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特開2024-85295積層フィルム、積層フィルムの製造方法、及び、パターンレジスト膜付き基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085295
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】積層フィルム、積層フィルムの製造方法、及び、パターンレジスト膜付き基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/095 20060101AFI20240619BHJP
   G03F 7/023 20060101ALI20240619BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240619BHJP
   B32B 27/08 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G03F7/095
G03F7/023
G03F7/004 512
B32B27/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199755
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000214250
【氏名又は名称】ナガセケムテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 幸一
(72)【発明者】
【氏名】武井 瑞樹
【テーマコード(参考)】
2H225
4F100
【Fターム(参考)】
2H225AE06N
2H225AE06P
2H225AF05P
2H225AM22N
2H225AM22P
2H225AM23N
2H225AM23P
2H225AM66P
2H225AM80N
2H225AM80P
2H225AN39P
2H225AN82P
2H225BA06P
2H225BA22P
2H225BA33P
2H225CA11
2H225CB05
2H225CC03
2H225CC21
2H225DA02
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01E
4F100AK04A
4F100AK25A
4F100AK33A
4F100AK36A
4F100AK53A
4F100AK80A
4F100AL05A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EH46A
4F100EJ17
4F100EJ42
4F100EJ52B
4F100JA05A
4F100JB06A
4F100JL14C
4F100JL14D
4F100JN17A
4F100JN17B
4F100YY00A
(57)【要約】
【課題】本発明は、ラミネート法で基板上にレジスト下層膜及びレジスト上層膜をより一層簡便に形成し得る積層フィルム等を提供する。
【解決手段】本発明は、レジスト下層膜、レジスト上層膜、及び、第1の剥離フィルムがこの順に積層され、前記レジスト上層膜が感光剤を含有する、積層フィルム等である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスト下層膜、レジスト上層膜、及び、第1の剥離フィルムがこの順に積層され、
前記レジスト上層膜が感光剤を含有する、積層フィルム。
【請求項2】
前記レジスト下層膜には、前記レジスト上層膜と反対側に第2の剥離フィルムが更に積層された、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記レジスト下層膜が、アルカリ可溶性樹脂を含有し、
前記レジスト下層膜のアルカリ溶解速度が、50~1500Å/secである、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記レジスト下層膜が、アクリル系樹脂と、フェノール樹脂とを含有する、請求項3に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記レジスト下層膜が感光剤を含有する、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記レジスト下層膜が、アルカリ可溶性樹脂を更に含有し、
前記レジスト下層膜を露光した露光膜のアルカリ溶解速度が、100Å/secを超え2000Å/sec未満である、請求項5に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記レジスト下層膜は、少なくとも第1のレジスト下層膜と、第2のレジスト下層膜とを含む2層以上の層で形成されている、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項8】
前記レジスト下層膜は、エポキシ樹脂、メチル化メラミン樹脂、メチル化尿素樹脂、エーテル化メラミン樹脂、メチル化ベンゾグアナミン樹脂、エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、(メタ)アクリレート化合物、及び、タッキファイヤーからなる群より選ばれた1種以上の化合物を含有し、
前記エポキシ樹脂は、軟化点が100℃未満であるエポキシ樹脂であり、
前記(メタ)アクリレート化合物は、沸点が170℃以上である単官能又は多官能の(メタ)アクリレート化合物である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項9】
レジスト上層膜及びレジスト下層膜が接するように、第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜と、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜とを重ね合わせ、前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜を熱圧着させることにより、積層フィルムを得る、積層フィルムの製造方法。
【請求項10】
第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜における前記レジスト上層膜に、第2の溶媒を含むレジスト下層膜用樹脂組成物を塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、積層フィルムを得る、積層フィルムの製造方法。
【請求項11】
第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜における前記レジスト下層膜に、第1の溶媒を含むレジスト上層膜用樹脂組成物を塗工し、前記第1の溶媒を揮発させることにより、レジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜と第1の剥離フィルムとを重ね合わせ、前記レジスト上層膜及び前記第1の剥離フィルムを熱圧着させることにより、積層フィルムを得る、積層フィルムの製造方法。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の積層フィルムを用いてパターンレジスト膜付き基板を製造する製造方法であって、
基板及び前記レジスト下層膜が接するように、前記基板及び前記積層フィルムを重ね合わせ、前記基板に前記レジスト下層膜を熱圧着させ、前記レジスト上層膜から前記剥離フィルムを剥離することにより、前記基板、前記レジスト下層膜、及び、前記レジスト上層膜がこの順に積層されたレジスト膜付き基板を得る工程(A)と、フォトマスクを介して放射線を前記レジスト上層膜にパターン照射する工程(B)と、現像液で前記レジスト上層膜と前記レジスト下層膜とをパターン化する工程(C)とを有する、パターンレジスト膜付き基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム、積層フィルムの製造方法、及び、パターンレジスト膜付き基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターンレジスト膜付き基板を製造する方法としては、例えば、図1に示すように、溶媒を含む第1樹脂組成物(第1塗工液)を用いて基板1上に下層2(レジスト下層膜)を形成する工程(a-1)と、溶媒を含む第2樹脂組成物(第2塗工液)を用いて前記下層2上に上層3(レジスト上層膜)を形成する工程(a-2)と、フォトマスクMを介して光を上層3に照射することにより上層3をパターン露光する工程(b)と、アルカリ性現像液で前記上層3及び前記下層2をパターン化することにより、パターンレジスト膜付き基板を得る工程(c)とを有する方法が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
前記パターンレジスト膜付き基板は、レジスト膜(下層2及び上層3)が形成された面に、基板が露出する部分(以下、「露出部」ともいう。)を有する。
【0004】
パターンレジスト膜付き基板は、パターン膜付き基板を作製するのに用いられる。
パターンレジスト膜付き基板を用いてパターン膜付き基板を製造する方法としては、例えば、図1に示すように、真空蒸着やスパッタリングにより、前記パターンレジスト膜付き基板における露出部及びパターンレジスト膜に薄膜(無機膜や有機膜)を形成する工程(d)と、パターンレジスト膜、及び、該パターンレジスト膜に形成された薄膜を剥離し、露出部に形成された薄膜を残すことにより、パターン膜付き基板を得る工程(e)とを有する方法が知られている。
【0005】
ここで、前記パターンレジスト膜付き基板では、上層3が下層2よりも露出部の中心側に延びた状態となっており、言い換えれば、パターンレジスト膜がオーバーハング状態となっている。
上層3が下層2よりも露出部の中心側に延びた状態で、前記工程(d)を実施することにより、露出部に形成された薄膜と、パターンレジスト膜に形成された薄膜とは、分断された状態となる。
そして、露出部に形成された薄膜と、パターンレジスト膜に形成された薄膜とが分断された状態で、前記工程(e)を実施することにより、基板に形成されたパターン膜にバリが生じ難くなる。
【0006】
近年、パターンレジスト膜付き基板を製造する方法として、ラミネート法が用いられている(例えば、特許文献3)。
特許文献3に記載の方法では、現像液可溶性樹脂層用塗工液をキャリアーフィルムに塗工し、キャリアーフィルムと現像液可溶性樹脂層との積層フィルムを得る。
次に、ガラスエポキシ基板に前記現像液可溶性樹脂層(下層)を熱圧着により貼り付ける。そして、前記現像液可溶性樹脂層にフォトレジスト(上層)を熱圧着により貼り付ける。
ラミネート方法には、基板上に塗工液を塗工する手間が省けるという利点がある。
また、ラミネート方法には、塗工液の歩留まりが向上するという利点もある。すなわち、環境負荷の低減に貢献できるという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-242247号公報
【特許文献2】特許第7066038号公報
【特許文献3】特許第7030450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ラミネート法で基板上にレジスト下層膜及びレジスト上層膜をより一層簡便に形成することが求められ得るが、この点についてこれまで十分には検討がなされていない。
【0009】
そこで、本発明は、ラミネート法で基板上にレジスト下層膜及びレジスト上層膜をより一層簡便に形成し得る積層フィルム、該積層フィルムの製造方法、及び、該積層フィルムを用いたパターンレジスト膜付き基板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一は、レジスト下層膜、レジスト上層膜、及び、第1の剥離フィルムがこの順に積層され、
前記レジスト上層膜が感光剤を含有する、積層フィルムに関する。
【0011】
本発明の第二は、レジスト上層膜及びレジスト下層膜が接するように、第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜と、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜とを重ね合わせ、前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜を熱圧着させることにより、積層フィルムを得る、積層フィルムの製造方法に関する。
【0012】
本発明の第三は、第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜における前記レジスト上層膜に、第2の溶媒を含むレジスト下層膜用樹脂組成物を塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、積層フィルムを得る、積層フィルムの製造方法に関する。
【0013】
本発明の第四は、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜における前記レジスト下層膜に、第1の溶媒を含むレジスト上層膜用樹脂組成物を塗工し、前記第1の溶媒を揮発させることにより、レジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜と第1の剥離フィルムとを重ね合わせ、前記レジスト上層膜及び前記第1の剥離フィルムを熱圧着させることにより、積層フィルムを得る、積層フィルムの製造方法に関する。
【0014】
本発明の第五は、前記積層フィルムを用いてパターンレジスト膜付き基板を製造する製造方法であって、
基板及び前記レジスト下層膜が接するように、前記基板及び前記積層フィルムを重ね合わせ、前記基板に前記レジスト下層膜を熱圧着させ、前記レジスト上層膜から前記剥離フィルムを剥離することにより、前記基板、前記レジスト下層膜、及び、前記レジスト上層膜がこの順に積層されたレジスト膜付き基板を得る工程(A)と、フォトマスクを介して放射線を前記レジスト上層膜にパターン照射する工程(B)と、現像液で前記レジスト上層膜と前記レジスト下層膜とをパターン化する工程(C)とを有する、パターンレジスト膜付き基板の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ラミネート法で基板上にレジスト下層膜及びレジスト上層膜をより一層簡便に形成し得る積層フィルム、該積層フィルムの製造方法、及び、該積層フィルムを用いたパターンレジスト膜付き基板の製造方法を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】パターンレジスト膜付き基板を製造する従来の方法の概略図(特開2008-242247の図1を引用。)。
図2】一実施形態に係る積層フィルムの概略断面図。
図3】他実施形態に係る積層フィルムの概略断面図。
図4】第1の実施形態に係る積層フィルムの製造方法の概略図。
図5】第2の実施形態に係る積層フィルムの製造方法の概略図。
図6】第3の実施形態に係る積層フィルムの製造方法の概略図。
図7】レジスト上層膜及びレジスト下層膜との間の部分のSEM写真及び光学顕微鏡写真(実施例2及び比較例1)。
図8】レジスト上層膜(厚み:1μm)並びにレジスト下層膜(第2のレジスト下層膜(厚み:1μm)及び第1のレジスト下層膜(厚み:1μm))との間の部分のSEM写真(実施例4、5)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0018】
<積層フィルム>
まず、本実施形態に係る積層フィルムについて説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る積層フィルム1は、レジスト下層膜2、レジスト上層膜3、及び、第1の剥離フィルム4がこの順に積層された積層フィルムである。
前記レジスト上層膜は、感光剤を含有する。
【0019】
本実施形態に係る積層フィルム1によれば、レジスト下層膜2とレジスト上層膜3とを有するレジスト膜を基板上に重ね合わせ、前記基板に前記レジスト下層膜2を熱圧着させることにより、基板、レジスト下層膜2、及び、レジスト上層膜3がこの順に積層されたレジスト膜付き基板を得ることが可能となる。
一方で、従来のラミネート法(例えば、特許文献3)では、ガラスエポキシ基板に現像液可溶性樹脂層(レジスト下層膜)を熱圧着により貼り付け、そして、前記現像液可溶性樹脂層にフォトレジスト(レジスト上層膜)を熱圧着により貼り付ける。
よって、本実施形態によれば、ラミネート方法において、従来のラミネート法に比べて、基板にレジスト下層膜及びレジスト上層膜を積層させるための熱圧着の回数を減らすことができる。
従って、本実施形態によれば、ラミネート法で基板上にレジスト下層膜及びレジスト上層膜をより一層簡便に形成し得る積層フィルムを提供し得る。
【0020】
ところで、前記基板として、熱及び圧力によって変形しやすい基板や、熱及び圧力によって割れやすい基板などを用いることもある。
しかし、本実施形態によれば、熱圧着の回数を減らすことができるため、熱及び圧力による基板への負荷を抑制することができるという利点もある。
【0021】
以下では、本実施形態に係る積層フィルムについて、レジスト上層膜がポジ型レジスト膜である場合を例にして説明する。なお、レジスト上層膜は、ネガ型レジスト膜であってもよい。
【0022】
前記レジスト下層膜2及び前記レジスト上層膜3は、リフトオフ法で用いることができる。すなわち、前記レジスト下層膜2及び前記レジスト上層膜3は、リフトオフレジスト膜となっている。
【0023】
(レジスト下層膜)
前記レジスト下層膜2は、一般的に用いられるレジスト下層膜であってもよい。
前記レジスト下層膜2としては、アルカリ可溶性の膜などが挙げられる。
前記レジスト下層膜2は、アルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。前記アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂(以下「アクリル系樹脂」ともいう。)、フェノール樹脂、アルカリ可溶性ポリイミド、ポリメチルグルタルイミド(PMGI)、ポリヒドロキシスチレンなどが挙げられる。
前記レジスト下層膜2は、例えば、アクリル系樹脂、及び、フェノール樹脂を含有する。前記レジスト下層膜2は、フェノール樹脂を含有することにより、アルカリ可溶性の膜となっている。
【0024】
前記アクリル系樹脂は、構成単位としてアクリル系モノマーを含む樹脂である。
また、前記アクリル系樹脂は、構成単位としてアクリル系モノマー以外の重合性モノマーを含んでもよい。
【0025】
前記アクリル系モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、メタクリルアミド、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸ベンジル、アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。
なお、本実施形態において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」と「メタクリル」とを含む概念である。例えば、「(メタ)アクリル酸エチル」は、「アクリル酸エチル」と「メタクリル酸エチル」とを含む概念である。
【0026】
アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとしては、例えば、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマー、ビニルエーテルモノマー等が挙げられる。
前記ビニルエステルモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等が挙げられる。
前記芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
前記ビニルエーテルモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0027】
前記アクリル系樹脂は、構成単位としてアクリル系モノマーを、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、更により好ましくは90重量%以上含む。
【0028】
前記アクリル系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは4,000~50,000、より好ましくは5,000~40,000である。
なお、本実施形態において、重量平均分子量は、テトラヒドロフラン溶離液を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレン換算分子量分布より測定されたものをいう。当該GPCにおけるカラムとしては、分子量を測定するのに適切なカラムを使用すればよい。
【0029】
前記レジスト下層膜2は、前記アクリル系樹脂を、好ましくは30~70重量%、より好ましくは35~65重量%含有する。
前記レジスト下層膜2は、前記アクリル系樹脂を30重量%以上含有することにより、レジスト下層膜の粘着性が高まり、その結果、基板と十分に接着しやすくなるという利点を有する。
前記レジスト下層膜2は、前記アクリル系樹脂を70重量%以下含有することにより、現像時の残渣を低減し得るという利点を有する。
なお、本実施形態では、アクリル系樹脂は、フェノール樹脂、後述するタッキファイヤーであるアクリル系樹脂を含まない概念である。
【0030】
前記フェノール樹脂としては、例えば、1分子中にフェノール性水酸基を、1個以上、好ましくは2個以上有する樹脂が挙げられる。
前記フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリオキシスチレン樹脂などが挙げられる。
前記フェノール樹脂は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
前記ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド化合物との縮合物である。前記ノボラック型フェノール樹脂は、例えば、フェノール化合物とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で縮合重合させることで得られる。
前記レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド化合物と縮合物である。前記レゾール型フェノール樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド化合物とをアルカリ性触媒の存在下で縮合重合させることで得られる。
【0032】
前記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA、ナフトール等が挙げられる。
前記クレゾールとしては、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾールが挙げられる。
前記トリメチルフェノールとしては、2,3,5-トリメチルフェノール等が挙げられる。
前記キシレノールとしては、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等が挙げられる。
前記フェノール類は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
前記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、3-メチルブチルアルデヒド、p-トリルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等が挙げられる。
前記ヒドロキシベンズアルデヒドとしては、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒドが挙げられる。
前記アルデヒド化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0034】
縮合重合により、ノボラック型フェノール樹脂又はレゾール型フェノール樹脂を生成する際には、前記アルデヒド化合物は、前記フェノール類1モルに対して、好ましくは0.4~2.0モル、より好ましくは0.6~1.5モルである。
【0035】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0036】
前記アルカリ性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0037】
前記縮合重合で用いる溶剤としては、例えば、水、アルコール類、環状エーテル類、ケトン類などが挙げられる。
前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
前記環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
前記ケトン類としては、例えば、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン等が挙げられる。
【0038】
前記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック(フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物)、クレゾールノボラック樹脂(クレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物)等が挙げられる。
クレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物は、例えば、クレゾールとホルムアルデヒドとサリチルアルデヒドとの縮合物なども含む概念である。
【0039】
前記フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。該ノボラック型フェノール樹脂としては、クレゾールノボラック樹脂が好ましい。
【0040】
前記フェノール樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
前記フェノール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは2,000~30,000、より好ましくは3,000~20,000である。
【0042】
前記レジスト下層膜2は、前記フェノール樹脂を、好ましくは30~70重量%、より好ましくは35~65重量%含有する。
前記レジスト下層膜2は、前記フェノール樹脂を30重量%以上含有することにより、耐熱性が向上され、また、現像時の残渣を低減することができるという利点を有する。
前記レジスト下層膜2は、前記フェノール樹脂を70重量%以上含有することにより、前記アクリル系樹脂をレジスト下層膜2に多く含ませやすくなる。そして、レジスト下層膜の粘着性が高まり、その結果、基板と十分に接着しやすくなるという利点がある。
【0043】
レジスト下層膜2の溶融粘度を低減させて、レジスト下層膜2の基板への貼合性を良好にし得るという観点から、前記レジスト下層膜2は、エポキシ樹脂、メチル化メラミン樹脂、メチル化尿素樹脂、エーテル化メラミン樹脂、メチル化ベンゾグアナミン樹脂、エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、(メタ)アクリレート化合物、及び、タッキファイヤーからなる群より選ばれた1種以上の化合物を含有することが好ましい。
前記エポキシ樹脂は、軟化点が100℃未満であるエポキシ樹脂である。
前記(メタ)アクリレート化合物は、沸点が170℃以上である単官能又は多官能の(メタ)アクリレート化合物である。
前記レジスト下層膜2は、軟化点が100℃未満であるエポキシ樹脂を含有することが特に好ましい。
なお、エポキシ樹脂の軟化点は、JIS K8234-1986「エポキシ樹脂の軟化点試験方法」に従って測定することができる。
また、本実施形態において、沸点は、標準沸点(1気圧下での沸点)である。
【0044】
メチル化メラミン樹脂、メチル化尿素樹脂、エーテル化メラミン樹脂、メチル化ベンゾグアナミン樹脂、エーテル化ベンゾグアナミン樹脂などの商品としては、ニカラックシリーズ(三和ケミカル社製、又は、日本カーバイド社製)などが挙げられる。
前記(メタ)アクリレート化合物の商品としては、NKエステル(新中村化学社製)などが挙げられる。
前記タッキファイヤーとしては、軟化点が100℃未満であり、常温(25℃)で液状の樹脂などが挙げられる。該液状樹脂としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
なお、タッキファイヤーの軟化点は、JIS K2207-1996「石油アスファルト」などに記載の「軟化点試験方法(環球法)」に従って測定することができる。
【0045】
前記レジスト下層膜2は、エポキシ樹脂、メチル化メラミン樹脂、メチル化尿素樹脂、エーテル化メラミン樹脂、メチル化ベンゾグアナミン樹脂、エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、(メタ)アクリレート化合物、及び、タッキファイヤーからなる群より選ばれた1種以上の化合物を、好ましくは3~30重量%、より好ましくは5~25重量%含有する。
【0046】
前記レジスト下層膜2は、感光剤を含有することが好ましい。
ところで、後述する工程(C)において、露光した下層レジスト膜の部分が、現像液によって除去される速度が遅いと、パターン化で残る下層レジスト膜の幅が、レジスト上層膜から基板にかけて広くなってしまうことがある。
そして、これにより、後述する工程(D)において、露出部に形成された薄膜と、パターンレジスト膜に形成された薄膜とは、分断された状態となりにくくなり、その結果、後述する工程(E)において、基板に形成されたパターン膜にバリが生じてしまうおそれがある。
レジスト上層膜がポジ型レジスト膜である場合には、前記レジスト下層膜2は、感光剤を含有することにより、露光した下層レジスト膜の部分が、現像液によって除去される速度が高くなり、パターン化で残る下層レジスト膜の幅が、レジスト上層膜から基板にかけて均一にしやすくなる。すなわち、パターン化で残る下層レジスト膜を所望の形状にしやすくなる。
【0047】
レジスト上層膜がネガ型レジスト膜である場合には、前記レジスト下層膜2は、感光剤を含有することにより、露光した下層レジスト膜が、現像液によって除去される速度が低くなり、現像液で露光した下層レジスト膜までも完全に除去されてしまうのを抑制できる。
【0048】
すなわち、レジスト上層膜がポジ型でもネガ型でも、前記レジスト下層膜2に感光剤を含ませることで、パターン化で残る下層レジスト膜を所望の形状にしやすくなる。
【0049】
レジスト上層膜がネガ型レジスト膜である場合には、パターンレジスト膜をオーバーハング状態としやすくするという観点から、前記レジスト下層膜2の感光剤の濃度は、前記レジスト上層膜3の感光剤の濃度よりも低いことが好ましい。
【0050】
前記レジスト下層膜2は、前記感光剤を、好ましくは5~15重量%、より好ましくは7~13重量%含有する。
【0051】
前記感光剤としては、キノンジアジド基含有化合物などが挙げられる。
【0052】
前記キノンジアジド基含有化合物としては、例えば、キノンジアジド基含有スルホン酸と、フェノール性化合物又はアルコール性化合物との縮合物たるエステル等が挙げられる。また、前記キノンジアジド基含有化合物としては、例えば、キノンジアジド基含有スルホン酸と、アミノ基を有する化合物との縮合物たるアミド化物等も挙げられる。
【0053】
前記キノンジアジド基含有スルホン酸としては、例えば、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホン酸、ナフトキノン-1,2-ジアジド-4-スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸などが挙げられる。
なお、前記縮合物たるエステル、又は、縮合物たるアミド化物を生成する際に、キノンジアジド基含有スルホン酸の代わりに、例えば、キノンジアジド基含有スルホン酸のハロゲン化物を用いてもよい。
該ハロゲン化物としては、塩化物等が挙げられる。
【0054】
前記フェノール性化合物又はアルコール性化合物としては、例えば、ポリヒドロキシベンゾフェノン類、ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類のメチル置換体、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類のメチル置換体、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。
また、前記フェノール性化合物又はアルコール性化合物としては、例えば、構成単位としてp-ヒドロキシスチレンを含むホモポリマー、構成単位としてp-ヒドロキシスチレンを含むコポリマー等も挙げられる。
さらに、前記フェノール性化合物又はアルコール性化合物としては、例えば、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノール、7-ヒドロキシ-4-(4’-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-2-(2’,4’-ジヒドロキシ)フェニルクマロン、フェノール、p-メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール-1,3-ジメチルエーテル、没食子酸なども挙げられる。
【0055】
前記ポリヒドロキシベンゾフェノン類としては、例えば、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシ-2’-メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0056】
前記ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類としては、例えば、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2’,4’-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(2’,3’,4’-トリヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0057】
前記トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類または前記トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類のメチル置換体として、例えば、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン等が挙げられる。
【0058】
前記ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類または前記ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類のメチル置換体としては、例えば、ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン等が挙げられる。
【0059】
前記キノンジアジド基含有化合物におけるノボラック型フェノール樹脂としては、前記フェノール樹脂(b)の記載で列記したノボラック型フェノール樹脂等を用いることができる。
なお、前記キノンジアジド基含有化合物におけるノボラック型フェノール樹脂は、前記フェノール樹脂(b)の記載で列記したノボラック型フェノール樹脂と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0060】
前記アミノ基を有する化合物としては、例えば、アニリン、p-アミノジフェニルアミン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0061】
前記キノンジアジド基含有化合物としては、例えば、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノールとナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロリドとのエステルが挙げられる。
また、前記キノンジアジド基含有化合物としては、例えば、7-ヒドロキシ-4-(4’-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-2-(2’、4’-ジヒドロキシ)フェニルクマロンとナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロリドとのエステルも挙げられる。
【0062】
前記キノンジアジド基含有化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0063】
前記レジスト下層膜2は、添加剤を更に含有してもよい。
前記添加剤としては、密着助剤(例えば、イミダゾリン誘導体など)、レベリング剤(例えば、ポリエーテル変性ポリシロキサン系界面活性剤など)などが挙げられる。
【0064】
前記レジスト下層膜2のアルカリ溶解速度(ADR)は、好ましくは1500Å/sec以下、より好ましくは500Å/sec未満、更に好ましくは300Å/sec未満である。
前記レジスト下層膜2のアルカリ溶解速度(ADR)が1500Å/sec以下であることにより、現像時間の調整がしやすくなり、所望のパターンレジスト膜を基板上に残しやすくなるという利点がある。
また、前記レジスト下層膜2のアルカリ溶解速度(ADR)は、好ましくは50Å/sec以上であり、より好ましくは100Å/secを超える。
前記レジスト下層膜2のアルカリ溶解速度(ADR)が50Å/sec以上であることにより、アルカリ現像液へのレジスト下層膜2の溶解性が十分となり、現像残渣が残り難くなるという利点がある。
【0065】
本実施形態において、レジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、以下のようにして求めることができる。
第2の剥離フィルム(第2の剥離フィルムについては、後述する。)を有しない積層フィルムを用いる場合には、レジスト下層膜に第2の剥離フィルムを積層させる。
積層フィルムから第1の剥離フィルムを剥離させ、シリコンウエハ及びレジスト上層膜が接するように、前記シリコンウエハ及び前記積層フィルムを重ね合わせ、前記シリコンウエハに前記レジスト上層膜を熱圧着させ、前記レジスト下層膜から前記第2の剥離フィルムを剥離することにより、前記シリコンウエハ、前記レジスト上層膜、及び、前記レジスト下層膜がこの順に積層された積層体を得る。
そして、膜厚測定装置を用いて、前記レジスト下層膜の厚みを測定する。
次に、前記積層体を2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液に所定時間浸漬し、前記レジスト下層膜のみを溶解させる。
そして、膜厚測定装置を用いて、浸漬後のレジスト下層膜の厚みを測定する。
下記式に従って、レジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)を算出する。
ADR=(浸漬前のレジスト下層膜の厚み-浸漬後のレジスト下層膜の厚み)/浸漬時間
【0066】
なお、後述するレジスト下層膜用樹脂組成物(レジスト下層膜を作製するのに用いる樹脂組成物)が入手できる場合には、レジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、レジスト下層膜用樹脂組成物を用いて、後述する「<レジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)>」に記載の方法で求めてもよい。
【0067】
前記レジスト下層膜2が感光剤を含む場合には、レジスト下層膜を露光した露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、好ましくは2000Å/sec未満、より好ましくは1500Å/sec以下、更に好ましくは1200Å/sec以下である。
前記露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)が2000Å/sec未満であることにより、現像時間の調整がしやすくなり、所望のパターンレジスト膜を基板上に残しやすくなるという利点がある。
前記レジスト下層膜2が感光剤を含む場合には、レジスト下層膜を露光した露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、好ましくは100Å/secを超え、より好ましくは150Å/sec以上、更に好ましくは200Å/sec以上である。
前記露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)が100Å/secを超えることにより、アルカリ現像液への露光膜の溶解性が十分となり、現像残渣が残り難くなるという利点がある。
【0068】
本実施形態において、露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、以下のようにして求めることができる。
上述のように、前記シリコンウエハ、前記レジスト上層膜、及び、前記レジスト下層膜がこの順に積層された積層体を得る。
次に、前記レジスト下層膜全体を下記条件で露光し、露光膜を得る。
露光機:Mask Aligner MA150(ズース・マイクロテックス社製、コンタクトアライナー)
露光量:150mJ/cm(420nm付近)
露光様式:ハードコンタクト露光
そして、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液を用いて、レジスト下層膜のアルカリ溶解速度の測定方法と同様な方法で、露光膜のアルカリ溶解速度を求める。
【0069】
なお、後述するレジスト下層膜用樹脂組成物が入手できる場合には、レジスト下層膜を露光した露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、レジスト下層膜用樹脂組成物を用いて、後述する「<露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)の測定>」に記載の方法で求めてもよい。
【0070】
前記レジスト下層膜2は、少なくとも第1のレジスト下層膜と、第2のレジスト下層膜とを含む2層以上の層で形成されていることが好ましい。
前記第2のレジスト下層膜は、前記第1のレジスト下層膜よりもレジスト上層膜側に配されている。
前記レジスト下層膜2は、少なくとも第1のレジスト下層膜と、第2のレジスト下層膜とを含む2層以上の層で形成されていることにより、パターン化で残る下層レジスト膜を所望の形状にしやすくなる。
特に、第1のレジスト下層膜と、第2のレジスト下層膜にそれぞれ含まれる感光剤の含有量を調整することにより、パターン化で残る下層レジスト膜毎に下層レジスト膜の幅を調整可能とすることが可能となる。その結果、上層レジスト膜と下層レジスト膜の間で段差を設けやすくなる。
なお、前記レジスト下層膜2は、レジスト下層膜を3層以上有してもよい。前記レジスト下層膜2は、少なくとも第1のレジスト下層膜と、第2のレジスト下層膜と、第3のレジスト下層膜とを含む3層以上を有してもよい。
【0071】
パターン化で残る下層レジスト膜の幅がレジスト上層膜から基板にかけて広くなるのを抑制するという観点から、前記第1のレジスト下層膜は、前記第2のレジスト下層膜よりもアルカリ溶解速度(ADR)が高いことが好ましい。
第1のレジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)/第2のレジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、好ましくは1.1~3.0、より好ましくは1.2~2.5である。
また、第1のレジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)から第2のレジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)を引いた値(第1のレジスト下層膜のADR-第2のレジスト下層膜のADR)は、好ましくは50~200Å/secである。
【0072】
前記レジスト下層膜の厚み(レジスト下層膜が2層以上の層で形成されている場合には、合計の厚み)は、好ましくは0.01~4.0μm、より好ましくは0.02~3.0μmである。
前記レジスト下層膜の厚みが0.01μm以上であることにより、レジスト膜にピンホールが生じるのを抑制することができる。
また、前記レジスト下層膜の厚みが4.0μm以下であることにより、レジスト膜のアンダーカット部に、気相成長で形成される膜が広がるのを抑制できる。
【0073】
(レジスト上層膜)
前記レジスト上層膜3は、感光剤を含有する。すなわち、前記レジスト上層膜3は、感光型の膜(フォトレジスト膜)である。
本実施形態では、前記レジスト上層膜3は、ポジ型レジスト膜である。なお、前記レジスト上層膜3は、ネガ型レジスト膜であってもよい。
前記レジスト上層膜3としては、アルカリ可溶性の膜などが挙げられる。
前記レジスト上層膜3は、例えば、フェノール樹脂と、感光剤とを含有する。前記レジスト上層膜3は、フェノール樹脂を含有することにより、アルカリ可溶性の膜となっている。
【0074】
前記レジスト上層膜3に含まれるフェノール樹脂としては、レジスト下層膜2に含まれるフェノール樹脂として列記したフェノール樹脂等を用いることができる。
なお、前記レジスト上層膜3に含まれるフェノール樹脂は、前記レジスト下層膜2に含まれるフェノール樹脂と同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記レジスト上層膜3は、前記フェノール樹脂を、好ましくは15~35質量%、より好ましくは20~30質量%含有する。
【0075】
前記レジスト上層膜3に含まれる感光剤としては、レジスト下層膜2に含まれるフェノール樹脂として列記した感光剤等を用いることができる。
前記レジスト上層膜3は、前記感光剤を、好ましくは10~30質量%、より好ましくは12~25質量%含有する。
前記レジスト上層膜3は、前記感光剤を10質量%以上含有することにより、未露光部と露光部とのアルカリ溶解速度の差が高まるという利点を有する。
前記レジスト上層膜3は、前記感光剤を30質量%以下含有することにより、得られるレジスト上層膜の均質性が高まり、その結果、解像性が高まるという利点を有する。
【0076】
また、前記レジスト上層膜3は、エポキシ樹脂を更に含有することが好ましい。
前記レジスト上層膜3は、エポキシ樹脂を更に含有することにより、レジスト膜をパターン化した際に、平面視で矩形のパターンレジスト膜を得やすくなる。その結果、後述する工程(D)で膜(無機膜や有機膜)を形成する際(例えば、蒸着により金属膜を形成する際)に、パターンレジスト膜が反るのを抑制でき、膜(無機膜や有機膜)をきれいに形成しやすくなる
前記レジスト上層膜3は、エポキシ樹脂を、好ましくは5~15重量%、より好ましくは7~12重量%含有する。
【0077】
また、前記レジスト上層膜3は、添加剤を更に含有してもよい。
前記添加剤としては、レベリング剤などが挙げられる。
【0078】
前記レジスト上層膜3の厚みは、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.3~5.0μmである。
前記レジスト上層膜の厚みが0.1μm以上であることにより、気相成長で加熱した場合には、レジスト下層膜よりも露出部の中心側に延びたレジスト上層膜の部分が、この加熱によって垂れ下がってしまうのを抑制できる。
また、前記レジスト上層膜の厚みが10μm以下であることにより、気相成長での膜の寸法制御がしやすくなる。
【0079】
前記第1の剥離フィルム4としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。
また、前記第1の剥離フィルム4としては、例えば、共重合体フィルムであってもよい。
前記共重合体フィルムにおける共重合体に含まれる構成単位としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メタクリル酸メチル、スチレンなどが挙げられる。
また、前記第1の剥離フィルム4としては、例えば、セルロース誘導体フィルム、シクロオレフィンポリマー含有ポリオレフィンフィルムなども挙げられる。
なお、シクロオレフィンポリマー含有ポリオレフィンフィルムとは、シクロオレフィンポリマーと、ポリオレフィンとを含むフィルムを意味する。
【0080】
前記第1の剥離フィルム4は、延伸された剥離フィルムであってもよい。
【0081】
また、レジスト上層膜3から第1の剥離フィルム4を剥離させやすくするという観点から、第1の剥離フィルム4は、前記レジスト上層膜3と接する表面が剥離剤で表面処理されていていることが好ましい。
また、積層フィルム1を保管する際などに、積層フィルム1をロール状に巻いた状態にする場合には、レジスト下層膜2から第1の剥離フィルム4を剥離させやすくするという観点から、前記第1の剥離フィルム4は、前記レジスト上層膜3と接する表面と反対側の表面が剥離剤で表面処理されていていることが好ましい。
前記剥離剤としては、非シリコーン系剥離剤などが挙げられる。
【0082】
前記第1の剥離フィルム4の厚みは、好ましくは5~100μm、より好ましくは10~50μmである。
【0083】
前記レジスト下層膜2には、前記レジスト上層膜3と反対側に第2の剥離フィルムが更に積層されていることが好ましい。
言い換えれば、本実施形態に係る積層フィルム1は、図3に示すように、第1の剥離フィルム2と、レジスト上層膜3と、レジスト下層膜2と、第2の剥離フィルム5とがこの順に積層された、積層フィルムであることが好ましい。
本実施形態に係る積層フィルム1は、前記第2の剥離フィルム5を更に有することにより、積層フィルムを使用するまでレジスト下層膜2を保護しやすくなるという利点を有する。
【0084】
前記第2の剥離フィルム5としては、第1の剥離フィルム4として列記したフィルム等を用いることができる。
前記第2の剥離フィルム5は、第1の剥離フィルム4と同じ材料で構成されていてもよく、第1の剥離フィルム4と異なる材料で構成されていてもよい。
前記第2の剥離フィルム5の厚みは、好ましくは2~50μm、より好ましくは5~25μmである。
前記第2の剥離フィルム5は、延伸された剥離フィルムであってもよい。
また、前記第2の剥離フィルム5は、前記レジスト下層膜2と接する表面が剥離剤で表面処理されていてもよい。
前記剥離剤としては、第1の剥離フィルム4における剥離剤として列記した剥離剤等を用いることができる。第2の剥離フィルム5における剥離剤は、第1の剥離フィルム4における剥離剤と同じであっても、異なっていてもよい。
【0085】
<積層フィルムの製造方法>
次に、本実施形態に係る積層フィルムの製造方法について、第1、第2、及び、第3の実施形態に係る積層フィルムの製造方法を例に挙げて説明する。
【0086】
(第1の積層フィルムの製造方法)
図4に示すように、第1の実施形態に係る積層フィルムの製造方法では、レジスト上層膜3及びレジスト下層膜2が接するように、第1の剥離フィルム4付きレジスト上層膜3と、第2の剥離フィルム5付きレジスト下層膜2とを重ね合わせ、前記レジスト上層膜2及び前記レジスト下層膜3を熱圧着させることにより、積層フィルム1を得る。
第1の実施形態に係る積層フィルムの製造方法では、前記第1の剥離フィルム4、前記レジスト上層膜3、前記レジスト下層膜2、及び、前記第2の剥離フィルム5がこの順に積層された積層フィルム1が得られる。
なお、該積層フィルム1から、前記第2の剥離フィルム5を剥離させることにより、前記第1の剥離フィルム4、前記レジスト上層膜3、及び、前記レジスト下層膜2がこの順に積層された積層フィルムを得てもよい。
【0087】
第1の実施形態に係る積層フィルムの製造方法は、第1の剥離フィルム4付きレジスト上層膜3と、第2の剥離フィルム5付きレジスト下層膜2とを重ね合わせて、レジスト下層膜2とレジスト上層膜3とを積層させるため、レジスト下層膜2とレジスト上層膜3との間において樹脂が混ざりあってしまうこと(インターミキシング)を抑制し得るという利点を有する。
その結果、第1の実施形態に係る積層フィルムの製造方法は、後述する工程(C)において、レジスト下層膜とレジスト上層膜とを十分にパターン化できるという利点を有する。
【0088】
前記第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜は、以下のようにして得ることができる。
すなわち、第1の溶媒を含むレジスト上層膜用樹脂組成物を第1の剥離フィルムに塗工し、前記第1の溶媒を揮発させることにより、前記第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜を得る。
【0089】
前記第1の溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等を挙げることができる。
【0090】
レジスト上層膜用樹脂組成物の塗工方法としては、例えば、グラビア印刷法、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などが挙げられる。
【0091】
前記第1の溶媒の揮発では、レジスト上層膜用樹脂組成物を加熱してもよい。
前記第1の溶媒を揮発させる加熱温度は、好ましくは250℃以下、より好ましくは70℃~200℃である。
前記第1の溶媒を揮発させる加熱時間は、第1の溶媒が十分に揮発する時間とすればよく、例えば、0.5~5分間とすることができる。
【0092】
また、前記第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜は、以下のようにして得ることができる。
すなわち、第2の溶媒を含むレジスト下層膜用樹脂組成物を第2の剥離フィルムに塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、前記第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜を得る。
【0093】
前記第2の溶媒としては、前記第1の溶媒として列記した溶媒等を用いることができる。第2の溶媒は、第1の溶媒と同じであっても、異なっていてもよい。
【0094】
レジスト下層膜用樹脂組成物の塗工方法としては、例えば、レジスト上層膜用樹脂組成物の塗工方法で列記した方法などが挙げられる。
【0095】
前記第2の溶媒の揮発では、レジスト下層膜用樹脂組成物を加熱してもよい。
前記第2の溶媒を揮発させる加熱温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは70℃~130℃である。
前記第2の溶媒を揮発させる加熱時間は、第2の溶媒が十分に揮発する時間とすればよく、例えば、0.5~5分間とすることができる。
【0096】
前記レジスト下層膜は、少なくとも前記第1のレジスト下層膜と、前記第2のレジスト下層膜とを含む2層以上の層で形成されていてもよい。
【0097】
例えば、レジスト下層膜が、前記第1のレジスト下層膜と前記第2のレジスト下層膜との2層を含む、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜は、以下のようにして得ることができる。
第2の溶媒を含む第1のレジスト下層膜用樹脂組成物を第2の剥離フィルムに塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、前記第2の剥離フィルム付き第1のレジスト下層膜を得る。次に、第2の溶媒を含む第2のレジスト下層膜用樹脂組成物を第1のレジスト下層膜に塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、前記第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜を得る。
前記第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜では、第2の剥離フィルムと、第1のレジスト下層膜と、第2のレジスト下層膜とがこの順に積層されている。
【0098】
また、レジスト下層膜が、少なくとも前記第1のレジスト下層膜と前記第2のレジスト下層膜との2層を含む、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜は、以下のようにしても得ることができる。
上述したように、前記第2の剥離フィルム付き第1のレジスト下層膜を得る。
また、第2の溶媒を含む第2のレジスト下層膜用樹脂組成物を第3の剥離フィルムに塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、前記第3の剥離フィルム付き第2のレジスト下層膜を得る。
そして、第1のレジスト下層膜及び第2のレジスト下層膜が接するように、第2の剥離フィルム付き第1のレジスト下層膜及び第3の剥離フィルム付き第2のレジスト下層膜を重ね合わせ、第1のレジスト下層膜及び第2のレジスト下層膜を熱圧着させることにより、熱圧着フィルムが得られる。
次に、該熱圧着フィルムから第3の剥離フィルムを剥離することにより、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜を得ることができる。
【0099】
前記第3の剥離フィルムとしては、第1の剥離フィルム4として列記したフィルム等を用いることができる。
前記第3の剥離フィルムは、第1の剥離フィルム4と同じ材料で構成されていてもよく、第1の剥離フィルム4と異なる材料で構成されていてもよい。
前記第3の剥離フィルムの厚みは、好ましくは2~50μm、より好ましくは5~25μmである。
前記第3の剥離フィルムは、延伸された剥離フィルムであってもよい。
また、前記第3の剥離フィルムは、第2のレジスト下層膜と接する表面が剥離剤で表面処理されていてもよい。
前記剥離剤としては、第1の剥離フィルム4における剥離剤として列記した剥離剤等を用いることができる。第3の剥離フィルムにおける剥離剤は、第1の剥離フィルム4における剥離剤と同じであっても、異なっていてもよい。
【0100】
前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜を熱圧着させる方法としては、熱ロールラミネート法などが挙げられる。
熱ロールラミネート法での加熱温度は、例えば、110~150℃とすることができる。
熱ロールラミネート法での加熱する速度は、例えば、0.05~0.6m/minとすることができる。
熱ロールラミネート法での加熱の際の圧力は、例えば、0.1~0.6MPaとすることができる。
【0101】
(第2の積層フィルムの製造方法)
次に、第2の実施形態に係る積層フィルムの製造方法について説明する。
なお、第1の実施形態と重複する説明は省略し、第2の実施形態で特に説明がないものは、第1の実施形態で説明したものと同じ内容とする。
【0102】
図5に示すように、第2の実施形態に係る積層フィルムの製造方法では、第1の剥離フィルム4付きレジスト上層膜3における前記レジスト上層膜3に、第2の溶媒を含むレジスト下層膜用樹脂組成物21を塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、積層フィルム1を得る。
図5の態様においては、ブレードAを用いて、前記レジスト上層膜3にレジスト下層膜用樹脂組成物21を塗工する。
第2の実施形態に係る積層フィルムの製造方法では、前記第1の剥離フィルム4、前記レジスト上層膜3、及び、前記レジスト下層膜2がこの順に積層された積層フィルム1が得られる。
なお、該積層フィルムの前記レジスト下層膜と第2の剥離フィルムとを重ね合わせ、前記レジスト下層膜及び前記第2の剥離フィルムを熱圧着させることにより、前記第1の剥離フィルム、前記レジスト上層膜、前記レジスト下層膜、及び、前記第2の剥離フィルムがこの順に積層された積層フィルムを得てもよい。
【0103】
前記レジスト下層膜は、少なくとも前記第1のレジスト下層膜と、前記第2のレジスト下層膜とを含む2層以上の層で形成されていてもよい。
例えば、レジスト下層膜が、少なくとも前記第1のレジスト下層膜と前記第2のレジスト下層膜との2層を含む、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜は、以下のようにして得ることができる。
すなわち、第2の溶媒を含む第2のレジスト下層膜用樹脂組成物をレジスト上層膜に塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、第2のレジスト下層膜を得る。次に、第2の溶媒を含む第1のレジスト下層膜用樹脂組成物を第2のレジスト下層膜に塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、前記第1の剥離フィルムと、前記レジスト上層膜と、前記レジスト下層膜(第2のレジスト下層膜及び第1のレジスト下層膜)とがこの順に積層された積層フィルムを得る。
【0104】
(第3の積層フィルムの製造方法)
次に、第3の実施形態に係る積層フィルムの製造方法について説明する。
なお、第1、及び、第2の実施形態と重複する説明は省略し、第3の実施形態で特に説明がないものは、第1、及び、第2の実施形態で説明したものと同じ内容とする。
【0105】
図6に示すように、第3の実施形態に係る積層フィルムの製造方法では、第2の剥離フィルム5付きレジスト下層膜2における前記レジスト下層膜2に、第1の溶媒を含むレジスト上層膜用樹脂組成物31を塗工し、前記第1の溶媒を揮発させることにより、レジスト上層膜3を形成する。
図6の態様においては、ブレードAを用いて、前記レジスト下層膜2にレジスト上層膜用樹脂組成物31を塗工する。
そして、前記レジスト上層膜3と第1の剥離フィルム4とを重ね合わせ、前記レジスト上層膜3及び前記第1の剥離フィルム4を熱圧着させることにより、積層フィルム1を得る。
第3の実施形態に係る積層フィルムの製造方法では、前記第1の剥離フィルム4、前記レジスト上層膜3、前記レジスト下層膜2、及び、前記第2の剥離フィルム5がこの順に積層された積層フィルム1が得られる。
【0106】
<パターンレジスト膜付き基板の製造方法>
次に、本実施形態に係るパターンレジスト膜付き基板の製造方法について説明する。
【0107】
本実施形態に係るパターンレジスト膜付き基板の製造方法では、本実施形態に係る積層フィルムを用いてパターンレジスト膜付き基板を製造する。
本実施形態に係るパターンレジスト膜付き基板の製造方法は、基板及び前記レジスト下層膜が接するように、前記基板及び前記積層フィルムを重ね合わせ、前記基板に前記レジスト下層膜を熱圧着させ、前記レジスト上層膜から前記剥離フィルムを剥離することにより、前記基板、前記レジスト下層膜、及び、前記レジスト上層膜がこの順に積層されたレジスト膜付き基板を得る工程(A)と、フォトマスクを介して放射線を前記レジスト上層膜にパターン照射する工程(B)と、現像液で前記レジスト上層膜と前記レジスト下層膜とをパターン化する工程(C)とを有する。
【0108】
前記パターンレジスト膜付き基板は、レジスト膜(レジスト下層膜及びレジスト上層膜)が形成された面に、基板が露出する部分(以下、「露出部」ともいう。)を有する。
また、前記パターンレジスト膜付き基板では、レジスト上層膜がレジスト下層膜よりも露出部の中心側に延びた状態となっている。言い換えれば、前記パターンレジスト膜付き基板は、レジスト膜のアンダーカット部を有する。
【0109】
パターンレジスト膜付き基板は、パターン膜付き基板を作製するのに用いられる。
パターンレジスト膜付き基板を用いてパターン膜付き基板を製造する方法は、気相成長により、前記パターンレジスト膜付き基板における露出部及びパターンレジスト膜に膜(無機膜や有機膜)を形成する工程(D)と、パターンレジスト膜に形成された膜、及び、パターンレジスト膜を剥離し、露出部に形成された膜を残すことにより、パターン膜付き基板を得る工程(E)とを有する。
【0110】
(工程(A))
前記工程(A)は、基板及び前記レジスト下層膜が接するように、前記基板及び前記積層フィルムを重ね合わせ、前記基板に前記レジスト下層膜を熱圧着させ、前記レジスト上層膜から前記剥離フィルムを剥離することにより、前記基板、前記レジスト下層膜、及び、前記レジスト上層膜がこの順に積層されたレジスト膜付き基板を得る工程である。
【0111】
なお、前記積層フィルムとして、第2の剥離フィルムを有する積層フィルムを用いる場合には、前記工程(A)の前に、積層フィルムから第2の剥離フィルムを剥離する。
【0112】
前記基板としては、例えば、シリコンウエハ(以下、「Siウエハ」ともいう。)、プリント基板等が挙げられる。
【0113】
前記基板は、表面に任意の層を有してもよい。
例えば、前記基板は、該基板と前記レジスト下層膜との間の密着性を高めるための層(以下、「密着性補強層」や「密着性補強膜」ともいう。)を表面に有してもよい。
また、例えば、前記基板は、シリコンウエハの層と任意の層との積層フィルムとなっていてもよい。
前記工程(A)では、基板の任意の層(例えば、密着性補強膜)及び前記レジスト下層膜が接するように、前記基板及び前記積層フィルムを重ね合わせ、前記基板に前記レジスト下層膜を熱圧着させてもよい。
【0114】
(工程(B))
前記工程(B)は、フォトマスクを介して放射線を前記レジスト上層膜にパターン照射する工程である。
前記放射線としては、例えば、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線等が挙げられる。
前記放射線としては、操作性の観点から、紫外線、電子線が好ましい。
前記放射線の線源としては、例えば、水銀灯(例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯など)、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザー等が挙げられる。
また、前記放射線の線源としては、例えば、KrF光源(クリプトン・フッ素光源)、ArF光源(アルゴン・フッ素光源)なども挙げられる。
前記工程(B)では、レジスト上層膜に放射線を、好ましくは100~1500mJ/cm、より好ましくは100~500mJ/cmの露光量で照射する。
【0115】
(工程(C))
前記工程(C)は、現像液で前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜をパターン化することにより、パターンレジスト膜付き基板を得る工程である。
【0116】
前記工程(C)は、現像液で前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜を現像処理する工程(C1)と、前記レジスト上層膜、前記レジスト下層膜、及び、基板を水で濯ぐ工程(C2)と、前記レジスト上層膜、前記レジスト下層膜、及び、基板を乾燥させる工程(C3)とを有する。
【0117】
前記現像液としては、アルカリ性現像液などが挙げられる。
前記アルカリ性現像液としては、アルカリを含有する水溶液等を使用することができる。
前記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノナン等が挙げられる。
アルカリを含有する水溶液は、水溶性有機溶剤や界面活性剤などを含有してもよい。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0118】
前記工程(C1)での現像処理方法としては、例えば、浸漬法、パドル法、シャワー法等が挙げられる。
【0119】
<パターン膜付き基板の製造方法>
【0120】
前記パターンレジスト膜付き基板は、パターン膜付き基板を作製するのに用いられる。
パターンレジスト膜付き基板を用いてパターン膜付き基板を製造する方法は、気相成長により、前記パターンレジスト膜付き基板における露出部及びパターンレジストに膜(無機膜や有機膜)を形成する工程(D)と、パターンレジストに形成された膜、及び、パターンレジストを剥離し、露出部に形成された膜を残すことにより、パターン膜付き基板を得る工程(E)とを有する。
【0121】
(工程(D))
前記工程(D)における気相成長としては、物理気相成長(PVD)、化学気相成長(CVD)が挙げられる。
前記物理気相成長(PVD)としては、例えば、真空蒸着、スパッタリング、分子線エピタキシー、イオンプレーティング、レーザーアブレーション等が挙げられる。
前記化学気相成長(CVD)としては、例えば、熱CVD、光CVD、プラズマCVD、常圧CVD、減圧CVD、有機金属化学気相成長などが挙げられる。
【0122】
前記膜(無機膜や有機膜)の厚みは、下層レジスト膜の厚みよりも小さいことが好ましい。
【0123】
(工程(E))
前記工程(E)の剥離では、溶剤を使用する。
該溶剤としては、ポジ型レジストの剥離に一般に用いられる溶剤を用いることができる。
該溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、アセトン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等が挙げられる。
また、該溶剤としては、例えば、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等も挙げられる。
【0124】
なお、前記工程(E)では、レジスト上層膜に放射線を照射し、現像液でパターンレジストに形成された膜、及び、パターンレジストを剥離してもよい。
前記工程(E)で用いる現像液は、前記工程(C)の現像液として列記したアルカリ性現像液を用いてもよい。
また、前記工程(E)で用いる現像液は、前記工程(C)で用いる現像液と同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、前記工程(E)では、現像液として、アルコール(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等)を用いてもよい。
【0125】
〔開示項目〕
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0126】
〔項目1〕
レジスト下層膜、レジスト上層膜、及び、第1の剥離フィルムがこの順に積層され、
前記レジスト上層膜が感光剤を含有する、積層フィルム。
【0127】
〔項目2〕
前記レジスト下層膜には、前記レジスト上層膜と反対側に第2の剥離フィルムが更に積層された、項目1に記載の積層フィルム。
【0128】
〔項目3〕
前記レジスト下層膜が、アルカリ可溶性樹脂を含有し、
前記レジスト下層膜のアルカリ溶解速度が、50~1500Å/secである、項目1又は2に記載の積層フィルム。
【0129】
〔項目4〕
前記レジスト下層膜が、アクリル系樹脂と、フェノール樹脂とを含有する、項目1~3の何れか1項に記載の積層フィルム。
【0130】
〔項目5〕
前記レジスト下層膜が感光剤を含有する、項目1~4の何れか1項に記載の積層フィルム。
【0131】
〔項目6〕
前記レジスト下層膜が、アルカリ可溶性樹脂を更に含有し、
前記レジスト下層膜を露光した露光膜のアルカリ溶解速度が、300Å/secを超え2000Å/sec未満である、項目5に記載の積層フィルム。
【0132】
〔項目7〕
前記レジスト下層膜は、少なくとも第1のレジスト下層膜と、第2のレジスト下層膜とを含む2層以上の層で形成されている、項目1~6の何れか1項に記載の積層フィルム。
【0133】
〔項目8〕
前記レジスト下層膜は、エポキシ樹脂、メチル化メラミン樹脂、メチル化尿素樹脂、エーテル化メラミン樹脂、メチル化ベンゾグアナミン樹脂、エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、(メタ)アクリレート化合物、及び、タッキファイヤーからなる群より選ばれた1種以上の化合物を含有し、
前記エポキシ樹脂は、軟化点が100℃未満であるエポキシ樹脂であり、
前記(メタ)アクリレート化合物は、沸点が170℃以上である単官能又は多官能の(メタ)アクリレート化合物である、項目1~7の何れか1項に記載の積層フィルム。
【0134】
〔項目9〕
レジスト上層膜及びレジスト下層膜が接するように、第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜と、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜とを重ね合わせ、前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜を熱圧着させることにより、積層フィルムを得る、積層フィルムの製造方法。
【0135】
〔項目10〕
第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜における前記レジスト上層膜に、第2の溶媒を含むレジスト下層膜用樹脂組成物を塗工し、前記第2の溶媒を揮発させることにより、積層フィルムを得る、積層フィルムの製造方法。
【0136】
〔項目11〕
第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜における前記レジスト下層膜に、第1の溶媒を含むレジスト上層膜用樹脂組成物を塗工し、前記第1の溶媒を揮発させることにより、レジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜と第1の剥離フィルムとを重ね合わせ、前記レジスト上層膜及び前記第1の剥離フィルムを熱圧着させることにより、積層フィルムを得る、積層フィルムの製造方法。
【0137】
〔項目12〕
項目1~8の何れか1項に記載の積層フィルムを用いてパターンレジスト膜付き基板を製造する製造方法であって、
基板及び前記レジスト下層膜が接するように、前記基板及び前記積層フィルムを重ね合わせ、前記基板に前記レジスト下層膜を熱圧着させ、前記レジスト上層膜から前記剥離フィルムを剥離することにより、前記基板、前記レジスト下層膜、及び、前記レジスト上層膜がこの順に積層されたレジスト膜付き基板を得る工程(A)と、フォトマスクを介して放射線を前記レジスト上層膜にパターン照射する工程(B)と、現像液で前記レジスト上層膜と前記レジスト下層膜とをパターン化する工程(C)とを有する、パターンレジスト膜付き基板の製造方法。
【0138】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明は、上記した作用効果によって限定されるものでもない。さらに、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0139】
例えば、本実施形態では、レジスト上層膜は、フェノール樹脂を含有するが、本発明では、レジスト上層膜は、フェノール樹脂の代わりに、例えば、酸感受性官能基を有するバインダー樹脂を含有し、感光剤として光感応性酸発生剤(PAG)を更に含有してもよい。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシスチレン(PHS)、アクリル系樹脂などが挙げられる。
前記放射線の線源が、KrF光源(クリプトン・フッ素光源)である場合には、前記バインダー樹脂としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)が好ましい。
前記放射線の線源が、ArF光源(アルゴン・フッ素光源)である場合には、前記バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂が好ましい。
酸感受性官能基を有するバインダー樹脂と、光感応性酸発生剤とを含有するレジスト上層膜は、化学増幅型の膜である。
また、ネガ型レジスト膜であるレジスト上層膜としては、感光性ラジカル重合開始剤とラジカル重合性基を有する化合物とからなるネガ型レジスト膜、感光性塩基発生剤とエポキシ樹脂とからなるネガ型レジスト膜、感光性酸発生剤とエポキシ樹脂とからなるネガ型レジスト膜などが挙げられる。
【実施例0140】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0141】
下記の材料を用意した。
【0142】
(アクリル系樹脂)
・メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル酸ベンジル(BzMA)との共重合体(MMA/BzMA=25/75(wt%)、重量平均分子量(Mw):19800、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn):1.7程度)
【0143】
(フェノール樹脂)
・クレゾールノボラック樹脂(クレゾールとホルムアルデヒドとサリチルアルデヒドとの縮合物)(商品名:NK-87、群栄化学工業社製)
・クレゾールノボラック樹脂(クレゾールとホルムアルデヒドとサリチルアルデヒドとの縮合物)(商品名:NK-53、群栄化学工業社製)
・クレゾールノボラック樹脂(クレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物)(商品名:EP-6050G、旭有機材社製)
・クレゾールノボラック樹脂(クレゾールとホルムアルデヒドとの縮合物)(商品名:TR-4000B、旭有機材社製)
【0144】
(エポキシ樹脂)
・エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名:デナコールEP-810P、ナガセケムテックス社製)(軟化点:100℃未満)
・脂環式ジグリシジルエステル(商品名:デナタイトCY184J、ナガセケムテックス社製)
【0145】
(密着助剤)
・イミダゾリン誘導体(商品名:クロダゾリンO、クローダジャパン社製)
【0146】
(レベリング剤)
・ポリエーテル変性ポリシロキサン系界面活性剤(商品名:TEGO(登録商標) Glide B1484、エボニック・ジャパン社製)
【0147】
(感光剤)
・ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル(4,4‘-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノール1.0モルと、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロリド2.5モルとのエステル化反応生成物)(商品名:NXPA-5、ダイトーケミックス社製)
・ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル(4,4‘-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノール1.0モルと、ナフトキノン-1,2-ジアジド-5-スルホニルクロリド2.0モルとのエステル化反応生成物)(商品名:NXPA-3、ダイトーケミックス社製)
【0148】
(溶媒)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0149】
上記材料を用いて、下記表1に示すレジスト上層膜用樹脂組成物(1)(「上層膜用組成物(1)」ともいう。)、及び、レジスト下層膜用樹脂組成物(1)~(6)(「下層膜用組成物(1)~(6)」ともいう。)を作製した。
なお、以下では、上層膜用組成物(1)から得られる膜を上層膜(1)と称し、下層膜用組成物(1)~(6)から得られる膜を下層膜(1)~(6)と称する。
また、下記表1の固形分中の比率は、下層膜用組成物から得られる下層膜中の比率も意味する。
【0150】
レジスト下層膜用樹脂組成物(1)~(6)で形成したレジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、下記の方法で測定した。レジスト下層膜のADRは、下記表1に示す。
また、レジスト下層膜用樹脂組成物(3)で形成したレジスト下層膜を露光した露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、下記の方法で測定した。露光膜のADRは、下記表1に示す。
【0151】
<レジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)の測定>
スピンコーターを用いて、3.5インチのシリコンウエハ上に、樹脂組成物を塗布した。
次に、ホットプレートを用いて、前記樹脂組成物を110℃で2分間プリベークすることにより、溶媒を十分に揮発させ、前記シリコンウエハに被膜を形成した。
そして、膜厚測定装置を用いて、前記被膜の厚みを測定した。前記膜厚測定装置としては、Nanometrics社製の光干渉式膜厚測定装置 AFT M5100を用いた。
次に、前記被膜付きのシリコンウエハを2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液に浸し、被膜が完全に溶解するまでの時間を測定した。
そして、下記式に従って、レジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)(「露光前のADR」ともいう。)を算出した。
ADR=被膜の厚み/被膜が完全に溶解するまでの時間
【0152】
<露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)>
スピンコーターを用いて、3.5インチのシリコンウエハ上に、樹脂組成物を塗布した。
次に、ホットプレートを用いて、前記樹脂組成物を110℃で2分間プリベークすることにより、溶媒を十分に揮発させ、前記シリコンウエハに被膜を形成した。
そして、前記被膜全体を下記条件で露光し、露光膜を得た。
露光機:Mask Aligner MA150(ズース・マイクロテックス社製、コンタクトアライナー)
露光量:150mJ/cm(420nm付近)
露光様式:ハードコンタクト露光
次に、前記膜厚測定装置を用いて、前記露光膜の厚みを測定した。
そして、前記露光付きのシリコンウエハを2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液に浸し、露光膜が完全に溶解するまでの時間を測定した。
次に、下記式に従って、露光膜のアルカリ溶解速度(ADR)(「露光後のADR」ともいう。)を算出した。
ADR=露光膜の厚み/露光膜が完全に溶解するまでの時間
【0153】
【表1】
【0154】
(実施例1)
まず、第1の剥離フィルムたるPETフィルム(25μmt、非シリコーン系剥離剤で表面処理済み)をSiウエハにテープで固定した。次に、スピンコーターで前記第1の剥離フィルムに前記レジスト上層膜用樹脂組成物を塗布し、前記レジスト上層膜用樹脂組成物をオーブンにより90℃で0.5~5分間乾燥することで、溶媒を十分に揮発させ、前記第1の剥離フィルムにレジスト上層膜を形成して、第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜を得た。
また、第2の剥離フィルムたるPETフィルム(12.5μmt、非シリコーン系剥離剤で表面処理済み)をSiウエハにテープで固定した。次に、スピンコーターで前記第2の剥離フィルムに前記レジスト下層膜用樹脂組成物(1)を塗布し、前記レジスト下層膜用樹脂組成物(1)をオーブンにより90℃で0.5~5分間乾燥することで、溶媒を十分に揮発させ、前記第2の剥離フィルムにレジスト下層膜を形成して、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜を得た。
そして、レジスト上層膜及びレジスト下層膜が接するように、前記第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜と、前記第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜とを重ね合わせ、熱ロールラミネート法(130℃、0.2m/min、0.3MPa)により、前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜を熱圧着させることにより、前記第1の剥離フィルム、前記レジスト上層膜、前記レジスト下層膜、及び、前記第2の剥離フィルムがこの順に積層された積層フィルムを得た。
【0155】
(実施例2)
レジスト下層膜用樹脂組成物として、レジスト下層膜用樹脂組成物(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
【0156】
(実施例3)
レジスト下層膜用樹脂組成物として、レジスト下層膜用樹脂組成物(3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
【0157】
(実施例4)
実施例1と同様にして、前記第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜を得た。
また、第2の剥離フィルムたるPETフィルム(12.5μmt、非シリコーン系剥離剤で表面処理済み)をSiウエハにテープで固定した。
次に、スピンコーターで前記第2の剥離フィルムに前記レジスト下層膜用樹脂組成物(4)を塗布し、前記レジスト下層膜用樹脂組成物(4)をオーブンにより90℃で0.5~5分間乾燥することで、溶媒を十分に揮発させ、前記第2の剥離フィルムに第1のレジスト下層膜を形成した。
そして、スピンコーターで前記第1のレジスト下層膜に前記レジスト下層膜用樹脂組成物(5)を塗布し、前記レジスト下層膜用樹脂組成物(5)をオーブンにより90℃で0.5~5分間乾燥することで、溶媒を十分に揮発させ、前記第1のレジスト下層膜に第2のレジスト下層膜を形成して、第2の剥離フィルム、第1のレジスト下層膜、及び、第2のレジスト下層膜が積層された第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜を得た。
そして、レジスト上層膜及び第2のレジスト下層膜が接するように、前記第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜と、前記第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜とを重ね合わせ、熱ロールラミネート法(130℃、0.2m/min、0.3MPa)により、前記レジスト上層膜及び前記第2のレジスト下層膜を熱圧着させることにより、前記第1の剥離フィルム、前記レジスト上層膜、前記レジスト下層膜(第2のレジスト下層膜(ADR:140Å/sec)及び第1のレジスト下層膜(ADR:290Å/sec))、並びに、前記第2の剥離フィルムがこの順に積層された積層フィルムを得た。
第1のレジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)/第2のレジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、2.1となる。
【0158】
(実施例5)
実施例1と同様にして、前記第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜を得た。
また、第2の剥離フィルムたるPETフィルム(12.5μmt、非シリコーン系剥離剤で表面処理済み)をSiウエハにテープで固定した。
次に、スピンコーターで前記第2の剥離フィルムに前記レジスト下層膜用樹脂組成物(6)を塗布し、前記レジスト下層膜用樹脂組成物(6)をオーブンにより90℃で0.5~5分間乾燥することで、溶媒を十分に揮発させ、前記第2の剥離フィルムに第1のレジスト下層膜を形成した。
そして、スピンコーターで前記第1のレジスト下層膜に前記レジスト下層膜用樹脂組成物(4)を塗布し、前記レジスト下層膜用樹脂組成物(4)をオーブンにより90℃で0.5~5分間乾燥することで、溶媒を十分に揮発させ、前記第1のレジスト下層膜に第2のレジスト下層膜を形成して、第2の剥離フィルム、第1のレジスト下層膜、及び、第2のレジスト下層膜が積層された第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜を得た。
そして、レジスト上層膜及び第2のレジスト下層膜が接するように、前記第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜と、前記第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜とを重ね合わせ、熱ロールラミネート法(130℃、0.2m/min、0.3MPa)により、前記レジスト上層膜及び前記第2のレジスト下層膜を熱圧着させることにより、前記第1の剥離フィルム、前記レジスト上層膜、前記レジスト下層膜(第2のレジスト下層膜(ADR:290Å/sec)及び第1のレジスト下層膜(ADR:370Å/sec))、並びに、前記第2の剥離フィルムがこの順に積層された積層フィルムを得た。
第1のレジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)/第2のレジスト下層膜のアルカリ溶解速度(ADR)は、1.3となる。
【0159】
(実施例6)
実施例1と同様にして、前記第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜を得た。
次に、スピンコーターで前記レジスト上層膜に前記レジスト下層膜用樹脂組成物(1)を塗布し、前記レジスト下層膜用樹脂組成物(1)をオーブンにより90℃で0.5~5分間乾燥することで、溶媒を十分に揮発させ、前記レジスト上層膜にレジスト下層膜を形成して、前記第1の剥離フィルム、前記レジスト上層膜、及び、前記レジスト下層膜がこの順に積層された積層フィルムを得た。
【0160】
(実施例1~6の積層フィルムを用いた、レジスト膜付き基板の作製)
実施例1~6の積層フィルムを用いて、以下のようにしてレジスト膜付き基板を作製した。
基板及びレジスト下層膜が接するように、基板及び積層フィルムを積層し、熱ロールラミネート法(130℃、0.2m/min、0.3MPa)により、前記基板に前記レジスト下層膜を熱圧着させ、前記レジスト上層膜から前記剥離フィルムを剥離することにより、前記基板、前記レジスト下層膜、及び、前記レジスト上層膜がこの順に積層されたレジスト膜付き基板を得た。
なお、実施例1~5の積層フィルムについては、基板及び積層フィルムを積層する前に、第2の剥離フィルムを剥離した。
【0161】
(比較例1)
まず、スピンコーターで基板に前記レジスト下層膜用樹脂組成物(2)を塗布し、前記レジスト下層膜用樹脂組成物(2)をオーブンにより90℃で0.5~5分間乾燥することで、溶媒を十分に揮発させ、前記基板にレジスト下層膜を形成して、レジスト下層膜付き基板を得た。
次に、スピンコーターでレジスト下層膜付き基板のレジスト下層膜にレジスト上層膜用樹脂組成物(1)を塗布し、前記レジスト上層膜用樹脂組成物(1)をオーブンにより90℃で0.5~5分間乾燥することで、溶媒を十分に揮発させることにより、前記基板、前記レジスト下層膜、及び、前記レジスト上層膜がこの順に積層されたレジスト膜付き基板を得た。
【0162】
(パターンレジスト膜付き基板の作製)
レジスト膜付き基板のレジスト膜を下記条件でパターン露光した。
露光機:Mask Aligner MA150(ズース・マイクロテックス社製、コンタクトアライナー)
露光量:150mJ/cm(420nm付近)
露光様式:ハードコンタクト露光
【0163】
次に、レジスト膜(レジスト下層膜及びレジスト上層膜)付き基板をアルカリ性現像液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド:2.38重量%)に入れ、超純水の流水で1分間リンスし、空気を吹き付けて乾燥させることにより、パターンレジスト膜付き基板を得た。
【0164】
パターンレジスト膜において、レジスト上層膜のうち、レジスト下層膜よりも露光部の中心側に延びた部分(庇のような部分)を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、下記の基準で評価した。
結果を下記表2に示す。
【0165】
(レジスト膜付き基板の作製の簡便さの評価)
〇:簡便にレジスト膜付き基板を形成できた。
×:簡便にはレジスト膜付き基板を形成できなかった。
【0166】
(インターミキシングの抑制の評価)
◎:レジスト上層膜のうち、レジスト下層膜よりも露光部の中心側に延びた部分(庇のような部分)に、レジスト下層膜の残渣がほとんど観察されなかった。すなわち、インターミキシングがほとんど観察されなかった。
〇:レジスト上層膜のうち、レジスト下層膜よりも露光部の中心側に延びた部分(庇のような部分)に、レジスト下層膜の残渣が少し観察された。すなわち、インターミキシングが少し観察された。
【0167】
(パターンレジスト膜のパターン形状の評価)
◎:下層レジスト膜の幅が、レジスト上層膜から基板にかけて比較的均一であった。
〇:下層レジスト膜の幅が、レジスト上層膜から基板にかけて少しずつ広くなっていた。
【0168】
【表2】
【0169】
図7には、レジスト上層膜及びレジスト下層膜との間の部分のSEM写真及び光学顕微鏡写真(実施例2及び比較例1)を示す。
図8には、レジスト上層膜(厚み:1μm)並びにレジスト下層膜(第2のレジスト下層膜(厚み:1μm)及び第1のレジスト下層膜(厚み:1μm))との間の部分のSEM写真(実施例4、5)を示す。
なお、本明細書中の「Line」の数値は、パターン間隔を意味する。
【0170】
表2に示すように、本発明の範囲内である実施例1~6の積層フィルムを用いてレジスト膜付き基板を作製する方法は、比較例1の方法に比べて、簡便にレジスト膜付き基板を形成できることがわかる。
また、本発明の範囲内である実施例1~6の積層フィルムによれば、レジスト下層膜2とレジスト上層膜3とを有するレジスト膜を基板上に重ね合わせ、前記基板に前記レジスト下層膜2を熱圧着させることにより、基板、レジスト下層膜2、及び、レジスト上層膜3がこの順に積層されたレジスト膜付き基板を得ることが可能となる。一方で、従来のラミネート法(例えば、特許文献3)では、ガラスエポキシ基板に現像液可溶性樹脂層を熱圧着により貼り付け、そして、前記現像液可溶性樹脂層にフォトレジストを熱圧着により貼り付ける。よって、本発明によれば、ラミネート方法において、従来の方法に比べて、基板にレジスト下層膜及びレジスト上層膜を積層させるための熱圧着の回数を減らすことができる。
従って、本発明によれば、ラミネート法で基板上にレジスト下層膜及びレジスト上層膜をより一層簡便に形成し得る積層フィルムを提供し得る。
【0171】
また、表2に示すように、実施例1~5の方法(レジスト上層膜及びレジスト下層膜が接するように、第1の剥離フィルム付きレジスト上層膜と、第2の剥離フィルム付きレジスト下層膜とを重ね合わせ、前記レジスト上層膜及び前記レジスト下層膜を熱圧着させることにより、積層フィルムを得る方法)で得られた積層フィルムで作製したパターンレジスト膜付き基板は、実施例6の方法で得られた積層フィルムで作製したパターンレジスト膜付き基板、比較例1の方法で作製したパターンレジスト膜付き基板に比べて、インターミキシングが抑制された。
【0172】
さらに、表2に示すように、実施例3の積層フィルム(下層レジスト膜が感光剤を含む。)、及び、実施例4、5の積層フィルム(下層レジスト膜が第1の下層レジスト膜及び第2の下層レジスト膜を含む。)で作製したパターンレジスト膜付き基板は、実施例1、2、6の積層フィルムで作製したパターンレジスト膜付き基板、及び、実施例6の方法で作製したパターンレジスト膜付き基板、比較例1の方法で作製したパターンレジスト膜付き基板に比べて、下層レジスト膜の幅が、レジスト上層膜から基板にかけて比較的均一であった。
【符号の説明】
【0173】
1:積層フィルム、2:レジスト下層膜、3:レジスト上層膜、4:第1の剥離フィルム、5:第2の剥離フィルム、21:レジスト下層膜用樹脂組成物、31:レジスト上層膜用樹脂組成物、A:ブレード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8