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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085243
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/54 20060101AFI20240619BHJP
   A01B 39/18 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
A01D34/54
A01B39/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199665
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 忠治
(72)【発明者】
【氏名】須本 大智
【テーマコード(参考)】
2B034
2B083
【Fターム(参考)】
2B034AA07
2B034BA05
2B034BC06
2B034BE03
2B034BE06
2B034HA16
2B034HB02
2B034HB33
2B034HB47
2B083AA01
2B083BA12
2B083BA16
2B083GA02
2B083GA06
2B083HA05
2B083HA32
2B083HA34
2B083HA51
(57)【要約】
【課題】従動ローラを備えた作業機において、従動ローラを支持する軸受け部への異物の侵入を抑制すること。
【解決手段】一実施形態の作業機は、所定の作業を行う作業部と、前記作業部の後方に設けられた従動ローラ部と、を備え、前記従動ローラ部は、前記作業部に取り付けられた支持プレートと、前記支持プレートに支持された軸受け部と、前記軸受け部に軸支された従動ローラと、前記従動ローラに固定された第1シールド部材と、を有し、前記第1シールド部材は、前記軸受け部と前記従動ローラとの間に設けられた第1の空隙よりも前記従動ローラの径方向の外側に配置され、前記従動ローラの軸方向に延在する第1シールド部を含み、前記第1シールド部と前記軸受け部の外周面との間には、前記第1の空隙と連通する第2の空隙が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を行う作業部と、
前記作業部の後方に設けられた従動ローラ部と、
を備え、
前記従動ローラ部は、
前記作業部に取り付けられた支持プレートと、
前記支持プレートに支持された軸受け部と、
前記軸受け部に軸支された従動ローラと、
前記従動ローラに固定された第1シールド部材と、
を有し、
前記第1シールド部材は、前記軸受け部と前記従動ローラとの間に設けられた第1の空隙よりも前記従動ローラの径方向の外側に配置され、前記従動ローラの軸方向に延在する第1シールド部を含み、
前記第1シールド部と前記軸受け部の外周面との間には、前記第1の空隙と連通する第2の空隙が設けられている、作業機。
【請求項2】
前記従動ローラ部は、前記軸受け部の外周面に固定された第2シールド部材をさらに有し、
前記第2シールド部材は、
前記従動ローラの軸方向において前記第2の空隙に重なるとともに前記従動ローラの径方向に延在する第2シールド部と、
前記第2シールド部に連続し、前記従動ローラの軸方向に延在するとともに前記従動ローラの径方向において前記第1シールド部と重なる第3シールド部と、
を含み、
前記第3シールド部と前記第1シールド部との間には、前記第2の空隙に連通する第3の空隙が設けられている、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
所定の作業を行う作業部と、
前記作業部の後方に設けられた従動ローラ部と、
を備え、
前記従動ローラ部は、
前記作業部に取り付けられた支持プレートと、
前記支持プレートに支持された軸受け部と、
前記軸受け部に軸支された従動ローラと、
前記軸受け部に固定されたシールド部材と、
を有し、
前記シールド部材は、前記軸受け部と前記従動ローラとの間に設けられた第1の空隙よりも前記従動ローラの径方向の外側に配置され、前記従動ローラの軸方向に延在するシールド部を含み、
前記従動ローラの端面には、前記従動ローラの回転軸を中心とする円形の溝部が設けられ、
前記シールド部の端部は、前記溝部に当該溝部の内壁から離隔するように挿入されている、作業機。
【請求項4】
所定の作業を行う作業部と、
前記作業部の後方に設けられた従動ローラ部と、
を備え、
前記従動ローラ部は、
前記作業部に取り付けられた支持プレートと、
前記支持プレートに支持された軸受け部と、
前記軸受け部に軸支された従動ローラと、
を有し、
前記従動ローラの端面には、前記従動ローラの回転軸を中心とする円形の溝部が設けられ、
前記軸受け部のボス部の端部は、前記溝部に当該溝部の内壁から離隔するように挿入されている、作業機。
【請求項5】
前記軸受け部は、シールド形ベアリングを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項6】
前記支持プレートに固定され、前記軸受け部の少なくとも一部を覆うカバー部材をさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項7】
前記カバー部材は、前記軸受け部を前方から上方にかけて覆う板状の部材である、請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記従動ローラは、前記従動ローラに固定されるとともに前記支持プレートに向かって突出するカバー部を含み、
前記カバー部は、前記軸受け部の少なくとも一部を覆う、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項9】
前記カバー部は、前記従動ローラと同軸を中心にして回転する円筒状の部分である、請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記カバー部は、前記従動ローラの一部である、請求項9に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業部の後方に従動ローラを有する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農道や荒れ地の雑草を除去するため草刈り作業を行う作業機として草刈り機が知られている。一般的に、草刈り機は、トラクタ等の走行機体の後部に装着され、走行機体と共に移動しながら作業部を動作させることにより草刈り作業を進める。作業部は、走行機体の進行方向と略垂直な方向に延在する爪軸を有し、爪軸に取り付けられた複数の刈刃を回転させることにより草刈り作業を行う。そのため、適切な高さで草を切断するためには、回転する複数の刈刃と地面との間の距離を適切に設定する必要がある。
【0003】
近年では、作業部に刈取り高さを安定させる機構として、刈取り作業部の後方にゲージローラを設けることにより、刈取り作業部の姿勢を調整する草刈り機が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-103844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の草刈り機におけるゲージローラは、刈取り作業部の左右の側板から後方に延設した取付け板に左右端部を回転自在に保持されるため、ゲージローラと取付け板との間には軸受け部を配置するための隙間が形成される。このとき、刈り取られた草が後方のゲージローラに向かって飛散すると、上述の隙間に草が絡んで草詰まりを起こす場合がある。この場合、草詰まりによる負荷によって軸受け部が破損したり、ゲージローラが回転しなくなったりするなどの不具合が生じ得る。特に、ゲージローラのように接した作業地等との摩擦により回転するローラ(回転体)は、草詰まりによる回転不良が顕著に現れるという問題があった。また、草刈り作業中に後方に飛散した土が上述の隙間から軸受け部内部に侵入すると、軸受け部の内部に配置されたベアリングが破損したりする場合もあった。
【0006】
そのため、従来、軸受け部内部のベアリングに注油するために、軸受け部にグリスニップルを設ける構造を採用していた。しかしながら、そのような構造の軸受け部は、グリスニップルを設けたり内部にオイルシールを設けたりするスペースを確保する必要があるため、全体的にサイズが大きくなる。その結果、ゲージローラと取付け板との間の間隙も大きくなり、異物が侵入する確率を高めてしまうという問題があった。
【0007】
本発明の課題の一つは、従動ローラを備えた作業機において、従動ローラを支持する軸受け部への異物の侵入を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態における作業機は、所定の作業を行う作業部と、前記作業部の後方に設けられた従動ローラ部と、を備え、前記従動ローラ部は、前記作業部に取り付けられた支持プレートと、前記支持プレートに支持された軸受け部と、前記軸受け部に軸支された従動ローラと、前記従動ローラに固定された第1シールド部材と、を有し、前記第1シールド部材は、前記軸受け部と前記従動ローラとの間に設けられた第1の空隙よりも前記従動ローラの径方向の外側に配置され、前記従動ローラの軸方向に延在する第1シールド部を含み、前記第1シールド部と前記軸受け部の外周面との間には、前記第1の空隙と連通する第2の空隙が設けられている。
【0009】
前記従動ローラ部は、前記軸受け部の外周面に固定された第2シールド部材をさらに有していてもよい。前記第2シールド部材は、前記従動ローラの軸方向において前記第2の空隙に重なるとともに前記従動ローラの径方向に延在する第2シールド部と、前記第2シールド部と連続し、前記従動ローラの軸方向に延在するとともに前記従動ローラの径方向において前記第1シールド部と重なる第3シールド部と、を含んでもよく、前記第3シールド部と前記第1シールド部との間には、前記第2の空隙に連通する第3の空隙が設けられていてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態における作業機は、所定の作業を行う作業部と、前記作業部の後方に設けられた従動ローラ部と、を備え、前記従動ローラ部は、前記作業部に取り付けられた支持プレートと、前記支持プレートに支持された軸受け部と、前記軸受け部に軸支された従動ローラと、前記軸受け部に固定されたシールド部材と、を有し、前記シールド部材は、前記軸受け部と前記従動ローラとの間に設けられた第1の空隙よりも前記従動ローラの径方向の外側に配置され、前記従動ローラの軸方向に延在するシールド部を含み、前記従動ローラの端面には、前記従動ローラの回転軸を中心とする円形の溝部が設けられ、前記シールド部の端部は、前記溝部に当該溝部の内壁から離隔するように挿入されている。
【0011】
本発明の一実施形態における作業機は、所定の作業を行う作業部と、前記作業部の後方に設けられた従動ローラ部と、を備え、前記従動ローラ部は、前記作業部に取り付けられた支持プレートと、前記支持プレートに支持された軸受け部と、前記軸受け部に軸支された従動ローラと、を有し、前記従動ローラの端面には、前記従動ローラの回転軸を中心とする円形の溝部が設けられ、前記軸受け部のボス部の端部は、前記溝部に当該溝部の内壁から離隔するように挿入されている。
【0012】
前記軸受け部は、シールド形ベアリングを含んでもよい。
【0013】
前記作業機は、前記支持プレートに固定され、前記軸受け部の少なくとも一部を覆うカバー部材をさらに含んでもよい。前記カバー部は、前記軸受け部を前方から上方にかけて覆う板状の部分であってもよい。
【0014】
前記従動ローラは、前記従動ローラに固定されるとともに前記支持プレートに向かって突出するカバー部を含んでもよい。前記カバー部は、前記軸受け部の少なくとも一部を覆っていてもよい。前記カバー部は、前記従動ローラと同軸を中心にして回転する円筒状の部分であってもよい。前記カバー部は、前記従動ローラの一部であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によれば、従動ローラを備えた作業機において、従動ローラを支持する軸受け部への異物の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の草刈り機の全体構成を示す図である。
図2】第1実施形態の草刈り機における刈取り高さ調節部の一部を拡大した拡大図である。
図3】第1実施形態の草刈り機の変形例においてゲージローラボスの端部近傍を拡大した拡大図である。
図4】第2実施形態の草刈り機における刈取り高さ調節部の一部を拡大した拡大図である。
図5】第3実施形態の草刈り機における刈取り高さ調節部の一部を拡大した拡大断面図である。
図6】第3実施形態の草刈り機の変形例においてゲージローラボスの端部近傍を拡大した拡大図である。
図7】第4実施形態の草刈り機の全体構成を示す図である。
図8】第5実施形態の草刈り機の全体構成を示す図である。
図9】第5実施形態の草刈り機におけるゲージローラの端部近傍を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態である作業機について説明する。但し、本発明の一実施形態の作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
以下の説明において、説明の便宜上、「上」、「下」、「前」、「後」、「右」、「左」といった方向を示す語句を用いるが、作業機に対して、重力の働く方向が「下」であり、その逆が「上」である。また、作業機の進行する方向が「前」であり、その逆が「後」である。さらに、「前」に向かって、右側が「右」であり、左側が「左」である。また、作業機の進行方向に沿う中心線を基準として、中心線から離れる方向を外側、近づく方向を内側とする。
【0019】
以下の説明において、「従動ローラ」とは、作業対象となる作業地に接した状態で自走機体に牽引されることにより回転する回転体を指す。自走機体とは、例えば、トラクタ等の走行機体、又は、動力源及び走行部を備えた作業機など、自発的に走行可能な機体を意味する。本明細書では、従動ローラを有する機能部を「従動ローラ部」と呼ぶ。例えば、以下に説明する実施形態において、草刈り機が備えるゲージローラは、従動ローラの一例であり、刈取り高さ調節部は、従動ローラ部の一例である。
【0020】
〈第1実施形態〉
本実施形態では、従動ローラを備えた作業機の一例として、草刈り機を例示して説明を行う。具体的には、草刈り作業を行う作業部の後方に、ゲージローラを含む刈取り高さ調節部を備えた草刈り機について説明する。
【0021】
[草刈り機の構成]
図1は、第1実施形態の草刈り機100の全体構成を示す図である。具体的には、図1(A)は、草刈り機100を斜め左上後方から見た斜視図であり、図1(B)は、草刈り機100を後方から見た背面図である。本実施形態では、草刈り機100の一例として、トラクタ等の走行機体に牽引され、走行機体の後方の草刈り作業を行う草刈り機を例示する。ただし、この例に限られるものではなく、草刈り機100は、作業部を横方向にオフセット移動させる機能を有したオフセット型の草刈り機であってもよいし、走行機体を要しない自走式の草刈り機であってもよい。
【0022】
図1(A)に示すように、本実施形態の草刈り機100は、基本的な構成として、装着部110、動力伝達部120、作業部130、及び刈取り高さ調節部140を含む。草刈り機100は、装着部110を介して連結された走行機体(図示せず)に牽引され、走行機体の走行に伴って前方に進行する。草刈り機100が移動する間、作業部130は、走行機体から入力され、動力伝達部120を介して伝達された動力により草刈り作業を行う。
【0023】
装着部110は、走行機体と草刈り機100とを連結するための部位であり、草刈り機100を走行機体の後部に連結する機能を有する。装着部110は、トップリンク連結部111、ロワーリンク連結部112、及び入力軸(図示せず)を含む。
【0024】
トップリンク連結部111は、草刈り機100の前方中央部に設けられ、ロワーリンク連結部112は、草刈り機100の前方左右二箇所に設けられている。草刈り機100は、トップリンク連結部111及びロワーリンク連結部112が、走行機体の後部に設けられた3点リンク機構にそれぞれ連結されることにより、走行機体の後部に昇降可能に連結される。なお、トップリンク連結部111及びロワーリンク連結部112は、オートヒッチアーム(図示せず)を介して走行機体の3点リンク機構に連結されてもよい。
【0025】
図示は省略するが、入力軸は、走行機体のPTO軸にユニバーサルジョイント等を介して連結され、走行機体から伝達された動力を草刈り機100に入力する。
【0026】
動力伝達部120は、装着部110の入力軸を介して入力された動力を作業部130に伝達する機能を有する。動力伝達部120は、ギヤボックス121、メインフレーム122、及び巻き掛け伝動装置123を含む。
【0027】
ギヤボックス121は、上述の入力軸と連結しており、入力された動力の変速等を行う。メインフレーム122は、草刈り機100の骨格となるフレームであり、ギヤボックス121の左右両側に向かって、進行方向に対して略直交する方向(左右方向)に延設されている。ギヤボックス121と巻き掛け伝動装置123との間に配置されたメインフレーム122の内部には、伝動シャフト(図示せず)が内装されている。この伝動シャフトにより、ギヤボックス121から巻き掛け伝動装置123に対して動力が伝達される。
【0028】
巻き掛け伝動装置123は、メインフレーム122の内部の伝動シャフトにより伝達された動力を、作業部130の爪軸131aに伝達する。本実施形態の草刈り機100は、巻き掛け伝動装置123として、チェーン駆動機構を有する。具体的には、巻き掛け伝動装置123は、一対のスプロケット及び一対のスプロケットの間に巻き掛けられたローラーチェーンを有する。メインフレーム122の内部の伝動シャフトにより伝達された動力は、駆動スプロケットの回転動力として伝達される。駆動スプロケットの回転は、ローラーチェーンを介して従動スプロケットに伝達され、従動スプロケットの回転動力が爪軸131aの回転動力として伝達される。なお、本実施形態では、巻き掛け伝動装置123として、チェーン駆動機構を例示したが、この例に限られるものではなく、一対のプーリー及び一対のプーリーの間に巻き掛けられたベルトを有するベルト駆動機構を用いてもよい。
【0029】
作業部130は、動力伝達部120を介して伝達された動力により作業ロータを回転させて草刈り作業を行う機能を有する。作業部130は、作業ロータ131、シールドカバー132、及び側板133を含む。作業ロータ131は、爪軸131a、及び爪軸131aに複数取り付けられた刈刃131bを含む。本実施形態では、刈刃131bとしてフレール爪を用いるが、この例に限られるものではない。
【0030】
爪軸131aは、進行方向に対して略直交するように左右方向に延在する。複数の刈刃131bは、爪軸131aの外周面に所定の間隔を空けて取り付けられている。このとき、複数の刈刃131bは、作業ロータ131を爪軸131aの軸方向に沿って見た場合に、放射状に取り付けられていてもよい。作業ロータ131は、爪軸131aの回転に伴い、複数の刈刃131bを回転させることにより草刈り作業を行う。本実施形態において、作業ロータ131は、アッパーカット方向に回転する。すなわち、草刈り機100を左側面から見た場合に、作業ロータ131は、時計回りに回転する。
【0031】
シールドカバー132は、作業ロータ131の上方に配置され、草刈り作業中における草や土の上方への飛散を防止する。側板133は、作業ロータ131の左右側方に配置され、爪軸131aの両端を回転可能に軸支する。本実施形態では、シールドカバー132と側板133とが一体となっているが、別体として設けられていてもよい。また、本実施形態では、側板133が上部板と下部板の2枚の板状部材で構成されているが、これに限定されるものではなく、側板133は、1枚の板状部材で構成されていてもよい。
【0032】
刈取り高さ調節部140は、作業ロータ131の後方に配置され、草刈り作業時の刈取り高さを調節する機能を有する。本実施形態において、刈取り高さ調節部140は、支持プレート141、軸受け部142、シールド部材143、ゲージローラ144、及びスクレーパ145を含む。ただし、刈取り高さ調節部140の構成は、この例に限られるものではなく、他の要素が追加されていてもよいし、スクレーパ145が省略されていてもよい。前述のとおり、刈取り高さ調節部140は、従動ローラ部の一例であり、ゲージローラ144は、従動ローラの一例である。
【0033】
支持プレート141は、軸受け部142を支持する板状の部材であり、左右の側板133それぞれの後方下部に、上下方向に回転可能に連結される。つまり、本実施形態では、支持プレート141を上下方向に回動させて所望の位置で固定することにより、ゲージローラ144の高さを調節することができる。
【0034】
軸受け部142は、ゲージローラ144を回転可能に軸支する部位である。後述するように、軸受け部142は、ゲージローラ144の軸部144aを回転可能に支持するベアリング142bを内部に含む(図2(B)参照)。本実施形態の刈取り高さ調節部140は、軸受け部142とゲージローラ144との間の形成される空隙への異物の侵入を抑制する構造を備えている。そのため、本実施形態の軸受け部142には、グリスアップの不要なシールド形ベアリングを用いることができる。
【0035】
シールド部材143は、軸受け部142とゲージローラ144との間に形成された空隙の近傍において、ゲージローラ144に固定される。シールド部材143は、前述の空隙に連通する別の空隙を形成することにより、外部から軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制する役割を有する。シールド部材143の具体的な構成については、後述する。
【0036】
ゲージローラ144は、軸受け部142に両端を軸支された回転体であり、草刈り作業時は、草刈り対象となる作業地(地面)に接した状態となる。そのため、草刈り作業時のゲージローラ144は、草刈り機100の進行に合わせて従動的に回転する。ゲージローラ144が作業地に接することにより、刈刃131bの回転軌跡の外周と刈取り対象である草との相対的な位置関係が定まる。すなわち、ゲージローラ144の高さ(刈刃131bとゲージローラ144との相対的な位置関係)を調節することにより、刈刃131bによる草の刈取り高さが調節される。
【0037】
スクレーパ145は、一定の間隙を有するように、ゲージローラ144に沿って配置された長尺の部材であり、例えば金属やゴムで構成される。スクレーパ145は、ゲージローラ144の表面に付着した草や土が所定の厚みを越えて付着した場合、これらに当接してゲージローラ144の表面から除去する役割を果たす。
【0038】
図2は、第1実施形態の草刈り機100における刈取り高さ調節部140の一部を拡大した拡大図である。具体的には、図2(A)は、ゲージローラ144の軸方向における端部近傍を拡大した図であり、図2(B)は、図2(A)の断面図であり、図2(C)は、図2(B)においてシールド部材143の近傍を拡大した拡大図である。図2(A)及び図2(B)において、第1方向(D1方向)は、ゲージローラ144の軸方向に対応し、第1方向と直交する第2方向(D2)方向は、ゲージローラ144の径方向に対応する。
【0039】
図2(A)及び図2(B)に示すように、刈取り高さ調節部140は、外側から順に、支持プレート141、軸受け部142、シールド部材143、及びゲージローラ144を有する。本実施形態において、軸受け部142は、ゲージローラボス142a、ベアリング142b、ストップリング142c、ボルト142d、及びボアプラグ142eを有する。ゲージローラボス142aは、軸受け部142の筐体に相当する円筒状の部材である。ベアリング142bは、ゲージローラ144の軸部144aを回転可能に支持する。本実施形態では、ベアリング142bとして注油の不要なシールド形ベアリングを用いる。ストップリング142cは、ゲージローラ144の軸方向においてゲージローラ144側におけるベアリング142bの位置を固定するための部材である。ボルト142d及びザガネ142eは、ストップリング142cとザガネ142eとの間にベアリング142bを挟持して固定することによりベアリング142bと軸部144aとを連結するために使用される。ボアプラグ142fは、ゲージローラボス142aの端部を塞ぐ蓋として用いられる部材である。ただし、軸受け部142の構成は、この例に限られるものではない。
【0040】
シールド部材143は、第1方向において、ゲージローラボス142aとゲージローラ144との間に配置される。具体的には、シールド部材143は、第1方向におけるゲージローラ144の端面(端部144bの外面)に固定され、ゲージローラボス142aの端面と空隙10a(図2(C)参照)を介して向かい合うように配置されている。したがって、シールド部材143は、ゲージローラ144の回転に伴って、ゲージローラ144と同一の回転軸を中心として回転する。
【0041】
図2(C)に示すように、シールド部材143は、軸方向から見て円形の部材であり、中心に円形の開口部OPが設けられたシールド部143aと、シールド部143aに連続し、シールド部143aから軸受け部142に向かって立ち上がったシールド部143bとを含む。シールド部143aは、第1方向におけるゲージローラ144の端面に沿って第2方向に延在する部分であり、シールド部143bは、軸受け部142の外周面(ゲージローラボス142aの外周面)に沿って第1方向に延在する部分である。
【0042】
本実施形態において、シールド部143aは、第2方向に延在し、第1方向においてゲージローラボス142aと向かい合うように配置される。そのため、ゲージローラボス142aとシールド部143aとの間には、第2方向に延在する空隙10aが形成される。空隙10aは、軸受け部142に対してゲージローラ144を回転可能に支持するためのクリアランス部とも言える。
【0043】
また、シールド部材143は、第2方向において空隙10aよりも外側(すなわち、ゲージローラボス142aの外周面よりも外側)に位置するとともに第1方向に延在するシールド部143bを含む。シールド部143bは、ゲージローラボス142aの外周面(側面)に沿って配置される。そのため、ゲージローラボス142aの外周面とシールド部143bとの間には、第1方向に延在する空隙10bが形成される。図2(C)に示すように、空隙10aと空隙10bとは連通している。換言すれば、本実施形態では、軸受け部142とゲージローラ144との間の空隙10aが、軸受け部142の外周面に沿って第1方向に延長されているとも言える。
【0044】
従来の草刈り機は、軸受け部142とゲージローラ144との間には、ゲージローラ144の径方向に延在する空隙が存在するだけであった。この場合、空隙の入り口が、作業ロータ131に向かって開放されているため、作業ロータ131から飛散する草や土などの異物が空隙に入りやすく、軸受け部142の内部への異物の侵入を防ぐことが困難であった。これに対し、本実施形態の草刈り機100は、軸受け部142の外周面(具体的には、ゲージローラボス142aの外周面)に、第1方向、すなわち、作業ロータ131と向かい合う方向と交差する方向に延在する空隙10bを有する。空隙10bは、その入り口が第1方向に向かって開放されているため、従来に比べて異物の侵入確率が低い。さらに、軸受け部142の外部に空隙10bが存在する分、軸受け部142の内部に異物が侵入するまでの経路を長くすることができる。これらの構造は、いずれも軸受け部142の内部への異物侵入の抑制に寄与する。
【0045】
以上のとおり、本実施形態では、軸受け部142とゲージローラ144との間にシールド部材143を配置することにより、意図的に異物の侵入経路を、第1方向(ゲージローラ144の軸方向)と当該第1方向に直交する第2方向(ゲージローラ144の径方向)とを含むように、すなわち、異なる複数の方向を含むように多方向に延長させ、軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制することができる。具体的には、シールド部材143が、ゲージローラボス142aの外周面に対向するシールド部143bを含み、ゲージローラボス142aとシールド部143bとの間に空隙10aに連通する空隙10bを形成する。このような構造により、異物が空隙10aに到達する確率を低減することができ、結果として、軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制することができる。
【0046】
また、軸受け部142の内部に対する異物の侵入を抑制できるため、軸受け部142に使用するベアリングとして、定期的なグリスアップの不要なシールド形ベアリングを用いることができる。したがって、軸受け部142に定期的に注油する作業が不要となり、刈取り高さ調節部140のメンテナンス性が向上する。さらに、軸受け部142からグリスニップルやオイルシールの配置に要するスペースを省略することができ、軸受け部142全体を小型化することができる。そのため、支持プレート141とゲージローラ144との間の間隙を狭くすることができ、草詰まりの確率を低減することができる。
【0047】
(第1実施形態の変形例)
図2に示す例では、シールド部材143が、第2方向に延在するシールド部143aを含み、シールド部143aがゲージローラ144の端部144bに固定された例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、シールド部材143は、シールド部143aを含まなくてもよい。
【0048】
図3は、第1実施形態の草刈り機100の変形例においてゲージローラボス142aの端部近傍を拡大した拡大図である。図3に示す例では、第1方向に延在するシールド部材143cがゲージローラ144の端部144bから突出するように固定されている。図2(B)及び図2(C)に示したシールド部143bと同様に、シールド部材143cは、ゲージローラボス142aの外周面の周りに配置されている。すなわち、シールド部材143cは、ゲージローラ144の回転に伴って、ゲージローラ144と同一の回転軸を中心として回転する円筒状部材である。ゲージローラボス142aとシールド部材143cとの間には、空隙10aに連通する空隙10cが形成される。
【0049】
このように、第2方向において空隙10aよりも外側に、第1方向に延在する部材がゲージローラボス142aの外周面(側面)に沿って配置されていれば、空隙10aに連通する付加的な空隙を形成することができ、軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制することができる。
【0050】
〈第2実施形態〉
本実施形態では、複数のシールド部材を用いて軸受け部142への異物の侵入を抑制する例について説明する。本実施形態では、第1実施形態との相違点に着目して説明を行い、第1実施形態と同じ要素については、図面において同じ符号を用いて示し、重複する説明を省略する場合がある。
【0051】
図4は、第2実施形態の草刈り機100における刈取り高さ調節部240の一部を拡大した拡大図である。具体的には、図4(A)は、ゲージローラ144の軸方向における端部近傍を拡大した図であり、図4(B)は、図4(A)の断面図であり、図4(C)は、図4(B)においてシールド部材143及びシールド部材153の近傍を拡大した拡大図である。
【0052】
本実施形態の刈取り高さ調節部240は、シールド部材143に加えて、シールド部材153を有する。シールド部材153は、軸受け部142(具体的には、ゲージローラボス142a)の外周面に固定され、その一部がシールド部材143に重畳する。シールド部材153は、ゲージローラボス142aの外周面に沿って配置された円環状の部材で構成される。
【0053】
図4(C)に示すように、シールド部材153は、第2方向に延在するシールド部153aと、シールド部153aに連続するとともに第1方向に延在するシールド部153bとを含む。シールド部153aは、第1方向において空隙10bに重なる。ここで「第1方向において空隙10bに重なる」とは、シールド部153aが、空隙10bの延長線上に位置することを意味する。シールド部153bは、第1方向に延在することにより第2方向においてシールド部143bと重なる。
【0054】
本実施形態では、シールド部材153のうち第2方向に延在するシールド部153aによって第2方向に延在する空隙20aが形成され、シールド部153bとシールド部143bとの間には、第1方向に延在する空隙20bが形成される。図4(C)に示すように、空隙20aは、空隙10bに連通し、空隙20bは、空隙20aに連通する。すなわち、空隙10a、空隙10b、空隙20a、及び空隙20bが互いに連通している。このように、本実施形態によれば、シールド部材143とシールド部材153とを組み合わせることにより、第1実施形態よりもさらに多方向に延長させた空隙を形成することができる。これにより、軸受け部142の内部への異物の侵入を第1実施形態よりもさらに抑制することができる。
【0055】
なお、軸受け部142の内部への異物の侵入をさらに抑制するためには、シールド部材153のシールド部153bとゲージローラ144の端部144bとの間の距離をさらに短くすることが望ましい。例えば、シールド部153bとゲージローラ144の端部(端面)144bとの間の距離を、空隙10aの幅(すなわち、ゲージローラボス142aとシールド部材143との間の距離)よりさらに狭くすることにより、異物の侵入確率をさらに低減することができる。
【0056】
〈第3実施形態〉
本実施形態では、シールド部材を用いることなく軸受け部142への異物の侵入を抑制する例について説明する。本実施形態では、第1実施形態との相違点に着目して説明を行い、第1実施形態と同じ要素については、図面において同じ符号を用いて示し、重複する説明を省略する場合がある。
【0057】
図5は、第3実施形態の草刈り機100における刈取り高さ調節部340の一部を拡大した拡大断面図である。具体的には、図5(A)は、ゲージローラ154の軸方向における端部近傍を拡大した拡大断面図であり、図5(B)は、図5(A)においてゲージローラボス142aの端部近傍を拡大した拡大図である。
【0058】
本実施形態の刈取り高さ調節部340は、第1方向におけるゲージローラ154の端部154bの外面(ゲージローラ154の端面)に溝部154cが設けられている。溝部154cは、ゲージローラ154の端面に対し、ゲージローラ154の回転軸(すなわち、軸部154aの中心)を中心とする同心円上に設けられている。つまり、ゲージローラ154の端面には、ゲージローラの回転軸を中心とする円形の溝部154cが設けられている。
【0059】
本実施形態では、図5(B)に示すように、第2方向における溝部154cの幅W1をゲージローラボス142aの幅W2よりも大きくする。そして、ゲージローラボス142aの端部を溝部154cに挿入することにより、溝部154cの内部に空隙30を形成する。ただし、ゲージローラボス142aの端部が溝部154cの内壁(側壁及び底部)に接しないようにする。すなわち、ゲージローラボス142aの端部は、溝部154cの内壁(側壁及び底部)から離隔するように配置される。これにより、ゲージローラボス142aの端部と溝部154cとの間に、軸受け部142の内部から外部へと通じる空隙30が形成される。
【0060】
以上のように、本実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態で説明したシールド部材を用いることなく、ゲージローラボス142aとゲージローラ154に設けられた溝部154cとを用いて多方向に延長させた空隙30を形成することができる。したがって、第1実施形態や第2実施形態より簡易な構造で軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制することができる。
【0061】
(第3実施形態の変形例)
図5に示す例では、ゲージローラ154に設けた溝部154cにゲージローラボス142aの先端部を挿入して空隙30を形成する例を示したが、ゲージローラボス142a以外の部材を用いて空隙を形成することも可能である。
【0062】
図6は、第3実施形態の草刈り機100の変形例においてゲージローラボス142aの端部近傍を拡大した拡大図である。図6(A)に示す例では、ゲージローラボス142aの外周面に固定されたシールド部材163を用いて空隙40を形成する。具体的には、図6(A)に示す例では、シールド部材163のうち第1方向に延在するシールド部163aの端部が、ゲージローラの端部164bに設けられた溝部164cに挿入される。
【0063】
本変形例のゲージローラ154は、図5(A)及び図5(B)に示した構造と同様に、溝部164cが、ゲージローラの端部164b(ゲージローラの端面)において、ゲージローラの回転軸を中心とする同心円上に設けられている。そして、第2方向における溝部164cの幅をシールド部163aの幅よりも大きくし、かつ、シールド部163aの端部が溝部164cの内壁(側壁及び底部)に接しないようにすることにより、溝部164cの内部に空隙40を形成することができる。なお、シールド部材163のゲージローラボス142aへの固定位置は、この例に限られるものではなく、ゲージローラボス142aの端部(端面)等に固定するようにしてもよい。
【0064】
図6(B)は、図6(A)に示す第3実施形態の変形例と図3に示した第1実施形態の変形例とを組み合わせた例である。この場合、溝部164cの内部に設けられた空隙40に加えて、シールド部材143cとゲージローラボス142aとの間の空隙10c、シールド部材143cとシールド部163aとの間の空隙10e、及び空隙10cと空隙10eとを連通させる空隙10dが形成される。したがって、図6(A)に示す構造より異物の侵入経路を多方向に延長させることができ、より効果的に軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制することができる。
【0065】
〈第4実施形態〉
本実施形態では、第1実施形態の構造とは別の構造により、軸受け部142への異物の侵入を抑制する例について説明する。本実施形態では、第1実施形態との相違点に着目して説明を行い、第1実施形態と同じ要素については、図面において同じ符号を用いて示し、重複する説明を省略する場合がある。
【0066】
図7は、第4実施形態の草刈り機200の全体構成を示す図である。具体的には、図7(A)は、草刈り機200を斜め左上後方から見た斜視図であり、図7(B)は、草刈り機200の軸受け部142の近傍を拡大した拡大図である。本実施形態の草刈り機200は、軸受け部142の少なくとも一部を覆うカバー部材146を備える。
【0067】
本実施形態のカバー部材146は、ゲージローラ144を支持する左右両方の支持プレート141のそれぞれに固定され、軸受け部142及びシールド部材143を前方から上方にかけて覆う板状部材で構成される。ただし、カバー部材146の固定位置は、この例に限られるものではなく、支持プレート141以外の部材に固定されていてもよい。例えば、カバー部材146は、側板133に固定されていてもよい。
【0068】
カバー部材146は、作業ロータ131によって後方に飛散した草や土などの異物を軸受け部142に対して遮蔽する役割を有する。したがって、カバー部材146は、軸受け部142に向かって飛来する異物の飛来経路上に位置することが望ましく、本実施形態では、図7(B)に示すように軸受け部142の前方側上方に配置されている。
【0069】
本実施形態では、カバー部材146を支持プレート141に対して溶接して固定しているが、この例に限られるものではなく、支持プレート141と一体に形成されていてもよい。例えば、支持プレート141の一部を屈曲させて軸受け部142の上方を覆うことにより、支持プレート141と一体化したカバー部を形成してもよい。
【0070】
また、本実施形態では、カバー部材146として、軸受け部142を前方から上方にかけて覆う板状部材を設けた例を示すが、カバー部材146の形状は、この例に限られるものではない。例えば、カバー部材146は、屈曲部を有する板状部材で構成し、屈曲部から一方の端部までの部分で軸受け部142の前方から上方を覆い、屈曲部から他方の端部までの部分で軸受け部142の前方から下方を覆うようにしてもよい。また、本実施形態では、平板状の部材でカバー部材146を構成する例を示したが、この例に限らず、カバー部材146は湾曲していてもよい。例えば、カバー部材146は、軸受け部142の外周面に沿って湾曲した形状であってもよい。
【0071】
本実施形態によれば、作業ロータ131によって後方に飛散した草や土等の異物が軸受け部142に向かう飛来経路上にカバー部材146を配置することにより、軸受け部142に到達する異物の量を低減することができる。さらに、本実施形態の草刈り機200は、第1実施形態から第3実施形態で説明したように、軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制する構造を有するため、相乗的に軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制することができる。なお、本実施形態では、シールド部材143及びカバー部材146の両方を設けた例を示したが、この構成に限らず、シールド部材143を設けずに、カバー部材146のみを設けるようにしてもよい。
【0072】
〈第5実施形態〉
本実施形態では、第4実施形態の構造とは別の構造により、軸受け部142への異物の侵入を抑制する例について説明する。本実施形態では、第1実施形態との相違点に着目して説明を行い、第1実施形態と同じ要素については、図面において同じ符号を用いて示し、重複する説明を省略する場合がある。
【0073】
図8は、第5実施形態の草刈り機300の全体構成を示す図である。具体的には、図8(A)は、草刈り機300を斜め左上後方から見た斜視図であり、図8(B)は、草刈り機300の軸受け部142の近傍を拡大した拡大図である。本実施形態の草刈り機300は、ゲージローラ344の一部(具体的には、カバー部344ca)を用いて軸受け部142の少なくとも一部を覆う構成となっている。具体的には、本実施形態では、ゲージローラ344の外周面を含む一部が支持プレート141側に延長されて軸受け部142を覆う構造となっている。
【0074】
図9は、第5実施形態の草刈り機300におけるゲージローラ344の端部近傍を拡大した拡大図である。図9(B)は、図9(A)の断面図に対応する。図9(B)に示すように、本実施形態のゲージローラ344は、外周部344cの一部が軸受け部142を覆う位置まで支持プレート141に向かって延長され、カバー部344caを構成している。つまり、カバー部344caは、ゲージローラ344と同軸を中心にして回転し、直径を同じくする円筒状の部分で構成される。カバー部344caの先端と支持プレート141との間にはクリアランスとしての空隙が形成されるが、この空隙は、できるだけ狭いことが望ましい。
【0075】
本実施形態によれば、作業ロータ131によって後方に飛散した草や土等の異物が軸受け部142に向かう飛来経路上にカバー部344caが配置されるため、軸受け部142に到達する異物の量を低減することができる。さらに、本実施形態の草刈り機300は、第1実施形態から第3実施形態で説明したように、軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制する構造を有するため、相乗的に軸受け部142の内部への異物の侵入を抑制することができる。
【0076】
なお、本実施形態では、ゲージローラ344の一部をカバー部344caとして用いる例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、カバー部344caに相当する部材をゲージローラ344とは別体としてゲージローラ344に固定してもよい。その際、カバー部344caに相当する部材は、カバー部344caと同様に円筒形状であってもよいし、回転方向において複数に分離された部材であってもよい。つまり、ゲージローラ344の回転に伴い、軸受け部142の外周面の上方を回転する部材であれば、作業ロータ131によって後方に飛散した草や土等の異物の飛来を遮蔽することができる。なお、本実施形態では、シールド部材143及びカバー部344caの両方を設けた例を示したが、この構成に限らず、シールド部材143を設けずに、カバー部344caのみを設けるようにしてもよい。
【0077】
〈第6実施形態〉
第1実施形態から第5実施形態まで、従動ローラを備えた作業機として、ゲージローラを備えた草刈り機を例示したが、本発明を適用可能な作業機は、草刈り機に限られるものではない。例えば、本発明は、カゴローラを備えた作業機に適用してもよい。カゴローラとは、例えば、リング状の複数の支持部材に対して複数のフラットバーが架設された構造を有する従動ローラであり、作業ロータやプラウ等を備えた作業部の後方に配置され、作業部により耕耘した圃場の土塊を砕土したり鎮圧したりする役割を有する。また、本発明は、例えば、自重により土壌を鎮圧する鎮圧ローラを備えた作業機に適用することも可能である。
【0078】
以上のとおり、本発明は、従動ローラを備えた作業機全般に適用することが可能であり、従動ローラを軸支する軸受け部の外周面近傍に、第1実施形態から第5実施形態で説明した異物侵入抑制構造を備えることにより、軸受け部に対する異物の侵入を効果的に抑制することが可能である。これにより、従動ローラの軸受け部の内部に異物が侵入して従動ローラの回転が阻害されることを防ぐことができる。
【0079】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は前述の各実施形態(変形例も含む)に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、前述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0080】
前述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0081】
10a~10e、20a、20b、30、40…空隙、100…草刈り機、110…装着部、111…トップリンク連結部、112…ロワーリンク連結部、120…動力伝達部、121…ギヤボックス、122…メインフレーム、123…伝動装置、130…作業部、131…作業ロータ、131a…爪軸、131b…刈刃、132…シールドカバー、133…側板、140…刈取り高さ調節部、141…支持プレート、142…部、142a…ゲージローラボス、142b…ベアリング、142c…ストップリング、142d…ボルト、142e…ザガネ、142f…ボアプラグ、143…シールド部材、143a、143b…シールド部、143c…シールド部材、144…ゲージローラ、144a…軸部、144b…端部、145…スクレーパ、146…カバー部材、153…シールド部材、153a、153b…シールド部、154…ゲージローラ、154b…端部、154c…溝部、163…シールド部材、163a…シールド部、164b…端部、164c…溝部、200…草刈り機、240…刈取り高さ調節部、300…草刈り機、340…刈取り高さ調節部、344…ゲージローラ、344c…外周部、344ca…カバー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9