(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085292
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240619BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/09 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199752
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】竹田 愛
(72)【発明者】
【氏名】本田 拓也
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】実際の車高に対応した通知を行う。
【解決手段】表示制御装置3は、車両の車高の設定を受け付ける受付部331と、車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを取得する取得部332と、規制標識に対応する画像を表示部4に表示させる表示制御部333と、を有し、表示制御部333は、受付部331が受け付けた設定後の車両の高さが、取得部332が取得した車高の制限高さよりも高い場合は、画像を表示部4に表示させ、設定後の車両の高さが車高の制限高さ以下である場合は、画像を表示部4に表示させない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車高の設定を受け付ける受付部と、
前記車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを取得する取得部と、
前記規制標識に対応する画像を表示部に表示させる表示制御部と、を有し、
前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた設定後の前記車両の高さが、前記取得部が取得した前記車高の制限高さよりも高い場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、設定後の前記車両の高さが前記車高の制限高さ以下である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない、
表示制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記規制標識と前記車両との距離をさらに取得し、
前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた前記設定後の前記車両の高さが、前記取得部が取得した前記制限高さ以上であり、且つ前記規制標識と前記車両との距離が閾値以下である場合に、前記画像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記車両の車速と定められた減速度とに基づいて算出した前記車両が停止するまでの距離を前記閾値として特定する、
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記受付部は、前記車両の所定範囲の前記車高である設定車高範囲を受け付け、
前記取得部は、所定範囲の前記制限高さである制限高さ範囲を取得し、
前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた前記設定車高範囲の上限値が、前記取得部が取得した前記制限高さ範囲の上限値以上である場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、前記設定車高範囲の上限値が前記制限高さ範囲の上限値未満である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記規制標識と前記車両との距離をさらに取得し、
前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた前記設定車高範囲の上限値が、前記取得部が取得した前記制限高さ範囲の上限値以上であり、且つ前記規制標識と前記車両との距離が閾値以下である場合に、前記画像を前記表示部に表示させる、
請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記車両の車速と定められた減速度とに基づいて算出した前記車両が停止するまでの距離を前記閾値として特定する、
請求項5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記画像の表示を開始させてから第1所定時間が経過したことに応じて前記画像の表示を終了させる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
スピーカから警告音を出力させる警告部をさらに有し、
前記警告部は、前記画像の表示を開始させてから前記第1所定時間よりも短い第2所定時間が経過したことに応じて、前記警告音の出力を終了させる、
請求項7に記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記車両の車速をさらに取得し、
前記表示制御部は、前記車両の車速が閾値以下である場合に、前記規制標識に対応する前記画像を前記表示部に表示させる
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記受付部は、前記車両の積載物の重量に関する情報をさらに受け付け、
前記表示制御部は、前記車両の積載物の重量に関する情報に基づいて補正された前記車両の高さが、前記取得部が取得した前記車高の制限高さよりも高い場合は、前記画像を前記表示部に表示させる
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項11】
プロセッサが実行する、
車両の車高の設定を受け付けるステップと、
前記車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを取得するステップと、
前記規制標識に対応する画像を表示部に表示させるステップと、を有し、
前記表示部に表示させるステップにおいて、
設定後の前記車両の高さが、前記車高の制限高さよりも高い場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、設定後の前記車両の高さが前記車高の制限高さ以下である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない、
表示制御方法。
【請求項12】
プロセッサに、
車両の車高の設定を受け付けるステップと、
前記車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを取得するステップと、
前記規制標識に対応する画像を表示部に表示させるステップと、を実行させ、
前記表示部に表示させるステップにおいて、
設定後の前記車両の高さが、前記車高の制限高さよりも高い場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、設定後の前記車両の高さが前記車高の制限高さ以下である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の運転支援装置は、車高制限の規制標識が示す車高の上限値よりも車両の車高が大きい場合は運転者に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の運転支援装置は、車両に荷物を積載することにより、荷物を積載する前よりも車高が高くなったときは、規制標識が示す車高の上限値よりも車両の車高が大きい場合であっても運転者に通知しないことがあるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、実際の車高に対応した通知を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る表示制御装置は、車両の車高の設定を受け付ける受付部と、前記車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを取得する取得部と、前記規制標識に対応する画像を表示部に表示させる表示制御部と、を有し、前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた設定後の前記車両の高さが、前記取得部が取得した前記車高の制限高さよりも高い場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、設定後の前記車両の高さが前記車高の制限高さ以下である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない。
【0007】
前記取得部は、前記規制標識と前記車両との距離をさらに取得し、前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた前記設定後の前記車両の高さが、前記取得部が取得した前記制限高さ以上であり、且つ前記規制標識と前記車両との距離が閾値以下である場合に、前記画像を前記表示部に表示させてもよい。
【0008】
前記表示制御部は、前記車両の車速と定められた減速度とに基づいて算出した前記車両が停止するまでの距離を前記閾値として特定してもよい。
【0009】
前記受付部は、前記車両の所定範囲の前記車高である設定車高範囲を受け付け、前記取得部は、所定範囲の前記制限高さである制限高さ範囲を取得し、前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた前記設定車高範囲の上限値が、前記取得部が取得した前記制限高さ範囲の上限値以上である場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、前記設定車高範囲の上限値が前記制限高さ範囲の上限値未満である場合は、前記画像を前記表示部に表示させなくてもよい。
【0010】
前記取得部は、前記規制標識と前記車両との距離をさらに取得し、前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた前記設定車高範囲の上限値が、前記取得部が取得した前記制限高さ範囲の上限値以上であり、且つ前記規制標識と前記車両との距離が閾値以下である場合に、前記画像を前記表示部に表示させてもよい。
【0011】
前記表示制御部は、前記車両の車速と定められた減速度とに基づいて算出した前記車両が停止するまでの距離を前記閾値として特定してもよい。
【0012】
前記表示制御部は、前記画像の表示を開始させてから第1所定時間が経過したことに応じて前記画像の表示を終了させてもよい。
【0013】
スピーカから警告音を出力させる警告部をさらに有し、前記警告部は、前記画像の表示を開始させてから前記第1所定時間よりも短い第2所定時間が経過したことに応じて、前記警告音の出力を終了させてもよい。
【0014】
前記取得部は、前記車両の車速をさらに取得し、前記表示制御部は、前記車両の車速が閾値以下である場合に、前記規制標識に対応する前記画像を前記表示部に表示させてもよい。
【0015】
前記受付部は、前記車両の積載物の重量に関する情報をさらに受け付け、前記表示制御部は、前記車両の積載物の重量に関する情報に基づいて補正された前記車両の高さが、前記取得部が取得した前記車高の制限高さよりも高い場合は、前記画像を前記表示部に表示させてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に係る表示制御方法は、プロセッサが実行する、車両の車高の設定を受け付けるステップと、前記車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを取得するステップと、前記規制標識に対応する画像を表示部に表示させるステップと、を有し、前記表示部に表示させるステップにおいて、設定後の前記車両の高さが、前記車高の制限高さよりも高い場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、設定後の前記車両の高さが前記車高の制限高さ以下である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない。
【0017】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、プロセッサに、車両の車高の設定を受け付けるステップと、前記車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを取得するステップと、前記規制標識に対応する画像を表示部に表示させるステップと、を実行させ、前記表示部に表示させるステップにおいて、設定後の前記車両の高さが、前記車高の制限高さよりも高い場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、設定後の前記車両の高さが前記車高の制限高さ以下である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、実際の車高に対応した通知を行うという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る車両Sの概要を説明するための図である。
【
図4】記憶部32に記憶された判定テーブルを示す図である。
【
図5】警告音の出力時間と警告画像の表示時間とを説明するための図である。
【
図6】表示制御装置3における処理シーケンスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<車両Sの概要>
図1は、本実施形態に係る車両Sの概要を説明するための図である。
図1に示す車両Sは、操作部1と、カメラ2と、表示制御装置3と、表示部4と、スピーカ5と、を備える。車両Sは、車両Sの進行方向前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さよりも車両Sの高さが高い場合は、運転者に注意を促す機能を有する。注意を促すとは、例えば、警告するための画像(以下、「警告画像」という)を表示部4に表示したり、警告するための音(以下、「警告音」という)をスピーカ5から出力したりする処理である。
【0021】
操作部1は、車両Sのインストルメントパネル又はステアリングに設けられたスイッチ又はタッチパネルである。運転者は、操作部1を操作することにより車両Sの高さを設定できる。
【0022】
カメラ2は、車両Sの進行方向前方を撮像して生成した撮像画像から車高制限の規制標識を抽出し、当該規制標識が示す車高の制限高さ及び当該規制標識と車両Sとの距離を表示制御装置3に送信する。
【0023】
表示制御装置3は、カメラ2から取得した車高の制限高さよりも操作部1から受け付けた車両Sの高さが高い場合は、警告画像を表示部4に表示させたり、警告音をスピーカ5に出力させたりする処理を実行する。表示制御装置3は、電子部品を含む筐体を有していてもよく、電子部品が実装されたプリント基板であってもよい。
【0024】
表示部4は、速度、燃料の残量、時刻又は気温等を表示するディスプレイであり、警告画像を表示制御装置3から取得して表示する。表示部4は、車両Sのインストルメントパネルに設けられているが、運転者が使用する情報端末に設けられていてもよい。
【0025】
スピーカ5は、車両Sのインストルメントパネルの周囲に設けられており、表示制御装置3が出力した警告音を取得して出力する。
【0026】
ところで、荷物を積載した車両Sの高さは、荷物を積載する前の車両Sの高さよりも高くなる場合がある。このような場合、カメラ2から取得した規制標識の制限高さより荷物を積載した車両Sの高さが高くても、予め設定された、荷物を積載する前の車両Sの高さが当該制限高さよりも低いことにより、表示制御装置3が運転者に注意を促さない可能性がある。
【0027】
そこで、表示制御装置3は、運転者が操作部1を操作することにより設定した車両Sの高さがカメラ2から取得した制限高さよりも高いか否かを判定し、運転者が設定した車両Sの高さが制限高さよりも高い場合は、運転者に注意を促す。これにより、実際の車両Sの高さに対応した警告画像の表示、警告音の出力を行うことができる。
以下、表示制御装置3の構成及び動作を詳細に説明する。
【0028】
<表示制御装置3の構成>
表示制御装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を有する。制御部33は、受付部331と、取得部332と、表示制御部333と、警告部334と、を有する。
【0029】
通信部31は、ネットワーク又はデジタル信号伝送バスを介して情報を送受信するための通信デバイスを含む。通信デバイスは、例えば、CAN(Controller Area Network)コントローラである。
【0030】
記憶部32は、例えば、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。記憶部32は、警告画像を表示部4に表示させたり、警告音をスピーカ5に出力させたりするための各種の情報を記憶している。
【0031】
制御部33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はECU(Electronic Control Unit)等のプロセッサである。制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部331、取得部332、表示制御部333及び警告部334として機能する。なお、制御部33は、1つのプロセッサで構成されていてもよいし、複数のプロセッサ又は1以上のプロセッサと電子回路との組み合わせにより構成されていてもよい。
以下、制御部33により実現される各部の構成を説明する。
【0032】
受付部331は、操作部1から車両Sの車高の設定を受け付ける。受付部331は、例えば、車高の設定として車両Sの所定範囲の車高である設定車高範囲を受け付ける。
図2は、設定車高範囲を説明するための図である。
図2に示す「1.9m以下」は、車両Sの車高が0よりも大きく、且つ1.9m以下であることを示し、「2.4m以下」は、車両Sの車高が2.4m以下であることを示す。また、
図2に示す「制限なし」は、車両Sの車高が0より大きいことを示す。受付部331は、受け付けた設定車高範囲を記憶部32に記憶させる。
【0033】
取得部332は、カメラ2から車両Sの進行方向前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを取得する。取得部332は、例えば、車高の制限高さとして所定範囲の制限高さである制限高さ範囲を取得する。
図3は、制限高さ範囲を説明するための図である。具体的には、カメラ2が撮像画像から抽出した規制標識が示す車高制限が「3.3m」である場合、取得部332は、「3.0m~3.4m」を示す制限高さ範囲を取得する。
【0034】
取得部332は、規制標識と車両Sとの距離をさらに取得してもよい。取得部332は、カメラ2から取得した規制標識と車両Sとの距離、及び制限高さ範囲を記憶部32に記憶させる。取得部332は、車両Sの車速をさらに取得してもよい。例えば、取得部332は、車両Sが備える車速センサ(不図示)から車両Sの車速を取得し、取得した時刻に関連付けて記憶部32に記憶させる。
【0035】
表示制御部333は、規制標識に対応する画像を表示部4に表示させる。画像は、例えば「高さ制限あり」又は「高さ注意」を示す文字を含む警告画像の画像である。表示制御部333は、受付部331が受け付けた設定後の車両Sの高さが、取得部332が取得した車高の制限高さよりも高い場合は、警告画像を表示部4に表示させる。表示制御部333は、例えば、受付部331が受け付けた設定車高範囲の上限値が、取得部332が取得した制限高さ範囲の上限値以上である場合は、警告画像を表示部4に表示させる。
【0036】
具体的には、受付部331が「3.4m以下」を示す設定車高範囲を受け付け、取得部332が「2.5m~2.9m」を示す制限高さ範囲を取得したとする。この場合、表示制御部333は、設定車高範囲の上限値である3.4mが、制限高さ範囲の上限値である2.9m以上であることにより、警告画像を表示部4に表示させる。このように動作することで、表示制御部333は、運転者が実際の車高を設定することにより、当該実際の車高に対応した通知をすることができる。
【0037】
表示制御部333は、受付部331が受け付けた設定後の車両Sの高さが、取得部332が取得した車高の制限高さ以下である場合は、警告画像を表示部4に表示させない。表示制御部333は、例えば、受付部331が受け付けた設定車高範囲の上限値が、取得部332が取得した制限高さ範囲の上限値未満である場合は、警告画像を表示部4に表示させない。
【0038】
具体的には、受付部331が「3.4m以下」を示す設定車高範囲を受け付け、取得部332が「3.5m~3.9m」を示す制限高さ範囲を取得したとする。この場合、表示制御部333は、設定車高範囲の上限値である3.4mが、制限高さ範囲の上限値である3.9m未満であることにより、警告画像を表示部4に表示させない。このように動作することで、表示制御部333は、車両Sの高さが車高制限よりも低い場合は運転者に通知しないので、冗長な通知を抑制できる。
【0039】
なお、受付部331が「制限なし」を示す設定車高範囲を取得した場合、表示制御部333は、取得部332が制限高さ範囲を取得したことに応じて警告画像を表示部4に表示させる。
【0040】
表示制御部333は、記憶部32に記憶された判定テーブルを参照することにより、表示部4に警告画像を表示させるか否かを決定してもよい。
図4は、記憶部32に記憶された判定テーブルを示す図である。
図4に示す「○」は、警告画像を表示部4に表示させることを示し、
図4に示す「×」は、警告画像を表示部4に表示させないことを示す。
【0041】
表示制御部333は、例えば、
図4に示す判定テーブルを参照することにより、受付部331が受け付けた設定車高範囲と取得部332が取得した制限高さ範囲とに対応する動作を特定し、表示部4に警告画像を表示させるか否かを決定する。このように動作することで、表示制御部333は、表示部4に表示させるか否かを決定するための処理の負荷を軽減できる。
【0042】
表示制御部333は、受付部331が受け付けた設定車高範囲の上限値が、取得部332が取得した制限高さ範囲の上限値以上であり、且つ規制標識と車両Sとの距離が閾値以下である場合に、警告画像を表示部4に表示させてもよい。閾値は、運転者が、車高制限の規制標識に対応する道路を正しく視認できる距離であり、予め記憶部32に記憶されている。
【0043】
表示制御部333は、例えば、現在の時刻に取得部332が取得した規制標識と車両Sとの距離が閾値以下であり、且つ取得部332が前の取得時刻に取得した規制標識と車両Sとの距離が閾値より大きい場合、警告画像の表示を表示部4に開始させる。このように動作することで、表示制御部333は、運転者が車高制限の規制標識と異なる他の規制標識に対応する警告画像であると誤認することを防ぐことができる。
【0044】
さらに、表示制御部333は、警告画像の表示を開始させた時刻から第1所定時間が経過した時刻に警告画像の表示を終了させてもよい。第1所定時間は、表示部4が警告画像の表示を開始してから車両Sが車高制限の規制標識を通過するまでの時間よりも小さい時間であり、予め記憶部32に記憶されている。このように動作することで、表示制御部333は、車両Sが規制標識を通過した後に当該規制標識に対応する警告画像を表示部4が表示することを防ぐことができる。
【0045】
警告部334は、スピーカから警告音を出力させる。警告音は、例えば、ビープ音のような単音であるが、「高さ制限があります」又は「高さに注意してください」を示す音声でもよい。警告部334は、表示制御部333が警告画像の表示を開始させた時刻に、スピーカ5から警告音を出力させる。警告部334は、例えば、表示制御部333が表示部4に警告画像の表示を開始させたことを示す表示開始情報を表示制御部333から取得したことにより、スピーカ5から警告音を出力させる。警告部334がこのように動作することで、運転者は、表示部4が車高制限の規制標識に対応する警告画像を表示したことを気付きやすくなる。
【0046】
運転者は、警告音を出力することで警告画像に気付きやすくなるが、警告音を出力し続けると煩わしさを感じる場合がある。そこで、警告部334は、警告画像の表示を開始させた時刻から第1所定時間よりも短い第2所定時間が経過した時刻に、警告音の出力を終了させる。第2所定時間は、例えば、記憶部32に記憶された音データから生成した警告音を1回出力するための時間である。
【0047】
図5は、警告音の出力時間と警告画像の表示時間とを説明するための図である。
図5においては、現在の時刻より前の時刻に、取得部332が、規制標識Rが示す車高制限「3.3m」に対応する制限高さ範囲「3.0m~3.4m」及び規制標識Rと車両Sとの距離Dを取得している。また、受付部331が、3,4m以下、3,9m以下、制限なしのいずれかを示す設定車高範囲を操作部1から受け付けているものとする。
【0048】
図5において、車両Sの先頭が位置Kである場合、車両Sと規制標識Rとの距離が閾値T以下になったことにより、表示制御部333が表示部4に警告画像の表示を開始させるとともに、警告部334がスピーカ5に警告音の出力を開始させる。そして、位置Kから距離L2を走行した位置E2において、警告部334は、警告音の出力を開始してから第2所定時間が経過したことにより警告音の出力を終了させる。さらに、位置Kから距離L1を走行した位置E1において、表示制御部333は、警告画像の表示を開始してから第1所定時間が経過したことにより警告画像の表示を終了させる。
【0049】
このように動作することで、運転者が警告音を煩わしいと感じることを抑制できる。さらに、運転者は、車両Sの先頭が位置Kから位置E2までの間にある時刻に、警告音を聞いて規制標識Rが設置されていることを知り、車両Sの先頭が位置E2から位置E1までの間にある時刻に、警告画像を視認して制限高さ範囲を知ることができる。その結果、表示部4に表示された警告画像を運転者が視認し忘れることを抑制できる。
【0050】
<表示制御装置3における処理シーケンス>
図6は、表示制御装置3における処理シーケンスの例を示す図である。
図6に示す処理シーケンスは、車両Sの進行方向前方に車高制限の規制標識が設置されていることを運転者に通知する動作を示す。また、
図6においては、現在の時刻よりも前の時刻にカメラ2から取得した規制標識Rと車両Sとの距離Dが閾値T以上である場合を示す。表示制御装置3は、
図6に示す処理シーケンスを一定時間ごとに繰り返す。
【0051】
表示制御部333は、受付部331が操作部1から受け付けて記憶部32に記憶させた設定車高範囲を取得する(S11)。取得部332は、車両Sの進行方向前方に設置された規制標識Rが示す制限高さを含む制限高さ範囲を取得する(S12)とともに、規制標識Rと車両Sとの距離Dを取得する(S13)。
【0052】
表示制御部333は、受付部331が受け付けた設定車高範囲の上限値U1を特定し(S14)、取得部332が取得した制限高さ範囲の上限値U2を特定する(S15)。設定車高範囲の上限値U1が制限高さ範囲の上限値U2未満である場合(S16のNO)、表示制御部333は、警告画像を表示させない。設定車高範囲の上限値U1が制限高さ範囲の上限値U2以上である場合(S16のYES)、表示制御部333は、カメラ2から取得した距離Dが閾値T以下であるか否かを特定する(S17)。
【0053】
距離Dが閾値Tより大きい場合(S17のNO)、表示制御部333は、警告画像を表示させない。距離Dが閾値T以上である場合(S17のYES)、表示制御部333は、表示部4に警告画像を表示させる(S18)。表示制御装置3は、処理を終了する操作が行われていない場合(S19のNO)、ステップS11からステップS18までの処理を繰り返す。処理を終了する操作が行われた場合(S19のYES)、表示制御装置3は、処理を終了する。
【0054】
<第1変形例>
以上の説明においては、取得部332がカメラ2から取得した規制標識Rと車両Sとの距離Dが、予め記憶部32に記憶された閾値T以下である場合に、表示制御部333が表示部4に警告画像を表示させる動作を例示したが、これに限らない。
【0055】
表示制御部333は、車両Sの車速と定められた減速度とに基づいて算出した車両Sが停止するまでの距離Dを閾値Tとして特定し、当該閾値Tを用いて表示部4に警告画像を表示させるか否かを決定してもよい。定められた減速度は、予め記憶部32に記憶された減速度であり、例えば、車両Sの重量、乗車定員の少なくともいずれかに基づいて決定された車両区分に応じて定められた減速度である。例えば、定められた減速度が毎秒1.0mである車両Sが時速30kmで走行している場合、表示制御部333は、車両Sが停止するまでの距離34.7mを算出し、閾値Tとして特定する。
【0056】
<第2変形例>
以上の説明においては、取得部332が取得した規制標識Rと車両Sとの距離Dが閾値以下である場合に、表示制御部333が表示部4に警告画像を表示させる動作を例示したが、これに限らない。表示制御部333は、車両Sの車速が閾値以下である場合に、規制標識に対応する画像の表示を行うものであってもよい。閾値は、高速道路の最低制限速度よりも小さい速度であり、例えば、最低制限速度が時速50kmである場合、閾値は時速40kmである。
【0057】
<第3変形例>
以上の説明においては、受付部331が受け付けた車両Sの車高が、規制標識Rが示す車高の制限高さよりも高いか否かを判定する動作を例示したが、これに限らない。表示制御部333は、車両Sの積載物の重量に基づいて、受付部331が受け付けた車両Sの車高を補正し、補正した車高が、規制標識Rが示す車高の制限高さよりも高いか否かを判定してもよい。積載物は、荷物の他、車両Sに乗車する乗員も含む。例えば、受付部331は、車両Sの積載物の重量に関する情報を、車重センサ(不図示)から受け付ける。そして、表示制御部333は、受付部331が受け付けた車両Sの積載物の重量に関する情報と、受付部331が受け付けた車両Sの車高に関連付けて記憶部32に記憶された積載物の重量と、に基づいて、記憶部32に記憶された車両Sの高さを補正する。表示制御部333は、補正した車両Sの高さが取得部332が取得した車高の制限高さよりも高い場合に、規制標識Rに対応する画像を表示部4に表示させる。これにより、車両Sを運用している間に、荷物などの積載量の変化により車両Sの車高が変化した場合であっても、車両Sの車高に適した車高制限に関する表示を実行することができる。
【0058】
<第4変形例>
以上の説明においては、受付部331が受け付けた設定車高範囲の上限値が、取得部332が取得した制限高さ範囲の上限値以上である場合に、規制標識Rに対応する画像を表示部4に表示させる動作を例示したが、これに限らない。表示制御部333は、受付部331が受け付けた車両Sの車高が、規制標識Rが示す制限高さ以上である場合に、規制標識Rに対応する画像を表示部4に表示させてもよい。例えば、表示制御部333は、受付部331が受け付けた車両Sの車高が、取得部332が取得した、規制標識Rが示す制限高さ以上であり、且つ規制標識Rと車両Sとの距離が閾値以下である場合に、規制標識Rに対応する画像を表示部4に表示させる。閾値は、車両Sが停止するまでに必要な距離(すなわち、制動距離)であり、例えば、表示制御部333は、車両Sの車速と定められた減速度とに基づいて算出した制動距離を閾値として用いる。
【0059】
<表示制御装置3による効果>
以上説明したように、表示制御装置3は、車両Sの車高の設定を受け付ける受付部331と、車両Sの進行方向前方に設置された車高制限の規制標識Rが示す車高の制限高さを取得する取得部332と、規制標識に対応する画像を表示部4に表示させる表示制御部333と、を有する。そして、表示制御部333は、受付部331が受け付けた設定後の車両Sの高さが、取得部332が取得した車高の制限高さよりも高い場合は、警告画像を表示部4に表示させる。
【0060】
表示制御装置3がこのように構成されることで、規制標識Rが示す車高の制限高さよりも運転者が設定した車高が高い場合に警告画像を表示部4に表示させることができる。その結果、表示制御装置3は、車両Sに荷物を積載することにより車高が高くなったとしても、荷物を積載した後の車両Sの車高が制限高さより高いか否かを判定できるため、実際の車高に対応した通知を行うことができる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0062】
1 操作部
2 カメラ
3 表示制御装置
4 表示部
5 スピーカ
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
331 受付部
332 取得部
333 表示制御部
334 警告部
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者が操作部を操作することにより設定した、荷物を積載した前記車両の所定範囲の車高である設定車高範囲を受け付ける受付部と、
前記車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを含む、所定範囲の前記制限高さである制限高さ範囲を取得する取得部と、
前記規制標識に対応する画像を表示部に表示させる表示制御部と、を有し、
前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた前記設定車高範囲の上限値が、前記取得部が取得した前記制限高さ範囲の上限値以上である場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、前記設定車高範囲の上限値が前記制限高さ範囲の上限値未満である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない、
表示制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記規制標識と前記車両との距離をさらに取得し、
前記表示制御部は、前記受付部が受け付けた前記設定車高範囲の上限値が、前記取得部が取得した前記制限高さ範囲の上限値以上であり、且つ前記規制標識と前記車両との距離が閾値以下である場合に、前記画像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記車両の車速と定められた減速度とに基づいて算出した前記車両が停止するまでの距離を前記閾値として特定する、
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記画像の表示を開始させてから第1所定時間が経過したことに応じて前記画像の表示を終了させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
スピーカから警告音を出力させる警告部をさらに有し、
前記警告部は、前記画像の表示を開始させてから前記第1所定時間よりも短い第2所定時間が経過したことに応じて、前記警告音の出力を終了させる、
請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記車両の車速をさらに取得し、
前記表示制御部は、前記車両の車速が閾値以下である場合に、前記規制標識に対応する前記画像を前記表示部に表示させる
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項7】
プロセッサが実行する、
車両の運転者が操作部を操作することにより設定した、荷物を積載した前記車両の所定範囲の車高である設定車高範囲を受け付けるステップと、
前記車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを含む、所定範囲の前記制限高さである制限高さ範囲を取得するステップと、
前記規制標識に対応する画像を表示部に表示させるステップと、を有し、
前記表示部に表示させるステップにおいて、
前記設定車高範囲の上限値が、前記制限高さ範囲の上限値以上である場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、前記設定車高範囲の上限値が前記制限高さ範囲の上限値未満である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない、
表示制御方法。
【請求項8】
プロセッサに、
車両の運転者が操作部を操作することにより設定した、荷物を積載した前記車両の所定範囲の車高である設定車高範囲を受け付けるステップと、
前記車両の前方に設置された車高制限の規制標識が示す車高の制限高さを含む、所定範囲の前記制限高さである制限高さ範囲を取得するステップと、
前記規制標識に対応する画像を表示部に表示させるステップと、を実行させ、
前記表示部に表示させるステップにおいて、
前記設定車高範囲の上限値が、前記制限高さ範囲の上限値以上である場合は、前記画像を前記表示部に表示させ、前記設定車高範囲の上限値が前記制限高さ範囲の上限値未満である場合は、前記画像を前記表示部に表示させない、
プログラム。