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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008522
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240112BHJP
   B62D 25/10 20060101ALI20240112BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A01C11/02 311W
B62D25/10 J
B62D25/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110461
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】朝田 雅貴
【テーマコード(参考)】
3D004
【Fターム(参考)】
3D004AA13
3D004BA05
3D004CA04
3D004CA15
3D004CA16
3D004DA03
3D004DA04
(57)【要約】
【課題】従来、乗用型田植機の走行車体前部に搭載したエンジンを覆うボンネットを後部枢支軸まわりに前部が上動回動して開くものがある。ボンネットは、エンジンの前方、上方及び左右側方を覆うケース状の大型の構成で、該大型ケース状のボンネットを後部枢支軸まわりに上動回動して開くものであり、開閉操作が容易ではなかった。そこで、開閉操作が容易なボンネットを装備した作業車両を提供する。
【解決手段】走行車体1に搭載したエンジン2を覆うボンネット4を設けた作業車両において、ボンネット4をエンジン2の上部を覆う上部カバー4a、エンジン2の前部を覆うフロントボンネット4b及びエンジン2の左右側部を覆う左右サイドカバー4cにて構成し、該左右サイドカバー4cを各々左右支持軸13まわりに上方に向けて回動して開く構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)に搭載したエンジン(2)を覆うボンネット(4)を設けた作業車両において、ボンネット(4)をエンジン(2)の上部を覆う上部カバー(4a)、エンジン(2)の前部を覆うフロントボンネット(4b)及びエンジン(2)の左右側部を覆う左右サイドカバー(4c)にて構成し、該左右サイドカバー(4c)を各々左右支持軸(13)まわりに上方に向けて回動して開く構成としたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
走行車体(1)前部に設けたアンテナ支持フレーム(10)上部にGPSアンテナを設け、該アンテナ支持フレーム(10)に上方回動した左右サイドカバー(4c)を係止する左右係止具(14)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
左右サイドカバー(4c)の後上部に上下方向の長孔(15)を各々設け、該各長孔(15)を左右支持軸(13)に各々挿通したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
フロントボンネット(4b)をその左右後端部が左右支持軸(13)に枢支され、前部が上方に向けて回動して開く構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業車両。
【請求項5】
フロントボンネット(4b)をその左右後端部が左右支持軸(13)に枢支され、前部が上方に向けて回動して開く構成としたことを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項6】
フロントボンネット(4b)をその左右後端部が左右支持軸(13)に枢支され、前部が上方に向けて回動して開く構成とし、アンテナ支持フレーム(10)に上方回動したフロントボンネット(4b)を係止する係止具(20)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項7】
フロントボンネット(4b)をその左右後端部が左右支持軸(13)に枢支され、前部が上方に向けて回動して開く構成とし、アンテナ支持フレーム(10)に上方回動したフロントボンネット(4b)を係止する係止具(20)を設けたことを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用トラクタや乗用型田植機や土木用車両等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用型田植機の走行車体前部に搭載したエンジンを覆うボンネットを後部枢支軸まわりに前部が上動回動して開くものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-223870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボンネットは、エンジンの前方、上方及び左右側方を覆うケース状の大型の構成で、該大型ケース状のボンネットを後部枢支軸まわりに上動回動して開くものであり、開閉操作が容易ではなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、開閉操作が容易なボンネットを装備した作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行車体1に搭載したエンジン2を覆うボンネット4を設けた作業車両において、ボンネット4をエンジン2の上部を覆う上部カバー4a、エンジン2の前部を覆うフロントボンネット4b及びエンジン2の左右側部を覆う左右サイドカバー4cにて構成し、該左右サイドカバー4cを各々左右支持軸13まわりに上方に向けて回動して開く構成とした作業車両である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、ボンネット4をエンジン2の上部を覆う上部カバー4a、エンジン2の前部を覆うフロントボンネット4b及びエンジン2の左右側部を覆う左右サイドカバー4cにて構成し、該左右サイドカバー4cを各々左右支持軸13まわりに上方に向けて回動して開く構成としたので、ボンネット4全体ではなくその一部である左右サイドカバー4cの容易な開閉操作にて、エンジン2の左右側方部及びエンジン2の左右側方に配置されたエンジン周辺機器のメンテナンスが行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、走行車体1前部に設けたアンテナ支持フレーム10上部にGPSアンテナを設け、該アンテナ支持フレーム10に上方回動した左右サイドカバー4cを係止する左右係止具14を設けた請求項1に記載の作業車両である。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の作用効果に加えて、走行車体1前部に設けたアンテナ支持フレーム10上部にGPSアンテナを設け、該アンテナ支持フレーム10に上方回動した左右サイドカバー4cを係止する左右係止具14を設けたので、上方回動した左右サイドカバー4cを各々左右係止具14に係止して開いた状態が簡潔な手段で維持することができ、エンジン2の左右側方部及びエンジン2の左右側方に配置されたエンジン周辺機器のメンテナンスが容易に行える。
【0010】
請求項3記載の発明は、左右サイドカバー4cの後上部に上下方向の長孔15を各々設け、該各長孔15を左右支持軸13に各々挿通した請求項1または請求項2に記載の作業車両である。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明の作用効果に加えて、左右サイドカバー4cの後上部に上下方向の長孔15を各々設け、該各長孔15を左右支持軸13に各々挿通したので、左右サイドカバー4cを長孔15分だけ上方に引き上げてから前部を上方に回動させて開くことにより、他部材との干渉が少ない状態で左右サイドカバー4cを開くことができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、フロントボンネット4bをその左右後端部が左右支持軸13に枢支され、前部が上方に向けて回動して開く構成とした請求項1または請求項2に記載の作業車両である。
【0013】
請求項5記載の発明は、フロントボンネット4bをその左右後端部が左右支持軸13に枢支され、前部が上方に向けて回動して開く構成とした請求項3に記載の作業車両である。
【0014】
請求項6記載の発明は、フロントボンネット4bをその左右後端部が左右支持軸13に枢支され、前部が上方に向けて回動して開く構成とし、アンテナ支持フレーム10に上方回動したフロントボンネット4bを係止する係止具20を設けた請求項2に記載の作業車両である。
【0015】
請求項7記載の発明は、フロントボンネット4bをその左右後端部が左右支持軸13に枢支され、前部が上方に向けて回動して開く構成とし、アンテナ支持フレーム10に上方回動したフロントボンネット4bを係止する係止具20を設けた請求項3に記載の作業車両である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の作業車両の実施形態にかかる乗用型田植機の前部の斜視図である。
図2】同乗用型田植機の要部の作用説明用の側面図である。
図3】本発明の第2実施形態を示す要部の作用説明用の側面図である。
図4】同第2実施形態を示す要部の作用説明用の斜視図である。
図5】本発明の第3実施形態を示す作用説明用の斜視図である。
図6】本発明の第4実施形態を示す要部の正面図である。
図7】同第4実施形態を示す要部の正面図である。
図8】同第4実施形態を示す要部の作用説明用の正面図である。
図9】同第4実施形態を示す要部の作用説明用の正面図である。
図10】同第4実施形態を示す要部の作用説明用の正面図である。
図11】同第4実施形態を示す要部の作用説明用の平面図である。
図12】第4実施形態を示す要部の作用説明用の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態である乗用型田植機を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
<全体構成>
乗用型田植機は、水田圃場を走行可能な走行車体1を備える。走行車体1は、左右一対の前輪と、左右一対の後輪とを備える。なお、走行車体1は、前輪及び後輪が駆動する四輪駆動車である。
【0019】
走行車体1の後部には、昇降装置によって昇降駆動される苗植付部が装着されている。
【0020】
走行車体1前部に設けたアンテナ支持フレーム10上部には、GPSアンテナが設けられている。
【0021】
<走行車体1>
図1に示すように、走行車体1は、左右機体フレーム6と、エンジン2と、エンジン2で発生した動力を左右前後輪、苗植付部に伝達する動力伝達装置とを備える。すなわち、動力源であるエンジン2で発生した動力は、走行車体1を前進または後進させるために使用されるだけでなく、苗植付部を駆動するためにも使用される。
【0022】
エンジン2は、走行車体1前部のエンジンフレーム3上に搭載される。なお、エンジン2としては、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関が用いられる。
【0023】
エンジン2の上部、前部及び左右部は、ボンネット4に覆われている。ボンネット4の左右両側方及び後方には、フロアステップ5が設けられている。
【0024】
なお、エンジンフレーム3の左右両端部は、左右機体フレーム6前端部と溶接固定されており、エンジン2の左右振動に対応すべく左右機体フレーム6にて剛性を向上している。
【0025】
フロアステップ5は、左右機体フレーム6上に取り付けられる。フロアステップ5のうち、たとえば、操縦席7付近の一部などは作業者の靴などに付着した泥などを水田圃場に落とせるように、平面視において格子状に形成される。
【0026】
フロアステップ5の後部中央部は、凸状に形成されており、その上面に操縦席7が設けられている。
【0027】
フロアステップ5の後端部には、高く構成された後輪のフェンダを兼ねるリヤステップが設けられている。
【0028】
動力伝達装置は、エンジン2から動力が伝達されるベルト式動力伝達部と、エンジン2からベルト式動力伝達部を介して伝達される動力を変速する変速装置である静油圧式無段変速機と、ミッションケースとを備える。
【0029】
静油圧式無段変速機は、ボンネット4上端後部の操作パネル8に設けた主変速レバーが操作されることで、出力(回転速度)と出力方向(回転方向)とを変更可能である。すなわち、静油圧式無段変速機は、回転速度や回転方向を変更することで、走行車体1の前後進や走行速度を変更可能である。
【0030】
ミッションケースには、静油圧式無段変速機によって変速されたエンジン2からの動力を各部に伝達する伝動装置が設けられる。ミッションケースは、走行時や作業時における走行速度を切り替える副変速機構を備える。ミッションケースは、ボンネット4上端後部の操作パネル8に設けた副変速レバーが操作されると、走行車体1の走行速度を、植付作業時における苗植付速度と苗植付速度よりも高速な路上走行速度に切り替える。
【0031】
走行車体1は、フロアステップ5上に操縦席7を備える。操縦席7は、作業者が操縦時に着席する座席である。走行車体1は、操縦席7の前方に、ステアリングハンドルや植付レバーなどを備える。
【0032】
ステアリングハンドルは、走行車体1のボンネット4上部の後方中央位置に設けられ、作業者に回動操作されることで、左右前輪が操向されて走行車体1を操舵するものである。
【0033】
走行車体1は、操作パネル8に植付レバーを備える。植付レバーは、苗植付部を昇降させたり、苗植付部による苗の植え付けを開始及び停止させるために操作するレバーである。
【0034】
また、走行車体1は、主変速レバーと副変速レバーとを備える。主変速レバーは、静油圧式無段変速機を変速操作して走行車体1の前後進及び走行速度を変更する場合に操作されるレバーである。副変速レバーは、走行車体1の走行速度を、走行する場所(水田圃場や路上)に応じた速度に切り替える場合に操作されるレバーである。
【0035】
また、ボンネット4は、走行車体1前部でフロアステップ5左右中央部から上方に突出して設けられ、前述のように内部にエンジン2が搭載されている。
【0036】
ボンネット4上部には、操作パネル8が設けられる。操作パネル8は、操縦席7に着席して前方を向いた作業者と対面するように、後下がりに傾斜した表示面を有する。
【0037】
操作パネル8は、たとえば、水田圃場面に直進の目安となる進行基準線を形成する後述する線引きマーカが走行車体の左右側部に出ていることを検知するマーカセンサ、植付レバーの操作位置を検知する植付レバーポジションセンサなどの各種センサ類からの情報を表示する。
【0038】
乗用型田植機は、昇降装置と苗植付部を備える。昇降装置は、昇降リンクを備える。昇降リンクは、走行車体1の後部と苗植付部とを連結する平行リンクであり、走行車体1の後部のリンクフレームと苗植付部とのそれぞれに対して上下方向に回動自在に連結されることで、走行車体1に対して苗植付部を昇降可能に連結する。
【0039】
また、昇降装置は、油圧式の昇降シリンダを備える。昇降シリンダは、植付レバーが操作されて油圧バルブが切り替えられることで、伸縮動作する。昇降シリンダは、伸縮動作することで昇降リンクを駆動して、苗植付部を昇降させる。すなわち、昇降シリンダは、植付レバーが操作されることで、苗植付部を上昇させた非作業位置、苗植付部を下降させた対地作業位置(植付位置)に切り替える。
【0040】
<苗植付部>
苗植付部は、上記したように、昇降リンクを介して走行車体1の後部に取り付けられる。苗植付部は、たとえば、複数の列(条)で苗を植え付けることが可能である。苗植付部は、苗載置台と、フロートと、植付装置とを備える。
【0041】
苗載置台は、機体の左右方向において、植付条数分の6つの苗載せ面を有する。各苗載せ面は、上下方向に複数枚のマット状土付苗を載置可能な後下がりの傾斜面である。フロートは、走行車体1の移動に伴い水田圃場の泥面上を滑走しながら整地する。フロートは、機体の左右方向において、機体中央部に配置されるセンターフロートと、センターフロートを挟んで左右方向の外側に配置されるサイドフロートとを備える。
【0042】
フロート(センターフロート及びサイドフロート)は、水田圃場面の凹凸に応じて前部が上下動するように、走行車体1に後部が回動自在に取り付けられ、センターフロート前部の上下動を迎角制御用の回動センサで検知する。苗植付部では、植付作業時にはセンターフロートの前部の上下動が回動センサによって検知され、回動センサの検知結果に応じて制御部によって昇降シリンダの伸縮動作を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部を昇降させ、苗の植え付け深さを自動制御で調節することができる。
【0043】
植付装置は、苗載置台の植付支持フレームによって支持されることで、苗載置台の下方に配置される。植付装置は、苗載置台に載置されたマット状土付苗を水田圃場に植え付ける。植付装置は、植込杆とロータリーケースを備える。植込杆は、苗載置台に載置されたマット状土付苗から一株分の苗をとって水田圃場面に植え付ける。
【0044】
<アンテナ支持フレーム10とボンネット4>
図1に示すように、走行車体1前部に設けたアンテナ支持フレーム10上部には、GPSアンテナが設けられている。
【0045】
アンテナ支持フレーム10は、基部が左右機体フレーム6に固着され機体上方位置まで延びる平行な左右縦フレーム11L,11Rの上端を上部横フレームにて連結し、上下中央部を門型状の支持フレーム12にて連結して構成される。
【0046】
GPSアンテナは、左右縦フレーム11L,11R上端を連結する上部横フレームに固着されている。
【0047】
左右縦フレーム11L,11Rの下部は、後述の上部カバー4aの左右両側部を各々貫通して基部が左右機体フレーム6に固着されている。
【0048】
門型状の支持フレーム12の左右基部は、後述の左右サイドカバー4cの後上部を貫通した基部が機枠に固定された左右支持軸13に各々固定されている。
【0049】
ボンネット4は、エンジン2の上部を覆う上部カバー4a、エンジン2の前部を覆うフロントボンネット4b及びエンジン2の左右側部を覆う左右サイドカバー4cから構成される。
【0050】
フロントボンネット4bには、前部にフロントグリル4b’を設け、その上部位置に左右ヘッドライト4b’’が設けられている。
【0051】
図2に示すように、左右サイドカバー4cは、左右サイドカバー4cの後上部が各々左右支持軸13に枢支されており、上方に向けて回動して開く構成となっている。
【0052】
そして、アンテナ支持フレーム10の門型状の支持フレーム12の左右部に左右係止具としての左右フック14を設け、左右サイドカバー4cが各々左右支持軸13まわりに上方に向けて回動して開いた時に、左右サイドカバー4cは各々左右フック14に係止されて開いた状態が維持される。
【0053】
また、左右サイドカバー4cを閉じてフロントボンネット4bと接合した状態では、左右支持軸13の先端がボルトになっており、外側からノブ付きナット13aを締め着けて、左右サイドカバー4cの回動を固定する。
【0054】
従って、ボンネット4の左右サイドカバー4cを各々左右支持軸13まわりに上方に向けて回動して開いた時に、左右サイドカバー4cは各々左右フック14に係止されて開いた状態が簡潔な手段で維持することができ、エンジン2の左右側方部及びその周辺機器のメンテナンスが容易に行える。
【0055】
また、ボンネット4全体ではなくその一部である左右サイドカバー4cを開閉すればよく、開閉操作が容易である。
【0056】
図3は、第2実施形態を示す。
【0057】
即ち、左右サイドカバー4cの後上部に上下方向の長孔15を各々設け、該長孔15を左右支持軸13に挿通している。
【0058】
従って、左右サイドカバー4cを開く際には、ノブ付きナット13aを緩めて、左右サイドカバー4cを長孔15分だけ上方に引き上げてから前部を上方に回動させて開く。よって、他部材との干渉が少ない状態で左右サイドカバー4cを開くことができる。
【0059】
また、エンジンフレーム3上面に設けた支持プレート16の枢支孔16aに基部が枢支されたスタンドロッド17を設け、左右サイドカバー4c前下部内面にスタンドロッド17先端が嵌まり込む樹脂製のボス18を各々固定する。
【0060】
そして、スタンドロッド17は、枢支孔16aに基部が枢支されてエンジンフレーム3上面に沿って倒伏した収納状態(ハ)と起立した作用状態(ニ)に姿勢変更自在である。
【0061】
従って、左右サイドカバー4cを上方に向けて回動して開いた時に、スタンドロッド17を起立した作用状態(ニ)にして、その先端を左右サイドカバー4cのボス18に嵌めれば、左右サイドカバー4cを開いた状態に維持できる。
【0062】
また、図4に示すように、エンジンフレーム3上面に設けた支持プレート16は、その上面を平端面とし、コ字状の樹脂製のエッジプロテクタ19を固定している。
【0063】
支持プレート16上面に固定されたエッジプロテクタ19は、その側面でスタンドロッド17のぐらつきを抑え、その上面をボンネット4に当ててボンネット4の振動を防止する。
【0064】
図5は、第3実施形態を示す。なお、上記第1実施形態及び第2実施形態の左右サイドカバー4cを左右支持軸13まわりに上動回動させて開く構成と併用して実施しても良い。
【0065】
即ち、ボンネット4のフロントボンネット4bは、その左右後端部が左右支持軸13に枢支されており、上方に向けて回動して開く構成となっている。
【0066】
アンテナ支持フレーム10の門型状の支持フレーム12の左右中央部に係止具としてのフック20を設け、フロントボンネット4bが左右支持軸13まわりに上方に向けて回動して開いた時に、フロントボンネット4bはフック20に係止されて開いた状態が維持される。
【0067】
なお、門型状の支持フレーム12の左右中央部には、操縦席7に着座した作業者が機体操縦時に見るモニタ21が設けられており、該モニタ21の樹脂製等の外ケースにフック20を設けても良い。
【0068】
図6図12は、第4実施形態を示す。
【0069】
即ち、ボンネット4のフロントボンネット4bは、その左右後端部が左右支持軸13に枢支されており、左右支持軸13部又はボンネット4内に設けた電動モータにて上方に向けて回動して開く構成となっている。
【0070】
なお、操作パネル8に設けたボンネット開閉操作具にて電動モータは作動し、フロントボンネット4bを開閉する。
【0071】
図6に示すように、ボンネット4のフロントボンネット4bの前部には、フロントグリル4b’が設けられている。
【0072】
フロントグリル4b’には、通風用の開口22が等間隔に9つ(横に3つ、縦に3列)設けられている。
【0073】
図11及び図12に示すように、ボンネット4内部には、左右機体フレーム6に各々基部が固定された左右支持フレーム23の前部に導風板24が操作パネル8に設けた通常運転と暖機運転に切り替える運転モードスイッチにて作動する電動モータにて上下動自在に設けられている。
【0074】
図7に示すように、導風板24には、機体右側に等間隔で6つの右導風口25aが設けられ、機体左側に等間隔で3つの左導風口25bが設けられている。
【0075】
6つの右導風口25a及び3つの左導風口25bは、フロントグリル4b’の開口22と同じ左右間隔及び上下間隔で配置され、形状及び大きさが同じである。
【0076】
そして、3つの左導風口25bは、6つの右導風口25aよりも上下間隔の半分の距離だけ下方に配置されている。
【0077】
従って、操作パネル8に設けた運転モードスイッチを暖機運転にすると、電動モータにて導風板24が上動し、図8に示すように、フロントグリル4b’の開口22と3つの左導風口25bが合致して、機体前方から少量の空気がボンネット4内に流入してエンジン2の暖機運転状態になる。
【0078】
そして、操作パネル8に設けた運転モードスイッチを通常運転にすると、電動モータにて導風板24が下動し、図9に示すように、フロントグリル4b’の開口22と6つの右導風口25aが合致して、機体前方から多量の空気がボンネット4内に流入してエンジン2の通常運転状態になる。
【0079】
また、図11及び図12に示すように、エンジン2の右側にはラジエータ26が配置され、機体右側から空気を吸い込みエンジン2を通過して機体左側に空気を排出し、エンジン2の上方にはエアクリナー27が配置されている。
【0080】
図11は、操作パネル8に設けた運転モードスイッチを通常運転にしてフロントグリル4b’の開口22と導風板24の6つの右導風口25aを合致させたエンジン2の通常運転状態の空気の流れを示す。
【0081】
図12は、操作パネル8に設けた運転モードスイッチを暖機運転にしてフロントグリル4b’の開口22と導風板24の3つの左導風口25bを合致させたエンジン2の暖機運転状態の空気の流れを示す。
【0082】
導風板24は、平面視でヘ字状に中央部が前方に折れ曲がった形状で、6つの右導風口25aを設けた右面24aの方が3つの左導風口25bを設けた左面24bよりも広く構成している。
【0083】
従って、導風板24が平面視でヘ字状に中央部が前方に折れ曲がった形状になっているので、エンジンルームの隙間から前方に逆流した温風を効率良くエンジンルーム外に誘導して排出することができる。
【0084】
また、ラジエータ26が配置された側である右面24aの方が左面24bよりも広く構成されているので、エンジンルームの隙間から前方に逆流した温風が広い右面24aで誘導されて風速が上がり、周りの冷たい空気を巻き込んでラジエータ26の吸気側に回り込む空気をできるだけ冷たくすることができる。
【0085】
また、図10に示すように、操作パネル8に設けた運転モードスイッチを通常運転にしてフロントグリル4b’の開口22と導風板24の6つの右導風口25aを合致させたエンジン2の通常運転状態で、フロントグリル4b’の開口22と導風板24の6つの右導風口25aが合致した部位の後方近くにエアクリナー27の吸気口27aを配置している。
【0086】
また、ラジエータ26の冷却水温度を検出するセンサを設けて、該センサにて冷却水温度が所定値よりも低い時は、電動モータを作動させて導風板24を上動し、フロントグリル4b’の開口22と3つの左導風口25bが合致して、機体前方から少量の空気がボンネット4内に流入するエンジン2の暖機運転状態になるようにし、該センサにて冷却水温度が所定値よりも高い時は、電動モータを作動させて導風板24を下動し、フロントグリル4b’の開口22と6つの右導風口25aが合致して、機体前方から多量の空気がボンネット4内に流入するエンジン2の通常運転状態になるように自動制御しても良い。
【符号の説明】
【0087】
1 走行車体
2 エンジン
4 ボンネット
4a 上部カバー
4b フロントボンネット
4c サイドカバー
10 アンテナ支持フレーム
13 支持軸
14 係止具(フック)
15 長孔
20 係止具(フック)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12