IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブリヂストンの特許一覧

<>
  • 特開-タイヤ管理装置及びタイヤ管理方法 図1
  • 特開-タイヤ管理装置及びタイヤ管理方法 図2
  • 特開-タイヤ管理装置及びタイヤ管理方法 図3
  • 特開-タイヤ管理装置及びタイヤ管理方法 図4
  • 特開-タイヤ管理装置及びタイヤ管理方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085257
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】タイヤ管理装置及びタイヤ管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240619BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240619BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199693
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 雄仁
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕二郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 裕紀
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA00
5L049AA00
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】修理された建設車両用のタイヤの長期使用を可能にするタイヤ管理装置及びタイヤ管理方法が提供される。
【解決手段】タイヤ管理装置(10)は、建設車両に装着されるタイヤを管理するタイヤ管理装置であって、修理履歴を含むタイヤに関するデータであるタイヤ管理データと、作業場所において使用される建設車両に関するデータである車両管理データと、を取得する取得部(131)と、タイヤのうち修理の対象である修理対象タイヤの修理履歴を、修理対象タイヤに内蔵された発信器から読み取られるタイヤID情報に基づいて特定し、修理履歴に基づいて、修理対象タイヤの負荷が軽減されるように、装着に適している建設車両を判定する判定部(132)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設車両に装着されるタイヤを管理するタイヤ管理装置であって、
修理履歴を含む前記タイヤに関するデータであるタイヤ管理データと、作業場所において使用される前記建設車両に関するデータである車両管理データと、を取得する取得部と、
前記タイヤのうち修理の対象である修理対象タイヤの前記修理履歴を、前記修理対象タイヤに内蔵された発信器から読み取られるタイヤID情報に基づいて特定し、前記修理履歴に基づいて、前記修理対象タイヤの負荷が軽減されるように、装着に適している前記建設車両を判定する判定部と、を備える、タイヤ管理装置。
【請求項2】
前記修理履歴は、修理回数に加えて、修理箇所、損傷度合い及びカーカスプライの損傷有無の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のタイヤ管理装置。
【請求項3】
前記タイヤ管理データは、前記修理対象タイヤが装着されていた前記建設車両の走行状態を示す走行履歴を含み、
前記判定部は、前記修理履歴及び前記走行履歴に基づいて、前記修理対象タイヤの負荷が軽減されるように、装着に適している前記建設車両を判定する、請求項1又は2に記載のタイヤ管理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記修理履歴に基づいて、前記修理対象タイヤの前記建設車両における適切な装着位置を判定する、請求項1又は2に記載のタイヤ管理装置。
【請求項5】
建設車両に装着されるタイヤを管理するタイヤ管理装置が実行するタイヤ管理方法であって、
修理履歴を含む前記タイヤに関するデータであるタイヤ管理データと、作業場所において使用される前記建設車両に関するデータである車両管理データと、を取得することと、
前記タイヤのうち修理の対象である修理対象タイヤの前記修理履歴を、前記修理対象タイヤに内蔵された発信器から読み取られるタイヤID情報に基づいて特定し、前記修理履歴に基づいて、前記修理対象タイヤの負荷が軽減されるように、装着に適している前記建設車両を判定することと、を含む、タイヤ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ管理装置及びタイヤ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に大型車両用のタイヤに関して、従来のタイヤ単品を販売するビジネスだけでなく、タイヤ販売と、その後におけるメンテナンスを組み合わせたソリューションビジネスが注目されている。車両に装着されたタイヤは、例えば、車両の走行中の路面との摩擦により摩耗していく。また、車両が例えば路線バスなどである場合に、乗客の乗降のための停車時に、歩道の縁石にタイヤのサイド部(サイドウォール)が擦り付けられてサイド部が摩耗することがある。例えば特許文献1は、車両のダウンタイムを極小化しつつ、トレッド及びサイド部の摩耗を考慮した適切なタイヤのメンテナンスを支援するタイヤメンテナンス支援システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-156124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、大型のタイヤであるOR(Off the Road)タイヤは、建設車両で用いられる。ORタイヤは、一般に価格が高く、代替品の確保及び配送に時間がかることがある。そのため、ORタイヤが損傷した場合に、作業場所又はその近くでORタイヤの修理が行われて、再び建設車両に装着されて使用されることが多い。このような特殊な実情を考慮して、ORタイヤが長期間使用可能であるように管理する技術が求められている。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、修理された建設車両用のタイヤの長期使用を可能にするタイヤ管理装置及びタイヤ管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置は、
建設車両に装着されるタイヤを管理するタイヤ管理装置であって、
修理履歴を含む前記タイヤに関するデータであるタイヤ管理データと、作業場所において使用される前記建設車両に関するデータである車両管理データと、を取得する取得部と、
前記タイヤのうち修理の対象である修理対象タイヤの前記修理履歴を、前記修理対象タイヤに内蔵された発信器から読み取られるタイヤID情報に基づいて特定し、前記修理履歴に基づいて、前記修理対象タイヤの負荷が軽減されるように、装着に適している前記建設車両を判定する判定部と、を備える。
この構成により、修理された建設車両用のタイヤの長期使用が可能になる。
【0007】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記修理履歴は、修理回数に加えて、修理箇所、損傷度合い及びカーカスプライの損傷有無の少なくとも1つを含む。
この構成により、修理対象タイヤを装着させる建設車両の候補の範囲を狭めすぎることなく、装着に適している建設車両を判定することができる。
【0008】
(3)本開示の一実施形態として、(1)又は(2)において、
前記タイヤ管理データは、前記修理対象タイヤが装着されていた前記建設車両の走行状態を示す走行履歴を含み、
前記判定部は、前記修理履歴及び前記走行履歴に基づいて、前記修理対象タイヤの負荷が軽減されるように、装着に適している前記建設車両を判定する。
この構成により、修理対象タイヤの過去の使用による負荷を考慮して、装着に適している建設車両を判定することができる。
【0009】
(4)本開示の一実施形態として、(1)から(3)のいずれかにおいて、
前記判定部は、前記修理履歴に基づいて、前記修理対象タイヤの前記建設車両における適切な装着位置を判定する。
この構成により、車両に装着された場合の摩耗などを考慮して、装着に適している建設車両を判定することができる。
【0010】
(5)本開示の一実施形態に係るタイヤ管理方法は、
建設車両に装着されるタイヤを管理するタイヤ管理装置が実行するタイヤ管理方法であって、
修理履歴を含む前記タイヤに関するデータであるタイヤ管理データと、作業場所において使用される前記建設車両に関するデータである車両管理データと、を取得することと、
前記タイヤのうち修理の対象である修理対象タイヤの前記修理履歴を、前記修理対象タイヤに内蔵された発信器から読み取られるタイヤID情報に基づいて特定し、前記修理履歴に基づいて、前記修理対象タイヤの負荷が軽減されるように、装着に適している前記建設車両を判定することと、を含む。
この構成により、修理された建設車両用のタイヤの長期使用が可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、修理された建設車両用のタイヤの長期使用を可能にするタイヤ管理装置及びタイヤ管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置の構成例を示す図である。
図2図2は、図1のタイヤ管理装置を備えるタイヤ管理システムの構成例を示す図である。
図3図3は、タイヤ管理データを説明するための図である。
図4図4は、車両管理データを説明するための図である。
図5図5は、タイヤ管理装置が実行するタイヤ管理方法の処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置及びタイヤ管理方法が説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るタイヤ管理装置10の構成例を示す。図2は、図1のタイヤ管理装置10を備えるタイヤ管理システムの構成例を示す。タイヤ管理装置10は、車両に装着されるタイヤを管理する。タイヤ管理装置10が管理するタイヤはORタイヤである。また、車両は、ORタイヤが装着される建設車両であって、具体例として鉱石などの積み降し、輸送に適するダンプカーなどである。本実施形態において建設車両が鉱山で作業を行う鉱山車両であるとして説明するが、建設車両は鉱山車両に限定されるものでなく、別の例として港湾で荷役を行う搬送車両であってよい。
【0015】
ORタイヤは、一般に価格が高く、代替品の確保及び配送に時間がかることがある。そのため、ORタイヤが損傷した場合に、作業場所又はその近くでORタイヤの修理が行われて、再び建設車両に装着されて使用されることが多い。また、タイヤを管理する従来の装置は、代替品を直ちに用意可能な乗用車用のタイヤを対象とし、作業場所における修理などを考慮するものでなかった。本実施形態に係るタイヤ管理装置10は、鉱山車両に装着されるORタイヤを管理し、後述するように、修理履歴を考慮して装着車両の交換、タイヤのローテーションなどを提案する。以下、ORタイヤを単にタイヤと称することがある。また、鉱山車両を単に車両と称することがある。
【0016】
タイヤ管理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。制御部13は、取得部131と、判定部132と、出力部133と、を備える。タイヤ管理装置10は、ハードウェア構成として、例えばコンピュータであってよい。タイヤ管理装置10の構成要素の詳細については後述する。
【0017】
本実施形態において、タイヤ管理装置10はタイヤの修理及び点検を行う場所(以下、修理場所)のコンピュータである。また、修理場所において、タイヤ管理装置10は修理の対象であるタイヤ(以下、修理対象タイヤ)の修理履歴の情報を蓄積する。タイヤ管理装置10は、修理場所で修理対象タイヤが修理された場合に、修理履歴の情報を更新してよい。修理履歴の情報は、修理場所の作業者がタイヤ管理装置10の入力装置(例えばキーボード及びマウスなど)を用いて入力してよい。
【0018】
ここで、読取部70は、タイヤのそれぞれに取り付けられた発信器31からタイヤID情報を読み取る装置である。タイヤID情報は、個々のタイヤに固有の識別情報である。タイヤ管理装置10は、少なくとも読取部70とともにタイヤ管理システムを構成する。タイヤ管理装置10は、さらにネットワーク40で接続されるサーバ60とともに、タイヤ管理システムを構成してよい。ネットワーク40は、例えばインターネットである。また、ネットワーク40は、例えば一部においてLAN(Local Area Network)を含んで構成されてよい。
【0019】
発信器31はタイヤに内蔵されている。タイヤへの内蔵は、例えばタイヤの内部に埋め込まれていること、及び、タイヤの内面の表面に貼付されていることを含む。発信器31は、タイヤから取り外しが困難であり、タイヤと路面との接触による影響を受けない位置であれば、タイヤの内面以外の表面に貼り付けられてよい。発信器31は、所定の信号を発信する。所定の信号は、少なくとも発信器31が取り付けられたタイヤのタイヤID情報を含む。所定の信号は、さらに、製造年月及び製造場所などのタイヤの製造情報を含んでよい。発信器31は、本実施形態のようにRFIDタグであってよいが、所定の信号を発信するものであれば特定種類の機器に限定されない。RFIDタグは、リーダ装置との間で、電磁界、電波などを用いて近距離(数cm~数m程度)の無線通信を行い、情報のやり取りを行う。本実施形態において、読取部70はRFIDタグのリーダ装置である。ここで、タイヤに内蔵されている発信器31は1つであってよいし、複数であってよい。また、発信器31からタイヤID情報が読み取られる態様は、発信器31から直接的にタイヤID情報が得られることに限定されない。例えば発信器31が個々の発信器31に固有の識別情報を発信し、その識別情報が特定のタイヤID情報と紐づけられており、読取部70又は制御部13においてタイヤID情報に置換される場合も、発信器31からタイヤID情報が読み取られることに含まれる。
【0020】
サーバ60は、例えばタイヤ管理装置10とは別のコンピュータである。本実施形態において、サーバ60は、車両を管理する管理者のコンピュータである。サーバ60は、車両の作業場所である鉱山毎にあってよい。つまり、サーバ60は1つに限定されず、複数であってよい。車両の管理として、定期的又は所定のタイミングで車両の点検が行われて、サーバ60が車両の走行履歴の情報を蓄積してよい。また、車両の管理として、サーバ60が車両の種別、最大積載量などの情報を記憶してよい。これらの情報は、車両の管理者がサーバ60の入力装置(例えばキーボード及びマウスなど)を用いて入力してよい。
【0021】
ここで、タイヤ管理システムは図2に示される構成に限定されない。例えば、タイヤ管理システムは、タイヤ管理装置10が、サーバ60と統合(一体化)された構成であってよい。例えばタイヤ管理装置10が、サーバ60の機能を兼ねており、必要な全ての情報の取得及び管理を行ってよい。つまり、タイヤ管理システムは、タイヤ管理装置10と読取部70だけで構成されてよい。また、サーバ60の機能は、小型のコンピュータ装置で実現されてよい。小型のコンピュータ装置は、例えばスマートフォン又はタブレット端末などの移動端末を含んでよい。
【0022】
以下、タイヤ管理装置10の構成要素の詳細が説明される。通信部11は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信モジュールを含んで構成される。通信部11は、例えば4G(4th Generation)、5G(5th Generation)などの移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよい。通信部11は、例えば無線のLAN規格(一例としてIEEE802.11)に対応する通信モジュールを含んでよい。また、通信部11は、例えば有線のLAN規格に対応する通信モジュールを含んでよい。
【0023】
記憶部12は、1つ以上のメモリである。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリなどであるが、これらに限られず任意のメモリとすることができる。記憶部12は、例えばタイヤ管理装置10に内蔵されるが、任意のインターフェースを介してタイヤ管理装置10によって外部からアクセスされる構成も可能である。
【0024】
記憶部12は、制御部13が実行する各種の算出において使用される各種のデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部13が実行する各種の算出の結果及び中間データを記憶してよい。
【0025】
本実施形態において、記憶部12はタイヤに関するデータであるタイヤ管理データを記憶する。タイヤ管理データは少なくともタイヤの履歴を含む。図3に示すように、タイヤ管理データは、タイヤの修理履歴に加えて、タイヤを装着した車両の走行履歴を含んでよい。本実施形態において、履歴は走行履歴及び修理履歴を含む。タイヤ管理データにおいて、タイヤの履歴の情報が、個々のタイヤに固有の識別情報であるタイヤID情報に対応付けられている。本実施形態において、記憶部12にタイヤの修理履歴が蓄積されており、通信部11を介して走行履歴がサーバ60から得られる。制御部13によって、これらの情報がタイヤID情報を用いて関連付けられて、タイヤ管理データとして記憶部12に記憶される。タイヤ管理データは、例えば定期的に、サーバ60から得られる新たな情報を用いて更新されてよい。
【0026】
タイヤ管理データにおいて、走行履歴は車両の走行状況についての情報である。制御部13は、例えばサーバ60から個々のタイヤと装着されている車両との対応を示すデータを取得し、走行履歴をタイヤID情報と関連付けて、タイヤ管理データとして記憶部12に記憶させてよい。走行履歴は、例えば車両、走行距離、走行速度、加減速度などの情報を含んでよい。車両の項目では、車両を特定するのに後述する車両ID情報が用いられてよい。走行距離、走行速度、加減速度などの情報は、車両に搭載された各種センサ、車両の動作を制御するECU(Electronic Control Unit)などから取得することができる。例えば車両の点検時に、走行距離、走行速度、加減速度などの情報が取得されてよい。走行履歴は、図3において空欄で示されているが、上記の情報が実際にはタイヤID情報と紐づけられて記憶される。
【0027】
タイヤ管理データにおいて、修理履歴はタイヤの修理に関する情報である。修理履歴は少なくとも修理回数を含む。修理回数は修理された累積回数である。修理履歴は、さらに修理の内容についての情報を含んでよい。例えば修理履歴は、修理回数に加えて、修理箇所、損傷度合い及びカーカスプライの損傷有無の少なくとも1つを含んでよい。修理箇所は、カーカスプライ、トレッド、サイドウォールなど修理が行われた部分を示す情報である。損傷度合いは、修理された損傷が重度であったか、軽度であったかを示す情報である。損傷度合いは、さらに中間の損傷程度を示す区分(例えば中程度)を含んでよい。例えばカーカスプライの損傷部分をパッチコードで補強する修理が行われた場合に、損傷度合いは重度とされてよい。例えばタイヤ表面の疵のある部分を削る修理又はタイヤ表面のカーカスプライに至らない浅い穴をゴム材料で埋める修理が行われた場合に、損傷度合いは軽度とされてよい。また、カーカスプライの損傷有無が1つの項目として設けられてよい。修理履歴は、さらに過去のリトレッド回数を含んでよい。図3において修理履歴の各項目の情報が例示されているが、図3に記載の内容に限定されるものでなく、例えばいくつかの項目が省略されてよいし、さらに別の項目が追加されてよい。
【0028】
また、本実施形態において、記憶部12は作業場所(鉱山)において使用される車両に関するデータである車両管理データを記憶する。図4に示すように、車両管理データにおいて、車両に関する情報が、個々の車両に固有の識別情報である車両ID情報に対応付けられている。本実施形態において、車両に関する情報は、通信部11を介してサーバ60から取得されて、車両管理データとして記憶部12に記憶される。車両管理データは、例えば定期的に、サーバ60から得られる新たな情報を用いて更新されてよい。
【0029】
車両管理データは、例えば車両の種別、走行路、最大積載量、複輪の有無などの情報を含んでよい。種別は、車両の作業内容に基づく区分であって、「a」、「b」などの記号が用いられてよい。図4の例では、「a」が鉱石の運搬を行う車両であって、「b」が掘削を行う車両である。走行路は、作業場所において車両が平坦な路面を走行するか、斜面を走行するかを示す情報である。走行路は、例えば路面が乾燥しているか否かを示す情報をさらに含んでよい。最大積載量は、鉱石の運搬を行う車両が積載可能な最大量を示す。また、車両における複輪の有無が1つの項目として設けられてよい。図4において車両管理データの各項目の情報が例示されているが、図4に記載の内容に限定されるものでなく、例えばいくつかの項目が省略されてよいし、さらに別の項目が追加されてよい。
【0030】
制御部13は、1つ以上のプロセッサである。プロセッサは、例えば汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られず任意のプロセッサとすることができる。制御部13は、タイヤ管理装置10の全体の動作を制御する。
【0031】
ここで、タイヤ管理装置10は、以下のようなソフトウェア構成を有してよい。タイヤ管理装置10の動作の制御に用いられる1つ以上のプログラムが記憶部12に記憶される。記憶部12に記憶されたプログラムは、制御部13のプロセッサによって読み込まれると、プロセッサを取得部131、判定部132及び出力部133として機能させる。
【0032】
取得部131は、タイヤ管理データと、車両管理データと、を取得する。取得部131は、修理対象タイヤが修理場所に搬送されて修理が行われた場合に、タイヤ管理データ及び車両管理データを記憶部12から取得してよい。また、取得部131は、修理対象タイヤに内蔵された発信器31から読み取られるタイヤID情報を取得する。つまり、取得部131は、読取部70によって読み取られた修理対象タイヤのタイヤID情報を取得する。
【0033】
判定部132は、修理対象タイヤの修理履歴を、修理対象タイヤのタイヤIDに基づいて特定する。つまり、判定部132は、タイヤ管理データからタイヤID情報を用いた選択を実行することで、修理対象タイヤの修理履歴を特定する。そして、判定部132は、修理履歴に基づいて、修理対象タイヤの負荷が軽減されるように、装着に適している車両を判定する。判定部132は、修理対象タイヤの装着に適している車両を判定する場合に、車両管理データを用いる。判定部132は、修理対象タイヤの装着に適している車両として、個別の車両を選択してよいし、車両の種類を選択してよい。判定部132は、発信器31から読み取られるタイヤID情報を用いて修理対象タイヤを個別に識別し、識別した修理対象タイヤの修理履歴を把握して装着に適している車両を判定する。判定部132のこのような判定は、修理対象タイヤの特に修理箇所における負荷を軽減して、修理対象タイヤの長期使用を可能にする。
【0034】
判定部132は、修理履歴として、修理回数だけでなく、修理箇所、損傷度合い及びカーカスプライの損傷有無の少なくとも1つを判定に用いることが好ましい。例えば修理履歴が修理回数だけを含む構成の場合に、判定部132は、損傷度合いが軽度の修理を3回行ったタイヤも損傷度合いが重度の修理を3回行ったタイヤと同じように扱うことがあり得る。この例において、判定部132は、損傷度合いが軽度の修理を3回行ったタイヤについて、必要以上に負荷を軽減するように車両の候補の範囲を狭めすぎるおそれがある。判定部132の判定において修理回数だけでない修理履歴(修理の内容)が用いられることによって、修理対象タイヤを装着させる車両の候補の範囲を狭めすぎることなく、装着に適している車両を判定することができる。
【0035】
判定部132は、例えば以下ように装着に適している車両を判定(選択)してよい。判定部132は、修正履歴で、損傷度合いが重度又はカーカスプライに損傷があった修理対象タイヤについて、最大積載量が小さく、平坦な走行路を走る車両への装着が適していると判定してよい。また、判定部132は、修正履歴で、修理回数が3回以上であった修理対象タイヤについても、最大積載量が小さく、平坦な走行路を走る車両への装着が適していると判定してよい。また、判定部132は、修正履歴で、サイドウォールに軽度の損傷があった修理対象タイヤについて、斜面で掘削を行う車両でなく、平坦な走行路で運搬を行う車両への装着が適していると判定してよい。また、判定部132は、修正履歴で、いずれも軽度の損傷であるが修理回数が2回以上であった修理対象タイヤについて、より最大積載量が小さい車両への装着が適していると判定してよい。
【0036】
本実施形態において、タイヤ管理データは、修理対象タイヤが装着されていた車両の走行状態を示す走行履歴も含んでいる。判定部132は、修理履歴及び走行履歴に基づいて、すなわち修理履歴だけでなく走行履歴も用いて、修理対象タイヤの装着に適している車両を判定してよい。判定部132は、例えば修理対象タイヤが装着されていた車両の走行距離が著しく長い場合に、さらに修理対象タイヤの負荷が軽減されるように車両を選択してよい。例えば判定部132は、通常の場合に判定する車両より、最大積載量が小さい同種の車両を選択してよい。この場合に、修理対象タイヤの過去の使用による負荷を考慮して、装着に適している建設車両を判定することができる。
【0037】
判定部132は、修理履歴に基づいて、修理対象タイヤの車両における適切な装着位置をさらに判定してよい。本実施形態において、タイヤ管理データから得られる修理履歴は、修理対象タイヤのそれぞれのリトレッドの回数を含む。判定部132は、例えばリトレッドの回数などに基づいて、貸し出しタイヤの適切な装着位置を選択してよい。換言すると、判定部132は、タイヤの装着位置のローテーションについて判定してよい。例えば判定部132は、修理対象タイヤがリトレッドの回数が1回以上のタイヤ(すなわちリトレッドタイヤ)である場合に、修理対象タイヤの装着位置を駆動輪以外に指定してよい。例えば判定部132は、利用者の車両が前輪駆動である場合に、修理対象タイヤの装着位置を後輪と指定してよい。判定部132は、さらに車両管理データに基づいて複輪の有無を把握し、後輪が複輪の場合に、複輪の内側の方に修理対象タイヤを装着させることを指定してよい。また、この場合に、左右で大きな摩耗の偏りが生じないように、適するローテーションを示してよい。このような装着位置の選択によって、車両に装着された場合の摩耗の偏りを考慮して、装着に適している車両を判定することができる。
【0038】
出力部133は、判定部132によって判定された結果(すなわち修理対象タイヤの装着に適する車両、適切な装着位置など)を、表示装置などに対して出力する。例えばサーバ60のディスプレイなどが、結果を表示する表示装置として機能し得る。
【0039】
図5は、タイヤ管理装置10の制御部13が実行するタイヤ管理方法の処理を例示するフローチャートである。タイヤ管理方法の処理は、修理対象タイヤが修理場所に搬送されて修理が行われたタイミングで開始されてよい。
【0040】
取得部131は、タイヤに関するデータであって、タイヤの修理履歴を含むタイヤ管理データを取得する(ステップS1)。
【0041】
取得部131は、作業場所において使用される車両に関するデータである車両管理データを取得する(ステップS2)。
【0042】
判定部132は、修理対象タイヤの修理履歴を、修理対象タイヤに内蔵された発信器31から読み取られるタイヤID情報に基づいて特定し、修理履歴に基づいて、修理対象タイヤの負荷が軽減されるように、装着に適している車両を判定する(ステップS3)。
【0043】
判定部132は、修理対象タイヤの修理履歴に基づいて、修理対象タイヤの車両における適切な装着位置を判定する(ステップS4)。
【0044】
出力部133は、判定部132の判定結果を、例えばサーバ60のディスプレイなどに対して出力する(ステップS6)。例えば車両の管理者は、修理対象タイヤを装着すべき車両を確認し、タイヤのローテーションなどを計画することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態に係るタイヤ管理装置10及びタイヤ管理方法は、上記の構成によって、個別に識別したタイヤの修理履歴を把握し、修理された建設車両用のタイヤの長期使用を可能にする。また、大型の建設車両用のタイヤについて、修理によって長期間の使用が可能になることは、コストを低減させるだけでなく、廃棄物を減らして省資源に貢献できる。また、タイヤ損傷によって代替品が届くまで作業が中断するといった機会損失を低減することができる。
【0046】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラム及びプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献】
【0047】
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本開示の一実施形態は「No.9 産業と技術革新の基盤をつくろう」等に貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0048】
10 タイヤ管理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
31 発信器
40 ネットワーク
60 サーバ
70 読取部
131 取得部
132 判定部
133 出力部
図1
図2
図3
図4
図5