(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085218
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240619BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20240619BHJP
B65B 51/26 20060101ALI20240619BHJP
B65H 26/04 20060101ALI20240619BHJP
B65H 27/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
B65B1/30 C
B65B51/26
B65H26/04
B65H27/00 A
B65H27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199625
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100204456
【弁理士】
【氏名又は名称】調 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【テーマコード(参考)】
3E094
3E118
3F104
3F105
4C047
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094BA07
3E094CA02
3E094DA08
3E094EA02
3E094FA12
3E094GA07
3E094GA23
3E094HA03
3E118AA07
3E118AB04
3E118AB07
3E118BA03
3E118BA10
3E118BB02
3E118BB08
3E118BB12
3E118BB20
3E118DA02
3E118EA02
3E118FA07
3F104AA01
3F104EA00
3F104JC06
3F104JC08
3F104JD12
3F105AA01
3F105AB07
3F105BA01
3F105CA13
4C047AA17
4C047AA18
4C047CC14
4C047CC15
4C047FF06
4C047JJ01
4C047JJ03
4C047JJ12
4C047JJ13
4C047JJ23
4C047JJ31
(57)【要約】
【課題】テンションを維持しながらも包装紙に過大な負荷をかけることなく搬送可能な包装装置の提供。
【解決手段】本発明の包装装置は、投入ホッパーから投入された薬剤を包装するための包装装置であって、2つ折りの包装帯の開口部から前記薬剤を前記包装帯に供給し、前記開口部をシールして当該包装帯を閉塞する包装装置において、前記包装帯の幅方向に延びた発熱体を有し、当該包装帯を加熱して融着させる縦シール部と、前記包装帯の長手方向に沿って延びた発熱体を有し包装帯の前記開口部を加熱して融着させる横シール部と、を有し、前記投入ホッパーは、前記包装帯が所定位置に到達したことを条件として前記包装帯の開口部に挿入され、前記縦シール部と前記横シール部との間にあって前記所定位置に位置する包装帯を、前記投入ホッパーの挿入時に挟持するための挟持部材と、を有し、前記挟持部材は、前記投入ホッパーの上下動の際に生じる前記包装帯のテンションの増大を打ち消す方向に移動可能にするための揺動機構を有することを特徴とする。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入ホッパーから投入された薬剤を包装するための包装装置であって、
2つ折りの包装帯の開口部から前記薬剤を前記包装帯に供給し、前記開口部をシールして当該包装帯を閉塞する包装装置において、
前記包装帯の幅方向に延びた発熱体を有し、当該包装帯を加熱して融着させる縦シール部と、前記包装帯の長手方向に沿って延びた発熱体を有し包装帯の前記開口部を加熱して融着させる横シール部と、を有し、
前記投入ホッパーは、前記包装帯が所定位置に到達したことを条件として前記包装帯の開口部に挿入され、
前記縦シール部と前記横シール部との間にあって前記所定位置に位置する包装帯を、前記投入ホッパーの挿入時に挟持するための挟持部材と、を有し、
前記挟持部材は、前記投入ホッパーの上下動の際に生じる前記包装帯のテンションの増大を打ち消す方向に移動可能にするための揺動機構を有することを特徴とする包装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の包装装置において、
前記揺動機構は、前記包装帯の搬送方向に沿って回転可能な従動コロであることを特徴とする包装装置。
【請求項3】
請求項1に記載の包装装置において、
前記揺動機構は、前記挟持部材の両側にそれぞれ設けられ、前記包装帯を挟むように配置されたことを特徴とする包装装置。
【請求項4】
請求項3に記載の包装装置において、
前記揺動機構は、前記包装帯の一方の側では表面が金属製のコロであり、
前記包装帯の他方の側では表面が弾性体で形成されたコロであることを特徴とする包装装置。
【請求項5】
請求項4に記載の包装装置において、
前記金属製のコロは、表面にローレット加工がなされたことを特徴とする包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薬剤を包装するための包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の長さ毎に区分された長尺の包装紙に粉体や個体を封入し、熱によってシールする包装装置が広く知られている(例えば特許文献1等参照)。
また、これらの包装装置に対して前述の薬剤を所定の数量ずつ排出するための錠剤排出装置や、散薬払出装置を加えて薬剤分包機として動作させる構成もまた知られている(例えば特許文献2~4等参照)。
さて、こうした包装装置においては、複数のローラに巻きかけられた包装紙にテンションをかけて搬送し、所定の位置でホッパー等によって薬剤を投入して封止する構成が一般的である。
【0003】
これらの包装装置において、例えば特許文献4のようにそもそもホッパーの上下動をせず、包装紙へ常時ホッパー先端が挟み込まれたタイプと、上下動可能なホッパーを包装紙に出し入れすることで薬剤を投入するタイプと、が知られている。
このうち、ホッパーを包装紙に出し入れする構成を用いた場合には、このような出し入れによって包装紙にテンションがかかり、包装紙のシール時の縒れやシワの原因となることもあるため、このようなテンションの増減を低減するような機構が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-51305号公報
【特許文献2】特開2014-188101号公報
【特許文献3】特開2004-168427号公報
【特許文献4】特許第3524680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる技術的課題を解決するためのものであり、テンションを維持して包装紙に過大な負荷をかけることなく搬送可能な包装装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装装置は、投入ホッパーから投入された薬剤を包装するための包装装置であって、2つ折りの包装帯の開口部から前記薬剤を前記包装帯に供給し、前記開口部をシールして当該包装帯を閉塞する包装装置において、前記包装帯の幅方向に延びた発熱体を有し、当該包装帯を加熱して融着させる縦シール部と、前記包装帯の長手方向に沿って延びた発熱体を有し包装帯の前記開口部を加熱して融着させる横シール部と、を有し、前記投入ホッパーは、前記包装帯が所定位置に到達したことを条件として前記包装帯の開口部に挿入され、前記縦シール部と前記横シール部との間にあって前記所定位置に位置する包装帯を、前記投入ホッパーの挿入時に挟持するための挟持部材と、を有し、前記挟持部材は、前記投入ホッパーの上下動の際に生じる前記包装帯のテンションの増大を打ち消す方向に移動可能にするための揺動機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このような包装装置によれば、包装紙に過負荷がかかって破損や搬送不良等の原因となるような問題が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の一例として、薬剤分包装置の外観を示した図である。
【
図2】
図1に示した薬剤分包装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示した錠剤処理部の構造を示した図である。
【
図4】
図1に示した錠剤処理部の内部構造を示した図である。
【
図5】
図1の散薬処理部のうち、散薬を分配する主要部を示す図である。
【
図6】
図5に示した振動フィーダーの駆動源及び構成の一例を示す図である。
【
図7】
図5に示した振動フィーダーのうち、移送部の構成の一例を示す図である。
【
図8】
図5に示した振動フィーダーと移送部の動作の一例を示す図である。
【
図9】配分円盤と振動フィーダーとの位置関係の一例を示す図である。
【
図10】散薬を下方へと移送するための掻き出し部を拡大した図である。
【
図11】薬剤分包装置の内部構造の一例を示す図である。
【
図12】
図1に示した包装装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図13】本実施形態における分包された薬剤の一例を示す図である。
【
図15】
図14に示した縦シール部の特徴部分の構成の一例を示す図である。
【
図16】縦シール部においてシールされた分包紙の模式図である。
【
図17】
図15に示したミシン目刃保持部の構成の一例を示す図である。
【
図18】本実施形態における投入ホッパーの構成の一例を示す図である。
【
図19】本実施形態における投入ホッパーの挿入時の動作の一例を示す図である。
【
図20】本実施形態の比較例として揺動機構の構成の一例を示す図である。
【
図22】本実施形態による揺動機構の動作の一例を示す図である。
【
図23】本実施形態による揺動機構の構成の一例を示す図である。
【
図24】他の実施形態による揺動機構の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の散薬分包装置の一例である具体的な形態を、図に沿って説明する。
図においては、簡略化のため、ボルト等の締結具や、電動モータ等の駆動源、ギヤ等の伝動部材、モータドライバ等の電気回路、コントローラ等の電子回路の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示する。
また、
図1に示すように、薬剤分包装置100の操作者Pの立つ正面側から見たときに、便宜上左から右へ向かう方向をX方向、手前側から奥側に向かう方向をY方向、下から上へ向かう方向をZ方向として示している。
【0010】
まず、本発明の薬剤分包装置100について、外観図及び内部構成図を
図1、
図2に示す。
薬剤分包装置100は、
図1に示すように、筐体101の上部に位置し操作者Pが手動で錠剤等の薬剤を投入して分包に供するための手撒き部である錠剤処理部110と、手撒き部10に配置された薬剤を下部にある後述の包装装置130へと導くための搬送部12と、を備えた錠剤処理部110と、操作者Pが1処方分を秤量した散薬等の薬剤を投入して、処方箋で指示された所定の分量に分配するための配分円盤20を備えた散薬処理部120と、これら錠剤処理部110や散薬処理部120から送られてきた錠剤・散薬を含む薬剤を包装紙によって個包装するための包装装置130と、を有する分包装置であり、散薬分包装置あるいは錠剤分包装置としても機能する。
【0011】
なお、本実施形態では、錠剤処理部110と、散薬処理部120と、包装装置130と、を一体的に含む構成について述べるが、薬剤分包装置100は、他にも錠剤を保管するとともに1つずつ錠剤落下経路11へと送り出すための錠剤カセットを有している構成であっても良く、また同様に、散薬を保管するための薬剤カセットや保管棚を有する構成であっても良い。
また、薬剤分包装置100は、本実施形態においては、後述する制御部における各機能を制御するためのアプリケーション等がインストールされた制御部140を有している。
【0012】
錠剤処理部110は、
図3に示すように、薬剤分包装置100の最上部に設けられており、引き出し可能なトレイ111と、トレイ111よりも下方においてトレイ111に投入された錠剤を搬送して薬剤分包装置100の下部へと移送するコンベア112と、トレイ111を介さずに錠剤を投入可能な錠剤投入口114と、を有している。
トレイ111は、筐体101から筐体101から操作者Pの手前側に引き出し可能であって、複数に分割された各区画111aにそれぞれ錠剤を手撒きして、トレイ111を再度内部に装着することで、各区画111aの床面が開いて下部の搬送部12へと誘導可能になっている。
搬送部12は、どのような構成であっても良いが、例えば
図4に示すように、複数の薬剤容器113と、当該薬剤容器113を動かすローラとベルトとによって構成されたコンベア112と、を備えた構造の搬送部として知られている。
【0013】
このように搬送部12によって搬送された錠剤は、後述する錠剤合流部60において、散薬と合流して、包装装置130にあって図示しない投入ホッパー70へと移動し、分包処理がなされることとなる。
【0014】
次に散薬処理部120は、
図5に示すように円環状の配分円盤20と、配分円盤20の操作者側に2つ取り付けられた収容部であるホッパー21と、それぞれのホッパー21の下方に配置されて、ホッパー21に投入された散薬の移送部となるトラフ22と、ホッパー21とトラフ22とに隣接してトラフ22の移送方向と平行に配置されたフィーダー駆動部40と、を有している。
【0015】
散薬処理部120はまた、配分円盤20において、トラフ22よりも回転方向下流側に、掻き出し部50を有している。ここでは配分円盤20を上方から見たとき、回転方向を左回りであるとして説明するが、かかる構成に限定されるものではない。
本実施形態においては、ホッパー21とトラフ22は対となって複数が平行に配置されており、掻き出し部50はこのようなホッパー21とトラフ22の最も下流側に位置する。掻き出し部50は、後述するように配分円盤20上に載置された散薬を、錠剤合流部60に向けて掻き出すように動作する。
【0016】
散薬処理部120は、スライドして引き出し可能に筐体101内部に保持されている。
かかる構成によれば、薬剤分包装置100の筐体101から散薬処理部120を引き出すことで、清掃性の向上に寄与する。
【0017】
ホッパー21とトラフ22とは、フィーダー駆動部40によって後述のように振動動作することで、ホッパー21内部に投入された散薬をトラフ22を介して配分円盤20へと移送する振動フィーダーとして動作する。
【0018】
ホッパー21は、
図5、
図6に示すように、フィーダー駆動部40からホッパー保持枠41によって支持され、その側面は下方に向かって先細るようにテーパー形状となっており、投入された散薬を最下方の開口部23からトラフ22へと投入する。ホッパー21の外側側面には、外側に向かって突出した三角形の突出部21aが設けられており、ホッパー保持枠41とかかる突出部21aとが引っかかることで支持される。
トラフ22は、
図6、
図7に示すように、フィーダー駆動部40から振動部42によって支持され、後端側である操作者側から前端側である配分円盤20側に向かって緩やかに傾斜するとともに、その先端部には、散薬が配分円盤20の央部に落下するように設けられた散薬切り出し部24と、散薬切り出し部24へ向かって先細るようにかつ傾斜度が高くなるように形成された斜面部25と、を有している。
【0019】
振動部42は、フィーダー駆動部40によって振動可能な振動板であって、フィーダー駆動部40からの信号に従って細かく振動することによって、上方に載置されたトラフ22を振動させてトラフ22の延びた方向、すなわち本実施形態ではY方向へと散薬を移送する。
【0020】
ホッパー保持枠41は、円筒状のパイプで形成され、ホッパー21のY方向側の前端側が開いた矩形の枠体であって、ホッパー21の突出部21aを下方から支持する。ホッパー保持枠41は、
図8に示すように、ホッパー保持枠41が後端側を中心に上下方向に回動することで、ホッパー21を回転軸O1を中心として弧状に上下動させることができる。
図8に示すように、ホッパー保持枠41がホッパー21を上方に持ち上げるように動作させることによって、開口部23とトラフ22との間に生じている隙間が増大して、ホッパー21に収容された散薬が効率よく下方のトラフ22へと排出される。
それと同時に、トラフ22は振動部42によって振動しているので、トラフ22上に排出された散薬は、壁面に沿って斜面部25と散薬切り出し部24とを経由して配分円盤20へと落下する。
【0021】
散薬切り出し部24は、トラフ22の幅方向の中央部に形成された凹部であって、移送方向の終端に向けて散薬が収斂するように両側面が移送方向に進むにつれて窄まる狭隘部である。散薬切り出し部24は、配分円盤20の円環央部において窪んだ凹部、最も好ましくは
図5に破線で示した凹部の最低部20aの直上に位置するように配置されており、かかる構成により、トラフ22を移送された散薬は、配分円盤20の円環の央部へと落下する。このとき、振動部42の振動の制御によって、散薬切り出し部24から落下する散薬の量は調整が可能である。通常は、
図9に示すように散薬切り出し部24から所定量ずつ散薬が落下するようになっている。
従って、配分円盤20を所定の速度で一周以上回転させることで、配分円盤20上には散薬の山が一様に分布した形で散布される。
【0022】
さて、このようにして配分円盤20の円環の央部である最低部20aに落ちる散薬は、配分円盤20の回転と、振動部42の振動とによって、配分円盤20の円環上に均一に散布される。
配分円盤20上に均一に散薬が散布されると、制御部140は、配分円盤20を所定の角度毎に回動させる。具体的には360°を1処方分としたとき、10包に分割するのであれば36°毎回転させることで、1包分に適切な量だけ掻き出し部50の近傍に集められ、掻き出し部50によって投入ホッパー70へと投入される。
【0023】
掻き出し部50は、
図10に示すように配分円盤20に周縁部が当接するように配置された円板上のディスク51と、ディスク51に取り付けられて回動することで配分円盤20上であってディスク51によって堰き止められた1包分の散薬を掬い取って掻き出すスクレーパー52と、を有している。
掻き出し部50はまた、レバー53によってZ方向に上下動可能に支持されており、ディスク51が配分円盤20と当接した状態と、配分円盤20から離間して上方に取り外された状態とに切り替えることもできる。このように上下動可能な構成とすることで、操作者Pは、1処方分の分包が終わった配分円盤20の清掃を容易に行うことができる。
【0024】
錠剤合流部60は、
図11に断面を概略化して示すように、錠剤処理部110から搬送部12を介して落下してきた錠剤と、散薬処理部120において1包ずつの量に切り出された散薬と、をそれぞれ別個の経路から、共通する落下経路となる投入ホッパー70へと誘導するための合流部である。
錠剤合流部60は、筐体101内を操作者側に向かって手前方向に斜めに傾斜して延びた錠剤落下経路61と、錠剤落下経路61の落下口を塞ぐように配置された蓋部であって、回転軸O2を中心に回動することで錠剤落下経路61の落下口を開閉するための閉鎖部材62と、を有している。
錠剤合流部60は、閉鎖部材62と一体に構成されて、押圧されることで閉鎖部材62を開く方向に移動させるために錠剤落下経路61の裏側に延びた腕部63と、腕部63に当接して腕部63を前方へと押し込むことで閉鎖部材62を回動させて錠剤落下経路61の落下口を開くための押圧部64と、閉鎖部材62の上方にあって落下口を閉じる方向に向けて閉鎖部材62を付勢する付勢部材69と、を有している。
【0025】
押圧部64の筐体101の奥側には、駆動部たる押圧部64用の駆動源である駆動源65が設けられている。押圧部64は、駆動源65によって前方に駆動されることで、押圧部64の先端が腕部63に当接して、閉鎖部材62を押し出すようにして動作する。
かかる動作によって、押圧部64による力が付勢部材69による付勢力を上回ると、閉鎖部材62が開状態となることで錠剤落下経路61の落下口が開放されて、錠剤落下経路61の下端において閉じ込められていた錠剤が、投入ホッパー70へと落下する。
他方、押圧部64は常に後方に向けて引き戻すように付勢されているので、駆動源65への信号がなくなったときには付勢部材69によって閉鎖部材62が錠剤落下経路61の落下口を塞ぐ位置に戻ることとなる。
【0026】
錠剤落下経路61の下端である閉鎖部材62及び散薬落下口の周囲には、飛散防止部材である囲い部材80が、上方へと立ち上がって散薬落下口を囲むように形成されている。囲い部材80は、投入ホッパー70の上方において、スクレーパー52によって掻き出された散薬が投入ホッパー70に落下する際の飛散を抑止する機能を有している。
なお、囲い部材80は、その形状は図示した構成に限定されるものではなく、種々の形状を取っても良いし、左右あるいは手前等に倒れ込むように取り回し可能なものであっても良い。
【0027】
錠剤合流部60は、初期状態である待機状態においては、閉鎖部材62を閉じた状態で維持しており、錠剤処理部110から錠剤が排出されてきたときには、排出された錠剤は、錠剤落下経路61の終端で閉鎖部材62によって堰き止められる。
錠剤合流部60がかかる錠剤を排出する際には、既に述べたように駆動源65を動作させて、閉鎖部材62を回動させて、錠剤を投入ホッパー70へと落下させる。
なお、このような錠剤の排出と、既に述べたスクレーパー52による散薬の掻き出しとは、基本的には同時に行われることはなく、閉鎖部材62が閉じている時には散薬の排出が行われ、閉鎖部材62が開放されている時には錠剤の排出が行われる。
このような制御は、例えば制御部140によって、スクレーパー52による散薬の掻き出しが終了し、包装装置130によって所定の分包が終了した後に駆動源65を駆動させるように制御を行うことで行われる。あるいは、スクレーパー52による掻き出しと、錠剤排出とを交互に行っても良いが、閉鎖部材62の開動作中に散薬が掻き出されると、錠剤落下経路61と閉鎖部材62との間に散薬が付着する等の虞が生じる他、所謂コンタミ等の懸念も大きくなるため、望ましくはない。
【0028】
さて、このようにして投入ホッパー70へと落下した錠剤あるいは散薬は、
図12に示すような包装装置130によって分包紙131に分包される。
包装装置130は、分包紙131の送り経路に沿って順に、分包紙131のロールを保持するとともに適度なテンションを付与して先端から順に送り出す包装帯給送部132と、分包紙131に印刷を行うプリンタ133と、分包紙131の幅方向すなわち本実施形態においては上下方向に延びた発熱体を有し、分包紙131のシール部131aを加熱して融着させる縦シール部134と、上下動して2つ折りされた分包紙131内に先端を挿抜する投入ホッパー70と、横方向に延びた発熱体を有し分包紙131を加熱して融着させる横シール部135と、分包紙131を引っ張るローラ部136と、分包紙131にミシン目を入れたり切断したりするカッター137とが設けられている。
【0029】
分包紙131は、かかる構成により
図13に示すように、所定の長さの区画に錠剤や散薬等の薬剤を封入されるとともに、網掛けで示されたシール部131aが熱によって融着された状態で、ある程度の長さで連なり下流の排出口139へと排出される。
分包紙131は、上端が開放された状態で2つ折りに包装帯給送部132から引き出されている。ここで包装帯給送部132は、例えばロール状に巻き上げられた分包紙131をリール状に送り出す包装帯保持部である。
包装帯給送部132から送り出された分包紙131は、プリンタ133によって印字され、投入ホッパー70の下部へと移動し、縦シール部134によって搬送方向の前方及び後方が封じられた後、投入ホッパー70によって薬剤を投入され、上方を封じられてカッター137によって切り取りあるいはミシン目等が入れられて排出される。
【0030】
錠剤合流部60で示したように、投入ホッパー70には、錠剤あるいは散薬の何れか1包分の分量が落ちてくるから、分包紙131の個々の内部には、1包分の薬剤が封入されることとなる。なお、
図13においては、錠剤の入った例を挙げたが、散薬等の粉剤においても同様に、熱融着した個々の区画に散薬が封入されることとなる。
【0031】
投入ホッパー70において薬剤が分包紙131に投入されたことを検知すると、横シール部135が分包紙131の上部を封止し、ローラ部136が分包紙131を所定量だけ引き込むことで、分包紙131は1包分の長さだけ搬送される。
このような動作を繰り返し行うことで、分包紙131には、それぞれの区画に1包分の薬剤が封入された1連の薬袋として、排出口139へと搬送される。
【0032】
薬剤分包装置100は、上述のような各部の構成により、錠剤あるいは散薬等の薬剤を、分包紙131に1包分に個包装することができる分包装置である。
なお、包装装置130の構成は、本実施形態では分包紙131を横方向に搬送する形式についてのみ述べるが、その他、分包紙を所定の幅で区切って、区切られた室内に薬剤を封入可能な包装機であればどのような構成であっても良く、かかる構成に限定されるものではない。
【0033】
このような包装装置の構成について
図14を用いて説明する。
本実施形態では、分包紙131は、2つ折りにされた状態でロール状になって包装帯給送部132に保持されている。
分包紙131は、包装帯給送部132から複数のローラ159に巻きかけられた状態で既に述べたようにプリンタ133、縦シール部134、投入ホッパー70、横シール部135、ローラ部136を経て排出口139へと排出される。
分包紙131は、静止時にはテンションが一定の状態で保持されており、駆動源が取り付けられているローラ部136が所定の距離、例えば1包分の長さ80mm分だけ回転して分包紙131を引っ張りだすことで、分包紙131のロール状の部分が回転して包装帯給送部132から同じ長さ分だけ引き出される。
【0034】
このようなローラ部136が引き込んだ際に生じるテンションを打ち消すために、包装帯給送部132の出口近傍には、搬送経路を短縮することで分包紙131にかかる負荷を低減するテンション調整機構150が設けられている。
【0035】
テンション調整機構150は、例えば所定の強さ以上のテンションがかかった時に巻きかけられたローラが移動してテンションを緩和する構造であっても良いし、ローラ部136が引き込んだ際に包装帯給送部132を回転させてテンションの増大を緩和するものであっても良い。
【0036】
縦シール部134は、分包紙131の幅方向、本実施形態ではZ方向に伸びた発熱体である縦シールヒータ1341と、分包紙131を挟んで反対側に縦シールヒータ1341に対向して配置された縦シールヒータ対向板1342と、を有している。
縦シールヒータ1341側には、
図15に示すように、縦シールヒータ対向板1342の側に向かって押圧するための加圧部1343が設けられている。
加圧部1343が縦シールヒータ1341を突き出すようにして縦シールヒータ対向板1342に向かって押し当てることで、間に通されている分包紙131が挟まれた状態で加熱され、溶融することで2つ折りの分包紙131が閉じられて融着される。
ローラ部136が引き込んだ際には、閉じられた部分は搬送方向に向かって1包分の長さだけ移動するから、加圧部1343が縦シールヒータ1341を押圧し、押圧を解除した後にローラ部136が分包紙131を引き込むと、2つ折りにされた分包紙131は、1包分の長さ毎に幅方向に融着部分であるシール部131aが形成されることとなる。
【0037】
縦シール部134を通過した時点では、このような融着部分は、
図16にシール部131aとして例示するように縦方向だけに形成される。したがって搬送方向に対する上端部分、すなわち+Z方向側の端部は開口部131bとして開放された状態で搬送されている。
【0038】
また、必要な場合には、かかる縦シール部134において、例えば縦シールヒータ対向板1342側に、ミシン目刃保持部160を設けても良い。
ミシン目刃保持部160は、例えば
図17に示すように、縦シールヒータ対向板1342と押圧スプリング161を介して接続されるとともに、押圧スプリング161の中軸162を介してミシン目刃の切断部を構成する突出部としての三角刃1344を保持する。
三角刃1344は、縦シールヒータ対向板1342の内側に対向するように設けられており、縦シールヒータ対向板1342上にスリット状に形成された開口孔1345を通過可能な幅に長手方向に断続的に複数設けられている。なお、
図17に示した三角刃1344の間隔及びサイズは、かかる構成をわかりやすく図示したものに過ぎず、実際にはミシン目を形成できる程度に細かな三角刃1344が断続的に多数形成されている態様で取り付けられている。
このような構造とすれば、加圧部1343による押圧時に縦シールヒータ対向板1342が-Y方向に後退することを利用して、シール部131aにおいて融着させながら分包紙131に穴を開けることができるので、シール部131aに三角刃1344の間隔と等しいミシン目を形成することができる。
なお、ミシン目をシール部131aにて形成する方法はいくつも既知の方法が考えられており、かかる構成に限定されるものではなく、その他の構成によるミシン目の形成を行っても構わない。
【0039】
また、本実施形態においては、三角刃1344のうちの1つについて、分包紙131の幅方向に刃があるとともに、長手方向にも刃がある十字刃1347を設けるとしても良い。かかる十字刃1347を設けることによれば、
図16で示したように形成されるミシン目に加えて、ミシン目と直交するように分包紙131の長手方向に切れ込みが入った状態でシール部131aが形成される。
かかる分包紙131の長手方向に形成された切れ込みによって、一包に個包装された薬剤を取り出すときには、まずミシン目部分を切り離した後、この切れ込み部分を手でちぎることにより容易に開封することが可能となる。
また、このような十字刃1347を設ける際には、十字刃1347に対向する開口孔1345の位置に、
図17に示すような膨出部として円形開口部1346を設けることがより好ましい。
【0040】
さて、本実施形態ではこのように縦方向には縦シール部134が融着した状態で搬送される。すなわち上部が開放されて前後端が融着された状態で、投入ホッパー70の下部まで移送されることとなる。
このような場合には、投入ホッパー70が常時同じ場所に位置したのでは、分包紙131の横方向の移動に際して投入ホッパー70の先端部72がシール部131aに引っかかってしまい、上手く搬送ができない。
【0041】
そこで本実施形態では、
図18に示すように、投入ホッパー70は、先端部72をシール部131aにかからない程度に+Z方向に上昇させた状態でローラ部136が分包紙131を引き込み、投入ホッパー70の真下にシール部131aで区切られた区画が位置したときに、
図19に示すように薬剤を排出するために投入ホッパー70を下方へと移動させる。
すなわち、本実施形態では、ローラ部136が分包紙131を引き込み、前後端を溶着された所定の区画が所定位置に到達したことを条件として、2つ折りにされた分包紙131の上部に開いた開口部131bに投入ホッパー70が挿入される。
【0042】
投入ホッパー70は、先端部72から上方に向けてY方向に広がった形状をしており、かかる膨らみ部分の間から散薬投入口71から落下してきた散薬や、錠剤合流部60から落とされた錠剤等の薬剤を分包紙131の区画内へと投入する。
したがって、開口部131bに投入ホッパー70の先端部72よりも上方が挿入されると、分包紙131の2重になった部分は、間に投入ホッパー70の一部が入ることでY方向に互いに広がるように動作し、分包紙131にかかるテンションが増大する。
このように2つ折りの分包紙131がY方向に押し広げられるときには、投入ホッパー70が2つ折りの分包紙131の厚み方向の中心部に綺麗に位置するように配置されていたとしても、広がったことによって撓みが発生、あるいは+Y方向側の面と-Y方向側の面とで位置がずれてしまう等のことは生じ得る。
【0043】
一方、投入ホッパー70の挿入によって生じるこのような撓みや、テンションの増大する量は、せいぜいが投入ホッパー70のY方向への膨らみの距離程度のものでしかないため、ローラ部136の引き込み動作によって生じるテンションの増大と比べると微小なものである。
しかしながら、微小なずれとはいえ開口部131bにおいて生じると、後述する横シール部135によるシール時に、撓みなどが生じたまま溶着されてしまい、分包紙131の密閉性の低下につながることもあるため、挿入時のずれを最小化するような技術が求められている。
【0044】
投入ホッパー70の挿入による撓みや位置ずれを防ぐには、例えば投入ホッパー70の搬送方向両側で分包紙131を押さえてしまうのが良いが、単に押さえるだけでは、撓みなどの原因であるテンションの増大によって過負荷がかかって分包紙131が破損する場合も考えられる。
そこで、
図20に示すように、分包紙131を挟持した後に投入ホッパー70が挿入されたとき、分包紙131の引っ張られたことに追従して軸回転するように、挟持部710を設ける方法が考えられる。
挟持部710は、駆動回転軸O’を中心に回動するように設けられており、Y方向に移動する挟持板711と、挟持板711と対向して設けられた平板上の挟持対向板712とによって分包紙131の両側を挟持する。
【0045】
挟持部710の動作について述べる。挟持部710は、
図21(a)に示すような初期状態から、
図21(b)に示すように挟持板711が移動することで分包紙131を挟持した状態で停止する。
図21(b)のような挟持状態から、分包紙131が、投入ホッパー70の挿入によって+X方向側に引き込まれると、
図21(c)のように分包紙131が両側に押し広げられて引っ張られた力に応じて駆動回転軸O’が図中左回りに回転することで、2つ折りの分包紙131の間のずれを少なくしたまま、追従して移動する。
【0046】
このように分包紙131が引っ張られたことに追従して移動するような構成により、揺動機構としても動作するような挟持部710を設けることは可能ではある。
しかしながら移動方向が駆動回転軸O’を中心とする円弧上になってしまうために、駆動回転軸O’の回転範囲をある程度の可動範囲で制限するためのZY方向に伸びた規制板713を設け、あるいは引っ張りが解消されたときに初期位置に戻るための付勢部材を設ける等、構成としては複雑になりがちである。
【0047】
そこで、本実施形態では、より簡易な構成でこうした揺動機構を実現するべく、
図22に示すように投入ホッパー70よりも分包紙131の搬送方向上流側に、分包紙131を挟持可能なように互いに分包紙131を挟んで配置された一対の挟持部材として、第1挟持コロ73と、第2挟持コロ74と、を有している。
第1挟持コロ73は、Z方向の軸に沿って従動して回転可能な表面がシリコンゴムで覆われたコロであって、±Y方向に移動可能に設置されている。第1挟持コロ73は、例えばステンレス製のコロの表面にシリコンゴムを取り付けたものであっても良い。
【0048】
また、第2挟持コロ74は、Z方向の軸に沿って従動して回転可能なステンレス製のコロであり、表面には分包紙131との摩擦を大きくするためにローレット加工が施されている。
【0049】
第1挟持コロ73は、ローラ部136の引き込みが行われる前には分包紙131と離間した位置で待機しており、ローラ部136の引き込みが終わってから、投入ホッパー70が挿入されるよりも前の何れかのタイミングにおいて+Y方向に移動して、分包紙131を第2挟持コロ74とともに挟持するように制御されている。
すなわち、投入ホッパー70が挿入されるときには、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とがニップ部を形成するように何れも分包紙131に対して±Y方向の両側に当接した状態で位置しており、かかる挟持状態で投入ホッパー70が開口部131bに挿入される。
【0050】
このとき、
図22(b)、
図22(c)に示すように、金属製の第2挟持コロ74に対して、シリコンゴムで覆われた第1挟持コロ73が押圧するように分包紙131を挟持するとともに、かかる2つのコロによって生じるニップ部は、分包紙131が搬送方向に移動したときに何れも搬送方向に向かって回転可能である。
このような回転によれば、投入ホッパー70の挿入によって生じる分包紙131のX方向への引張力を打ち消すように第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが回転することで、分包紙131がテンションの増大を打ち消すように移動する。
【0051】
すなわち、かかる第1挟持コロ73と、第2挟持コロ74とは、投入ホッパー70の挿入時に挟持するための挟持部材であるとともに、一対で投入ホッパー70の挿入によって生じたテンションの増大を打ち消すように動作する揺動機構としても機能する。
また、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とは互いに分包紙131を挟んで対向して設けられており、ニップを形成しているので、回転によって生じる片方の移動距離はもう片方の移動距離と等しくなる。つまり2枚重ねになっている分包紙131の-Y側の1枚と、+Y側の1枚との移動距離が等しくなり、これら2つ折りにした分包紙131が互いにずれてしまうようなことをも防ぐことができるから、搬送方向下流側の横シール部135においても縒りや撓みなどのずれを生じることなくシールすることができる。
このような第1挟持コロ73と、第2挟持コロ74とによって、2つ折りにした分包紙131に投入ホッパー70が挿入されたときに生じるテンションの増大を解消することができるので、テンションを維持して分包紙131に過大な負荷をかけることなく搬送可能である。
【0052】
ここで、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが何れも従動回転するコロであるので、かかる第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とで分包紙131を挟持しておけば、分包紙131が搬送方法である-X方向に引っ張られたときには第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが従動して分包紙131が送り出される。
このように挟持部710のように駆動回転軸も規制板も必要としない、シンプルな構成で投入ホッパー70の挿入時の分包紙131の位置ずれを防止することができる。
【0053】
このような第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とによれば、挟持部材として分包紙131を両側から挟んだときに、分包紙131は±Z方向や±Y方向には動きを規制されながらも、搬送方向であるX方向には固定してしまうことがない。
したがって、かかる構成によれば、投入ホッパー70を分包紙131に挿入したときにも、分包紙131が
図22(c)に示したように搬送方向に移動することで、投入ホッパー70の挿入によるテンションの増大を抑制するので、テンションを維持して分包紙131に過大な負荷をかけることなく搬送可能である。
【0054】
投入ホッパー70が挿入され、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが従動回転して分包紙131が拡がり、分包紙131の縦シールされた区画に上方の開口部131bから薬剤が投入されると、投入ホッパー70は再度上昇するとともに、第1挟持コロ73も-Y方向へと移動して分包紙131の挟持状態が外れた後、ローラ部136が分包紙131を搬送方向下流へ向かって引き込むように回転する。
このように投入ホッパー70を分包紙131から抜き取るときには、分包紙131は抜き取った分だけ緩んでいることとなるが、ローラ部136の引き込み量は、既に述べたように1包分の長さ80mm分であり、投入ホッパー70の挿抜によって生じる僅かな撓みよりも大きいので、結果として分包紙131は初期のテンションを保った状態で搬送される。
【0055】
また、投入ホッパー70の下には、かかる1包分の引き込み搬送によってシール部131aで区切られた区画が位置することとなるので、以下同様の操作を繰り返すことによって、分包紙131のテンションを維持したまま区画内に薬剤が次々と投入される。
【0056】
本発明の挟持部材の第2の実施例として、
図24に、第1挟持板75と、第2挟持板76と、を有する構成について示す。
第1挟持板75と、第2挟持板76とは、第1の実施例で述べた構成と同様に、投入ホッパー70よりも搬送方向上流側において、分包紙131を両側から挟むように位置している。
第1挟持板75は、分包紙131の-Y方向側に配置された平板状の部材であって、その中腹にコロの円筒側面が位置するように第1の実施例で述べた構成と同様の第1挟持コロ73が配置されている。
第2挟持板76は、分包紙131の+Y方向側に配置された平板状の部材であって、その中腹にはコロの円筒側面が位置するように第1の実施例で述べた構成と同様の第2挟持コロ74が配置されている。
【0057】
かかる第1挟持板75と第2挟持板76とは、何れも分包紙131の両側に配置されて、投入ホッパー70が開口部131bに挿入される時には、第1挟持板75が+Y方向へと移動して分包紙131を挟持する。
このように、第1挟持板75と第2挟持板76とは、縦シール部134と横シール部135との間にあって所定位置に位置する分包紙131を、投入ホッパー70の挿入時に挟持するための挟持部材である。
また本実施形態、第1挟持板75と第2挟持板76の両側にそれぞれ設けられ、分包紙131を挟むように配置された第1挟持コロ73と、第2挟持コロ74とを有し、かかる第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが揺動機構として機能する。
【0058】
本実施形態においても第1の実施例と同様に、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とは、互いに分包紙131を挟んで対面に配置されており、投入ホッパー70が挿入されるときには第1挟持板75が+Y方向に移動して、分包紙131を挟持した態様で保持している。
このとき、分包紙131は第1挟持板75と第2挟持板76とによって挟持されつつも、突出した第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とによってニップされた部分はローラ部136の引き込みに従動して回転するので、過剰にテンションが増大したときには、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが搬送方向下流側に向かって送るように回動するから、テンションの過負荷を抑制する効果がある。
このように、第1の実施例で述べたような第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とが挟持部材を兼ねる構成であっても良いし、別途挟持部材である第1挟持板75と第2挟持板76とを設け、挟持部材のそれぞれに従動コロを設けるような構成であっても良い。
【0059】
<1>
本実施形態では、包装装置130は投入ホッパー70から投入された薬剤を包装するための包装装置130であって、2つ折りの分包紙131の開口部131bから薬剤を分包紙131に供給し、開口部をシールして当該分包紙131を閉塞する包装装置である。
包装装置130は、分包紙131の幅方向に延びた縦シールヒータ1341を有し、分包紙131を加熱して融着させる縦シール部134と、分包紙131の長手方向に沿って延びた横シールヒータを有し分包紙131の開口部131bを加熱して融着させる横シール部135と、を有している。
また、投入ホッパー70は、分包紙131が所定位置に到達したことを条件として分包紙131の開口部131bに挿入され、縦シール部134と横シール部135との間にあって所定位置に位置する分包紙131を、投入ホッパー70の挿入時に挟持するための挟持部材として第1挟持コロ73と第2挟持コロ74と、を有している。
第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とは、投入ホッパー70の上下動の際に生じる分包紙131のテンションの増大を打ち消す方向に移動可能にするための揺動機構として機能する。
かかる構成によれば、テンションを維持して分包紙131に過大な負荷をかけることなく搬送可能である。
【0060】
<2>
また本実施形態では、<1>で述べた構成に加えて、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とは、分包紙131の搬送方向に沿って回転可能な従動コロである。
かかる構成によれば、揺動のために複雑な構成を要することなくテンションを維持して分包紙131に過大な負荷をかけることなく搬送可能である。
【0061】
<3>
また本実施形態では、<1>または<2>で述べた構成に加えて、第1挟持コロ73と第2挟持コロ74とは、分包紙131の両側にそれぞれ分包紙131を挟むように配置される。
かかる構成によれば、揺動のために複雑な構成を要することなくテンションを維持して分包紙131に過大な負荷をかけることなく搬送可能である。
【0062】
<4>
また本実施形態では、<1>乃至<3>の何れか1つで述べた構成に加えて、揺動機構は、分包紙131の一方の側にある第2挟持コロ74では表面が金属製のコロであり、分包紙131の他方の側にある第1挟持コロ73は表面が弾性体で形成されたコロである。
かかる構成によれば、金属製の第2挟持コロ74が表面の柔らかな第1挟持コロ73に押し付けられることでニップを形成するから、より分包紙131を押さえる効果が期待できる。
【0063】
<5>
また本実施形態では、<1>乃至<4>の何れか1つで述べた構成に加えて、第2挟持コロ74は、表面にローレット加工がなされている。
かかる構成によれば、滑りやすい金属表面がローレット加工によって分包紙131との摩擦力が向上することで、より分包紙131を押さえる効果が期待できるとともに、過剰なテンションの増大については第2挟持コロ74の回転によって逃がすことができるので、投入ホッパー70の挿入によって分包紙131に過大な負荷を与えることなく搬送することができる。
【符号の説明】
【0064】
20…配分円盤
60…錠剤合流部
61…落下経路(錠剤落下経路)
62…閉鎖部材
70…投入ホッパー
71…散薬投入口
73…第1挟持コロ(揺動機構)
74…第2挟持コロ(揺動機構)
75…第1挟持板(挟持部材)
76…第2挟持板(挟持部材)
100…薬剤分包装置
102…載置面
110…錠剤処理部
120…散薬処理部
130…包装装置
131…包装帯(分包紙)
132…包装帯保持部(包装帯給送部)
134…縦シール部
135…横シール部
136…ローラ部