(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085231
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199647
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】佐田 皓平
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 将史
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS24
3C707DS02
3C707FS01
3C707FT11
3C707FU01
3C707GS00
3C707KS29
3C707KV11
3C707KX03
3C707MS16
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】種類によって形状や大きさが異なるツールを用いても、識別コードを検知して取り付けられたツールを特定できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置は、ツールと、ロボットと、識別媒体と、検知部と、記憶部と、制御部とを備える。ツールは、物品を把持する。ロボットは、交換可能に取り付けられたツールを介して物品を搬送する。識別媒体は、ツールの種類ごとに所定の取付位置に取り付けられた識別コードを有する。検知部は、識別媒体から識別コードを検出する。記憶部は、物品の種類ごとに、把持に用いられるツールの種類に対応するツール情報及び取付位置に関する位置情報が関連付けられた第1情報が記録される。制御部は、検知部が識別コードを検知できるように、位置情報に基づいてツール又は検知部を移動させ、検知部が検知した識別コードが第1情報のツール情報と一致すると、ロボットによる物品の搬送を許可する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持するツールと、
前記ツールが交換可能に取り付けられ、前記ツールを介して前記物品を搬送するロボットと、
前記ツールの種類ごとに前記ツールの所定の取付位置に取り付けられ、前記ツールの種類を識別するための識別コードを有する識別媒体と、
前記識別媒体から前記識別コードを検出する検知部と、
前記物品の種類ごとに、把持に用いられる前記ツールの種類に対応するツール情報及び前記取付位置に関する位置情報が関連付けられた第1情報が記録された記憶部と、
前記ロボットを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記検知部が前記識別コードを検知できるように、前記位置情報に基づいて前記ツール又は前記検知部を移動させ、
前記検知部が検知した前記識別コードが前記第1情報の前記ツール情報と一致すると、前記ロボットによる前記物品の搬送を許可する、
搬送装置。
【請求項2】
前記識別媒体は、
開放状態及び閉塞状態のいずれかの状態にある複数の孔の組み合わせで前記識別コードを構成し、
前記検知部は、
前記識別コードに光を照射する照射部と、
前記孔を通過し前記識別媒体で反射した前記光を受光する受光部と
を有する、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記閉塞状態は、
前記孔にピンが挿入された状態である、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
ブロアホースを介して空気を吸引し、前記ツールに前記物品を把持させる負圧発生部をさらに備える、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ロボットは、
前記物品を箱に収容する、
請求項1から4のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を把持するツール(把持部)と、ツールを介して物品を搬送するロボットとを備えた搬送装置が知られている。特許文献1(特開2022-41753号公報)は、交換可能に取り付けられたツールの重量を検出する重量検出部と、各ツールの重量に関する情報が記録された記憶部とを有するロボットを開示する。特許文献1が開示するロボットは、重量検出部が検出した重量と記憶部に記録された重量に関する情報とに基づいて、ロボットに取り付けられたツールの種類を特定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1が開示するロボットは、重量が同じ又は近いツールどうしを区別することが困難な場合がある。これを避けるため、ツールに取り付けた識別媒体に記録されたツールの種類を示す識別コードを検知部で検知し、検知された識別コードを記憶装置に予め記録されたツール情報と比較することで、ロボットに取り付けられたツールの種類を特定する方法がある。しかしながら、この方法の場合、形状や大きさが種類によって異なるツールが用いられる場合は、ツールの同じ位置に識別媒体が取り付けられるとは限らず、検知部による識別コードの検知が困難となることがあった。
【0004】
本開示は、種類によって形状や大きさが異なるツールを用いても、識別コードを検知して取り付けられたツールを特定できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の搬送装置は、ツールと、ロボットと、識別媒体と、検知部と、記憶部と、制御部とを備える。ツールは、物品を把持する。ロボットは、ツールが交換可能に取り付けられ、ツールを介して物品を搬送する。識別媒体は、ツールの種類ごとに所定の取付位置に取り付けられ、ツールの種類を識別するための識別コードを有する。検知部は、識別媒体から識別コードを検出する。記憶部は、物品の種類ごとに、把持に用いられるツールの種類に対応するツール情報及び取付位置に関する位置情報が関連付けられた第1情報が記録される。制御部は、ロボットを制御する。
【0006】
制御部は、検知部が識別コードを検知できるように、位置情報に基づいてツール又は検知部を移動させ、検知部が検知した識別コードが第1情報のツール情報と一致すると、ロボットによる物品の搬送を許可する。
【0007】
第1観点の搬送装置は、物品の種類に関連付けられたツール情報及び位置情報を読み出し、位置情報に基づいてツール又は検知部を移動させた後、検知した識別コードがツール情報と一致するか否かを判断する。このため、識別媒体が取付けられる位置がツールの種類ごとに異なっていても、ツール又は検知部を移動させることで、確実に検知部による識別コードの検知を行える。したがって、第1観点の搬送装置は、種類によって形状や大きさが異なるツールを用いても、識別コードを検知して取り付けられたツールを特定できる。
【0008】
第2観点の搬送装置は、第1観点の搬送装置であって、識別媒体が、開放状態及び閉塞状態のいずれかの状態にある複数の孔の組み合わせで識別コードを構成する。検知部は、照射部と、受光部とを有する。照射部は、識別コードに光を照射する。受光部は、孔を通過し識別媒体で反射した光を受光する。
【0009】
第2観点の搬送装置では、識別コードが複数の孔の組み合わせという単純な構造で構成される。したがって、第2観点の搬送装置によれば、装置の製造コストが抑制される。
【0010】
第3観点の搬送装置は、第1観点または第2観点の搬送装置であって、閉塞状態が、孔にピンが挿入された状態である。
【0011】
第3観点の搬送装置は、孔の状態がピンの挿入/抜取りという簡単な方法により変更できる。したがって、第2観点の搬送装置によれば、装置の製造コストが抑制される。
【0012】
第4観点の搬送装置は、第1観点から第3観点の搬送装置のいずれかであって、ブロアホースを介して空気を吸引し、ツールに物品を把持させる負圧発生部をさらに備える。
【0013】
第5観点の搬送装置は、第1観点から第4観点の搬送装置のいずれかであって、ロボットは、物品を箱に収容する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る搬送装置10が搭載された箱詰装置100を右から左右方向に沿ってみた概略正面図である。
【
図2】箱詰装置100の動作を説明するための概略図である。
【
図4】ツール11を後から前後方向に沿ってみた図である。
【
図5A】識別媒体13を後から前後方向に沿ってみた図である。
【
図5B】識別媒体13をA-A’線で切断した断面図である。
【
図7】搬送装置制御部17及び箱詰装置制御部70のブロック図である。
【
図9】検知部14が識別媒体13に向かって光Lを照射させた様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。以下の説明において、便宜上、前後、上下、及び左右の各方向が用いられる。いくつかの図には、これらの方向を示す軸が表示される。前後方向及び左右方向は、何れも水平に延びる方向である。上下方向は鉛直方向に等しい。
【0016】
(1)全体構成
図1は、一実施形態に係る搬送装置10が搭載された箱詰装置100を右から左右方向に沿ってみた概略正面図である。
図2は、箱詰装置100の動作を説明するための概略図である。
【0017】
箱詰装置100は、物品Gを容器Cに詰める箱詰動作を実行する装置である。箱詰装置100は、主に、搬送装置10と、パラレルリンクロボット20と、箱詰装置制御部70と、フレーム80と、コンベア群90とを備える。限定するものではないが、容器Cは、例えば、段ボールケースや通い箱等である。容器Cは、上部に開口が設けられている。また、物品Gは、ポテトチップス等のスナック菓子が充填された袋である。
図2では、便宜上、フレーム80の図示は省略されている。
【0018】
(2)詳細構成
(2-1)フレーム
フレーム80は、搬送装置10と、パラレルリンクロボット20と、コンベア群90とを支持する部材である。フレーム80は、前後、左右、上下の各方向に沿う複数の柱状部材を組み合わせて形成された略直方体形状のフレームである。フレーム80の内部は、略直方体形状であって主に容器Cが搬送される第1空間80aと、略直方体形状であって主に物品Gが搬送される第2空間80bとを含む。第2空間80bは、第1空間80aの上方に位置する。
【0019】
第2空間80bに物品Gを投入するための物品入口81が、第2空間80bの後側に位置する。また、第1空間80aに容器Cを投入するための容器入口82が、第1空間80aの左側に位置する。さらに、物品Gの入った容器Cを取り出すための容器出口83が、第1空間80aの前側に位置する。
【0020】
(2-2)コンベア群
コンベア群90は、第1コンベア91と、第2コンベア92と、第3コンベア93と、第4コンベア94と、押出機構95とを含む。
【0021】
(2-2-1)第1コンベア
第1コンベア91は、物品入口81から投入された物品Gを下流に搬送する。第1コンベア91は、第2空間80bに配置されたベルトコンベアである。第1コンベア91は、前後方向に沿って配置される。第1コンベア91は、上流端部が物品入口81の近傍に位置し、下流端部が容器待機位置94a(後述)の上方よりも後側に位置する。
【0022】
(2-2-2)第2コンベア
第2コンベア92は、パラレルリンクロボット20が移動した物品Gを下流に搬送する。第2コンベア92は、第2空間80bに配置されたベルトコンベアである。第2コンベア92は、第1コンベア91の左側に、第1コンベア91と平行に(言い換えると、前後方向に沿って)配置される。第2コンベア92は、上流端部が第2空間80bの後側に位置し、下流端部が第2空間80bの前側に位置する。
【0023】
(2-2-3)第3コンベア
第3コンベア93は、容器入口82から投入された容器Cを下流に搬送する。第3コンベア93は、第1空間80aに配置されたローラコンベアである。第3コンベア93は、左右方向に沿って配置される。第3コンベア93は、上流端部が容器入口82の近傍に位置し、下流端部が第1空間80aの右側に位置する。
【0024】
(2-2-4)第4コンベア
第4コンベア94は、第3コンベア93が搬送した容器Cを、下流に位置する容器待機位置94a及び容器出口83に搬送する。第4コンベア94は、第1空間80aに配置されたベルトコンベアである。第4コンベア94は、前後方向に沿って配置される。第4コンベア94は、上流端部が第3コンベア93の下流の前方に位置し、下流端部が容器出口83の近傍に位置する。
【0025】
第4コンベア94は、下流端部から上流に所定距離だけ離れた位置に容器待機位置94aを有する。容器待機位置94aは、箱詰動作において、搬送装置10が物品Gを容器Cに搬送する際に、容器Cを待機させる位置である。
【0026】
(2-2-5)押出機構
押出機構95は、第3コンベア93が搬送した容器Cを第4コンベア94の上流端部へ押し出して移動させる。押出機構95は、第3コンベア93の下流端部の後方に配置される。
【0027】
(2-3)パラレルリンクロボット
パラレルリンクロボット20は、第1コンベア91が搬送した物品Gを第1コンベア91の下流で把持し、所定の姿勢で第2コンベア92の上流に並べる。パラレルリンクロボット20は、第2空間80bに配置される。
【0028】
(2-4)搬送装置
搬送装置10は、第2コンベア92が搬送した物品Gを容器Cへ搬送する。より詳細には、搬送装置10は、第2コンベア92が搬送した物品Gを、第4コンベア94が搬送した容器Cの内部へ搬送する。搬送装置10は、ツール11と、ロボットアーム12と、識別媒体13と、検知部14と、負圧発生部15と、記憶部16と、搬送装置制御部17とを有する。詳細は後述するが、搬送装置10は、箱詰動作の前に、ツール確認動作を実行する。ツール確認動作は、ロボットアーム12に取り付けられたツール11が、これから搬送する物品Gの把持に用いられるツール11で間違いないか否かを確認する動作である。
【0029】
(2-4-1)ツール
ツール11は、第2コンベア92が搬送した物品Gを把持する。搬送装置10には、把持する物品Gの種類に応じた複数の種類のツール11が用いられる。
図3は、ツール11の一例を示す斜視図である。
図4は、ツール11を後から前後方向に沿ってみた図である。
図3に示されたツール11は、主に、第1吸気部111と、第2吸気部112と、取付部113と、スライド機構114と、フレキシブルホース115とを有する。
【0030】
第1吸気部111及び第2吸気部112は、物品Gを吸着して把持する。第2吸気部112は、第1吸気部111の前方に配置されている。
【0031】
第1吸気部111は、第1負圧室111aと、複数の第1吸着部材111bとを有する。第1負圧室111aは、内部に空洞が設けられた略直方体形状の部材である。第1負圧室111aは、下側の面に第1吸着部材111bと同数の開口(図示省略)が設けられ、上側の面に1つの開口111cが設けられている。第1吸着部材111bは、一端が第1負圧室111aに設けられた開口と連通する、蛇腹状の筒状の伸縮部材である。第1吸着部材111bは、長手方向が上下方向に沿う姿勢で、一端が第1負圧室111aの下側の面に取り付けられている。
【0032】
第2吸気部112は、第2負圧室112aと、第2吸着部材112bとを有する。第2負圧室112aは、内部に空洞が設けられた六面体形状の部材である。第2負圧室112aは、下側の面に第2吸着部材112bと同数の開口(図示省略)が設けられ、上側の面に1つの開口(図示省略)が設けられている。第2吸着部材112bは、一端が第2負圧室112aに設けられた開口と連通する、蛇腹状の筒状の伸縮部材である。第2吸着部材112bは、長手方向が上下方向に沿う姿勢で、一端が第2負圧室112aの下側の面に取り付けられている。
【0033】
取付部113は、ツール11をロボットアーム12に取り付けるための部材である。取付部113は、第2吸気部112の上面に設けられた開口を覆う位置に設けられる。取付部113は、略直方体形状の部材であり、上面にブロアホース15a(後述)の一端を通す開口113aが設けられ、下面に第2吸気部112の上面に形成された開口に連通する開口111cが設けられ、側面にフレキシブルホース115を通す開口113bが設けられている。
【0034】
スライド機構114は、第1吸気部111と第2吸気部112とを前後方向に沿って移動するように案内する。スライド機構114は、ロッド114aと、ガイド114bとを有する。ロッド114aは、長手方向が前後方向に沿う姿勢で、円筒状のガイド114bの内部に摺動可能に保持される。ロッド114aは、一端が第1負圧室111aの上側の面に固定される。ガイド114bは、第2負圧室112aの上方に固定される。第1吸気部111及び第2吸気部112は、図示しないアクチュエータの作動にともない、スライド機構114に案内され、前後方向に沿って互いに近接又は離反する。
【0035】
フレキシブルホース115は、取付部113に通されたブロアホース15aと第1吸気部111とを連通する。フレキシブルホース115は、一端が取付部113内部でブロアホース15aに連通し、他端が第1負圧室111aの上側の面に形成された開口111cに連通する。
【0036】
(2-4-2)ロボットアーム
ロボットアーム12は、ツール11を介して物品Gを搬送するロボットである。ツール11は、ロボットアーム12に交換可能に取り付けられる。ロボットアーム12は、1つ以上のアクチュエータを含み、取り付けられたツール11を、前後、左右及び上下の各方向に移動する。
【0037】
ロボットアーム12は、後述する箱詰装置100の動作の開始前及び終了後には、所定のロボットアーム待機位置で待機するように制御される。
【0038】
(2-4-3)識別媒体
識別媒体13は、ロボットアーム12に取り付けられたツール11の種類を、搬送装置制御部17が識別するために設けられる。
図5Aは、識別媒体13を後から前後方向に沿ってみた図である。
図5Bは、識別媒体13をA-A’線で切断した断面図である。
【0039】
識別媒体13は、ツール11の種類ごとに所定の取付位置に取り付けられている。例えば、
図3に示されたツール11の場合、識別媒体13は、第2負圧室112aの上側の面であって、取付部113の後方に取り付けられている。識別媒体13の取付位置は、ツール11の種類ごとに異なっていてもよいし、一部の種類のツール11において同じ位置であってもよい。識別媒体13は、第1板材13paと、第2板材13pbと、識別コード13c、ヘッダ13hとを有する。
【0040】
第1板材13pa及び第2板材13pbは、少なくともツール確認動作において、検知部14が照射する光L(後述)の照射方向に対して交わる(好ましくは、直交する)ように配置された板状部材である。第1板材13pa及び第2板材13pbは、略同じ大きさ及び略同じ形状であって、前後方向に沿って並んで配置される。第1板材13paは、第2板材13pbよりも検知部14に近い位置(本実施形態では、第2板材13pbの後方に)に配置される。第1板材13paと第2板材13pbとの間には、所定幅(例えば5mm程度)の隙間が設けられている。
【0041】
識別コード13cは、識別媒体13が取り付けられたツール11の種類を識別するための、ツール11の種類に固有コードである。ヘッダ13hは、搬送装置制御部17が識別コード13cの位置を検知するために設けられる。識別コード13c及びヘッダ13hは、第1板材13paに設けられている。識別コード13c及びヘッダ13hは、検知部14によって検知される。
【0042】
本実施形態では、識別媒体13は、開放状態及び閉塞状態のいずれかの状態にある複数(6つ)の孔Haの組み合わせで識別コード13cを構成する。閉塞状態は、孔HaにピンPが挿入された状態である。開放状態は、孔HaにピンPが挿入されていない状態である。6つの孔Haは、左右方向に沿って並ぶ3つの孔Hから構成される第1グループg1と、第1グループg1の上方において左右方向に沿って並べられた別の3つの孔Haから構成される第2グループg2とで構成される。
【0043】
以下では、便宜上、第1グループg1の各孔Haを、右から左の順で、孔Ha1、孔Ha3、孔Ha5と呼ぶ。同様に、第2グループg2の各孔Haを、右から左の順で、孔Ha2、孔Ha4、孔Ha6と呼ぶ。なお、
図5Aは、一例として、孔Ha2が閉塞状態であって、孔Ha1、孔Ha3、孔Ha4、孔Ha5、及び孔Ha6が開放状態である識別媒体13を示している。
【0044】
ヘッダ13hは、第1グループg1の左及び第2グループg2の右にそれぞれ1つ設けられた孔Hbである。
【0045】
第2板材13pbは、孔Ha、Hbを通過した光Lを反射する。第2板材13pbは、第1板材13paに対向する面に鏡などの光Lを反射する部材が貼付されている。
【0046】
(2-4-4)検知部
検知部14は、ツール確認動作において識別コード13c及びヘッダ13hを検出する。検知部14は、フレーム80に取り付けられている。検知部14は、照射部14a及び受光部14bを有する。本実施形態では、搬送装置10は、2つの検知部14を備える。
【0047】
照射部14aは、識別コード13c及びヘッダ13hに光Lを照射する。より詳細には、照射部14aは、識別コード13c及びヘッダ13hの孔Ha、Hbを通過可能なレーザー光を光Lとして照射する。本実施形態では、光Lは、前後方向に沿うように照射される。
【0048】
受光部14bは、照射部14aが照射し、孔Ha又は孔Hbを通過し、第2板材13pbで反射した光Lを受光するセンサである。受光部14bは、光Lを受光すると、その結果を搬送装置制御部17に出力する。
【0049】
(2-4-5)負圧発生部
負圧発生部15は、ツール11に物品Gを把持させるための負圧を発生する。負圧発生部15は、ブロアホース15aを介して第1吸気部111及び第2吸気部112に連通している。負圧発生部15は、発生させた負圧で、ブロアホース15aを介して第1負圧室111a及び第2負圧室112aの空気を吸引し、ツール11に物品Gを把持させる。限定するものではないが、負圧発生部15は、吸引ブロアや真空ポンプ等である。
【0050】
(2-4-6)記憶部
記憶部16は、第1情報iが記録された記憶装置である。第1情報iは、物品Gの種類ごとに、当該物品Gの把持に用いられるツール11の種類に対応するツール情報ia及び位置情報ibが関連付けられた情報である。限定するものではないが、第1情報iは、物品Gの種類をキーとしたテーブルの形式で記憶装置に記録される。
図6は、第1情報iのテーブルを示した図である。
【0051】
詳細は後述するが、ツール情報iaは、ツール確認動作において、ロボットアーム12に取り付けられたツール11の確認に用いられる。このため、ツール情報iaは、識別コード13cとの比較が容易な形式であることが好ましい。本実施形態では、ツール情報iaは、0(ゼロ)又は1の値をとることができる6つのビットで構成される。ツール情報iaの各ビットはそれぞれ、識別コード13cの6つの孔Haのいずれかに対応する。より詳細には、ツール情報iaの1桁目は孔Ha1に対応し、2桁目は孔Ha2に対応し、3桁目は孔Ha3に対応し、4桁目は孔Ha4に対応し、5桁目は孔Ha5に対応し、6桁目は孔Ha6に対応する。値が0のビットは、対応する孔Haが開放状態にあることを示し、値が1のビットは、対応する孔Haが閉塞状態にあることを示す。
【0052】
位置情報ibは、識別媒体13の取付位置に関する情報である。より詳細には、位置情報ibは、ロボットアーム12の所定位置に設定された原点O(
図4参照)に対する識別媒体13の位置の水平方向(左右方向)及び垂直方向(上下方向)における座標(水平方向Ho、垂直方向Ve)である。本実施形態では、一例として、原点Oに対する第1板材13paの左端上端の座標を位置情報ibとした。限定するものではないが、
図6に示された例では、位置情報ibの単位は、ミリメートルである。
【0053】
(2-4-7)搬送装置制御部
搬送装置制御部17は、搬送装置10の各部を制御しツール確認動作及び搬送動作を実行する。搬送装置制御部17は、ツール11と、ロボットアーム12と、検知部14と、負圧発生部15と、記憶部16とに電気信号を送受信可能に接続されている。
図7は、搬送装置制御部17及び箱詰装置制御部70のブロック図である。
【0054】
ツール確認動作は、通常、箱詰動作の前に実行される。ツール確認動作は、ロボットアーム12に取り付けられたツール11が、これから実行される箱詰動作で容器Cに詰められる物品Gの把持に用いられるツール11であるか否かを確認する動作である。より詳細には、ツール確認動作において、搬送装置制御部17は、初めに、検知部14が識別コード13cを検知できるように、位置情報ibに基づいてツール11を移動させる。その後、搬送装置制御部17は、検知部14が検知した識別コード13cが、これから実行される箱詰動作で容器Cに詰められる物品Gに関連付けられたツール情報iaと一致すると、ロボットアーム12による物品Gの搬送を許可する(言い換えると、搬送動作を許可する)。
【0055】
搬送動作は、箱詰動作において、第2コンベア92の下流に搬送された物品Gを、ロボットアーム12がツール11を介して容器Cに移す動作である。
【0056】
搬送装置制御部17はコンピュータにより実現される。搬送装置制御部17は、制御演算装置と記憶装置(いずれも図示省略)とを備える。制御演算装置は、CPU又はGPUといったプロセッサであってもよい。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。記憶部16は、搬送装置制御部17の記憶装置であってもよい。
【0057】
(2-5)箱詰装置制御部
箱詰装置制御部70は、箱詰装置100の各部を制御して箱詰動作を実行する。箱詰装置制御部70は、搬送装置制御部17と、パラレルリンクロボット20と、第1コンベア91と、第2コンベア92と、第3コンベア93と、第4コンベア94と、押出機構95とに電気信号を送受信可能に接続されている。
【0058】
箱詰動作は、所定数の物品Gを容器Cへ詰める動作である。
【0059】
箱詰装置制御部70も、搬送装置制御部17と同様にコンピュータにより実現される。箱詰装置制御部70と搬送装置制御部17とは、同一のコンピュータにより実現されてもよいし、異なるコンピュータにより実現されてもよい。
【0060】
(3)箱詰装置100の動作
箱詰装置100は、主に、箱詰動作と、ツール確認動作とを行う。箱詰装置100の動作を開始する前に、箱詰装置100を操作するオペレーターは、物品Gの種類、物品Gの大きさ、容器Cに詰められる物品Gの数等の箱詰装置100の動作に必要な情報を、図示しない操作端末等を用いて箱詰装置制御部70へ入力することができる。また、オペレーターは、容器Cに詰められる物品Gの把持に用いられるツール11を、所定のロボットアーム待機位置にあるロボットアーム12に取り付ける。箱詰装置100の動作は、例えば、オペレーターの指示によって開始される。
【0061】
(3-1)ツール確認動作
ツール確認動作では、搬送装置制御部17が、次のように搬送装置10の各部を制御する。
図8は、ツール確認動作のフローチャートである。箱詰装置100の動作が開始されると、初めに、箱詰装置制御部70が搬送装置制御部17にツール確認動作の実行を指示する(開始)。
【0062】
ステップS100において、搬送装置制御部17は、箱詰装置制御部70と、記憶部16に記録された第1情報iとを参照して、これから実行される箱詰動作で容器Cに詰められる物品Gに関連付けられたツール情報ia及び位置情報ibを読み出し、ステップS110に進む。
【0063】
ステップS110において、搬送装置制御部17は、検知部14が識別コード13cを検知できるように、位置情報ibに基づいてツール11を移動させ、ステップS120に進む。
【0064】
より詳細には、ステップS110において、搬送装置制御部17は、位置情報ibを参照して、検知部14が識別コード13cを検出できる位置までツール11を移動させる。本実施形態では、これにより、ツール11は、検知部14の前方であって、検知部14が照射する2つの光Lのそれぞれがヘッダ13hの孔Hbを通過する位置まで移動する。
【0065】
ステップS120において、搬送装置制御部17は、検知部14がヘッダ13hを検知できたか否かを判断して、ステップS130へ進むかツール確認動作を終了する。
【0066】
より詳細には、ステップS120において、搬送装置制御部17は、検知部14に光Lを照射させる。その後、搬送装置制御部17は、孔Hbを通過して第2板材13pbで反射した光Lを検知部14が受光できたと判断すると(はい)ステップS130へ進む。また、搬送装置制御部17は、検知部14がヘッダ13hの孔Hbを通過し、第2板材13pbで反射した光Lを受光できないと判断すると(いいえ)ロボットアーム12による物品Gの搬送を許可することなくツール確認動作を終了する(終了)。
図9は、検知部14が識別媒体13に向かって光Lを照射させた様子を示す斜視図である。
図9では、便宜上、ツール11の一部の特徴の図示が省略されている。
【0067】
ステップS130において、搬送装置制御部17は、検知部14に識別コード13cを検知させ、ステップS140に進む。
【0068】
より詳細には、ステップS130において、搬送装置制御部17は、検知部14に識別コード13cに対して光Lを照射させながら、ロボットアーム12にツール11を水平方向に移動させる(
図9の矢印参照)。同時に、搬送装置制御部17は、6つの孔Haのそれぞれについて、孔Haを通過して第2板材13pbで反射した光Lを検知部14が受光したかどうかを記録する。言い換えると、搬送装置制御部17は、6つの孔Haのそれぞれについて、開放状態及び閉塞状態のいずれの状態にあるかを記録する。
【0069】
ステップS140において、搬送装置制御部17は、検知部14が検知した識別コード13cが、これから実行される箱詰動作で容器Cに詰められる物品Gに関連付けられたツール情報iaと一致するか否かを判断して、ステップS150へ進むかツール確認動作を終了する。
【0070】
より詳細には、搬送装置制御部17は、ステップS140において検知部14が検知した識別コード13cが、ステップS100において読み出した第1情報iのツール情報iaと一致すると判断すると(はい)ステップ150へ進む。また、搬送装置制御部17は、ステップS140において検知部14が検知した識別コード13cが、ステップS100において読み出した第1情報iのツール情報iaと一致しないと判断すると(いいえ)ロボットアーム12による物品Gの搬送動作を許可することなくツール確認動作を終了する(終了)。
【0071】
ここで、識別コード13cがツール情報iaと一致するとは、孔Ha1、孔Ha2、孔Ha1、孔Ha1、孔Ha1、及び孔Ha6それぞれの開放/閉塞状態が、ツール情報iaの各ビットが示す開放/閉塞状態(具体的には、0又は1の値)と一致することをいう。
【0072】
ステップS160において、搬送装置制御部17は、ロボットアーム12による物品Gの搬送を許可して、ツール確認動作を終了する(終了)。
【0073】
搬送装置10は、物品Gの種類に関連付けられたツール情報ia及び位置情報ibを読み出し、位置情報ibに基づいてツール11を移動させた後、検知した識別コード13cがツール情報iaと一致するか否かを判断する。このため、識別媒体13が取付けられる位置がツール11の種類ごとに異なっていても、ツール11を移動させることで、確実に検知部14による識別コード13cの検知を行える。したがって、搬送装置10は、種類によって形状や大きさが異なるツール11を用いても、識別コード13cを検知して取り付けられたツール11を特定できる。
【0074】
また、搬送装置10では、識別コード13cが複数の孔Haの組み合わせという単純な構造で構成される。したがって、搬送装置10によれば、装置の製造コストが抑制される。
【0075】
また、搬送装置10では、孔Haの状態がピンPの挿入/抜取りという簡単な方法により変更できる。したがって、搬送装置10によれば、装置の製造コストが抑制される。
【0076】
(3-2)箱詰動作
箱詰動作では、箱詰装置制御部70及び搬送装置制御部17が、次のように箱詰装置100の各部を制御する。箱詰装置制御部70は、ツール確認動作が終了し、かつ、ロボットアーム12による物品Gの搬送動作が許可されている場合に、箱詰動作を開始する。箱詰装置制御部70は、ロボットアーム12による物品Gの搬送動作が許可されることなくツール確認動作が終了した場合は、箱詰動作を行うことなく箱詰装置100の動作を終了することができる。
【0077】
第1コンベア91は、物品入口81に投入された物品Gを下流へ搬送する。パラレルリンクロボット20は、第1コンベア91が搬送した物品Gを把持し、所定の姿勢で第2コンベア92の上流に並べる。第2コンベア92は、上流に並べられた物品Gを下流へ搬送する。
【0078】
以上の動作と並行して、第3コンベア93は、容器入口82に投入された容器Cを下流へ搬送する。押出機構95は、第3コンベア93の下流に搬送された容器Cを第4コンベアへ押し出して移動させる。第4コンベア94は、第3コンベア93から押し出された容器Cを容器待機位置94aまで搬送し、待機する。
【0079】
箱詰装置制御部70は、第2コンベア92が物品Gを下流へ搬送すると搬送装置制御部17に搬送動作をさせる。搬送動作において、ロボットアーム12は、第2コンベア92の下流に搬送された物品Gに第1吸着部材111b及び第2吸着部材112bの先端が近づくか当接する位置までツール11を移動する。負圧発生部15は、物品Gに第1吸着部材111b及び第2吸着部材112bの先端が近づくか当接すると、負圧を発生する。負圧発生部15が発生した負圧は、ブロアホース15a、第1負圧室111a及び第2負圧室112aを介して、第1吸着部材111b及び第2吸着部材112bのそれぞれに供給される。第1吸着部材111b及び第2吸着部材112bに供給された負圧が物品Gに作用すると、物品Gは、ツール11に対して吸着され、把持される。
【0080】
ツール11が物品Gを把持すると、ロボットアーム12は、第2コンベア92の上方から容器待機位置94aで待機する容器Cの開口までツール11を移動する。ツール11が容器Cの開口まで移動すると、負圧発生部15は負圧の発生を停止する。これにより、ツール11に把持されていた物品Gは落下して、容器Cに詰められる。その後、ロボットアーム12は、第2コンベア92の下流に搬送された物品Gを把持できる位置まで戻る。以上で、搬送動作は、終了する。
【0081】
搬送装置10が、上述したコンベア群90の動作及び搬送動作を所定回数繰り返すことで、容器Cに所定の数の物品Gが充填される。容器Cに所定の数の物品Gが充填されると、第4コンベア94は、容器Cを容器出口83まで搬送する。
【0082】
箱詰装置制御部70は、例えば、所定の数の物品Gが充填された容器Cを所定の数だけ生産し終えると箱詰動作を終了する。箱詰動作が終了する際に、箱詰装置制御部70は、ロボットアーム12をロボットアーム待機位置へ移動させる。
【0083】
(4)変形例
(4-1)変形例A
搬送装置10は、検知部14を少なくとも前後及び左右の各方向に移動するアクチュエータ(図示省略)をさらに備えてもよい。当該アクチュエータは、搬送装置制御部17が制御する。この場合、ツール確認動作のステップS110及び/又はステップS130において、搬送装置制御部17は、検知部14が識別コード13cを検知するために、位置情報ibに基づいてアクチュエータに検知部14を移動させてもよい。
【0084】
(4-2)変形例B
上述の実施形態では、位置情報ibが水平方向における座標と垂直方向における座標とにより定まる1点であったが、位置情報ibは、所定の範囲を有するように定められてもよい。
【0085】
この場合、搬送装置制御部17は、ツール確認動作のステップS110においてヘッダ13hを検知できない場合に、ヘッダ13hが検知されるまで検知部14に位置情報ibの範囲を走査させてもよい。
【0086】
(4-3)変形例C
ツール11の形状及び識別媒体13の位置は、上述の態様に限定されない。
図10A及び
図10Bは、ツール11の他の例である。
【0087】
図10Aに示されたツール11は、
図3、
図4に示されたツール11と比べて、識別媒体13が上方に取り付けられている。
【0088】
図10Bに示されたツール11は、第1吸気部111と第2吸気部112とが左右方向に沿って並んで配置され、取付部113の左側面に識別媒体13が取り付けられている。
【0089】
また、図示は省略するが、ツール11は、吸着部材111b、112b、スライド機構114と、フレキシブルホース115の少なくともいずれかを有していなくてもよい。さらに、ツール11は、第1吸気部111及び第2吸気部112のいずれかのみを有していてもよい。
【符号の説明】
【0090】
100:箱詰装置
10:搬送装置
11:ツール
12:ロボットアーム(ロボット)
13:識別媒体
13c:識別コード
14:検知部
15:負圧発生部
15a:ブロアホース
16:記憶部
17:搬送装置制御部(制御部)
20:パラレルリンクロボット
80:フレーム
90:コンベア群
G:物品
C:箱
H:孔
P:ピン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】