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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085285
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】サーボシステム、サーボ装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20240619BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H02P29/00
G05B19/042
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199737
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 大地
(72)【発明者】
【氏名】井伊 祐介
(72)【発明者】
【氏名】土屋 弘幸
【テーマコード(参考)】
5H220
5H501
【Fターム(参考)】
5H220AA06
5H220BB11
5H220CC05
5H220EE01
5H220JJ02
5H220JJ12
5H220JJ14
5H220JJ26
5H220KK06
5H501BB08
5H501CC01
5H501DD01
5H501HB16
5H501JJ03
5H501JJ17
5H501KK06
5H501LL35
5H501LL37
5H501LL51
(57)【要約】
【課題】モータの動作状態を数段程度の少段数で切り替える等の比較的シンプルなモータ動作制御を行う場合について、モータ動作を指示するための入力信号の生成手法簡易化を図ることで、サーボ装置の使用容易性の向上を図る。
【解決手段】サーボ装置は、コマンド形式によるデータを入出力可能なデータ信号経路と、データ信号経路とは別の信号経路であって外部からの信号を入力するための信号入力経路とを備える。そして、制御部が、信号入力経路に対する入力信号の信号レベルとモータの回転角との対応関係の設定を示す設定情報がデータ信号経路を介して入力された場合に、設定情報を記憶部に記憶させる設定情報記憶処理と、信号入力経路を介した入力信号について信号レベルを判定し、判定した信号レベルと、記憶部に記憶された設定情報とに基づいてモータを制御する設定参照制御処理とを実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを有するサーボ装置とコンピュータ装置とを備えたサーボシステムであって、
前記コンピュータ装置は、
ユーザ操作に基づく演算処理を実行可能な演算部を有し、
前記サーボ装置は、
コマンド形式によるデータを入出力可能なデータ信号経路と、
前記データ信号経路とは別の信号経路であって外部からの信号を入力するための信号入力経路と、
前記モータを制御する制御部であって、前記データ信号経路を介して前記モータの制御コマンドが入力された場合は当該制御コマンドに基づき前記モータを制御し、前記信号入力経路を介して前記モータを制御するための信号が入力された場合は当該信号に基づいて前記モータを制御する制御部と、
情報を記憶する記憶部と、を有し、
前記演算部は、
前記サーボ装置における前記信号入力経路に対する入力信号の信号レベルと前記モータの回転角との対応関係の設定を受け付ける設定受付処理と、
前記設定受付処理により受け付けた前記対応関係の設定情報が前記データ信号経路を介して前記制御部に送信されるように制御する送信制御処理と、を実行し、
前記制御部は、
前記データ信号経路を介して入力された前記設定情報を前記記憶部に記憶させる設定情報記憶処理と、
前記信号入力経路を介した入力信号について信号レベルを判定し、判定した信号レベルと、前記記憶部に記憶された前記設定情報とに基づいて前記モータを制御する設定参照制御処理と、を実行する
サーボシステム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記信号入力経路を介して入力されるPWM信号に基づき前記モータを制御するPWM制御モードと、前記設定参照制御処理により前記モータを制御する設定参照制御モードとの切り替えが可能に構成された
請求項1に記載のサーボシステム。
【請求項3】
前記信号レベルがHレベルとLレベルの2値とされた
請求項1又は請求項2に記載のサーボシステム。
【請求項4】
前記演算部は、
前記設定受付処理において、前記対応関係として、前記信号レベルと前記回転角との対応関係と共に、前記信号レベルと前記モータの回転速、回転トルクの少なくとも何れかとの対応関係の設定を受け付ける
請求項1に記載のサーボシステム。
【請求項5】
前記信号レベルの切り替え操作を行うための操作子が前記サーボ装置に設けられた
請求項1に記載のサーボシステム。
【請求項6】
モータと、
コマンド形式によるデータを入出力可能なデータ信号経路と、
前記データ信号経路とは別の信号経路であって外部からの信号を入力するための信号入力経路と、
前記モータを制御する制御部であって、前記データ信号経路を介して前記モータの制御コマンドが入力された場合は当該制御コマンドに基づき前記モータを制御し、前記信号入力経路を介して前記モータを制御するための信号が入力された場合は当該信号に基づいて前記モータを制御する制御部と、
情報を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記信号入力経路に対する入力信号の信号レベルと前記モータの回転角との対応関係の設定を示す設定情報が前記データ信号経路を介して入力された場合に、前記設定情報を前記記憶部に記憶させる設定情報記憶処理と、
前記信号入力経路を介した入力信号について信号レベルを判定し、判定した信号レベルと、前記記憶部に記憶された前記設定情報とに基づいて前記モータを制御する設定参照制御処理と、を実行する
サーボ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを有するサーボ装置とコンピュータ装置とを備えたサーボシステム、及びサーボ装置に関するものであり、特には、サーボ装置におけるモータの制御手法に係る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1、2に開示されるように、モータを有するサーボ装置が知られている。
下記特許文献1には、簡易的にサーボ装置の駆動周波数を適宜変更することができるモータ制御回路を実装したサーボ装置が開示されている。
また、下記特許文献2には、モータの回転位置の数に対応する個数設けられ、それぞれがモータの異なる回転位置を指定する複数のスイッチと、モータの出力軸の回転位置を検出する検出部とを備え、検出部によって、出力軸の回転位置が、複数のスイッチのうち択一的にオンとされたスイッチの指定する回転位置に達したと検出されたことに応じて、モータの回転が停止されるサーボモータ制御装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-66601号公報
【特許文献2】特開昭61-52712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、サーボ装置には、外部からのモータ動作指示信号として、例えばCAN(Controller Area Network)等の所定のデータ通信規格に従ったコマンド形式データによる動作指示信号を受け付けるものや、PWM(Pulse Width Modulation)信号による動作指示信号を受け付けるものがある。
CAN等の所定のデータ通信規格に従ったコマンド形式データによってはモータ動作について多様な指示を行うことが可能であり、モータ動作を緻密に制御する場合に有利である。また、PWM信号によっても、モータ動作指示の自由度は比較的高い。
【0005】
ここで、サーボ装置の用途については、緻密な制御を要する用途以外にも、例えばモータを第一動作状態と第二動作状態との間でのみ動作切り替えする等、比較的シンプルな制御のみが要求される用途も考えられる。
【0006】
しかしながら、サーボ装置として、上述したCAN通信等のコマンド形式データやPWM信号の入力のみに対応した装置では、上記のような比較的シンプルなモータ動作制御を行うとした場合であっても、それらコマンド形式データやPWM信号を生成するための専用の制御器やIC(集積回路)等を用意することが必要となる。これは、上記のようなシンプルなモータ動作制御のみを望んでいるユーザにとっては、導入コストの面で負担が大きいものとなる。
また、コマンド形式データやPWM信号の生成にはある程度の知識を要するため、この点も、シンプルなモータ動作制御のみを望んでいるユーザにサーボ装置の導入を躊躇させる要因となり得る。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、モータの動作状態を数段程度の少段数で切り替える等の比較的シンプルなモータ動作制御を行う場合について、モータ動作を指示するための入力信号の生成手法簡易化を図ることで、サーボ装置の使用容易性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るサーボシステムは、モータを有するサーボ装置とコンピュータ装置とを備えたサーボシステムであって、前記コンピュータ装置は、ユーザ操作に基づく演算処理を実行可能な演算部を有し、前記サーボ装置は、コマンド形式によるデータを入出力可能なデータ信号経路と、前記データ信号経路とは別の信号経路であって外部からの信号を入力するための信号入力経路と、前記モータを制御する制御部であって、前記データ信号経路を介して前記モータの制御コマンドが入力された場合は当該制御コマンドに基づき前記モータを制御し、前記信号入力経路を介して前記モータを制御するための信号が入力された場合は当該信号に基づいて前記モータを制御する制御部と、情報を記憶する記憶部と、を有している。
そして、前記演算部は、前記サーボ装置における前記信号入力経路に対する入力信号の信号レベルと前記モータの回転角との対応関係の設定を受け付ける設定受付処理と、前記設定受付処理により受け付けた前記対応関係の設定情報が前記データ信号経路を介して前記制御部に送信されるように制御する送信制御処理と、を実行する。
また、前記制御部は、前記データ信号経路を介して入力された前記設定情報を前記記憶部に記憶させる設定情報記憶処理と、前記信号入力経路を介した入力信号について信号レベルを判定し、判定した信号レベルと、前記記憶部に記憶された前記設定情報とに基づいて前記モータを制御する設定参照制御処理と、を実行するものである。
上記構成によれば、設定参照制御処理によるモータ制御時の入力信号については、所望するモータ動作状態ごとにレベルを異ならせた信号を生成すればよい。例えば、所望するモータ動作状態が第一状態と第二状態の二つのみであれば、上記の入力信号として、第一レベルと第二レベルの二者間でレベルを異ならせた信号を生成すれば足る。
【0009】
また、本発明に係るサーボ装置は、モータと、コマンド形式によるデータを入出力可能なデータ信号経路と、前記データ信号経路とは別の信号経路であって外部からの信号を入力するための信号入力経路と、前記モータを制御する制御部であって、前記データ信号経路を介して前記モータの制御コマンドが入力された場合は当該制御コマンドに基づき前記モータを制御し、前記信号入力経路を介して前記モータを制御するための信号が入力された場合は当該信号に基づいて前記モータを制御する制御部と、情報を記憶する記憶部と、を備えている。
そして、前記制御部は、前記信号入力経路に対する入力信号の信号レベルと前記モータの回転角との対応関係の設定を示す設定情報が前記データ信号経路を介して入力された場合に、前記設定情報を前記記憶部に記憶させる設定情報記憶処理と、前記信号入力経路を介した入力信号について信号レベルを判定し、判定した信号レベルと、前記記憶部に記憶された前記設定情報とに基づいて前記モータを制御する設定参照制御処理と、を実行するものである。
これにより、入力信号の信号レベルとモータの回転角との対応関係の設定を示す設定情報に基づきモータを適切に制御することのできるサーボ装置が実現される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モータの動作状態を数段程度の少段数で切り替える等の比較的シンプルなモータ動作制御を行う場合について、モータ動作を指示するための入力信号の生成手法簡易化を図ることができ、サーボ装置の使用容易性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態としてのサーボ装置の概略外観斜視図である。
図2】実施形態としてのサーボ装置の内部構成例を示したブロック図である。
図3】制御コマンドに応じてモータを制御する場合のサーボ装置の運用例を説明するための図である。
図4】PWM信号に応じてモータを制御する場合のサーボ装置の運用例を説明するための図である。
図5】実施形態としてのコンピュータ装置のハードウェア構成例を示したブロック図である。
図6】実施形態における対応関係の設定画面の例を示した図である。
図7】実施形態としての対応関係設定手法を実現するためにコンピュータ及びサーボ装置において実行すべき具体的な処理手順例を示したフローチャートである。
図8】設定参照制御モードでのサーボ装置運用に係る第一例についての説明図である。
図9】設定参照制御モードでのサーボ装置運用に係る第二例についての説明図である。
図10】信号レベル切り替えを行うための操作子をサーボ装置に設けた構成例の説明図である。
図11】信号レベル切り替えを行うための操作子をサーボ装置に設けた構成例の別例についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を次の順序で説明する。
<1.システム構成について>
<2.実施形態としての対応関係設定手法>
<3.設定参照制御モードでのサーボ装置運用例>
<4.変形例>
<5.実施形態のまとめ>
【0013】
<1.システム構成について>
図1は、本発明に係るサーボ装置の一実施形態としてのサーボ装置1の機械的な構成を説明するための図、図2は、サーボ装置1の内部構成例を示したブロック図である。
図1において、図1Aは、サーボ装置1の概略外観斜視図、図1Bはサーボ装置1内に設けられたモータ3と減速機1rの透視図である。サーボ装置1の筐体内部では、モータ3の出力軸3oが減速機1rを介して出力軸1oに連結されている(図1B参照)。出力軸1oは、サーボ装置1の出力軸であって、サーボ装置1の筐体外部に突出している(図1A図1B参照)。
図示は省略するが、サーボ装置1の使用時には、出力軸1oに対して被駆動物が連結され、モータ3の回転力が出力軸1oを介して被駆動物に伝達される。すなわち、被駆動物がモータ3の回転に応じて駆動される。
【0014】
図2に示すように、サーボ装置1は、制御部2、モータ3、CAN(Controller Area Network)インタフェース(I/F)4、及びPWM(Pulse Width Modulation)インタフェース(I/F)5を備えている。またサーボ装置1は、CAN方式によるデータ通信を行うためのデータ端子Tc、モータ3の動作指示を行うためのPWM信号を入力するPWM端子Tp、電源入力のための正極側電源端子Te1及び負極側電源端子Te2を有している。
【0015】
図示は省略したが、正極側電源端子Te1及び負極側電源端子Te2は、例えば制御部2等、サーボ装置1内において電源供給を必要とする各部に接続され、外部から該各部への電源供給が可能とされている。或いは、正極側電源端子Te1及び負極側電源端子Te2はサーボ装置1に設けられた不図示の電源回路に接続され、該電源回路を介してサーボ装置1内各部への電力供給が行われる構成を採ることもできる。
【0016】
CANインタフェース4は、データ端子Tcを介して外部より入力されるCANデータ(CAN方式による通信データ)、及び制御部2のデータ端子tcからデータ端子Tcを介して外部出力されるべきCANデータについて、CAN方式に従ったインタフェース処理を行う。
ここで、データ端子Tcからデータ端子Tcまでの信号経路は、CAN方式によるコマンド形式データを入出力可能なデータ信号経路と表現することができる。
【0017】
PWMインタフェース5は、PWM端子Tpを介した外部からの入力信号について所定のインタフェース処理(例えば、電気的保護のためのレベル変換処理等)を行い、制御部2のPWM端子tpに出力する。
ここで、PWM端子TpからPWM端子tpまでの信号経路は、上記のデータ信号経路とは別の信号経路であって外部からの信号を入力するための信号入力経路と表現することができる。
【0018】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)2aとメモリ部2bとを備え、CPU2aがメモリ部2b等の所定の記憶装置に記憶されたプログラムに従った処理を実行することで、CANインタフェース4を介しての外部装置との間でのデータ通信処理や、モータ3の制御等、サーボ装置1の全体制御を行う。
【0019】
メモリ部2bは、CPU2aが読み出し可能なROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の各種のメモリを包括的に示している。本例において、このメモリ部2bには、上記のRAMとしての揮発性メモリと、不揮発性メモリとが含まれている。つまりメモリ部2bは、電源供給が途絶えても記憶情報を保持可能なメモリ領域を有している。
なお、ここではメモリ部2bが制御部2の内部に設けられたものとしているが、メモリ部2bの少なくとも一部のメモリは制御部2の外部に設けられてもよい。
【0020】
また、本例では、データ端子Tcを介した外部装置との間のデータ通信方式がCAN方式である例を挙げているが、該データ通信方式についてはCAN方式に限定されるものではなく、例えばUSB(Universal Serial Bus)方式等の他のデータ通信方式を採用することもできる。
【0021】
ここで、制御部2のCPU2aは、モータ3の制御について、上述したデータ信号経路を介してモータ3の制御コマンドが入力された場合は、当該制御コマンドに基づきモータ3を制御する。
【0022】
図3は、このように制御コマンドに応じてモータ3を制御する場合のサーボ装置1の運用例を説明するための図である。
図示のようにこの場合は、モータ3の制御コマンドを生成する装置としてコンピュータ装置10が用いられる。コンピュータ装置10は、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末、或いはスマートフォン等の装置形態を採り得る。
この図の例では、コンピュータ装置10が、CAN方式によるデータ通信に対応しておらず外部装置との間の通信をCAN方式以外のデータ通信方式(例えば、USB方式)で行うことを前提としているため、コンピュータ装置10とサーボ装置1との間にCANコンバータ50を挿入している。CANコンバータ50は、CAN方式以外のデータ通信方式による通信データをCANデータに変換するコンバータである。
コンピュータ装置10より出力された制御コマンド等のコマンドデータは、CANコンバータ50を介してデータ端子Tc経由でサーボ装置1(制御部2)に入力される。
【0023】
ここで、図3に示す接続形態が採られた場合には、コンピュータ装置10側からサーボ装置1に対するコマンドデータ等のCANデータの送信のみでなく、サーボ装置1側からコンピュータ装置10側へのCANデータの送信も行うことが可能となる。
【0024】
また、制御部2は、PWM端子Tpを介してモータの動作指示信号としてのPWM信号が入力された場合には、該PWM信号に基づいてモータ3の制御を行う。
具体的にこの場合には、図4に示すように、サーボ装置1に対してはPWMコントローラ30が接続される。PWMコントローラ30は、例えば操作入力等に基づき、モータ3の動作指示を行うためのPWM信号を生成し、サーボ装置1のPWM端子Tpに出力する。
【0025】
ここで、制御部2は、上記のようなデータ端子Tcを介した制御コマンドに基づくモータ3の制御とPWM信号に基づくモータ3の制御とについて、前者の制御を優先するように構成されている。すなわち、データ端子Tcを介してデータ通信が行われている場合は、PWM端子Tpを介して信号が入力されたとしても(つまり上述した信号入力経路に対する信号入力があっても)、PWM端子Tpを介した入力信号に基づくモータ3の制御は実行しないものである。
【0026】
図5は、コンピュータ装置10のハードウェア構成例を示したブロック図である。
図示のようにコンピュータ装置10は、CPU11を備えている。CPU11は、各種の処理を実行する演算処理部として機能し、ROM(Read Only Memory)12に記憶されているプログラム、又は記憶部19からRAM(Random Access Memory)13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13にはまた、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0027】
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インタフェース(I/F)15も接続されている。
【0028】
入出力インタフェース15には、操作子や操作デバイスよりなる入力部16が接続される。例えば、入力部16としては、キーボード、マウス、キー、ダイヤル、タッチパネル、タッチパッド、リモートコントローラ等の各種の操作子や操作デバイスが想定される。
入力部16によりユーザの操作が検知され、入力された操作に応じた信号はCPU11によって解釈される。
【0029】
また入出力インタフェース15には、LCD(Liquid Crystal Display)或いは有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどよりなる表示部17や、スピーカなどよりなる音声出力部18が一体又は別体として接続される。
表示部17は各種の情報表示に用いられ、例えばコンピュータ装置の筐体に設けられるディスプレイデバイスや、コンピュータ装置に接続される別体のディスプレイデバイス等により構成される。
【0030】
表示部17は、CPU11の指示に基づいて表示画面上に各種の画像処理のための画像や処理対象の動画等の表示を実行する。また表示部17はCPU11の指示に基づいて、各種操作メニュー、アイコン、メッセージ等、いわゆるGUI(Graphical User Interface)として機能する情報の表示を行う。
【0031】
入出力インタフェース15には、HDD(Hard Disk Drive)や固体メモリなどより構成される記憶部19や、モデムなどより構成される通信部20が接続される場合もある。
【0032】
通信部20は、インターネット等の伝送路を介しての通信処理や、各種機器との有線/無線通信、バス通信などによる通信を行う。
【0033】
入出力インタフェース15にはまた、必要に応じてドライブ22が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体21が適宜装着される。
【0034】
ドライブ22により、リムーバブル記録媒体21から各処理に用いられるプログラム等のデータファイルなどを読み出すことができる。読み出されたデータファイルは記憶部19に記憶されたり、データファイルに含まれる画像や音声が表示部17や音声出力部18で出力されたりする。またリムーバブル記録媒体21から読み出されたコンピュータプログラム等は必要に応じて記憶部19にインストールされる。
【0035】
上記のようなハードウェア構成を有するコンピュータ装置10では、例えば本実施形態の処理のためのソフトウェアを、通信部20によるネットワーク通信やリムーバブル記録媒体21を介してインストールすることができる。或いは、当該ソフトウェアは予めROM12や記憶部19等に記憶されていてもよい。
【0036】
CPU11が各種のプログラムに基づいて処理動作を行うことで、後述するようなコンピュータ装置10としての必要な情報処理や通信処理が実行される。
【0037】
<2.実施形態としての対応関係設定手法>
ここで、サーボ装置1の用途については、緻密な制御を要する用途以外にも、例えばモータを第一動作状態と第二動作状態との間でのみ動作切り替えする等、比較的シンプルな制御のみが要求される用途も考えられる。
【0038】
しかしながら、仮に、サーボ装置1が、上述したCAN通信等のコマンド形式データやPWM信号の入力のみに対応した装置とされた場合には、上記のような比較的シンプルなモータ動作制御を行うとした場合であっても、それらコマンド形式データやPWM信号を生成するための専用の制御器(具体的には、コンピュータ装置10における、モータ3の動作指示のためのコマンド形式データを生成するためのソフトウェア等)やIC(例えば、上述したPWMコントローラ30のIC)等を用意することが必要となる。これは、上記のようなシンプルなモータ動作制御のみを望んでいるユーザにとっては、導入コストの面で負担が大きいものとなる。
また、コマンド形式データやPWM信号の生成にはある程度の知識を要するため、この点も、シンプルなモータ動作制御のみを望んでいるユーザにサーボ装置1の導入を躊躇させる要因となり得る。
【0039】
そこで、本実施形態では、モータ3の駆動状態を数段程度の少段数で切り替える等の比較的シンプルなモータ動作制御を行う場合について、モータ動作を指示するための入力信号の生成手法簡易化を図ることで、サーボ装置1の使用容易性の向上を図ることを目的とする。
【0040】
このために、本実施形態では、例えば図6に例示するような設定画面を通じて、コンピュータ装置10におけるCPU11が、サーボ装置1における信号入力経路に対する入力信号の信号レベルとモータ3の回転角との対応関係の設定を受け付ける設定受付処理を行うと共に、受け付けた対応関係の設定情報がサーボ装置1におけるデータ信号経路を介して制御部2に送信されるように制御する送信制御処理を行う。
そして、サーボ装置1側において制御部2は、データ信号経路を介して入力された上記の設定情報をメモリ部2bに記憶させる設定情報記憶処理を行うと共に、信号入力経路(本例ではPWM信号の信号入力経路)を介した入力信号について信号レベルを判定し、判定した信号レベルと、メモリ部2bに記憶された設定情報とに基づいてモータ3を制御する設定参照制御処理を行う。
【0041】
コンピュータ装置10側、及びサーボ装置1側においてそれぞれ上記の各処理を行うことで、設定参照制御処理によるモータ制御時の入力信号については、所望するモータ動作状態ごとにレベルを異ならせた信号を生成すればよい。例えば、所望するモータ動作状態が第一状態と第二状態の二つのみであれば、上記の入力信号として、第一レベルと第二レベルの二者間でレベルを異ならせた信号を生成すれば足る。
従って、モータの動作状態を数段程度の少段数で切り替える等の比較的シンプルなモータ動作制御を行う場合について、モータ動作を指示するための入力信号の生成手法簡易化を図ることができ、サーボ装置の使用容易性の向上を図ることができる。
【0042】
以下、実施形態としての対応関係設定手法の具体例を説明する。
対応関係の設定を行うにあたっては、先ず、コンピュータ装置10とサーボ装置1とを先の図3に示したようにCANコンバータ50を介して接続した状態とした上で、コンピュータ装置10において、図6に示すような設定画面Gsを表示させる。この設定画面Gsは、表示部17の表示画面17aに表示される。
【0043】
図6に示すようにこの場合の設定画面Gsには、接続ボタンB1と、書き込みボタンB2と、接続解除ボタンB3と、制御モード選択ボタンbm及びモード確定ボタンbsとが設けられている。さらに、設定画面Gsには、信号レベルとモータ3の回転角との対応関係の設定入力を行うための入力エリアAsが設けられている。
接続ボタンB1は、コンピュータ装置10のCPU11に、サーボ装置1(制御部2)との間の通信上の接続確立を行う旨を指示するためのボタンである。また、接続解除ボタンB3は、サーボ装置1との間の通信上の接続を解除する旨をCPU11に指示するためのボタンである。
なお、対応関係の設定情報をサーボ装置1側に記憶させる際には、設定操作を行う設定者は、予め接続ボタンB1を操作してサーボ装置1との間の通信上の接続を確立させておく。
【0044】
制御モード選択ボタンbm、及びモード確定ボタンbsは、「PWM制御モード」と「設定参照制御モード」との切り替え設定を行うためのボタンとされる。
ここで、「PWM制御モード」は、PWM信号入力経路の入力信号に対するモータ3の制御として、PWM信号の入力に対応した制御を行うモードであり、「設定参照制御モード」は、PWM信号入力経路の入力信号に対するモータ3の制御として、上述した設定参照制御処理による制御を行うモードである。「PWM制御モード」及び「設定参照制御モード」は共にPWM信号入力経路の入力信号に基づきモータ3を制御するモードであるため、PWM信号入力経路の入力信号に対して何れのモードによるモータ3の制御を行うかを上記の制御モード選択ボタンbm、及びモード確定ボタンbsにより切り替えることが可能とされている。
【0045】
設定者は、サーボ装置1の制御モードをPWM制御モードとしたい場合は、制御モード選択ボタンbmによりPWM制御モードを選択した状態で、モード確定ボタンbsを操作する。この操作に応じコンピュータ装置10のCPU11は、サーボ装置1(CPU2a)に対してモータ3の制御モードをPWM制御モードとするように指示を行い、これにより、サーボ装置1におけるモータ3の制御モードがPWM制御モードに設定される。
一方、設定者は、サーボ装置1の制御モードを設定参照制御モードとしたい場合は、制御モード選択ボタンbmにより設定参照制御モードを選択した状態で、モード確定ボタンbsを操作する。この操作に応じコンピュータ装置10のCPU11は、サーボ装置1に対してモータ3の制御モードを設定参照制御モードとするように指示を行い、これにより、サーボ装置1におけるモータ3の制御モードが設定参照制御モードに設定される。
【0046】
設定画面Gsにおける入力エリアAsに関して、本例では、入力信号の信号レベルとの対応関係の設定は、信号レベル2値分の設定のみが可能とされる場合を例示する。具体的に、本例では、第一の信号レベルに対してはモータ3の正方向回転(CW)が、第二の信号レベルに対してはモータ3の逆方向回転(CCW)が割り当てられる前提とする。
このため、この場合の入力エリアAsには、信号レベルごとの回転角を設定入力するためのGUIとして、第一の信号レベルに対する入力ボタンb11及び入力確定ボタンb12(図中「Limit Angle CW」)と、第二の信号レベルに対する入力ボタンb21及び入力確定ボタンb22(図中「Limit Angle CCW」)とが設けられている。
【0047】
また、本例では、入力信号の信号レベルとの対応関係として、信号レベルとモータ3の回転角の対応関係のみでなく、信号レベルとモータ3の回転速度との対応関係、及び信号レベルとモータ3の回転トルクとの対応関係も設定可能とされている。
このため入力エリアAsにおいては、信号レベルごとの回転速度を設定入力するためのGUIとして、第一の信号レベルに対する入力ボタンb31及び入力確定ボタンb32(図中「Limit Speed CW」)と、第二の信号レベルに対する入力ボタンb41及び入力確定ボタンb42(図中「Limit Speed CCW」)とが設けられると共に、信号レベルごとの回転トルクを設定入力するためのGUIとして第一の信号レベルに対する入力ボタンb51及び入力確定ボタンb52(図中「Limit Torque CW」)と、第二の信号レベルに対する入力ボタンb61及び入力確定ボタンb62(図中「Limit Torque CCW」)とが設けられている。
【0048】
設定者は、上記のような入力ボタンb11からb61を操作することで、第一、第二の信号レベルごとに、回転角、回転速度、回転トルクの各項目について、設定すべき値の入力を行うことができる。図中では、アップダウンボタンにより値の入力を可能とする例を挙げているが、値の入力のための操作手段についてはスライダー形式のものや10キー等で値を直接入力するもの等、他の手段を採用することも可能である。
そして、入力した値を確定するとした場合は、入力確定ボタンb12からb62を操作する。
【0049】
コンピュータ装置10において、CPU11は、入力確定ボタンb12からb62のうち操作が行われたボタンに対応する項目の入力値を、サーボ装置1のメモリ部2bにおけるRAMに保持(記憶)させる指示を行う。このとき、CPU11は、該入力値を、操作が行われた入力確定ボタンに対応する項目(本例ではCW、CCWの別、及び回転角、回転速度、回転トルクの別)の設定値として記憶させる。これは、入力信号の信号レベル(第一、第二の信号レベル)とモータ3の動作状態との対応関係を示す設定情報を記憶させることと換言できる。
【0050】
設定者は、回転角、回転速度、回転トルクの各項目について入力確定操作(入力確定ボタンの操作)を行うことで、これら回転角、回転速度、回転トルクの各項目についての設定情報をサーボ装置1のメモリ部2bにおけるRAMに記憶させることができる。以降、サーボ装置1では、このメモリ部2に記憶された設定情報に基づき、設定参照制御モードによるモータ3の制御を行うことが可能となる。
【0051】
ただし、この状態では設定情報はRAMにしか保持されていないため、サーボ装置1の電源がオフされてしまうと設定情報がデフォルト値に戻ってしまう。
そこで、設定画面Gsには書き込みボタンB2が設けられている。設定者は、書き込みボタンB2を操作することで、メモリ部2bのRAMに記憶された設定情報を、メモリ部2bにおける不揮発性メモリに書き込む(記憶させる)ことを指示することができる。設定情報が不揮発性メモリに記憶されることで、以降は、サーボ装置1の電源がオフされたとしても該設定情報の記憶状態が維持されるため、設定参照制御モードで参照する設定情報がデフォルト値に戻ってしまうことがないように図ることができる。
【0052】
なお、設定画面Gsにおいては、回転角や回転速度、回転トルク等の設定入力項目の値をデフォルト値に変更するためのデフォルトボタンB4や、同設定入力項目の値をリセットするためのリセットボタンB5等が配置されてもよい。
また、入力エリアAsには、モータ3の温度についての制限値や駆動電圧の制限値の入力ボックスやそれら制限値についての入力確定ボタンが配置されてもよい。
【0053】
ここで、本例では、データ端子Tcを介した制御コマンドに基づきモータ3を制御する場合における該制御コマンドの生成・出力装置として用いられるコンピュータ装置10を、対応関係設定処理を行うコンピュータ装置としても用いる例を挙げたが、勿論、対応関係設定処理を行うコンピュータ装置は、該制御コマンドの生成・出力装置としてのコンピュータ装置と同一装置である必要はなく、別のコンピュータ装置を用いることもできる。
【0054】
図7は、上記のような実施形態としての対応関係設定手法を実現するためにコンピュータ装置10及びサーボ装置1において実行すべき具体的な処理手順例を示したフローチャートである。
図中、「コンピュータ装置」として示す処理はコンピュータ装置10におけるCPU11が実行する処理であり、「サーボ装置」として示す処理はサーボ装置1における制御部2のCPU2aが実行する処理である。
なお、この図に示す処理が実行されるにあたっては、既に前述した接続ボタンB1が操作されて、コンピュータ装置10とサーボ装置1との間の通信上の接続が確立され、さらに、表示画面17a上に設定画面Gsが表示された状態にあるとする。
【0055】
先ず、コンピュータ装置10におけるCPU11は、ステップS101で入力確定ボタンの操作があるまで待機する。すなわち、入力確定ボタンb12からb62の何れかの入力確定ボタンの操作があるまで待機する。
【0056】
ステップS101で入力確定ボタンの操作があった場合、CPU11はステップS102で設定情報をRAMに記憶させる指示をサーボ装置1(CPU2a)に対して行う。すなわち、操作が行われた入力確定ボタンに対応する項目の入力値を、該項目との対応関係が示されるようにしてメモリ部2bのRAMに記憶させる指示をCPU2aに対して行う。
【0057】
サーボ装置1側において、CPU2aは、コンピュータ装置10側からの上記ステップS102の指示を、ステップS201で待機している。そして、該指示があった場合、CPU2aはステップS202で、設定情報(上記の項目と入力値とが対応づけられた情報)をメモリ部2bのRAMに記憶させる処理を行う。
【0058】
コンピュータ装置10側において、CPU11は、先のステップS102に続くステップS103で、書き込み操作があったか否かを判定する。すなわち、書き込みボタンB2の操作があったか否かを判定するものである。
書き込み操作がなければ、CPU11はステップS101に戻る。これにより、新たな入力確定ボタンの操作が受け付けられるようになる。
【0059】
一方、書き込みボタンB2が操作された場合、CPU11はステップS104に進み、RAMの設定情報を不揮発性メモリに記憶させる指示をサーボ装置1(CPU2a)に対して行い、図7に示す一連の処理を終える。
【0060】
サーボ装置1側において、CPU2aは、上記したステップS104の指示があったか否かを、ステップS202に続くステップS203で判定している。ステップS104の指示がなければ、CPU2aはステップS201に戻る。これにより、コンピュータ装置10側で新たな入力確定ボタン操作があった場合に、該操作に応じた設定情報をメモリ部2bのRAMに記憶させることが可能となる。
【0061】
一方、ステップS203でステップS104の指示があった場合、CPU2aはステップS204に進み、RAMの設定情報を不揮発性メモリに記憶させる処理を行う。すなわち、ステップS202の処理が行われたことでメモリ部2bのRAMに記憶されている設定情報を、メモリ部2bにおける不揮発性メモリに記憶させる処理を行う。
CPU2aは、ステップS204の処理を行ったことに応じて図7に示す一連の処理を終える。
【0062】
ここで、上記のような対応関係の設定は、サーボ装置1をユーザに納品する前にメーカ側等で予め行っておくことが考えられ、その場合、ユーザ側は、対応関係の設定のためのコマンド形式データを生成するための制御器(例えば、コンピュータ装置10のソフトウェア)を用いる必要がなくなる。
また、対応関係の設定をユーザ側で行う場合には、対応関係の具体的な設定内容をユーザ側で自由にカスタマイズすることができ、ユーザ側の多様なニーズに対応し易くなる。
【0063】
なお、上記ではPWM制御モードと設定参照制御モードとを操作に応じて切り替える構成を例示したが、これに代えて、例えば図7で例示したような処理により設定情報がメモリ部2bに記憶されたことを、PWM制御モードから設定参照制御モードへの切り替えトリガとする構成を採ることも考えられる。
【0064】
また、上記では、PWM制御モードと設定参照制御モードとの切り替え操作を設定画面Gs上で受け付ける構成を例示したが、設定参照制御モードとPWM制御モードのモード切り替えについては、サーボ装置1に設けられたモード切り替え用の操作子(物理操作子)によって行われる構成とすること等も考えられる。
【0065】
モータ3の制御モードをPWM制御モード、設定参照制御モードの何れとするかについての設定は、サーボ装置1をユーザに納品する前にメーカ側等で予め行っておくことが考えられる。その場合、ユーザ側は、サーボ装置1の使用において、モータ3の制御モード設定のためのコマンド形式データを生成する制御器(例えば、コンピュータ装置10のソフトウェア)を用いる必要がなくなる。また、PWM制御モード、設定参照制御モードの設定をユーザ側で行う場合には、ユーザ側で制御モードを自由に切り替えることができる。
さらに、モータ3の制御モードを設定参照制御モードとし、対応関係の設定もユーザに納品する前にメーカ側等で予め行っておくことで、ユーザ側はサーボ装置1の使用において、モータ3の動作指示のためのコマンド形式データを生成するための制御器やPMWコントローラ30を用いる必要がなくなる。
【0066】
<3.設定参照制御モードでのサーボ装置運用例>
図8は、設定参照制御モードでのサーボ装置運用に係る第一例についての説明図である。
第一例は、設定参照制御モード時における入力信号の信号レベル切り替えを、サーボ装置1に対して外付けされたスイッチ装置40により行う例である。
図示のようにサーボ装置1の正極側電源端子Te1にサーボ用電源42の正極側電源端子Td1が、またサーボ装置1の負極側電源端子Te2にサーボ用電源42の負極側電源端子Td2がそれぞれ接続され、サーボ用電源42からサーボ装置1に対する電源供給が可能とされている。
【0067】
この場合、スイッチ装置40としては、第一、第二の信号レベルの2値の切り替えを行うことに対応して、2入力1出力型のスイッチSWを有するものが用いられる。スイッチSWにおいて、端子t1は出力端子、端子t2は第一入力端子、端子t3は第二入力端子である。
図示は省略したが、スイッチ装置40には、2値切り替え用の例えばトグルスイッチ等の操作子が設けられており、該操作子が第一の操作状態に操作された場合はスイッチSWにおいて端子t2が、第二の操作状態に操作された場合は端子t3が選択されるように構成されている。
【0068】
図示のようにスイッチSWの端子t2は、スイッチ用電源41の正極側電源端子Ts1に接続され、端子t3はスイッチ用電源41の負極側電源端子Ts2に接続されている。
また、スイッチSWの端子t1は、サーボ装置1のPWM端子Tpに接続されている。
【0069】
図示のようにスイッチ用電源41の負極側電源端子Ts2は、サーボ用電源42の負極側電源端子Ts2とも接続されており、これによりスイッチ用電源41のGND(グランド)はサーボ装置1及びサーボ用電源42のGNDと共通とされている。
【0070】
上記のような第一例としての構成により、スイッチ装置40における操作子の操作に応じて、サーボ装置1におけるPWM信号入力経路における入力信号の信号レベルが第一の信号レベルと第二の信号レベルとの間で切り替えられ、該操作子の操作に応じて、モータ3の動作状態が、第一の信号レベルに対応づけられた第一の動作状態と第二の信号レベルに対応づけられた第二の動作状態との間で切り替えられる。
【0071】
図9は、設定参照制御モードでのサーボ装置運用に係る第二例についての説明図である。
第二例は、設定参照制御モード時における入力信号の信号レベル切り替えを、サーボ装置1に対して外付けされた信号生成装置45により行う例である。
この場合も、サーボ用電源42からサーボ装置1に対する電源供給が行われる点は第一例の場合と同様である。
図示のように第二例では、サーボ装置1のPWM端子Tpに対して、信号生成装置45による生成信号が入力される。
【0072】
信号生成装置45は、例えばユーザによる操作入力や予め設定された所定条件の成立等に基づき、出力信号の信号レベルを切り替える処理を行う。ここで言う所定条件とは、例えば時間的な条件(例えば、所定の時刻や経過時間に応じて信号レベルを切り替える等)や、所定の対象事象の発生有無に係る条件(例えば、所定の対象信号が入力されたことに応じて信号レベルを切り替える等)等を挙げることができる。
【0073】
<4.変形例>
なお、実施形態としては上記により説明した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例としての構成を採り得る。
例えば、上記では、信号レベルがHレベルとLレベルの2値とされた場合を例示したが、3値以上の信号レベルに対応するように構成することもできる。その場合、設定画面Gsにおいては、3値以上の信号レベルごとに、モータ3の回転角等の設定値を入力可能とする。また、サーボ装置1における設定参照制御処理においても、PWM信号入力経路の入力信号について、3値以上の信号レベルについてレベル判定を行い、判定した信号レベルと設定情報とに基づくモータ3の制御を行う。
【0074】
また、先の図8では、サーボ装置1に外付けされたスイッチ装置40により入力信号についての2値の信号レベル切り替えを行う例を挙げたが、図10のサーボ装置1Aとして示すように、このような2値の信号レベル切り替えを行うための操作子1aを、サーボ装置1Aに設けた構成を採ることもできる。この操作子1aとしては、例えば押しボタン式の操作子等として、操作子1aが押圧されるごとに、サーボ装置1A内において、PWM信号入力経路に対する入力信号の信号レベルが2値間で切り替わるようにしておくことが考えられる。
【0075】
ここで、信号レベル切り替えのための操作子として、3値以上の信号レベル切り替えに対応させる場合には、図11に示すサーボ装置1Bのように、操作子1aに代えて、回転操作が可能な操作子1bを設けることも考えられる。
この操作子1bとしては、回転操作が可能な例えばつまみ操作子等とすることが考えられ、サーボ装置1Bとしては、操作子1bの回転量に応じて、PWM信号入力経路に対する入力信号の信号レベルが3値以上の多値間で切り替わるように構成しておく。
【0076】
また、これまでに説明した実施形態としてのサーボ装置(サーボ装置1,1A,1B)において、データ端子Tcを介してコンピュータ装置10等の外部装置が接続されている場合には、該外部装置との間で双方向通信が可能とされるため、サーボ装置側から外部装置側に対してサーボ装置の状態情報(例えば、モータ3の動作状態、温度や各種エラー情報等)を送信可能である。一方で、設定参照制御モードによるモータ3の制御時には、データ端子Tcを介して外部装置が接続されていない状況となる(前述のようにデータ端子Tcを介した通信の方が優先される)ため、設定参照制御モード下では、外部にサーボ装置の状態情報を送信することができない。そこで、サーボ装置に信号出力端子(アナログ信号、デジタル信号の何れの信号出力端子でもよい)を別途に設けて、サーボ装置の状態情報を外部出力できるようにしてもよい。
【0077】
また、設定参照制御モード下において、制御部2(CPU2a)は、PWM信号入力経路の入力信号について、レベル検出タイミングごと(例えば、1msごと等)に信号レベルが異なる等、短周期で信号レベルが切り替わる場合や、長時間、信号レベルが同レベルで張り付いているときはエラーと判定し、外部に対するエラー通知のための処理を実行することも考えられる
【0078】
<5.実施形態のまとめ>
以上で説明してきたように実施形態としてのサーボシステムは、モータ(同3)を有するサーボ装置(同1,1A,1B)とコンピュータ装置(同10)とを備えたサーボシステムであって、コンピュータ装置は、ユーザ操作に基づく演算処理を実行可能な演算部(CPU11)を有し、サーボ装置は、コマンド形式によるデータを入出力可能なデータ信号経路(データ端子Tc-tc間の経路)と、データ信号経路とは別の信号経路であって外部からの信号を入力するための信号入力経路(PWM端子Tp-tp間の経路)と、モータを制御する制御部(CPU2a)であって、データ信号経路を介してモータの制御コマンドが入力された場合は当該制御コマンドに基づきモータを制御し、信号入力経路を介してモータを制御するための信号が入力された場合は当該信号に基づいてモータを制御する制御部と、情報を記憶する記憶部(メモリ部2b)と、を有している。
そして、コンピュータ装置における演算部は、サーボ装置における信号入力経路に対する入力信号の信号レベルとモータの回転角との対応関係の設定を受け付ける設定受付処理と、設定受付処理により受け付けた対応関係の設定情報がデータ信号経路を介して制御部に送信されるように制御する送信制御処理と、を実行する。
また、サーボ装置における制御部は、データ信号経路を介して入力された設定情報を記憶部に記憶させる設定情報記憶処理と、信号入力経路を介した入力信号について信号レベルを判定し、判定した信号レベルと、記憶部に記憶された設定情報とに基づいてモータを制御する設定参照制御処理と、を実行するものである。
上記構成によれば、設定参照制御処理によるモータ制御時の入力信号については、所望するモータ動作状態ごとにレベルを異ならせた信号を生成すればよい。例えば、所望するモータ動作状態が第一状態と第二状態の二つのみであれば、上記の入力信号として、第一レベルと第二レベルの二者間でレベルを異ならせた信号を生成すれば足る。
従って、モータの動作状態を数段程度の少段数で切り替える等の比較的シンプルなモータ動作制御を行う場合について、モータ動作を指示するための入力信号の生成手法簡易化を図ることができ、サーボ装置の使用容易性の向上を図ることができる。
【0079】
また、実施形態としてのサーボシステムにおいては、制御部は、データ信号経路を介してCAN方式によるデータ通信を行っている。
これにより、サーボ装置は、CAN通信による制御コマンドに応じたモータの制御を行うことができると共に、設定情報の受信をCAN通信により行うことができる。
【0080】
さらに、実施形態としてのサーボシステムにおいては、制御部は、信号入力経路を介して入力されるPWM信号に基づきモータを制御するPWM制御モードと、設定参照制御処理によりモータを制御する設定参照制御モードとの切り替えが可能に構成されている。
これにより、サーボ装置は、モータの制御モードとして、データ信号経路を介した制御コマンドに基づく制御モードと、PWM制御モードと、設定参照制御モードとの3モード間の切り替えを行うことができる。
【0081】
さらにまた、実施形態としてのサーボシステムにおいては、信号レベルがHレベルとLレベルの2値とされている。
これにより、モータ駆動状態の切り替えとして、単純に第一回転角による駆動状態と第二回転角による駆動状態との間での切り替えを行いたい場合に対応することができる。
【0082】
また、実施形態としてのサーボシステムにおいては、演算部は、設定受付処理において、対応関係として、信号レベルと回転角との対応関係と共に、信号レベルとモータの回転速、回転トルクの少なくとも何れかとの対応関係の設定を受け付けている。
これにより、設定参照制御処理時のモータの動作設定として、回転角以外の他項目についての設定も可能となる。
従って、設定参照制御処理時のモータの動作設定について、設定の自由度向上が図られ、サーボ装置の使い勝手向上を図ることができる。
【0083】
さらに、実施形態としてのサーボシステムにおいては、信号レベルの切り替え操作を行うための操作子(同1a,1b)がサーボ装置(同1A,1B)に設けられている。
これにより、設定参照制御モード時におけるモータ動作状態の切り替えのための操作手段をサーボ装置とは別体に設ける必要がなくなる。
従って、システム構成の簡略化を図ることができる。
【0084】
実施形態としてのサーボ装置(同1,1A,1B)は、モータと、コマンド形式によるデータを入出力可能なデータ信号経路と、データ信号経路とは別の信号経路であって外部からの信号を入力するための信号入力経路と、モータを制御する制御部であって、データ信号経路を介してモータの制御コマンドが入力された場合は当該制御コマンドに基づきモータを制御し、信号入力経路を介してモータを制御するための信号が入力された場合は当該信号に基づいてモータを制御する制御部と、情報を記憶する記憶部と、を備え、制御部は、信号入力経路に対する入力信号の信号レベルとモータの回転角との対応関係の設定を示す設定情報がデータ信号経路を介して入力された場合に、設定情報を記憶部に記憶させる設定情報記憶処理と、信号入力経路を介した入力信号について信号レベルを判定し、判定した信号レベルと、記憶部に記憶された設定情報とに基づいてモータを制御する設定参照制御処理と、を実行するものである。
これにより、入力信号の信号レベルとモータの回転角との対応関係の設定を示す設定情報に基づきモータを適切に制御することのできるサーボ装置が実現される。
従って、モータの動作状態を数段程度の少段数で切り替える等の比較的シンプルなモータ動作制御を行う場合について、モータ動作を指示するための入力信号の生成手法簡易化を図ることができ、サーボ装置の使用容易性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1,1A,1B サーボ装置
1r 減速機
1o 出力軸
1a 操作子
1b 操作子
2 制御部
20 CPU
21 メモリ部
3 モータ
3o 出力軸
Tc,tc データ端子
Tp,tp PWM端子
Te1,Td1,Ts1 正極側電源端子
Te2,Td2,Ts2 負極側電源端子
t1,t2,t3 端子
10 コンピュータ装置
11 CPU
16 入力部
17 表示部
20 通信部
30 PWMコントローラ
40 スイッチ装置
SW スイッチ
41 スイッチ用電源
42 サーボ用電源
45 信号生成装置
50 CANコンバータ
Gs 設定画面
B1 接続ボタン
B2 書き込みボタン
B3 接続解除ボタン
B4 デフォルトボタン
B5 リセットボタン
As 入力エリア
bm 制御モード選択ボタン
bs モード確定ボタン
b11,b21,b31,b41,b51,b61 入力ボタン
b12,b22,b32,b42,b52,b62 入力確定ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11