(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085306
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20240619BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
B65D5/52 K
B65D5/54 301R
B65D5/54 301D
B65D5/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199770
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
(72)【発明者】
【氏名】梅崎 小百合
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060CB02
3E060CB06
3E060CB16
3E060CB19
3E060CB23
3E060CB24
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE14
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CE23
3E060CE30
3E060CF05
3E060DA04
3E060DA07
3E060DA22
3E060EA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】上下に積層した際に、最上段の包装箱をトレー状にしつつ、最上段以外の包装箱でも商品の訴求力を高めることができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、前板21、後板及び一対の側板を有して高さ方向に延びる有底四角筒状の胴部と、胴部の上部開口を閉塞する蓋部と、胴部の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線とを備える。蓋部は、前板に内フラップ折目線を介して連設された内フラップと、側板に外フラップ折目線と介して連設された外フラップとを有する。前板は、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、下部手掛孔折目線と、上部手掛孔破断可能線と、上部手掛孔折目線と、上部手掛孔破断可能線の両端から、下部手掛孔折目線の中間部を通って下部手掛孔破断可能線の中間部までそれぞれ延びる一対の開口破断可能線と、を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前板、後板及び一対の側板を有して高さ方向に延びる有底四角筒状の胴部と、前記胴部の上部開口を閉塞する蓋部と、前記胴部の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線とを備える包装箱であって、
前記周回破断可能線は、前記前板に形成された前板破断可能線と、前記一対の側板にそれぞれ形成された一対の側板破断可能線と、前記後板に形成された後板破断可能線とが順次接続されることで構成され、
前記前板は、
前記前板破断可能線の少なくとも一部として形成され、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、
前記下部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる下部手掛孔折目線と、
前記下部手掛孔折目線よりも上方で上方向に向かって凸状に延びる上部手掛孔破断可能線と、
前記上部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる上部手掛孔折目線と、
前記上部手掛孔破断可能線の両端から、前記下部手掛孔折目線の中間部を通って前記下部手掛孔破断可能線の中間部までそれぞれ延びる一対の開口破断可能線と、を有することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前板、後板及び一対の側板を有して高さ方向に延びる有底四角筒状の胴部と、前記胴部の上部開口を閉塞する蓋部と、前記胴部の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線とを備える包装箱であって、
前記蓋部は、前記前板に外フラップ折目線と介して連設された外フラップと、前記側板に内フラップ折目線を介して連設された内フラップとを有し、
前記周回破断可能線は、前記前板に形成された前板破断可能線と、前記一対の側板にそれぞれ形成された一対の側板破断可能線と、前記後板に形成された後板破断可能線とが順次接続されることで構成され、
前記前板は、前記前板破断可能線の少なくとも一部として形成され、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、前記下部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる下部手掛孔折目線と、を有し、
前記外フラップは、後板方向に向かって凸状に延びる上部手掛孔破断可能線と、前記上部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる上部手掛孔折目線と、を有し、
前記外フラップ及び前記前板は、前記上部手掛孔破断可能線の両端から、前記下部手掛孔折目線の中間部を通って前記下部手掛孔破断可能線の中間部までそれぞれ延びる一対の開口破断可能線を有することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
前板、後板及び一対の側板を有して高さ方向に延びる有底四角筒状の胴部と、前記胴部の上部開口を閉塞する蓋部と、前記胴部の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線とを備える包装箱であって、
前記蓋部は、前記前板に内フラップ折目線を介して連設された内フラップと、前記側板に外フラップ折目線と介して連設された外フラップとを有し、
前記周回破断可能線は、前記前板に形成された前板破断可能線と、前記一対の側板にそれぞれ形成された一対の側板破断可能線と、前記後板に形成された後板破断可能線とが順次接続されることで構成され、
前記前板は、前記前板破断可能線の少なくとも一部として形成され、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、前記下部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる下部手掛孔折目線と、を有し、
前記内フラップは、後板方向に向かって凸状に延びる上部手掛孔破断可能線と、前記上部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる上部手掛孔折目線と、を有し、
前記内フラップ及び前記前板は、前記上部手掛孔破断可能線の両端から、前記下部手掛孔折目線の中間部を通って前記下部手掛孔破断可能線の中間部までそれぞれ延びる一対の開口破断可能線を有し、
前記外フラップは、前記内フラップ折目線と前記上部手掛孔破断可能線と前記一対の開口破断可能線とで囲まれる領域の外側において、前記内フラップの外面に重合されていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の包装箱において、
前記下部手掛孔折目線の中間部から前記下部手掛孔破断可能線の中間部までの領域における前記一対の開口破断可能線の幅方向の長さに対する前記上部手掛孔破断可能線の幅方向の長さの差及び前記下部手掛孔破断可能線の幅方向の長さの差のいずれよりも、前記上部手掛孔破断可能線の幅方向の長さと前記下部手掛孔破断可能線の幅方向の長さとの差のほうが小さいことを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項4に記載の包装箱において、
前記下部手掛孔破断可能線は、U字形状に形成され、
前記一対の開口破断可能線の先端部は、前記下部手掛孔破断可能線との接続部から互いに接近しながら上方向に向かって延びていることを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項4に記載の包装箱において、
前記前板は、
前記上部手掛孔折目線と下部手掛孔折目線との高さ方向中間部で幅方向に延びる表示折目線と、
前記表示折目線よりも下方で前記一対の開口破断可能線の幅方向の長さが前記上部手掛孔折目線の幅方向の長さ以下となる幅狭部と、を有することを特徴とする包装箱。
【請求項7】
請求項4に記載の包装箱において、
前記前板は、前記前板破断可能線の両端から該前板の側端縁に沿って該前板の上縁までそれぞれ延びる一対の補助破断可能線を有することを特徴とする包装箱。
【請求項8】
請求項3に記載の包装箱において、
前記上部手掛孔折目線は、前記内フラップ折目線の少なくとも一部として形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インスタントカレーなどのレトルトパウチを収めた薄型のキャラメル箱を前後方向に並べて収納できる包装箱が知られている(特許文献1参照)。この包装箱は、前板、後板及び一対の側板を有して高さ方向に延びる有底四角筒状の胴部と、前記胴部の上部開口を閉塞する蓋部と、前記胴部の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線とを備えている。この包装箱は、周回破断可能線に沿って胴部を破断することでトレー状にすることができる。
【0003】
そのため、店頭においては、この包装箱は、上下に積層されて最上段の包装箱がトレー状にして陳列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この包装箱では、上下に積層された最上段の包装箱しか内部の商品が見えないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上下に積層した際に、最上段の包装箱をトレー状にしつつ、最上段以外の包装箱でも商品の訴求力を高めることができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1として本発明の包装箱は、前板、後板及び一対の側板を有して高さ方向に延びる有底四角筒状の胴部と、前記胴部の上部開口を閉塞する蓋部と、前記胴部の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線とを備える包装箱であって、前記周回破断可能線は、前記前板に形成された前板破断可能線と、前記一対の側板にそれぞれ形成された一対の側板破断可能線と、前記後板に形成された後板破断可能線とが順次接続されることで構成され、前記前板は、前記前板破断可能線の少なくとも一部として形成され、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、前記下部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる下部手掛孔折目線と、前記下部手掛孔折目線よりも上方で上方向に向かって凸状に延びる上部手掛孔破断可能線と、前記上部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる上部手掛孔折目線と、前記上部手掛孔破断可能線の両端から、前記下部手掛孔折目線の中間部を通って前記下部手掛孔破断可能線の中間部までそれぞれ延びる一対の開口破断可能線と、を有することを特徴とする(以下、「第1の本発明の包装箱」という。)。
【0008】
まず、第1の本発明の包装箱は、上方向に向かって凸状に延びる上部手掛孔破断可能線と、上部手掛孔折目線の両端を繋ぐ上部手掛孔折目線と、を前板に有するため、前板を上部手掛孔破断可能線に沿って破断し、上部手掛孔破断可能線及び上部手掛孔折目線で囲まれる領域を上部手掛孔折目線に沿って折り曲げて包装箱の内部空間側に押し込むことで、前板に上部手掛孔を形成することができる。
【0009】
また、第1の本発明の包装箱は、上部手掛孔破断可能線の両端から下部手掛孔破断可能線までそれぞれ延びる一対の開口破断可能線を有するため、上述した上部手掛孔に手指を掛けて前板を手前かつ下方に引き下げることで、一対の開口破断可能線に沿って前板を破断させることができる。この一対の開口破断可能線は、下部手掛孔破断可能線の中間部にそれぞれ接続されているため、さらに前板を手前に引っ張ることで、下部手掛孔破断可能線のうち一対の開口破断可能線に挟まれる領域が破断され、前板の一部が取り外されて前板が開口する。
【0010】
したがって、第1の本発明の包装箱によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱以外の包装箱を開口させることで、商品の訴求力を高めることができる。
【0011】
次に、第1の本発明の包装箱は、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、下部手掛孔破断可能線の両端を繋ぐ下部手掛孔折目線と、を前板に有するため、前板を下部手掛孔破断可能線に沿って破断し、下部手掛孔破断可能線及び下部手掛孔折目線で囲まれる領域を、下部手掛孔折目線に沿って折り曲げて包装箱の内部空間側に押し込むことで、前板に下部手掛孔を形成することができる。
【0012】
このとき、下部手掛孔破断可能線には、上部手掛孔破断可能線の両端から延びる一対の開口破断可能線が接続されているが、開口破断可能線は下部手掛孔折目線の中間部を通って下部手掛孔破断可能線の中間部に接続されるものであるため、下部手掛孔破断可能線の幅方向全体を一気に破断しようとすれば、誤って開口破断可能線が破断される可能性は低い。
【0013】
また、第1の本発明の包装箱において、下部手掛孔破断可能線は、前板破断可能線の少なくとも一部として形成されているため、上述した下部手掛孔に手指を掛けて前板を手前かつ上方に引っ張ることで、必要に応じて破断されずに残っている前板破断可能線に沿って前板を側縁まで破断させることができる。この前板破断可能線は、一対の側板破断可能線及び後板破断可能線に順次接続されているため、さらに前板を上方かつ奥側に引き上げることで、前板破断可能線に続いて、一対の側板破断可能線及び後板破断可能線が順次破断される。
【0014】
したがって、第1の本発明の包装箱によれば、包装箱の上半部を取り外して下半部だけのトレー状にすることができる。
【0015】
よって、第1の本発明の包装箱によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱をトレー状にしつつ、最上段以外の包装箱を開口させることで、商品の訴求力を高めることができる。
【0016】
第2として本発明の包装箱は、前板、後板及び一対の側板を有して高さ方向に延びる有底四角筒状の胴部と、前記胴部の上部開口を閉塞する蓋部と、前記胴部の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線とを備える包装箱であって、前記蓋部は、前記前板に外フラップ折目線と介して連設された外フラップと、前記側板に内フラップ折目線を介して連設された内フラップとを有し、前記周回破断可能線は、前記前板に形成された前板破断可能線と、前記一対の側板にそれぞれ形成された一対の側板破断可能線と、前記後板に形成された後板破断可能線とが順次接続されることで構成され、前記前板は、前記前板破断可能線の少なくとも一部として形成され、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、前記下部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる下部手掛孔折目線と、を有し、前記外フラップは、後板方向に向かって凸状に延びる上部手掛孔破断可能線と、前記上部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる上部手掛孔折目線と、を有し、前記外フラップ及び前記前板は、前記上部手掛孔破断可能線の両端から、前記下部手掛孔折目線の中間部を通って前記下部手掛孔破断可能線の中間部までそれぞれ延びる一対の開口破断可能線を有することを特徴とする(以下、「第2の本発明の包装箱」という。)。
【0017】
まず、第2の本発明の包装箱は、上方向に向かって凸状に延びる上部手掛孔破断可能線と、上部手掛孔折目線の両端を繋ぐ上部手掛孔折目線と、上部手掛孔破断可能線の両端から外フラップ折目線まで延びる一対の開口破断可能線と、を外フラップに有する。
【0018】
そのため、まず、外フラップを上部手掛孔破断可能線に沿って破断し、上部手掛孔破断可能線及び上部手掛孔折目線で囲まれる領域を上部手掛孔折目線に沿って折り曲げて包装箱の内部空間側に押し込むことで、外フラップに上部手掛孔を形成することができる。この上部手掛孔に手指を掛けて外フラップを手前かつ上方に引き上げることで、一対の開口破断可能線に沿って外フラップを外フラップ折目線まで破断させていくことができる。
【0019】
また、一対の開口破断可能線は、前板の下部手掛孔破断可能線まで延びているため、取り外された外フラップの一部及び前板を手前かつ下方に引っ張ることで、一対の開口破断可能線に沿って前板を破断させることができる。この一対の開口破断可能線は、下部手掛孔破断可能線の中間部にそれぞれ接続されているため、さらに前板を手前に引っ張ることで、下部手掛孔破断可能線のうち一対の開口破断可能線に挟まれる領域が破断され、前板の一部が取り外されて前板が開口する。
【0020】
したがって、第2の本発明の包装箱によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱以外の包装箱を開口させることで、商品の訴求力を高めることができる。
【0021】
次に、第2の本発明の包装箱は、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、下部手掛孔破断可能線の両端を繋ぐ下部手掛孔折目線と、を前板に有するため、前板を下部手掛孔破断可能線に沿って破断し、下部手掛孔破断可能線及び下部手掛孔折目線で囲まれる領域を、下部手掛孔折目線に沿って折り曲げて包装箱の内部空間側に押し込むことで、前板に下部手掛孔を形成することができる。
【0022】
このとき、下部手掛孔破断可能線には、上部手掛孔破断可能線の両端から延びる一対の開口破断可能線が接続されているが、開口破断可能線は下部手掛孔折目線の中間部を通って下部手掛孔破断可能線の中間部に接続されるものであるため、下部手掛孔破断可能線の幅方向全体を一気に破断しようとすれば、誤って開口破断可能線が破断される可能性は低い。
【0023】
また、第2の本発明の包装箱において、下部手掛孔破断可能線は、前板破断可能線の少なくとも一部として形成されているため、上述した下部手掛孔に手指を掛けて前板を手前かつ上方に引っ張ることで、必要に応じて破断されずに残っている前板破断可能線に沿って前板を側縁まで破断させることができる。この前板破断可能線は、一対の側板破断可能線及び後板破断可能線に順次接続されているため、さらに前板を上方かつ奥側に引っ張り上げることで、前板破断可能線に続いて、一対の側板破断可能線及び後板破断可能線が順次破断される。
【0024】
したがって、第2の本発明の包装箱によれば、包装箱の上半部を取り外して下半部だけのトレー状にすることができる。
【0025】
よって、第2の本発明の包装箱によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱をトレー状にしつつ、最上段以外の包装箱を開口させることで、商品の訴求力を高めることができる。
【0026】
第3として本発明の包装箱は、前板、後板及び一対の側板を有して高さ方向に延びる有底四角筒状の胴部と、前記胴部の上部開口を閉塞する蓋部と、前記胴部の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線とを備える包装箱であって、前記蓋部は、前記前板に内フラップ折目線を介して連設された内フラップと、前記側板に外フラップ折目線と介して連設された外フラップとを有し、前記周回破断可能線は、前記前板に形成された前板破断可能線と、前記一対の側板にそれぞれ形成された一対の側板破断可能線と、前記後板に形成された後板破断可能線とが順次接続されることで構成され、前記前板は、前記前板破断可能線の少なくとも一部として形成され、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、前記下部手掛孔破断可能線の両端を繋いで幅方向に延びる下部手掛孔折目線と、を有し、前記内フラップは、後板方向に向かって凸状に延びる上部手掛孔破断可能線と、前記上部手掛孔折目線の両端を繋いで幅方向に延びる上部手掛孔折目線と、を有し、前記内フラップ及び前記前板は、前記上部手掛孔破断可能線の両端から、前記下部手掛孔折目線の中間部を通って前記下部手掛孔破断可能線の中間部までそれぞれ延びる一対の開口破断可能線を有し、前記外フラップは、前記内フラップ折目線と前記上部手掛孔破断可能線と前記一対の開口破断可能線とで囲まれる領域の外側において、前記内フラップの外面に重合されていることを特徴とする(以下、「第3の本発明の包装箱」という。)。
【0027】
まず、第3の本発明の包装箱は、上方向に向かって凸状に延びる上部手掛孔破断可能線と、上部手掛孔折目線の両端を繋ぐ上部手掛孔折目線と、上部手掛孔破断可能線の両端から内フラップ折目線まで延びる一対の開口破断可能線と、を内フラップに有する。そして、外フラップは、この内フラップ折目線と上部手掛孔破断可能線と一対の開口破断可能線とで囲まれる領域の外側において、内フラップの外面に重合されている。つまり、当該領域には外フラップは重合されておらず、当該領域は包装箱の外表面に露出している。
【0028】
そのため、まず、内フラップを上部手掛孔破断可能線に沿って破断し、上部手掛孔破断可能線及び上部手掛孔折目線で囲まれる領域を上部手掛孔折目線に沿って折り曲げて包装箱の内部空間側に押し込むことで、内フラップに上部手掛孔を形成することができる。この上部手掛孔に手指を掛けて内フラップを手前かつ上方に引き上げることで、一対の開口破断可能線に沿って内フラップを内フラップ折目線まで破断させていくことができる。
【0029】
また、一対の開口破断可能線は、前板の下部手掛孔破断可能線まで延びているため、取り外された内フラップの一部及び前板を手前かつ下方に引っ張ることで、一対の開口破断可能線に沿って前板を破断させることができる。この一対の開口破断可能線は、下部手掛孔破断可能線の中間部にそれぞれ接続されているため、さらに前板を手前に引っ張ることで、下部手掛孔破断可能線のうち一対の開口破断可能線に挟まれる領域が破断され、前板の一部が取り外されて前板が開口する。
【0030】
したがって、第3の本発明の包装箱によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱以外の包装箱を開口させることで、商品の訴求力を高めることができる。
【0031】
次に、第3の本発明の包装箱は、下方向に向かって凸状の下部手掛孔破断可能線と、下部手掛孔破断可能線の両端を繋ぐ下部手掛孔折目線と、を前板に有するため、前板を下部手掛孔破断可能線に沿って破断し、下部手掛孔破断可能線及び下部手掛孔折目線で囲まれる領域を、下部手掛孔折目線に沿って折り曲げて包装箱の内部空間側に押し込むことで、前板に下部手掛孔を形成することができる。
【0032】
このとき、下部手掛孔破断可能線には、上部手掛孔破断可能線の両端から延びる一対の開口破断可能線が接続されているが、開口破断可能線は下部手掛孔折目線の中間部を通って下部手掛孔破断可能線の中間部に接続されるものであるため、下部手掛孔破断可能線の幅方向全体を一気に破断しようとすれば、誤って開口破断可能線が破断される可能性は低い。
【0033】
また、第3の本発明の包装箱において、下部手掛孔破断可能線は、前板破断可能線の少なくとも一部として形成されているため、上述した下部手掛孔に手指を掛けて前板を手前かつ上方に引っ張ることで、必要に応じて破断されずに残っている前板破断可能線に沿って前板を側縁まで破断させることができる。この前板破断可能線は、一対の側板破断可能線及び後板破断可能線に順次接続されているため、さらに前板を上方かつ奥側に引っ張り上げることで、前板破断可能線に続いて、一対の側板破断可能線及び後板破断可能線が順次破断される。
【0034】
したがって、第3の本発明の包装箱によれば、包装箱の上半部を取り外して下半部だけのトレー状にすることができる。
【0035】
よって、第3の本発明の包装箱によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱をトレー状にしつつ、最上段以外の包装箱を開口させることで、商品の訴求力を高めることができる。
【0036】
第1~第3の本発明の包装箱において、前記下部手掛孔折目線の中間部から前記下部手掛孔破断可能線の中間部までの領域における前記一対の開口破断可能線の幅方向の長さに対する前記上部手掛孔破断可能線の幅方向の長さの差及び前記下部手掛孔破断可能線の幅方向の長さの差のいずれよりも、前記上部手掛孔破断可能線の幅方向の長さと前記下部手掛孔破断可能線の幅方向の長さとの差のほうが小さいことが好ましい(以下、「第4の本発明の包装箱」という。)。
【0037】
第4の本発明の包装箱では、前記上部手掛孔破断可能線の幅方向の長さと前記下部手掛孔破断可能線の幅方向の長さとの差は相対的に小さいため、手掛孔破断可能線及び手掛孔折目線で囲まれる領域を包装箱の内部空間側に押し込んで手掛孔を形成する際に、上部及び下部ともに似た感覚で破断させることができる。
【0038】
これに対して、各手掛孔における一対の開口破断可能線の幅は、各手掛孔の幅と比べた場合に相対的に差が大きいため、上部手掛孔破断可能線あるいは下部手掛孔破断可能線を破断するつもりで前記領域を内部空間側に押し込んだ際に、誤って開口破断可能線が破断される可能性は非常に低い。
【0039】
よって、第4の本発明の包装箱によれば、包装箱を意図通り確実にトレー状に変形あるいは開口させて上下に積層することで、商品の訴求力を高めることができる。
【0040】
第4の本発明の包装箱において、前記下部手掛孔破断可能線は、U字形状に形成され、前記一対の開口破断可能線の先端部は、前記下部手掛孔破断可能線との接続部から互いに接近しながら上方向に向かって延びていることが好ましい(以下、「第5の本発明の包装箱」という。)。
【0041】
第5の本発明の包装箱において、下部手掛孔破断可能線は、U字形状に形成されているため、その中央部から前板の側縁方向に向かって漸次上昇しながら前板を破断していく。このとき、下部手掛孔破断可能線に接続された一対の開口破断可能線の各先端部は、互いに接近しながら上方向に向かって延びている。つまり、下部手掛孔破断可能線の一方は、中央から右側に向かって延びているのに対し、右側で接続された開口破断可能線は左側に向かって延びており、下部手掛孔破断可能線の他方は、中央から左側に向かって延びているのに対し、左側で接続された開口破断可能線は右側に向かって延びている。
【0042】
したがって、第5の本発明の包装箱では、下部手掛孔破断可能線をその中央部から前板の側縁方向に向かって破断していく際に、誤って開口破断可能線が破断される可能性は極めて低い。
【0043】
よって、第5の本発明の包装箱によれば、包装箱を意図通りさらに確実にトレー状に変形あるいは開口させて上下に積層することで、商品の訴求力を高めることができる。
【0044】
第4の本発明の包装箱において、前記前板は、前記上部手掛孔折目線と下部手掛孔折目線との高さ方向中間部で幅方向に延びる表示折目線と、前記表示折目線よりも下方で前記一対の開口破断可能線の幅方向の長さが前記上部手掛孔折目線の幅方向の長さ以下となる幅狭部と、を有することが好ましい(以下、「第6の本発明の包装箱」という。)。
【0045】
第6の本発明の包装箱において、前板は、上部手掛孔折目線と下部手掛孔折目線との高さ方向中間部で幅方向に延びる表示折目線を有するため、開口させて取り外された前板(及び外フラップ・内フラップ)の一部を表示折目線で山折りすることでPOPとすることができる。また、第6の本発明の包装箱において、前板は、表示折目線よりも下方で一対の開口破断可能線の幅方向の長さが上部手掛孔折目線の幅方向の長さ以下となる幅狭部を有するため、前板(及び外フラップ・内フラップ)を山折りしつつ、前板に接近される上部手掛孔折目線を、幅狭部付近の周縁で挟んで支持することができる。
【0046】
よって、第6の本発明の包装箱によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱以外の包装箱の開口にPOPを設けることで、さらに商品の訴求力を高めることができる。
【0047】
第4の本発明の包装箱において、前記前板は、前記前板破断可能線の両端から該前板の側端縁に沿って該前板の上縁までそれぞれ延びる一対の補助破断可能線を有することが好ましい(以下、「第7の本発明の包装箱」という。)。
【0048】
第7の本発明の包装箱では、下部手掛孔に手指を掛けて前板破断可能線に沿って前板を側縁まで破断させた後、さらに前板を上方かつ奥側に引き上げることで、この前板破断可能線の両端から該前板の側端縁に沿って該前板の上縁までそれぞれ延びる一対の補助破断可能線により前板を側縁に沿って開口させることができる。
【0049】
そして、前板破断可能線と補助破断可能線との接続箇所(開口の下側隅部)には、側板破断可能線も接続されているため、側板の上側を包装箱から離れる方向に引っ張ることで、開口の下側隅部から側板破断可能線を破断させることができる。なお、この結果、側板破断可能線に接続されている後板破断可能線も順次破断される。
【0050】
したがって、第7の本発明の包装箱によれば、包装箱の上半部を取り外して下半部だけのトレー状に容易に変形させることができる。
【0051】
第3の本発明の包装箱において、前記上部手掛孔折目線は、前記内フラップ折目線の少なくとも一部として形成されていることが好ましい(以下、「第8の本発明の包装箱」という。)。
【0052】
第8の本発明の包装箱では、内フラップを上部手掛孔破断可能線に沿って破断し、上部手掛孔破断可能線及び上部手掛孔折目線で囲まれる領域を上部手掛孔折目線に沿って折り曲げて包装箱の内部空間側に押し込むことで、上部手掛孔を開口させつつ、当該領域を前板の内表面に重合させることができる。そして、内フラップが重合された前板を、手前かつ下方に引っ張ることで、一対の開口破断可能線に沿って前板を破断させることができる。
【0053】
したがって、第8の本発明の包装箱では、上部手掛孔を形成した後、手前かつ下方に引っ張るだけで前板を破断させることができる。すなわち、第8の本発明の包装箱によれば、前板を開口させる際に、内フラップ及び前板のけん引方向を手前かつ上側から手前かつ下方に調整しながら変更する必要がなく、単に、手前かつ下方に一気に引っ張るだけで、包装箱を開口させることができる。
【0054】
よって、第8の本発明の包装箱によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱以外の包装箱を容易に開口させることができるため、簡単に商品の訴求力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態に係る包装箱の開口を説明する斜視図であって、上部手掛孔を説明する斜視図。
【
図4】第1実施形態に係る包装箱の開口を説明する斜視図であって、開口に形成された表示部を説明する斜視図。
【
図5】第1実施形態に係る包装箱の開梱を示す斜視図であって、下部手掛孔の開口を説明する斜視図。
【
図6】第1実施形態に係る包装箱の開梱を示す斜視図であって、補助破断可能線による前板の取外しを説明する斜視図。
【
図7】第1実施形態に係る包装箱の開梱を示す斜視図であって、トレー状にされた状態を説明する斜視図。
【
図8】積層された第1実施形態に係る包装箱を説明する斜視図。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す斜視図。
【
図10】第2実施形態に係る包装箱の板紙の展開図。
【
図11】第2実施形態に係る包装箱の開口を説明する斜視図であって、上部手掛孔を説明する斜視図。
【
図12】第2実施形態に係る包装箱の開口を説明する斜視図であって、開口予定部が開口された状態を説明する斜視図。
【
図13】第2実施形態に係る包装箱の開梱を示す斜視図であって、下部手掛孔の開口を説明する斜視図。
【
図14】第2実施形態に係る包装箱の開梱を示す斜視図であって、トレー状にされた状態を説明する斜視図。
【
図15】積層された第2実施形態に係る包装箱を説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[第1実施形態]
以下、
図1~8を参照しながら、本発明の実施形態と一例として第1実施形態に係る包装箱1(主として、「第1の本発明の包装箱」に相当する。)について説明する。
【0057】
第1実施形態の包装箱1は、
図1で示すように所謂A式の段ボール箱である。すなわち、包装箱1は、上下方向に延びる四角筒状の胴部2と、胴部2の下端の開口を封止する底部3と、胴部2の上端の開口を封止する蓋部4とを有する。
【0058】
胴部2には、全周に亘って周回破断可能線5が形成されている。周回破断可能線5は、胴部2の下端縁よりも上方を周回している。
【0059】
包装箱1は、
図2に示すように、略矩形状の段ボール紙製の板紙1Xによって作られる。
図2における板紙1Xの表面側は、
図1に示すように包装箱1として組み立てた際に、箱の内面側とされる。
【0060】
図2に示すように、板紙1Xの略中央部には、前板21が配置されている。前板21の左右側縁には、胴部折目線a1を介して一対の側板22が連設されている。
図2における左側の側板22の左側縁には、胴部折目線a2を介して後板23が連設されている。右側の側板22の右側縁には、胴部折目線a3を介して接続片24が連設されている。接続片24は略倒台形状であり、前板21、側板22及び後板23はいずれも矩形状である。上述した胴部2は、前板21、一対の側板22及び後板23によって構成される。
【0061】
前板21の下端縁には、底折目線b1を介して底内フラップ31が連設されている。一対の側板22の下端縁には、底折目線b2を介して一対の底外フラップ32がそれぞれ連設されている。後板23の下端縁には、底折目線b3を介して底内フラップ33が連設されている。底内フラップ31、底外フラップ32及び底内フラップ33は、いずれも矩形状である。上述した底部3は、底内フラップ31及び底内フラップ33並びに一対の底外フラップ32によって構成される。
【0062】
前板21の上端縁には、内フラップ折目線c1を介して蓋内フラップ41が連設されている。一対の側板22の上端縁には、蓋折目線c2を介して一対の蓋外フラップ42がそれぞれ連設されている。後板23の上端縁には、蓋折目線c3を介して蓋内フラップ43が連設されている。蓋内フラップ41、蓋外フラップ42及び蓋内フラップ43は、いずれも矩形状である。上述した蓋部4は、蓋内フラップ41及び蓋内フラップ43並びに一対の蓋外フラップ42によって構成される。
【0063】
次いで、上述した周回破断可能線5に関連する構成について説明する。前板21には、下端と上下方向中央部との間に、前板破断可能線51が形成されている。前板破断可能線51は、上述した周回破断可能線5の一部を構成するものである。前板破断可能線51は、左右方向中央部に前板破断可能線51の一部として構成される略U字状の下部手掛孔破断可能線51aと、下部手掛孔破断可能線51aの両端からそれぞれ左右端縁(胴部折目線a1)まで上方向に傾斜して延びる一対の前板後半部51bとを有する。前板21には、下部手掛孔破断可能線51aの両端を繋ぐように下部手掛孔折目線dが形成されている。
【0064】
側板22には、前板破断可能線51の端部から略対角線上の隅部まで上方向に傾斜して延びる側板破断可能線52がそれぞれ形成されている。側板破断可能線52は、上述した周回破断可能線5の一部を構成するものである。側板破断可能線52は、前板破断可能線51の延長線上にほぼ沿って緩やか弧状として延びる側板前半部52aと、そこから屈曲して相対的に急角度で直線状に延びる側板後半部52bとを有する。
【0065】
後板23には、左側の側板22に形成された側板破断可能線52の左端から右端に向かって、後板23の上端縁に沿って、後板破断可能線53が直線状に形成されている。後板破断可能線53は、上述した周回破断可能線5の一部を構成するものである。後板破断可能線53は、後板23の上端縁に沿ってミシン目として形成されているため、上述した蓋折目線c3は、別途罫線を設けることなく、このミシン目によって折り曲げ可能とされている。
【0066】
図2でいえば、左側から、後板破断可能線53、左側の側板破断可能線52、前板破断可能線51及び右側の側板破断可能線52が順次接続されることで周回破断可能線5が構成されている。
【0067】
さらに、前板21には、前板破断可能線51の両端から前板21の側端縁に沿って前板21の上縁までそれぞれ延びる一対の補助破断可能線54が形成されている。
【0068】
次いで、前板21の開口予定部6の構成について
図2を用いて説明する。まず、前板21には、下部手掛孔破断可能線51aよりも上方に上部手掛孔破断可能線61が形成されている。上部手掛孔破断可能線61は、上方向に向かって略U字状に延びている。
【0069】
前板21には、上部手掛孔破断可能線61の両端から下方向に向かってそれぞれ延びる一対の開口破断可能線62が形成されている。開口破断可能線62は、上部手掛孔破断可能線61の両端から下部手掛孔折目線dの中間部を通って、さらに下部手掛孔破断可能線51aの中間部まで延びている。この上部手掛孔破断可能線61と、一対の開口破断可能線62と、下部手掛孔破断可能線51aの中間部とで囲まれる領域が開口予定部6に相当する。
【0070】
前板21には、上部手掛孔破断可能線61の両端を繋ぐように上部手掛孔折目線eが形成されている。上部手掛孔折目線eは、前板21の上端縁(内フラップ折目線c1)と平行に延びている。上部手掛孔破断可能線61の左右方向中央部と上部手掛孔折目線eとの上下方向の距離は、下部手掛孔破断可能線51aの左右方向中央部と下部手掛孔折目線dとの上下方向の距離とほぼ等しい。
【0071】
前板21には、一対の開口破断可能線62を繋いで左右方向に延びる表示折目線fが形成されている。表示折目線fは、上部手掛孔折目線eと下部手掛孔折目線dとの上下方向中間部において、上部手掛孔折目線e及び下部手掛孔折目線dと平行に延びている。上部手掛孔折目線eと表示折目線fとの上下方向の距離は、表示折目線fと下部手掛孔折目線dとの上下方向の距離とほぼ等しい。
【0072】
次いで、一対の開口破断可能線62の形状を上部手掛孔折目線e、下部手掛孔折目線d及び表示折目線fとの関係でさらに説明する。
【0073】
一対の開口破断可能線62は、上部手掛孔破断可能線61の両端(上部手掛孔折目線eの両端)から互いに漸次離間するように下方に向かって直線状に若干延びた後、上下方向に対して平行に下方向に延びて表示折目線fの両端に接続されている。
【0074】
そして、一対の開口破断可能線62は、表示折目線fの両端から上下方向に対して平行に下方向に若干延びた後、互いに漸次接近するように下方に向かって直線状に延びて下部手掛孔折目線dの中間部に接続されている。すなわち、一対の開口破断可能線62は、表示折目線fから下部手掛孔折目線dの中間部までの間がテーパー状(本発明の「幅狭部」に相当する。)になっている。なお、上部手掛孔折目線eの長さは、テーパー状の下端である下部手掛孔折目線dの中間部同士の距離と同じかそれより若干長い。
【0075】
さらに、一対の開口破断可能線62は、下部手掛孔折目線dの中間部から互いに接近する倒V字状に延びて下部手掛孔破断可能線51aの中間部に接続されている。つまり、逆にいえば、一対の開口破断可能線62の先端(下端)は、下部手掛孔破断可能線51aの中間部との接続部から互いに接近しながら上方向に向かって延びている。なお、各破断可能線は、断続的に延びる切れ目によってミシン目状に形成されているが、開口破断可能線62の先端(下端)は、切れ目が1個分程度少なくなっているため、下部手掛孔破断可能線51aの中間部と若干隙間が空いた状態で接続されている。
【0076】
次いで、一対の開口破断可能線62のうち、下部手掛孔折目線dの中間部から下部手掛孔破断可能線51aの中間部まで互いに倒V字状に延びる領域の左右方向の長さ(以下、単に「一対の開口破断可能線62の下端部同士の距離」という。)、すなわち、第1実施形態において具体的にいえば、下部手掛孔折目線dと下部手掛孔破断可能線51aの下端縁との上下方向中央部に位置する開口破断可能線62を構成する切れ目の下端間の距離と、上部手掛孔破断可能線61及び前記下部手掛孔破断可能線51aの左右方向の長さとの関係について説明する。
【0077】
まず、上部手掛孔破断可能線61の幅(上部手掛孔折目線eの長さ)は約65mm、下部手掛孔破断可能線51aの幅(下部手掛孔折目線dの長さ)は約75mm、一対の開口破断可能線62の下端部同士の距離(開口破断可能線62を構成する切れ目の下端間の距離)は約45mmとなっている。
【0078】
そのため、上部手掛孔破断可能線61の幅(約65mm)と下部手掛孔破断可能線51aの幅(約75mm)との差は、約10mmである。他方、一対の開口破断可能線62の下端部同士の距離(約45mm)に対する上部手掛孔破断可能線61の幅(約65mm)の差は、約20mmである。そして、一対の開口破断可能線62の下端部同士の距離(約45mm)に対する下部手掛孔破断可能線51aの幅(約75mm)の差は、約30mmである。なお、これら数値は、平均的な手幅の長さが、成人男性では約83.3mm、成人女性では約74mmであることを基準に設定したものである。
【0079】
これらの数値を概略的にまとめると、一対の開口破断可能線62の下端部の距離に対する上部手掛孔破断可能線61の幅方向の長さの差及び下部手掛孔破断可能線51aの幅方向の長さの差のいずれよりも、上部手掛孔破断可能線61の幅方向の長さと下部手掛孔破断可能線51aの幅方向の長さとの差のほうが小さいといえる。
【0080】
以上説明した開口予定部6は、後述するように箱状にした後、前板21から破断させることで表示部7(POP)を組み立てることができる(
図4を参照。)。開口予定部6は、後に表示部7を作るための構成として、上から上部手掛孔予定部71、表示正面部72、表示背面部73の3つの領域を有する。
【0081】
より具体的には、上部手掛孔破断可能線61と上部手掛孔折目線eとで囲まれる略半楕円形状の領域が上部手掛孔予定部71に相当する。また、上部手掛孔折目線eと表示折目線fと一対の開口破断可能線62とで囲まれる略矩形状の領域が表示正面部72に相当する。また、表示折目線fと下部手掛孔折目線dの中間部と一対の開口破断可能線62とで囲まれる略逆台形状の領域が表示背面部73に相当する。
【0082】
その他として、開口予定部6は、表示背面部73の下側に表示支持部74をさらに有する。表示支持部74は、下部手掛孔折目線dの中間部と下部手掛孔破断可能線51aの中間部と一対の開口破断可能線62とで囲まれる略逆盃形状の領域である。
【0083】
なお、前板21には、下部手掛孔破断可能線51aと下部手掛孔折目線dとで囲まれて、上述した表示支持部74をその内部に含む領域として、略半楕円形状の下部手掛孔予定部75を有する。
【0084】
次いで、板紙1Xから包装箱1を組み立てる工程を、
図1を参照して説明する。
【0085】
まず、接続片24が右側の側板22に対して、胴部折目線a3に沿って略90°に折り曲げられ、右側の側板22が前板21に対して胴部折目線a1に沿って略90°に折り曲げられ、前板21が左側の側板22に対して胴部折目線a1に沿って略90°に折り曲げられ、左側の側板22が後板23に対して胴部折目線a2に沿って略90°に折り曲げられる。そして、後板23は接続片24の外表面に重ね合わせられて、接着剤を介して固定される。これにより、胴部2が組み立てられる。
【0086】
次に、胴部2に対して、底内フラップ31及び底内フラップ33が互いの先端縁を対向させるように、底折目線b1及び底折目線b3に沿って折り曲げられる。そして、胴部2に対して、一対の底外フラップ32が互いの先端縁を突き合わせるように底折目線b2に沿ってそれぞれ折り曲げられる。そして、一対の底外フラップ32は、底内フラップ31及び底内フラップ33の外表面に重ね合わせられた状態で、接着剤を介して固定される。これにより、底部3が組み立てられる。
【0087】
次に、包装箱1の内部に商品Kが詰め込まれる。第1実施形態では、インスタントカレーなどのレトルトパウチを収めた薄型のキャラメル箱が、商品Kとして前後方向に9個整列されて収納される場合を例に説明する(
図7を参照。)。
【0088】
次に、胴部2に対して、蓋内フラップ41及び蓋内フラップ43が互いの先端縁を対向させるように、内フラップ折目線c1及び蓋折目線c3に沿って折り曲げられる。そして、胴部2に対して、一対の蓋外フラップ42が互いの先端縁を突き合わせるように蓋折目線c2に沿ってそれぞれ折り曲げられる。そして、一対の蓋外フラップ42は、蓋内フラップ41及び蓋内フラップ43の外表面に重ね合わせられた状態で、接着剤を介して固定される。これにより、蓋部4が組み立てられる。
【0089】
以上により、包装箱1が組み立てられ、商品Kの梱包が完了する。
【0090】
次いで、包装箱1を開梱する工程を説明する。より具体的には、包装箱1は、開口部8及び表示部7を形成して箱状のまま用いる使用形態とトレー状にして用いる使用形態とがあるが、まずは、
図3及び
図4を用いて開口部8及び表示部7を形成する工程を説明し、次に、
図5~7を用いてトレー状にする工程を説明する。
【0091】
まず、包装箱1に開口部8を形成する工程を説明する。
【0092】
図3に示すように、上部手掛孔予定部71を包装箱1の内部空間に向かって押し込むことで、前板21を上部手掛孔破断可能線61に沿って破断させ、上部手掛孔予定部71を上部手掛孔折目線eで山折りする。これにより、前板21に上部手掛孔91が形成される。
【0093】
次に、この上部手掛孔91に手指を掛けて、開口予定部6を前板21の内面側から手前側及び下側に引っ張る。これにより、前板21は、一対の開口破断可能線62に沿って下方向に破断される。
【0094】
前板21が一対の開口破断可能線62に沿って下部手掛孔破断可能線51aの中間部までそれぞれ破断され、さらに、下部手掛孔破断可能線51aの中間部同士を繋ぐように前板21が破断されることで、開口予定部6は前板21から完全に取り外され、前板21に開口部8が形成される。
【0095】
なお、開口予定部6は前板21から完全に取り外さなくても、表示支持部74を残した状態で、前板21に開口部8が形成させてもよく、
図4ではその状態を示している。すなわち、開口予定部6は、前板21を一対の開口破断可能線62に沿って下部手掛孔折目線dの中間部までそれぞれ破断することで、その表示支持部74以外の部分(上部手掛孔予定部71、表示正面部72、表示背面部73)を前板21から取り外して若干小さい開口部8を形成することもできる。
【0096】
この場合、開口予定部6のうち表示支持部74以外の部分(上部手掛孔予定部71、表示正面部72、表示背面部73)を前板21から取り外し、下部手掛孔折目線dに沿って略135°谷折りする。
【0097】
次に、その開口予定部6を表示折目線fで略180°山折りする。このとき上部手掛孔折目線eと表示折目線fとの上下方向の距離は、表示折目線fと下部手掛孔折目線dとの上下方向の距離とほぼ等しいため、開口予定部6を背中合わせに二つ折りすることができ、開口予定部6によって表示正面部72及び表示背面部73が形成される。
【0098】
次に、その開口予定部6のうち上部手掛孔予定部71を上部手掛孔折目線eで略45°山折りして、前板21と商品Kとの隙間に差し込む。このとき、一対の開口破断可能線62は、下端部がテーパー状になっており、下部手掛孔折目線dの中間部に接続されている位置において上部手掛孔折目線eの長さより若干小さくなっている。よって、開口予定部6のうち上部手掛孔折目線e付近は、下部手掛孔折目線dの中間部またはその若干上側の開口部8の周縁に無理嵌めされることで挟持される。
【0099】
以上により、前板21に開口部8が形成され、開口予定部6によって表示部7が形成される。
【0100】
次いで、包装箱1をトレー状にする工程を説明する。
【0101】
図5に示すように、下部手掛孔予定部75を包装箱1の内部空間に向かって押し込むことで、前板21を下部手掛孔破断可能線51aに沿って破断させ、下部手掛孔予定部75を下部手掛孔折目線dで山折りする。これにより、前板21に下部手掛孔92が形成される。
【0102】
次に、この下部手掛孔92に手指を掛けて、前板21を内面側から手前側及び上側に持ち上げる。これにより、前板21は、
図6に示すように、左右方向に向かって前板後半部51b(前板破断可能線51の残部)に沿って破断される。さらに前板21を手前側に引っ張ると、前板21は一対の補助破断可能線54に沿って上方向にその上縁まで破断される。
【0103】
次に、
図6に示す状態から、商品Kと側板22との隙間から側板22の内面側に手指を掛けて、側板22を包装箱1の外側に引っ張る。これにより、
図7に示すように、側板22は後方向に向かって側板破断可能線52に沿って破断される。
【0104】
次に、蓋部4を持って、包装箱1の上側に捻りながら引っ張る。これにより、
図7に示すように、後板23は、その上端縁、すなわち後板破断可能線53に沿って破断される。この結果、前板21の上半部、側板22の上半部、及び蓋部4が包装箱1から分離され、包装箱1は、その下端部がトレー状に残った状態で開梱される。
【0105】
なお、実際に商品Kを店頭に展示する際には、
図8に示すように、
図4に示した開口部8が形成された包装箱1の上に、
図7に示したトレー状の包装箱1を積層させる。
【0106】
次いで、第1実施形態の作用効果について説明する。
【0107】
第1実施形態の包装箱1では、前板21を一対の開口破断可能線62に沿って破断させることで、開口予定部6を開口させて開口部8を形成することができる。よって、包装箱1によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱1以外の包装箱1に開口部8を設けることで商品Kの訴求力を高めることができる。
【0108】
また、第1実施形態の包装箱1では、上部手掛孔91に手指を掛けて、開口予定部6を前板21の内面側から手前側に引っ張ることができるため、開口予定部6を開口させて開口部8とすることが容易である。
【0109】
第1実施形態の包装箱1では、前板21から分離された開口予定部6により表示部7が形成することができる。よって、包装箱1によれば、最上段の包装箱1以外の包装箱1に表示部7を設けることで、商品Kの訴求力を高めることができる。
【0110】
また、第1実施形態の包装箱1では、表示部7は、基端側が表示支持部74によって支持され、他方、先端側が前板21と商品Kとの隙間に差し込まれて挟持されるとともに、開口部8の周縁によって挟持されるため、確実に固定することができる。
【0111】
第1実施形態の包装箱1では、胴部2の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線5を有するため、周回破断可能線5に沿って胴部2を破断することで、
図8に示すようなトレー状にすることができる。
【0112】
また、第1実施形態の包装箱1では、下部手掛孔92に手指を掛けて、開口予定部6を前板21の内面側から手前側に引っ張ることができるため、前板後半部51b(前板破断可能線51の残部)に沿って破断していくことが容易である。さらに、第1実施形態の包装箱1では、一旦、前板21を一対の補助破断可能線54に沿って上縁まで破断させてから、側板22を破断させるため、側板22の破断が容易である。
【0113】
ところで、第1実施形態の包装箱1では、上述した下部手掛孔92を形成させる際に、前板21を下部手掛孔破断可能線51aの中央部から左右方向に向かって破断させる必要がある。しかしながら、下部手掛孔破断可能線51aには、その中間部に一対の開口破断可能線62がそれぞれ接続されている。そのため、前板21を、下部手掛孔破断可能線51aに沿ってその中央部から中間部まで破断させていくと、そのまま誤って表示支持部74の側縁に沿って一対の開口破断可能線62を破断させていってしまう可能性がある。
【0114】
もっとも、第1実施形態の包装箱1において、開口破断可能線62の接続位置は、下部手掛孔破断可能線51aの中間部であるため、下部手掛孔破断可能線51aの幅方向全体を一気に破断しようとすれば、誤って開口破断可能線62(表示支持部74の側縁)が破断される可能性は低い。
【0115】
また、第1実施形態の包装箱1において、上部手掛孔破断可能線61の幅(約65mm)と下部手掛孔破断可能線51aの幅(約75mm)との差は、相対的に小さい(約10mm)。そのため、上部手掛孔破断可能線61に沿って破断させるときと同じ感覚で強く押し込めば、下部手掛孔破断可能線51aの幅方向全体を一気に破断させることが容易である。
【0116】
特に、平均的な手幅の長さは、成人男性で約83.3mm、成人女性で約74mmであるのに対して、下部手掛孔破断可能線51aの幅は、約75mmである。そのため、成人女性はそのまま、成人男性は若干指先を窄めることで幅方向全体を一気に押すことができる。これに対して、一対の開口破断可能線62の下端部同士の距離(表示支持部74の幅)は約45mmであるため、例えば、人差し指と中指だけで押すなどの工夫をしない限り、一対の開口破断可能線62の下端部(表示支持部74)だけを押して破断させることは構造上困難である。
【0117】
また、第1実施形態の包装箱1において、開口破断可能線62の先端(下端)は、切れ目が1個分程度少なくなっており、下部手掛孔折目線dの中間部との間に隙間が空いた状態で接続されている。そのため、誤って開口破断可能線62が破断される可能性はそもそも低い。
【0118】
さらに、もし仮に、開口破断可能線62の先端(下端)に切れ目が1個分追加される仮想線を想像したとしても、一対の開口破断可能線62の先端は、下部手掛孔破断可能線51aの中間部との接続部から互いに接近しながら上方向に向かって延びている。そのため、前板21が下部手掛孔破断可能線51aの中央部から中間部に向かってそれぞれ離れる方向に徐々に前板21が破断されていった場合に、略135°鋭角に方向転換して互いに接近する方向に前板21が破断されていくことになる可能性は極めて低い。
【0119】
以上説明したとおり、第1実施形態の包装箱1では、前板21に開口部8を設けるために一対の開口破断可能線62が下方に向かって延びて、トレー状に変形させるための下部手掛孔破断可能線51aに接続されているものの、包装箱1をトレー状に変形させるために前板21を下部手掛孔破断可能線51aの中央部から破断させていった際、誤って一対の開口破断可能線62が破断される可能性は皆無である。
【0120】
よって、第1実施形態の包装箱1によれば、包装箱1に開口部8を形成、あるいは、包装箱1をトレー状に変形させることを意図通り確実に行うことができ、これらの包装箱1を上下に積層することで商品Kの訴求力を高めることができる
【0121】
[第2実施形態]
以下、
図9~15を参照しながら、本発明の実施形態と一例として第2実施形態に係る包装箱10(主として、「第2の本発明の包装箱」に相当する。)について説明する。なお、第1実施形態と共通する一部の構成については、図面上同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0122】
第2実施形態の包装箱10は、
図9で示すように所謂A式の段ボール箱である。すなわち、包装箱10は、上下方向に延びる四角筒状の胴部20と、胴部20の下端の開口を封止する底部30と、胴部20の上端の開口を封止する蓋部40とを有する。
【0123】
胴部20には、全周に亘って周回破断可能線50が形成されている。周回破断可能線50は、胴部20の下端縁よりも上方を周回している。
【0124】
包装箱10は、
図10に示すように、略矩形状の段ボール紙製の板紙10Xによって作られる。
図2における板紙10Xの表面側は、
図1に示すように包装箱10として組み立てた際に、箱の内面側とされる。
【0125】
図10に示すように、板紙10Xの略中央部には、前板210が配置されている。前板210の左右側縁には、胴部折目線a1を介して一対の側板220が連設されている。
図2における左側の側板220の左側縁には、胴部折目線a2を介して後板230が連設されている。右側の側板220の右側縁には、胴部折目線a3を介して接続片240が連設されている。接続片240は略倒台形状であり、前板210、側板220及び後板230はいずれも矩形状である。上述した胴部20は、前板210、一対の側板220及び後板230によって構成される。
【0126】
前板210の下端縁には、底折目線b1を介して底内フラップ310が連設されている。一対の側板220の下端縁には、底折目線b2を介して一対の底外フラップ320がそれぞれ連設されている。後板230の下端縁には、底折目線b3を介して底内フラップ330が連設されている。底内フラップ310、底外フラップ320及び底内フラップ330は、いずれも矩形状である。上述した底部30は、底内フラップ310及び底内フラップ330並びに一対の底外フラップ320によって構成される。
【0127】
前板210の上端縁には、内フラップ折目線c1を介して蓋内フラップ410が連設されている。一対の側板220の上端縁には、蓋折目線c2を介して一対の蓋外フラップ420がそれぞれ連設されている。後板230の上端縁には、蓋折目線c3を介して蓋内フラップ430が連設されている。蓋内フラップ410、蓋外フラップ420及び蓋内フラップ430は、いずれも矩形状である。上述した蓋部40は、蓋内フラップ410及び蓋内フラップ430並びに一対の蓋外フラップ420によって構成される。
【0128】
次いで、上述した周回破断可能線50に関連する構成について説明する。前板210には、下端と上下方向中央部との間に、前板破断可能線510が形成されている。前板破断可能線510は、上述した周回破断可能線50の一部を構成するものである。前板破断可能線510は、左右方向中央部に前板破断可能線510の一部として構成される略U字状の下部手掛孔破断可能線510aと、下部手掛孔破断可能線510aの両端からそれぞれ左右端縁(胴部折目線a1)まで上方向に傾斜して延びる一対の前板後半部510bとを有する。前板210には、下部手掛孔破断可能線510aの両端を繋ぐように下部手掛孔折目線dが形成されている。
【0129】
側板220には、前板破断可能線510の端部から略対角線上の隅部まで上方向に傾斜して延びる側板破断可能線520がそれぞれ形成されている。側板破断可能線520は、上述した周回破断可能線50の一部を構成するものである。側板破断可能線520は、前板破断可能線510の延長線上に沿って直線状に延びる側板前半部520aと、そこからL字状に2回屈曲して蓋折目線c2に沿って延びる側板後半部520b及び側板後半部520cとを有する。
【0130】
後板230には、左側の側板220に形成された側板破断可能線520の左端から右端に向かって、後板230の上端縁に沿って、後板破断可能線530が直線状に形成されている。後板破断可能線530は、上述した周回破断可能線50の一部を構成するものである。後板破断可能線530は、後板230の上端縁に沿ってミシン目として形成されているため、上述した蓋折目線c3は、別途罫線を設けることなく、このミシン目によって折り曲げ可能とされている。
【0131】
図10でいえば、左側から、後板破断可能線530、左側の側板破断可能線520、前板破断可能線510及び右側の側板破断可能線520が順次接続されることで周回破断可能線50が構成されている。
【0132】
次いで、前板210及び蓋内フラップ410の開口予定部60の構成について
図10を用いて説明する。まず、蓋内フラップ410には、その下端縁の中間部を繋いで上方向(
図9の箱状においては後板方向)に向かって略U字状に延びる上部手掛孔破断可能線610が形成されている。
【0133】
前板210には、上部手掛孔破断可能線610の両端から下方向に向かってそれぞれ延びる一対の開口破断可能線620が形成されている。開口破断可能線620は、上部手掛孔破断可能線610の両端から下部手掛孔折目線dの中間部を通って、さらに下部手掛孔破断可能線510aの中間部まで延びている。この上部手掛孔破断可能線610と、一対の開口破断可能線620と、下部手掛孔破断可能線510aの中間部とで囲まれる領域が開口予定部60に相当する。
【0134】
内フラップ410には、上部手掛孔破断可能線610の両端を繋ぐように上部手掛孔折目線eが形成されている。上部手掛孔折目線eは、内フラップ410の下端縁に沿って延びている。上部手掛孔破断可能線610の左右方向中央部と上部手掛孔折目線eとの上下方向の距離は、下部手掛孔破断可能線510aの左右方向中央部と下部手掛孔折目線dとの上下方向の距離とほぼ等しい。
【0135】
次いで、一対の開口破断可能線620の形状を上部手掛孔折目線e及び下部手掛孔折目線dとの関係でさらに説明する。
【0136】
一対の開口破断可能線620は、上部手掛孔破断可能線610の両端(上部手掛孔折目線eの両端)から下方に向かって、上下方向と平行に延びた後、内側に向かってクランク形状の段差部を介して、下方に向かって上下方向に平行に延びて下部手掛孔破断可能線510aの中間部に接続されている。
【0137】
すなわち、一対の開口破断可能線620は略逆凸形状であり、上部が相対的に幅広、下部が相対的に幅狭に形成されている。また、一対の開口破断可能線620は、上述した段差部と下部手掛孔破断可能線510aの接続位置との上下方向中央の幅狭の領域において、下部手掛孔折目線dの中間部と接続されている。
【0138】
なお、各破断可能線は、複数の直線状の切れ目が間隔を空けつつ直線状に整列されてミシン目状に形成されているが、開口破断可能線620の先端(下端)は、切れ目の先端が内側に向かって倒れた傾斜切れ目が2個分形成されている。この結果、一対の開口破断可能線620の先端(下端)の傾斜切れ目は、下部手掛孔破断可能線510aの中間部との接続部から互いに接近しながら上方向に向かって延びている。
【0139】
次いで、一対の開口破断可能線620のうち、下部手掛孔折目線dの中間部から下部手掛孔破断可能線510aの中間部までの領域の左右方向の長さ(以下、単に「一対の開口破断可能線620の下端部間の距離」という。)と、上部手掛孔破断可能線610及び前記下部手掛孔破断可能線510aの左右方向の長さとの関係について説明する。
【0140】
まず、上部手掛孔破断可能線610の幅(上部手掛孔折目線eの長さ)は約65mm、下部手掛孔破断可能線510aの幅(下部手掛孔折目線dの長さ)は約75mm、一対の開口破断可能線620の下端部間の距離(下部手掛孔折目線dの中間部同士の距離及び下部手掛孔破断可能線510aの中間部同士の距離)は約40mmとなっている。
【0141】
そのため、上部手掛孔破断可能線610の幅(約65mm)と下部手掛孔破断可能線510aの幅(約75mm)との差は、相対的に小さい(約10mm)。他方、一対の開口破断可能線620の下端部間の距離(約40mm)に対する上部手掛孔破断可能線610の幅(約75mm)の差は、約35mmである。そして、一対の開口破断可能線620の下端部間の距離(約40mm)に対する下部手掛孔破断可能線510aの幅(約75mm)の差は、約35mmである。なお、これら数値は、平均的な手幅の長さが、成人男性では約83.3mm成人女性では約74mmであることを基準に設定したものである。
【0142】
これらの数値を概略的にまとめると、一対の開口破断可能線620の下端部の距離に対する上部手掛孔破断可能線610の幅方向の長さの差及び下部手掛孔破断可能線510aの幅方向の長さの差のいずれよりも、上部手掛孔破断可能線610の幅方向の長さと下部手掛孔破断可能線510aの幅方向の長さとの差のほうが小さいといえる。
【0143】
その他として、開口予定部6は、蓋内フラップ410に上部手掛孔破断可能線610と上部手掛孔折目線eとで囲まれる略半楕円形状の領域である上部手掛孔予定部710を有し、前板210に下部手掛孔破断可能線510aと下部手掛孔折目線dとで囲まれる略半楕円形状の領域である下部手掛孔予定部750を有する。そして、蓋外フラップ420には、組み立てたときに蓋内フラップ410の上部手掛孔予定部710を覆い隠さないように、切り欠き421が形成されている。
図10においては、切り欠き421は、各蓋外フラップ420の蓋内フラップ410側の先端隅部に、略楕円扇形状に形成されている。
【0144】
次いで、板紙10Xから包装箱10を組み立てる工程を、
図9を参照して説明する。
【0145】
まず、接続片240が右側の側板220に対して、胴部折目線a3に沿って略90°に折り曲げられ、右側の側板220が前板210に対して胴部折目線a1に沿って略90°に折り曲げられ、前板210が左側の側板220に対して胴部折目線a1に沿って略90°に折り曲げられ、左側の側板220が後板230に対して胴部折目線a2に沿って略90°に折り曲げられる。そして、後板230は接続片240の外表面に重ね合わせられて、接着剤を介して固定される。これにより、胴部20が組み立てられる。
【0146】
次に、胴部20に対して、底内フラップ310及び底内フラップ330が互いの先端縁を対向させるように、底折目線b1及び底折目線b3に沿って折り曲げられる。そして、胴部20に対して、一対の底外フラップ320が互いの先端縁を突き合わせるように底折目線b2に沿ってそれぞれ折り曲げられる。そして、一対の底外フラップ320は、底内フラップ310及び底内フラップ330の外表面に重ね合わせられた状態で、接着剤を介して固定される。これにより、底部30が組み立てられる。
【0147】
次に、包装箱10の内部に商品Kが詰め込まれる。第2実施形態では、インスタントカレーなどのレトルトパウチを収めた薄型のキャラメル箱が、商品Kとして前後方向に9個整列されて収納される場合を例に説明する(
図14を参照。)。
【0148】
次に、胴部20に対して、蓋内フラップ410及び蓋内フラップ430が互いの先端縁を対向させるように、内フラップ折目線c1及び蓋折目線c3に沿って折り曲げられる。そして、胴部20に対して、一対の蓋外フラップ420が互いの先端縁を突き合わせるように蓋折目線c2に沿ってそれぞれ折り曲げられる。そして、一対の蓋外フラップ420は、蓋内フラップ410及び蓋内フラップ430の外表面に重ね合わせられた状態で、接着剤を介して固定される。これにより、蓋部40が組み立てられる。
【0149】
このとき、蓋外フラップ420には切り欠き421形成されているため、蓋外フラップ420は、蓋内フラップ410の外表面に重ね合わせても、蓋内フラップ410に形成された上部手掛孔予定部710を覆い隠さないので、蓋部40には上部手掛孔予定部710が露出している。
【0150】
以上により、包装箱10が組み立てられ、商品Kの梱包が完了する。
【0151】
次いで、包装箱10を開梱する工程を説明する。より具体的には、包装箱10は、開口部80を形成して箱状のまま用いる使用形態とトレー状にして用いる使用形態とがあるが、まずは、
図11及び
図12を用いて開口部80を形成する工程を説明し、次に、
図13及び
図14を用いてトレー状にする工程を説明する。
【0152】
まず、包装箱10に開口部80を形成する工程を説明する。
【0153】
図11に示すように、上部手掛孔予定部710を包装箱10の内部空間に向かって下方に押し込むことで、蓋内フラップ410を上部手掛孔破断可能線610に沿って破断させ、上部手掛孔予定部710を上部手掛孔折目線eで山折りする。これにより、前板210に上部手掛孔910が形成される。
【0154】
次に、この上部手掛孔910に手指を掛けて、開口予定部60を前板210の内面側から手前側及び下側に引っ張る。これにより、
図12に示すように、前板210は、一対の開口破断可能線620に沿って下方向に破断される。最終的には、前板210が一対の開口破断可能線620に沿って下部手掛孔破断可能線510aの中間部までそれぞれ破断され、さらに、下部手掛孔破断可能線510aの中間部同士を繋ぐように前板210が破断されることで、開口予定部60は前板210から完全に取り外される。
【0155】
以上により、前板210に開口部80が形成される。
【0156】
次いで、包装箱10をトレー状にする工程を説明する。
【0157】
図13に示すように、下部手掛孔予定部750を包装箱10の内部空間に向かって押し込むことで、前板210を下部手掛孔破断可能線510aに沿って破断させ、下部手掛孔予定部750を下部手掛孔折目線dで山折りする。これにより、前板210に下部手掛孔920が形成される。
【0158】
次に、この下部手掛孔920に手指を掛けて、開口予定部60を前板210の内面側から手前側及び上側に持ち上げる。これにより、前板210は、
図14に示すように、左右方向に向かって前板後半部510b(前板破断可能線510の残部)に沿って破断される。さらに開口予定部60を手前側に引っ張ると、前板後半部510bの延長線上にある側板前半部520aに沿って側板220の破断が開始され、側板前半部520aに沿って後板230の上端縁付近まで側板220が破断される。
【0159】
次に、蓋部40を持って、包装箱10の上側に捻りながら引っ張る。これにより、
図14に示すように、後板230は、その上端縁、すなわち後板破断可能線530に沿って破断される。この結果、前板210の上半部、側板220の上半部、及び蓋部40が包装箱10から分離され、包装箱10は、その下端部がトレー状に残った状態で開梱される。
【0160】
なお、実際に商品Kを店頭に展示する際には、
図15に示すように、
図12に示した開口部80が形成された包装箱10の上に、
図14に示したトレー状の包装箱10を積層させる。
【0161】
次いで、第2実施形態の作用効果について説明する。
【0162】
第2実施形態の包装箱10では、前板210を一対の開口破断可能線620に沿って破断させることで、開口予定部60を開口させて開口部80を形成することができる。よって、包装箱10によれば、上下に積層した際に、最上段の包装箱10以外の包装箱10に開口部80を設けることで商品Kの訴求力を高めることができる。特に、第2実施形態の包装箱10では、開口部8を前板210の上端から下端部まで広く設けることができる。
【0163】
また、第2実施形態の包装箱10では、上部手掛孔910に手指を掛けて、開口予定部60を前板210の内面側から手前側に引っ張ることができるため、開口予定部60を開口させて開口部80とすることが容易である。
【0164】
第2実施形態の包装箱10では、胴部20の下端縁よりも上方を周回する周回破断可能線50を有するため、周回破断可能線50に沿って胴部20を破断することで、
図14に示すようなトレー状にすることができる。
【0165】
また、第2実施形態の包装箱10では、下部手掛孔920に手指を掛けて、開口予定部60を前板210の内面側から手前側に引っ張ることができるため、前板後半部510b(前板破断可能線510の残部)に沿って破断していくことが容易である。さらに、第2実施形態の包装箱10では、前板後半部510bに接続された側板前半部520aが前板後半部510bの延長線上に延びているため、前板210から側板220までスムーズに破断させることができる。
【0166】
ところで、第2実施形態の包装箱10では、上述した下部手掛孔920を形成させる際に、前板210を下部手掛孔破断可能線510aの中央部から左右方向に向かって破断させる必要がある。しかしながら、下部手掛孔破断可能線510aには、その中間部に一対の開口破断可能線620がそれぞれ接続されている。そのため、前板210を、下部手掛孔破断可能線510aに沿ってその中央部から中間部まで破断させていくと、そのまま誤って一対の開口破断可能線620を破断させていってしまう可能性がある。
【0167】
もっとも、第2実施形態の包装箱10において、開口破断可能線620の接続位置は、下部手掛孔破断可能線510aの中間部であるため、下部手掛孔破断可能線510aの幅方向全体を一気に破断しようとすれば、誤って開口破断可能線620が破断される可能性は低い。
【0168】
また、第2実施形態の包装箱1において、上部手掛孔破断可能線610の幅(約65mm)と下部手掛孔破断可能線510aの幅(約75mm)との差は、相対的に小さい(約10mm)。そのため、上部手掛孔破断可能線610に沿って破断させるときと同じ感覚で強く押し込めば、下部手掛孔破断可能線510aの幅方向全体を一気に破断させることが容易である。
【0169】
特に、平均的な手幅の長さは、成人男性で約83.3mm、成人女性で約74mmであるのに対して、下部手掛孔破断可能線510aの幅は、約75mmである。そのため、成人女性はそのまま、成人男性は若干指先を窄めることで幅方向全体を一気に押すことができる。これに対して、一対の開口破断可能線620の下端部間の距離は約45mmであるため、例えば、人差し指と中指だけで押すなどの工夫をしない限り、一対の開口破断可能線620の下端部の間だけを押して破断させることは構造上困難である。
【0170】
また、一対の開口破断可能線620の先端は、ハの字状で下部手掛孔破断可能線510aの中間部と接続されているため、前板210が下部手掛孔破断可能線510aの中央部から中間部に向かってそれぞれ離れる方向に徐々に前板210が破断されていった場合に、略135°鋭角に方向転換して互いに接近する方向に前板210が破断されていくことになる可能性は極めて低い。
【0171】
以上説明したとおり、第2実施形態の包装箱10では、前板210に開口部80を設けるために一対の開口破断可能線620が下方に向かって延びて、トレー状に変形させるための下部手掛孔破断可能線510aに接続されているものの、包装箱10をトレー状に変形させるために前板210を下部手掛孔破断可能線510aの中央部から破断させていった際、誤って一対の開口破断可能線620が破断される可能性は皆無である。
【0172】
よって、第2実施形態の包装箱10によれば、包装箱10に開口部80を形成、あるいは、包装箱10をトレー状に変形させることを意図通り確実に行うことができ、これらの包装箱10を上下に積層することで商品Kの訴求力を高めることができる
【0173】
[変形例1]
次いで、第1実施形態の包装箱1及び第2実施形態の包装箱10に共通する変形例について説明する。なお、以下では、第1実施形態及び第2実施形態を併せて本実施形態といい、符号については第1実施形態のものを例に用いて説明する。
【0174】
本実施形態では、材質として段ボール紙を例に説明したが、材質は、折り曲げて組立て可能であれば、ボール紙や薄い合成樹脂板であってもよい。
【0175】
本実施形態では、底部3として、底内フラップ31及び底内フラップ33並びに一対の底外フラップ32によって構成されるものを例に説明したが、底部の形状は、限定がなく、アメリカンロックや底ワンタッチ式であってもよい。
【0176】
本実施形態では、蓋部4として、後板23に連設された蓋内フラップ43を含むものを例に説明したが、蓋内フラップ43は省略可能である。また、本実施形態では、包装箱1として所謂A式の段ボール箱を例に説明したが、蓋外フラップ42は一対ではなく、1枚の長い蓋外フラップを有するB式の段ボール箱とすることもできる。
【0177】
本実施形態では、前板破断可能線51の一部として略U字状の下部手掛孔破断可能線51aを含むものを例に説明したが、下部手掛孔破断可能線51aは、前板破断可能線51の全域に亘っていてもよい。また、下部手掛孔破断可能線51aの形状は、下方向に向かって凸状であれば、倒コの字状、V字状及び波状であってもよい。
【0178】
本実施形態では、側板破断可能線52として、前板破断可能線51の端部から略対角線上の隅部まで上方向に傾斜して延びるものを例に説明したが、側板破断可能線52は、水平方向に延びてもよく、後板23に近付くにつれて下方向に傾斜してもよい。
【0179】
本実施形態では、後板破断可能線53として後板23の上端縁に沿って形成されたものを例に説明したが、後板破断可能線53は、一対の側板破断可能線52を繋ぎ、かつ、後板23の下端縁より上方で延びるものであれば、位置及び形状に限定はない。
【0180】
本実施形態では、一対の開口破断可能線62として、前板21の左右方向中間部に形成されたもの例に説明したが、開口破断可能線62は、下部手掛孔折目線dの中間部及び下部手掛孔破断可能線51aの中間部に接続されれば、その一部が前板21の側端縁(胴部折目線a1)に沿って形成されたものであってもよい。
【0181】
本実施形態では、下部手掛孔折目線d及び上部手掛孔折目線eは左右方向と平行なものを例に説明したが、下部手掛孔折目線d及び上部手掛孔折目線eは、左右方向に対して傾斜してもよい。また、本実施形態では、上部手掛孔予定部71及び下部手掛孔予定部75の上下方向の長さはほぼ等しいものを例に説明したが、上部手掛孔予定部71及び下部手掛孔予定部75は横幅に大きな差がなければ上下方向の長さには差があってもよい。
【0182】
本実施形態では、上部手掛孔破断可能線61の幅は約65mm(第2実施形態では75mm)、下部手掛孔破断可能線51aの幅は約75mm、一対の開口破断可能線62の下端部同士の距離は約45mmとして説明したが、数値はあくまで例であり、この数値に限定されるものではない。すなわち、本発明においては、一対の開口破断可能線62の下端部の距離に対する上部手掛孔破断可能線61の幅方向の長さの差及び下部手掛孔破断可能線51aの幅方向の長さの差のいずれよりも、上部手掛孔破断可能線61の幅方向の長さと下部手掛孔破断可能線51aの幅方向の長さとの差のほうが小さい、という関係が成り立てば、上部手掛孔予定部71及び下部手掛孔予定部75を似た感覚で開口できるため、誤って、一対の開口破断可能線62の下端部の間を破断する可能性は低い。
【0183】
本実施形態では、一対の開口破断可能線62の下端部として、略倒V字状のものや八の字状のものを例に説明したが、一対の開口破断可能線62の下端部は、通常のミシン目が上下方向に平行に延びるものであってもよく、上方向に向かって開いていく逆八の字状であってもよい。
【0184】
本実施形態では、底部3及び蓋部4として、接着剤で固定されているものを例に説明したが、底部3及び蓋部4は、外フラップの先端縁に沿って粘着テープで固定することもできる。
【0185】
本実施形態では、包装箱1の内寸と同程度の高さを有する薄型のキャラメル箱が、商品Kとして収納されたものを例に説明したが、商品Kの形状、サイズに限定はない
【0186】
[変形例2]
次いで、第1実施形態の包装箱1及び第2実施形態の包装箱10のそれぞれに対する変形例について説明する。
【0187】
第1実施形態では、蓋内フラップ41,43に連設された端側面を前板21及び後板23、蓋外フラップ42,42に連設された長側面を一対の側板22とするものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、蓋内フラップ41,43に連設された端側面を一対の側板22、蓋外フラップ42,42に連設された長側面を前板21及び後板23として、長側面の前板21に開口予定部6を設けることもできる。
【0188】
また、第2実施形態では、蓋内フラップ410,430に連設された端側面を前板210及び後板230、蓋外フラップ420,420に連設された長側面を一対の側板220とするものを例に説明したが、本発明はこれに限られず、蓋内フラップ410,430に連設された端側面を一対の側板220、蓋外フラップ420,420に連設された長側面を前板210及び後板230として、長側面の前板210及び蓋外フラップ420に開口予定部60を設けることもできる。
【0189】
なお、この変形例の場合、蓋外フラップ420はそもそも外部に露出するものであるため、切り欠き421は省略可能である。ただし、蓋外フラップ420に形成されることになる上部手掛孔予定部710の下方において蓋内フラップ410,430が重ねられる場合には、蓋内フラップ410,430に切り欠きを設けたほうが上部手掛孔予定部710を押下して上部手掛孔破断可能線610に沿って破断しやすくなるためより好適である。
【0190】
第1実施形態では、前板21に上部手掛孔破断可能線61及び上部手掛孔折目線eが形成されたものを例に説明したが、本発明において、上部手掛孔破断可能線61及び上部手掛孔折目線eは、第2実施形態と同様に蓋内フラップ41に形成することもできる。
【0191】
また、第2実施形態では、上部手掛孔折目線eとして内フラップ410の下端縁に沿って延びるものを例に説明したが、上部手掛孔折目線eは、内フラップ410にあれば下端縁から離れた位置でもよい。この場合、上部手掛孔破断可能線610は、内フラップ410の中間部に形成された上部手掛孔折目線eからさらに後板230に向かって凸状に延びることになる。
【0192】
第1実施形態では、前板21から剥がした開口予定部6で表示部7(POP)を組み立てるものを例に説明したが、第2実施形態でも、前板210から剥がした開口予定部60で表示部を形成してもよい。
【0193】
第1実施形態では、前板21の側端縁に沿って一対の補助破断可能線54が形成されたものを例に説明したが、第1実施形態の包装箱1において補助破断可能線54は省略可能である。この場合であっても、前板後半部51bの延長線上に沿って側板破断可能線52の側板前半部52aは延設されているため、連続してスムーズに破断させることができる。逆に、第2実施形態の包装箱10に、前板21の側端縁に沿って一対の補助破断可能線を形成してもよい。
【0194】
第1実施形態では、表示折目線fとして、上部手掛孔折目線e及び下部手掛孔折目線dと平行に延びるものを例に説明したが、表示折目線fは、上部手掛孔折目線e及び下部手掛孔折目線dに対して傾斜して延びるものであってもよい。また、第1実施形態では、表示折目線fとして、上部手掛孔折目線e及び下部手掛孔折目線dの上下方向中央を通るものを例に説明したが、表示折目線fは、上部手掛孔折目線e及び下部手掛孔折目線dの間を通るものであれば適宜設計可能である。
【0195】
第1実施形態では、一対の開口破断可能線62として、表示折目線f及び下部手掛孔折目線dの間でテーパー形状となるものを例に説明したが、一対の開口破断可能線62は、上部手掛孔予定部71を切り取ったものを開口部8の周縁で挟持できるよう、上部手掛孔予定部71(上部手掛孔折目線e)の左右方向の長さが、一対の開口破断可能線62の表示折目線f及び下部手掛孔折目線dの間の左右方向の長さの最小以上最大未満になるように設計されることが好ましい。
【0196】
ただし、表示部7は、上部手掛孔予定部71を切り取ったものを前板21と商品Kとで挟持することでも固定できるため、上部手掛孔予定部71を切り取ったものは、必ずしも開口部8の周縁で挟持できなくてもよい。逆に、開口部8の周縁で挟持されていれば、商品Kの形状や性状が、前板21とともに上部手掛孔予定部71を切り取ったものを挟めないものであってもよい。さらに言えば、例えば段ボール板紙の折癖で、表示部7を前板21の内表面で係止できるのであれば、上述した2つの挟持はなくてもよい。
【0197】
第1実施形態では、開口予定部6を、表示支持部74を残すように下部手掛孔折目線dまで破断したものを例に説明したが、開口予定部6は、下部手掛孔破断可能線51aの中間部まで破断し、下部手掛孔破断可能線51aの中間部同士の間をヒンジとして表示部7を形成してもよい。
【0198】
また、第1実施形態では、表示部7として、開口部8を介して上部手掛孔予定部71を包装箱1の内部空間に挿入して係止するものを例に説明したが、表示部7は、第1実施形態とは逆に表示折目線fで谷折りし、下部手掛孔折目線dよりも下側に切れ込みを設けて上部手掛孔予定部71を差し込むことで固定することもできる。
【0199】
また、開口予定部6の裏面に広告を記載するのであれば、表示折目線f、及び、表示正面部72及び表示背面部73の区別を省略することもできる。
【0200】
第2実施形態では、蓋外フラップ420の切り欠き421として、蓋内フラップ410の上部手掛孔予定部710を完全に露出させるものを例に説明したが、切り欠き421は上部手掛孔予定部710を指で押下して上部手掛孔破断可能線610に沿って破断できれば足りるため、上部手掛孔予定部710の一部を覆っていてもよい。逆に、蓋外フラップ420は、蓋内フラップ410の上部手掛孔予定部710と多少離間した位置で蓋内フラップ410の外表面に重ねられているものであってもよい。
【符号の説明】
【0201】
1 包装箱
2 胴部
21 前板
22 側板
23 後板
4 蓋部
41 内フラップ
42 外フラップ
5 周回破断可能線
51 前板破断可能線
51a 下部手掛孔破断可能線
52 側板破断可能線
53 後板破断可能線
54 補助破断可能線
61 上部手掛孔破断可能線
62 開口破断可能線
c1 内フラップ折目線
c2 外フラップ折目線
d 下部手掛孔折目線
e 上部手掛孔折目線
f 表示折目線