IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本エレテックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電極材 図1
  • 特開-電極材 図2
  • 特開-電極材 図3
  • 特開-電極材 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085265
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】電極材
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/263 20210101AFI20240619BHJP
   A61B 5/291 20210101ALI20240619BHJP
【FI】
A61B5/263
A61B5/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199706
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】505180335
【氏名又は名称】日本エレテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】建部 則久
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127LL08
4C127LL22
(57)【要約】
【課題】生体信号の検出用に用いると、その検出精度が高く、電気分解や電気メッキ等の電極に用いると電気化学的反応性に優れ、接地極に用いると接地抵抗が小さくなる等、いろいろな用途に適用できる電極材の提供を目的とする。
【解決手段】金属繊維を紡績してあるか、又は繊維糸に帯状の金属箔を連続的に巻装してあることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属繊維を紡績してあるか、又は繊維糸に帯状の金属箔を連続的に巻装してあることを特徴とする電極材。
【請求項2】
前記金属箔は幅が1mm以下で厚みが0.0001~0.2mmであることを特徴とする請求項1記載の電極材。
【請求項3】
脳波等の生体信号の検出用であり、ブラシ状に複数立設してあることを特徴とする請求項1又は2記載の電極材。
【請求項4】
電気化学的反応用の電極であることを特徴とする請求項1又は2記載の電極材。
【請求項5】
接地極用であることを特徴とする請求項1又は2記載の電極材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体信号の検出や電気化学的反応、さらには接地極等に用いられる電極材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、脳波検出用電極を開示し、電極部と頭皮との間に毛髪が挟まることを抑制するために、複数の突起部とこの突起部の表面に線状凸部を設けてある。
しかし、このような突起形状では頭皮に強く当たり過ぎる恐れがあり、毛髪をかき分けるのにも限界がある。
特許文献2には、合成樹脂繊維の表面に金属メッキを施した接触センサー用電極を開示するが、金属メッキでは接触時の変形により剥がれやすい問題がある。
【0003】
また、水素製造等に用いる水の電気分解や、電気メッキ等の電気化学的反応においても各種の電極材が用いられている。
例えば特許文献3には、水素発生器の電極として棒状の電極やメッシュ加工、エキスパンドメタル加工等を施した網状の電極が用いられているが、電極表面に小さな気泡が付着し、反応の進行が抑制される問題がある。
また、棒状や網状の電極形状では、反応表面積を大きくするのが難しく、反応効率に限界がある。
さらには、電気施設,電気器具等の保安や機能保全等を目的に接地極が用いられているが、接地抵抗の低減が重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-177933号公報
【特許文献2】特開2007-262623号公報
【特許文献3】特許第7168274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、生体信号の検出用に用いると、その検出精度が高く、電気分解や電気メッキ等の電極に用いると電気化学的反応性に優れ、接地極に用いると接地抵抗が小さくなる等、いろいろな用途に適用できる電極材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電極材は、金属繊維を紡績してあるか、又は繊維糸に帯状の金属箔を連続的に巻装してあることを特徴とする。
ここで、金属繊維は線径が500μm以下の短繊維又は長繊維を紡績したものであり、繊維糸は天然繊維や合成繊維であり、導電性を有していなく、巻装する金属箔は幅が1mm以下で厚みが0.0001~0.2mmであるのが好ましい。
【0007】
ここで、帯状の金属箔を連続的に巻装するとは、細長い繊維糸の外周に沿って渦巻き状に巻き付けることをいう。
【0008】
このようにすると、金属箔が繊維糸の柔軟性に追随して変形しても、この金属箔が剥がれにくく、例えば金属箔が巻装された繊維糸を複数本ブラシ状に立設すると、先端が頭皮に当たりやすく、毛髪が脳波の検出に対して障害になることがなくなり、柔軟性があるので頭皮を痛めることもない。
また、柔軟で可撓性があるので、各種生体信号を検出するセンサー等としても使用できる。
さらには、金属繊維を紡績することで得られた電極材は放電点が多くなり、電気化学的用途の電極や接地極としても優れる。
【0009】
また、水の電気分解等の電極材に用いた場合には、帯状の金属箔が繊維糸に巻かれている場合には、先端部や箔のエッジ部での反応や糸の側面での沿面反応により、電気的反応性に優れる。
また、細い金属箔が巻かれた繊維糸が複数本ブラシ状に立設した電極にすると、反応表面積が増大するだけでなく、電極が針状になっているので、反応により発生した気泡が離れやすく、その点において反応効率が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電極材は、細い繊維糸を芯材にし、その外周面に沿って帯状の細長い金属箔が渦巻き状に巻かれていることから、柔軟性を有し、体積に対する表面積比が高く、電気化学反応特性に優れる。
また、導電性の高い金属繊維を紡績すると放電点が多くなり、反応性向上や接地抵抗の低減に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】繊維糸に金属箔が巻装された電極材の拡大図を示す。
図2】金属箔が巻装された電極糸がブラシ状に立設した構造例を示す。
図3】2本の金属ワイヤーを用いて、金属箔が巻装された繊維糸を挟み込み、回転ブラシ状に構成した例を示す。
図4】金属繊維を用いて紡績した電極材の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る電極材の構造例を以下、図に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0013】
図1は、本発明に係る電極材の部分拡大図を示す。
繊維糸10の外周に沿って帯状の金属箔11が、渦巻き状に巻き付けられている。
本明細書では、これを必要に応じて電極糸と表現する。
繊維糸10は、天然繊維でも化学繊維でもよく、ナイロン,ポリエステル,アクリル等の繊維を太さ0.3~1mmの大きさになるように撚った糸である。
金属箔12は、アルミニウム,銀,銅,ステンレス等の金属箔である。
帯状の金属箔の幅は、0.3~1mm,厚み0.0001~0.2mmの範囲が好ましい。
【0014】
図2は、歯ブラシのようなブラシ状に電極糸を複数立設した電極材の例を示す。
導電性の布や導電性樹脂等からなる基材1から電極糸が立設されている。
このようにすると、脳波の検出子や生体等の接触センサー子として使用できる。
【0015】
図3は、銅線やステンレス線等の2本の金属製のワイヤー2,3の間に複数の電極糸(10)を挟み込むように撚り、回転ブラシ状にした例を模式的に拡大して示す。
このような構造にすると、電気分解や電気メッキにおける電極として使用できる。
【0016】
図4は、金属繊維を紡績して電極材にした例を示す。
本実施例は、線径500μm以下の金属線を約50mm程度の長さにカットしたものを用いて紡績してある。
金属繊維は、銀,金,銅,アルミニウム,ステンレス等が例に挙げられ、短繊維でも長繊維でもよい。
また、表面に起毛加工を施してもよい。
紡績しにくい金属繊維は、紡績後に水等に溶解できる繊維と混紡してもよい。
【符号の説明】
【0017】
1 基材
2 ワイヤー
3 ワイヤー
10 電極材(電極糸)
11 繊維糸
12 金属箔
図1
図2
図3
図4