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  • 特開-パルス管冷凍機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085233
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】パルス管冷凍機
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
F25B9/00 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199651
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】平塚 善勝
(57)【要約】
【課題】ムービングプラグ型のパルス管冷凍機の効率を改善することに役立つ技術を提供する。
【解決手段】パルス管冷凍機10は、圧力振動源12と、第1段パルス管20aと、第2段パルス管20bと、圧力振動源12を第1段パルス管20aに接続する第1段蓄冷器22aと、第1段蓄冷器22aを第2段パルス管20bに接続する第2段蓄冷器22bと、第1ピストン26aを備え、第1ピストン26aによって第1室30aと第2室32aに仕切られ、第1室30aが圧力振動源12に接続され、第2室32aが第1段パルス管20aの高温端に接続された第1段ムービングプラグ24aと、第2ピストン26bを備え、第2ピストン26bによって第3室30bと第4室32bに仕切られ、第3室30bが圧力振動源12に接続され、第4室32bが第2段パルス管20bの高温端に接続された第2段ムービングプラグ24bと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力振動源と、
第1段パルス管と、
第2段パルス管と、
高温端で前記圧力振動源に接続され、低温端で前記第1段パルス管の低温端に接続された第1段蓄冷器と、
高温端で前記第1段蓄冷器の低温端に接続され、低温端で前記第2段パルス管の低温端に接続された第2段蓄冷器と、
第1ピストンを備え、前記第1ピストンによって第1室と第2室に仕切られ、前記第1室が前記圧力振動源に接続され、前記第2室が前記第1段パルス管の高温端に接続された第1段ムービングプラグと、
第2ピストンを備え、前記第2ピストンによって第3室と第4室に仕切られ、前記第3室が前記圧力振動源に接続され、前記第4室が前記第2段パルス管の高温端に接続された第2段ムービングプラグと、を備えることを特徴とするパルス管冷凍機。
【請求項2】
前記パルス管冷凍機は、前記第1段パルス管の低温端および前記第1段蓄冷器の低温端が設けられた第1段低温部を備え、
前記第3室は、前記第1段低温部を介して前記圧力振動源に接続され、
前記第4室は、前記第1段低温部を介して前記第2段パルス管の高温端に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス管冷凍機。
【請求項3】
前記第1段ムービングプラグは、対向する一組の第1ピストンを備え、及び/または、
前記第2段ムービングプラグは、対向する一組の第2ピストンを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のパルス管冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス管冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パルス管冷凍機には、パルス管高温端での位相制御のために、イナータンス管と呼ばれる長い細管を用いたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-85122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、パルス管冷凍機について鋭意研究を重ねた結果、以下の課題を認識するに至った。パルス管冷凍機の位相制御の他の方式の一つとして、ムービングプラグを用いるタイプがある。ムービングプラグ型の2段パルス管冷凍機の典型的な設計では、ムービングプラグ型ステップディスプレーサとも呼ばれるが、第1段パルス管および第2段パルス管の両者の高温端が一つのムービングプラグに接続され、第1段の位相制御と第2段の位相制御がこの共通のムービングプラグによって行われている。この場合、第1段と第2段の位相を独立に変えることができないため、パルス管冷凍機の位相制御の最適化に限界がある。
【0005】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、ムービングプラグ型のパルス管冷凍機の効率を改善することに役立つ技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によると、パルス管冷凍機は、圧力振動源と、第1段パルス管と、第2段パルス管と、高温端で圧力振動源に接続され、低温端で第1段パルス管の低温端に接続された第1段蓄冷器と、高温端で第1段蓄冷器の低温端に接続され、低温端で第2段パルス管の低温端に接続された第2段蓄冷器と、第1ピストンを備え、第1ピストンによって第1室と第2室に仕切られ、第1室が圧力振動源に接続され、第2室が第1段パルス管の高温端に接続された第1段ムービングプラグと、第2ピストンを備え、第2ピストンによって第3室と第4室に仕切られ、第3室が圧力振動源に接続され、第4室が第2段パルス管の高温端に接続された第2段ムービングプラグと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ムービングプラグ型のパルス管冷凍機の効率を改善することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係るパルス管冷凍機を概略的に示す図である。
図2図2(a)および図2(b)は、実施の形態に係るパルス管冷凍機に適用しうるムービングプラグの他の一例を概略的に示す図である。
図3】実施の形態に係るパルス管冷凍機10に適用しうる圧縮機ピストンの他の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0010】
図1は、実施の形態に係るパルス管冷凍機10を概略的に示す図である。パルス管冷凍機10は、スターリング型パルス管冷凍機として構成され、圧力振動源12と、接続流路14と、コールドヘッドとも称される膨張器16とを備える。パルス管冷凍機10は、二段パルス管冷凍機であり、膨張器16は、第1段低温部18aと第2段低温部18bを備える。詳細は後述するが、膨張器16は、位相制御部として第1段ムービングプラグ24aと第2段ムービングプラグ24bを備える。
【0011】
パルス管冷凍機10の冷媒ガスは典型的にヘリウムガスが使用される。ただし、これに限られず、適切な他のガスを冷媒ガスとして用いることも可能である。冷媒ガスは、パルス管冷凍機10内に充填され封入されている。
【0012】
パルス管冷凍機10は、圧力振動源12の動作によってパルス管内に冷媒ガスの圧力振動が誘起され、位相制御部の作用により圧力振動と同期して適切な位相差をもって、パルス管内で冷媒ガスの変位振動すなわちガスピストンの往復動が生じるように、設計されている。ある圧力を保持しながらパルス管内をその管軸方向に周期的に往復する冷媒ガスの動きは、しばしば「ガスピストン」と称され、パルス管冷凍機10の挙動を説明するためによく用いられる。ガスピストンがパルス管の高温端またはその近傍にあるときパルス管の低温端で冷媒ガスが膨張し、寒冷が発生する。
【0013】
このような冷凍サイクル(例えば、具体的には、逆スターリングサイクル)を繰り返すことにより、パルス管冷凍機10は、第1段低温部18aと第2段低温部18bを所望の極低温に冷却することができる。したがって、パルス管冷凍機10は、これら低温部に設置され、または適宜の伝熱部材を介して熱的に結合された被冷却物を極低温に冷却することができる。被冷却物は、低温部に接触する気体または液体であってもよい。
【0014】
例えば、第1段低温部18aは第1冷却温度(例えば100K未満であり、例えば30K~60K程度の温度)に冷却され、第2段低温部18bは第1冷却温度よりも低い第2冷却温度(例えば20K未満であり、例えば約4K程度またはそれ以下の温度)に冷却される。これら低温部は、例えば銅(例えば純銅)などの金属材料またはその他の高い熱伝導率をもつ材料で形成され、冷却ステージと呼ばれることもある。
【0015】
圧力振動源12は、対向して同軸に配置された2つの圧縮機シリンダ12aを有する、いわゆる対向二気筒のリニア圧縮機として構成されている。各圧縮機シリンダ12aには、圧縮機ピストン12bと、圧縮機ピストン12bをその軸方向に振動させるリニアアクチュエータ12cが収容されている。圧縮機ピストン12bは、フレクシャベアリング12dとも呼ばれる板バネまたは弾性支持部材を介して、径方向および周方向の変位は規制されつつ軸方向には変位できるように圧縮機シリンダ12aに弾性的に支持されている。また圧縮機シリンダ12aは、リニアアクチュエータ12cを固定的に支持する。圧縮機シリンダ12aと圧縮機ピストン12bとの間に圧縮室12eが形成される。接続流路14の一端が圧縮室12eに接続されている。
【0016】
リニアアクチュエータ12cの駆動により、圧縮機ピストン12bが軸方向に振動される。それにより圧縮室12eの容積が振動的に増減し、圧縮室12e内の冷媒ガスの圧力振動が生成される。一例として、圧力振動の平均圧力は例えばメガパスカルのオーダ、例えば約1~4MPaの範囲にあり、圧力振幅は例えば約0.5~1MPa以内の範囲にあり、周波数は例えば約50~60Hzの範囲にあってもよい。
【0017】
接続流路14は、圧力振動源12と膨張器16との間で相互に双方向に冷媒ガスを流すことができるように圧力振動源12と膨張器16とを接続する。よって、圧力振動源12により生成される冷媒ガスの圧力振動は、接続流路14を介して膨張器16に伝達され、それにより膨張器16内に圧力振動を誘起することができる。接続流路14は、例えば、フレキシブル管であってもよいし、剛性管であってもよい。
【0018】
膨張器16は、第1段パルス管20aと第1段蓄冷器22aを備える。第1段蓄冷器22aは、その高温端で圧力振動源12に接続され、低温端で第1段パルス管20aの低温端に接続されている。よって、第1段蓄冷器22aは、接続流路14を通じて圧力振動源12に接続されている。第1段蓄冷器22aの低温端と第1段パルス管20aの低温端は、第1段低温部18aにより構造的に結合され、第1段低温部18aの内部流路を通じて相互に双方向に冷媒ガスを流すことができるように接続されている。
【0019】
また、膨張器16は、第2段パルス管20bと第2段蓄冷器22bを備える。第2段蓄冷器22bは、その高温端で第1段蓄冷器22aの低温端に接続され、低温端で第2段パルス管20bの低温端に接続されている。よって、第2段蓄冷器22bは、第1段蓄冷器22aを通じて圧力振動源12に接続されている。第2段蓄冷器22bの低温端と第2段パルス管20bの低温端は、第2段低温部18bにより構造的に結合され、第2段低温部18bの内部流路を通じて相互に双方向に冷媒ガスを流すことができるように接続されている。また、第2段パルス管20bの高温端は、第1段低温部18aに結合されており、第1段低温部18aによって上述の第1冷却温度に冷却される。
【0020】
例示的な構成として、第1段パルス管20aおよび第2段パルス管20bはそれぞれ、例えば円筒または他の適切な形状を有する管状の部材であり、冷媒ガスを収容できる内部空間を有する。第1段蓄冷器22aおよび第2段蓄冷器22bは、円筒またはそのほか筒状の形状を有する容器と、この容器に充填された蓄冷材とを備える。
【0021】
第1段ムービングプラグ24aは、第1ピストン26aと第1シリンダ28aを備える。第1ピストン26aは、第1シリンダ28a内に配置され、第1シリンダ28aは、第1ピストン26aによって第1室30aと第2室32aに仕切られている。第1室30aは、圧力振動源12に接続され、第2室32aは、第1段パルス管20aの高温端に接続されている。圧力振動源12から延びる接続流路14は、途中で分岐しており、その一方が第1段蓄冷器22aの高温端に接続され、他方が第1室30aに接続されている。第1段ムービングプラグ24aは、圧力振動源12と同様に、周囲環境(例えば室温大気圧環境)に配置される。
【0022】
第1ピストン26aは、その軸方向に第1シリンダ28aに対して移動できるように、例えば板バネまたは弾性支持部材を介して、径方向および周方向の変位は規制されつつ軸方向には変位できるように第1シリンダ28aに弾性的に支持されている。よって、圧力振動源12によって生成される圧力振動流が第1室30aに導入され、第1段パルス管20aの高温端から圧力振動が第2室32aに導入されるとき、第1ピストン26aは、これら圧力振動間の振動的な差圧によって軸方向に振動する。第1段ムービングプラグ24aは、第1ピストン26aの振動特性が第1段パルス管20aの高温端に所望の位相制御を提供するように設計されている。
【0023】
第2段ムービングプラグ24bは、第1段ムービングプラグ24aと同様の構成を有するが、その設置場所が異なっている。第2段ムービングプラグ24bは、第2ピストン26bと第2シリンダ28bを備える。第2ピストン26bは、第2シリンダ28b内に配置され、第2シリンダ28bは、第2ピストン26bによって第3室30bと第4室32bに仕切られている。第3室30bは、圧力振動源12に接続され、第4室32bは、第2段パルス管20bの高温端に接続されている。第3室30bは、第1段蓄冷器22aを通じて圧力振動源12に接続されている。
【0024】
第2ピストン26bは、その軸方向に第2シリンダ28bに対して移動できるように、例えば板バネまたは弾性支持部材を介して、径方向および周方向の変位は規制されつつ軸方向には変位できるように第2シリンダ28bに弾性的に支持されている。よって、圧力振動源12によって生成される圧力振動流が第1段蓄冷器22aを通じて第3室30bに導入され、第2段パルス管20bの高温端から圧力振動が第4室32bに導入されるとき、第2ピストン26bは、これら圧力振動間の振動的な差圧によって軸方向に振動する。第2段ムービングプラグ24bは、第2ピストン26bの振動特性が第2段パルス管20bの高温端に所望の位相制御を提供するように設計されている。
【0025】
したがって、実施の形態によると、第1段ムービングプラグ24aがパルス管冷凍機10の第1段の位相制御を可能にし、第2段ムービングプラグ24bがパルス管冷凍機10の第2段の位相制御を可能にする。第1段と第2段の位相制御が単一のムービングプラグで行われる既存の典型的な設計とは異なり、第1段と第2段の位相制御を互いに独立に設計することができる。これにより、パルス管冷凍機の効率をさらに改善しうる。
【0026】
ここで、第2段ムービングプラグ24bの第3室30bは、第1段低温部18aを介して圧力振動源12に接続されている。第3室30bと第1段蓄冷器22aの低温端とが第1段低温部18aの内部流路を通じて相互に双方向に冷媒ガスを流すことができるように接続されている。また、第4室32bは、第1段低温部18aを介して第2段パルス管20bの高温端に接続されている。上述のように第2段パルス管20bの高温端は第1段低温部18aに結合されているから、第4室32bと第2段パルス管20bの高温端とが第1段低温部18aの内部流路を通じて相互に双方向に冷媒ガスを流すことができるように接続されている。
【0027】
このようにして、第2段ムービングプラグ24bは、第1段低温部18aと同様に、低温環境に配置されている。第2段ムービングプラグ24bは、第1段低温部18aの近傍に配置され、または第1段低温部18aに取り付けられていてもよい。これにより、第2段ムービングプラグ24bと第2段パルス管20bの高温端との間で流れる冷媒ガスは、第2段ムービングプラグ24bがより高温の周囲環境に配置される場合に比べて低温となる。これも、パルス管冷凍機10の効率を改善することに役立つ。
【0028】
図2(a)および図2(b)は、実施の形態に係るパルス管冷凍機10に適用しうるムービングプラグの他の一例を概略的に示す図である。
【0029】
図2(a)に示されるように、第1段ムービングプラグ24aは、上述の圧力振動源12と同様に、対向する一組の第1ピストン26aを備えてもよい。各第1ピストン26aは、上述の第1段ムービングプラグ24aと同様に、対応する第1シリンダ28a内で軸方向に振動可能に配置され、第1シリンダ28aは、第1ピストン26aによって第1室30aと第2室32aに仕切られている。第1室30aは、圧力振動源12に接続され、第2室32aは、第1段パルス管20aの高温端に接続されている。対向する第1ピストン26aにより、第1段ムービングプラグ24aの作動に伴い発生する振動を低減することができる。
【0030】
また、図2(b)に示されるように、第2段ムービングプラグ24bは、対向する一組の第2ピストン26bを備えてもよい。各第2ピストン26bは、対応する第2シリンダ28b内で軸方向に振動可能に配置され、第2シリンダ28bは、第2ピストン26bによって第3室30bと第4室32bに仕切られている。第3室30bは、第1段蓄冷器22aを通じて圧力振動源12に接続され、第4室32bは、第2段パルス管20bの高温端に接続されている。上述の実施の形態と同様に、第3室30bは、第1段低温部18aおよび第1段蓄冷器22aを介して圧力振動源12に接続され、第4室32bは、第1段低温部18aを介して第2段パルス管20bの高温端に接続されてもよい。対向する第2ピストン26bにより、第2段ムービングプラグ24bの作動に伴い発生する振動を低減することができる。
【0031】
図3は、実施の形態に係るパルス管冷凍機10に適用しうる圧縮機ピストン12bの他の一例を概略的に示す図である。圧縮機ピストン12bは、その外周面に軸受40を備えてもよい。軸受40は、例えばリニアボールベアリングであってもよい。圧縮機ピストン12bは、軸受40を介して圧縮機シリンダ12aによって軸方向にガイドされる。シール部42が圧縮機ピストン12bと圧縮機シリンダ12aとの間に形成されてもよい。軸受40は、圧縮機ピストン12bの外周面の上部と下部に設置され、シール部42は、圧縮機ピストン12bの外周面の中間部に設けられてもよい。また、圧縮機ピストン12bは、一端が開放された中空の筒形状を有しており、圧縮機ピストン12bを圧縮機シリンダ12aなどの静止部に弾性的に支持する弾性部材(例えば、ばね)44がピストン内部に収められている。
【0032】
既存の設計では、例えば図1に示されるように、圧縮機ピストン12bは圧縮機シリンダ12aとの間に圧縮室12eを画定するピストン本体とこの本体から圧縮室12eとは反対側に延びるピストンロッドとを備え、ピストンロッドが圧縮機シリンダ12aに弾性的に支持されている。この場合、ピストンロッドの分だけ圧縮機ピストン12bが長くなり、圧力振動源12も長手方向にサイズが大きくなりがちである。また、圧縮機ピストン12bは片持ち支持されているため、フレクシャベアリング12dなど軸受部の負荷も大きくなり得る。
【0033】
これに対して、図3に示される圧縮機ピストン12bは、ピストンロッドをなくすことができ、圧縮機ピストン12bひいては圧力振動源12の小型化が可能になる。また、シール部42を上下に挟み込むように軸受40が配置されることで、圧縮機ピストン12bのブレを抑えることができ、信頼性向上につながる。
【0034】
なお、図3に示される圧縮機ピストン12bおよび軸受40を備えるピストン構造は、第1段ムービングプラグ24aの第1ピストン26a及び/または第2段ムービングプラグ24bの第2ピストン26bに適用されてもよい。
【0035】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0036】
10 パルス管冷凍機、 12 圧力振動源、 18a 第1段低温部、 18b 第2段低温部、 20a 第1段パルス管、 20b 第2段パルス管、 22a 第1段蓄冷器、 22b 第2段蓄冷器、 24a 第1段ムービングプラグ、 24b 第2段ムービングプラグ、 26a 第1ピストン、 26b 第2ピストン、 30a 第1室、 30b 第3室、 32a 第2室、 32b 第4室。
図1
図2
図3