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  • 特開-電子機器の製造方法及び電子機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085246
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】電子機器の製造方法及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20240619BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20240619BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20240619BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240619BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20240619BHJP
   H05K 9/00 20060101ALN20240619BHJP
【FI】
H05K3/28 G
H05K5/00 B
H05K3/28 B
H01L23/28 C
H01L21/56 E
H04B1/38
H05K9/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199669
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】507207498
【氏名又は名称】株式会社五洋電子
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁
【テーマコード(参考)】
4E360
4M109
5E314
5E321
5F061
5K011
【Fターム(参考)】
4E360AB32
4E360ED22
4E360EE02
4E360EE09
4E360GA34
4E360GA42
4E360GB26
4E360GC02
4E360GC08
4M109AA01
4M109BA04
4M109CA04
4M109CA06
4M109DB07
4M109DB16
4M109DB17
4M109GA10
5E314AA24
5E314AA40
5E314BB02
5E314BB11
5E314CC17
5E314GG26
5E321AA02
5E321AA17
5E321GG01
5E321GG05
5E321GG07
5F061AA01
5F061BA04
5F061CA04
5F061CA06
5F061FA06
5K011AA01
5K011AA15
5K011JA01
(57)【要約】
【課題】 ポッティング部を基板に安定的に保持させることができる電子機器の製造方法及び電子機器を提供する。
【解決手段】 一形態にかかる電子機器の製造方法は、スルーホールを有するとともに一方側に電子部品が搭載される基板の、前記一方側に、前記電子部品を囲むフレームを配置し、前記基板の他方側の面に補助板を対向配置させた状態で、前記フレーム内及び前記スルーホール内にポッティング材を供給し、前記ポッティング材を硬化させて、前記電子部品を覆う封止部と、前記封止部から連続して前記スルーホール内に形成される柱状部と、を有するポッティング部を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルーホールを有するとともに一方側に電子部品が搭載される基板の、前記一方側に、前記電子部品を囲むフレームを配置し、
前記基板の他方側の面に補助板を対向配置させた状態で、
前記フレーム内及び前記スルーホール内にポッティング材を供給し、
前記ポッティング材を硬化させて、
前記電子部品を覆う封止部と、前記封止部から連続して前記スルーホール内に形成される柱状部と、を有するポッティング部を形成する、電子機器の製造方法。
【請求項2】
スルーホールを有する基板と、
前記基板の一方側に配される電子部品と、
樹脂材料で構成され、前記電子部品を覆う封止部と、前記スルーホール内の少なくとも一部に配置される脚部と、を有するポッティング部と、
を備える、電子機器。
【請求項3】
前記スルーホールは、前記基板を厚さ方向に貫通し、
前記ポッティング部の前記脚部は、前記封止部から連続して前記スルーホール内に形成される柱状部と、前記柱状部に連続して前記基板の他方側に配置され、前記スルーホールよりも大きい径を有する、係止部と、を備える、請求項2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の製造方法及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末等の電子機器において、基板上の電子部品をポッティング材で覆う構成が知られている。このような電子機器の製造工程において、基板上に、電子部品が配置される対象エリアを囲むフレームを実装し、フレームの内側にポッティング材を供給し、ポッティング材を硬化させてポッティング部を形成する。
このような電子機器は、多様な使用形態に適合させるため、様々な耐環境性能が求められる。このため、電子部品を覆うポッティング部を基板に安定的に保持させることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-122097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、ポッティング部を基板に安定的に保持させることができる電子機器の製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一形態にかかる電子機器の製造方法は、スルーホールを有するとともに一方側に電子部品が搭載される基板の、前記一方側に、前記電子部品を囲むフレームを配置し、前記基板の他方側の面に補助板を対向配置させた状態で、前記フレーム内及び前記スルーホール内にポッティング材を供給し、前記ポッティング材を硬化させて、前記電子部品を覆う封止部と、前記封止部から連続して前記スルーホール内に形成される柱状部と、を有するポッティング部を形成する。
他の一形態にかかる電子機器は、スルーホールを有する基板と、前記基板の一方側に配される電子部品と、樹脂材料で構成され、前記電子部品を覆う封止部と、前記スルーホール内の少なくとも一部に配置される脚部と、を有するポッティング部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ポッティング部を基板に安定的に保持させることができる電子機器の製造方法及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態にかかる電子機器の構成及び製造方法を示す説明図。
図2】同電子機器の構成及び製造方法を示す説明図。
図3】他の実施形態にかかる電子機器の構成を概略的に示す断面図。
図4】他の実施形態にかかる電子機器の構成を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態にかかる電子機器1及び電子機器1の製造方法について、図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2は本発明の第1実施形態にかかる電子機器1の構成及び製造方法を示す説明図である。図1は断面図にて各工程を示し、図2は斜視図にて各工程を示す。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0009】
図1及び図2に示すように、電子機器1は、基板10と、電子部品20と、ポッティング部30と、シールドケース40と、を備える。電子機器1は、例えば無線部を備える携帯端末機である。
【0010】
基板10は、例えば回路基板であり、一対の主面としての表面10a及び裏面10bを有する板状に構成される。基板10の少なくとも一方の主面である表面10aには、電子部品20及びシールドケース40等の各種部品が実装される。すなわち本実施形態において表面10aは実装面を構成する。なお、基板10には、シールドケース40で覆われる電子部品20の他にも各種の電子部品20や各種配線パターンが設けられていてもよい。また、裏面10bに、さらに各種の電子部品が実装されていてもよい。
【0011】
基板10は、一方の表面10aから裏面10bに至り基板10を厚さ方向に貫通する、1または複数のスルーホール12を有する。例えばスルーホール12は、シールドケース40で覆われるシールド領域R1において電子部品20と重なる部分を避けた部位に形成される。スルーホール12内にポッティング材が充填されて硬化することでポッティング部30の一部を構成する脚部32が形成される。
【0012】
電子部品20は、例えば実装面となる表面10aに搭載される。電子部品20は、ポッティング部30内に埋設され、さらにポッティング部30ごと、シールドケース40によって覆われる。
【0013】
ポッティング部30は、基板10の表面10a側に配される封止部31と、スルーホール12内に配される1以上の脚部32と、を一体に有する。ポッティング部30は、未硬化の状体で液状またはペースト状等を呈し流動性を有するポッティング材で構成される。ポッティング材として、例えばウレタン系あるいはシリコン系の絶縁特性と熱伝導特性とに優れた樹脂材料が用いられる。ポッティング材は、製造過程で基板10上に配置されるポッティングフレーム50内に充填されて基板10に密着して硬化することで、ポッティングフレーム50の内側に形成されるポッティング空間S1やスルーホール12の内側のホール空間S2に倣う形状に形成される。
【0014】
封止部31は、ブロック状に形成され、基板10の表面10aの電子部品20を覆う。本実施形態において、封止部31は、矩形の直方体状に形成され、外側に装着されたシールドケース40によって覆われる。例えばシールドケース40は、ポッティング材の硬化後、封止部31からポッティングフレーム50を外した後に、取り付けられる。
【0015】
脚部32は、スルーホール12内の少なくとも一部に配置される。脚部32は、封止部31から連続して、裏面10b側に延出する柱状部を有する。例えば脚部32はシールド領域R1内に形成される複数のスルーホール12内にそれぞれ形成され、スルーホール12と同数形成される。例えば脚部32は裏面10bに至る長さを有してもよく、あるいはスルーホール12の中途部までの長さを有していてもよい。
【0016】
シールドケース40は、基板10の表面10aに配され、ポッティング部30及び複数の電子部品20を覆う。例えばシールドケース40は、基板10の表面10a上のシールド領域R1を覆う。シールドケース40は、基板10側の一面が開口する複数の収容空間S3を形成する。例えばシールドケース40は、アルミなどの加工性の高い金属材料で形成される。例えばシールドケース40は、アルミダイキャストで構成され、収容空間S3を区画する複数の側壁部41と、矩形の天板部42と、を一体に有する。シールドケース40は基板10の一方側に対向配置された状態で、基板10との間に、電子部品20を覆うポッティング部30が配される所定の収容空間S3を含む1または複数の空間を形成する。収容空間S3は、基板10のシールド領域R1上の空間であって、封止部31の型となるポッティングフレーム50の内側に形成されるポッティング空間S1に倣う形状であって、ポッティングフレーム50の内側の空間よりも僅かに大きい、直方体状の空間である。
【0017】
以下、電子機器1の製造方法について図1及び図2を参照して説明する。
【0018】
電子機器1の製造方法は、部品搭載工程と、ポッティングフレーム50を配置するフレーム装着工程と、ポッティング材を供給する供給工程と、ポッティング材を硬化させる硬化工程と、ポッティングフレーム50を取り外す除去工程と、シールドケース40を装着するケース装着工程と、を有する。
【0019】
部品搭載工程として、基板の実装面上に電子部品20を搭載する。
【0020】
フレーム装着工程として、搭載された複数の電子部品20のうち、例えば、シールド構造とする対象の電子部品20に、予め作成されたポッティングフレーム50を装着する。例えばポッティングフレーム50はポリオキシメチレン樹脂(POM(Polyoxymethylene, Polyacetal))、又はポリアセタール樹脂等で構成される枠体であり、所定形状に構成される。ポッティングフレーム50を基板10に押し当てて、例えば直方体状のポッティング空間S1を形成する。1例としてポッティング空間S1は、複数の電子部品20を含む。
【0021】
本実施形態において、ポッティングフレーム50は、ポッティング空間S1の形状を区画する、枠体であり、例えば対向する2組の側壁を有する矩形状の周壁部51と、表側である上部に設けられる矩形枠状の縁壁52と、天井部を構成し移載作業の際に吸着される吸着部53と、を有するとともに、上部に2つの開口54を有する。
【0022】
供給工程において、ポッティングフレーム50内にポッティング材を供給する。例えばポッティングフレーム50の開口54に、ディスペンサ70を配置し、未硬化状態の液状またはペースト状のポッティング材を注入する。
このとき、基板10の裏面10bに、補助板60を対向配置することにより、ポッティング材の液漏れを防止する。
ポッティング材は、ポッティングフレーム50内のポッティング空間S1に充填されるとともに、基板10のスルーホール12で構成されるホール空間S2にも流れ込む。
【0023】
硬化工程として、例えば加熱処理やUV照射処理などの硬化処理、または常温硬化によって、ポッティング材を硬化させることにより、表面10a側で電子部品20を覆う封止部31と、スルーホール12内の脚部32、とを一体に有するポッティング部30が形成される。
【0024】
ポッティング材の硬化後に、除去工程として、ポッティングフレーム50を取り外す。このとき、ポッティング部30は、表面10a側の封止部31と、スルーホール12内の脚部32とが一体に形成されていることから、脚部32によって基板10に強固に支持される。
【0025】
さらに、ケース装着工程として、ポッティング部30にシールドケース40を被せて装着し、基板10にシールドケース40を接合する。このとき、シールドケース40の少なくとも一部は、製造過程でポッティングフレーム50が配置される型枠エリアR2に重ねて配置される。
【0026】
本実施形態にかかる電子機器1によれば、スルーホール12を設けて脚部32を形成することでポッティング部30と基板10とを強固に係合させることができる。したがって、ポッティングフレーム50を取り外しても、ポッティング部30を基板10上に自立させることが可能となる。このため、ポッティング材の密着性に頼るのみでなく、脚部32で支持することができ、基板10に対するポッティング部30の剥がれやズレを抑制できる。
【0027】
また、製造工程においてポッティング塗布用のポッティングフレーム50を一時的に用いるのみとし、部品を削減することにより、金型等初期費の低コスト化を実現することができる。
また、シールドケース40の少なくとも一部は、ポッティングフレーム50が配置されていた型枠エリアに重ねて配置されることから、製造過程におけるポッティングフレーム50が配される型枠エリアR2と実装時にシールドケース40が配される実装エリアとを共通化・共有でき、基板10上の占有面積を最小化できる。すなわち、ポッティングフレーム50の外側にさらにシールドケース40を配置した構成では、対象エリア毎にポッティングフレーム50が必要となり、コストが増大する。特に基板10上に複数の対象エリアが配置される場合には、対象エリア毎にポッティングフレーム50が必要となり、コストが高額になるが、上記本実施形態によれば、ポッティングフレーム50を除去できることで、低コスト化を実現できる。また、例えば、シールドケース40をポッティングフレーム50の外側に装着する場合と比べ、基板10上の実装エリアを有効活用でき、電子部品20の実装エリアやパターンエリアの確保がしやすい。
すなわち、本実施形態によれば、低コストで省スペース化を実現しながら、高い防爆性能を確保できる。また、センサ機能等、無線機能以外の性能搭載が求められる場合にも、限られた内部空間の効率的活用が可能であり、多様な使用形態に適合させることができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0029】
例えば他の実施形態として図3に示す電子機器2のように、脚部32は、封止部31から連通しスルーホール内に配されるポッティング材で形成される柱状部33と、柱状部33に連続して基板の裏面10b側に形成される係止部34と、を備える構成としてもよい。例えば係止部34は、半球状またはくさび形状であり、スルーホール12の軸に直交する断面がスルーホール12や脚部32の断面よりも大きい。例えば係止部34はスルーホールの径よりも大きい径を有する。係止部34は基板10の裏面に係合することで、抜け止め構造を構成する。その他の構成は上記実施形態にかかる電子機器1と同様である。
【0030】
本実施形態の製造工程は、ポッティング材の供給及び硬化の際に、基板10の裏面10bに、スルーホール12に対応する位置に凹部61を有する補助板60を対向配置させる。補助板60を対向配置した状態で、スルーホール12の裏面側の開口と連通する凹部61にポッティング材を充填させて硬化させることで、脚部32の先端に連続するとともに基板10の裏面側に係止される係止部34を形成できる。その他の構成及び製造方法は上記実施形態にかかる電子機器1の構成及び電子機器1の製造方法と同様である。
なお、係止部34の形状は上記に限られるものではなく、例えば複数のスルーホール12に形成される脚部32の係止部34が基板10の裏面10b側で互いに連結されていても良い。
また、ポッティングフレーム50内にポッティング材を供給する方法に限らず、例えば基板上面からポッティング材を塗布して半球状またはくさび形のポッティング形状を形成してもよい。
【0031】
また、図3に示すように、ポッティングフレーム50の天井部に、穴または凹形状を設けることで、ポッティング部30の天面に凸部35を形成してもよい。この実施形態によれば、凸部35が、シールドケース40を装着した際にシールドケース40の天板部42に当接し、押え代となることで、シールドケース40とポッティング部30との位置ずれを防止できる。
【0032】
また、他の実施形態として図4に示す電子機器3のように、基板10上において、電子部品20と電子部品20を覆うポッティング部30と、ポッティング部30を覆うシールドケース40とを有するシールド構造が、複数設けられる構成であってもよい。また1つのシールドケース40内に複数のポッティング部30が配置されていてもよい。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1、2、3…電子機器、10…基板、10a…表面、10b…裏面、12…スルーホール、20…電子部品、30…ポッティング部(保護部)、31…封止部、32…脚部、33…柱状部、34…係止部、35…凸部、40…シールドケース、41…側壁部、42…天板部、50…ポッティングフレーム、51…周壁部、52…縁壁、53…吸着部、54…開口、60…補助板、61…凹部、70…ディスペンサ、R1…シールド領域、S1…ポッティング空間、S2…ホール空間。
図1
図2
図3
図4