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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085178
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】テキスタイル
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/547 20210101AFI20240619BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
D03D15/547
D03D1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199563
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】505300841
【氏名又は名称】株式会社ZOZO
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中丸 啓
(72)【発明者】
【氏名】田島 康太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐治 美千香
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 伽耶人
【テーマコード(参考)】
4L048
【Fターム(参考)】
4L048AB06
4L048AB27
4L048AB28
4L048AC01
4L048CA00
4L048DA01
4L048DA19
4L048DA24
(57)【要約】
【課題】テキスタイルの意匠表現の拡張を可能とすること。
【解決手段】本願に係るテキスタイルは、光学特性が変化可能な呈色糸と、入射した光からそれぞれ異なる波長の光を反射する構造により構造色を実現する構造色糸と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学特性が変化可能な呈色糸と、
入射した光からそれぞれ異なる波長の光を反射する構造により構造色を実現する構造色糸と、
を含むことを特徴とするテキスタイル。
【請求項2】
前記呈色糸の上部に前記構造色糸が重畳するように織り込むことで形成された
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項3】
電極が表面に露出した呈色層を前記呈色糸に含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項4】
所定の閾値以上の面積が表面に露出した構造色層を前記構造色糸に含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項5】
特定の波長のみ透過可能な基材を糸に含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項6】
電子ペーパー、ロイコ色素とヒーターとを合わせたもの、透過変化フィルム、有機EL、LED、オプティカルファイバー又はディフューザーを合わせたものを素材とする呈色層を前記呈色糸に含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項7】
制御装置による制御によって光学特性が変化可能な前記呈色糸を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項8】
制御装置による制御によって独立して制御可能な前記呈色糸を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項9】
短絡によって特定の領域のみが制御可能となる前記呈色糸を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項10】
制御装置によって推定されたユーザの位置情報に基づく当該ユーザの視野角に応じた当該制御装置による制御によって光学特性が変化可能な前記呈色糸を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項11】
制御装置による制御によって意匠が変化する
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項12】
カーテン、家具又は照明のシェードに用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項13】
3PLY構造である
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイルに関する。
【背景技術】
【0002】
インテリア、ファッション、車等の多くの業界において、電子回路を織物(又は織物からつくられ得る物品)などに組み込みたいといった要望がある。このような要望に応えるための技術として、スマートテキスタイルと呼ばれるテキスタイルを用いた技術が知られている(下記特許文献1)。
【0003】
また、構造色とは、光の波長あるいは光の波長以下の微細構造による、分光に由来する発色現象によって見える色である。従来、人工的に液晶素材や屈折率の異なる素材を周期的に積層することで構造色をつくる技術が知られている(下記特許文献2)。また、構造色の光沢や見る角度によって見え方が変化する特徴などを加飾技術に用いることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-143546号公報
【特許文献2】特表2020-535987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、構造色を動的に制御することはできなかった。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、構造色の動的な制御を可能とすることでテキスタイルの意匠表現の拡張を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係るテキスタイルは、光学特性が変化可能な呈色糸と、入射した光からそれぞれ異なる波長の光を反射する構造により構造色を実現する構造色糸と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、テキスタイルの意匠表現の拡張を可能とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その1:準備)。
図1B図1Bは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その2:ラミネーション)。
図1C図1Cは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その3:スリット)。
図1D図1Dは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その4:織り)。
図2A図2Aは、実施形態に係る箔糸の構成の一例を示す図である(その1:構造色層が表面下部に配置された場合)。
図2B図2Bは、実施形態に係る箔糸の構成の一例を示す図である(その2:構造色層が表面に配置された場合)。
図3図3は、実施形態に係る基材の厚さ、呈色層の厚さ、及び、箔糸の幅を説明するための説明図である。
図4図4は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図5A図5Aは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その1:準備)。
図5B図5Bは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その2:スリット)。
図5C図5Cは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その3:織り)。
図6A図6Aは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その1:準備)。
図6B図6Bは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その2:スリット)。
図6C図6Cは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その3:織り)。
図6D図6Dは、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である(その4:織り)。
図7図7は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係るテキスタイルを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係るテキスタイルが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
(実施形態)
〔1.情報処理の一例〕
構造色は、アルミニウムやプラスチックなどの平坦な素材の場合は、製造にインクや素材の蒸着などを用いることができるため、時計の文字盤や建築などの意匠に利用される。しかしながら、柔らかく(しなやかで)凹凸を有するテキスタイルのような素材の場合は、特殊な紡績プロセスを用いた糸が必要となるため適用が限定される。また、構造色は、見る角度や背景によって意匠が変化することが特徴であるが、周囲の環境光や観測位置に依存することが多い。
【0012】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、衣服やカーテンといった柔らかく凹凸を有するテキスタイルにおいて、構造色の動的な制御を可能とすることで意匠表現の拡張を可能とすることを目的とする。
【0013】
以下実施形態では、テキスタイル100は、経糸と緯糸とを織り込むことで形成されたテキスタイルである。例えば、テキスタイル100は、経糸と緯糸と織り糸とで形成された3PLY構造のテキスタイルである。テキスタイル100は、以下で説明する3種類のいずれかで形成されたテキスタイルである。具体的には、テキスタイル100は、(1)経糸及び緯糸の少なくともいずれか一方の糸に、光学特性が変化可能な呈色層と、入射した光からそれぞれ異なる波長の光を反射する構造により構造色を実現する構造色層とを含むことを特徴とするテキスタイルであってもよいし、(2)呈色層を含む糸(呈色糸に対応)と構造色層を含む糸(構造色糸に対応)とを織り込むことで形成されたテキスタイルであってもよいし、(3)呈色糸を含むテキスタイル(呈色テキスタイルに対応)と構造色糸を含むテキスタイル(構造色テキスタイルに対応)とを重ね合わせることで形成されたテキスタイルであってもよい。以下、それぞれの詳細を説明する。
【0014】
(呈色層と構造色層とを1本の糸に含む場合)
図1は、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である。図1Aは、テキスタイル製造のための準備(Sheet Preparation)を示す図である。フィルムF1は、半透過な構造色を実現するフィルムであり(構造色フィルムに対応)、フィルムF2は、柔らかく光学特性が変化可能なフィルムである(色変化フィルムに対応)。制御装置10による制御によって、フィルムF2の光学特性が変化する。例えば、フィルムF2の光学特性が、制御装置10による制御によって、透明な色の光を反射する特性から濃い色の光を反射する特性に変化する。また、例えば、フィルムF2の光学特性が、制御装置10による制御によって、明るい色の光を反射する特性から暗い色の光を反射する特性に変化する。
【0015】
図1Bは、テキスタイル製造のためのラミネート(Lamination)を示す図である。フィルムF3は、フィルムF1の下部にフィルムF2がラミネートされたフィルムである(構造色変化フィルムに対応)。制御装置10による制御によって、フィルムF2の部分(呈色層)の光学特性が変化することでフィルムF1の部分(構造色層)の構造色が変化する。
【0016】
図1Cは、テキスタイル製造のためのスリット(Slit)を示す図である。糸K1乃至糸KNは、フィルムF3を細長く切ることで糸状にしたもの(箔糸)である(構造色変化箔糸に対応)。このため、糸K1乃至糸KNの箔糸は、呈色層(フィルムF2の部分)と構造色層(フィルムF1の部分)とを有する。制御装置10による制御によって、糸K1乃至糸KNの箔糸の呈色層の光学特性が変化することで構造色層の構造色が変化する。また、制御装置10による制御によって、ユーザの位置情報に基づくユーザの視野角に応じて、糸K1乃至糸KNの箔糸の呈色層の光学特性が変化することで構造色層の構造色が変化してもよい。この際、ユーザの位置情報の推定は制御装置10が行ってもよい。なお、糸K1乃至糸KNそれぞれは、制御装置10による制御によって独立して制御可能である。また、短絡によって糸K1乃至糸KNの箔糸の特定の領域のみが制御可能であってもよい。
【0017】
図1Dは、テキスタイル製造のための織り(Weaving)を示す図である。テキスタイル100は、糸K1乃至糸KNを織り込むことでテキスタイル状にしたもの(テキスタイル)である(構造色変化テキスタイルに対応)。例えば、テキスタイル100は、糸K1乃至糸KNが経糸である場合は、経糸である糸K1乃至糸KNと、糸K1乃至糸KNとは異なる糸である緯糸とを織り込むことでテキスタイル状にしたものである。また、例えば、テキスタイル100は、糸K1乃至糸KNが緯糸である場合は、緯糸である糸K1乃至糸KNと、糸K1乃至糸KNとは異なる糸である経糸とを織り込むことでテキスタイル状にしたものである。制御装置10による制御によって、糸K1乃至糸KNの箔糸の呈色層の光学特性が変化して、構造色層の構造色が変化することでテキスタイル100の意匠が変化する。このように、柔らかい呈色層とその上部に形成された半透過の構造色層とを積層した箔糸が織り込まれるため、テキスタイルの意匠を動的に変化させることができる。
【0018】
図2は、実施形態に係る箔糸の構成の一例を示す図である。実施形態に係る箔糸は、3層構造の糸であってもよい。図2Aは、箔糸の構造色層が表面にならないように表面の下部に配置された場合の構成を示す図である。L11は基材であり、L12は構造色層であり、L13は基材であり、L14はロイコ層であり、L15はヒーター層であり、L16は基材である。なお、ロイコ層とヒーター層とを合わせたものが呈色層に対応する。また、L11とL12とを合わせたもの、L13とL14とを合わせたもの、L15とL16とを合わせたものそれぞれが、3層構造のうちの1層に対応する。図2Aのように、構造色層を表面の下部に配置することで、構造色層が傷つき難くなるため、耐久性を向上させることができる。
【0019】
図2Bは、箔糸の構造色層が表面になるように表面に配置された場合の構成を示す図である。L21は構造色層であり、L22は基材であり、L23は基材であり、L24はロイコ層であり、L25はヒーター層であり、L26は基材である。また、図2Aの場合と同様に、L21とL22とを合わせたもの、L23とL24とを合わせたもの、L25とL26とを合わせたものそれぞれが、3層構造のうちの1層に対応する。図2Bのように、構造色層を表面に配置することで、より鮮明な表現が可能になるため、意匠表現を拡張させることができる。
【0020】
なお、実施形態に係る基材は、特定の波長の光のみを透過させるものであってもよい。実施形態に係る基材が特定の波長の光のみを透過させるものである場合は、透過された光と呈色層の光学特性の制御とによって構造色が変化する。
【0021】
また、実施形態に係る基材の厚みは50μm~100μm程度、呈色層の厚みは数百nm程度、及び、箔糸の幅は0.3mm~4.0mm程度が好ましい(図3参照)。
【0022】
また、実施形態に係る呈色層は、ロイコ層とヒーター層とを合わせたもの(ロイコ色素とヒーターとを合わせたもの)に限られず、電子ペーパーや、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)などの透過変化フィルムや、有機EL(Electronic Luminescent)、LED(Light Emitting Diode)、オプティカルファイバー(Optical Fiber)、あるいは、ディフューザーを合わせたもの(例えば、発光する柔らかな素材やデバイス)であってもよい。
【0023】
図4は、実施形態に係る回路の配線構成の一例を示す図である。糸K1乃至糸KNは実施形態に係る箔糸である。実施形態に係る箔糸は、呈色層の電極が表面に露出しているものであってもよい。呈色層の電極が表面に露出することで、コンタクトが取れ易くなるため、制御装置10による制御がし易くなる。
【0024】
なお、実施形態に係る箔糸は、構造色層の所定の閾値以上の面積が表面に露出しているものであってもよい。例えば、実施形態に係る箔糸は、構造色層の露出部分の面積の割合が構造色層の面積に対して所定の閾値以上なものであってもよいし、構造色層の露出部分の面積の割合がテキスタイルの面積に対して所定の閾値以上なものであってもよい。
【0025】
(呈色糸と構造色糸とを含む場合)
図5は、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である。なお、図1と同様の説明は適宜省略する。図5Aは、テキスタイル製造のための準備を示す図である。フィルムF1は、半透過な構造色を実現するフィルムであり、フィルムF2は、柔らかく光学特性が変化可能なフィルムである。
【0026】
図5Bは、テキスタイル製造のためのスリットを示す図である。糸K11乃至糸K1Nは、フィルムF1を細長く切ることで糸状にしたもの(構造色糸)である。このため、糸K11乃至糸K1Nの箔糸は、構造色層(フィルムF1の部分)を有する。また、糸K21乃至糸K2Nは、フィルムF2を細長く切ることで糸状にしたもの(呈色糸)である。このため、糸K21乃至糸K2Nの箔糸は、呈色層(フィルムF2の部分)を有する。
【0027】
図5Cは、テキスタイル製造のための織りを示す図である。テキスタイル100は、糸K11乃至糸K1Nと糸K21乃至糸K2Nとを織り込むことでテキスタイル状にしたもの(テキスタイル)である。例えば、テキスタイル100は、緯糸である糸K11乃至糸K1Nと経糸である糸K21乃至糸K2Nとを織り込むことでテキスタイル状にしたものである。また、例えば、テキスタイル100は、経糸である糸K11乃至糸K1Nと緯糸である糸K21乃至糸K2Nとを織り込むことでテキスタイル状にしたものであってもよい。また、テキスタイル100は、呈色糸である糸K21乃至糸K2Nの上部に構造色糸が重畳するように織り込むことでテキスタイル状にしたものである。制御装置10による制御によって、糸K21乃至糸K2Nの呈色糸の光学特性が変化して、構造色糸の構造色が変化することでテキスタイル100の意匠が変化する。このように、呈色糸の上部に構造色糸が重畳するように織り込まれるため、テキスタイルの意匠を動的に変化させることができる。なお、糸K21乃至糸K2Nそれぞれは、制御装置10による制御によって独立して制御可能である。また、糸K21乃至糸K2Nの短絡によってテキスタイルの特定の領域のみが制御可能であってもよい。
【0028】
(呈色テキスタイルと構造色テキスタイルとを含む場合)
図6は、実施形態に係るテキスタイルの製造方法の一例を示す図である。なお、図1及び図5と同様の説明は適宜省略する。図6Aは、テキスタイル製造のための準備を示す図である。フィルムF1は、半透過な構造色を実現するフィルムであり、フィルムF2は、柔らかく光学特性が変化可能なフィルムである。
【0029】
図6Bは、テキスタイル製造のためのスリットを示す図である。糸K11乃至糸K1Nは、フィルムF1を細長く切ることで糸状にしたもの(構造色糸)である。また、糸K21乃至糸K2Nは、フィルムF2を細長く切ることで糸状にしたもの(呈色糸)である。
【0030】
図6C及び図6Dは、テキスタイル製造のための織りを示す図である。テキスタイルT1(図6C参照)は、糸K11乃至糸K1Nを織り込むことでテキスタイル状にしたもの(構造色テキスタイル)である。このため、テキスタイルT1は、構造色糸を含む。また、テキスタイルT2(図6C参照)は、糸K21乃至糸K2Nを織り込むことでテキスタイル状にしたもの(呈色テキスタイル)である。このため、テキスタイルT2は、呈色糸を含む。そして、テキスタイル100(図6D参照)は、呈色テキスタイルの上部に構造色テキスタイルが重畳するようにテキスタイル状にしたもの(テキスタイル)である。
【0031】
〔2.利用態様〕
以下、実際の利用態様について説明する。例えば、端末装置20にインストールされたアプリケーション上で、意匠変化させたい意匠情報や時間情報(意匠変化のタイミングなど)が設定されることで、ネットワークNを介して制御装置10へ送信し、設定された意匠情報や時間情報に基づいて、テキスタイル100の意匠を変化させてもよい。この際、例えば任意のRGB出力情報に変換させて、ディスプレイとして表示させてもよい。このように、アプリケーションと連動したインタラクティブな意匠変化システムを提供してもよい。
【0032】
また、実施形態に係るテキスタイルは、例えば、カーテン、家具、照明のシェードなどに用いられてもよい。例えば、カーテンレール部分に回路を配置することで、カーテンに用いられてもよい。また、例えば、照明シェードの中心部分に回路を配置することで、照明シェードに用いられてもよい。なお、これらの例は一例であり特に限定されなくてもよい。
【0033】
〔3.情報処理システムの構成〕
図7に示す情報処理システム1について説明する。図7に示すように、情報処理システム1は、制御装置10と、端末装置20と、テキスタイル100とが含まれる。制御装置10と、端末装置20と、テキスタイル100とは所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。図7は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。なお、図7に示した情報処理システム1には、複数台の制御装置10や、複数台の端末装置20や、複数台のテキスタイル100が含まれてもよい。
【0034】
制御装置10は、テキスタイル100の制御装置である。制御装置10は、端末装置20等からネットワークNを介して送信された情報に基づいて処理を行う。例えば、制御装置10は、テキスタイル100を意匠変化させるための処理を行う。例えば、制御装置10は、制御装置10は、トップコンタクトで選択的に電源を供給するための処理を行う。また、制御装置10は、ユーザの位置情報を推定し、ユーザの位置情報に基づくユーザの視野角に応じた制御を行ってもよい。例えば、制御装置10は、ユーザの視野角に応じて、呈色層の光学特性を変化させる制御を行ってもよい。
【0035】
端末装置20は、ユーザによって利用される情報処理装置である。端末装置20は、実施形態における処理を実現可能であれば、どのような装置であってもよい。また、端末装置20は、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA、マイクロコントローラ等の装置であってもよい。端末装置20は、例えば、ユーザにより入力された設定に応じて、制御情報を制御装置10へ送信する。
【0036】
テキスタイル100は、スマートテキスタイルである。テキスタイル100は、光学特性が変化可能な呈色層と、入射した光からそれぞれ異なる波長の光を反射する構造により構造色を実現する構造色層と、を含む糸を含むテキスタイルである。また、テキスタイル100は、光学特性が変化可能な呈色糸と、入射した光からそれぞれ異なる波長の光を反射する構造により構造色を実現する構造色糸と、を含むテキスタイルであってもよい。また、テキスタイル100は、光学特性が変化可能な呈色テキスタイルと、入射した光からそれぞれ異なる波長の光を反射する構造により構造色を実現する構造色テキスタイルと、を含むテキスタイルであってもよい。
【0037】
なお、図7では、制御装置10と端末装置20とは、別装置である場合を示したが、制御装置10と端末装置20とが一体であってもよい。
【0038】
〔4.効果〕
上述してきたように、実施形態に係るテキスタイルは、光学特性が変化可能な呈色糸と、入射した光からそれぞれ異なる波長の光を反射する構造により構造色を実現する構造色糸と、を含むことを特徴とする。
【0039】
これにより、構造色の動的な制御が可能となるため、テキスタイルの意匠表現の拡張を可能とすることができる。例えば、カーテン、家具、照明のシェードなどへの効果的な実装を可能とすることができる。例えば、カーテンに実装されれば、カーテンの意匠が変化する。例えば、カーテンに表示されていなかった意匠が表示されるようにすること、カーテンに表示されていた意匠が表示されなくなるようにすること、カーテンに表示されていた意匠がより鮮明な色で表示されるようにすることができる。
【0040】
また、呈色糸の上部に構造色糸が重畳するように織り込むことで形成されたことを特徴とする。
【0041】
これにより、構造色の実現を可能とすることができる。
【0042】
また、電極が表面に露出した呈色層を呈色糸に含むことを特徴とする。
【0043】
これにより、電源の供給を簡単にすることができる。
【0044】
また、所定の閾値以上の面積が表面に露出した構造色層を構造色糸に含むことを特徴とする。
【0045】
これにより、構造色の実現を可能とすることができる。
【0046】
また、特定の波長のみ透過可能な基材を糸に含むことを特徴とする。
【0047】
これにより、耐久性を向上させることができる。
【0048】
また、電子ペーパー、ロイコ色素とヒーターとを合わせたもの、透過変化フィルム、有機EL、LED、オプティカルファイバー又はディフューザーを合わせたものを素材とする呈色層を呈色糸に含むことを特徴とする。
【0049】
これにより、意匠表現の拡張を可能とすることができる。
【0050】
また、制御装置10による制御によって光学特性が変化可能な呈色糸を含むことを特徴とする。
【0051】
これにより、意匠表現の制御を行うことができる。
【0052】
また、制御装置10による制御によって独立して制御可能な呈色糸を含むことを特徴とする。
【0053】
これにより、意匠表現の詳細な制御を行うことができる。
【0054】
また、短絡によって特定の領域のみが制御可能となる呈色糸を含むことを特徴とする。
【0055】
これにより、意匠表現の詳細な制御を行うことができる。
【0056】
また、制御装置10によって推定されたユーザの位置情報に基づくユーザの視野角に応じた制御装置10による制御によって光学特性が変化可能な呈色糸を含むことを特徴とする。
【0057】
これにより、ユーザの位置に応じた意匠表現の制御を行うことができる。
【0058】
また、制御装置10による制御によって意匠が変化することを特徴とする。
【0059】
これにより、テキスタイルの意匠表現の拡張を可能とすることができる。
【0060】
また、カーテン、家具又は照明のシェードに用いられることを特徴とする。
【0061】
これにより、カーテン、家具又は照明のシェードなどの柔らかく凹凸を有するテキスタイルの意匠表現の拡張を可能とすることができる。
【0062】
また、3PLY構造であることを特徴とする。
【0063】
これにより、柔らかく凹凸を有するテキスタイルの意匠表現の拡張を可能とすることができる。
【0064】
〔5.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0065】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0066】
また、上述してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0067】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 情報処理システム
10 制御装置
20 端末装置
100 テキスタイル
N ネットワーク
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学特性が変化可能な呈色糸と、
入射した光からそれぞれ異なる波長の光を反射する構造により構造色を実現する構造色糸と、
を含み、
前記呈色糸と前記構造色糸とが少なくとも1点において、前記構造色糸が閲覧方向に対して手前に配置されて交差し、
前記呈色糸と前記構造色糸の少なくともいずれか一方が、箔状である
ことを特徴とするテキスタイル。
【請求項2】
前記構造色糸は、前記箔状である
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項3】
前記構造色糸と前記呈色糸とは、前記箔状である
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項4】
前記呈色糸は、電圧を印加することにより前記光学特性が変化し、当該電圧を印加するための電極が表面に露出した呈色層を含
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項5】
前記構造色糸は、所定の閾値以上の面積が表面に露出した構造色層を含
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項6】
前記呈色糸及び前記構造色糸は、それぞれ特定の波長のみ透過可能な基材を含
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項7】
前記呈色糸は、電子ペーパー、ロイコ色素、透過変化フィルム、有機EL、LED、オプティカルファイバー又はディフューザーを合わせたものを素材とする呈色層を含
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項8】
前記呈色糸は、制御装置による制御によって光学特性が変化可能な呈を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項9】
制御装置により前記呈色糸の光学特性が制御可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項10】
短絡によって特定の領域のみで前記呈色糸の光学特性の制御可能とな
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項11】
制御装置によって推定されたユーザの位置情報に基づく当該ユーザの視野角に応じた当該制御装置による制御によって光学特性が変化可能な前記呈色糸を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項12】
制御装置による制御によって意匠が変化する
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項13】
カーテン、家具又は照明のシェードに用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【請求項14】
3PLY構造である
ことを特徴とする請求項1に記載のテキスタイル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5B
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6B
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6B
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6C
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6C