(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085283
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199735
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】梅村 亮介
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AA02
3L037AB02
(57)【要約】
【課題】部品点数が少なくコスト低減を図ることができる上、筐体内の設計自由度も高い給湯器を提供する。
【解決手段】電装ボックス9の下板9Aの前端部に、前後方向へ延びるガイドリブ31を下方へ突設する一方、底板20に、底板20の前端縁に開口するとともに該前端縁から後方へ延びるスリット21を開設し、電装ボックス9の前後方向へのスライドに伴い、ガイドリブ31のリブ本体32がスリット21内外に移動して電装ボックス9が着脱されるようにした。したがって、従来の給湯器で採用している受け台を設置する必要がないため、部品点数が少なくコスト低減を図ることができる上、筐体内の設計自由度も高い給湯器1とすることができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の底板上に、コントローラを収容する電装ボックスが所定方向へスライドさせることによって着脱可能に設置された給湯器であって、
前記電装ボックスの下板に、前記所定方向へ延びるリブが下方へ突設されているとともに、前記底板に、前記底板の端縁に開口するとともに前記端縁から前記所定方向へ延びるスリットが開設されており、
前記電装ボックスの前記所定方向へのスライドに伴い、前記リブが前記スリット内外に移動して前記電装ボックスが着脱される一方、
前記リブ又は前記電装ボックスの下板に、前記スリットよりも幅広で、前記電装ボックスの設置時に前記底板に当接して前記スリットを閉塞する閉塞部が設けられていることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記リブの下端に、前記スリットよりも幅広で、前記リブの前記スリットから上方への抜けを防止する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記電装ボックスの下板に、下方へ突出して前記底板に当接する支持突起が設けられている一方、
前記底板に、上方へ膨出する膨出部が設けられており、
前記電装ボックスの前記所定方向へのスライドに伴い、前記支持突起が前記膨出部を乗り越えることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の底部にコントローラを収容する電装ボックスが設置されてなる給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯器には、筐体の底部にコントローラを収容する電装ボックスが設置されている。そして、そのような電装ボックスを筐体に対してスムーズに出し入れするために、電装ボックスの下面に下方へ突出する突出部を設ける一方、筐体の底板に、電装ボックスの出し入れ方向に沿って延びるスリットを有する受け台を設け、電装ボックスの出し入れ時に突出部がスリットに案内されるようにした給湯器が考案されている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の給湯器では、筐体の底板に上述したような受け台を設置する必要があるため、部品点数が多くコスト高となる上、受け台によって筐体内の空間が制限され、筐体内の設計自由度が低くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、部品点数が少なくコスト低減を図ることができる上、筐体内の設計自由度も高い給湯器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、筐体の底板上に、コントローラを収容する電装ボックスが所定方向へスライドさせることによって着脱可能に設置された給湯器であって、電装ボックスの下板に、所定方向へ延びるリブが下方へ突設されているとともに、底板に、底板の端縁に開口するとともに端縁から所定方向へ延びるスリットが開設されており、電装ボックスの所定方向へのスライドに伴い、リブがスリット内外に移動して電装ボックスが着脱される一方、リブ又は電装ボックスの下板に、スリットよりも幅広で、電装ボックスの設置時に底板に当接してスリットを閉塞する閉塞部が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、リブの下端に、スリットよりも幅広で、リブのスリットから上方への抜けを防止する規制部が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、電装ボックスの下板に、下方へ突出して底板に当接する支持突起が設けられている一方、底板に、上方へ膨出する膨出部が設けられており、電装ボックスの所定方向へのスライドに伴い、支持突起が膨出部を乗り越えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電装ボックスの下板に、所定方向へ延びるリブを下方へ突設する一方、底板に、底板の端縁に開口するとともに端縁から所定方向へ延びるスリットを開設し、電装ボックスの所定方向へのスライドに伴い、リブがスリット内外に移動して電装ボックスが着脱されるようにした。したがって、従来の給湯器で採用している受け台を設置する必要がないため、部品点数が少なくコスト低減を図ることができる上、筐体内の設計自由度も高い給湯器とすることができる。
また、リブ又は電装ボックスの下板に、スリットよりも幅広で、電装ボックスの設置時に底板に当接してスリットを閉塞する閉塞部を設けているため、底板にスリットを開設しているにも拘わらず、給湯器の燃焼性能に影響が出ない。
さらに、請求項2に記載の発明によれば、リブの下端に、スリットよりも幅広で、リブのスリットから上方への抜けを防止する規制部を設けているため、設置状態にある電装ボックスが不用意に設置位置からずれてしまうような事態を確実に防止することができる。
加えて、請求項3に記載の発明によれば、電装ボックスの下板に、下方へ突出して底板に当接する支持突起を設ける一方、底板に、上方へ膨出する膨出部を設けており、電装ボックスの所定方向へのスライドに伴い、支持突起が膨出部を乗り越えるようにした。したがって、電装ボックスが設置位置まで十分にスライド方向へ押し込まれないという事態が起こりにくい上、設置状態にある電装ボックスが不用意に設置位置からずれてしまうような事態を極めて確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】前面のフロントカバーが外された状態にある給湯器を正面から示した説明図である。
【
図2】
図1における領域Aを拡大して示した説明図である。
【
図3】筐体の底板上に電装ボックスが設置されている状態を上方から示した斜視説明図である。
【
図4】筐体の底板上に電装ボックスが設置されている状態を下方から示した斜視説明図である。
【
図5】電装ボックスを正面から示した説明図である。
【
図6】電装ボックスを下方から示した斜視説明図である。
【
図9】フロントカバーが取り付けられた筐体内に電装ボックスが設置されている状態の鉛直断面を示した説明図である。
【
図10】
図9における領域Bを拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる給湯器について、図面にもとづき詳細に説明する。
図1は、前面のフロントカバーが外された状態にある給湯器1を正面から示した説明図である。
図2は、
図1における領域Aを拡大して示した説明図である。
図3は、筐体2の底板20上に電装ボックス9が設置されている状態を上方から示した斜視説明図である。
図4は、筐体2の底板20上に電装ボックス9が設置されている状態を下方から示した斜視説明図である。
図5は、電装ボックス9を正面から示した説明図である。
図6は、電装ボックス9を下方から示した斜視説明図である。
図7は、底板20を上方から示した説明図である。
図8は、底板20を前方から示した斜視説明図である。
図9は、フロントカバー40が取り付けられた筐体2内に電装ボックス9が設置されている状態の鉛直断面を示した説明図である。
図10は、
図9における領域Bを拡大して示した説明図である。
【0010】
給湯器1は、四角箱状の筐体2内に、燃焼装置3と、熱交換器4と、排気部5とを設置してなる。燃焼装置3は、図示しないバーナユニットを収容するインナーケース6を備えている。バーナユニットは、左右方向に扁平となる濃淡バーナを、左右方向に複数配列してなる。インナーケース6の前面には、互いに数が異なる濃淡バーナのバーナ群ごとに燃料ガスを分配供給するためのガス分配ユニット7が組み付けられている。
【0011】
燃焼装置3の下面左側には、燃焼装置3に燃焼用空気を供給する給気ファン8が組み付けられている。燃焼装置3の下方で筐体2内の右側には、給湯器1の動作を制御するコントローラを収容した電装ボックス9が筐体2に対して着脱可能に設置されている。電装ボックス9は、四角箱状に形成され、前後方向及び上下方向に比べて左右方向が短くなる起立姿勢で設置されている。一方、排気部5には、フロントカバー40を貫通して前方へ突出する左右横長の排気筒10が形成されている。
【0012】
熱交換器4は、厚み方向に並設される複数のフィンを蛇行状に貫通する伝熱管を備えたフィンチューブ式となっている。伝熱管の入側端部には、給水管11が接続され、伝熱管の出側端部には、出湯管12が接続されている。筐体2の下面には、外部の水道管が接続される水入口13と、給湯栓への外部配管が接続される湯出口14とが設けられている。給水管11の上流端が水入口13に、出湯管12の下流端が湯出口14にそれぞれ接続されている。また、筐体2の下面には、外部のガス管が接続されるガス入口15が設けられている。ガス入口15は、筐体2内で、比例弁17及びその上流側の元電磁弁18を備えたガス比例弁ユニット16を介してガス分配ユニット7に接続されている。
【0013】
ここで、本発明の要部となる電装ボックス9の設置構造について説明する。
電装ボックス9側の設置構造として、電装ボックス9には、ガイドリブ31と支持突起35とが設けられている。ガイドリブ31は、電装ボックス9の下板9Aの前端部から下方へ突出しており、前後方向へ延びるリブ本体32と、リブ本体32の先端(下端)から左右方向へ張り出す下張り出し部33と、上下方向で下張り出し部33とリブ本体32の基端との間となる位置において左右方向へ張り出す上張り出し部34とを備えている。一方、支持突起35は、電装ボックス9の下板9Aの後端部から下方へ突出している。該支持突起35の下板9Aからの突出量は、ガイドリブ31における基端から上張り出し部34の下面までの突出量と略同じとされている。
【0014】
一方、筐体2側の設置構造として、底板20には、スリット21、出入口23、及び膨出部25が設けられている。スリット21は、底板20の前端縁に開口するとともに該前端縁から後方へ直線状に開設されている。そして、スリット21の左右幅は、リブ本体32の左右幅よりも広く、且つ、下張り出し部33及び上張り出し部34の左右幅よりも狭くなっている。但し、スリット21の前部は、前方へ向かって徐々に左右幅広となるテーパ部22が形成されており、スリット21前端における左右幅は、下張り出し部33の左右幅よりも僅かに広くなっている。また、底板20の前端には下方へ折り曲げられた折り曲げ部20Aが設けられており、折り曲げ部20Aには、スリット21の前端から下方へ切り欠かれた出入口23が設けられている。そして、当該出入口23を介して、下張り出し部33を含むガイドリブ31がスリット21内外に出し入れ可能(移動可能)となっている。さらに、底板20の後部で、電装ボックス9の設置時に支持突起35の前方となる箇所に、上方へ膨出した膨出部25が設けられている。
【0015】
そして、電装ボックス9を底板20上に設置するにあたっては、支持突起35を底板20上に位置させた状態で電装ボックス9を後方へスライドさせ、ガイドリブ31を出入口23からスリット21内へ進入させ、特にリブ本体32における下張り出し部33と上張り出し部34との間の部分をスリット21内へ進入させる。それから、支持突起35が膨出部25を乗り越えるまでそのまま後方へスライドさせれば、電装ボックス9の設置は完了となる。なお、電装ボックス9を取り外す際には、電装ボックス9を前方へスライドさせて、ガイドリブ31をスリット21から抜き出せばよい。
【0016】
また、電装ボックス9が設置された状態においては、支持突起35の下端及び上張り出し部34の下面が底板20の上面に当接しており、スリット21は上張り出し部34によって閉塞されている。また、筐体2の前面を閉塞するようにフロントカバー40を取り付けると、フロントカバー40の内面下端に取り付けられたパッキン41が底板20の折り曲げ部20Aの前面及びガイドリブ31の前面に当接し、出入口23はパッキン41によって閉塞される。すなわち、底板20にスリット21と出入口23とが開設されているにも拘わらず、両者共に閉塞され、給湯器1の燃焼性能に影響が出ないようになっている。加えて、設置状態にある電装ボックス9を上方へ移動させようとしても、下張り出し部33が抜け止めとして機能し、電装ボックス9の上方への移動、すなわちガイドリブ31のスリット21からの上方への抜けが防止される。
【0017】
以上のような構成を有する給湯器1によれば、電装ボックス9の下板9Aの前端部に、前後方向へ延びるガイドリブ31を下方へ突設する一方、底板20に、底板20の前端縁に開口するとともに該前端縁から後方へ延びるスリット21を開設し、電装ボックス9の前後方向へのスライドに伴い、ガイドリブ31のリブ本体32がスリット21内外に移動して電装ボックス9が着脱されるようにした。したがって、従来の給湯器で採用している受け台を設置する必要がないため、部品点数が少なくコスト低減を図ることができる上、筐体内の設計自由度も高い給湯器1とすることができる。
【0018】
また、ガイドリブ31に、スリット21よりも左右幅広で、電装ボックス9の設置時に底板20の上面に当接してスリット21を閉塞する上張り出し部34を設けるとともに、フロントカバー40の内面下端に、筐体2に取り付けた際に折り曲げ部20Aに当接して出入口23を閉塞するパッキン41を設けているため、底板20にスリット21と出入口23とが開設されているにも拘わらず、両者共に閉塞され、給湯器1の燃焼性能に影響が出ないようになっている。
【0019】
さらに、ガイドリブ31の下端に、スリット21よりも左右幅広で、ガイドリブ31のスリット21から上方への抜けを防止する下張り出し部33を設けているため、設置状態にある電装ボックス9が不用意に設置位置からずれてしまうような事態を確実に防止することができる。
加えて、電装ボックス9の下板9Aに下方へ突出する支持突起35を設ける一方、底板20に上方へ膨出する膨出部25を設けており、電装ボックス9を前後方向へスライドさせて設置する際、支持突起35が膨出部25を乗り越えるように構成している。したがって、電装ボックス9が設置位置まで十分に後方へ押し込まれないという事態が起こりにくい上、設置状態にある電装ボックス9が不用意に設置位置からずれてしまうような事態を極めて確実に防止することができる。
【0020】
なお、本発明に係る給湯器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、給湯器の全体的な構成は勿論、電装ボックスの設置に係る構成についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0021】
上記実施形態では、筐体の底板に対して前後方向へスライドさせることにより電装ボックスを設置するように構成しているが、前後方向以外の方向へスライドさせて電装ボックスを設置するように構成してもよい。たとえば左右方向へスライドさせて設置するように構成するのであれば、左右方向へ延びるリブやスリットを設ければよい。
また、上記実施形態では、リブに閉塞部として上張り出し部及び規制部として下張り出し部を設けているが、何れか一方のみしか設けなかったり、どちらも設けないとしても何ら問題はない。さらに、閉塞部に関しては、リブに設けるのではなく、電装ボックスの下板に別途凸部を設けたり、電装ボックスの下板に閉塞部としての機能をもたせ、電装ボックスの下板を底板に当接させてスリットを閉塞するように構成することも可能である。
さらに、上記実施形態では、底板に折り曲げ部を設けるとともに折り曲げ部に出入口を設けるという構成を採用しているが、底板に折り曲げ部を設けないとしたり、折り曲げ部が設けられていない箇所にスリットを開設するように構成しても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0022】
1・・給湯器、2・・筐体、9・・電装ボックス、9A・・下板、20・・底板、20A・・折り曲げ部、21・・スリット、22・・テーパ部、23・・出入口、25・・膨出部、31・・ガイドリブ(リブ)、32・・リブ本体、33・・下張り出し部(規制部)、34・・上張り出し部(閉塞部)、35・・支持突起、40・・フロントカバー、41・・パッキン。