの一例である乗降補助対応確認通知41bの表示例を示す。併せて、係員端末4は、乗降補助への対応を促す通知音などを音声出力部42から発する。これにより、ポップアップ表示や通知音がなされた係員端末4を所持する駅務員に対して、乗降補助への対応が促された状態(リマインド状態)となる。図7に示す例では、乗降補助対応確認通知41bの内容を確認した場合、係員端末4を所持する駅務員は、確認ボタン412を押すことで、依頼のあった補助要請への対応を確認した旨の応答を行う。確認ボタン412は、表示部41が表示する画面上に現れる操作部43の一例である。
【0050】
乗降補助が行われると、係員端末4は、依頼のあった乗降補助への対応についての完了報告情報を取得する(ステップS14)。例えば、乗降補助要請情報で指定された補助要請時刻(列車の発車時刻や到着時刻)の経過後に、係員端末4は、乗降補助への対応が完了したか否かを確認するメッセージを、対応が完了したことを示す報告ボタンとともに表示部41にポップアップ表示する。
【0051】
図8には、確認メッセージの一例である乗降補助対応報告通知41cの表示例を示す。図8に示す例では、係員端末4は、乗降補助要請情報とともに、その乗降補助への対応が完了した旨を報告する補助完了ボタン413を表示部41に表示する。補助完了ボタン413は、表示部41が表示する画面上に現れる操作部43の一例である。乗降補助への対応が完了した場合、係員端末4を所持する駅務員は、かかる報告ボタン(図示例では補助完了ボタン413)を押すことなどで、依頼のあった補助要請への対応が完了した旨の報告を行う。
【0052】
完了報告情報を取得すると、該完了報告情報が係員端末4からサーバ装置6に送信される(完了報告送信手段)(ステップS15)。
【0053】
完了報告情報を受信したサーバ装置6は、該完了報告情報、つまり乗降補助要請情報に対応する車椅子席の座席指定券についての乗降補助管理情報を更新する(ステップS16)。例えば、乗降補助処理部63は、完了報告取得手段として機能し、情報格納部64にアクセスし、かかる座席指定券についての乗降補助管理情報の実施状況のデータ値を所定値(補助完了を示す値)に更新する。なお、乗降補助要請情報で指定された補助要請時刻(列車の発車時刻や到着時刻)から所定時間を経過しても完了報告情報を受信しない場合、サーバ装置6は、例えば乗降補助への対応が完了したか否かを確認するメッセージを係員端末4に再度表示させるように動作制御してもよい。
【0054】
これにより、所定の乗降補助管理情報の車椅子席の座席指定券に対応する一連の乗降補助管理処理が終了する。
【0055】
このように本実施形態によれば、車椅子席の座席指定券が販売される際、車椅子を使用する旅客に対する乗降補助の要請を、対応する座席指定券の販売時に乗降補助管理システム1上で行うことができる。このため、乗降補助の要請があった場合に、対象駅の担当係員、例えば要請先乗降駅の駅務員に必要情報(乗降補助管理情報)を正確かつ確実に通知することができる。その際、補助要請時刻の所定時刻前に、補助要請のリマインドをサーバ装置6から係員端末4に送信することなども可能となる。これにより、要請のあった乗降補助への対応がより確実になされる。
【0056】
したがって、例えば乗車駅などの窓口で乗降補助の要請を受けた駅務員が対象駅(例えば乗降駅)の駅務員に対して電話などで乗降補助管理情報を伝達して乗降補助を依頼するような作業を低減し、駅務員の作業負荷を軽減させることができる。また、かかる補助要請につき、対応依頼の受付、確認、完了報告までを乗降補助管理システム1上で一貫して管理できる。このため、車椅子を使用する旅客に対するユーザサービスの向上を図ることができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…乗降補助管理システム、2…券売機、4…係員端末、6…サーバ装置、21…表示部、21a,21b,21c…画面、22…操作部、23…通信部、24…決済部、25…発券部、41…表示部、41a…乗降補助対応依頼通知、41b…乗降補助対応確認通知、41c…乗降補助対応報告通知、42…音声出力部、43…操作部、44…通信部、61…制御部、62…座席指定券処理部、63…乗降補助処理部、64…情報格納部、65…通信部、211…決定ボタン、212…補助要請ボタン、411…要請受付ボタン、412…確認ボタン、413…補助完了ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8