(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085321
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】処方せん医薬品用遠隔自動販売システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240619BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199792
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】522487284
【氏名又は名称】グリムテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】神原 大地
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】処方せん医薬品の遠隔自動販売システムを実現する処方せん医薬品用遠隔自動販売システムを提供する。
【解決手段】薬剤師が処方せん医薬品の購入希望者にオンライン接客を行う薬剤師接客端末と、購入希望者に処方せん医薬品の販売を行う処方せん医薬品用遠隔自動販売システムであって、自動販売機は、撮像画像送信手段と、処方せん読取手段と、処方せんの有効性判断手段と、処方せん種類判別手段と、管理サーバに処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを送信する処方せんデータ送信手段を有する。薬剤師接客端末は、表示手段と、表示手段に表示された購入希望者に自動販売機を介してオンライン接客を提供するオンライン接客手段とを有する。管理サーバは、自動販売機から送信された処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを受信することにより、購入希望者の処方せんの受け付けを行う処方せん受付手段を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤師が処方せん医薬品の購入希望者に対してオンライン上で非対面形式によるオンライン接客を行う薬剤師接客端末と、上記薬剤師接客端末とネットワークにより接続され、上記オンライン接客を受けた購入希望者に対して処方せん医薬品の遠隔販売を行う自動販売機と、上記薬剤師接客端末と上記自動販売機とネットワーク接続された管理サーバとを有する処方せん医薬品用遠隔自動販売システムであって、
処方せん医薬品を収納する収納手段と、
少なくとも上記収納手段に収納された処方せん医薬品を含む処方せん医薬品の上記購入希望者を撮像する撮像手段と、
上記撮像手段により撮像した上記購入希望者の撮像画像をネットワーク経由で上記薬剤師接客端末に、又は上記管理サーバを介して上記薬剤師接客端末に送信する撮像画像送信手段と、
処方せんの読み取りを行う処方せん読取手段と、
上記処方せん読取手段により読取った処方せんの有効性を判断する有効性判断手段と、
上記処方せん読取手段により読取った種類を判別する処方せん種類判別手段と、
上記有効性判断手段により有効と判断された場合、上記処方せん種類判別手段により判別した判別結果とともに、上記管理サーバに処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを送信する処方せんデータ送信手段と、
上記収納手段に収納された上記処方せん医薬品を排出する排出手段と、
を有する上記自動販売機と、
上記撮像画像送信手段により送信された上記購入希望者の撮像画像を表示させる表示手段と、
上記表示手段により表示された上記購入希望者に対して上記自動販売機を介して上記オンライン接客を提供するオンライン接客手段と、
を有する上記薬剤師接客端末と、
上記自動販売機から送信された処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを受信することにより、上記購入希望者の処方せんの受け付けを行う処方せん受付手段と、を有する上記管理サーバと、を備え、
上記オンライン接客手段は、上記処方せん受付手段により受付けた上記購入希望者に対してオンライン接客を提供することを特徴とする処方せん医薬品用遠隔自動販売システム。
【請求項2】
上記自動販売機は、個人認証ICカードや免許証ICカードにより本人認証を行うことを特徴とする請求項1記載の処方せん医薬品用遠隔自動販売システム。
【請求項3】
上記オンライン接客では、薬剤師アバターが用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の処方せん医薬品用遠隔自動販売システム。
【請求項4】
上記自動販売機内に処方せん医薬品の在庫がない場合に、複数の薬局端末を検索し、在庫がある薬局を紹介する紹介手段を有することを特徴とする請求項3記載の処方せん医薬品用遠隔自動販売システム。
【請求項5】
上記紹介手段は、購入希望者に在庫のある薬局を画面に表示する機能と、紹介した薬局端末に処方せん医薬品の購入依頼を送信する機能を有することを特徴とする請求項4記載の処方せん医薬品用遠隔自動販売システム。
【請求項6】
上記薬局端末は、購入依頼を受信すると、購入依頼画面に処方せん医薬品を表示する機能を有することを特徴とする請求項5記載の処方せん医薬品用遠隔自動販売システム。
【請求項7】
上記薬剤師接客端末による複数の薬剤師の登録管理を行う登録管理手段と、
上記登録管理手段により登録された複数の薬剤師接客端末に上記オンライン接客を紹介する一斉同報送信手段と、
上記複数の薬剤師接客端末のうち、1つの薬剤師接客端末のみに上記処方せん受付手段により受け付けられた購入希望者の上記オンライン接客を割当てるオンライン接客割当手段と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の処方せん医薬品用遠隔自動販売システム。
【請求項8】
上記処方せん医薬品は、不動医薬品が含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の処方せん医薬品用遠隔自動販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処方せん医薬品用遠隔自動販売システムに関し、特にスキマ時間がある薬剤師と処方せん医薬品を自分の都合に合わせて購入したい購入希望者の双方にとって好適な自動販売機を用いた処方せん医薬品用遠隔自動販売システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、患者は風邪や皮膚疾患などの各種疾病を発症すると、病院やクリニックなどの医療機関を受診し、診療が完了した後、疾病緩和のため、投薬治療を受けることが多い。そのとき、医師は紙の処方せんを作成し、患者に渡す。患者は受け取った紙の処方せんを調剤薬局に持って行き、調剤薬局の薬剤師による服薬指導を受けて、処方せんに記載された医薬品の処方を受けて、処方せん医薬品を受け取る(購入する)。
【0003】
しかしながら、調剤薬局は混んでいることが多く、その場合、処方せん医薬品の調剤処方に行った患者は処方せん医薬品の受取りまで長時間待たなければならない。長時間待つことができない患者は、後から、場合によっては後日、処方せん医薬品購入を希望する場合がある。
【0004】
このような調剤薬局で待ちたくない患者に対しては、ドラッグストアなどの調剤薬局がお薬受取り予約サービスを提供している例がある。お薬受取り予約サービスでは、スマートフォンでLINE(登録商標)にQRコード(登録商標)からお友達登録(認証・許可)しておき、処方せんを事前送信して後で処方せん医薬品を受け取りに行き、処方せん医薬品を購入することができる。具体的には、スマートフォンで処方せんの写真を撮り、処方せんの写真を送信する。LINE(登録商標)でメッセージを確認し、処方せん原本を持って薬局に処方せん医薬品を受け取りに行く。また、FAXで処方せんを調剤薬局に送り、処方せん原本を持って薬局に処方せん医薬品を受け取りに行くサービスもある。
【0005】
近年、新型コロナ感染の拡大により、感染リスクを避けて服薬指導をオンラインで行えるオンライン服薬指導サービスが増えつつある。
【0006】
薬局の営業時間は平日の10時から18時など短く、または休日などは休みの場合が多い。近くの病院やクリニックの営業時間と連動していることが多く、自由な時間に処方せん医薬品の受取りに行くことができない。また、ドラッグストアに併設された調剤薬局の場合は、ドラッグストアが営業している場合であっても、処方せん受付が終了しているケースが多く、利便性に欠けるという問題があった。
【0007】
一部の薬局では、オンライン服薬指導を受けることができるが、日程を予約して、予約した時間にオンライン服薬指導を受けなければならず、患者目線で自由にオンライン服薬指導を受けることができないという問題があった。
【0008】
使用期限が経過した医薬品は破棄しなければならないので、薬局ごとの年間廃棄額は平均20万円程度と推計される。全国の薬局数は約5万9000店にも及ぶため、医薬品廃棄に伴う損失額は年間100億円と推定される。更に、院内処方の医薬品も加えると100億円をはるかに超える見込みであるという医薬品の廃棄問題がある。この医薬品廃棄対策のため、人工知能(AI)による需要予測を活用した医薬品の自動発注サービスを始めた調剤薬局もある。店舗での過去の処方ペースや在庫数、周辺の医療機関の情報に基づいて需要予測するものであり、予測精度の向上がメインで、たまたま来店する珍しい医薬品まで対応するのは難しいという問題がある。
【0009】
薬局において、医薬品廃棄を伴う不動在庫が増加する理由としては、薬剤師は調剤の求めがあった場合、正当な理由がなければ拒否できないという応需義務が薬剤師法21条で定められている。そのため、薬局に在庫していない薬が処方された場合でも、その医薬品を提供する義務があるからである。
【0010】
医薬品は販売包装単位ずつの購入が原則とされるため、必要数が処方された後に残った医薬品は使用期限が過ぎると廃棄しなければならない。しかも医薬品は一般ゴミとして廃棄できないことから、委託業者への廃棄費用も発生してしまう、という課題を抱えている。
【0011】
薬剤師の雇用は地域差が激しいという課題がある。地方求人だと応募者がいない。僻地だと行きたがる人が少ない現状である。東京より、圧倒的に薬剤師が集まりにくい。その結果、薬剤師が採用できないと、処方せんが捌けなくなり薬局を畳むしかなくなるので、何が何でも採用したいため、高額求人になるという歪んだ状況にある。
【0012】
東京、神奈川、大阪などの大都市圏では、資格を有している薬剤師が、多数存在するが、正規雇用が難しい場合や、通勤して勤務できない事情の人が存在する場合がある。従って、このようなスキマ時間を保有している薬剤師の人材が活用できていないという問題がある。
【0013】
薬の自動販売機を新宿駅構内に設置し、一般市販薬の遠隔販売を実証実験した例がある。この例では、薬の自動販売機が販売していたのは、一般市販薬であり、処方せん医薬品の遠隔自動販売までは行っていなかった。また、オンライン服薬指導で薬剤師が顔出しをすると、薬剤師の自宅の部屋が公開されてプライバシー保護に欠け、薬剤師の顔が録画されセキュリティ保護が十分に行えないケースも発生する恐れがある。現在のオンライン服薬指導については、薬剤師側のセキュリティについて十分配慮されたものではなかった。
【0014】
処方せんの医薬品の遠隔自動販売システムに関連する例としては、特表2018-525762号公報(特許文献1)が挙げられる。特許文献1では、処方せん医薬品の遠隔販売を行う自動販売機システムが開示されている。この自動販売機システムは、商品の返却と払戻を行うモジュール、自動販売機と専門家オペレータステーション間の通信リンクを提供する通信ユニット、自動販売機を視力の弱い人でも使いやすくする、点字型グラフィックマークである手段を備えている。そして、自動販売機と、専門オペレータステーション内のコンピュータ制御ワークステーションで働く専門家オペレータによる販売処理の通信及び遠隔制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】「駅改札内におけるOTC販売機を用いた一般用医薬品販売の実証」を開始 https://www.taisho.co.jp/company/news/2022/20220329000975.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、非特許文献1の開示技術では、処方せん医薬品の自動販売については、考慮されていなかった。
また、上記特許文献1では、医薬品以外の規制商品を扱う遠隔自動販売機システムが開示されており、特に自動販売機を視力の弱い人でも使いやすくする、点字型グラフィックマークである手段を設けた特殊な構成のシステムであり、具体的に処方せんの種類に応じて遠隔販売を行うことまでは考慮されていなかった。
【0018】
上記従来の課題を解決するため、本発明の目的は、処方せん医薬品の遠隔自動販売システムを実現可能とし、薬剤師のセキュリティを確保した薬剤師アバター接客と在庫流動化システムを組み合わせ、医薬品の廃棄を削減し、薬剤師には新たな労働環境を実現する処方せん医薬品用遠隔自動販売システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1発明に係る処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、薬剤師が処方せん医薬品の購入希望者に対してオンライン上で非対面形式によるオンライン接客を行う薬剤師接客端末と、上記薬剤師接客端末とネットワークにより接続され、上記オンライン接客を受けた購入希望者に対して処方せん医薬品の遠隔販売を行う自動販売機と、上記薬剤師接客端末と上記自動販売機とネットワーク接続された管理サーバとを有する処方せん医薬品用遠隔自動販売システムであって、処方せん医薬品を収納する収納手段と、少なくとも上記収納手段に収納された処方せん医薬品を含む処方せん医薬品の上記購入希望者を撮像する撮像手段と、上記撮像手段により撮像した上記購入希望者の撮像画像をネットワーク経由で上記薬剤師接客端末に、又は上記管理サーバを介して上記薬剤師接客端末に送信する撮像画像送信手段と、処方せんの読み取りを行う処方せん読取手段と、上記処方せん読取手段により読取った処方せんの有効性を判断する有効性判断手段と、上記処方せん読み取り手段により読取った種類を判別する処方せん種類判別手段と、上記有効性判断手段により有効と判断された場合、上記処方せん種類判別手段により判別した判別結果とともに、上記管理サーバに処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを送信する処方せんデータ送信手段と、上記収納手段に収納された上記処方せん医薬品を排出する排出手段と、を有する上記自動販売機と、上記撮像画像送信手段により送信された上記購入希望者の撮像画像を表示させる表示手段と、上記表示手段により表示された上記購入希望者に対して上記自動販売機を介して上記オンライン接客を提供するオンライン接客手段と、を有する上記薬剤師接客端末と、上記自動販売機から送信された処方せん読み取りデータ及び処方せん種類データを受信することにより、上記購入希望者の処方せんの受け付けを行う処方せん受付手段と、を有する上記管理サーバと、を備え、上記オンライン接客手段は、上記処方せん受付手段により受け付けた上記購入希望者に対してオンライン接客を提供することを特徴とする。
【0020】
第2発明に係る処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、第1発明において、上記自動販売機は、個人認証ICカードや免許証ICカードにより本人認証を行うことを特徴とする。
【0021】
第3発明に係る処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、第1発明又は第2発明において、上記オンライン接客では、薬剤師アバターが用いられる薬剤師アバターであることを特徴とする。
【0022】
第4発明に係る処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、第3発明において、自動販売機内に処方せん医薬品の在庫がない場合に、複数の薬局端末を検索し、在庫がある薬局を紹介する紹介手段を有することを特徴とする。
【0023】
第5発明に係る処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、第4発明において、上記紹介手段は、購入希望者に在庫のある薬局を画面に表示する機能と、紹介した薬局端末に処方せん医薬品の購入依頼を送信する機能を有することを特徴とする。
【0024】
第6発明に係る処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、第5発明において、薬局端末は、購入依頼を受信すると、購入依頼画面に処方せん医薬品を表示する機能を有することを特徴とする。
【0025】
第7発明に係る処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、第1発明又は第2発明において、上記薬剤師接客端末による複数の薬剤師の登録管理を行う登録管理手段と、上記登録管理手段により登録された複数の薬剤師接客端末に上記オンライン接客を紹介する一斉同報送信手段と、上記複数の薬剤師接客端末のうち、1つの薬剤師接客端末のみに上記処方せん受付手段により受付けられた購入希望者の上記オンライン接客を割り当てるオンライン接客割当手段と、を有することを特徴とする。
【0026】
第8発明に係る処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、第1発明又は第2発明において、上記処方せん医薬品は、不動医薬品が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
上述した構成からなる本発明によれば、処方せん医薬品の遠隔自動販売システムを実現することができる。また、セキュリティを確保した薬剤師アバター接客と在庫流動化システムを組み合わせ、医薬品の廃棄を削減することができ、新たな労働環境を実現する(新たな雇用を創出する)ことができる医薬品用遠隔自動販売システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける自動販売機の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1のモニター表示画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、処方説明の有無の選択画面例を示す図である。
【
図5】
図5は、処方せんの種類を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける自販機ボックスの図である。
【
図7】
図7は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける自販機ボックスの図である。
【
図8】
図8は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける薬剤師接客端末の概略機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、本第1実施形態の本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける薬剤師アバターの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、薬剤師アバターによる処方説明の初期画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、薬剤師(リアル)による処方説明の初期画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、薬剤師(リアル/アバター)による処方説明の選択画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける薬剤師接客端末のハードウェア構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、薬剤師接客端末のオンライン接客中の画面例を示す図である。
【
図15】
図15は、薬剤師接客端末のオンライン接客中の画面例を示す図である。
【
図16】
図16は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける管理サーバの機能ブロック図である。
【
図17】
図17は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの動作フローチャートである。
【
図18】
図18は、本第2実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの動作フローチャートである。
【
図22】
図22は、保険調剤薬局を利用した場合の調剤済領収書の例を示す図である。
【
図23】
図23は、本第1実施形態の他の例を示す処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの例を説明するための図である。
【
図24】
図24は、本第3実施形態の他の例を示す処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの処理フローチャートである。
【
図25】
図25は、本第4実施形態の他の例を示す処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの処理フローチャートである。
【
図26】
図26は、本第5実施形態の他の例を示す処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの処理フローチャートである。
【
図27】
図27は、本第6実施形態の他の例を示す処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの処理フローチャートである。
【
図28】
図28は、本第7実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける管理サーバの機能ブロック図である。
【
図29】
図29は、本第8実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムを利用した在庫流動化システムを説明するための図である。
【
図31】
図31は、
図30の在庫流動化システムを組合せた処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの処理フローチャートである。
【
図33】
図33は、本発明のオンライン接客フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
<実施形態>
<実施形態 概要>
本実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、薬剤師が処方せん医薬品の購入希望者に対してオンライン上で非対面形式によるオンライン接客を行う薬剤師接客端末と、上記薬剤師接客端末とネットワークにより接続され、上記オンライン接客を受けた購入希望者に対して処方せん医薬品の遠隔販売を行う自動販売機と、上記薬剤師接客端末と上記自動販売機とネットワーク接続された管理サーバとを有する処方せん医薬品用遠隔自動販売システムであって上記処方せん医薬品の購入希望者が自動販売機から処方せんの読取り操作を行い、処方説明を希望すると、自動販売機は読取った処方せん読取りデータから処方せんの有効性を判断し、有効性が判断された場合、処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを上記管理サーバに送り、薬剤師によるオンライン接客を受けることにより、自動販売機で処方せん医薬品の遠隔販売を実現したシステムである。
【0030】
これにより、薬局での待ち時間の短縮を図ることができる。
【0031】
<第1実施形態 構成 処方せん医薬品用遠隔自動販売システム>
本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムは、
図1に示すように、自動販売機1a、1b、1c・・・(自動販売機の台数は、簡略化のため3台しか記載していないが、これに限定されない)と、管理サーバ2と、薬剤師接客端末3a、3b、3c・・・(薬剤師接客端末の台数は、簡略化のため3台しか記載していないが、これに限定されない)と、ネットワーク4と、管理者端末5と、薬局端末6a、6bと、を有する。処方せん医薬品の購入予定者7の操作による処方せんの読取りを契機として、オンライン接客ソフトウェアを起動して、薬剤師によるオンライン服薬指導を含む処方サービスを受けて、自動販売機を用いた処方せん医薬品の遠隔販売システムを実現した。
【0032】
<第1実施形態 構成の説明 処方せん医薬品用遠隔自動販売システム>
自動販売機1a、1b、1cは、薬剤師接客端末3a、3b、3cとネットワーク4により接続され、オンライン接客を受けた購入希望者に対して処方せん医薬品の遠隔販売を行う。自動販売機1a、1b、1cは、一般的な公知のIoT自動販売機を改良して処方せん医薬品の販売を行っても良いし、新規の処方せん専用のIoT自動販売機を用いても良い。しかしながら、処方せん医薬品(処方薬)の保管や管理は、薬機法で規定されるので、規定を遵守した保管方法で管理されているものとする。例えば、解熱剤の処方薬であるカロナール錠200の場合は、「乳幼児、小児の手の届かないところで、直射日光、高温、湿気を避けて保管してください。薬が残った場合、保管しないで廃棄してください」、とあるので、その保管方法を遵守している。例えば、自動販売機を設置した場所が高温になる場合は、冷却用の設備や温度管理設備を自動販売機内に搭載し、温湿度管理を行っているものとする。
【0033】
管理サーバ2は、ネットワーク4を介して薬剤師端末3aと自動販売機1aとを接続している。そして、処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの全体の制御やシステム上必要な機能や、処方せん医薬品のデータベースを保有していても良いし、PDMAデータベースの検索機能を有していても良い。管理サーバ2は、単独のスタンドアロンのサーバでも良いし、クラウド上に管理サーバ2を実現しても良い。
【0034】
薬剤師接客端末3a、3b、3cは、薬剤師が処方せん医薬品の購入希望者7に対して非対面形式によるオンライン接客を行う。ここで、オンライン接客とは、保険調剤でも認められているオンライン服薬指導を含む処方サービス全般をいう。薬剤師接客端末3a、3b、3cと自動販売機1a、1b、1cとがネットワーク4に接続され、薬剤師接客端末3a、3b、3cを通して自動販売機1a、1b、1cの処方せん医薬品の購入希望者7に対してオンライン接客を行い、処方品医薬品の遠隔販売を行う。
【0035】
ネットワーク4は、インターネット、ブロードバンド、近距離無線通信(Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-SUN)、モバイル携帯電話回線などを利用することができる。ネットワーク4は、有線LAN、無線LANなどのどちらを使用しても良い。
【0036】
管理者端末5は、ネットワーク4に接続してシステム全体の制御を行う。具体的には、自動販売機1a、1b、1c、管理サーバ2、薬剤師接客端末3a、3b、3c、薬局端末6a、6bの管理サーバ2への登録、薬剤師のユーザ登録・管理などを行う。
【0037】
さらに、薬局端末6a、6bは、調剤薬局に設置された端末であり、調剤薬局内での各種調剤業務に使用されるものである。薬局端末6a、6bは、管理サーバ2とネットワーク接続され、処方せん医薬品の薬局内在庫チェックや、管理サーバ2からの処方せん医薬品の購入依頼を受け付けて、購入希望者の処方を受付ける機能も有している。本処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの運営者(薬局開設者)と調剤薬局とが提携関係にあった場合は、薬局端末6a、6bは、自動販売機1a、1b、1cに処方せん医薬品の在庫がないとき、補完的な役割を持つように構成しても良い。
【0038】
<第1実施形態 構成 自動販売機>
図2は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける自動販売機の機能ブロック図である。
【0039】
本第1実施形態の自動販売機1a、1b、1cは、
図2に示すように、収納手段10と、撮像手段12と、撮像画像送信手段13と、処方せん読取手段14と、有効性判断手段15と、処方せん種類判別手段15と、処方せんデータ送信手段16と、排出手段17と、を有する。
【0040】
<第1実施形態 構成の説明 自動販売機>
収納手段10は、処方せん医薬品を収納する。処方せん医薬品は薬の効き目が強く、副作用や併用忌避などがあるため、医師、歯科医師、獣医師などの診療(診察)を受けて、処方せんを発行してもらい、その処方せん原本を薬局などに持参して、薬剤師による対面の服薬指導を受けて、処方せん医薬品を受取る(購入する)ことが原則である。
【0041】
しかしながら、新型コロナ感染症などの広がりにより、医師等によるオンライン診療を受けて、処方せんを発行してもらい、薬剤師による服薬指導もオンラインで行うオンライン服薬指導を行うケースも増えつつある。ここで、オンライン服薬指導とは、パソコンやスマートフォン等の情報通信機器を活用し、患者の状態等を確認しつつ実施する服薬指導をいう。オンライン服薬指導は薬局と患者の自宅などに限られていたが、オンライン指導の場所の制限が緩和され、薬剤師が自宅からオンライン服薬指導を行うことが可能となった。
【0042】
情報通信機器を使いこなせる患者はパソコンやスマートフォンのIT機器によるオンライン服薬指導が可能であるが、IT機器に慣れていない患者はサービスを利用するには、ハードルが高かった。また、処方する薬剤の交付は宅配便で配送されるため、タイムラグが発生し、すぐに薬剤(処方せん医薬品)を入手するには、不便であった。そこで、本発明では、もっと使いやすいサービスを提供するため、処方せん医薬品を自坊販売機で薬剤師のオンライン服薬指導を受けた後、すぐに薬の処方を行えるように、自動販売機に一部の処方せん医薬品(処方薬)を予め自動販売機内に収納しておき、オンライン服薬指導終了後に薬の処方を行える処方せん医薬品用遠隔自動販売システムを発明した。
【0043】
処方せん医薬品でも、パッケージに包装されているものは、通常の自動販売機のように収納手段10にセットするだけで、処方可能となる。しかし、処方せん医薬品の場合は、顆粒、錠剤、クリーム、内服薬(液体)などの様々な形態がある。処方医薬品の容量に応じてサイズの異なる収納パッケージに収納するように構成しても良い。また、自動販売機内にピッキング手段(機構)を内蔵させ、そのピッキング手段を用いて処方せん医薬品を排出する構成を採用しても良い。処方せん医薬品の収納パッケージは、処方容量に応じて、大、中、小などのパッケージに収納しても良い。自動ロボットでピッキングする構成を採用する場合は、パッケージの横に、1次元バーコードや2次元バーコード(QRコード(登録商標)を含む)を付けて在庫管理や内容物管理を行い、ロボットの目(カメラ)による自動ピッキングを行っても良い。
【0044】
本収納手段10には、処方せん医薬品を収納するのが基本であるが、セルフメディケーションの観点から、OTC医薬品(第1類医薬品、第2類医薬品、指定第2類医薬品、第3類医薬品)や医薬部外品を収納しても良い。OTC医薬品や医薬部外品であれば、処方せんがなくても購入できる。第1類医薬品であれば薬剤師、第2類医薬品であれば薬剤師又は登録販売者、指定第2類医薬品であれば薬剤師又は登録販売者、第3類医薬品であれば、薬剤師又は登録販売者であれば、販売することができる。
【0045】
撮像手段12は、少なくとも上記収納手段に収納された処方せん医薬品を含む処方せん医薬品の上記購入希望者を撮像する。撮像手段12は広角のカメラを有しており、ズーム機能を有し、購入希望者をズームアップして顔色などを確認できる機能を備えても良い。
【0046】
撮像画像送信手段13は、撮像手段13により撮像した購入希望者の撮像画像をネットワーク4経由で薬剤師接客端末3a、3b、3cに、又は管理サーバ2を介して薬剤師接客端末3a、3b、3cに送信する。ここで、登録された複数の薬剤師のうち、1人にオンライン服薬指導を行う権利を与えるような場合は、管理サーバ2を介して送信するようにするのが好ましい。管理サーバ2にて交通整理を行うためである。
【0047】
処方せん読取手段14は、処方せんの読取りを行う。処方せんの読み取りは、購入希望者が
図3に示すようなモニター画面表示に「画面をタッチして下さい」などのメッセージが表示され、購入希望者が画面にタッチすると、モニター画面表示に「処方説明あり」、「処方説明なし」の選択表示画面が表示される(
図4参照)。選択画面の「処方説明あり」を購入希望者がタッチした場合、オンライン接客フローをスタートするように構成しても良い。自動販売機が処方せん医薬品のみを遠隔販売する場合は、処方説明あり、処方説明なしの選択画面は表示せず、例えば、「処方せん読取りを行ってください」等のメッセージをモニター画面に表示させ、購入希望者による処方せん読取操作を促しても良い。ここで、購入希望者が読取りを行う処方せんについて説明する。
図5(a)(b)(c)に示すように、処方せんは、通常の処方せん(
図5(a))、リフィル処方せん(
図5(b))、分割処方せん(
図5(c))がある。
【0048】
通常の処方せんには、
1.保険者番号
2.氏名・生年月日・性別
3.医療機関名・連絡先・処方した医師の名前
4.お薬の名前
お薬の形(錠剤、カプセル剤など)
お薬の量 1回あたりに飲む量
1日に飲む回数
飲むタイミング
5.ジェネリック医薬品への変更について
6.リフィル処方せんついて
リフィル処方せん利用可否と利用可能回数
調剤日と次回来局予定日
などの情報が記載されている。そして、処方せんの調剤は、処方せん発行日から4日以内に薬局等で薬剤師により処方してもらうように規定されている。
【0049】
また、リフィル処方せんは、
図5(b)に示すように、通常の処方せんの項目に加えて、リフィル可のチェック欄があり、医師がリフィル可にチェックすると、最大3回同じ処方せんを使用することができる。薬剤師は2回と指定した場合は、2回のみの使用となる。リフィル回数が診察した医師により決められる。
【0050】
分割処方せんは、
図5(c)に示すように、分割回数と処方が記載されている。
【0051】
これらの処方せんは、紙、QRコード(登録商標)付きの紙、電子処方せんなどである。処方せんの媒体提供形態に応じて、処方せん読取り手段13は、カメラ、QRコード(登録商標)リーダ、電子処方せんの場合はスマートフォンなどと自動販売機がWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-SUNなどの無線通信技術インターフェースを利用することができる。紙の処方せんの読取りはカメラで画像を読取り、OCRで認識しても良いし、QRコード(登録商標)の場合は、QRコード(登録商標)リーダで読取るように構成しても良い。スマートフォンに処方せんが電子形式で格納されている場合は、Suica(登録商標)などのタッチ式リーダ、又は無線通信により自動販売機に処方せんデータを転送するように構成しても良い。
【0052】
購入希望者はオンライン接客フローのうち、オンライン服薬指導を受ける場合は、
図6(a)(b)、
図7に示すような自動販売機ボックスの中に入り、そこに設置された椅子に座り、薬剤師の指導を受けることになる。
図8に薬剤師接客端末のシステムの最小構成を示す。薬剤師接客端末3a、3b、3cは、撮像画像送信手段12により送信された購入希望者の撮像画像を表示させる表示手段30と、表示手段30により表示された購入希望者に対して自動販売機1a、1b、1cを介して上記オンライン接客を提供するオンライン接客手段31と、を有する。本発明では、薬剤師側のセキュリティも考慮し、上記オンライン接客では、薬剤師アバターが用いられるように構成しても良い。例えば、
図9に示すような薬剤師アバターを利用しても良い。以下では、薬剤師アバターの各種変形例を説明する。薬剤師の個人情報保護や購入希望者に対するサービス向上の観点から、薬剤師アバターと薬剤師(リアル)の表示を適宜変更して表示させるように構成しても良い。例えば、
図10に示す画面は薬剤師アバターによる処方説明のモニター画面例を示す。
図11に薬剤師本人のビデオ画像表示にてオンライン服薬指導を含むオンライン接客フロー導入画面である。
図12に薬剤師(リアル:顔出し)と薬剤師(アバター)の選択画面を示す。ここで、薬剤師アバターとは、薬剤師本人になり替わって処方せん購入者とオンライン接客を提供する2次元又は3次元のキャラクタ画像であり、動画又は静止画のどちらの構成を採用しても良い。例えば、薬剤師アバターはシステム運営者の共通のキャラクタ画像を表示させて、その背後ではリアルな薬剤師が音声で購入希望者にオンライン服薬指導を含むオンライン接客を行う構成としても良い。この場合は、システム運営会社としては、オンライン接客サービスの共通化が図れ、顧客に対するサービスの統一性が図れるメリットがある。薬剤師キャラクタから発生される音声は薬剤師自身の音声を出力しても良いし、薬剤師の音声をキャラクタのイメージに変換して出力するように構成しても良い。例えば、薬剤師アバターのキャラクタが男性画像であれば、男性の音声を出力しても良いし、その薬剤師アバターのキャラクタが女性画像であれば、女性の音声を出力しても良い。薬剤師アバターを表示するモニター画面の背景画像や背景映像も実写ではなく、薬剤師接客端末や管理サーバに保存された画像や映像を出力するように構成しても良い。また、保存された画像や映像以外に、薬剤師の実写画像にぼかしを入れて表示させるように構成しても良い。
【0053】
有効性判断手段15は、処方せん読取手段13により読取った処方せんの有効性を判断する。自動販売機を利用する購入希望者が、自動販売機ボックスに入室し、カーテン(図示省略)又はドア(図示省略)を閉め、椅子に座った状態で、購入希望者が処方せん読取部から持参した処方せんの読み取りを行う(
図6(a)(b)、
図7参照)。
図6(a)(b)、
図7には、証明写真の写真機ボックスのカーテンや公衆電話ボックスのようなドアが設けられているが、図示を省略している。
【0054】
上述したような購入希望者の処方せんの読取り操作により、自動販売機内に処方せんの読取りデータが取り込まれると、処方せん読み取りデータに基づいて処方せんの有効性判断を行う。先ず、処方せん発行日から4日以内であること、リフィル処方せんの場合は、リフィル回数、分割処方せんの場合は、分割回数などをチェックし、判断する。ここで、処方せん読み取りデータとしては、通常の処方せん記載事項、例えば処方せん発行日、1.保険者番号、2.氏名・生年月日・性別、3.医療機関名・連絡先・処方した医師の名前、4.お薬の名前(お薬の形(錠剤、カプセル剤など)、お薬の量 1回あたりに飲む量、1日に飲む回数、飲むタイミング)、5.ジェネリック医薬品可否情報、6.リフィル処方せん情報(リフィル処方せん利用可否と利用可能回数、調剤日と次回来局予定日)、7.分割処方せん情報(分割回数と処方)などの情報が含まれる(
図5(a)(b)(c)参照)。処方せんが紙媒体の場合は、処方せんの画像データと画像データをテキスト化した電子情報の双方が含まれる。処方せんがQRコード(登録商標)の場合は、QRコード(登録商標)情報を読み取ることにより、電子情報を入手できる。保険調剤には処方せんの原本保管が必要なので、処方せんの画像データも取込むことが好ましい。
【0055】
処方せん種類判別手段15は、処方せん読取手段13により読取った種類を判別する。通常の処方せん、リフィル処方せん、分割処方せんなどの判別を行う(
図5(a)(b)(c)を参照)。
【0056】
処方せんデータ送信手段16は、有効性判断手段14により有効と判断された場合、処方せん種類判別手段15により判別した判別結果とともに、管理サーバ2に処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを送信する。処方せん読取データは上述した処方せんの内容である。また、処方せん種類データは、通常の処方せん、リフィル処方せん、分割処方せんの識別情報データである。
【0057】
排出手段17は、収納手段10に収納された処方せん医薬品を排出する。ここで、処方せん医薬品を排出できるのは、購入希望者が自動販売機での処方を希望し、処方せん医薬品の在庫を有している場合である。自動販売機内に処方せん医薬品の在庫を有していない場合、提携薬局の在庫情報を検索し、紹介する機能を有しても良い。
【0058】
<第1実施形態 構成 薬剤師接客端末>
図8は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける薬剤師接客端末の概略機能ブロック図である。
本第1実施形態の薬剤師接客端末3a、3b、3cは、
図8に示すように、表示手段30と、オンライン接客手段31と、を有する。
【0059】
<第1実施形態 構成の説明 薬剤師接客端末>
表示手段30は、撮像画像送信手段12により送信された購入希望者の撮像画像を表示させる。
オンライン接客手段31は、マイクやスピーカなどの音声入出力機能とカメラとモニターを有する。一般的には、オンライン接客ツール(オンライン接客ソフトウェア)と組合せて利用することができる。または、オンライン接客手段31は、薬剤師接客端末にビデオ会議システムが標準で搭載されていれば、上記ハードウェアを準備するだけでもオンライン接客を提供することができる。Webブラウザベースでオンライン接客を利用するように構成しても良い。ここで、オンライン接客とは、オンライン服薬指導を含む処方サービス全般をいう。
図8に示した薬剤師接客端末は、最小システム構成を示したものであり、具体的には
図13に示すようなディスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレットPCなどでオンライン接客を提供する。
【0060】
図13に示すように、薬剤師接客端末8の計算機の構成は、CPU81と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ82と、D-RAM等の主メモリ83と、医薬品データベースやオンライン服薬指導を含む処方サービスに必要なデータを蓄積したディスク84(ハードディスク、シリコンディスク等)と、ディスプレイ90と、キーボード91と、マウス92と、ネットワークインターフェース89と、プリンタ93と、USBインターフェース85と、カメラ86と、スピーカ87と、マイク88を有し、システムバスに接続されている。
【0061】
<実施形態 オンライン接客の具体例 薬剤師接客端末3aが自動販売機1aと接続>
まず、複数の薬剤師接客端末のうち、薬剤師接客端末3aが自動販売機1aの処方せん医薬品購入者と接続され、処方せん医薬品のオンライン接客を実施する具体例について説明する。
図1に示すような自動販売機1aの処方せん読取部から上記購入希望者の操作により、処方せんが読み取られると、処方せんの有効性判断が行われ、処方せん読取りデータが管理サーバに送信され、薬剤師端末3aが自動販売機1aとネットワーク接続された例として、オンライン接客について説明する。
【0062】
薬剤師は、
図14、
図15に示すように、オンライン接客アプリを起動して薬剤師アバターを介してオンライン接客を開始する。以下では、自動販売機を利用する処方せん医薬品の購入者は、例えば、
図6、
図7に示すような自動販売機ボックスの椅子に座り、薬剤師によるオンライン服薬指導を受けて、処方せん医薬品の遠隔販売を利用する例について説明する。自動販売機ボックスに入室した購入希望者は、例えば、自動販売機のモニター画面をタッチすることにより、自動販売機の遠隔販売フローを開始する。また、購入希望者が自動販売機ボックスに入室した時点で、音声案内により購入希望者に対して操作指示を与えるように構成しても良い。
【0063】
図14、
図15の例では、薬剤師側の薬剤師接客端末と自動販売機がオンライン接続され、処方せん医薬品の購入希望者が薬剤師によるオンライン服薬指導を受けている状態を示している。
薬剤師は、コンピュータ153を起動し、薬剤師接客端末のキーボード154により、ログインIDやパスワードを入力すると、管理サーバ2にログインでき、管理サーバ2とオンライン接続される。薬剤師接客端末であるコンピュータ153と自動販売機1a(以下、自動販売機を代表して1aとの接続として説明する)との接続は、管理サーバ2の制御によりオンライン接続しても良いし、管理サーバ2を介在しないで直接接続しても良い。
【0064】
図14、
図15に示すように、ディスプレイ151の画面上には、購入希望者画像を表示した画面155と薬剤師自身の画像をそのまま表示せずに薬剤師アバターに変換して表示した画面156が表示される。画面156の画像は、カメラ152で撮像した薬剤師自身の画像を表示するように構成しても良い。
【0065】
薬剤師アバターを利用するメリットは、運営者側では共通の処方サービスを提供できることがある。薬剤師アバターによるオンライン接客サービスを提供する場合、顔出しすることによる情報拡散のリスクも低減され、薬剤師のセキュリティの確保も担保されるため、スキマ時間を利用して心理的に抵抗なくオンライン接客サービスを提供することができる。
【0066】
一方、処方せん医薬品の購入者が、薬剤師アバターのオンライン接客による処方に不安が残るような場合、薬剤師アバターに代えて、薬剤師自身の画像を自動販売機のモニター画面に表示できるように構成しても良い。更に、処方せん医薬品の種類によっては、購入者が薬剤師と直接ビデオ画像を表示して会話するのが、はばかれる処方せん医薬品もあるので、最初だけ薬剤師がリアル画像を表示し、その後薬剤師アバターに切替えて表示するように構成しても良い。
【0067】
薬剤師がオンライン服薬指導を開始するためには、処方せんデータとして、段落0050~0053で説明した(
図5(a)(b)(c)を参照)ような処方せんデータを入手しておく。
図15は薬剤師157が購入希望者の処方せんデータを紙出力して準備した例である。薬剤師157は、処方せんデータを見ながら一対一のオンライン服薬指導を行う。
図15の例では、処方せんデータを紙出力したような例を示しているが、これに限定されない。例えば、画面151に処方せんデータを表示するとともに、自動販売機の画面にも同じ処方せんデータを表示させて、薬剤師と自動販売機側の購入希望者とが同じ画像を見ながらオンライン服薬指導を受けても良い。
【0068】
上述した説明では、自動販売機ボックスを利用した薬剤師によるオンライン接客について説明したが、自動販売機ボックスは必ずしも必須ではない。例えば、会社や病院の締め切った部屋に自動販売機を設置する場合は、処方せん医薬品の購入希望者のセキュリティが確保できるので、自動販売機を囲むボックスはなくても良い。また、処方せん受付薬局の営業時間外の空き時間(スキマ時間)や休日にオンライン服薬指導が可能となれば、サービスの向上になるので、処方せん受付薬局内に上述した処方せん医薬品用の自動販売機を設置しても良い。
【0069】
<第1実施形態 構成 管理サーバ>
図16は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける管理サーバの機能ブロック図である。
本第1実施形態の管理サーバ2は、
図16に示すように、処方せん受付手段20と、処方せん情報記録手段21と、薬剤師登録管理手段22と、購入者登録手段23と、オンライン接客割当手段24と、一斉同報送信手段25と、在庫情報管理手段26と、提携薬局連携手段27と、紹介手段28と、を有する。
【0070】
<第1実施形態 構成の説明 管理サーバ>
管理サーバ2は、自動販売機から送信された処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを受信することにより、購入希望者の処方せんの受け付けを行う。ここで、保険調剤により報酬を受ける場合は、必要な処理を行う必要がある。
【0071】
処方せん受付手段20は、自動販売機1a、1b、1cから送信された処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを受信することにより、購入希望者の処方せんの受け付けを行う。
【0072】
処方せん情報記録手段21は、保険調剤の保険請求をするため、または購入者(患者)の薬歴管理を行うために処方せん情報を記録する。
【0073】
薬剤師登録管理手段22は、薬剤師接客端末3a、3b、3cによる複数の薬剤師の登録管理を行う。本システムは、オンライン接客によるオンライン服薬指導を行うので、薬剤師は全国どこに住んでいても良い。薬剤師接客端末にて、薬剤師の登録を行う。しかし、薬剤師の資格情報なども同時に登録してもらう。薬剤師登録管理手段22の情報には、スキマ時間にオンライン服薬指導可能となるように、勤務形態は拘束時間を設けない勤務態勢を採用しても良い。
【0074】
購入者登録手段23は、処方せん医薬品を購入した購入者の情報を登録する。保険調剤をした場合は、薬歴管理を行うため、情報を保管しておく必要があるため、購入書の情報は記録しておく。
【0075】
オンライン接客割当手段24は、複数の薬剤師接客端末3a、3b、3cのうち、1つの薬剤師接客端末のみに処方せん受付手段20により受け付けられた購入希望者の上記オンライン接客を割当てる。複数の薬剤師端末からオンライン接客希望があった場合は、そのうちの一人の薬剤師接客端末にオンライン接客を割当てるように構成しても良い。
【0076】
一斉同報送信手段25は、薬剤師登録管理手段22により登録された複数の薬剤師接客端末3a、3b、3cに上記オンライン接客を紹介する。自動販売機で処方せん医薬品の遠隔販売を希望する購入希望者は不定期でオンライン接客の要求が発生するので、発生したタイミングで対応可能な薬剤師の薬剤師接客端末につなぐために、一斉同報送信を行う。
【0077】
在庫情報管理手段26は、自動販売機内の処方せん医薬品の在庫管理、システム運営者の医薬品倉庫の在庫管理、提携薬局の処方せん医薬品の在庫管理などを行う。
【0078】
提携薬局連携手段27は、システム運営者と提携した薬局と連携する。自動販売機内に処方せん医薬品の在庫がない場合に、薬剤師アバター(薬局検索機能)が複数の薬局端末を検索し、在庫がある薬局を紹介する機能を有する。
【0079】
紹介手段28は、購入希望者に在庫のある薬局(端末)を画面に表示する機能と、紹介した薬局の薬局端末に処方せん医薬品の購入依頼を送信する機能を有する。購入依頼を受信した薬局端末は、購入依頼画面に処方せん医薬品を表示する機能を有する。
【0080】
図17は、本第1実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの動作フローチャートである。以下、
図17のフローチャートを用いて処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの動作を説明する。
【0081】
<自動販売機の処理フロー>
まず、自動販売機において、購入希望者がモニター画面をタッチすると(
図3参照)、撮像手段11により撮像開始処理ステップを実行する(ステップ1701)。次に撮像画像送信手段12により撮像画像送信処理ステップを実行する(ステップ1702)。ステップ1702では、撮像画像を管理サーバ2に対して送信する。
【0082】
購入希望者が
図4に示すようなモニター画面の「処方説明あり」、または「処方説明なし」の処方説明ありをタッチし、処方せん読取部(
図1参照)に処方せんをかざすと、処方せん読取手段13により処方せん読取処理ステップを実行する(ステップ1703)。ここで、処方せん読取りは処方せんが紙媒体の場合は、スキャナやカメラで読取りを行う。また、処方せんにQRコード(登録商標)が付いている場合は、処方せん読取部にはQRコード(登録商標)リーダを搭載して読取りを行う。購入希望者が自分のスマートフォンに電子処方せんを保存している場合は、スマートフォンから近距離無線通信インターフェース(例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、LPWAなど)を利用し、自動販売機の近距離無線通信インターフェースを介して転送しても良い。
【0083】
次に有効性判断手段14により処方せん有効性判断処理ステップを実行する(ステップ1704)。処方せん有効性判断については、上述したので、ここでは簡単に説明する。まず、処方せんは発行日から4日以内のものが有効であるため、その有効性を判断する。また、処方せんには、通常の処方せん(
図5(a))、リフィル処方せん(
図5(b))、分割処方せん(
図5(c))があるので、処方せんの種類に応じた判断も行う。
【0084】
次に処方せん種類判別手段15により処方せん種類判別処理ステップを実行する(ステップ1705)。ステップ1705では、読取った処方せんデータから処方せんの種類判別を行う。例えば、通常の処方せん、リフィル処方せん、分割処方せん(分割処方)などの種類判別を行う。
【0085】
ここで、ステップ1704の処方せん有効性判断処理ステップやステップ1705の処方せん種類判別処理ステップは、自動販売機内で処理しているが、これらの機能を管理サーバ2に持たせて、読み取った処方せんデータをまとめて処理しても良い。処方せんデータが画像データの場合は、光学的文字読み取り(OCR:Optical Character Reader)機能により、テキスト化しても良い。
【0086】
これらの読み取った処方せんデータは、処方せんデータ送信手段16により処方せんデータ送信処理ステップを実行する(ステップ1706)。ここで、有効性判断処理ステップ1704において、処方せんが有効と判断された場合、処方せん種類判別処理ステップ1705で判別した判別結果とともに、管理サーバ2に処方せん読取りデータ及び処方せん種類データを送信する。ここで、処方せんデータとは、1.保険者番号、2.氏名・生年月日・性別、3.医療機関名・連絡先・処方した医師の名前、4.お薬の名前、お薬の形(錠剤、カプセル剤など)、お薬の量 1回あたりに飲む量、1日に飲む回数、飲むタイミング、5.ジェネリック医薬品への変更について、6.リフィル処方せんついて、リフィル処方せん利用可否と利用可能回数、調剤日と次回来局予定日などの情報を含む。これ以外に処方せん発行日や発行日から4日以内に処方を受ける旨の記載がある。また、処方せん種類データとは、通常の処方せん、リフィル処方せん、分割処方せんなどのデータである。
【0087】
<自動販売機と薬剤師接客端末によるオンライン接客フロー>
以上の処理に応答して、管理サーバ2にて一連の処方せん受付処理が行われ(ステップ1711~1714)、薬剤師接客端末の1つが管理サーバ2に接続され(ステップ1721)、管理サーバ2が受信した撮像画像データ及び処方せんデータを薬剤師接客端末に送信し(ステップ1716)、薬剤師接客端末がこれらの撮像画像及び処方せんデータを受信すると(ステップ1722~1724)、オンライン接客開始処理ステップが実行される(ステップ1716)。
【0088】
ステップ1716のオンライン接客開始処理ステップが実行されると、オンライン接客ツール(オンライン接客ソフトウェア)により管理サーバ2を介して自動販売機と薬剤師接客端末とが繋がり、オンライン接客処理ステップが実行される(ステップ1707、1717、1725)。このオンライン接客ステップにより、処方せん医薬品の購入希望者と薬剤師とが自動販売機と薬剤師接客端末とを通してオンライン接続され、オンライン服薬指導を含む処方サービスを受けることができる。オンライン接客が終了すると、オンライン接客終了ステップを実行すると(ステップ1707、1718、1726)、オンライン接客処理が終了し、自動販売機と薬剤師接客端末との接続が切断される。
【0089】
薬剤師の薬剤師接客端末によるオンライン接客は、
図9に示すような薬剤師アバターにより行うことができる。このように、薬剤師アバターによれば、薬剤師の顔出しをしないで薬剤師がオンライン接客できれば、薬剤師のセキュリティを確保した上でのオンライン接客が可能となる。
図11に示すような薬剤師(リアル)の選択画面により、リアルな薬剤師が顔出しで行うことができるようになっている。また、
図12に示すような薬剤師(リアル)や薬剤師(バーチャル)の選択画面を表示させ、処方せん購入希望者に選択させるように構成しても良い。更に、薬剤師がオンラインでの会話が苦手な場合は、最初に顔出しをして購入希望者の同意を得て、薬剤師アバターに画面表示を切り替えるように構成しても良い。
【0090】
オンライン接客が終了した場合、自動販売機ボックス(例えば、
図6、
図7参照)にいる購入希望者は処方せん医薬品処方指示ステップ(ステップ1709)により自動販売機で処方を希望した場合は、処方せん医薬品受取ステップ1710の処理を実行すると、排出手段17より処方された医薬品が排出されることになる。また、処方せん医薬品の在庫がない場合は、提携薬局を紹介しても良いし、システム運営者の在庫を提供することにより処方を行うようにしても良い。
【0091】
上記した自動販売機の処理フローでは、オンライン接客終了ステップ1708の後に、処方せん医薬品処方指示ステップ1709と処方せん医薬品受取ステップ1710の処理を実行していたが、これに限定されない。例えば、処方せん医薬品処方指示ステップ1709、処方せん医薬品受取ステップ1710の処理を実行した後に、オンライン接続終了ステップ1708の処理を実行しても良い。
【0092】
このように、本第1の実施形態によれば、処方せん医薬品用遠隔販売システムが実現できるので、処方せん医薬品用の自動販売機があれば、スマートフォンなどのIT機器を使用しなくても簡単に処方せん医薬品の処方ができ、処方せん医薬品(薬剤)を宅配で配送するよりも早く入手ができるようになる。例えば、過疎地などに処方せん医薬品を設置すれば、近くに薬局などがない場合の代替手段になり得る。
【0093】
また、上記第1の実施形態では、処方せん医薬品の遠隔自動販売について説明したが、処方せんがいらないOTC医薬品(第2類医薬品、第3類医薬品)、医薬部外品なども自動販売機に収納すれば、利便性が上がる。疾病の軽い症状の場合は、処方せん医薬品ではないOTC医薬品を購入することにより、セルフメディテーションを図ることができるので、医療費の抑制に繋がる。
【0094】
<本第2の実施形態 処方せん医薬品用遠隔自動販売システム>
図18は、本第2実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの動作フローチャートである。
図18の動作フローチャートは、本人認証処理ステップ1804以外の処理ステップ1801~1803、1805~1811(自動販売機側の処理)、1812~1819(管理サーバの処理)、1820~1825(薬剤師接客端末の処理)は
図17の動作フローチャートと同様であるので、説明を省略する。以下、本人認証処理ステップ1804について説明する。
【0095】
本人認証処理ステップ1804は、個人認証ICカードや免許証ICカードにより本人認証を行う。保険診療や保険調剤を受けるためには、必要な認証処理である。通常は、一般的な被保険者は有効な社会保険証や国民健康保険証を医療機関や調剤薬局で提示して、保険診療や保険調剤を受ける。従って、処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおいても、保険調剤を受けるための本人認証処理ステップを追加した。個人認証ICカードはマイナンバーカードに健康保険証を付けたものであれば、保険証として使用できるので、保険調剤の適用対象になる。また、マイナンバーカードに保険証が付いてない場合は、有効期間内の保険証の画像読取りを行い、処方せん読取りと同時に本人認証処理を行う。また、自由診療でも良い場合、本人認証処理を省略しても良い。ただし、保険調剤の適用を受けた処方を希望する場合は、保険証の確認は必要である。1月以内の処方であれば、場合によっては、本人認証処理ステップを省略しても良い。ただし、リピータの購入希望者などは、購入者登録などをした方が望ましい。
【0096】
本認証処理ステップ1804は、
図2の自動販売機内に、本人認証処理手段を備えるように構成する。具体的なハードウェア構成としては、ICカードリーダなどを利用することができる。保険調剤を受けるためには、処方せん原本の受取り(回収)も必要なので、自動販売機の近くに、鍵のかかる処方せん回収ボックスなどを設置しても良い。
【0097】
上記した自動販売機の処理フローでは、オンライン接客終了ステップ1809の後に、処方せん医薬品処方指示ステップ1810と処方せん医薬品受取ステップ1811の処理を実行していたが、これに限定されない。例えば、処方せん医薬品処方指示ステップ1810と処方せん医薬品受取ステップ1811の処理を実行した後に、オンライン接続終了ステップ1809の処理を実行しても良い。
【0098】
図19~
図22に糖尿病患者が保険診療を受けて、医師の処方せんを発行したときの医療費明細書と保険調剤明細書と処方薬の説明書と調剤の領収書を示す。
図19は投薬の処方せんを発行した医療費明細書を示している。
図20はメトアナ配合錠HDの処方内容と調剤技術料、薬学管理料、薬剤料が計上された保険調剤明細書を示す。
図21は処方薬メトアナ配合錠HDの説明書を示す。
図22は本人が受けた領収書を示す。
【0099】
医療機関や薬局での対面保険診療、対面保険調剤の場合は、紙で領収書などが発行される。自動販売機で処方する場合は、上記したような紙を出力すると、膨大な紙を使用することになってしまう。そこで、本第2の実施形態では、これらの保険調剤に関する資料や領収書のリンクをQRコード(登録商標)に印刷した紙出力して購入者に渡すか、予めまたは購入時にメールアドレスなどをユーザ登録してもらい、登録されたメールアドレスに送付するようにしても良い。または、スマートフォンのレシートアプリを利用しても良い。
【0100】
このように、第2の実施形態によれば、第1実施形態において、更に保険調剤の適用を受けることができる。
【0101】
<患者用携帯端末を利用>
上記第1及び第2実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムでは、自動販売機と薬剤師接客端末とで、処方せん医薬品の遠隔販売を行う例について説明したが、購入希望者である患者が患者用携帯端末を適宜利用しても良い。
患者用携帯端末は、スマートフォン、タブレットPC、タッチ入力コンピュータ、タッチパネルディスプレイを接続した各種コンピュータ、クライアントサーバ型のコンピュータシステム、クラウドコンピュータと各種コンピュータ端末とをネットワークを介して構成されるネットワーク上で実現できる。
【0102】
図23に示すように、携帯端末9の計算機の構成は、CPU91と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ92と、D-RAM等の主メモリ93と、カメラ94と、スピーカ95と、通信インターフェース96と、ディスプレイ97と、ソフトウェアキーボード98と、マイク99と、を有し、システムバスに接続されている。携帯端末によるアクセスは、3G、4G、5Gモバイル無線ネットワークサービスや、WIFI無線接続、近距離無線通信インターフェース(Bluetooth(登録商標)、WI-SUN)など、通信環境に応じて適宜選択的にネットワーク接続される。
【0103】
以上の構成は、一般的な携帯端末のハードウェア構成であるので、ここでは説明を省略する。
【0104】
患者用携帯端末9は、通信インターフェース96を介してインターネット等の通信ネットワーク4経由で管理サーバ2にログインすることができる。ログイン認証は、登録時のメールアドレスやパスワードなどである。患者がSNSメールアドレスで登録したときは、各SNSのメールアドレスやパスワードでログイン認証が行われる。このような患者用携帯端末9を用いて処方せん医薬品の購入希望者がユーザ登録しておくことにより、上述した本人認証処理を省略しても良い。また、患者用携帯端末9から管理サーバ2にログインして、電子お薬手帳や被保険者証などを予め登録しても良い。また、患者用携帯端末9は、近接無線通信インターフェースも備えており、自動販売機と直接情報のやり取りを行い、電子処方せんの自動販売機への転送を行うことにより、処方せんの読取り操作を簡単化することができる。
【0105】
<第3の実施形態 処方せん医薬品用遠隔自動販売システム 薬局検索・紹介処理>
図24は、第3の実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける薬局検索・紹介処理のフローチャートである。
図24の例では、上述した第1実施形態又は第2実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおいて、自動販売機内に処方せん医薬品の在庫がない場合(ステップ2401)、
図9に示すような薬剤師アバターが提携した薬局の薬局端末の検索処理ステップを実行する(ステップ2402)。この検索処理ステップ2402において、提携薬局の処方せん医薬品の在庫検索を行う。次に、検索結果を自動販売機のモニター画面に表示させ、薬局紹介処理ステップを実行する(ステップ2403)。ここで、薬局検索は必ずしも薬剤師アバターである必要はなく、自動検索ツール(ソフトウェア)により検索を行っても良い。
【0106】
薬局照会処理は、自動販売機の場所から近い薬局を紹介しても良いし、購入希望者の指定場所入力情報を用いて検索を行っても良い。
【0107】
このように、第3の実施形態によれば、第1実施形態又は第2実施形態において、自動販売機内に処方せん医薬品の在庫がない場合、提携薬局を利用することにより、購入希望者のニーズに応えることができる。
【0108】
<第4の実施形態 処方せん医薬品用遠隔自動販売システム 薬局紹介処理>
図25は、第4の実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける薬局紹介処理のフローチャートである。
図25の例では、上述した第3の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおいて、管理サーバ2の紹介手段28の機能を示すフローチャートを示している。
紹介手段28は、購入希望者に在庫のある薬局を画面に表示する機能と、紹介した薬局端末に処方せん医薬品の購入依頼を送信する機能を有する。まず、在庫薬局表示処理ステップを実行する(ステップ2501)。次に処方せん医薬品購入依頼送信処理ステップを実行する(ステップ2502)。すなわち、ステップ2502において、管理サーバ2から薬局端末に対して処方せん購入依頼を発行する。
【0109】
<第5の実施形態 処方せん医薬品用遠隔自動販売システム 薬局端末処理>
図26は、第5の実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける薬局端末処理のフローチャートである。
図26の例では、上記第4の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおいて、薬局端末の機能を示すフローチャートを示している。
【0110】
薬局端末6a、6bは、購入依頼を受信すると、購入依頼画面に処方せん医薬品を表示する機能を有する。まず、購入依頼を受信すると(ステップ2601)、処方せん医薬品表示処理ステップを実行する(ステップ2602)。次に、処方せん医薬品受渡し準備処理ステップを実行する(ステップ2603)。
【0111】
<第6の実施形態 処方せん医薬品用遠隔自動販売システム 管理サーバ処理>
図27は、第6の実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける管理サーバ処理のフローチャートである。
図27の例では、上記第1又は2の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおいて、管理サーバの機能を示すフローチャートを示している。
【0112】
まず、薬剤師登録処理ステップを実行する(ステップ2701)。ステップ2701では、薬剤師接客端末による複数の薬剤師の登録管理を行う。次に、一斉同報送信処理ステップを実行する(ステップ2702)。次に、薬剤師登録管理処理ステップ2701により登録された複数の薬剤師接客端末に上記オンライン接客を紹介する(ステップ2702)。次に、オンライン接客割当処理ステップを実行する(ステップ2703)。すなわち、オンライン接客割当処理ステップ2703により複数の薬剤師接客端末のうち、1つの薬剤師接客端末のみに処方せん受付手段20により受け付けられた購入希望者の上記オンライン接客を割当てる。
【0113】
<第7実施形態 構成 管理サーバ>
図28は、本第7実施形態の処方せん医薬品用遠隔自動販売システムにおける管理サーバの機能ブロック図である。
【0114】
本第7実施形態の管理サーバ2は、
図28に示すように、処方せん受付手段20と、処方せん情報記録手段21と、薬剤師登録管理手段22と、購入者登録手段23と、オンライン接客割当手段24と、一斉同報送信手段25と、在庫情報管理手段26と、提携薬局連携手段27と、紹介手段28と、不動医薬品販売手段29と、を有する。ここで、不動医薬品とは、薬局・ドラッグストアなどで生じる、ある一定期間動き(出庫、入庫)がない不動在庫医薬品のことをいう。
図28の管理サーバは、不動医薬品販売手段29以外は、
図16の構成と同様であるので、説明を省略することとし、以下では不動医薬品販売手段29について説明する。
【0115】
<第7実施形態 構成の説明 管理サーバ>
不動医薬品販売手段29は、処方せん医薬品の不動医薬品の販売を行う機能を追加したものである。第1実施形態から第6実施形態までは、処方せん医薬品は新品であったが、第7実施形態では薬局などで不動在庫になっている処方せん医薬品の在庫品を買取り、自動販売機で販売するものである。そのため、管理サーバ内に不動医薬品販売手段を設けて、新品医薬品と不動医薬品を並行して販売し、医薬品の廃棄処理を少しでも軽減し、社会福祉費の抑制に貢献しようとするものである。
【0116】
図29は、第7実施形態の在庫流動化システムと組合せた処方せん医薬品用遠隔販売システムの概念図である。自動販売機を用いてオンライン接客(リモート接客)を行い処方せん医薬品の遠隔販売を行う。この遠隔販売については、上述した実施形態1~7と同様である。リモート接客は、接客アプリを利用する。システム運営者は自動販売機内の在庫有無データを共有しており、自動販売機に処方せん医薬品の在庫がなくなったら、適宜医薬品を補充する。また、システム運営者は、薬局・ドラッグストア・コンビニなどの処方せん医薬品の不動在庫(調剤薬局が医薬品の卸会社やメーカー等から仕入れたものの、予定どおりに売れなかった医薬品の在庫)を買取り、在庫必要店舗へ販売する。薬局・ドラッグストア・コンビニの余剰在庫データを共有し、その情報を用いて自動販売機内に在庫がない場合に在庫のある薬局に誘導する。
【0117】
図30は、
図29の在庫流動化システムを実現するためのシステム構築概念図である。
図30の例では、モニター表示、システム動作、オンライン接客アプリ、薬局実店舗を概念図で表している。
図31は、
図30の在庫流動化システムを組合せた処方せん医薬品用遠隔自動販売システムの処理フローチャートである。以下、
図31のフローチャートを用いて薬剤師接客による処方せん医薬品遠隔販売フローを説明する。
【0118】
まず、自動販売機で処方せん読取りを行う(ステップ3101)。処方せんの読取りは、スキャナ読取り、QRコード(登録商標)読取り、電子処方せん読取りなど、各種方式が利用できる。電子処方せんの読取りには、
図23に示す患者用携帯端末が使用できる。
【0119】
処方せん読取り後に、処方せんの有効性を判断する(ステップ3102)。次に処方せんが有効である場合、処方せんの種類を判別する(ステップ3103)。処方せんの種類に応じて通常処方せん処理(ステップ3104)、リフィル処方せん処理(ステップ3105)、分割処方せん処理(ステップ3106)を行う。処方せん医薬品の場合は(ステップ3107)、薬剤師によるオンライン接客処理A(詳細は後記
図33を参照)にてオンライン服薬指導を行う(ステップ3107)。
オンライン接客処理完了後に(ステップ3107)、自動販売機内の在庫確認を行う(ステップ3108)。自動販売機内に在庫がない場合は(ステップ3108)、自社内在庫確認を行う(ステップ3112)。自社内に在庫がない場合は、提携薬局の検索処理に遷移する(ステップ3113)。次に、提携薬局の在庫検索処理を実行し、提携薬局照会処理を実行する(ステップ3114)。購入希望者が購入希望をすれば、在庫がある薬局端末に対して購入依頼処理を行う。
【0120】
自動販売機内に在庫があった場合は(ステップ3108)、処方メッセージを表示し(ステップ3109)、処方処理を行う(ステップ3110)。自動販売機内で医薬品を排出し、処方せん医薬品の販売を行う(ステップ3111)。
【0121】
上記実施形態においては、処方せん医薬品の遠隔販売フローについて説明したが、自動販売機内に処方せん医薬品に加えて、OTC医薬品を収納するように構成しても良い。その場合は、処方せん読取りステップ3101の前に、処方説明必要か?の判断ステップを追加し、「処方説明あり」、「処方説明なし」のタッチ式選択画面を自動販売機のモニター画面に表示させる。購入希望者が「処方説明なし」を選択した場合は、処方せん読取りステップ3101以降の処理は行わず、OTC医薬品の遠隔販売を行う。また、購入希望者が「処方説明あり」を選択した場合は、処方せん読取りステップ3101以降の上述した処理ステップを実行する。
【0122】
上記自動販売機の設置場所ごとに収納する医薬品(OTC医薬品や処方せん医薬品を問わない)を変更するように構成しても良い。自動販売機の設置場所が、田舎や都会では売れ筋の医薬品が異なることがあるからである。例えば、田舎の山村では、森や林に木々が生い茂り、草木も繁殖しているので、蚊などに刺される虞があるので、虫刺され薬が売れる可能性が高い。また、都会では、車の排気ガスで空気が汚染され、ぜんそくの薬などが売れる可能性が高い。このように、自動販売機の設置場所によって、医薬品の売れ筋が異なることがあるので、収納する医薬品を変更することにより、自動販売機の売り上げを増やす期待が得られる。また、自動販売機を医院やクリニックの近くに設置し、その医院やクリニックの診療科目に合致した医薬品等を配備すれば、売上げを増やす期待が得られる可能性がある。例えば皮膚科の医院やクリニックの近くであれば、皮膚薬が売れたり、内科の医院やクリニックの近くであれば、胃腸薬や花粉症薬が売れたりする可能性がある。
【0123】
図32は、本発明のオンライン接客の概念図であり、
図33に
図32のオンライン接客フローチャートを示す。まず、自販機(自動販売機)と接客システムを接続する(ステップ3301)。登録薬剤師の同期確認一斉送信を行う(ステップ3302)。最初に同期した薬剤師の薬剤師接客端末と接続を行う(ステップ3304)。薬剤師または薬剤師アバターによるオンライン接客を行う(ステップ3305)。薬剤師接客端末の接続が終了すると(ステップ3306)、受取り薬局選択画面表示が行われる(ステップ3307)。購入希望者が自販機内か受け取り可能薬局のどちらかを選択する(ステップ3308)。自販機内を選択すると、自販機より医薬品を排出する(ステップ3309)。受取り可能薬局を選択すると(ステップ3308)、受取り薬局へデータ送信を行う(ステップ3310)。ここで、ステップ3308の受取薬局の選択はオンライン接客フローの接客中やオンライン接客前に選択していても良い。
【0124】
上述した実施形態においては、薬剤師オンライン接客の終了後に(ステップ3305、3306)、受取り薬局選択画面表示(ステップ3307)、自販機内又は受取り可能薬局選択(ステップ3308)、自販機より排出(ステップ3309)、受取薬局へデータ送信(ステップ3310)の処理を実行しているが、ステップ3307~3310の処理を、薬剤師オンライン接客中(ステップ3305)に、処理するように構成しても良い。その場合は、ステップ3307~3310の処理が終了した後に、接続終了(ステップ3306)の処理を実行する。
【0125】
このように、第7実施形態によれば、セキュリティを確保した薬剤師アバター接客と在庫流動化システムを組み合わせ、医薬品の廃棄を削減することができ、新たな労働環境を実現する(新たな雇用を創出)する)ことができる医薬品用遠隔自動販売システムを実現することができる。
【符号の説明】
【0126】
1a、1b、1c 自動販売機
2 管理サーバ
3a、3b、3c 薬剤師接客端末
4 ネットワーク
5 管理者端末
6a、6b 薬局端末
7 処方せん医薬品の購入希望者
11 撮像手段
12 撮像画像送信手段
13 処方せん読取手段
14 有効性判断手段
15 処方せん種類判別手段
16 処方せんデータ送信手段
17 排出手段
20 処方せん受付手段
21 処方せん情報記録手段
22 薬剤師登録管理手段
23 購入者登録手段
24 オンライン接客割当手段
25 一斉同報送信手段
26 在庫情報管理手段
27 提携薬局連携手段
28 紹介手段
29 不動医薬品販売手段
30 表示手段
31 オンライン接客手段