IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立産機システムの特許一覧 ▶ 株式会社チノーの特許一覧

<>
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図1
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図2
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図3
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図4
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図5
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図6
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図7
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図8
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図9
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図10
  • 特開-絶縁監視装置、絶縁監視方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085278
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】絶縁監視装置、絶縁監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/50 20200101AFI20240619BHJP
【FI】
G01R31/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199726
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(71)【出願人】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 昭男
(72)【発明者】
【氏名】石橋 政三
(72)【発明者】
【氏名】根本 正信
(72)【発明者】
【氏名】井手 佑
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA16
2G014AB09
2G014AC15
2G014AC19
(57)【要約】
【課題】漏洩電流を正確に算出できる。
【解決手段】絶縁監視装置は、電源から負荷に供給する電力を制御するスイッチングデバイスに関する漏洩電流を監視する絶縁監視装置であって、スイッチングデバイスと負荷との間、およびスイッチングデバイスと一次側との間、の少なくとも一方に設けられた漏洩電流検出部が検出する漏洩電流値を取得する漏洩電流取得部と、電源の電圧値である電源電圧値を取得する一次側電圧取得部と、スイッチングデバイスにより負荷への電力供給がされている期間であるオン期間を特定する期間特定部と、を備え、スイッチングデバイスにより負荷への電力供給がされていない期間をオフ期間とし、オン期間における漏洩電流値に基づき、前記電源電圧値を基準として、オン期間が100%である場合の漏洩電流値の実効値である正規化漏洩電流値を推定する推定部をさらに備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から負荷に供給する電力を制御するスイッチングデバイスに関する漏洩電流を監視する絶縁監視装置であって、
前記スイッチングデバイスと前記負荷との間、および前記スイッチングデバイスと一次側との間、の少なくとも一方に設けられた漏洩電流検出部が検出する漏洩電流値を取得する漏洩電流取得部と、
前記電源の電圧値である電源電圧値を取得する一次側電圧取得部と、
前記スイッチングデバイスにより前記負荷への電力供給がされている期間であるオン期間を特定する期間特定部と、を備え、
前記スイッチングデバイスにより前記負荷への電力供給がされていない期間をオフ期間とし、
前記オン期間における前記漏洩電流値に基づき、前記電源電圧値を基準として、前記オン期間が100%である場合の前記漏洩電流値の実効値である正規化漏洩電流値を推定する推定部をさらに備える絶縁監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁監視装置において、
前記推定部は、前記オン期間における前記漏洩電流値を対象としてフーリエ変換を行い、前記正規化漏洩電流値を推定する、絶縁監視装置。
【請求項3】
請求項1に記載の絶縁監視装置において、
前記推定部は、前記オフ期間における前記漏洩電流値を推定し、取得した前記オン期間における前記漏洩電流値および推定した前記オフ期間における前記漏洩電流値を対象としてフーリエ変換を行い、前記正規化漏洩電流値を推定する、絶縁監視装置。
【請求項4】
請求項1に記載の絶縁監視装置において、
前記負荷は発熱体である、絶縁監視装置。
【請求項5】
請求項1に記載の絶縁監視装置において、
前記期間特定部は、前記スイッチングデバイスを通過する電流である負荷電流の大きさに基づき前記オン期間を特定する、絶縁監視装置。
【請求項6】
請求項1に記載の絶縁監視装置において、
前記期間特定部は、前記スイッチングデバイスが出力する制御信号に基づき前記オン期間を特定する、絶縁監視装置。
【請求項7】
請求項5に記載の絶縁監視装置において、
前記漏洩電流検出部、前記電圧値を測定する電圧計、前記負荷電流を測定する負荷電流計をさらに備える、絶縁監視装置。
【請求項8】
請求項6に記載の絶縁監視装置において、
前記漏洩電流検出部、および前記電圧値を測定する電圧計をさらに備える、絶縁監視装置。
【請求項9】
請求項7に記載の絶縁監視装置において、
前記スイッチングデバイスをさらに備える、絶縁監視装置。
【請求項10】
請求項1に記載の絶縁監視装置において、
前記正規化漏洩電流値に基づき報知する報知部をさらに備える、絶縁監視装置。
【請求項11】
電源から負荷に供給する電力を制御するスイッチングデバイスに関する漏洩電流を監視する絶縁監視装置が実行する絶縁監視方法であって、
前記スイッチングデバイスと前記負荷との間、および前記スイッチングデバイスと一次側との間、の少なくとも一方に設けられた漏洩電流検出部が検出する漏洩電流値を取得する漏洩電流検出ステップと、
前記電源の電圧値である電源電圧値を取得する一次側電圧取得ステップと、
前記スイッチングデバイスにより前記負荷への電力供給がされている期間であるオン期間を特定する期間特定ステップと、を含み、
前記スイッチングデバイスにより前記負荷への電力供給がされていない期間をオフ期間とし、
前記オン期間における前記漏洩電流値に基づき、前記電源電圧値を基準として、前記オン期間が100%である場合の前記漏洩電流値の実効値である正規化漏洩電流値を推定する推定ステップとを含む、絶縁監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁監視装置、および絶縁監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業機器を安全に稼働させるために、定められた絶縁性能を確保する必要がある。素材の経年劣化などにより絶縁性能が低下することもあるため、絶縁性能を定期的に評価することが望ましい。特許文献1には、主回路の負荷電流を断続するスイッチ部と、該負荷電流の大きさを検出する負荷電流検出部と、該負荷電流の漏洩電流の大きさを検出する漏洩電流検出部を具備したことを特徴とする回路遮断器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-304148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている発明では、漏洩電流の算出手法に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様による絶縁監視装置は、電源から負荷に供給する電力を制御するスイッチングデバイスに関する漏洩電流を監視する絶縁監視装置であって、前記スイッチングデバイスと前記負荷との間、および前記スイッチングデバイスと一次側との間、の少なくとも一方に設けられた漏洩電流検出部が検出する漏洩電流値を取得する漏洩電流取得部と、前記電源の電圧値である電源電圧値を取得する一次側電圧取得部と、前記スイッチングデバイスにより前記負荷への電力供給がされている期間であるオン期間を特定する期間特定部と、を備え、前記スイッチングデバイスにより前記負荷への電力供給がされていない期間をオフ期間とし、前記オン期間における前記漏洩電流値に基づき、前記電源電圧値を基準として、前記オン期間が100%である場合の前記漏洩電流値の実効値である正規化漏洩電流値を推定する推定部をさらに備える。
本発明の第2の態様による絶縁監視方法は、電源から負荷に供給する電力を制御するスイッチングデバイスに関する漏洩電流を監視する絶縁監視装置が実行する絶縁監視方法であって、前記スイッチングデバイスと前記負荷との間、および前記スイッチングデバイスと一次側との間、の少なくとも一方に設けられた漏洩電流検出部が検出する漏洩電流値を取得する漏洩電流検出ステップと、前記電源の電圧値である電源電圧値を取得する一次側電圧取得ステップと、前記スイッチングデバイスにより前記負荷への電力供給がされている期間であるオン期間を特定する期間特定ステップと、を含み、前記スイッチングデバイスにより前記負荷への電力供給がされていない期間をオフ期間とし、前記オン期間における前記漏洩電流値に基づき、前記電源電圧値を基準として、前記オン期間が100%である場合の前記漏洩電流値の実効値である正規化漏洩電流値を推定する推定ステップとを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、漏洩電流を正確に算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態における絶縁監視システムのハードウエア構成図
図2】絶縁監視装置のハードウエア構成図
図3】絶縁監視装置の機能ブロック図
図4】絶縁監視装置の動作を説明する図
図5】周波数判定処理を示すフローチャート
図6】計測処理を示すフローチャート
図7】第2の実施の形態における絶縁監視システムのハードウエア構成図
図8】第3の実施の形態における絶縁監視システムのハードウエア構成図
図9】第3の実施の形態の変形例における絶縁監視システムのハードウエア構成図
図10】第4の実施の形態における絶縁監視システムのハードウエア構成図
図11】第4の実施の形態の変形例における絶縁監視システムのハードウエア構成図
【発明を実施するための形態】
【0008】
―第1の実施の形態―
以下、図1図6を参照して、本発明に係る絶縁監視装置の第1の実施の形態を説明する。
【0009】
図1は、第1の実施の形態における絶縁監視システムのハードウエア構成図である。絶縁監視装置システム100は、絶縁監視装置1と、スイッチングデバイスであるサイリスタレギュレータ2と、電源91と、一次電圧計92と、負荷電流計93と、漏洩電流検出装置94と、発熱体95と、報知装置96と、を備える。なお図1において実線は電力の経路を示し破線は信号の経路を示す。ただし信号の伝達に電流値や電圧値を用いる場合もあるので、破線で示す信号の経路に電力が流れる場合もある。一次電圧計92、負荷電流計93、および漏洩電流検出装置94から絶縁監視装置1への情報伝達には、アナログ通信が用いられてもよいしデジタル通信が用いられてもよい。デジタル通信とは、プロフィバスやIEEE802.3などである。
【0010】
念のために記載すると、一次電圧計92、負荷電流計93、および漏洩電流検出装置94のそれぞれは、独立して用いられる装置でなくてもよく、たとえば表示部を備えなくてもよい。一次電圧計92は、「電圧測定部」や「電圧測定モジュール」と呼ぶこともできる。負荷電流計93は、「電流測定部」や「電流測定モジュール」と呼ぶこともできる。漏洩電流検出装置94は、「漏洩電流測定部」や「漏洩電流測定モジュール」と呼ぶこともできる。
【0011】
電源91は、発熱体95への電力供給源となる交流電源である。電源91は接地されている。本実施の形態では、電力の経路においてサイリスタレギュレータ2よりも電源91に近い側を「一次側」と呼び、サイリスタレギュレータ2よりも発熱体95に近い側を「二次側」と呼ぶ。一次電圧計92は、一次側の電圧を測定してその情報を絶縁監視装置1に出力する。一次電圧計92は高頻度に電圧を測定しており、測定の頻度はたとえば電源周波数の数倍以上である。たとえば電源周波数が50Hzの場合には一次電圧計92は1kHz以上で測定する。
【0012】
負荷電流計93は、電源91から負荷である発熱体95に流れる電流(以下、「負荷電流」と呼ぶ)を測定して、測定した電流値を絶縁監視装置1に出力する。負荷電流計93は測定を繰り返すので、絶縁監視装置1は後述するように時系列の電流値、いわば電流値の波形が得られる。漏洩電流検出装置94は、漏洩電流を測定して、測定した漏洩電流値を絶縁監視装置1に出力する。漏洩電流検出装置94は測定を繰り返すので、絶縁監視装置1は後述するように時系列の漏洩電流値、いわば漏洩電流値の波形が得られる。なお「漏洩電流」は、「漏れ電流」とも呼ばれる。本実施の形態では、漏洩電流検出装置94は発熱体95において発生する漏洩電流を測定する。漏洩電流検出装置94はたとえば、零相変流器(Zero phase Current Transformer;ZCT)である。
【0013】
発熱体95は、サイリスタレギュレータ2を間に介して電源91と接続される。すなわち、発熱体95はサイリスタレギュレータ2の二次側に配される。発熱体95は電力が供給されることで発熱する。発熱体95は、サイリスタレギュレータ2の動作により、電力供給が受けられる期間と電力供給が遮断される期間とがある。以下では、電力供給を受ける期間を「オン期間」と呼び、電力供給が遮断される期間を「オフ期間」と呼ぶ。報知装置96は、たとえば音、振動、光、および映像の少なくとも1つを用いて異常を知らせる装置である。報知装置96はたとえば、スピーカー、ライト、液晶ディスプレイなどである。
【0014】
サイリスタレギュレータ2は、CPU21と、電圧計22と、サイリスタ23と、を備える。CPU21は、不図示のROMに格納されたプログラムを不図示のRAMに展開して実行する。CPU21はたとえば、発熱体95の温度が設定された温度となるように2つのサイリスタ23を制御する。具体的にはCPU21は、サイリスタ23のゲート端子へ電圧を印加することで、発熱体95への電力供給を制御する。サイリスタレギュレータ2は位相制御方式を採用しており、電圧計22が測定する電源91の電圧が0Vを通過するタイミングを基準にサイリスタ23を制御する。
【0015】
CPU21によるサイリスタ23の制御には公知の様々な手法を用いることができる。たとえばCPU21は、発熱体95の付近に設けられる不図示の温度計の出力を取得し、目標値との偏差に所定のゲインを乗じた値に基づきサイリスタ23のゲート端子に電圧を印加する位相の範囲を決定する。そしてCPU21は、電源91の電圧が0Vを超えてプラスになるタイミングをゼロ度として、先ほど決定した位相の範囲においてサイリスタ23のゲート端子電圧を印加する。
【0016】
絶縁監視装置1は、一次電圧計92、負荷電流計93、および漏洩電流検出装置94の出力に基づき、正規化された漏洩電流を算出する。詳しくは後述する。
【0017】
図2は、絶縁監視装置1のハードウエア構成図である。絶縁監視装置1は、中央演算装置である監視CPU81、読み出し専用の記憶装置である監視ROM82、読み書き可能な記憶装置である監視RAM83、センサの測定値を取得するセンサ値取得部84、および出力部85を備える。
【0018】
監視CPU81が監視ROM82に格納されるプログラムを監視RAM83に展開して実行することで後述する様々な演算を行う。絶縁監視装置1は、監視CPU81、監視ROM82、および監視RAM83の組み合わせの代わりに書き換え可能な論理回路であるFPGA(Field Programmable Gate Array)や特定用途向け集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現されてもよい。また絶縁監視装置1は、監視CPU81、監視ROM82、および監視RAM83の組み合わせの代わりに、異なる構成の組み合わせ、たとえば監視CPU81、監視ROM82、および監視RAM83とFPGAの組み合わせにより実現されてもよい。
【0019】
センサ値取得部84は、一次電圧計92、負荷電流計93、および漏洩電流検出装置94の出力を取得する。センサ値取得部84は、一次電圧計92、負荷電流計93、および漏洩電流検出装置94が採用する通信方式に対応するハードウエア構成を有する。たとえば一次電圧計92が測定値を4-20mAのアナログ信号で出力する場合には、センサ値取得部84はAD変換器を含む。出力部85は、絶縁監視装置1の演算結果に基づき報知装置96に信号を出力する。出力部85は、報知装置96が利用可能な信号を出力するハードウエア構成を有する。たとえば報知装置96がライトの場合は、出力部85はライトへ動作信号を出力するDA変換器である。たとえば報知装置96が液晶ディスプレイの場合は、出力部85は液晶ディスプレイに映像信号を出力する表示制御装置である。
【0020】
図3は、絶縁監視装置1が有する機能を示す機能ブロック図である。絶縁監視装置1は、期間特定部11と、漏洩電流取得部12と、一次側電圧取得部13と、推定部14と、報知部15とを備える。期間特定部11は、負荷電流計93の出力に基づき、発熱体95への電力供給が遮断されている期間であるオフ期間を特定する。期間特定部11は、監視CPU81による演算とセンサ値取得部84とにより実現される。
【0021】
漏洩電流取得部12は、漏洩電流検出装置94が測定する漏洩電流値を取得する。漏洩電流取得部12は、監視CPU81による演算とセンサ値取得部84とにより実現される。なお本実施の形態では、漏洩電流は発熱体95に電力が供給されるオン期間には発生するが、発熱体95に電力が供給されないオフ期間には発生しない。オン期間とオフ期間はサイリスタレギュレータ2のCPU21の演算により決定され、少なくともオン期間およびオフ期間は一定ではない。そのため、漏洩電流取得部12が取得する漏洩電流値の大きさだけでは、発熱体95における絶縁破壊の程度を正確に見積もることはできない。
【0022】
一次側電圧取得部13は、一次電圧計92が測定する一次側電圧値を取得する。一次側電圧取得部13は、監視CPU81による演算とセンサ値取得部84とにより実現される。推定部14は、オン期間における漏洩電流値を用いて、正規化された漏洩電流を算出する。正規化された漏洩電流とは、オン期間が100%である場合の、本来の絶縁破壊の程度を示す漏洩電流の実効値であり、たとえばオン期間とオフ期間が1:1、すなわち50%ずつの場合におけるオフ期間を補完した漏洩電流の実効値や、オン期間が100%でオフ期間が存在しない場合における漏洩電流の実効値である。本実施の形態では、オン期間が100%でオフ期間が存在しない場合における漏洩電流の実効値を正規化された漏洩電流と定義する。
【0023】
報知部15は、推定部14が算出する正規化された漏洩電流の情報を報知装置96に出力する。報知部15は、正規化された漏洩電流の値をそのまま出力してもよいし、あらかじめ定めた閾値との関係を出力してもよい。たとえば報知部15は、あらかじめ定めた2つの閾値と正規化された漏洩電流の大小関係により、安全、注意、危険の3段階のいずれかに分類し、分類結果を音声、映像、光などで出力してもよい。
【0024】
図4は、絶縁監視システムの動作を説明する図である。図4では4つの時系列変化を示しており、上から順番に、一次電圧計92が測定する一次側電圧、負荷電流計93が測定する負荷電流、期間特定部11が特定するオフ期間およびオン期間、および漏洩電流検出装置94が測定する漏洩電流である。ただし図4では電圧と電流の位相が一致している場合を図示している。また図4におけるハッチングは、測定値が存在することを強調するために記載している。負荷電流のグラフに記載した+THと-THは後述する閾値である。
【0025】
監視CPU81は、一次側電圧を高速にサンプリングしており、一次側電圧が0Vを通過するタイミングを特定できる。図4では、一次側電圧が0Vをまたいでマイナスからプラスになるタイミングを時刻t0としている。そして、次に一次側電圧が0Vをまたいでプラスからマイナスになるタイミングを時刻t5、さらに次に一次側電圧が0Vをまたいでマイナスからプラスになるタイミングを時刻t10としている。
【0026】
2段目に示す負荷電流は、時刻t0から時刻t1まではゼロであった。負荷電流は、時刻t1にある大きさが測定され、その後増加して極大値を測定した後に減少に転じ、時刻t5にはゼロとなった。その後、時刻t6まではゼロであり、時刻t6に測定されてから減少し、極小値を経て増加に転じ時刻t10に再びゼロとなった。
【0027】
期間特定部11は、この負荷電流の絶対値が所定の閾値THを超えてゼロとなるまでの期間をオン期間と特定し、それ以外の期間、換言すると負荷電流の絶対値がゼロから所定の閾値未満の期間をオフ期間と特定する。換言すると、期間特定部11は負荷電流が+TH~-THの範囲から外れるとオン期間の開始と判断し、その後に初めて負荷電流がゼロになるとオン期間の終了と判断する。図4に示す例では期間特定部11は、3段目に示すように、時刻t0~t1および時刻t5~t6をオフ期間と特定し、時刻t1~t5、時刻t6~t10をオン期間と特定する。
【0028】
4段目に示す漏洩電流は、漏洩電流検出装置94が測定する漏洩電流である。図4では、時刻t0~t1および時刻t5~t6を破線で示し、時刻t1~t5、時刻t6~t10を実線で示している。実際には、時刻t0~t1および時刻t5~t6において漏洩電流検出装置94が測定する漏洩電流はゼロにノイズが加わった値である。オフ期間には発熱体95に電力が供給されないので漏洩電流は生じないが、本実施の形態では正規化された漏洩電流を算出するために後述する手法により推定部14がオフ期間における漏洩電流を推定する。また、測定されるのは真値ではない見かけの電流なので、後述するように実効値を算出する。推定部14が推定する漏洩電流は、破線で示すような値である。
【0029】
(推定部14の処理)
推定部14は、オン期間における漏洩電流値を対象としてフーリエ変換を行い、基本波成分を特定する。ただし、オフ期間における漏洩電流値の情報が欠落しているため、窓関数を用いてオフ期間の重みづけを小さくする。また、このフーリエ変換では一次側電圧のベクトルを実数の基準とする。推定部14は、フーリエ変換で得られた基本波成分の大きさ、および位相を後の処理に利用する。たとえば漏洩電流値LIがフーリエ変換により次の式1のように得られた場合を考える。ただし式1では直流成分を省略している。
【0030】
LI=A cos(ωt+φ)+A cos(2ωt+φ)+・・ (式1)
【0031】
この場合に推定部14は、皮相漏洩電流の大きさであるAと、位相φを用いて、次の式2のように正規化された実効漏洩電流NEを算出する。
【0032】
NE=A cos(φ) (式2)
【0033】
(フローチャート)
図5は、推定部14が実行する周波数判定処理を示すフローチャートである。推定部14は、絶縁監視装置1の電源がオンにされるたびに周波数判定処理を実行する。周波数判定処理では、一次電圧計92が出力する一次側の電圧を逐次読み込んで判断を行う。記載を簡略化するために、図5では一次電圧計92の出力を読み込む処理の記載は省略している。また以下に説明する周波数判定処理は、電源周波数が50Hzまたは60Hzのいずれかであることを前提としている。
【0034】
まずステップS311において推定部14は、一次側電圧がマイナスからプラスに変化したか否かを判断する。推定部14は、マイナスからプラスに変化していないと判断する場合はステップS311にとどまり、マイナスからプラスに変化したと判断する場合はステップS312に進む。電源91は交流電源であり短い時間周期で電圧が変化しているが、周波数判定処理を開始したタイミングにおける電圧の位相は不定なので、ステップS311では電圧値が特定の状態になるまで待機している。
【0035】
ステップS312では推定部14は、時間カウントを開始してステップS313に進む。ステップS313では推定部14は、一次側電圧がプラスからマイナスに変化したか否かを判断する。推定部14は、プラスからマイナスに変化していないと判断する場合はステップS313にとどまり、プラスからマイナスに変化したと判断する場合はステップS314に進む。ステップS314では推定部14は、ステップS312において開始した時間カウントを終了する。
【0036】
続くステップS315では推定部14は、時間カウントの値を判断する。推定部14は、時間カウントが「10ms」であると判断する場合はステップS316に進み電源周波数を「50Hz」と判定する。推定部14は、時間カウントが「8.3ms」であると判断する場合はステップS318に進み電源周波数を「60Hz」と判定する。推定部14は、時間カウントが「その他」、すなわち「10ms」および「8.3ms」のいずれでもないと判断する場合はステップS317に進み、エラーを出力する。ステップS316~S318のいずれかを実行すると、図5に示す処理を終了する。
【0037】
図6は、推定部14が実行する計測処理を示すフローチャートである。推定部14は、漏洩電流取得部12が取得する漏洩電流値をそのまま記録するのではなく、以下に説明するようにオン期間の測定値のみを記録する。推定部14は、絶縁監視装置1の電源がオンにされると計測処理を実行する。推定部14は絶縁監視装置1が起動している間は絶え間なく計測処理を継続するので、図6には終了がない。
【0038】
ステップS321では推定部14は、センサ値、すなわち一次電圧計92が出力する一次側電圧値、期間特定部11が取得する負荷電流値、および漏洩電流取得部12が取得する漏洩電流値を取得する。続くステップS322では推定部14は、一次側電圧がゼロクロスしたか否かを判断する。ゼロクロスとは、前回の測定値と今回の測定値の正負が異なることである。ゼロクロスは、プラスからマイナスの変化と、マイナスからプラスへの変化の両方が該当する。ステップS322において推定部14は、一次側電圧値がゼロクロスしたと判断する場合はステップS323に進み、ゼロクロスしていないと判断する場合はステップS321に戻る。ステップS322は、最初の測定を開始するにあたり、電圧のゼロクロス点、たとえば図4における時刻t0のタイミングを待っている状態である。
【0039】
ステップS323では推定部14は、直前に取得した負荷電流値の絶対値が所定の閾値以上であるか否かを判断する。推定部14は、負荷電流値の絶対値が所定の閾値以上であると判断する場合にはステップS324に進み、負荷電流値の絶対値が所定の閾値未満であると判断する場合にはステップS326に進む。ステップS324では推定部14は、最新の漏洩電流値をオン期間の測定値として記録してステップS325に進む。
【0040】
ステップS325では推定部14は、取得した最新の一次側電圧がゼロクロスしたか否かを判断する。ステップS325において推定部14は、一次側電圧値がゼロクロスしたと判断する場合は、丸囲みのAを経由してステップS323に戻り、ゼロクロスしていないと判断する場合はステップS327に進む。
【0041】
ステップS326では推定部14は、センサ値、すなわち一次電圧計92が出力する一次側電圧値、期間特定部11が取得する負荷電流値、および漏洩電流取得部12が取得する漏洩電流値を取得してステップS323に戻る。ステップS323とステップS326のループは、オン期間の開始を待機しており、図4における時刻t0~t1、または時刻t5~t6の処理に該当する。なおステップS323およびステップS326の処理は、正確には期間特定部11が実行する。
【0042】
ステップS327では推定部14は、センサ値、すなわち一次電圧計92が出力する一次側電圧値、期間特定部11が取得する負荷電流値、および漏洩電流取得部12が取得する漏洩電流値を取得してステップS324に戻る。ステップS323とステップS326のループは、オン期間が終了するまで記録を継続しており、図4における時刻t1~t5、または時刻t6~t10の処理に相当する。なおステップS325において肯定判断するケースは、新たな計測周期が開始されたことになるので、再び図4の時刻t0を超えた状態となるので、ステップS323とステップS326のループに入る。
【0043】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)絶縁監視装置1は、電源91から負荷である発熱体95に供給する電力を制御するサイリスタレギュレータ2に関する漏洩電流を監視する。絶縁監視装置1は、サイリスタレギュレータ2と発熱体95との間、に設けられた漏洩電流検出装置94が検出する漏洩電流値を取得する漏洩電流取得部12と、電源の電圧値を取得する一次側電圧取得部13と、サイリスタレギュレータ2により負荷への電力供給がされている期間であるオン期間を特定する期間特定部11と、を備える。サイリスタレギュレータ2により発熱体95への電力供給がされていない期間をオフ期間とする。絶縁監視装置1は、オン期間における漏洩電流値に基づき、前記電源の電圧値を基準として、オン期間が100%である場合の漏洩電流値の実効値である正規化漏洩電流値を推定する推定部14を備える。そのため絶縁監視装置1は、漏洩電流を正確に算出できる。
【0044】
(2)推定部14は、オン期間における漏洩電流値を対象としてフーリエ変換を行い、正規化漏洩電流値を推定する。
【0045】
(3)サイリスタレギュレータ2が電力供給の対象とする負荷は、発熱体95である。発熱体95は目標温度に応じて電力供給のオンとオフが切り替えられるため、漏れ電流の発生が一様ではなく、絶縁破壊の程度を推定することが容易ではない。しかし本実施の形態による手法を用いることで、絶縁破壊の程度を正規化漏洩電流値により評価できる。
【0046】
(4)期間特定部11は、サイリスタレギュレータ2を通過する電流である負荷電流の大きさに基づきオン期間を特定する。そのため、サイリスタレギュレータ2に特別な加工が不要である。
【0047】
(5)正規化漏洩電流値に基づき報知する報知部15を備える。そのため、計算結果を外部に知らせることができる。
【0048】
(変形例1)
上述した第1の実施の形態では、推定部14はオン期間の漏洩電流値を用いてフーリエ変換を行った。しかし推定部14は、オフ期間の漏洩電流値を推定し、推定したオフ期間の漏洩電流値と、測定したオン期間の漏洩電流値を用いてフーリエ変換を行ってもよい。推定部14によるオフ期間の漏洩電流値の推定は、一次式近似式や二次式近似式を用いてもよいし、オン期間がオフ期間よりも長い場合にはミラー反転を用いてもよい。
【0049】
ミラー反転による漏洩電流値の推定は、基本波のみに注目すればきれいな正弦波や余弦波であることに注目し、対称性を有することを利用するものである。たとえばオフ期間が0~30度であり基本波が余弦波の場合は、360度~330度における値を用いる。なお、基本波の周波数は前述の周波数判定処理により特定されているので、漏洩電流値がマイナスからプラスになるタイミングを特定できれば、時間と基本波の位相の関係は特定できる。
【0050】
この変形例1によれば、次の作用効果が得られる。
(6)推定部14は、オフ期間における漏洩電流値を推定し、取得したオン期間における漏洩電流値および推定したオフ期間における漏洩電流値を対象としてフーリエ変換を行い、正規化漏洩電流値を推定する。
【0051】
(変形例2)
上述した第1の実施の形態では、サイリスタレギュレータ2は発熱体95に電力を供給した。しかしサイリスタレギュレータ2が電力を供給する相手先は発熱体95に限定されない。サイリスタレギュレータ2が電力を供給する相手先は、交流電力を消費するデバイスであればよく、様々な負荷を電力の供給先としてよい。またサイリスタレギュレータ2は、昇圧用または降圧用の変圧器を介して負荷に電力を供給してもよい。この場合は変圧器と負荷の間に漏洩電流検出装置94を設けて負荷のみの漏洩電流を評価してもよいし、サイリスタレギュレータ2と変圧器との間に漏洩電流検出装置94を設けて変圧器および負荷の漏洩電流を評価してもよい。
【0052】
(変形例3)
上述した第1の実施の形態では、絶縁監視装置1は報知装置96に接続され、絶縁監視装置1は報知部15を備えた。しかし絶縁監視装置1は報知部15を備えなくてもよい。この場合に絶縁監視装置1はたとえば、算出結果である正規化された実効漏洩電流を時刻とともに不図示の不揮発性の記憶媒体に記録して事後的に読みだしてもよいし、算出結果を通信で出力してもよい。
【0053】
(変形例4)
上述した第1の実施の形態では、負荷電流計93がサイリスタレギュレータ2よりも二次側、すなわち発熱体95の側に配された。しかし、負荷電流計93はサイリスタレギュレータ2よりも一次側、すなわち電源91の側に配されてもよい。
【0054】
(変形例5)
上述した第1の実施の形態では、一次電圧計92は測定値を絶縁監視装置1に出力した。しかし一次電圧計92は測定値そのものを絶縁監視装置1に出力しなくてもよく、測定値がマイナスからプラスに変化するタイミング、および測定値がプラスからマイナスに変化するタイミングのタイミング信号だけを出力してもよい。
【0055】
―第2の実施の形態―
図7を参照して、絶縁監視システムの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、サイリスタレギュレータから制御信号を取得する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0056】
図7は、第2の実施の形態における絶縁監視システムのハードウエア構成図である。第1の実施の形態との相違点は、サイリスタレギュレータ2がサイリスタ23への制御信号を絶縁監視装置1にも出力する点である。また本実施の形態では、絶縁監視システムは負荷電流計93を備えなくてもよい。サイリスタレギュレータ2のCPU21は、サイリスタ23のゲート端子への電圧印加を開始および終了する際に、絶縁監視装置1にも信号を出力する。
【0057】
絶縁監視装置1の期間特定部11は、サイリスタレギュレータ2のCPU21が出力する信号に基づきオン期間およびオフ期間を特定する。その他の構成及び動作は第1の実施の形態と同様なため説明を省略する。
【0058】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(7)期間特定部11は、サイリスタレギュレータ2が出力する制御信号に基づきオン期間を特定する。そのため、負荷電流計93が不要であり、かつオン期間を正確に把握できる。
【0059】
―第3の実施の形態―
図8を参照して、絶縁監視システムの第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、漏洩電流を測定する漏洩電流検出装置94が配される位置が第1の実施の形態と異なる。
【0060】
図8は、第3の実施の形態における絶縁監視システムのハードウエア構成図である。図8では、漏洩電流検出装置94がサイリスタレギュレータ2よりも一次側、すなわち電源91の側に配される。そのため本実施の形態における漏洩電流検出装置94は、発熱体95だけでなくサイリスタレギュレータ2における漏洩電流を測定する。第1の実施の形態では、漏洩電流は発熱体95に電力が供給されるオン期間のみに発生し、発熱体95に電力が供給されないオフ期間には発生しなかった。しかし本実施の形態では、発熱体95に電力が供給されないオフ期間にも漏洩電流が発生する可能性がある。なお本実施の形態では、発熱体95により生じる漏洩電流と、サイリスタレギュレータ2により生じる漏洩電流とを区別できない。絶縁監視装置1の構成および動作は第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0061】
上述した第3の実施の形態によれば、多様なハードウエア構成を採用できる。
【0062】
(第3の実施の形態の変形例)
図9は、第3の実施の形態の変形例における絶縁監視システムのハードウエア構成図である。図9図8と比較すると、図8における漏洩電流検出装置94の位置に第1漏洩電流検出装置94Aが配され、図1における漏洩電流検出装置94の位置に第2漏洩電流検出装置94Bが配される。第1漏洩電流検出装置94Aは、第3の実施の形態と同様に発熱体95による漏洩電流とサイリスタレギュレータ2における漏洩電流の合計を検出する。第2漏洩電流検出装置94Bは、発熱体95における漏洩電流を検出する。
【0063】
絶縁監視装置1の推定部14は、第1漏洩電流検出装置94Aおよび第2漏洩電流検出装置94Bのそれぞれの出力に対して正規化された漏洩電流を算出する。算出手法は第1の実施の形態と同様である。さらに絶縁監視装置1の報知部15は、第1漏洩電流検出装置94Aおよび第2漏洩電流検出装置94Bのそれぞれの出力を報知する。その他の構成および動作は第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0064】
本変形例では、第2漏洩電流検出装置94Bの測定値に基づく正規化漏洩電流値が発熱体95の絶縁劣化状態を表す。また、第1漏洩電流検出装置94Aの測定値に基づく正規化漏洩電流値から第2漏洩電流検出装置94Bの測定値に基づく正規化漏洩電流値を引いた値が、サイリスタレギュレータ2の絶縁劣化状態を表す。
【0065】
―第4の実施の形態―
図10を参照して、絶縁監視システムの第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、絶縁監視装置を構成するハードウエアが増加している点で、第1の実施の形態と異なる。
【0066】
図10は、第4の実施の形態における絶縁監視システムのハードウエア構成図である。絶縁監視装置1Bは、第1の実施の形態における絶縁監視装置1に相当する絶縁監視コア装置1Aと、一次電圧計92と、負荷電流計93と、漏洩電流検出装置94とを備える。一次電圧計92、負荷電流計93、および漏洩電流検出装置94の動作は第1の実施の形態と同様である。絶縁監視コア装置1Aの構成および動作は、第1の実施の形態における絶縁監視装置1と同様である。
【0067】
上述した第4の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(8)絶縁監視装置1Bは、漏洩電流検出装置94、電圧値を測定する一次電圧計92、負荷電流を測定する負荷電流計93を備える。そのため、既存のサイリスタレギュレータ2に対して絶縁監視装置1Bを設置するだけで絶縁監視が可能となる。
【0068】
(第4の実施の形態の変形例)
図11は、第4の実施の形態の変形例における絶縁監視システムのハードウエア構成図である。図11図10と比較すると、絶縁監視装置1Cは絶縁監視装置1Bの構成に加えてサイリスタレギュレータ2をさらに含む。サイリスタレギュレータ2の構成及び動作は第1の実施の形態と同様である。
【0069】
本変形例によれば次の作用効果が得られる。
(9)絶縁監視装置1Cは、サイリスタレギュレータ2を備える。換言すると絶縁監視装置1Cは、絶縁監視機能を有するサイリスタレギュレータである。
【0070】
上述した各実施の形態および変形例において、機能ブロックの構成は一例に過ぎない。別々の機能ブロックとして示したいくつかの機能構成を一体に構成してもよいし、1つの機能ブロック図で表した構成を2以上の機能に分割してもよい。また各機能ブロックが有する機能の一部を他の機能ブロックが備える構成としてもよい。
【0071】
上述した各実施の形態および変形例において、プログラムは不図示のROMに格納されるとしたが、プログラムは書き換え可能な不揮発性メモリに格納されていてもよい。また、絶縁監視装置が不図示の入出力インタフェースを備え、必要なときに入出力インタフェースと絶縁監視装置が利用可能な媒体を介して、他の装置からプログラムが読み込まれてもよい。ここで媒体とは、例えば入出力インタフェースに着脱可能な記憶媒体、または通信媒体、すなわち有線、無線、光などのネットワーク、または当該ネットワークを伝搬する搬送波やデジタル信号、を指す。また、プログラムにより実現される機能の一部または全部がハードウエア回路やFPGAにより実現されてもよい。
【0072】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。本発明の適用対象はサイリスタレギュレータに限定されず、負荷電流を制御する様々なスイッチングデバイスに適用できる。
【符号の説明】
【0073】
1、1B、1C…絶縁監視装置
2…サイリスタレギュレータ
11…期間特定部
12…漏洩電流取得部
13…一次側電圧取得部
14…推定部
15…報知部
94…漏洩電流検出装置
95…発熱体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11