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特開2024-85319レーザー照射装置及びレーザー墨出し器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085319
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】レーザー照射装置及びレーザー墨出し器
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240619BHJP
   G01C 15/02 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G01C15/00 103D
G01C15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199786
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000156307
【氏名又は名称】株式会社TJMデザイン
(71)【出願人】
【識別番号】522487251
【氏名又は名称】▲寧▼波舜邦▲測▼▲絵▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 名雲
(72)【発明者】
【氏名】原田 直輝
(72)【発明者】
【氏名】蔡 立高
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 杰
(72)【発明者】
【氏名】成 ▲聡▼
(57)【要約】
【課題】均一な幅及び光量を有した照射ラインを形成できる、レーザー装置及びレーザー墨出し器を提供する。
【解決手段】レーザー装置10は、レーザー光を発生させる光源13と、レーザー光が入力されるコリメータレンズ14と、コリメータレンズ14から出力されたコリメートレーザー光を反射させる、円錐形の反射面15fと、を備える。反射面15fの頂点Pは、コリメータレンズ14と向かい合う側に位置している。コリメートレーザー光の光軸O1は反射面15fの中心軸O2に対してオフセットされている。レーザー墨出し器1は、レーザー装置10を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を発生させる光源と、前記レーザー光が入力されるコリメータレンズと、前記コリメータレンズから出力されたコリメートレーザー光を反射させる、円錐形の反射面と、を備えており、前記反射面の頂点は、前記コリメータレンズと向かい合う側に位置している、レーザー装置において、
前記コリメートレーザー光の光軸は、前記頂点を通る前記反射面の中心軸に対してオフセットされている、レーザー照射装置。
【請求項2】
前記反射面は、円錐形部材の円錐面によって構成されている、請求項1に記載されたレーザー照射装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたレーザー装置を備えたレーザー墨出し器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー照射装置及びレーザー墨出し器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザー墨出し器としては、光源からのレーザー光をロッドレンズに透過させることによって、照射ラインが直線状に拡がるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、レーザー墨出し器に用いられるレーザー照射装置としては、透光性を具備した凹面コーンレンズに入射されたレーザー光を、前記凹面コーンレンズの円錐凹部に形成された反射鏡によって、レーザー墨出し器の周りの全方位に照射させるものが知られている(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-060517号公報
【特許文献2】特許第3697690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のレーザー墨出し器のように、照射ラインの拡張にロッドレンズを用いた場合、当該ロッドレンズの入射領域に近い領域(照射ラインの中央の領域)では、照射ラインのライン幅が太くかつ明るいものの、当該ロッドレンズの入射領域から遠ざかる領域(照射ラインの端側の領域)では、照射ラインのライン幅が狭くかつ暗くなる。このため、特許文献1に記載のレーザー墨出し器では、照射ラインのライン長さを拡張したい場合、複数のロッドレンズを重ねて配置することによって、ムラの無い照射ラインを照射する必要がある。
【0005】
特許文献2に記載のレーザー照射装置は、レーザー墨出し器の周りを360度照射できるものの、照射ラインのライン幅に違いを生じるとともに光量にムラが生じ、均一な幅及び光量を有した照射ラインを出力することは難しい。
【0006】
本発明の目的は、均一なライン幅及び光量を有した照射ラインを形成することができる、レーザー照射装置及びレーザー墨出し器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係るレーザー照射装置は、レーザー光を発生させる光源と、前記レーザー光が入力されるコリメータレンズと、前記コリメータレンズから出力されたコリメートレーザー光を反射させる、円錐形の反射面と、を備えており、前記反射面の頂点は、前記コリメータレンズの側に位置している、レーザー装置において、前記コリメートレーザー光の光軸は、前記頂点を通る前記反射面の中心軸に対してオフセットされている。
【0008】
(2)上記(1)のレーザー照射装置において、前記反射面は、円錐形部材の円錐面によって構成されていることが好ましい。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)のレーザー照射装置において、前記円錐形部材は、金属であるものが好ましい。
【0010】
(4)上記(1)又は(2)のレーザー照射装置において、前記円錐形部材は、プリズムとすることができる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つのレーザー照射装置において、前記円錐形部材は、透明な円筒部材によって支持することができる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つのレーザー照射装置において、前記円錐形部材の円錐面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。
【0013】
(7)上記(1)のレーザー照射装置において、前記反射面は、透明部材に形成された円錐凹面を被覆する金属によって構成されており、前記コリメートレーザー光は、前記透明部材に入力されるものとすることができる。
【0014】
(8)上記(7)のレーザー照射装置において、前記円錐凹面と前記金属との合わせ面は、それぞれ、鏡面仕上げされていることが好ましい。
【0015】
(9)上記(1)~(8)のいずれか1つのレーザー照射装置において、前記コリメートレーザー光は、扁平な照射面を照射するものであり、前記反射面は、前記照射面の短軸方向が前記反射面の半径方向に対して平行になるように配置されていることが好ましい。
【0016】
(10)本発明に係るレーザー墨出し器は、上記(1)~(9)のいずれか1つのレーザー照射装置を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、均一なライン幅及び光量を有した照射ラインを形成することができる、レーザー照射装置及びレーザー墨出し器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る、レーザー墨出し器の正面図であり、当該レーザー墨出し器は、本発明の一実施形態に係る、レーザー装置を備えている。
図2図1のレーザー墨出し器の側面図である。
図3図1のレーザー墨出し器の背面図である。
図4図1のレーザー墨出し器の平面図である。
図5図1のレーザー墨出し器に内蔵された、本発明の一実施形態に係る、レーザー照射装置の正面図である。
図6図5のレーザー照射装置の平面図である。
図7図6のレーザー照射装置をX-X断面で示す断面図である。
図8図6のレーザー照射装置をY-Y断面で示す断面図である。
図9図5のレーザー照射装置の一構成要素である円錐形部材の一例を示す斜視図である。
図10図5のレーザー照射装置において、光源からの拡散レーザー光がコリメートレーザー光に収差補正されたのち、当該コリメートレーザー光が、円錐形部材の反射面を介して、反射レーザー光として出力される状態を概略的に示す図である。
図11図5のレーザー照射装置において、照射ラインのライン長さを効率的に伸ばすための、コリメートレーザー光と反射面との位置関係を概略的に示す図である。
図12図9の円錐形部材の反射面にコリメートレーザー光が照射されている状態を概略的に示す底面図であり、当該底面図において、コリメートレーザー光の光軸を反射面の頂点に対してずらした場合の、当該コリメートレーザー光の照射痕を実線で示し、コリメートレーザー光の光軸を反射面の頂点に一致させた場合の、当該コリメートレーザー光の照射痕を破線で示す。
図13図12に示されたコリメートレーザー光の照射状態のうち、コリメートレーザー光の光軸を反射面の頂点に対してずらした場合を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、レーザー墨出し器及びレーザー照射装置について、詳細に説明をする。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る、レーザー墨出し器1を前側から示す正面図である。また、図2は、レーザー墨出し器1を左側から示す側面図である。さらに、図3は、レーザー墨出し器1を後側から示す背面図である。加えて、図4は、レーザー墨出し器1を上側から示す平面図である。
【0021】
本実施形態において、前後とは、使用者が作業する際の向きを基準とする。また、本実施形態において、左右とは、前側を見たときを基準とする。さらに、本実施形態において、上下とは、レーザー墨出し器1を接地させる接地面を基準とする。ただし、本実施形態において、「下側」という用語には、レーザー墨出し器1の支持台3が位置する側をいう意味が含まれる。さらに、本実施形態において、「上側」という用語には、レーザー墨出し器1の本体2が位置する側をいう意味が含まれる。
【0022】
図1を参照すれば、レーザー墨出し器1は、基準ラインとしてのレーザー光を照射可能な本体2と、当該本体2を支える支持台3とを備えている。ここで、「基準ライン」とは、レーザー光によって映し出される照射ラインであって、レーザー墨出し器1にあっては、当該レーザー墨出し器1の周囲に映し出される基準線である。また、「基準線」とは、例えば、建築現場において、水平位置及び垂直位置の基準となる表示線をいう。
【0023】
本実施形態において、支持台3は、本体2に取り付けられた座部31と、当該座部31に取り付けられた複数の脚部32とを備えている。本実施形態において、支持台3は、3つの脚部32を備えた三脚台である。ただし、脚部32は、4つ以上とすることができる。また、支持台3は、座部31のみによって構成することができる。
【0024】
符号Оzは、レーザー墨出し器1の中心軸である。本実施形態において、本体2は、支持台3に対して回転させることができる。本実施形態において、レーザー墨出し器1の中心軸Оz(以下、単に、「中心軸Оz」ともいう。)は、本体2が支持台3に対して回転するときの回転中心軸である。
【0025】
本実施形態において、レーザー墨出し器1は、本体2を回転させるためのウォームロッド33を備えている。本実施形態において、ウォームロッド33は、支持台3の座部31に設けられている。ウォームロッド33は、本体2に取り付けられたウォームギア(図示省略)に噛み合うウォームギア(図示省略。)を備えている。ウォームロッド33は、回転中心軸О33を中心に前後方向に回転させることができる。これによって、本体2は、ウォームロッド33の回転方向に応じて、中心軸Оzの周りを、時計回り又は反時計回りに回転させることができる。加えて、本体2は、ウォームロッド33の回転量に応じた角度だけ、中心軸Оzの周りの回転量を調整することができる。
【0026】
本体2は、収容ケース21を備えている。収容ケース21は、その内部に、レーザー墨出し器を動作させるための様々な構成要素を収容している。本実施形態において、収容ケース21は、中心軸Оzを筒状に取り囲む周壁21aと、当該周壁21aの上端を閉じる天壁21bとを備えている。収容ケース21の内部には、例えば、本発明の一実施形態に係る、レーザー照射装置10を収容している。
【0027】
また、本実施形態において、本体2は、当該本体2の前側に、水平ラインを照射するためのレーザー光が出力される水平ライン照射口A1を備えている。ここで、「水平ライン」とは、レーザー光によって映し出される水平方向の照射ラインであって、レーザー墨出し器1にあっては、当該レーザー墨出し器1によって映し出される、水平方向の基準線をいう。図1には、レーザー照射装置10が破線で示されている。
【0028】
加えて、本実施形態において、本体2は、当該本体2の前側に、垂直ラインを照射するためのレーザー光が出力される垂直ライン照射口A2を備えている。ここで、「垂直ライン」とは、レーザー光によって映し出される垂直方向の照射ラインであって、レーザー墨出し器1にあっては、当該レーザー墨出し器1によって映し出される、垂直方向の基準線をいう。本実施形態において、垂直ライン照射口A2は、水平ライン照射口A1よりも上側に配置されている。本実施形態において、水平ライン照射口A1及び垂直ライン照射口A2はそれぞれ、収容ケース21の周壁21aに配置されている。
【0029】
さらに、本実施形態において、水平ライン照射口A1及び垂直ライン照射口A2はそれぞれ、透明な窓部材22によって保護されている。本実施形態において、窓部材22は、ガラスによって構成されている。ただし、窓部材22は、例えば、透明な樹脂によって構成することができる。
【0030】
加えて、本実施形態において、本体2は、レーザー照射装置10の電源をОN/ОFFするための電源スイッチ23を備えている。本実施形態において、電源スイッチ23は、収容ケース21の外側に配置されたつまみスイッチである。ただし、電源スイッチ23の形態は、つまみスイッチに限定されることなく、任意に変更することができる。
【0031】
また、図2に例示するように、本実施形態において、本体2は、当該本体2の左側に、前側と同様の垂直ライン照射口A2を備えている。また、本実施形態において、本体2は、当該本体2の右側にも、前側と同様の垂直ライン照射口A2を備えている。加えて、本体2は、当該本体2の左右に取り付けられた把手24を備えている。これによって、レーザー墨出し器1は、把手24を用いることによって、持ち運ぶことができる。
【0032】
また、図3に示すように、本体2は、当該本体2の後側に、前側と同様の垂直ライン照射口A2を備えている。加えて、本体2は、当該本体2の後側に、電源25を備えている。本実施形態において、電源25は、収容ケース21の周壁21aに取り付けられている。電源25は、充填式電源及び乾電池式電源の少なくともいずれか1つとすることができる。
【0033】
図4に示すように、本実施形態において、レーザー墨出し器1の前後左右の四か所には、それぞれ、垂直ライン照射口A2が配置されている。また、図4に示すように、本体2は、当該本体2の上側に、操作部26を備えている。本実施形態において、操作部26は、水平ラインの照射を選択するための(横)選択ボタン26aと、鉛直ラインの照射を選択するための(縦)選択ボタン26bと、水平ライン又は鉛直ラインの、色彩等の様式を選択するための(モード)選択ボタン26cと、を備えている。ただし、選択ボタンの取捨選択は適宜設定することができる。
【0034】
図5には、レーザー墨出し器1に内蔵された、本発明の一実施形態に係る、レーザー照射装置10が前側から示されている。
【0035】
本実施形態において、レーザー照射装置10は、水平ラインを照射するために使用される。図5に示すように、本実施形態において、レーザー照射装置10は、レーザー本体部11と、反射部12とを備えている。本実施形態において、レーザー照射装置10は、レーザー本体部11と反射部12とを一体的に組み付けることによって、1つのユニットとして構成されている。図5を参照すれば、本実施形態において、レーザー本体部11と反射部12とは、正面視(背面視)において同一軸線上に配置されている。
【0036】
また、図6には、レーザー照射装置10が上側から示されている。図6を参照すれば、本実施形態において、反射部12は、レーザー本体部11よりも後側にずらした位置に配置されている。
【0037】
ここで、図7には、図6のレーザー照射装置10がX-X断面で示されている。ここで、X-X断面は、コリメートレーザー光の光軸01(中心軸)と、反射面15fの円錐形の頂点(以下、「反射面15fの頂点」ともいう。)Pを通る当該反射面15fの中心軸О2とを含んで前後方向に延在する断面である。なお、コリメートレーザー光L2の光軸О1と、反射面15fの中心軸О2とについては、のちに詳述するものとする。
【0038】
また、図8には、図6のレーザー照射装置10がY-Y断面で示されている。ここで、Y-Y断面は、コリメートレーザー光の光軸О1を含んで左右方向に延在する断面である。X-X断面及びY-Y断面は、直交するように配置されている。
【0039】
レーザー照射装置10は、拡散レーザー光を出力する光源13と、拡散レーザー光が入力されるコリメータレンズ14と、コリメータレンズ14から出力されたコリメートレーザー光を反射させる、円錐形の反射面15fと、を備えている。反射面15fの頂点(円錐形の頂点)Pは、コリメータレンズ14と向かい合う側に位置している。
【0040】
本実施形態において、光源13は、拡散レーザー光を出力する出力部13aを備えるレーザー発生装置である。レーザー発生装置は、赤色レーザー光、青色レーザー光等の、可視光線としてのレーザー光を発生させるものであればよい。レーザー光の波長の具体例としては、約400nm~約700nmの波長帯が挙げられる。本実施形態において、光源13は、半導体レーザー(レーザーダイオード)である。ただし、光源13は、可視光レーザー発生装置であれば、固体レーザー、気体レーザー、液体レーザー等の、様々なレーザー発生装置を採用することができる。
【0041】
コリメータレンズ14は、当該コリメータレンズ14に入力された拡散レーザー光が、平行なレーザー光として出力されるように収差補正されたレンズである。本実施形態では、コリメータレンズ14を通して出力されたレーザー光を「コリメートレーザー光」という。すなわち、本実施形態において、コリメートレーザー光とは、光源13から出力された拡散レーザー光をコリメータレンズ14に通して平行となるように補正したレーザー光をいう。
【0042】
符号О1は、コリメートレーザー光の光軸である。ここで、光軸とは、光束の代表となる仮想的な光線、つまり、コリメートレーザー光の中心軸をいう。本実施形態において、コリメートレーザー光の光軸О1(以下、単に、「光軸О1」ともいう。)は、光源13から発せられる拡散レーザー光の光軸と一致するものとする。
【0043】
本実施形態において、レーザー本体部11は、光源13と、コリメータレンズ14と、保護ケース16を備えている。保護ケース16は、その内部に、光源13とコリメータレンズ14とを間隔を空けて収容している。本実施形態において、保護ケース16は、外筒16aと、第1内筒16bと、第2内筒16cとを備えている。本実施形態において、第1内筒16bは、外筒16aの下端内側に固定されている。また、本実施形態において、第1内筒16bの下端には、光源13が固定されている。さらに、本実施形態において、第2内筒16cは、外筒16aの上端内側に固定されている。本実施形態において、コリメータレンズ14は、第1内筒16bと第2内筒16cとの間に固定されている。本実施形態によれば、第1内筒16bを適宜選択することによって、光源13とコリメータレンズ14との間の距離を所望する距離に設定することができる。加えて、本実施形態によれば、第2内筒16cを適宜選択することによって、コリメータレンズ14と反射部12との間の距離を所望する距離に設定することができる。
【0044】
その一方で、本実施形態において、反射部12は、反射面15fを備えている。反射面15fは、コリメータレンズ14よりも上側に配置されている。本実施形態において、反射面15fは、円錐形部材15の円錐面によって構成されている。反射面15fは、コリメータレンズ14に向かうにしたがって先細りしている。したがって、反射面15fの頂点Pは、コリメータレンズ14と向かい合う側に位置している。本実施形態において、「円錐」とは、「直円錐」をいう。
【0045】
図9には、円錐形部材15が概略的に示されている。本実施形態において、円錐形部材15は、コーンミラーである。本実施形態において、円錐形部材15は、金属によって構成されている。本実施形態において、前記金属は、アルミニウム材(アルミニウム合金材を含む)である。ただし、円錐形部材15は、光を反射させることができる金属であれば、他の金属によって構成することができる。また、円錐形部材15は、光を反射させることができる材質であればよい。このため、円錐形部材15は、プリズムによって構成することもできる。また、円錐形部材15は、反射塗装された透明なレンズによって構成することもできる。
【0046】
本実施形態において、円錐形部材15の反射面(円錐面)15fは、鏡面仕上げされている。鏡面仕上げは、当該反射面15fを研磨することによって行われる。本実施形態において、反射面15fは、アルミニウム材のコーンミラーを鏡面仕上げにすることで、レーザー光の反射効率を高めている。これによって、レーザー照射装置10は、より目視しやすいはっきりした照射ラインを照射させることが可能となる。
【0047】
例えば、図7を参照すれば、本実施形態において、反射部12は、円錐形部材15と、円筒部材17と、キャップ18とを備えている。本実施形態において、円筒部材17は、当該円筒部材17の内側に、円錐形部材15の反射面15fを収容することができる。円筒部材17は、透明な円筒部材である。本実施形態では、円筒部材17は、透明なガラスによって構成されている。これによって、円筒部材17は、レーザー光を透過させることができる。ただし、円筒部材17は、レーザー光を透過させることができる材質ではあればよい。例えば、円筒部材17は、透明な樹脂によって構成することができる。
【0048】
本実施形態において、円錐形部材15は、円筒部材17によって支持されている。本実施形態において、円錐形部材15は、反射面15fよりも上側に、当該反射面15fよりも大径の上端フランジ15aを備えている。本実施形態において、円錐形部材15は、上端フランジ15aによって、円筒部材17の上端17aに載せ置くことができる。これによって、円錐形部材15は、円筒部材17の上端17aに位置決めされている。さらに、本実施形態において、円筒部材17の上端部には、キャップ18が取り付けられている。本実施形態において、円錐形部材15は、円筒部材17とキャップ18との間に固定されている。本実施形態において、キャップ18は、貫通孔を備えるリングキャップである。
【0049】
加えて、本実施形態において、円筒部材17の下端17bは、レーザー本体部11の保護ケース16に固定されている。これによって、反射部12全体は、レーザー本体部11に固定される。こうして、本実施形態に係るレーザー照射装置10は、レーザー本体部11と反射部12とが一体化された、1つのユニットとして構成されている。これによって、レーザー照射装置10は、1つの独立したユニットとして取り扱うことができる。
【0050】
コリメートレーザー光の光軸О1は、反射面15fの中心軸О2(以下、単に「中心軸О2」ともいう。)に対してオフセットされている。反射面15fは、コリメートレーザー光の光軸О1が反射面15fの中心軸О2に対してオフセットされた位置になるように配置されている。本実施形態において、中心軸О2は、円錐形部材15の中心軸である。本実施形態において、反射面15fは、直円錐形を有している。したがって、本実施形態において、中心軸О2は、反射面15fを形作る円錐形の頂点Pを通る、当該円錐形の底面に対する垂線である。なお、「中心軸に対してオフセットされた位置」とは、「中心軸に対してずれた位置」をいう。
【0051】
本実施形態において、中心軸О2は、図7に示すように、側面視において、光軸О1よりも後側にずれている。したがって、本実施形態において、コリメートレーザー光は、主として、頂点Pよりも前側の反射面15fに照射される。その一方で、図8を参照すれば、本実施形態において、中心軸О2は、正面視において、光軸О1と一致している。このため、本実施形態において、反射面15fに照射されるコリメートレーザー光の光軸О1は、正面視において、反射面15fの左右方向中心に位置している。したがって、反射面15fに照射されたコリメートレーザー光は、前側に向かって左右均等に反射される。
【0052】
ここで、図10には、レーザー照射装置10において、光源13からの拡散レーザー光L1がコリメータレンズ14でコリメートレーザー光L2に収差補正されたのち、当該コリメートレーザー光L2が、反射面15fを介して、反射レーザー光L3として外部に出力される状態が概略的に示されている。
【0053】
ここで、図10を参照して、レーザー照射装置10の基本的な動作について説明をする。
【0054】
図10を参照すれば、光源13からは、拡散レーザー光L1がコリメータレンズ14に向かって照射される。次いで、拡散レーザー光L1は、コリメータレンズ14を透過することにより、集束(集光)されたコリメートレーザー光L2として、反射面15fに向かって出力される。このとき、コリメートレーザー光L2は、その光軸О1が頂点Pに対してずらした位置に照射される。これによって、コリメートレーザー光L2は、主として反射面15fの片側(本実施形態では、「前側の反射面15f」)で反射し、このコリメートレーザー光L2の反射光が、反射レーザー光L3として側方(本実施形態では、前方)に出力される。
【0055】
本実施形態において、反射面15fは、中心軸О2に対して鋭角側の角度αは、α=45度である。つまり、図10に示すような側面視において、頂点Pを中心とした2つの反射面15fのなす角度は、90度である。角度αを45度とすれば、反射レーザー光L3は、中心軸О2に対して直角に出力させることができる。これによって、本実施形態に係る、レーザー墨出し器1に適用されたレーザー照射装置10は、反射レーザー光L3を前側に向かって水平に出力させることができる。
【0056】
レーザー照射装置10によれば、コリメートレーザー光L2を反射面15fの頂点Pに対してずらした位置に照射することで、反射面15fの片側(本実施形態では、前側の反射面15f)にコリメートレーザー光L2を集中的に照射させることができる。言い換えれば、レーザー照射装置10によれば、コリメートレーザー光L2の光軸О1を頂点Pに一致させないことで、作業時に使用者が重視しない方向に対する、反射レーザー光L3の分散が抑えられる。これによって、レーザー照射装置10によれば、反射面15fの片側で反射した反射レーザー光L3は、作業時に重視される方向に特化させる形で、中心軸О2の周りの、当該中心軸О2を中心とした照射角約180度の範囲において、目視しやすいムラの少ない光量の多い強い照射ラインを照射するレーザー光として出力される。
【0057】
その一方で、コーンプリズムを用いた従来のレーザー照射装置は、光源からの光量が一番多い部分(コリメートレーザー光の光軸)をコーンプリズムの頂点に一致するように、コリメートレーザー光を出力させることから、コーンプリズムの中心軸の周りの当該中心軸を中心とした照射角360度の全範囲において、照射ラインを照射できるものの、当該照射ラインは、ムラの多い光量が少ないものとなる傾向がある。
【0058】
これに対し、レーザー照射装置10によれば、光源13からの光量が一番強い部分(コリメートレーザー光L2の光軸О1)を反射面15fの片側(本実施形態では、前側の反射面15f)に照射させるようにしたことから、従来のレーザー照射装置に比べてより光量の多い反射レーザー光L3を出力することができる。
【0059】
上述のとおり、レーザー照射装置10によれば、作業時に重視される方向に特化させる形で、反射面15fの中心軸О2の周りを当該中心軸О2を中心とした照射角約180度の範囲で、目視しやすいムラの少ない光量の多い強い光の反射レーザー光L3を出力することができる。したがって、レーザー照射装置10によれば、当該レーザー照射装置10から出力された反射レーザー光L3によって、均一なライン幅及び光量を有した照射ラインを形成することができる。
【0060】
加えて、レーザー照射装置10によれば、コリメートレーザー光の光軸О1と反射面15fの頂点Pとを一致させる必要が無いため、光源13とコリメータレンズ14との精密な調整が不要となる。また、こうした精密な調整が不要となることから、製造コストを抑制することができる。
【0061】
特に、レーザー照射装置10は、レーザー本体部11と、反射部12とを備えている。この場合、レーザー本体部11と、反射部12との間の位置をずらすことによって、光軸О1と中心軸О2とをずらすことができる。したがって、この場合、光軸О1と中心軸О2との調整が簡易になり、生産性も向上する。加えて、レーザー照射装置10は、1ユニットとなることから、各種の調整も容易になるため、製造コストを抑制に有効である。
【0062】
また、レーザー墨出し器1は、レーザー照射装置10を備えている。このため、レーザー墨出し器1によれば、作業時に重視される方向に特化させる形で、レーザー照射装置10から出力された反射レーザー光L3によって、建築物などの作業現場に対して、均一なライン幅及び光量を有した照射ライン、本実施形態では、水平ライン(基準ライン)を形成することができる。
【0063】
なお、図10の例では、反射面15fに照射されるコリメートレーザー光L2は、頂点Pを含むことから、コリメートレーザー光L2の反射光の一部は、反射レーザー光L3として前側に出力され、当該コリメートレーザー光の反射光の残部は、後側に出力される。ただし、後側に出力されるコリメートレーザー光L2の反射光は弱いものとなる。このため、反射レーザー光L3の分散は、光軸О1と中心軸О2とを一致させた場合に比べて抑えられる。また、レーザー照射装置10によれば、コリメートレーザー光L2の照射に頂点Pが含まれないようにすることができる。この場合、反射レーザー光L3は、中心軸О2の周りに分散されることなく、前側のみに出力される。
【0064】
ところで、図11には、レーザー照射装置10において、照射ラインのライン長さを効率的に伸ばすための、コリメートレーザー光L2と反射面15fとの位置関係を用いることによって、コリメートレーザー光L2が好適な反射レーザー光L3として反射される上で適当な向きで、反射面15fに対して照射される状態が概略的に示されている。
【0065】
光源13が、例えば、レーザーダイオードである場合、当該レーザーダイオードには、その構造上、非点隔差(非点収差)が存在する。このため、レーザーダイオードから発せられた拡散レーザー光は、その照射面が楕円形に広がった扁平な光線となるという特徴がある。この場合、コリメートレーザー光L2もまた、図11に示すように、その照射面が楕円形に広がった扁平な光線となる。
【0066】
そこで、レーザー照射装置10において、反射面15fは、図11の実線に示すように、コリメートレーザー光L2の照射面の短軸方向が反射面15fの半径方向に対して平行になるように配置されている。この場合、レーザー照射装置10から出力される反射レーザー光L3は、よりライン長さが長い照射ラインを形成することができる。その一方で、コリメートレーザー光L2の照射面の長軸方向を反射面の半径方向に対して平行になるように配置した場合(図11の破線。)、レーザー照射装置10から出力される反射レーザー光L3は、図11の実線に示す照射の場合に比べてライン幅は太いが、ライン長さが短い照射ラインを形成することになる。
【0067】
図12には、円錐形部材15の反射面15fに照射されたコリメートレーザー光L2が概略的に示されている。図12において、コリメートレーザー光L2の光軸О1を反射面15fの頂点Pに対してずらした場合の、当該コリメートレーザー光L2の照射痕は、実線で示されている。また、図12において、コリメートレーザー光L2の光軸О1を反射面15fの頂点Pに一致させた場合の、当該コリメートレーザー光L2の照射痕は破線で示されている。
【0068】
レーザー照射装置10によれば、図12の実線で示すように、コリメートレーザー光L2の照射痕は、反射面15fの片側(本実施形態では、前側の反射面15f)において、左右方向に細長くなっている。このため、反射面15fで反射した反射レーザー光L3は、反射面15fの片側において、左右方向に広く拡散させることができる。加えて、この場合、反射レーザー光L3は、中心軸О2の周りの片側約180度の範囲で重点的に、出力される。このように、反射面15fの片側から重点的に反射レーザー光L3を出力させれば、当該反射レーザー光L3によって形成された照射ラインのライン幅にはより違いを生じ難く、かつ、光量のムラもより生じ難くなる。すなわち、レーザー照射装置10、ひいては、レーザー墨出し器1によれば、目視しやすいムラの少ない光量の多い強い光の照射ラインを、作業時に重視される方向に特化させる形で、より広い照射範囲で照射することができる。したがって、レーザー照射装置10、ひいては、レーザー墨出し器1によれば、より均一なライン幅で、かつ、より光量の多い照射ラインを形成することができる。
【0069】
なお、上記とは反対に、コリメートレーザー光L2の楕円照射面の長軸方向を反射面の半径方向に対して平行になるように配置した場合、コリメートレーザー光L2の照射痕は、反射面15fの片側において、前後方向に細長くなってしまう。このため、この場合、コリメートレーザー光L2の照射痕が図12の実線で示すようになるときに比べて、反射面15fで反射される反射レーザー光L3の、左右方向の拡散は狭くなってしまう。したがって、コリメートレーザー光L2の照射面の長軸方向を反射面の半径方向に対して平行になるように配置した場合、レーザー照射装置10、ひいては、レーザー墨出し器1は、左右方向のライン長さが短い照射ラインを照射することになる。
【0070】
また、図12の破線のように、コリメートレーザー光L2の光軸О1を反射面15fの中心軸О2と一致させるように当該コリメートレーザー光L2を照射すれば、反射レーザー光L3は、反射面15fの頂点Pを通る中心軸О2の周りの、360度の全範囲に出力される。この場合、上述のとおり、照射ラインのライン幅に違いを生じるとともに光量にもムラが生じる。
【0071】
なお、図13には、レーザー照射装置10において、図12に示されたコリメートレーザー光L2の照射状態のうち、コリメートレーザー光L2の光軸О1を反射面15fの頂点Pに対してずらした場合が概略的に示されている。
【0072】
上述のとおり、本実施形態において、反射面15fは、円錐形部材15の円錐面によって構成されている。この場合、円錐面を備えた部材を用いることによって、反射面15fを簡易に得ることができる。加えて、本実施形態において、円錐形部材15は、金属によって構成されたコーンミラーである。本実施形態において、前記金属は、アルミニウム材(アルミニウム合金材を含む)である。円錐形部材15を金属とすれば、当該円錐形部材15を、例えば、切削加工により、簡易に製造することができる。特に、円錐形部材15をアルミニウム材とすれば、円錐形部材15の反射面(円錐面)15fに塗装等の表面コーティングを行う場合、塗装ムラ(被覆ムラ)を防止することができる。
【0073】
また、上述のとおり、本実施形態において、円錐形部材15は、透明な円筒部材17によって支持されている。この場合、円筒部材17を用いることによって、円錐形部材15を簡易にレーザー照射装置10内に簡易に組み付けることができる。さらに、この場合、円筒部材17は、防塵、防滴の効果を発揮させることができる。ただし、円筒部材17は、省略することができる。この場合、円錐形部材15は、例えば、複数の柱部材の上端に固定された環状部材によって、円錐形部材15の上端フランジ15aを支持するように構成してもよい。この場合、円錐形部材15の反射面15fから反射した反射レーザー光L3は、円筒部材17等の個別の部材を透過することなく、前記柱部材の間の隙間を通して照射される。
【0074】
また、本発明によれば、円錐形部材15は、金属の円錐形部材に代えて、プリズムとすることができる。さらに、本発明によれば、反射面15fは、透明部材に形成された円錐凹面を被覆する金属によって構成されており、コリメートレーザー光は、前記透明部材に入力されるものとすることができる。ここで、前記透明部材は、コリメートレーザー光L2を透過させる部材とする。透明部材には、円錐凹面が形成されており、当該円錐凹面に金属が被覆されている。この例では、前記透明部材の内部にコリメートレーザー光L2を入力させ、当該コリメートレーザー光L2を前記透明部材の内部において、前記金属に被覆された円錐凹面によって反射させる。これによって、前記透明部材から出力されたコリメートレーザー光L2の反射光は、上記実施形態と同様の反射レーザー光L3として、前記透明部材を通して出力させることができる。この場合、前記金属もまた、アルミニウム材などの上記金属と同様のものを使用することができる。また、この場合、前記円錐凹面と前記金属との合わせ面は、それぞれ、鏡面仕上げされていることが好ましい。
【0075】
上述したところは、本発明の一実施形態にすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。本実施形態において、レーザー照射装置10は、水平ライン照射口A1から照射される水平ラインに適用する例で説明し、垂直ライン照射口A2から照射される垂直ラインは、ロッドレンズを通して照射されるものとした。ただし、本発明によれば、垂直ライン照射口A2から照射される垂直ラインもまた、レーザー照射装置10によって照射されるものとすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1:レーザー墨出し器, 2:本体, 21:収容ケース, 21a:周壁, 21b:天壁, 22:窓部材, 23:つまみスイッチ, 24:把手部, 25:電源, 26:操作部, 26a:(横)選択ボタン, 26b:(縦)選択ボタン, 26c(モード)選択ボタン, 3:支持台, 31:座部, 32:脚部, 33:ウォームロッド, 10:レーザー照射装置, 11:レーザー本体部, 12:反射部, 13:光源, 14:コリメータレンズ, 15:円錐形部材, 15a:上端フランジ, 15f:反射面, 16:保護ケース, 16a:外筒, 16b:第1内筒, 16c:第2内筒, 17:円筒部材, 17a:円筒部材の上端, 17b:円筒部材の下端, 18:キャップ, A1:水平ライン照射口, A2:垂直ライン照射口, L1:放射レーザー光, L2:コリメートレーザー光, L3:反射レーザー光, P:反射面の頂点, О1:コリメートレーザー光の光軸, О2:反射面の頂点を通る中心軸, Оz:レーザー墨出し器の中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13