(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085201
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】三次元画像の中心線抽出プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20170101AFI20240619BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20240619BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240619BHJP
【FI】
G06T7/60 150Z
A61B5/055 380
G06T7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199601
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】522486760
【氏名又は名称】株式会社アイブイラボ
(71)【出願人】
【識別番号】522486771
【氏名又は名称】株式会社シムロン
(71)【出願人】
【識別番号】522486782
【氏名又は名称】栗原 好昭
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】米山 繁
(72)【発明者】
【氏名】福澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】栗原 好昭
【テーマコード(参考)】
4C096
5L096
【Fターム(参考)】
4C096AD14
4C096AD24
4C096DC22
5L096AA09
5L096BA06
5L096BA13
5L096FA70
(57)【要約】
【課題】対象物の三次元画像データから中心線を抽出して描画する。
【解決手段】対象物を表す全てのボクセルの内部に一定量の熱量を連続して出し続ける発熱源を設定し、外部のボクセルには、温度が零度で限りなく熱を吸収する吸熱源を設定する。ボクセル間で一定の温度差が保持された状態で定常状態になったときの、全ボクセルの温度を、有限要素法による三次元定常熱伝導解析により算出する。温度差を読み取って、周囲より温度の高いボクセル群を残して繋ぐ。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の処理をコンピュータにより実行する手段を備えた、対象物の三次元画像データから演算処理により中心線を抽出して描画するための中心線抽出装置。
(a) 対象物の輪郭形状を表す三次元画像を取得して、三次元画像全体が、画素に相当するボクセルで隙間無く満たされているものとする。
(b) 上記の全てのボクセルの内部に、もしくは規則的に分散配置された格子点に、単位時間あたり一定量の熱量を連続して出し続ける発熱源を設定する。
(c) 上記の発熱源の熱はボクセルの中心から全方向に向かって放出され得るものとする。
(d) 対象物の最も外側の面にあるボクセルと隣接している外部のボクセルは、温度が零度で限りなく熱を吸収する吸熱源とする。
(e) 発熱源を有するボクセルと吸熱源を有するボクセルの間、及び、発熱源を有するボクセルと発熱源を有する他のボクセルの間で熱交換が行われて、それぞれのボクセル間で一定の温度差が保持された状態で定常状態になったときの、全てのボクセルの温度を算出する。
(f) 上記の温度差を読み取って、周囲より温度の高いボクセル群を残す。
(g) 残存した周囲より温度の高いボクセル群を順番に接続して中心線を描画する。
【請求項2】
温度の低いボクセルから順番に削除する処理を繰り返して、周囲より温度の高いボクセル群を残すことを特徴とする請求項1に記載の中心線抽出装置。
【請求項3】
それぞれのボクセル間で一定の温度差が保持された状態で定常状態になったときの、全てのボクセルの温度を、熱拡散方程式により算出することを特徴とする請求項1または2に記載の中心線抽出装置。
【請求項4】
コンピュータを請求項1に記載の手段として機能させる中心線抽出用コンピュータプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータで読取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の三次元画像データから演算処理により中心線を抽出して描画するための、中心線抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、多孔質セラミック材料の内部に形成された連続細孔や、MRIで撮影をした人体内部の血管等は、曲がりくねっており太さも断面形状も不均一である。こうした対象物の状態を解析するために、これらの中心線を抽出して描画することが行われる。
【0003】
対象物を撮影して得られた三次元画像データから、コンピュータの演算処理により中心線を抽出するための、様々な演算処理技術が紹介されている(特許文献1~4)(非特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-269539号公報
【特許文献2】特許4675509号公報
【特許文献3】特許4688361号公報
【特許文献4】特許4748843号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ユークリッド距離変換を用いた三次元ディジタル画像の薄面化および細線化の逐次型アルゴリズ厶とその諸性質、電子情報通信学会論文誌 D-ll Vol. J79-D-II No.10 pp.1675-1685 1996年10月
【非特許文献2】細線化を用いた三次元ネットワーク構造のトポロジー解析、高分子論文集(Kobunshi Ronbunshu), Vol. 58, No.1,pp.13?21 (Jan., 2001)
【非特許文献3】「有限要素法による三次元定常熱伝導解析プログラム」中島研吾著・東京大学情報基盤センター
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような既存の手法で、特に、対象物の分岐点や対象物がループを描いているような部分で、抽出した中心線が乱れることがある。その場合、対象物の画像から普通に感じ取れるような中心線の自動抽出は困難だった。本発明はこうした問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
【0008】
<構成1>
下記の処理をコンピュータにより実行する手段を備えた、対象物の三次元画像データから演算処理により中心線を抽出して描画するための中心線抽出装置。
(a) 対象物の輪郭形状を表す三次元画像を取得して、三次元画像全体が、画素に相当するボクセルで隙間無く満たされているものとする。
(b) 上記の全てのボクセルの内部に、もしくは規則的に分散配置された格子点に、単位時間あたり一定量の熱量を連続して出し続ける発熱源を設定する。
(c) 上記の発熱源の熱はボクセルの中心から全方向に向かって放出され得るものとする。
(d) 対象物の最も外側の面にあるボクセルと隣接している外部のボクセルは、温度が零度で限りなく熱を吸収する吸熱源とする。
(e) 発熱源を有するボクセルと吸熱源を有するボクセルの間、及び、発熱源を有するボクセルと発熱源を有する他のボクセルの間で熱交換が行われて、それぞれのボクセル間で一定の温度差が保持された状態で定常状態になったときの、全てのボクセルの温度を算出する。
(f) 上記の温度差を読み取って、周囲より温度の高いボクセル群を残す。
(g) 残存した周囲より温度の高いボクセル群を順番に接続して中心線を描画する。
【0009】
<構成2>
温度の低いボクセルから順番に削除する処理を繰り返して、周囲より温度の高いボクセル群を残すことを特徴とする構成1に記載の中心線抽出装置。
【0010】
<構成3>
それぞれのボクセル間で一定の温度差が保持された状態で定常状態になったときの、全てのボクセルの温度を、熱拡散方程式により算出することを特徴とする構成1または2に記載の中心線抽出装置。
【0011】
<構成4>
コンピュータを構成1に記載の手段として機能させる中心線抽出用コンピュータプログラム。
【0012】
<構成5>
構成4に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータで読取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0013】
熱の拡散現象を利用した中心線の抽出演算をすると、長手方向に見て断面形状が複雑に変化するような対象物の中心線を抽出する場合に、外形の変化や凹凸が直ちに中心線の凹凸に影響し難い。熱流が中心線から外側に向かう方向ばかりではなく、中心線に沿う方向にも生じるために、中心線が自動的に平滑化される。
有限要素法を利用すると、得られる値は近似値であるが、隣接するボクセル相互の温度差(大小関係)が分ればよく、大量の全てのボクセルの温度を計算する場合であっても、コンピュータにより実用的な時間で計算結果を得ることができる
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図3は、対象物の外側の面にあるボクセルと隣接する外部のボクセルの説明図
【
図4】
図4(a)は外径の変化が少ない対象物の中心線抽出例説明図
図4(b)は本発明による外径が急激に変化する対象物の中心線抽出例説明図
図4(c)は既知の方法による対象物の中心線抽出例説明図
図4(d)は本発明による対象物の分岐部分の中心線抽出例説明図
【
図5】
図5は本発明の中心線抽出に使用した演算式の例説明図
【
図6】
図6は外形が急激に変化する場合で、(a)は既知の方法による計算例、(b)は本発明による計算例の説明図
【
図7】
図7は血管の途中に膨らみがある場合で、(a)は本発明による計算例、(b)は既知の方法による計算例の説明図
【
図9】
図9は有限体積法による計算手順の説明図(1)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例0016】
(解析対象物)
この抽出プログラムは、例えば、脳内の血管の三次元画像を対象にし、その中心線を抽出して描画するために使用される。このほかの対象物としては、断面形状が不均一な縄状体や筒状体を挙げることができる。多孔質セラミック製品の内部に形成された連続細孔なども、対象物として挙げることができる。いずれも、中心線を描画することによって、対象物の特性や経時変化などを解析することを可能にする。
【0017】
(ボクセル群から中心線上のボクセルの抽出)
ここでは、中心線を抽出するための対象物が脳内血管の場合で説明を進める。血管は筒状であるが、外形も断面形状も場所によって不特定で、長手方向に見てもその曲がりや外形変化が激しい。本発明では、まず、血管の輪郭形状を表す三次元画像を取得する。
図1には、この対象物10の画像例を示した。この画像データからその中心線16を抽出する処理を説明する。
【0018】
対象物10の三次元画像全体が、
図1に示すように、画素に相当するボクセル12で隙間無く満たされているものとする。
図1にはボクセル群の一部を抜き出して例示した。この空間全体はボクセル12で隙間無く満たされているが、それらの図示は省略した。ここで、例えば、対象物10の内部の全てのボクセル12の画素値を“1”に設定し、対象物10の外部のボクセルの画素値を”0”に設定する。
【0019】
次に、
図2に示すように、画素値が”1”の全てのボクセル12の内部に、単位時間あたり一定の、例えばQ(ジュール)の熱量を連続して出し続ける発熱源14を設定する。この熱はボクセル12の中心から全方向に向かって放出されるものとする。
【0020】
図3に示すように、対象物10の最も外側の面にあるボクセル12aと隣接している、対象物の外部のボクセル12bは、温度が零度で、限りなく熱を吸収する吸熱源とする。吸熱源と隣接しているので、発熱源14を有するボクセル12aは熱を発し続け、零度にごく近い温度で定常状態で安定する。
【0021】
即ち、一方のボクセル12aが限りなく熱を放出し、他方のボクセル12bが限りなく熱を吸収すると、両者が一定の温度差を保持した状態で定常状態になる。対象物10の内部で、発熱源14を有するボクセル12同士が互いに隣接している場合でも、一方のボクセルがいずれかの方向に熱を放出し続けていると、両者の間に一定の温度差が保持された状態でほぼ定常状態になる。
【0022】
なお、本発明で採用する有限要素法や有限体積法などの計算法は実用上無視できる程度の誤差を許容するものであって、定常状態というのも、実用上ほぼ安定している状態を示している。
【0023】
全てのボクセルが定常状態になっているときには、対象物10の中心線16に最も近いボクセルから外側に向かって温度勾配が生じる。対象物の内部に生じた温度勾配をたどることによって、中心線を抽出することができる。また、局所的に高温度を保持した部分を抽出してこれらの間に線を引くと、中心線を描画することができる。
【0024】
上記のように、全てのボクセルが定常状態になったときの、これらのボクセルの温度を算出する処理を、中心線のマッピング(Mapping)工程と呼ぶことにする。その後、温度の低いボクセルから順番に、その表示を削除して、周囲より温度の高いボクセル群を残す。この処理を、トリミング(Thinning)工程と呼ぶことにする。その後、トリミング(Thinning)工程で残存した、周囲より温度の高いボクセル群の間に順番に線を引いて接続し、中心線を描画する処理を、ライントレーシング(LineTracing)工程と呼ぶことにする。
【0025】
本発明では、この3種類の工程を順番にコンピュータにより実行させて、対象物の中心線を、ディスプレイ上に自動的に描画することができる。
【0026】
三次元画像中の全てのボクセルの位置関係は初期状態から変らない。全体として一定間隔の格子点上に配列された発熱源の温度を計算することになる。全てのボクセルの温度が定常状態になってから中心点の抽出をするから、この計算では時間の要素を考慮しなくてよい。
【0027】
本発明で求めているのは自然現象の解析ではなくて、模式的な計算の結果だけでよいから、熱伝導計算のためのパラメータを最小限にすることができ、単位も無視できるから、計算式を単純化することができる。従って、大量の全てのボクセルあるいは格子点の温度を計算する場合であっても、コンピュータにより実用的な時間で計算結果を得ることができる。
【0028】
(計算例)
Mapping工程の計算には、例えば、有限要素法による三次元定常熱伝導解析プログラム(中島研吾著・東京大学情報基盤センターで提供(非特許文献3))を利用することができる。
図5に、その演算式を示す。ボクセルがこの計算の要素に該当し、各要素の温度はこの演算式で表すことができる。
【0029】
三次元方向の流入出熱流と要素自身の発生する熱量の和が零であるというこの演算式は、定常状態であることを示している。全てのボクセルについて、この状態の温度を算出すればよい。コンピュータプログラムによる計算法もこの文献に紹介されている。境界条件を与えることによって、この文献の第3ページに示すような全ての要素(ボクセル)の温度分布を計算できる。有限要素法を利用すると、得られる値は近似値であるが、隣接するボクセル相互の温度差(大小関係)さえ分ればThinning工程が実行できる。
【0030】
このように、熱の拡散現象を利用した中心線の抽出演算をすると、長手方向に見て断面形状が複雑に変化するような対象物の中心線を抽出する場合に、外形の変化や凹凸が直ちに中心線の凹凸に影響し難い。熱流が中心線から外側に向かう方向ばかりではなく、中心線に沿う方向にも生じるために、中心線が自動的に平滑化されるためである。
【0031】
特に、血管が複数に分岐しているような、外形が複雑に変化している部分でも、温度勾配のみに着目して中心線を抽出して描画すればよく、滑らかな中心線を描画することができる。
【0032】
Thinning工程では、例えば、相対的に温度が低いボクセルの画素値を順番に”0”にする操作を繰り返していくと、対象物10の中心付近に画素値が”1”のボクセルが残る。例えば、この操作の過程で、外径の小さい部分の中心線付近のボクセルが早く出現し、外形が最も大きい部分のボクセルが最後に抽出される。これらを適当な間隔で接続すれば中心線を得ることができる。
【0033】
また、温度勾配が小さいと中心線上のボクセルを抽出し難いことがある。対象物の外形によっても温度勾配が顕著に表れにくいことがある。その場合には、Qの値を増減して最適値を見つけるとよい。
【0034】
以下、具体的な計算例により抽出された中心線の画像を示して、その効果を明らかにする。
【0035】
(中心線の抽出)
図4(a)に示す外径の変化が少ない筒状の対象物18では、定常状態で中心線16のボクセルを一挙にほぼ切れ目無く抽出することができる。一方、
図4(b)と(c)には、長手方向に見たときに外径が急激に変化するような対象物20の中心線抽出例を示した。
図4(b)は本発明によるもので、
図4(c)は既知の方法によるものの例である。
図4(d)は分岐部分の中心線抽出例を示す。
図5はこの抽出に使用した演算式の例を示す。
【0036】
本発明では、
図4(b)に示すように対象物20の外形の急激に変化する部分でも比較的滑らかに曲がる中心線16を抽出できる。既知の方法で抽出した場合には、
図4(c)に示すように、対象物20の外形の急激に変化する部分で、中心線16が不自然に曲がっている。
【0037】
本発明のように、温度勾配に着目して中心線を抽出すると、各中心線が緩やかな曲線で繋がる。熱源から全方向に放熱されるから、対象物のどの外壁面からも遠いところに自然に中心線が抽出出来る。一方、既知の方法では、最近接の外壁面との距離により中心線を抽出するので、外径が急激に変化するような対象物の場合には、
図4(c)に示したように中心線が大きく曲がってしまう。
【0038】
例えば、
図4(d)のような分岐部分では、外形が特定できないために既知の方法では中心線の候補が多数発生してしまう。一方、本発明では、図のように高温部分を繋いで、直感的にとらえられるような形状の中心線を抽出出来る。
【0039】
図6では、実際に本発明によるプログラムで演算処理をして抽出した中心線の画像を紹介する。
図6の計算では、断面積が大と小の2本の角柱24と26を断面から見て中心軸をシフトさせて非対称に接続したモデルを使用した。
【0040】
図6(a)は本発明により計算された温度分布をもとにして、中心線16を描画した結果である。破線は同じ温度の領域を結んだもので、等高線のように温度分布を明示した。図が煩雑になるので、高温度領域にはこの等高線の図示は省略した。
【0041】
図6(b)は(a)の段差に近い部分の拡大図である。中心線Aは比較のために外表面からの距離だけに基づいて得られた結果を示す。中心線16は本発明による温度勾配に基づいて描画した結果を示す。段差に近い部分では、段差の垂直壁面28から放熱される影響が大きくて、中心線Bはゆっくりなだらかにカーブしている。これに対して中心線Aは段差に近い部分で急激に折れ曲がる。これで、その計算能力の違いが良く分かる。
【0042】
上記の非特許文献3で紹介されている計算方法を使用すれば、対象物の三次元画像データ中に規則的に配列された全てのボクセルについて、定常状態での温度を計算することができる。
円管の断面積は=1.0である。この円管中に間隔がδx=0.004で5個の格子点があり、そこに熱源が配列されているものとする。左端の熱源と境界面(対象物の側壁)との距離は0.002とする。右端の熱源と境界面との距離も0.002とする。
境界条件は、図の左端が100.0、右端が200.0である。これは、例えば、図の円筒の左端の温度は100、右端の温度は200と条件設定をする意味である。拡散係数kは0.5とする。kは熱伝導率に相当する。生成量Sは1000.0とする。生成量Sは各ボクセルが保有する熱量で、全ての格子点で等しく一定の値である。
なお、実施例1では、対象物の三次元画像データ中に隙間無く存在する全てのボクセルについて、初期状態からほぼ定常状態に移行した後の、その定常状態での各ボクセルの温度を計算する説明をした。一方、実施例2では対象物中に一定の間隔で格子点を配列してそこに熱源を配置した計算例を説明した。
即ち、計算の対象になる全てのボクセルもしくは格子点が、三次元方向に等間隔で規則的に配列されており、互いに同等の関係で熱を伝えることができる状態であればよい。あわせて、使用するコンピュータの計算能力と許容される計算時間の長短に応じて適切な計算法を採用すればよい。
また、求められる中心線の描画に必要な解像度が、対象となる画像の解像度よりも低くてもよければ、例えば、一辺が5ボクセルの立方体の中心の1個のボクセルを代表ボクセルとして上記の描画を行っても良い。